どこかでなにかがミステリー So
Weird エピソードガイト
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第1話 「幻の家族再会」
シカゴの悲劇といえば1871年の大火災が有名だけど、1915年のイーストランド事件はあまり知られていない。イーストランド号はミシガン湖を渡る大きな客船だったが、波止場を離れもしないうちにシカゴ川の濁った水の中に沈んでしまったのだ。844人が命を奪われた。男の人も女の人も子供も大人も。遺体は近くの建物に運ばれ身元が調べられたが、分からずじまいだった人もいる・・・
ライブのためにシカゴに着いた一行。今回のライブ会場はホテルの向かいでなかなかいい場所。なのにネッドは「ロジャースタジアムには負けるね。」と言うし、マネージャーのアイリーンは「大きな所でライブさせたいけどそれにはもっとCDを売らなきゃ」と厳しい意見。一方子供たちは早くホテルにチェックインしようとはしゃいでいる。モリーはジャックに部屋に行く前にツアーバスのフロントガラスについた虫取りを命じるが、ジャックはうまく言い逃れしてフィーに押しつけていった。クルーにも「手伝いたいけどデリケートな俺には出来ない」と逃げられてしまった。
クラブの中。モリーのライブリハーサルをしているその側でネッドは子供たちにシカゴの歴史についてのレポートを課していた。みんなはいやがってレポートから逃れようとあれこれ言い訳に必死。「1週間の休みを取ったら?」とのクルーの勧めにネッドは「1週間休みを取ったらレポートの採点をしよう。」と言い出した。ジャックはめげずに歴史の勉強をしに、由緒あるショッピングセンターに行くと遊びにおお張り切りだった。そこにモリーが寄ってきた。モリーはこのバスツアーをもう1年も続けてきて、年頃のフィーのこと心配だったのだ。それを兄のジャックに相談したかったのだ。それなのに「旅をしても、しなくてもフィーは変人なの。」と簡単に言うだけだった。
モリーのサウンドチェックを手伝うフィー。しかしギターの音が出てこない。機会をいじっていると、どこからか子供の泣き声が聞こえてきたのだ。みんなは携帯かラジオの電波のせいでよくあることだと言うが、機械の電源はオフになっていた。建物が古くなってガタがきているせいだというのはオーナーの話だが、彼は客を呼ぶためにそれを幽霊のせいにしていた。幽霊という言葉を聞くなり、フィーは興味津々。
幽霊の影を捜してフィーは1人でライブハウスの建物にしのび込んだ。辺りを見回すが誰もいない。大声で叫ぶが返事はナシ。耳を澄ましたら、かすかにフィーを呼ぶ声がした。大慌てで返事をするフィー。非常階段の外から聞こえる声の主はジャックだった。ガッカリするフィー。しかし振り返るとそこにはびしょぬれの男の子が立っているではないか!フィーは少年を追いかけるが、少年は待ってくれない。彼が角を曲がるとそこは行き止まりだった。辺りはそこら中濡れていた。
部屋に戻ったフィーはウェブサイトで‘シカゴ’‘溺死’の2つのキーワードで調べてみたすると437件もの事件データが出てきた。その中で『イーストランドの悲劇』という項目を発見する。次々と出てくる写真・・・1枚1枚見ていくと、ある写真に出会った。見覚えのある建物の写真が一枚。それは今夜モリーがライブをする予定の向かいのライブハウスだ。ライブハウスになっている建物は事件後、遺体が運ばれた場所だったのだ。さらに写真を見ているとなんと昼間遭遇した幽霊の少年が写った写真があった。驚愕するフィー。写真の中の少年がフィーの方を向いてこういった。「助けて」パソコンの画面から水があふれ出している。少年が溺死したことを教えているのか?フィーはおそるおそるパソコンに触ろうとすると、パソコンは勢いよく部屋の隅に吹っ飛んだ。
フィーはもう一度ライブハウスに行って、どうしても確かめたかった。興奮してジャックに話をするが相手にしてくれない。クルーは面白がってフィーについていくという。そんなクルーに臆病者といわれてジャックも結局はライブハウスに向かうことになった。
クルーのアイディアで床下からの潜入に成功した3人。部屋の中には割れたグラスやさびたパイプなど特に何もない様子。ジャックは「幽霊なんていない、諦めて帰ろう。」とフィーをなだめるがフィーはなぜ自分をここまでひっぱてきたのか知るまでは帰らないと言い出した。それにもあきれてジャックは1人床下に戻ろうとしたその時、大きな木箱がひとりでに動いてジャックを襲ったのだ。ジャックはそのまま部屋から閉め出されてしまった。次はテーブルが動き出してクルーを襲った。部屋自体が傾いているのだ。斜めになった部屋の中でいろんな物がすごい勢いで流れてきて、立つことも出来なかった。
フィーは顔を上げると、ある光景が目に入ってきた。傾いた部屋の上のほうで必死に手すりに捕まり、もう片方の手を差し伸べている少年の父と母だった。届きそうだけど、届かない手。少年は泣き叫び助けを求めるが、体力が尽きて滑り落ちてしまったのだ。落ちてくる少年の腕をフィーは下の方でがっしりとつかむが、ふと我に返ると上着一枚を握りしめているだけだった。部屋は平らに戻っていた。シャツには『ブライアン・マクゲブリー』の名前が。
名前からその子の両親のお墓を見つけた。歴史協会に少年のお墓を両親の所に移してもらうことになった。フィーの活躍で家族がついに一緒になれたのだった。
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第2話 「予言系サイトのなぞ」
昔から人は明日なにが起こるかを前もって知りたいと思ってきた。ノストラダムスは未来が見えたそうだ。お茶の葉っぱや水晶玉や文字盤や手相で占う人もいる。未来というものを単純な道具で伝えられるらしい。だけどなにが起こるか分かったとして、私たちは一体どうすればいいの?
真夜中のツアーバス。フィーがぐっすり眠っているその側で、フィーのラップトップがひとりでにログオンしファイルを受信していた・・・
翌日。フィーの周りをクルーが8ミリカメラを片手にうろちょろしている。ドキュメンタリーフィルムを撮ろうとしているのだ。クルーを押しのけてフィーはパソコンに向かった。メールチェックをしていると、差出人不明のメールが1通ある。開けてみるとリンクになっていた。フィーは迷わずリンク先に飛んでみた。そこには『モリーフィリップスのすべて』というサイトがあった。単なるファンサイトかと思ったが、『金曜のパラマウントライブは最低・・・』などと激辛ライブ批評が載っている。なんだか様子が少しおかしい。パラマウントライブは今晩のはず。まだライブを行っていないのだ。そのサイトのことをモリーに知らせても、モリーは誰かのいたずらだといって、大して気にしていない様子だった。
その晩は大雨。ギターを弾きながら軽快に歌うモリー。しかし突然ギターの弦が切れてしまい、演奏が出来なくなってしまった。客席からあるカメラマンがモリーをパチリ。ライブはさんざんな結果に終わってしまった。パソコンの予言通り、朝刊にはひどいライブ批評が載ってしまった。
この記事を書いた犯人はスペンサーといって、12年前にモリーとフィーのパパのリックのライブに対して史上最悪の批評を書いたことが原因で仕事をクビになっていた男だった。それ以来モリーとは犬猿の仲だった。
スペンサーを許せないと怒るモリーをなだめてアイリーンは弦を買いに楽器屋さんへと向かった。そこには飽きもせずカメラを回すクルーの姿が。
フィーはバスに残って算数の勉強中。息抜きしようとパソコンの電源をオンにしてみた。するとまた差出人不明のメールが入ってきた。「これを聞け。」耳の絵をクリックするとそこから流れてきたのはモリーとスペンサーが言い争っている声だった。フィーは大急ぎでアイリーンの携帯に電話をした。「ママはスペンサーの所にもう行った?」しかしアイリーンには何のことだかさっぱり分からない。モリーは一緒に楽器店へ来ているのだから。電話を切った後店内でモリーを捜すアイリーン。しかしモリーはすでに楽器店を後にしていたのだった。
フィーと、半信半疑のジャックは自転車でスペンサーの事務所へ駆けつけたが、オフィスではすでにモリーと言い争っている様子。その声はフィーがパソコンで聞いた会話と同じ内容だった。オフィスから出てくるモリーとスペンサー。ジャックはあわてて事務所から逃げ出した。フィーはデスクの下に身を隠した。何か音がする・・・デスクのパソコンがメッセージを送ってきたのだ。『カメラがとらえた衝突の瞬間』ロックビルに向かうツアーバスがカーブを曲がるとそこには一台の乗用車が。これは一体どういうことなのか?なぜまだ起こっていない映像がここにはあるのか?ツアーバスが危ないのは確かだった。フィーは送り主にメールを出した。「運命は変えられる?」
バスに戻ったフィーはもう一度モリーとスペンサーの声を聞こうとしたが、そのページはなくなっていてバスの衝突映像は犬の動画に変わっていたのだった。ますますジャックはフィーを信じてくれない。クルーは面白がってビデオを撮り続けてるだけ。
スペンサーはモリーに謝ろうと考え、ツアーバスを追いかけようとしていた。しかしボロ車のおかげで、道の途中でエンストして立ち往生を余儀なくされていた。次のライブはテネシーのディアホールズ。ロックビルとは正反対の方向だが、バスが衝突してしまうのではないかとフィーは心配でたまらない。ジャックは「オカルトおたくが仲間を捜しているだけだ」といってフィーを慰めるのだった。
夜も更けてきて、バスは夜道を急いでいた。車内ではフィーも眠りにつき、ジャックはクルーのビデオをいじっている。そのクルーはアイリーンの膝枕でうたた寝。ある道までやってくるとその先は連日の嵐のため通行止めだった。迂回するバス。
フィーが寝ている間にまたパソコンが起動しだした。その音で目覚めるフィー。バスの窓から外を見るとなんとそこにはロックビルの標識が!大慌てでフィーは運転席のネッドに向かって叫んだ。「車があるの。ぶつかるー!」横から割り込んでハンドルを切るフィー。急ブレーキと共に止まるバス。目の前にはフィーの言うとおり、車が一台止まっていた。ギリギリで回避することが出来たのだった。
バスを降りると、エンストした車の前になんとスペンサーがいたのだ。
『何にでも理由はあるのか?命ってどれくらい大事なの?この出来事はママに意地悪した人を助けるために起きたこと?メッセージを送ってきたのは誰?』フィーのなぞは解かれないままだった。そこに最後の差出人不明のメールが届いた。「君は運命は変えられるかと聞いたね。変えられると思う。」
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第3話 「失った記憶」
科学者たちの話によると、記憶というのは脳の働きによって生まれるそうだ。何十億という神経細胞が意識の奥に言葉や風景を記録する。でも何もかも記録されるのなら、なぜ10年前の出来事をはっきり覚えているのに昨日の夕食が何だったのか思い出せなかったりするの?失った記憶は科学の力で取り戻せるらしい。でも不思議だと思わない?その記憶はなぜ失われたの?
うだるような暑さの中、ツアーバスは沿道に止まっている。地元の子供たちが小さなお店を出してレモネードを売っていた。1杯5$で。モリーはぶつぶつ文句を言いながらも仕方なく1杯だけ買うことに。ジャックもクルーも暑さを我慢できない様子。モリーが買ったレモネードを回しのみしていた。モリー、ジャック、フィー、クルーの4人を乗せたツアーバスは普段のようなホテルではなく、オクラホマ州のオアシスモーテルというトレーラーパークへと向かった。前日にネッドとアイリーンが疲れて出かける気にならず、タルサまで行くはずだったのをトレーラーパークに変更したからだ。
モーテルに着くなりフロントのエアコンにかじりつくジャック。しかしエアコンは壊れていた。モーテルの従業員が言うには町中が停電して電力供給がストップしてしまったらしい。エアコンがだめなら・・・ジャックはプールに入ろうとした。しかしプールには泥水がたまってものすごく汚い状態。モーテル側が業者に掃除を頼むのを忘れたのだ。
ジャック「おい、タオルもってこい。例えリオグランデ川まで歩いていっても絶対泳ぐぞ。」
クルー「そこって遠いの?ジャック。」
フィー、ジャック、クルーの3人はプールを探して街をうろついていた。クルーがお店でソーダ3本+卵1個を買ってきた。こんなに暑いのに卵なんて、奇妙な買い物だ。「いいモンみせてやる。」クルーは卵を日の当たるセメントの上で割って見せた。すると目玉焼きが出来上がった。
通りには人っ子1人おらず、街は異様な雰囲気で静まりかえっていた。新聞スタンドには昨日の新聞が入っている。そこに男の子が1人歩いてきた。ジャックはプールがどこにあるのかを聞いてみた。少年は町に住んでる子で、コールと名のった。
コールの案内で市民プールへやってきた。しかしそこも泳げるような状態ではなかった。変なヌルヌルがプールに浮かんでいて異臭を放っている。コールの話では昨日は何ともなかったらしい。でもコールは夕方ごろ急に疲れて、うちへ帰って寝てしまって、昨日のことはあまり思い出せないのだった。
何かおかしい。昨日コールは疲れて早く寝た。ネッドとアイリーンも疲れて6時には寝たと言っていたし・・・フィーはこの町になにかが起こっているのを確信した。
モーテルの部屋ではモリーがバンドとリハーサルをしている。しかしこの暑さの中、みんなぐったりしてやる気なし。アイリーンは電話で別の宿泊先を捜すが、どこのホテルも空いていない。そこにフィーたちが帰ってきた。昨日のことを詳しくアイリーンに聞いてみたがうるさがられるだけだった。ネッドも昨日のことは何も覚えていないという。この町に着いたら急に疲れてぐっすり眠ったのだ。そうこうしているうちに、コールがカウチに倒れ込み、気絶しそうになりながらうなっている。「あいつらに何かされた・・・」
コールは彼のママに迎えに来てもらって2人はモーテルを後にした。ジャックはフィーにこれ以上詮索するのはやめろと忠告した。それでもフィーはみんなを助けるためだといって聞かなかった。
モーテルのプールを1人で掃除するジャック。そこにネッドがジュースを持ってやってきた。やはり昨日のことは何も覚えていないという。その時、ジャックはプールの底に何かが落ちてるのを発見した。
一方フィーとクルーはコールの家を訪ねていた。しかしコールのママが彼に会わせるのを拒否していた。あきらめて帰る2人。そこにコールがやってきた。家を抜け出して来たらしい。とうとう昨日のことを思い出してフィーを追いかけてきたのだ。
昨日プールで泳いでいるとすごい音がしてヌルヌルがプールに降ってきたのだと言う。コールは隠れたおかげで助かったのだ。「光が見えた。」コールが話しているとそこにネッドとアイリーンがやってきた。フィーに謝りにきたのだ。昨日のことを思い出そうとすると頭痛が激しくて考えたくなかったが、昨日どこかで衝突が起こり煙が立ち上っているのを見たとネッドは言った。誰かと話をしたが、しかし顔が見えなくて声も思い出せない。フィーは「見送っていないなら彼らはまだいるかも。」と興奮ぎみ。ジャックが口を重い開いた。「どこにいるか知ってる。」モーテルのプールで見つけたのは時計台の破片で、片面が熱で溶けていた。何かが時計台にぶつかってその破片がモーテルのプールまで飛んできたのだ。
みんなは何かが衝突したと思われる所まで走って向かった。雷の様な光が辺りを覆った。草むらをかき分けて進むフィー。広場に出たが何もない。ふと空を見上げると白いUFOのような物体が去っていった。フィーだけがその姿を目撃するのだった。
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第4話 「わが友ビックフット」
これはみんなのひいひいおじいちゃん。アウストラロピテクス。“ひいひい”ってコトはないか。じゃあ、ひいひいひいひい・・・。うん、とにかくおじいちゃんね。さて私たちのおじいちゃんに親せきはいなかったのかな?実はいたらしいんだ。世界中のあらゆるところで分類不可能な霊長類が目撃されてるの。モンゴルのアルナス、チベットのイエティ、オーストラリアのヤウイ、北アメリカのサスカッチ。壁画や足跡や体の毛も見つかってるけど、科学的には証明されてない。ねぇ、君はどう思う?人類には兄弟がいるのかな?
大自然の中で2日間のオフ。一行はシャイロー国立公園にキャンプをしにやって来た。本部室でキャンプの説明を受けている間、モリーは久しぶりのオフで大喜び。しかしアイリーンはリゾートホテルに行きたいと愚痴ばっかり。本部室に飾ってある絵をクルーが指さしながらこれは何かとレンジャーに聞いた。来月工事予定のビジターセンターで、そのために公園内の環境調査をしているらしい。フィーが公園のパンフレットを見ながらつぶやいた。「ここってシャイローの戦いがあったんだ。」シャイローの戦いとは南北戦争の1862年4月6日〜7日の戦いのことで、レンジャーが言うには、今でも当時の『ロレーナ』という歌が夜更けになると口笛で聞こえてくるそうだ。フィーは何かがあることを期待するのだった。
ネッドがテント張りをしている横で、フィーはモリーにロレーナを歌って欲しいとせがんだ。ギターを片手に歌うモリー。それを聴いてフィーは鼻歌でロレーナを歌い始めた。
薪ひろいに出かけるフィー、ジャックそしてクルー。ジャックはフィーがロレーナを歌うのをいやがっていた。レンジャーの話に対して「幽霊が口笛を吹けるなら、なぜ言葉で喋らないのか?」なんてへりくつを言う始末。そんな小言をよそに、フィーはどんどん森の中を進んでいく。草陰でなにかが動いた気配がした。先へ、先へと進んでいくとフィーはあるものを見つける。それは軍服の肩章だった。「幽霊なら肩章なんか落とすはずがない。」何かが逃げていく。フィーは夢中でそれを追いかけるうちに迷子になってしまった。
ジャックとクルーはフィーがいなくなったことを大人たちに知らせると、すぐにレンジャーたちと一緒に捜索の準備に出た。ジャックはフィーがいなくなったのは自分のせいだと責めた。レンジャーも公園内だから夜には見つかると言ってるし、モリーも大丈夫だとジャックを慰めた。
森の中で1人、フィーはさまよっていた。また何かの影がフィーに近づいていた。怖くなって、無我夢中で走るフィー。しかし、走って逃げたその先は崖になっていた!縁にぶら下がるフィー。大声で叫んだ「誰か助けてー!」もうだめかと思ったそのとき、何かが木の枝を倒してフィーに向かって差し出したのだ。目の前にはビックフットの姿があった。ビックフットに助けられたのだ。
逃げるビックフットを追ってフィーは洞窟にたどり着いた。どうやらそこはビックフットの隠れ家らしい。フィーは懐中電灯で中を照らしながら入ってみた。足下には頭蓋骨が転がっていた。びっくりして退くフィーに、ビックフットはあるものを渡した。それはロケットと日記帳。ロケットには日記帳の持ち主と思われる男とその家族の写真が入っていた。
日記を書いたのはウォルター・ラトリッジという男で、どうやら南北戦争でこの地を訪れたらしい。彼はけがを負いながら、ビックフットに助けられてここまで生きてこられたと記している。そしてビックフットとコミュニケーションを取るために彼がロレーナを教えたことが分かった。フィーがビッグフットに助けられたのは、彼女が森でロレーナをずっと歌っていたおかげだったのだ。
手記を読み進めていくうちにフィーは重要な事を知った。日記の持ち主のラトリッジはある日、この洞窟の近くまで仲間が自分を捜している声を聞いたらしいのだ。しかしラトリッジは、自分が見つかればビックフットの存在が世間にばれてしまい、危険にさらされると思った。そしてラトリッジは命をかけてビックフットを守ることをこの洞窟の中で決意したのだ。次のページにはなにやら、手書きの地図があった。公園内の当時の地図らしい。フィーは持っていたシャイロー国立公園のパンフレットと照らし合わせた。「ビックフットが危ない。」ビジターセンター建設予定地がこの洞窟の辺りなのだ。必死に説明しようとするがビックフットにはとうてい理解は無理。そのうちビックフットは去ってしまった。
翌朝、フィーを捜すみんなの声が洞窟の外から聞こえてきた。一瞬出るのを迷うフィー。すると足下に小石や、小枝で描かれた地図があった。ビックフットが昨日のフィーの説明を理解していたのだ。フィーは今度は自分がビックフットを守る番だと思った。安全な土地、スカルピークを目指してビックフットと洞窟出ていった。
フィーはスカルピークへ向かう途中でジャックの姿を見かけた。草陰に隠れて見つからないように息を潜めた。フィーのことをすごく心配している様子。「もし無事ならなにかメッセージを残してくれ。」そうつぶやくのが聞こえた。心配はさせたくないけどビックフットの方が先。フィーは懐中電灯でピースサインを地面に残してスカルピークに向かった。
草むらを抜け、川辺までやって来た。この川を渡ればスカルピークに到着だ。喜ぶフィーだったが、ビックフットは草陰から顔を出そうとしない。優しく声をかけるが返事もしてくれない。するとフィーを捜すみんなの声がした。もうすぐそこまで来ている。ビックフットを早くスカルピークへ連れて行かなければ。みんなの気を引くために大声をだして川へ飛び込んだ。その隙にビックフットはスカルピークへと逃げていった。フィーも無事保護された。
トレーラーの中でジャックは不思議そうに地面にサインを残したわけをフィーに訪ねた。「心の声を聞いたの。世の中って不思議なことが多いんだよ。証拠はなかなか見つからないんだけど。」(これでジャックも少しは怪奇現象を信じるようになるかな・・・)フィーは、納得してないジャックの表情を見つめていた。
ラトリッジ家に一通の手紙が届いた。
ラトリッジさん、あなたは私を知らないけどひいひいおじいさんのウォルターラトリッジついてお知らせします。彼が南北戦争の時北軍の大尉で、1862年のシャイローの戦いで消息を絶ったことをはご存じですね。同封のロケットは彼のもので家族の写真が入っています。突然のことでびっくりでしょう。でもこれはウォルターの希望です。人間が死んだらどうなるのかは分かりませんが、深く愛されたすばらしい人なら亡くなった後も忘れられないはずです。記憶に残る限りその人は心の中で生き続け、私たちの一部になるのです。なぜ知ってるかは言えないけど信じてください。ウォルターラトリッジは立派な兵士で誇り高き人でした。愛を込めて。友より。
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第5話 「幽体離脱する少女」
体を抜け出した〜いって思ったことない?テストの勉強をし忘れた時とか。羽を広げて飛ぶだけでも気持ちよさそうだよね。心は体を離れられるって何千年も前から信じてる人たちがいるの。人間の魂は眠ってる間に体を離れて飛び回ってるんだって。ダンスとか瞑想でそれができるって信じてる人たちもいる。頭を殴るっていうものあるけど、それはちょっとやだなぁ。体を離れた魂は好きなことができるらしいよ。
ツアー一行はとある街へやって来ていた。ネッドは子供たちに数学のテストを返している。ジャック→100点、フィー→だいぶ良くなった。しかしクルーは・・・「愛してる、けどこれはひどすぎる。」ネッドはそう言って、クルーにもっと頑張るようにアドバイスした。生徒の成績が上がらないのは教育システムに問題があると主張するジャックに続いてフィーは遠足がしたいと言い出した。クルーも調子に乗って10代の気持ちになって教えて欲しいとネッドに言う。今この街にちょうどカーニバルが来ていた。そこでネッドは子供たちに外出許可を出した。
カーニバルに着いたフィー、ジャック、クルーの3人。周囲はお客さんがいっぱいでみんなアトラクションやゲームを楽しんでいる様子。フィーたちも何から乗ろうかと迷っていると、ジャックとクルーが何かを発見。その視線の先にはすごくかわいい女の子が1人でいた。ジャックとクルーはとたんにフィーを放って、女の子を追っかけてしまった。
2人は女の子に近づいて、声をかけた。
ジャック: ハイ、俺ジャック
クルー: どうもー、俺クルー。1人みたいだからきになってさ。
ジャック: カーニバルで1人はよくないよ。
クルー: 妹を1人置き去りにしたくせに〜
ジャック: ハハハ、そうだよなぁ〜。心配なら様子見てきたら?
クルー: お前が行けよ。俺は彼女にぬいぐるみ取ってあげなきゃ。
ジャック: ムリだろぉ、お前ゲームダメじゃん。
クルー: んなことないよー。ミズーリーの文化祭で金魚取ったもん。
ジャック: あれは残念賞だったの。しかもすぐ死んじゃって。
クルー: うるせー実力見せてやる、おじさん輪っか12コちょうだい。
ジャック: 僕も12コ。
クルー: お前泣くなよ〜。
女の子にいいところを見せようと、2人は輪投げに没頭していた。しかし彼女は微笑んで見ているだけだった。そのうちお金を使い果たしたジャックとクルーは今度はトークで気を引く作戦に出た。
クルー: ねぇ、そのパーカーってハイスクールのフットボールチームのだろ?
ジャック: チームスポーツをやれないのがつまんないんだよね、旅してると。
クルー: ボーリングはよくやるんだ。バンド対ローディの家族対抗。大抵ローディの勝ち。
ジャック: うそつけ、バンドの方が強いじゃないか。
クルー: 寝ぼけてんなよ、スペアも取れないくせに。
ジャック: おいおい、指が抜けなくなっちゃったのは誰だよ。
クルー: あれはなぁ、ボールが悪かったの。そっちこそレーンで滑ってしりもちついたじゃないか。
ジャック: 滑った?知らないね、誰の話?
2人が言い争っている間に、女の子はどこかへ行ってしまった。慌てて追いかけるジャックとクルー。
フィーは1人でジェットコースターから戻ってきた。かなりふてくされている様子。ママに言いつけてやろう。すると目の前からあの女の子がやって来た。「兄貴たちがごめんねー。」そう話しかけながら近寄って行く。すると女の子はフィーの体を通り抜けたのだ!びっくりして後ろを振り返るが、彼女の姿は消えていた。
女の子が消えたと言ってもジャックは「こいつのトークじゃ引いちゃうよ。」とクルーのせいにして信じない。フィーは必死になって、彼女の声は聞いた?とか彼女の体に触った?と問いつめた。その問いに一瞬、ギクッとなる2人。そう言えばジャックとクルーは言い合いばかりして、彼女とは直接話をしていないのだ。でも幽霊っぽくなかったし、地元のハイスクールのパーカーを着てたからフィーの勘違いだとジャックは絶対に譲らないのだ。地元のハイスクール・・・その言葉を聞いたフィーは早速彼女を捜しに出かけた。
3人はバードゥハイスクールにたどり着いた。高校の図書館員の協力を得て、内緒で卒業生名簿を見せてもらうことに。ジャックが疲れを見せ始めた頃に、ついにクルーが彼女の顔写真を見つけた。クレア・アヴナー それが彼女の名前だ。数学部、科学クラブ、優秀賞・・・かなりの優等生だ。「そんないい子がどうして死んだのだろう。」そうフィーがつぶやくと、図書館員の少年が驚いた。クレアはこの高校の在校生で1時間前にも授業で会ったばかりだと言うのだ。そんなはずはない。だって1時間前はカーニバルにいたのに・・・ますます謎が深まった。
ゲームセンターで遊んでいても、クレアのことが気になるフィー。ふとゲーム機に目をやるとある絵が目に入った。それは悪魔のようなものの魂が抜けて、幽体離脱をしている絵だった。「これだ・・・」
電話帳からアヴナーという名字を捜した。その番号にかけてみる。2度目でクレアの家につながった。彼女の母親が出た。クレアは2階で勉強をしていると母親が言った。確かにクレア・アヴナーの家だ。電話口では母親がクレアを呼んでいる。その時、ゲームセンターの入り口から彼女が入ってきた。フィーはその光景に目を疑った。クレアだ。彼女は足を止めると、向きを変えて出て行ってしまった。その瞬間電話口で声がした。「はい、クレアですけど・・・」
目の前にいた彼女が、次の瞬間家で電話に出た。これは調べなきゃ。もし彼女が本当に幽体離脱をしていたら体が危ない。フィーはクレアと話をしようと彼女の家までやって来た。ジャックとクルーは玄関先に身を隠した。
フィーはアヴナー家の玄関をノックした。運良くクレアが出た。「何してるか知ってるよ、どこで覚えたの?いつでもできるの?」突然の訪問者にクレアは驚いていた。彼女は何の事だか分からないといった様子だ。そこへ彼女の両親が帰宅した。急いでフィーを家の中へ入れるクレア。
両親は家に入ってくるなり、クレアを呼びつけた。学校から電話があってクレアの授業中の居眠りを注意されたのだ。最近成績が下がっているのも両親には気がかりらしい。厳しく言い放つ両親にクレアは黙っておとなしく聞いているだけだった。
クレアは幼い頃から両親に放っておかれ、家庭教師をつけられていつも1人ぼっちだったのだ。裏の林のツリーハウスが彼女の唯一の隠れ家だったらしい。今まで辛い思いをしてきたクレア。体を抜け出すことで、何でも好きなものになれて、どこへでも行ける。それが好きで体を抜け出しているのであって、決して両親のせいではないと言い張る。それでも幽体離脱は危険が伴う、危ないことだと一生懸命にフィーは訴えた。クレアは飽き飽きしたように、ベッドに横になった。フィーが気付いたときにはもう遅かった。また体を抜け出して、窓を通り抜けてどこかへ行ってしまった。フィーの説得は通じなかった。
その晩、バスの中でフィーはまだ幽体離脱についての資料をネットで見ていた。そこにジャックが現れた。クレアに何が起こっているのかは分からないけど明日もう一度彼女に話をしてみよう、彼女のためになるアドバイスを思いつくはず。優しくフィーを励ますのだった。
フィー、ジャック、クルーの3人はクレアを捜しにカーニバルに来ていた。フィーの予感的中!
クレアを発見。だけど彼女は3人の姿を見るなり、逃げ去ってしまった。クルーとジャックは彼女の家へ探しに行くことにした。フィーはカーニバルの中で捜した。
クルーとジャックはカーニバルの裏の林を抜けてクレアの家に行くことに。途中でツリーハウスを見つける。とても高い場所に建てられたツリーハウス。もし彼女がこの上にいたら・・・
カーニバルではまだフィーはクレアを捜していた。グラスハウスに入っていくのを見つけて、フィーはその後を追った。
クルーとジャックはツリーハウスに上ってみることに。やはりクレアはそこにいた。どうやら眠っている様子。ジャックは声をかけてみた。でも起きない。体を揺すってみても、全く起きる気配がない。足下からミシミシと音が鳴った。その瞬間、ツリーハウスの床が抜け始めたのだ。クレアの体が危ない!ジャックは彼女の左腕をつかんだ。クルーはジャックの体を後ろで支えた。「早く目を覚まして、クレア!」
グラスハウスでフィーはクレアに幽体離脱をやめるように説得していた。いつまでも逃げていたんじゃ何の解決にもならない。必死の説得にもクレアは聞く耳を持たない。クレアを呼ぶ声が聞こえる。ジャックの声だ。フィーには聞こえていないらしい。辺りが青く光った。その光にクレアは呼び戻されたのだ。
意識が戻った。しかしその体は、ツリーハウスから落ちて宙にぶら下がっている。命綱はジャックの右腕だけだ。驚いて悲鳴をあげるクレア。クルーは力いっぱいジャックの体を引っ張った。間一髪でクレアは助かった。
うちへ帰ったクレアは勇気を出して両親と話をすることにした。両親もそれを優しく聞いてくれるのだった。
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第6話 「グレムリンの逆襲」
原始人の暮らしは気楽だった。生きるのに必要なだけ狩りをしたり、木の実を集めれば良かったからね。農業が始まると暮らしはもっと楽になった。食べ物がたくさんあるところを探して住みかを変わらなくっても自分で作れるようになったの。そして19世紀になると産業革命が起きる。次々とみんなは機械を発明して仕事の能率はどんどん上がった。それから後は電球からノートパソコンまでアッという間。私も当然テクノロジー依存症の1人なんだけど時々心配になる。あんまりテクノロジーに頼っていると、それが使えなくなったときどうなるんだろーって。
シンプリシティに向かって時速100キロでツアーバスをとばすネッド。そこにクルーが寄ってきた。算数のテスト中らしく、計算機を使いたがっている。しかしネッドは頭を指さし「問題はここで解決するもんだ。ハイテクのおもちゃばかりに頼るもんじゃない。」と言って計算機を許可してくれなかった。
今日はモリーの用事で予定のコースをはずれていた。「タッド・ラクサルに会いに行くんでしょ?」鋭いフィー。本当はモリーのベッドの上からグローバルコンピューターマガジンを見つけていたのだ。タッド・ラクサルというのはパソコン業界の億万長者で有名な人だ。もしかしたら最新のパソコンソフトが貰えるかもしれないとフィーは喜んでいる。どうしてフィーがソフトを貰えるのかとクルーは聞いた。実は1年半前モリーはタッドの会社のCMソングを作り、そのおかげで会社はヒットしたのだ。クルーはそのことを知って大はしゃぎ。「いつもラジオで流れているあの曲?!俺、あの曲大好きなんだぁ。」バスはその歌の大合唱。しかしモリーは嫌がっている。その歌声を聞きつけてジャックが部屋から出てきた。フィーの持っている雑誌を見てこう言った。「ママ有名じゃん。」でもモリーはそんな事で有名になるのではなく、アーティストとして認められたいのだ。だから今日はタッドにあのCMソングの使用を中止するように直接訴えようと心に決めていたのだ。モリーの思いを聞いたみんなは彼女を応援した。
とうとう街の入り口にやって来た。アイリーンはタッドの会社に電話をかける。しかし電波が悪いようだ。すると次は車のハンドルが利かなくなりフラフラとバスは左右に激しく揺れた。辺りはエンストした車があちらこちらに放置されていて、それらの車をよけるのがやっとだった。ネッドはどうにかバスを止めた。目の前にはタッドの会社の門があった。みんなはバスから降りた。フィーは辺りいっぱいの車を不思議に思った。しかしネッドは人の車より自分たちのツアーバスを心配しているようだった。ジャックが会社の入り口のインターフォンを押してみた。反応がない。するといきなりインターフォンがショートして火花を散らした。ハイテク企業とは思えない設備にみんなはびっくり。モリーは「経費をケチっているだけよ。」と呆れていた。
近くの食堂に入って尋ねてみた。お店の人の話では、タッドならもうじきランチを買いに来るらしい。みんなは店の中で待たせてもらうことにした。側でフィーは何かを始めた。手に持っている機械が反応してピコピコ鳴っている。何かある。そうフィーが思ったその時、店内のどこからともなく強い風が吹いて機械がショートした。みんなはびっくりしているのに店の人たちは慣れているらしく、平気な顔をしていた。この町には車も電話も何もない。使えるのは50ワットの電化製品だけだった。フィーは自分の壊れた機械を疑い深く見ていた。中を開けると何かが引っかかっている。フォークの先でほじり出すと、それは小さなシルクハットだった。「これ何?」そう聞いた瞬間になにかが奪っていった。なんともいえない早さだった。
そうこうしているうちにタッド・ラクサルがやって来た・・・あの歌を歌いながら。表に出るとタッドをすぐに見つけることが出来た。タッドはモリーを見つけるなりすかさずあいさつをした。歌なんか歌って、ものすごく陽気に見えるが実は困ったことがあるらしい。タッドは夢の実現の一歩手前でライバル会社に行く手を阻まれているらしいのだ。エンストしたツアーバスを見てタッドはライバル会社の仕業だと思いこみ混乱していた。
フィーは街の異変が気になっていたので、1人バスに残って調べ物を始めた。電磁波の異常、機械の故障、シルクハット・・・1件ヒットした。それもおかしな結果だった。「グレムリン:しばしば機械を故障させる。特徴はシルクハット。これだ!」フィーが喜んだのも束の間、緑色の何かがフィーのラップトップを奪っていった。それは床に落ち、スルスルと滑っていく。
そしてそのままバスの外へと持っていかれてしまった。
一方モリーとジャックとクルーは社内に案内されていた。社員がカードキーを使う。しかし開く気配はない。どうやらドアも壊れているらしい。慌てて手でこじ開けていた。中へ入ると、社員は繰り返しCMソングを歌う。変な歓迎の仕方に引きながらも、モリーはびしっと話をしないといけないと思った。タッドのオフィスで2人きりになった。今度こそチャンスだ。しかしタッドは何かとても焦っている様子だった。「本当にあと一歩で全人類が結ばれる。それなのに理論的に不可能な破壊ビームに全てを壊されて、テクノロジーは潰されているのだ。」そんなタッドの心の支えがあのモリーの作った歌だったのだ。混乱したタッドを目の前にしてモリーは言うことも言えなかった。そこへフィーがモリーを探して会社までやって来た。そして奪われたパソコンの事を話した。
みんなは食堂の前に戻ってきた。フィーとクルーがグレムリンを捕まえる準備をしている。地面に布を広げてその上に携帯電話を置いてグレムリンをおびき出す作戦だった。フィーが携帯に電源を入れたとたんに、辺りに強い風が吹いた。すると携帯は煙を出して壊れてしまった。地面に敷いた布にはしっかりと小さな足あとがいくつも残っていた。「これでグレムリンの存在を証明できる。」フィーとクルーは大喜びだ。
その証拠を持ってタッドに会いに行った。彼は会社のロボットに怪我をさせられ、食堂の人に手当をしてもらっていた。フィーは機械が故障する原因をタッドに説明した。産業革命を始めたのはグレムリンなのに、人間はそれを忘れている。だからコンピューター革命のトップであるタッド・ラクサルに復讐していたのだ。フィーはグレムリンに謝ってみることを勧めるが、タッドは聞く耳を持たない。それもそうだ。今まで絶対的なものとして信じてきたテクノロジーの不完全さを認めるというのは
彼にとっては容易なことではなかった。フィーはどうにか説得しようとしたが、タッドは変わろうとはしなかった。諦めかけたその時、表から歌声が聞こえた。「そうだ!!これだ!」
♪テクノロジーだけが全てではないさ。人は人らしく生きようよ シンプルに♪モリーはあのCMソングの歌詞を替えてみんなで歌ったのだ。初めは嫌がったジャックとアイリーンもしぶしぶ歌ってくれた。町の人は歌声につられて集まってきた。そしてみんなで大合唱した。するとまたあの強い風が吹いてきた。風がおさまるとフィーのパソコンが戻ってきたのだ。
バスもちゃんと動くではないか!グレムリンがやっと許してくれたのだ。
バスに乗り込む一行。タッドがモリーのところへやって来た。ものすごく落ち込んでいる様子だった。今までモリーの書いた曲の歌詞が彼を縛って周りを見えなくさせていたのだった。それに気付いたモリーは新しい歌詞の歌をタッドに渡そうとした。しかしまだタッドは心の準備が出来ていないようで、しぶしぶではあるが新しい曲を受け取ってくれるのだった。
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第7話 「天使のささやき」
天使はどこにでもいる。
本物を見たことはないけど、天使を描いた絵や彫刻やステンドグラスは数え切れないほどあっどれもよく似ているの。見事な翼を持った天の使い。
でも美術よりしびれるのは物語。夢の中で天使のお告げを聞いたとか、本当に現れて助けてくれたとか、
希望を与えてくれるっていう話が多いけどそう言う天使ばかりとは限らない。不吉なメッセージや
もっとひどいものをもたらす悪い天使もいる。
フィーは1人で部屋にこもって算数の宿題をしている・・・と思ったら、メールで答えを教えてもらっているだけだった。
ツアー一行はオハイオ州へとやって来た。バスが州の看板の前を通り過ぎる。沿道に男が1人、ポツリと立って
バスが通り過ぎるのをじっと見つめていた。
ネッドはずっと運転続きで疲れていた。
アイリーンが運転を代わろうとするが、平気だと言ってそれを断った。しかし疲れは相当なもので、あくびが出て仕方ない。周りの穏やかな町並みに一瞬気を取られた。すると目の前に男が1人立っている。ネッドは慌てて男を避けようとハンドルを切った。バスは凄まじいブレーキの音と共に民家の柵を潰してその庭先へと突っ込んだ。みんなはビックリしてお互いの無事を確認していた。ネッドは慌ててバスを降りて辺りをじっくり見回した。道路には急ブレーキの跡がついている。しかしそれ以外に何も見あたらない。深いため息をついて、バスの下をのぞき込んだ。「よかった。」 どうやら誰も引いていないようだ。それにしても絶対に誰かが道の真ん中で立っているのを見たのだ。そう言っても誰も信じてはくれず、疲労のせいにした。
玄関から男の人と女の子が出てきた。
どうやらこの家に住んでる親子らしい。ツアー一行は彼らに挨拶と庭をめちゃくちゃにしたお詫びを言った。彼らはセス・クロフォードとゲイブ・クロフォードという親子で、2人で暮らしていた。庭のことはさほど気にしていないようで、すぐに許してくれた。ジャックはゲイブを一目見るなり彼女に恋してしまった。ゲイブもジャックのことを気に入ったようだ。ゲイブの勧めで一行はバスがなおるまでクロフォード家で休憩することになった。ネッドは1人でさっき見た男の事をまだブツブツ言っていた。それを聞いたゲイブは少しうつむいてペンダントを握りしめた。フィーはその様子を見ていた。
みんなはセス・クロフォードに案内されて家の中で休むことにした。フィーはバスに物を取りに行くと言って外に残った。だけど本当はネッドが話した男の事が気になっていたのだ。そしてゲイブが何かを知っているのではないかと疑っていた。ジャックに相談するが、ゲイブに完全にまいってるみたいでフィーの話なんか聞いてくれない。バスの修理は一番早いので
明日の朝にしか出来ないと工場に言われた。一晩待たなければいけない。
みんなはバスの中で一夜を過ごそうとしたが、ゲイブの提案でセスは快く家に泊めてくれるのだった。初めは断るが、モリーは結局子供たちだけでも泊めてもらうことにした。
ゲイブは喜んでフィーたちを自分の部屋へと案内した。
彼女の部屋は世界中の写真で飾られていた。ラシュモア山の大統領の彫刻の写真を見つけたジャックが言った。「ここ2週間前に行ったよ。」ゲイブはうらやましがった。
ジャックはその時の写真を見せようと、バスにアルバムを取りに行った。フィーはそのすきにゲイブに話し掛けた。ネッドが見たと言う男の事を聞くとゲイブは牛だといってごまかすだけだった。それでも何かを聞き出そうとフィーは何度も聞いた。そのうちゲイブはフィーに根負けして、誰にも話さないのを条件に本当のことを話した。ゲイブはペンダントを握りしめ、つぶやいた。「天使なの。」
そこへアルバムを取りに行ったジャックが戻ってきてゲイブと別の部屋へ行ってしまった。
その夜、フィーは大人たちと一緒にバスに残って
天使について調べていた。
すると、携帯が鳴った。大人たちはみんな眠っているみたいで、誰も電話を取ってくれない。仕方なくフィーが電話に出た。「君だ。」
その瞬間バスの窓の外に男の影が映った。フィーは驚いて悲鳴をあげた。一体今のは何だったのだろう。
次の日。
クルーはボランティアと称して農場の仕事の手伝いを楽しんでいた。モリーはセスに朝の挨拶をした。そして彼が男手一つで娘を育てたことを感心していた。セスは静かに礼を言ったが、どこか寂しそうだった。
フィーは朝からゲイブを探した。どうしても彼女と話がしたかったのだ。
天使について、昨日の事をもっと詳しく知りたかったのだ。2人は朝食を作りながらキッチンで話すことにした。しかしゲイブはフィーの話をまともに聞こうともせず、話をそらしてばかり。フィーは昨日の夜、天使から電話があったことをゲイブに教えた。「君だって言ったの。」するとゲイブは
「そんなはずない。彼は私を選んだの。迎えに来たのよ。でも大丈夫、何も怖くない。」一体どういうことなのか?フィーには納得がいかない。そんな事するのは天使じゃない。天使なら事故を起こそうとはしないはず。でもゲイブは完全に自分を迎えに来たのだと思いこんでいた。そしてジャックには黙っているようにフィーに頼むのだった。
アイリーンがキッチンへ電話をかけにきた。
どうやら修理工場にかけているらしい。途中でフィーに電話を代わるように頼んで、どこかへ行ってしまった。フィーはアイリーンの代わりに素直に電話に出た。「いっそのこと、そっちに店を出すかなぁ。」と修理工場の人が冗談を言った。おかしな事をいう修理工場の人にフィーはどういう意味なのか尋ねた。その人の話ではこの3ヶ月で5回もクロフォード家に呼ばれていたのだ。フィーは即座に電話を切り、窓の外でジャックと楽しそうに話すゲイブの姿を見つめた。
すきを見てフィーはゲイブの部屋に入り何かを探した。
カギのかかったクローゼットがあった。試しに引っ張ってみたが開く気配はない。 と思ったら、ひとりでに扉が開いたのだ!中を見るなりフィーはビックリした。いくつものウィッグが収められていたのだ。フィーは部屋をくるりと見回し、またクローゼットの方に向いた。するとクローゼットの扉の内側にはられてる鏡に昨日の男が映ったのだ。驚愕しつつもフィーはその男に話し掛けた。「あなたは誰なの?」
男は答えない。「どうして現れたの?!返事して!!」振り返って見ると男の姿はなかった。落胆してまた鏡に向かうと、男はさっきと同じように鏡の中に現れた。そしてフィーに向かって左手を差し伸べている。フィーは自分の手を見つめた。すると手のひらがみるみる透明になっていくではないか。そして手の骨が見えていた。ビックリするフィー。
男はまた言った。 「君だよ。」
農場からジャック、ゲイブ、クルーの3人が絞りたてのミルクを持って家の中に入ってきた。キッチンでミルクをビン詰めしていると、ゲイブはめまいをおこした。作業の続きを2人に頼んで、ゲイブは自分の部屋へ戻った。キッチンではジャックとクルーがおしゃべりをしていた。そしてゲイブのことがどんなに好きかをクルーに話していた。そこへ深刻な顔をしたフィーがやって来た。「ゲイブは?彼女を連れ出さなきゃ・・・」
ジャックに本当のことを説明しながらゲイブの部屋に上がった。彼女は慌てて薬のビンを隠した。しかしフィーは彼女よりも、その後ろにあるドアに目が釘付けになった。「光・・・」そう小さくつぶやくフィー。光の向こうから1人の男がやって来た。しかし扉も光も、男もフィーにしか見えていない。「そこに入ればいいの?」フィーは男に質問した。ジャックは「どこ?どうしたんだよ?」とフィーに必死に話し掛けた。ゲイブは「彼なの?呼んでるの?」と言った。けどフィーには全く聞こえていない。そのままフィーは天使に案内されて部屋の奥へと入っていった。
扉の向こうにベッドがひとつ。その上にはゲイブが悲しい表情で座っている。彼女の頭に髪の毛はなく、全部抜けてしまっていた。側に置いてあるウィッグを無言で見つめていた。次は骨髄移植科という看板が見える。ドクターに連れて行かれるゲイブとセス。セスは今にも泣き出しそうに顔をゆがめて、ゲイブの手を握った。ドクターが重々しく首を横に振ると、セスはこらえきれずに涙を流した。ゲイブは静かにネックレスを握った。その時彼女の肩に天使がそっと手を置いた。
「一体どうしたの?」モリーがフィーを起こした。どうやら気を失っていたらしい。フィーはゲイブの部屋で目を覚ました。モリーの後ろでジャック、ゲイブ、セスが心配そうにフィーの様子をうかがった。フィーは一言つぶやいた。「白血病なの?」セスがとても驚いた。ゲイブの病気を誰にも話していなかったからだ。「骨髄の型があなたと合うのが私なの。」それを聞いてセスとゲイブは驚きのあまり無言になった。天使はゲイブを連れて行くつもりではなく、ゲイブを助けるためにクロフォード家の前に立ち、続けて事故を起こしていたのだ。そしてやっと天使のしている事の本当の目的を理解してくれる人が現れるのを待っていたのだ。
後日フィーは病院にいた。 骨髄液を提供したのだ。手術は無事終了したようだ。何事もなかったようにフィーは元気そのもの。ジャックはゲイブに会いたがったが、まだ面会は無理だった。フィーはジャックにある物を渡した。ゲイブが大切にしているペンダントだ。彼女がジャックに持っていて欲しいと思い、渡すようにフィーに頼んだのだ。ジャックはペンダントを見つめぎゅっと握りしめた。それは天使の形をしていた。
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第8話 「魔法のドラゴン」
魔女や魔法使いを名乗る人は歴史上に繰り返し登場した。
そういう人たちがあやつる魔法や呪文ってインチキだったのかなぁ。
それとも中には本物もあったのかなぁ。もし本物だったとしたら、何をやってたの?魔法、魔法って言うけど、魔法って何?不思議な現象を起こすのは電気かなにかの力?でなければ、なにか命あるもの?それは「心」まで持ってたりするのかなぁ?
劇場の前にツアーバスが止まった。アイリーンは今日のライブの打ち合わせのため一人で先にクラブへ向かった。他のみんなは劇場に入っていく。
今日はモリーの義理の妹、ミランダの舞台を見にやって来たのだ。メリンダはモリーの亡き夫リックの妹だ。舞台裏はリハーサル前でみんな忙しそうに動いている。メリンダを捜すモリーだが、楽屋がどこにあるのかもさっぱり。慌てるモリーだが、ジャックはそんなこと心配無用とでもいうようなそぶり。「大丈夫だよママ、ここに立ってればやつらがフィーを見つけるよ。」その矢先、遠くから2人の女の子がフィーに向かって駆けてきた。マギーとミランダだ。「早く来ないかなーって思ってたんだぁ」「ウェブサイト見てるよ!!不思議なこと大好き!!」2人はメリンダの娘つまりフィーたちのいとこで、フィーの大ファンだったのだ。フィーの姿を見つけるなり大騒ぎして、みんなをミランダのいる楽屋へと案内してくれた。
楽屋ではメリンダが準備の最中だった。ドレスリハーサル10分前で忙しそうにしている。マギーとミランダにローディを任せて、舞台へと向かった。
リハーサルが始まった。ちょうどメリンダ演じる魔女が呪文を唱えているシーンだ。みんなは観客席で見学している。お芝居を見ながらマギーとミランダが言った。「ママの持っている本、あれ本物なんだよ。ママが言ってた。」するとフィーは2人に教えた。「うちは魔女の家系なんだよ。」すると後部座席からモリーがすかさず訂正した。「魔女なんていないの。黙って見て。」フィーとマギーとミランダは静かにお芝居の続きを見た。食い入るように舞台を見るフィー。舞台の中央にはメリンダが呪文の本を持って立っている。すると、呪文の本の表紙絵が金色に光っているではないか。フィーはしっかりとその光景を見ていた。
リハーサルは無事終了し、メリンダの所へみんながやってきた。モリーとネッドは「素晴らしかったよ。」とお祝いのことばをいっている。その側でジャックとクルーが芝居の小道具をいじっている。ネッドがそれを注意すると、メリンダは気をきかせてジャックとクルーを舞台下に案内させた。舞台下には芝居に使う仕掛けがいっぱいあるのだ。
フィーとマギーとミランダは魔女の衣装を身につけてあそんでいた。マギーとミランダは真剣に魔女になりたがっている。フィーは2人を喜ばすために「いとこでも魔女が使えるんだよ。」という。それを聞いて2人は大喜びした。そのときフィーは何かを見つけた。お芝居で使う小道具の呪文の本だった。フィーその魔法の本に興味津々。手にとって中を開いてみた。マギーの話では、表紙の中にドラゴンがいて呪文は全部本物らしい。メリンダおばさんは家の屋根裏でこの魔法の本を見つけたのだ。本はゲール語で書かれている。フィーはずっと前にキャサリンおばあちゃんからゲール語を習っていたのだ。そこへジャックがフィーたちを探しにやってきたのだ。魔女の衣装を着た3人を見てジャックは「お前たちの方が怖いよ。」と笑っている。マギーとミランダはフィーのことを本物の魔女だと思っているらしくフィーに呪文を試すように言った。カエルに変身させる呪文だ。フィーはふざけて本に載っている呪文を唱えた。それに合わせてジャックはカエルになった振りをした。マギーとミランダは大笑い。すると突然本が光って爆発が起こったのだ。辺りは煙で真っ白になっている。マギーとミランダはおびえて悲鳴をあげた。フィーも何が起きたのか分からなくて混乱している。煙がだんだん消えてまわりが見えるようになった。マギーとミランダは呪文が利いたと大喜びしている。「だってフィーは魔女だもん!」フィーは焦って叫んだ。「魔女なんて本当はいないのっ!!」「じゃあなんでジャックがいないの?」そこにはジャックの姿はなかった。「カエルになったんだよ」マギーが言った。「ジャーック!!」フィーは大声で叫んだ。舞台の天井になにかの影が動くのを見た。同時に羽音も聞こえた気がする。フィーは手分けしてジャックを捜そうと言い出した。2人は楽屋に探しに行くようにとフィーは言った。でもこのことは誰にも内緒にするようにと付け加えて・・・実はフィーは2人が安全なように楽屋へ行かせて自分だけでジャックを捜そうとしていたのだ。でもそんなことにまったく気がついていないマギーとミランダは不思議なことが起こったと喜んで大はしゃぎ。
ジャックを捜して、フィーは舞台のキャットウォークに来ていた。何か物音がする。そこに目をやると、鳥のようなものがいるではないか。恐る恐るフィーは話し掛けた。「もしジャックなら返事して。あたし魔法なんて使ってないよ。」泣きそうになりながらフィーは必死に訴えた。そして鳥にに近づこうとしたときに、体を滑らせてキャットウォークから落ちそうになった!その瞬間ネッドが現れて間一髪でフィーの体をおさえてくれたのだ。フィーは驚きのあまり、ネッドに抱きついた。
そしてネッドはさらにこう言った。「おじさんのせいなんだ。ごめんよ、フィー。」ネッドがジャックとクルーに落とし戸の仕掛けを教えたのでフィーを驚かせようと2人がふざけていただけだったのだ。落とし戸というのは、舞台の床に扉がついていて、スイッチを押すと爆発と共に床の扉が開いて下に落ちる仕掛けになっているものだ。さっきジャックがいなくなったのもこの舞台の仕掛けを使ったものだったのだ。ネッドがスイッチを押してもう一度フィーに見せてやった。爆発音がして、床の扉が開いた。下にはジャックとクルーの姿があった。彼らに向かってフィーは言った。「こういう冗談はやめてよね。首の骨折るところだったんだから。でも鳥のモンスターにはだまされないからね。」しかし2人は鳥のモンスターなんて知らないと言うではないか。フィーはまた冗談を言っているのだと思い呆れてその場を立ち去った。
楽屋へ行こうとしたフィー。すると目の前にさっきの鳥のモンスター・・・ドラゴンがいるではないか。ビックリして、フィーはマギーとミランダを捜した。
フィーはさっき起きたこと、ジャックはカエルに変身していなかったと言うことをマギーとミランダに話した。マギーはさっきのはドラゴンだと言う。でもどうしてドラゴンがいるのか、どこから来たのか2人はフィーを質問責めにした。混乱しながらフィーは呪文の本を見ていた。
すると、あることに気がついた。本の表紙に描かれていたドラゴンの絵がなかったのだ。さっき見たときは確かにあったドラゴン。きっとこの本から逃げ出したんだ・・・さっそくフィーはマギーとミランダを連れてドラゴンを探していた。みんなには内緒で今晩の舞台本番までにドラゴンを本の中に戻さなくては。3人は小道具室へと忍び込んだ。
部屋の奥にドラゴンがいた。マギーとミランダはビクビクしている。フィーもそうだ。ネットを手に取り、これでドラゴンを捕まえようと考えた。「おいでー。かわいいドラゴンちゃん・・・」フィーは震えながらドラゴンに近づいていった。ドラゴンはフィーの姿を見るなり牙をむき出し、今にも襲いかかりそな様子だ。一歩、また一歩フィーが踏み出すといきなりドラゴンが宙に舞った。3人はビックリしてしゃがんだ。どこへ飛んでいったのだろう。辺りを見回す3人。ミランダがドラゴンを見つけた。「あそこの隅っこっ!!」するとマギーが抱えていた呪文の本をフィーに渡した。「これ使えないかな。」フィーは本を開いた。さっきの呪文は・・・"Strangeling"のページを探し当てた。マギーとミランダはもう一度この呪文を唱えるようにフィーに言った。もしドラゴンがもう1匹増えたら?フィーは大きな賭にでた。一語一語ゆっくりとドラゴンの目を見ながら呪文を唱えた。ドラゴンのうなり声と同時に大きな音がした。なんとドラゴンは今よりももっと大きくなってしまったのだ。
一方楽屋ではメリンダおばさんとモリー、ネッドの3人が話をしていた。2人の娘がフィーに夢中だとか、そう言うたわいのない話。そしてメリンダが笑いながらこういった。「フィーがああいうものに興味持つなんて不思議だわねぇ。」そのことばを聞いて、モリーの表情が曇った。「まだ話してないの?」ネッドには何のことか分からなかった。
そこへジャックとクルーがやって来た。2人とも衣装の鎧と剣を身につけて遊んでいる。モリーは2人を楽屋から追い出した。表情は暗いままだった。
小道具室の中。フィーはマギーとミランダを部屋から逃がしてあげようとした。1・2・3の合図で2人を外へ出した。扉を閉めると、フィーはドラゴンと2人きりになった。ドラゴンの目はフィーを捕らえていた。フィーは呪文の本の表紙をドラゴンに向けた。
キャットウォークでジャックとクルーは騎士ごっこをしていた。そこへ助けを求めてマギーとミランダがやって来た。「フィーがドラゴンと一緒に用具室に閉じこめられてるの。早くフィーを助けてっ!!」しかしジャックもクルーもそんなことは全然信じていない。ジャックはふざけながらもマギーとミランダの言うとおり小道具室へと向かった。クルーはマギーとミランダの様子を見ておくようにとジャックは言った。
ドラゴンに向かっていろいろ話し掛けても全然効果なし。ドラゴンはフィーから逃げようとして天井を飛び回っている。そのときフィーは気づいた。ドラゴンは呪文の本を怖がっている。フィーを怖がっているのではなくて呪文の本から逃げようとしているのだ。しかしどうやってもドラゴンは捕まらない。それどころか、ドラゴンは壁に立て掛けていた大きな板をフィーに向かって倒した。驚いてフィーは小道具室から飛び出して舞台へと向かった。
そこでジャックがフィーの姿を見つけた。まだドラゴンのことを信じていないでふざけている様子だ。ジャックの持っている剣に何かがぶつかった。「危ない、ジャーックっ!!」ジャックは兜をかぶっていて何も見えていなようだ。フィーに向かって危ないじゃないかーなんて言っている。ジャックはフィーの仕業だと思っているのだ。「今の私じゃない・・・」フィーの言うことをバカにしていジャックは「それじゃドラゴンの仕業だなー。」なんて言いながら剣をかかげてポーズをとっている。「クルー、スポットライトリーズ」ジャックの合図で舞台にライトが当たった。ドラゴンは天井からジャックの姿を見ていた。そして襲いかかった。そしてジャックの後ろへとまわった。衣装を着ているジャックを本物の騎士だと思いこんで怖がっていたのだ。するとフィーはあることを思いついた。ボーリングをするように呪文の本を床に思いっきりすべらせた。本はシュッと勢いよく舞台の床をすべり、ドラゴンの背後へと一直線。そしてフィーは辺りが見えていないジャックに指示した。「右、右っ。もっと剣を振り回してー!!」ジャックはフィーに言われるままにドラゴンのいる方向へと剣を振った。ドラゴンは少しずつ後ずさりしている。とうとうフィーが投げた呪文の本の上にドラゴンの足が乗った。と、同時に金色の光とともにドラゴンは本の中に吸い込まれていった。
ジャックがドラゴンをやっつけたのだ。しかしジャックは「リアルな効果音だったなぁ。」とドラゴンと戦ったことを全く知らないのだ。マギーとミランダは大騒ぎ。そこへ今の音を聞いて大人たちが駆けつけた。マギーとミランダは大人たちにドラゴンと呪文のことを話したがやはり信じてはもらえなかった。しかし表紙にはちゃんとドラゴンの絵が戻っていた。フィーはメリンダおばさんにこの本のことを聞いた。本は昔フィーのお父さんがメリンダおばあさんにあげた物だったのだ。モリーはどうやらこの話をするのをいやがっているようだった。しかしメリンダおばあさんはフィーにこの本をプレゼントしてくれた。父親の姿を必死に捜しているフィーにとっては最高の贈り物だった。
フィーは暗い表情のモリーに声をかけた。「おばあちゃんの旧姓ってなんだっけ?」少しためらってモリーは答えた。「オーシャノンよ。」呪文の本の中に"オーシャノン"の名前がはっきりと記されていた・・・
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第9話 「永遠の少女レベッカ」
命というものを知って以来、人間は死を逃れたいと願うようになった。古代ギリシャの医者やアメリカ先住民のシャーマン。中世の理容師から現代の巨大な医療研究所までどうすれば長く生きられるのか大勢の人が考えていた。だけどこういう疑問がわかない?永遠に生きられるとしたらそれって幸せなことなの?
とある住宅。少女が両親と言い争っていた。「一目見るだけでいいの。この日をずっと待ってきたのよ。彼女がこの街に来るなんてこんなチャンスめったにないの。」少女は涙ながらに訴えたが、両親は「ルール違反よ。」と厳しく言い放った。少女は自分の部屋へ戻ると音楽をかける。モリー・フィリップスの"レベッカ"だ。曲を聴きながら少女は今日の新聞を見つめている。明日この街でモリー・フィリップスのライブがあるのだ。
ライブ会場。リハーサル2時間前。客席ではジャックのドライブごっこにクルーが付き合っていた。フィーはメール友だちのキャンディーにメールを書いていた。背後で物音がした。フィーが振り返るとそこには女の子が立っていた。「バンドを見に来たの?リハーサルは2時間後だよ。」フィーが彼女に向かって声をかけた。どうやらバンドを見に来たのではないようだ。「ママの知り合い?」フィーがそう聞くと彼女の顔が少し明るくなった。「想像通りだわ。あなたフィオナね。」フィーはびっくりした。だって音楽雑誌にも、モリーの家族のことまでは載っていないのだ。どこで知ったんだろう。「レコーディングの予定は?」少女がそうフィーに聞くと、そこへタイミング良くモリーがやってきた。モリーは少女を見るなり固まった。「レベッカ・・・」すぐにモリーは我に返って少女に謝った。「ごめんなさいね。昔の友人にとてもよく似ていたから。」少女はうつむいた顔を上げ口を開いた。「私はその娘です。」モリーはこみ上げてくる涙をこらえて少女に尋ねた。レベッカはこの町にいるか、電話しても構わないか。しかし少女が言うには彼女の母親、つまりレベッカは仕事でこの街に来ていて長くはいられないということ。そして仕事が抜けられないから連絡は出来ないということだ。モリーはすごくがっかりした。しかしフィーはそんなモリーに質問をあびせた。「レベッカってママが歌にした人?子供の頃の親友でしょ?あの急に姿を消した。」モリーはフィーを黙らせると少女にお願いした。「レベッカにどうしても会いたいの。」すると少女は分かったといい、公衆電話で連絡を取りにいった。フィーが携帯を貸そうとしたが断られた。
少女が電話をしにいっている間にモリーはさっきのフィーへの態度を謝った。そしてこう言った。「今まで私のことを見てきたならどうして電話1本もくれなかったのかしら?」フィーは何かを感じた。ラップトップをしまうと、公衆電話の所へ行った。やはり予感は当たった。彼女はもうそこにはいなかった。電話帳で調べたが、レベッカの家は載っていない。しかしさっきの会話から博物館で働いているのは分かった。ミルウォーキーの博物館をひとつずつ調べることにした。
ミルウォーキー博物館へやって来たモリーとフィー。博物館館長にレベッカのことを聞いてみた。館長はレベッカのことを「才能があるよ。将来が楽しみだ。」と言った。将来?モリーは気になって館長に聞いてみた。「レベッカは私と同じくらいの年ですよね。」館長は笑いながら「レベッカ・ハビーブのことかと思いましたよ。」と言った。モリーはさらに聞き返した。「ハビーブは旧姓。」「うちにはレベッカは彼女しかいませんよ。」なにかおかしい。フィーが言った。「親子で同じ名前?」そこでモリーの携帯がなった。アイリーンからだ。アイリーンはサウンドチェックのためにモリーにライブ会場へ戻ってくるように言った。しかたなくモリーはフィーを連れて帰ることにした。帰る直前に館長がフィーに言った。「レベッカは本当に才能があるんだよ。発掘物を再現するのがうまいんだよ。元の形を見て知っているかのようにね・・・」
フィーはモリーに頼まれてレベッカのことを調べようとしていた。ジャックとクルーと3人でレベッカの家へ向かった。住所はもう調べがついている。「電話案内で聞いたら、どうやら最近になって引っ越してきたみたい。」3人はようやくレベッカの家を見つけた。近づこうとしたその時、通りの曲がり角からレベッカ親子が歩いてきた。少女は母親に勝手に出歩いたことを叱られている様子だ。フィーはその様子を見て悟った。レベッカってミステリアスなだけじゃないかも。
「もしもしおばあちゃん?写真の方を下に向けて・・そう、それでスタートを押して。スタートって書かれてるボタン。」フィーはおばあちゃんに電話をしている。モリーとレベッカの少女時代の写真を送ってもらっていたのだ。メールに送られてきた写真を見てフィーは言葉がなかった。昼間レベッカの娘と名乗った少女は実はレベッカ本人だったのだ・・・
翌朝、ホテルの部屋で目を覚ましたジャック。クルーを起こそうとしたがクルーはもう部屋にはいなかった。代わりに留守番電話のメッセージが残されていた。フィーの探検に付き添って出かけたのだ。そこへモリーがやって来た。モリーは昨日の少女のことについて何か分かったかをジャックに尋ねた。ジャックは昨日見たものをそのままモリーに伝えた。レベッカと昨日の少女、それに父親らしき人。少女の母親を見たけど2人は全然似ていなかったこと。モリーはがっかりした様子で昔の話をし出した。モリーが今のフィーくらいの年の頃、レベッカと出会った日々のこと。モリーはレベッカに出会って初めて心が通じる話し相手ができたのだ。しかしレベッカは突然何も言わないまま消えたのだった。昔のことを思い出してモリーは泣き出した。「もう大切な人ばかり亡くして・・・これ以上失いたくないの。」
フィーはクルーと一緒に少女の家へやって来ていた。ゆっくりと玄関のチャイムを鳴らした。すると少女が出た。フィーたちの姿を見た瞬間、すぐに扉を閉めた。「レベッカ、開けて。」フィーは必死だ。クルーはフィーに向かって言った。「あれ、レベッカって母親の方だろ?」何にも分かってないクルーを無視してフィーは玄関をノックし続けた。扉が開いて少女が言った。「その人はダメ。」結局はフィーだけが家の中に入れてもらえた。
家の中は片づいて、インテリアはすべてダンボール箱に収められていた。どうやら引っ越しするようだ。フィーは少女に写真のプリントアウトした紙を見せた。少女は窓際を眺めながら答えた。「あなたのママは私のたった一人の友人よ。」フィーの思った通り少女がレベッカだったのだ。レベッカはフィーに1冊のスクラップブックを見せながら話した。これまでずっとモリーの音楽活動を見てきたこと。昔のハロウィンの思い出。フィーはレベッカに年をとらないのか尋ねた。レベッカは年をとらないんじゃなくて、年をとるのが人よりも時間がかかるのだ。レベッカが言うには1歳とるのに100年かかるらしく、彼女の家族はみんなそうらしい。だから今年で1327歳なのだ。本当のことを知ってフィーは驚いた。そしてレベッカに言った。「すごい。それじゃ何でも知ってるんだ。」しかしそれを聞いたレベッカは怒った。「何でも知ってるわ、友だちのいない寂しさもね!私はすごくなんかなりたくない。普通がいいのっ!」そしてレベッカはモリーに会いに行ったことを後悔してるとも言った。フィーは、きっとモリーは分かってくれるというがレベッカは真実をモリーに打ち明けるのをちゅうちょした。最後はフィーの説得でレベッカがにライブに来て、自分の口からモリーに本当のことを話すことになった。フィーからはモリーに何も言わないことを約束した。
リハーサルの直前、モリーがフィーの所へやって来た。今朝、クルーとどこへ行ってきたのか。レベッカに会えたのか。いろいろ質問したが、フィーはレベッカとの約束があるのでモリーにこれ以上は何も言えなかった。必死になってレベッカの居所を聞くモリーだがフィーは「今日5時に来て全部説明するって言ってた。」と言うしかなかった。モリーは昔レベッカが逃げ出したことを思い出し、今回も来ないと思いこんでいるのだった。
モリーがサウンドチェックを終えてフィーの側へ寄ってきた。フィーを見つめるモリー。フィーは時計を見た。5:30。フィーはモリーを連れてレベッカの家へ行くことにした。
ライブ会場へ戻ってきたモリー。アイリーンがもう一度サウンドチェックをモリーに頼んだ。モリーはとても元気なさそうに返事をした。さっきレベッカの家を訪ねたがもうすでに家族は去っていたのだ。
静かにステージに立つモリー。バンドにレベッカをリクエストした。力強くレベッカを歌うモリー。客席ではフィーが歌声を聴いていた。さらにその後ろでは、ドアの向こうに隠れてモリーの歌を聴いているレベッカがいたのだった。
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第10話 「強い念力をもつ少年」
想像力を使えばものの見方を変えられるということはどんな子供でも知っている。緑色の空や紫の木があっても全然構わないの。その昔、他の人たちのものの見方を変えてくれた人がいた。いろんな発明をしたレオナルドダビンチや万有引力を見つけたアイザック・ニュートンなんかがそう。おかげで世界が大きく変わった。でもそれ以上のことって出来るのかな。ものの見方だけじゃなくて現実そのものを変えることは出来るの?他の人の心を読んだり、思っただけで物を動かすことは出来るの?できるって言う人もいる。想像力を十分に働かせたら命さえ生み出せるらしいよ。
フィー、ジャック、クルーの3人は公園でバスケをして遊んでいた。しかし2対1ではプレーできないのでもうひとり誘うことにした。遠くから3人のことを見ている男の子がいた。フィーはその子に駆けよってバスケに入らないか聞いた。すると男の子は「僕、帰らなきゃ。」と一言いうとバックパックを持って去ろうとした。男の子の名前はジェームズ。フィーが「2人をやっつけよう。」と強引にバスケに誘った。ジャックは「僕と組もう、君とフィーは小さいから。」と言った。それを聞いたジェームズは急に怒り出して、「僕の方が上手い。」と言いながらジャックの手に持ってるボールを力ずくで奪おうとした。ビックリするフィーとクルーとジャック。結局フィーとジェームズが組むことになった。
ジャックのパスでボールはクルーへ。クルーがシュートするが失敗。そのボールを今度はフィーが奪う。そしてジェームズにパスしようとした。「ジェームズ!」フィーがジェームズに合図をするが、ジャックにガードされて前へ出ることが出来ない。そのうちフィーのドリブルするボールはクルーに奪われ、ジャックにパスされた。その時、ジェームズがジャックを突き飛ばしたのだ。コートに倒れるジャック。フィーとクルーが心配して走ってきた。そしてフィーはジェームズを責めた。「どうしたの?!急に。」ジェームズは責められるとさらに怒り、ボールを車道へと思いっきり投げた。フィーはため息をつきながらボールを拾いに行った。通りには街路樹が並んで植えられていて、路上車両が並んでいる。その間をぬってフィーはボールを取りに道路へ出た。そのときちょうど車が1台走ってきた。フィーは車に気づいていない。ジャックが叫んだ。「フィーっ!」
フィーはボールを追いかけて道路に出た・・・目の前にはもう車がすぐそこまで来ていた。間に合わない。そう思った瞬間。フィーの体は宙に舞って街路樹の根元へと落ちた。ジャックとクルーがフィーの体を起こし、そのままバスへ戻った。ボールはジェームズの足下へ転がってきた。「もうほっといてくれ!」そう怒鳴るとジェームズはどこかへ消えていった。
バスではフィーがベッドで休んでいた。クルーはゲームの相手をしてくれている。フィーはクルーに尋ねた。「あのときあたしの後ろに誰かいた?」クルーが「いなかった。」というと、フィーはつぶやいた。「あの子だ。」フィーはさっき車にひかれそうになった時、何かに引っ張られた感じがしたというのだ。それはジェームズがやったとフィーは信じているらしい。どっちみちクルーにはちんぷんかんぷんだった。そこへモリーとアイリーンはフィーの体を気遣って部屋へやって来た。ネッドも本を読むように勧めてくれたし、ジャックはアイスクリームを持ってくれた。怪我をしたフィーにみんなは至れり尽くせり。みんながフィーの部屋を出ようとしたとき、フィーはジャックを引き留めた。そして一つお願いをした。ジェームズと話がしたいからツアーバスに連れてきてというのだ。ジャックは突き飛ばされたこともあって、かなり怒っている様子。フィーにジェームズと会うのをやめるように言うが、フィーはどうしても気になるというのだ。しかたなくジャックはフィーのお願いを聞くことにした。
ジャックは公園に戻ってきた。さっきジェームズを見つけたすべり台の下で赤いバッグパックを見つけた。ジェームズのバッグのようだ。その横に1冊のノートがあった。ジャックは中を見てみた。ノートはカートゥーンに出てくるような巨人の絵や、悪者のキャラクターの絵が描かれていた。突然前方からジェームズが現れ、「返せっ!」と怒鳴りながらノートを取り上げた。謝るジャックに対して「あっち行け。帰れ。」としか言わないのだった。絵のことをジャックが誉めてもそれは同じだった。ジャックは諦めて帰ろうとするが、そこで思い直してフィーの話をジェームズにした。「妹が話があるって。お前のことが気になるんだって。」するとジェームズは「あの子は何も分かってない。」と冷たくあしらった。しかしジャックはツアーバスの場所を教えると握手しようと右手を出した。同時に当たりが暗くなった。風が吹いてきて急に辺りが暗くなった。ジェームズはジャックに向かって怒鳴った。「はやく帰れ!」そしてまたもジャックを突き飛ばした。ジャックはとても怒って立ち上がろうとした。するとなんと・・・ジャックのスニーカーのひもが両足しばられていたのだ。ジャックはそのまま逃げるようにバスへと戻った。
フィーがチャットするのをモリーが横で見ている。そこへジャックが戻ってきた。とても怒った様子だ。「来るって?」フィーがそう聞くとさらに怒って「お前のことを心配してるんだよ。もう関わるなよ。」そう言うとひじの傷を見せた。モリーがどうしたのと聞くと公園で起こったことをフィーとモリーに話した。モリーはひどく心配して、これ以上怪我をすると危ないからといってジェームズにこれ以上近づくことを禁止した。フィーは「悪い子じゃないよ。」とフォローするが、モリーもジャックも反対した。
モリーがフィーの部屋から出ると、フィーはジャックにさっきの公園でのことを詳しく聞いた。スニーカーのひもが両足しばられてたけれど、ジェームズが実際ひもを結ぶところをジャックは見ていない。フィーはいつもの勘がひらめいた。ジェームズは何か不思議な力を持っているのだ。ジャックの話を聞いて確信した。ジャックは「お前の好きな怪奇現象とは関係ない。この傷もすぐ消えて一件落着。」とフィーにこれ以上深入りするのをやめるように言った。でもフィーは「分かった。秘密ね。」と言いながらチャット仲間に『サイコキネシス』について質問していた。
フィーはまだサイコキネシスについてネットで調べていた。するとバスのドアをコツコツたたく音がした。ジェームズが来てくれたのだ。フィーは窓からジェームズを中へ入れた。ジェームズは昼間フィーに怪我をさせたことを謝った。しかしフィーはジェームズに助けられたと思っているのだ。フィーはジェームズにもっと話を聞こうとするが、ジェームズは「あいつに気づかれる。はやく行かなきゃ。」といって焦っていた。フィーの質問にも答えられないくらいにビクビクして何かを恐れているようだった。フィーは早口でジェームズにサイコキネシスについて説明した。強く念じただけで物を動かせる力のこと、サイコキネシスの力を当の本人は気づいていないこと。しかしジェームズは"あいつ"の仕業だと言うばかり。小さい頃に空想で作った怪物が怒っていると信じているのだ。フィーはジェームズに助けてあげると言うけれど、フィーがしつこくなればなるほど、嫌がり、しまいにはフィーを床に突き飛ばしてバスから出て行ってしまった。フィーは左腕にかけた三角巾をはずし腕を見た。痛みが走る。誰かに強く掴まれたような手形がくっきりと残っていた。その形に自分の手を重ねてみた。その手形はフィーのよりもひと周りもふた周りも大きかったのだ・・・
モリーが帰ってきた。フィーの部屋へはいると、フィーはもうすでにいなかった。フィーの机の周囲にはプリントアウトされた用紙がいっぱいあった。ジェームズのことを調べて、"タルパ"を調べだしたのだ。タルパとは意識の集中によって生まれる生き物。物体が独りでに動く現象の解釈の一つでポルターガイストやサイコキネシスと同様のものだ。外出禁止をやぶったことでモリーはかんかんに怒っている。これからラジオ出演が控えているのにフィーを探しに行こうとする始末。ジャックの説得で、フィー探しはジャックがすることになった。
公園ではフィーがジェームズの姿を探していた。いつものすべり台にジェームズはいた。さっき疑ったことをフィーは謝り、腕のあざをジェームズに見せた。そしてタルパの話をした。するとジェームズがようやく心を開いて"あいつ"について教えてくれたのだ。小さい頃ジェームズは今のおばあちゃんに引き取られるまで里親を何度も変わり、その寂しさからあの怪物を作り上げたのだ。初めの頃は優しかったのがだんだん凶暴になっていたのだ。ジェームズはそんなタルパにとても恐怖を感じていた。フィーはどうにかしてジェームズの力になりたいと思った。強く念じてコントロールすればタルパを操れることや、永久に消せること、フィーはネットで調べたことを全部教えた。しかしタルパを怖がってジェームズは無理だというばかり。そのときフィーの背後のブランコがひとりでに動き出した。辺りに風が強く吹き荒れた。タルパに今の会話を聞かれたのだ。ジェームズはフィーに強く言った。「早く逃げて!」しかし遅かった。ブランコを吊っているチェーンが切れ、フィーの足に巻き付いた。そのままフィーは地面に引きずられた。風が強すぎて目を開けることさえ出来ない。フィーは必死になって叫んだ。「私は逃げないから、頑張って、ジェームズ!!」フィーの真上にある大木がミシミシ音をたてている。危ない!ジャックが遠くからフィーの姿を発見した。ジャックはフィーの名前を大声で叫びながらフィーとジェームズの所へ行こうとした。そのときとうとう木が折れてフィーをめがけて落下した・・・ところが木は空中で一瞬止まり、離れた場所へ落ちた。ジェームズのコントロールが利いたのだ。タルパを操ることが出来たのだ。
辺りは元の静けさを取り戻し、いつもと変わらない公園だった。ジェームズはフィーとジャックに怪我をさせたことを何度も謝った。フィーは嬉しそうに言った。「今のは君の力でしょ?」ジェームズが微笑んで小さくうなずいた。そして自分の書いたタルパの絵を足で踏みつけると、公園を後にした。
バスでモリーとフィー、ジャックの3人がギターを弾きながら新曲を演奏していた。そこへジェームズが訪ねてきた。前よりもずと元気そうだった。今日はジャックに用があってツアーバスへやって来たのだ。ジェームズはこの間のバスケットボールをジャックに返した。するとジャックはプレーしようとジェームズを誘った。2人もようやく仲直りをしたのだった。
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第11話 「タイムトンネル脱出」
「今このときがサイコー!」っていうことばはよく聞くけれど、今以外の時間ってあるのかな?過去を思い出したり未来を想像することは出来ても私たちが生きてるのは今この時しかないよね?でも過去に戻って何かをやり直せたらいいなってみんな思うでしょ?いつかそれが可能になるのかも。今のところ分かってるのはブラックホールの重力がとてつもなく大きくって時間や空間まで、曲げてしまうっていうこと。だけどどうしても時間を戻す方法が本当に見つかったとしても・・・そんなこと、していの?
ローディが地元の少年たちとソフトボールの試合をしていた。ジャックはピッチャーだ。フィーはゲームには加わらず、ひとりでカメラを片手にみんなのプレーを見ているだけだ。側に置いてあるラジオから"In
The Darkness Is The Light"が流れた。モリーは大はしゃぎだ。フィーは機嫌の悪いジャックにカメラを向けた。するとジャックはつばを吐き、ボールを投げた。バッターの少年に見事に打たれた。ジャックは敵を油断させてるのだとクルーは言ってジャックのことをからかった。そしてフィーをゲームに誘った。ジャックの顔を見るフィー。どうやらかなり機嫌が悪そうだ。フィーと目も合わさない。そしてクルーにこう答えた。「私、野球嫌いだから。」
ジャックが3球目を投げる。アウトだ。ジャックも少しずつ調子が出てきたようだ。ふとホームを見ると、誰もいない。2アウトのはずなのに・・・敵は気づいてホームにダッシュした。ジャックも走った。判定は・・・セーフ。モリーのジャッジにジャックは不満をぶちまけた。「リプレイ見せよっか?」フィーが言った。さっきからずっとカメラを回し続けていたのだ。
(画面は、みんながいるグラウンドから、そのずっとむこう側の住宅街のある1軒のお家の2階の窓へと移った。)誰かがカーテン開いてグラウンドに向いて、なにかを叫んでいる。よく見るとそれはフィーだ・・・一体どういうことなんだろう。今グラウンドでジャックにリプレイを見せてるはずのフィーが、どうしてあんな遠くの住宅に?
グラウンドではフィーの録画したテープをみんなで見ていた。やはり結果はアウト。ジャックはすごく気に入らないようだ。モリーや他のみんなに当たり散らしている。今度はローディが攻撃だ。ジャックがホームに立った。そこでモリーがジャックに静かに話し掛けた。「フィーを誘ってあげて。本当はやりたいのよ。」でもジャックは「あいつはやりたくないんだよ。なぜならど下手だから。」といって冷たくあしらった。2人が話している間にボールを投げられ、1球目はアウト。少しムッとするジャック。2球目。ジャックは思いっきりバットを振ると、ボールはキャッチャーの頭上を軽々と通り越し、住宅街に並んでいる、とある家の庭に入ってしまった。「マッドマックスの庭に入っちゃったよ。」相手チームの少年が言った。これまでマッドマックスの庭に入ったボールは二度と戻ってきたことがない。ボールは消えるのだ。地元の子がそんな話をしてもジャックは相手にせずボールを取りに行った。
その間、ゲームは中断。クルーはベンチに座るフィーを見つけると静かに横に座った。「ジャックと何かあった?」フィーの元気のない様子をさっして心配してくれたのだ。だけどフィーは「いつものじゃれあいだよ。」とごまかして録画したビデオの話題で話をそらした。フィーの持ち歩いているビデオはかなりの高性能で"サードの子のそばかすも写るほど"らしい。それを聞いたクルーはさっきのジャックのファールボールが写ってないかフィーに見せてもらった。すると、マッドマックスの家の庭に確かにジャックの打ったボールが入っていた。しかしよく見るとボールが途中から消えている。ズームして見る。確かにマッドマックスの家の庭に入ったボールは空中でパッと見えなくなっていた。フィーとクルーは驚いた。
ジャックはマッドマックスの玄関の扉をノックした。マッドマックスと呼ばれる男が出てきた。ジャックはボールが庭に入ったので取らせて欲しいとていねいにことわったが、マッドマックスは「ボールなんか入っとらん。」とジャックにどなっていきなり扉を閉めた。なすすべもなく、ジャックはグラウンドの方へ歩いた。その姿をマッドマックスは窓からそっと見ていた。
フィーとクルーがジャックを追ってマッドマックスの家へ向かっていた。その途中でジャックと会う。クルーと一緒に歩いてくるフィーの姿を見てジャックが言った。「あれ?戻るの早すぎないか?」一体どういう意味だろう。フィーは少し不思議に思った。「ずっとここにいるよ。」フィーがそう答えるので、ジャックも話のズレを感じたが、そんなに気にしなかった。クルーがさっきのボールの行方をジャックに伝えた。しかしジャックの反応は決まっている。ジャックは超常現象を絶対に信じないからだ。「一体どうしたんだよ。さっきはあんなかわいいこと言ってたのに。」そう一言フィーにいうと、ジャックはグラウンドへ戻った。さっきはかわいいこと言ってた?ジャックの方こそどうしたんだろう?フィーとクルーにもジャックの言っている事がよく分からなかった。クルーは2人で話をした方が良いんじゃないかとフィーに言ってみるが、フィーはボールの謎を解決することが先だというとマッドマックスの家へと向かった。
クルーが手を伸ばして庭の裏戸を開けて2人はこっそり中へ侵入した。さっき録画したテープを見ながらボールが消えた辺りを探した。庭においてあったベンチ付きテーブルを寄せるとその上に2人は上った。フィーはクルーを油断させて帽子を奪った。そして空中めがけて思いっきり帽子を投げた!すると帽子はヒュッと姿を消した。帽子を取ろうとしたクルーも消えた。クルーを追ってフィーも消えてしまった!
どこかへ出てきたようだ。2人は辺りを見回した。見あたるものといったら無数の野球ボール。犬1匹。犬は首輪に名札をつけていた。ロケットという名前らしい。全部宙に浮いている。フィーとクルー以外は固まって全く動く気配がない。辺りは水色の空間が続いていた。その中からクルーがジャックのボールを見つけた。「さわっちゃダメーーーっっ!!」時空がゆがんで、その反動でクルーまで固まってしまった。フィーはひとりはじかれて元の世界に戻ってしまった。着いた先、そこはマッドマックスの家の2回のベッドルームだった。部屋のラジオからモリーの歌が流れていた。時刻は2時。「なんで2時なの・・・」静かな住宅街、グラウンドで野球をする声が聞こえた。フィーは窓から外をのぞいた。グラウンドではなんとカメラを持った自分がいる・・・そしてそのビデオのリプレイを見るためにみんなが群がっているではないか。一体どうなってるんだろう???
フィーはベッドにのって部屋の天井を叩いた。次は窓を開けようとした。出口がない。その物音を聞きつけてマッドマックスが2階へ上がってきた。そしてフィーを見つけるとどなった。「勝手にあがりおって!ここは遊び場じゃないんだぞ!」フィーは逃げるように1回へ駆け下りた。玄関を開けようとしたがいくつもカギがかかっていて開けられない。「ここから出してっ!早く友だちを助けなきゃ。」そんなことばをマッドマックスは無視して警察へ電話をかけた。「友だちが変なところへ入って出られないの。ボールやフリスビーがあって・・・」必死に説明しているのに、マッドマックスはまた近所の悪ガキが自分をからかっているのだと思いこんで話を聞こうとしてくれない。「それに犬もいた!」それを聞いたマッドマックスは電話をかけていた手を止めた。「どんな犬だ?」「ボーダーコリーで、名札をしてた。」マッドマックスが興奮して言った。「ロケットか?!」さっきタイムトンネルの中で見た犬はマッドマックスの飼い犬だったのだ。彼は昔、犬が消えた瞬間を目撃したのだが、犬が消えたなんて誰も信じてくれなくて頭がおかしくなったと思われていたのだ。あだ名の「マッドマックス」もそういう由来があってのことだった。彼はフィーに犬を助けるように言った。しかしフィーはマッドマックスの犬よりもクルーを助けなくちゃいけないのだ。でもマッドマックスの話では犬が行方不明になってもう50年もたつのだ。だからフィーがクルーを助けたいのと同様に彼も犬を助けたいのだ。でも家中のドアが開かない。力いっぱい引っ張ってもビクともしない。急がないと間に合わない。またクルーがタイムトンネルに入る前にとめなくちゃいけない。フィーは慌てて家から出ようと必死になった。マッドマックスがドアを開けようとしても全然ダメ。そこで彼が言った。「お前さんがロケットを助ける運命なんだ。お前さんとクリフがタイムトンネルに入らないと、今こうしてお前さんがトンネルから出てくることは不可能だ。これで筋が通ってる。」
その時、ドアをノックする音が聞こえた。ジャックだ。ボールを取りにやってきたのだ。ドアをこじ開けてマッドマックスは言った。「ボールなんぞはいっとらん。」ぶっきらぼうに言うとドアをバタンと閉めた。そしてフィーにロケットを助けることを半ば強引に約束させた。フィーはタイムトンネルに入る前にジャックと話がしたいと言った。「もしかするとこれが最後かも。」戻ってくる事を約束して、マッドマックスの家から出るとジャックの後を追った。
前を歩くジャックを引き留めた。フィーは震える声を抑えながら気持ちを素直にジャックに伝えようとした。「うまくは説明できないんだけど・・・」言葉に詰まる。「とにかく、あたし時々キレたりするし、いい妹じゃないけど、それだけがあたしじゃないの。」ジャックが心配そうにフィーを見つめた。「だめだ・・・やっぱりちゃんと言えない。きっとお兄ちゃんならうまく言えるんだろうね。だってお兄ちゃんだもん。」涙声で言うと最後にぎゅっと強くジャックに抱きついてつぶやいた。「ジャック大好き。」ジャックはやさしくフィーを受け止めると、一緒に野球をしようと誘ってくれた。「へたなのは分かってる。教えるから。」ジャックがそう言うと、フィーの緊張は一瞬にして消え去った。「あたし、先にやることがあるからまた後で。」フィーはジャックにゆっくりと伝えた。ジャックが小さくうなずいて微笑んだ。フィーもジャックに微笑み返した。さっき降り始めた小雨がいつの間にか大降りになって辺りをぬらしていた。ジャックは帽子を目深にかぶるとグラウンドへ戻っていった。
フィーは再び、マッドマックスの家へ戻った。これからフィーはタイムトンネルへ入るクルーと自分を助けないといけないのだ。だけどどうやって助けるの?タイムトンネルの入り口はすごく小さくて、クルーと自分が入ったらその直ぐ後に続いて入らなくてはいけない。フィーはマッドマックスと一緒に頭をひねって、救出法を考えていた。ふと窓の外を見ると、クルーとフィーがもう庭においてあるテーブルの上に上っているではないか。急がなくちゃ。ふと足下を見ると、バットとボールが。そうだ、これを使ってトンネルを崩せばいいんだ。フィーとマッドマックスは急いで庭へ向かった。すでにクルー達はタイムトンネルへと入っていた。
フィーとマッドマックスはテーブルの上に上がった。最初はフィーが。続いてマッドマックスがタイムトンネルへ飛び込んだ。
2人が入った瞬間、クルーが固まって、もう一人のフィーがトンネルから出ていった。急がないとクルーが助からない。しかしマッドマックスは犬を見つけると大喜びで話し掛けていた。今にも犬に抱きつきそうだ。そんなマッドマックスを引っ張ってフィーは彼にバットを持たせた。しかし「関節炎がひどくてバットが持てないんだよ。」と言うと、フィーにそのバットを握らせた。今さらバットを持てない事を言うなんて!フィーは焦った。自分は野球が下手で、バットを振ったってボールなんか当たりっこない。でもマッドマックスが出来ないならフィーがやるしかない。決心して思い切りバットを振った!ボールは見事ヒット。すごい勢いで飛んでいき、タイムトンネルに穴を開けた。この調子だ。フィーは次々とバットを振り、そこらに浮かんで固まっているボールを片っ端から飛ばした。
フィーはクルーとタイムトンネルを脱出した。「助かったよ。もう二度と会えないかと思った。」そう言うとフィーはクルーに抱きついた。マッドマックスの姿が見あたらない。フィーが大声で名前を呼んだその瞬間、犬と一緒にトンネルから出てきた。マッドマックスは飼い犬との50年ぶりの再会をとても喜んでいた。
ジャックがモリーや、一緒に野球をしていた子たちと共にボールを探してマッドマックスの家の庭へとやって来た。ちょうどその時にタイムトンネルからたくさんのボールが出てきてみんなの頭上へと降ってきた。モリーは「一体どうなっているの?」と不思議そうにフィーに尋ねた。クルーの肩をポンと軽く叩くと「説明は頼んだよ。私はこれから野球やるから。」と言うと、ジャックについて行った。
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第12話 「記憶の街の迷い子」
"昏睡"っていうのは深い無意識状態のこと。周りで何が起きてるかも分からないと言われている。大抵は2,3日で意識が戻るけど、ごくたまに何年も続くことがあるんだって。でもその間も脳内の電波は活動しているの。ということはもしかして昏睡状態にある人が何かを考えているの?昏睡状態の人が周りの物を見たり音を聞いたりしたっていう記録もある。どうして?想像も出来ない方法で意識を保っているの?ベッドに寝てることは分かってるの?他の場所にいると思ってるのかな?堕としたら・・・どこ?
とある病院。院内のパソコンをネットワーク化するために電気工の男性が配線するのに四苦八苦していた。電気ケーブルをグイッと引っ張る。すると他のケーブルと接触して火花を散らした。
フィーは自分のベッドで寝ていたモリーを起こした。そこへフィーのパソコンにメールが1通届く。アドレスが文字化けしている。どうやらスパムメールのようだ。フィーはそのおかしなメールを開いた。そこにはこんな文字があった。「暗い」「時間」「エフィ」「道」「迷子」。フィーはすぐに返事を書いた。「あなたは誰?大丈夫?」モリーはフィーに送られてきたメールを見て不気味に思っていた。もしかしたら変質者かもしれない。それでもフィーは誰かが困ってるのかもというとモリーにお願いしてコンタクトを取る許可を得た。モリーはフィーにやめるように言ったが、自分も側に付いてるときだけ、この変なメールの送り主とコンタクトを取ることを許した。
フィーの送ったメールはケーブルを通して、どこか別の世界へとつながっているようだ。その世界は辺りは薄暗くて、小さな女の子以外に誰もいない。女の子はフィーの送ったメールを聞いていた。フィーの声に彼女が返事をするとその言葉は、不思議なことにメールになってフィーのパソコンへと配信された。
また返事が来た。今度も同じように単語だけが並べられている。「暗い、夜?、カミラ、怖い、助けて。」フィーが返事を送る。カミラ。これが相手の名前らしい。女の子だ。「どこにいるの?何か困ってるの?」するとアッという間に返事が届いた。そこには「お家に帰りたい。」と一言書かれていた。返事が早すぎる。フィーは相手がオンラインだと確信すると、メッセに移ってコンタクトをとり続けた。
「家はどこ?」
「分からない。寒い。」
周りに何があるのかを聞いたらどうかとモリーが提案した。
どこにいるか聞いても分からない。近くには誰もない様子。フィーは困り果てた。「公園とか学校とか、何かない?」するとカミラから返事が来た。「お店がある。でもお店の名前が思い出せないの。」モリーは疑った。パソコンを持って街をさまようはずがない。迷子なんかじゃないんでは?そうフィーに言うが、フィーは構わずメッセージを書き続けた。カミラはどうやら『プリンセス映画館』の前にたどり着いたようだ。彼女の話ではこの映画館には以前からよく来ていて、今、そこで大好きだった『思い出のスノーリバー』という映画が上映されいるそうだ。しばらくするとカミラがつぶやいた。「気分が悪いわ。」その時カミラはオフラインになってしまった。
モリーが何か思いだしたようだ。「思い出のスノーリバーならあなたが1,2才の頃に家族4人で見に行ったわ。」フィーはさっそく何かを調べ始めた。『プリンセス映画館』を検索している。結果は2件。ひとつはシアトルにある。そしてもうひとつはサウスカロライナのセントジョージ。26号ハイウェイの側だ。つまり、フィーたちが今現在いるところのすぐ近くだ。モリーは嫌な予感がした。フィーがそこへ行こうとしているのだ。カミラが本当に迷っているのかどうかも分からないのに、フィーをそこへ行かせるわけにはいかない。モリーはフィーにもう一度カミラに質問するようにいった。彼女の話がどこまで本当なのか。カミラからの返事。彼女の住所はサマーセット1331 サマーセットドライブ。そうカミラが言い終わると、力つきてその場に倒れてしまった。
フィーはオンライン地図でサマーセットドライブという通りを探した。なんと本当に存在したのだ。モリーにそこへ行くようにお願いしたが、これからバスを修理しにチャールストンへ行かなくちゃいけないのだ。断られてもフィーはこりずにお願いした。しばらくしてモリーはとうとうフィーに負けて、サマーセットへと行くことにした。
サマーセットドライブ1331へとやって来たフィーとモリー。ベルを鳴らす。中から女性が出てきた。フィーは自己紹介を簡単にすると、ネットで起きたことを早口でしゃべり始めた。相手はその様子に引いている。モリーがフィーを注意すると、フィーは女性に尋ねた。「ご存じですか?カミラって。」女性は少し表情を変えた。家の奥からもう一人女性が出てきてこういった。「悪趣味な冗談ね。」フィーはカミラって誰か、彼女と会えるか、いろいろ質問するが、家主の女性は不機嫌そうに断った。そしてこれ以上は何も言わずに家の中へ戻ってしまった。もう一人の女性がつぶやいた。「誰もカミラには会えないわ。14年前から昏睡状態なの。」モリーはため息をついた。
再びどこかの病院内。そこの一室でカミラは機械につながれたまま昏睡状態に陥っていた。彼女の周りには写真や花、ぬいぐるみなどいっぱい飾られていた。しかしもうひとつの世界では小さな少女のカミラが映画館の前で倒れたままになっている。
フィーはカミラの母親と叔母に連れられてカミラが入院している病院へと案内された。確かにカミラはベッドで寝ている。体中が機械につながれている。モリーは気の毒そうにカミラを見ていた。フィーは病室にあるコンセントから、機械の配線がむき出しになっているのを見つけた。「これ大丈夫ですか?」側にいた医者に尋ねると、彼は電話で電気工を呼んだ。病院はシステムをネットにつなぐ工事をしていることを医者がフィーに説明する。電気工がやって来て、絡まってショートしそうな配線をほどこうとした。フィーは何かを思いついた。電気工の男性にワイヤーをそのままにするように頼んだ。もしかしたら脳波計のワイヤーがインターネットのケーブルと接触したおかげでカミラは脳から直接メッセージを送ることが出来たのかも知れない。。フィーはカミラの母親にワイヤーを切らないように説得した。カミラが目を覚ますことを願ってもう14年も経った。その間、毎日機能回復トレーニングをしたり、カミラに話し掛けたりと必死だったのだ。こんなチャンスは滅多にない。フィーの言うことに納得して、ワイヤーをそのままにするように病院側に頼んだ。医者は呆れた様子。カミラはもう助からないと思っているのだった。
「私も話してみたい。」カミラの母親はフィーのパソコンを使ってカミラにメッセージを送った。カミラは母親の声を聞いた。顔がパッと明るくなった。「ママ?」カミラの母親は続けて質問をした。カミラの好きな隠れ場所や、好きな食べ物。一番好きな野球選手の問いにカミラは「パパ。」と答えた。確かに娘のカミラだ。母親はキーを打つ手を振るわせながら涙を流した。そしてベッドで寝ているカミラをそっと抱きしめた。
カミラの叔母はカミラが目を覚ますのか不安だった。フィーは彼女が意識の中で迷子になって家に帰れなくなっていることを説明した。カミラの母親と叔母は30年以上もこの土地で暮らしている。カミラはここで生まれ育った。だからこの街しか知らないのだ。もし、家にたどり着くことが出来たら、カミラの意識が戻るかも・・・
ジャックとクルーはプリンセス映画館の前に立っていた。携帯片手に、ウロウロしている。フィーはこの2人に道案内をしてもらうことにしたのだ。モリーがジャックに電話をかけている。「映画館を背にして立って。前に何が見える?」「噴水があるよ。」ジャックたちが実際に映画館からカミラの家までの道のりを歩いて、モリーに電話で知らせる。それを聞きながら、オンラインでカミラにメッセージを送って意識の中で迷子になっている彼女を助けようとしているのだ。出だしは順調だ。
ジャックに代わって今度はクルーが道案内。「花屋の前を通り過ぎたら、階段を上って・・・」フィーはカミラにメッセージを書く。「階段を上って・・・すぐ見つかるから。」フィーの言葉を聞いたカミラは戸惑った。階段なんてない。目の前に建物が立ちはだかっているのだ。ジャックとクルーは曲がり道を間違ったのかと思った。しかし地図を見て確認しても間違ってない。カミラは家にたどり着けないのではないかと心配になり、その場にしゃがみ込んでしまった。フィーはカミラの叔母に助けを求めた。
おそらくカミラが今迷子になっている街は、彼女が昏睡状態になる前、つまり14年前の町並みで、だからカミラがジャックたちの道案内通りに進めないのだとフィーは考えたのだ。カミラの叔母は記憶をたどって14年前の町の様子をじっくり思い出した。彼女の言うとおりにフィーは昔からある道でカミラを誘導した。だけどカミラはすっかり元気をなくして、その場から動こうとしない。すると叔母が直接メッセージを送信した。「みんなあなたを待ってるわ。家へ帰るのよ。」そう励まされて、カミラは立ち上がって歩き続けた。「ここから公園が見える?」フィーが聞いた。だけどこの辺りはだいぶ町並みは変化していて、公園なんて全く見えない。フィーが新しい地図で教会を見つけた。教会の塔なら見えるかも。カミラは高くそびえ立つ教会の塔を見つけると、その方向へ歩き出した。しかし、歩き続けた足は限界に達していた。あと1歩というところでカミラは再び動かなくなってしまった。
ジャックとクルーはとうとうカミラの家にたどり着いた。サマーセットドライブ1331。しかしカミラはフィーの呼びかけに反応しない。モリーとカミラの叔母は緊張してパソコンの画面を見つめた。もう一度名前を呼んだ。「カミラ?」返事がない。まさか・・・そう思った瞬間、カミラが教会の角を曲がって歩いてきたのだ。そして前方に自分の家を見つけたのだ。「帰った。」カミラからのメッセージを見たフィーやカミラの叔母は大声で喜んだ。
カミラは玄関に向かって駆け足で近づいた。そして扉を開けた。眩しいくらいの光が射して、カミラはその中に吸い込まれていった。次の瞬間、病院で寝ていたカミラが奇跡的に意識を取り戻したのだ。カミラの母親は涙を流しながら彼女を抱きしめた。その様子をフィーとモリーはそっと見守っていた。
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第13話 「キツネ火の怪」
キツネ火は報告例がとても多い超常現象のひとつだね。世界中で目撃されてるの。中でも有名なのがテキサス州マーファ。この小さな町の観光の目玉にもなってるマーファのキツネ火は誰かに操られているみたいにふわふわ浮かんだり、飛んだりするんだって。正体は何なのかな?地元の人に言わせると静電気だろうとか近くの山を通る車のヘッドライトが反射してるだってことらしいけど、先住民に聞くと全く違う答えが返ってくる。流れ星とか幽霊とか。こんな噂まであるよ。キツネ火の正体は悪霊だって。
今日のモリーは「マーファのキツネ火祭り」にメインゲストとして招かれていた。一方子供たちはさっそくキツネ火見学に精を出していた。
暗い森の中をぐんぐんと進んでいくフィー、ジャック、クルーの3人。クルーが懐中電灯で遠くを指し言った。「今の見た?」早速キツネ火を見つけたのか、大興奮で走っていく。フィーもクルーの後を追った。その2人のはしゃぎ様を見てジャックは呆れていた。
キツネ火に興味のないジャックは、ひとりで森の中をウロウロしていた。するとどこからか自分の名前を呼んでいるささやき声が聞こえてきた。耳を澄ますジャック。一歩、そしてまた一歩と、ジャックはその声を辿ってフィーがいる方向とは反対の方へと歩いた。辺りをライトで照らしても誰もいない。しかし声は聞こえるのだ。笑い声もする。するとずっと奥の方で光が動いているのが見えたのだ。光は上下に素早く動き、キラキラと瞬いている。まるでピーターパンに出てくるティンカーベルのようだ。ジャックはその光に見とれてもっともっと森の奥へと入っていった。
キツネ火とアルマジロの目を見間違えて戻ってきたフィーとクルー。しかしその場所にはジャックは居なかった。大きな声で呼んでも返事はなかった。その時辺りでフラッシュが光ったようにパッと明るくなった。驚いてフィーとクルーがそこへ向かった。
正面からジャックが走って戻ってきた。とてもテンションが高い。奇声を発しながらスキップしている。「何が起こったの?」フィーが聞くとジャックは「我が心が喜びに燃えたせいだろう。」と訳の分からないことを言っている。しまいには、「こうすればするほど鼓動が早まっていくー。」と言いながらずっと走っている。何かがおかしいと思うフィーだった。
翌朝、クルーがフィーのパソコンを使ってハングマンを楽しんでいた。答えが難しいとフィーに文句を言うクルー。そこでジャックが起きてきた。昨日と同様ご機嫌だ。モリーが朝食のベーグルを手渡した。一口食べると、とろけそうな表情を浮かべてこう言った。「うぅ〜ん・・なんって素ん晴らしい、いいお味だ。」あまりのテンションの高さにモリーは唖然としている。「昨日はよっぽど楽しかったようね。」モリーがそう言うとクルーが答えた。「ジャックはね。展望台までスキップなんかしてさ。」スキップ?!あのジャックがスキップ?明らかにおかしい。「そう。なのに、疲れもしなかった・・・」フィーがつぶやいた。
ジャックはこのハイテンションのままカーニバル会場にいた。背中がかゆいけど、肘をうまく曲げることができなくて奇妙な動きをしていた。柱を1本見つけたジャックは、そこに背中を当ててかゆみと格闘していた。そこへフィーとクルーがやって来た。「う〜ん。最初からこうしていれば良かったのだ。快感♪」そう言いながら柱で背中をかいているジャックを見てクルーも真似していた。
♪♪沼にキツネ火浮かび 旅人誘い出す いたずら好きの輝く光に 目がくらみ 旅人は足をすべらせ 沼の中
おかしな歌を歌うジャック。フィーは疑いの目で見つめた。そこへモリーがやって来た。「さあみんな、出発よ。」フィーの肩を抱きながら歩いていく。フィーは振り替えってジャックを見た。ジャックもフィーの目を見た。その目は明らかにジャックじゃない誰かだった。
バスの中でフィーは早速調べた。さっきジャックが歌っていた歌詞の中のキツネ火・・・この言葉をキーワードに検索する。そこへジャックが入ってきた。「不思議な鏡だな。」パソコンをのぞき込もうとした瞬間、フィーは画面を閉じた。「なんだ?俺は見ちゃいかんのか?」「覗いたときに何が写るかによるよ。」「決まってるだろ?お前の兄、ジャックさぁ。」相変わらずのテンションでフィーに寄ってきた。フィーは問いつめた。「あんた、何なのっ?!悪霊か何か?」とうとう正体を現した。「いい精霊かも。妖精かも知れないよ♪」奴がおどけて見せる度に、フィーの怒りは増した。ジャックに化けたそいつは喋り続けた。「人間というものはせっかちで笑う暇もない。ゆっくりと人生を楽しむ余裕さえない。」フィーは叫んだ。「あんた一体誰!?」「鏡に聞いてみな。」そう言われて、フィーはそっとラップトップの画面を開いた。そこにはWill'O
the Wispの文字が。フィーは恐怖に震えながら部屋を飛び出した。
フィーはモリーに訴えた。「あれはジャックじゃないの!ホントなのっ!!」モリーは呆れている。その瞬間時が止まった。あいつ、キツネ火の仕業だ。辺りは静まりかえっている。暗闇の中で緑色の光が煌々と照っている。フィーはキツネ火に誘われてバスを降りた。
そこは時の狭間。時間の存在しない場所だった。「あんたみんなに何したの?!」フィーは怒鳴った。そんなの全く気にする様子もないキツネ火は勝手に喋り続けた。「これまでお前の兄貴を研究し続けたけど、まだ似てない。完全にジャックになりきりったら、お前もママもその仲間も元の場所へ戻してやる。」キツネ火はジャックの体を返さないつもりだ。「取り返す方法を必ず見つけるからっ!」フィーは力強く言った。「やれるもんならやってみろ。お前の魔法の鏡を使ってな・・・」キツネ火がパチンと指をならすと、暗闇の中にスクリーンが現れた。フィーのパソコンの画面だ。その瞬間、急に映画館の席に座らされたフィー。手にはポップコーンの大きなカップを抱えてる。「早速手がかりを見ていこう。」キツネ火が楽しそうに自分の生い立ちを話し始めた。
キツネ火は自分が光でいることに飽きてこの地上へとやって来たのだった。このままジャックになって生きていくのが奴の魂胆なのだ。フィーはキツネ火にジャックの体から出ていくように警告した。そこでキツネ火はあるゲームで取り引きをしてきた。
キツネ火の本名を呼べばジャックの体から離れる。チャンスは1度だけ。フィーが答えを考えている間にキツネ火はジャックの持っている残りの記憶や思い出を吸い取るというのだ。それが取り引きの内容だった。フィーは間違えることができない。もし間違ったりしたら、ジャックは永遠に戻ってこない。フィーは意を決してそのゲームに挑戦するしかなかった。ただし素直に取り引きするつもりなんかない。フィーからも取り引きを申し出た。
フィーがキツネ火に質問したら、それに偽りなく答えてもらう。そしたらキツネ火の質問にも答えるというのがルール。フィーはキツネ火に生まれた所や、誰が名前をつけてくれたのかいろいろ質問したが肝心な答えを見つける手がかりにはならなかった。逆にジャックとの大切な思い出をキツネ火に辿らされながら、どんどんジャックに似ていくのをただ見てるしかなかった。そこでキツネ火が体慣らしをし始めた。人間の体にはまだ慣れていないらしい。バスケットをするキツネ火の目を盗んでフィーはパソコンで調べ始めた。
キツネ火の言ったことば「世界の七不思議」・・・これからヒントを得た。答えは7文字だ!フィーはもう一度キツネ火に新たに取り引きを申し出た。何度でも質問できるようにして欲しいと。キツネ火は1時間だけ猶予与えるのだった。
フィーはパソコンを取り出した。ハングマンの答えを調べるソフトを起動させた。このソフトはジャックが作ったものでアルファベットの組み合わせを自動的に70億以上作ってしまうプログラムだった。このゲームでキツネ火の名前を簡単に当てられる!キツネ火はフィーにまんまとハメられたのだった。アルファベットがどんどん動いていく。フィーが質問しなくても勝手にパソコンが質問を出してくる。キツネ火は逃げようとするが体が言うことを聞かない。体中から冷や汗をかき始めた。答えに近づいている証拠だ。キツネ火はこのゲームから逃げるために喋り続けた。
「お前には俺が必要だ。敵は手強い。お前の兄貴では俺のようにお前を守れんのだっ!!」キツネ火が訳の分からないことを言い出した。「敵?誰から守るの?」「たまたまジャックを選んだと思うか?」キツネ火は意味深な笑みを浮かべた。フィーの表情が硬くなった。「人間はこんなにたくさんいるんだぞ。やつらはみんなお前を知っている・・・機械を止めるんだ。そしたら父親と話をさせてやろう。お前に伝えたがっていることがあるぞ。さぁ、機械を止めろっ!!」フィーの目には涙があふれそうになっている。ふるえる指先をゆっくりとキーボードに伸ばしていく。しかしそこでフィーはグッとこらえた「いやだっ!」その瞬間パソコンが答えを出した。画面には『B R I C R I U』の7文字が浮かび上がった。
次の瞬間、気がついたらバスの中に戻っていた。そこにはモリーがいてクルーやアイリーンもいる。もちろんジャックもだ。「どうしたのフィー。ジャックがどうとかって・・・ジャック、あなたフィーにまた何かしたの?」相モリーに聞かれてジャックがつぶやいた。「昨日森に変な光を探しにフィーとクルーが・・・」ジャックの記憶は昨日の晩で止まっているようだ。フィーはホット胸をなで下ろした。そしてジャックを見つめて抱きしめた。「もう大丈夫・・・」
ひとり部屋に戻るフィー。机の上のパソコンを見つめた。「ブリクルー・・・」キツネ火の名前をつぶやいた。その瞬間目の前に小さな光が瞬いた。「俺の名前だ覚えておけ。また来るからな。」
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第14話(2シーズン1話) 亡き父の奏でるギター
もうこの世にはいない誰かに会いたくて、何も手につかなくなったことってある?どこを見てもその人の顔が浮かんだり、声が聞こえてきたり。思い出の場所へ行ったりすると余計に辛くなる。霊媒師と呼ばれる人たちは亡くなった人の魂をあの世からよび出すことができるんだって。本当かどうかは分からないけど、もしも大好きだった人を亡くしたとか大好きになる前に亡くしたとしたら試してみる価値はあるんじゃない。希望を持つことはいい事でしょ?
一段落ついたモリー・フィリップス・ツアー。モリーや子供たちは自宅に戻って休暇を過ごしていた。バンドのメンバーはレコーディングを待ちきれない様子。しかし肝心のモリーは慎重に姿勢を構えたままで動こうとしない。とうとうアイリーンに「みんなはあなたのトークよりも、歌を聴きたいのよ」と言われてしまう。そのことばに過剰に反応するモリー。実はリックが生前に散々言い聞かせていたことばとまったく同じものだったのだ。ネッドはリックからの幸運のサインだと思えばいいとモリーにスタジオ入りをすすめた。
キャンディがモールに行こうとフィーを誘いに来た。だけどフィーはどうしても行きたいところがあった。それはレオポルド・マーティンという有名な霊媒師が行う降霊会だ。ツアーがない間、自宅にいるとどうしてもリックのことを思い出してしまい、まるでリックがすぐ側にいるように感じて仕方がなかったのだ。キャンディーに付き合ってもらってふたりは降霊界へと出かけた。そこである女性と出会う。名前はスーザンといって、大切な親友を亡くして以来霊や目に見えないものを信じるようになったそうだ。彼女と一緒にフィーはリックについていろいろ話をした。しばらくしてやっとレオポルド・マーティンがやってきた。さっそく降霊界が始まった。最初はスーザンの親友が降りてきた。その次はなんとリックがフィーに話し掛けてきたのだ。フィーは涙声になりながら必死に話し掛けた。「会いたいよ。」と最後に一言残して、また別の霊が降りてきた。今度は小さな女の子のようだ。父親を捜している。ある男性が女の子の霊に答えた。「ティナか?」父親らしき人の呼びかけに少女の霊も答えた。「許してパパごめんなさい。怒ってる?」「怒ってるわけがないだろ・・・俺にはティナなんて娘はいないからなっ!!」この男性は急に態度を変えて席を立った。名前はパトリック・レイモンド。ずっとこの霊媒師を疑っていてペテンを暴くために、全国各地をスパイして回っていたのだ。リックが話し掛けてくれたこの降霊界は偽物だったのだ。フィーはガッカリした。
夜中リビングにひとりモリーがギターを弾いていた。そこへジャックが起きてきた。ジャックはモリーのことを心配していたが案の定モリーはレコーディングをやめようとしていた。モリーは自分でもなんだか分からないけど何かが欠けているように感じられて曲作りに専念出来ていなかったのだ。
翌日スタジオに入ってもバンドに何度もリテイクを強いってレコーディングはボロボロ。そのうち「声が聞こえすぎる」と頭を抱えながらポツリとつぶやきスタジオを後にした。長いツアーから帰ってきて、今はリックとレコーディングをした馴染みのスタジオに毎日出入りし、リックと生活した我が家で寝起きしている。そんな毎日の中でモリーはリックと別れた辛さを思い出しては、その思い出から抜け出せないでいたのだった。
フィーはクルーを引き連れて昨日の降霊界でペテンを暴露したパトリック・レイモンドが勤める「レイモンド旅行社」へやってきた。ネットで調べたらパトリックは霊媒師の暴露本を過去に3冊も出版していたのだ。フィーはリックに会うことを諦めることが出来ず、パトリックならどの霊媒師が本物か知っているのではないかと期待してやって来たのだ。しかしレイモンドはフィーにとても冷たくあたり「霊媒師なんてみんなペテンだっ!もし本物ならこの目で見てすぐ分かる!」と大声で怒鳴った。フィーは負けずに言葉を返した。「なんでそう言い切れるのっ!?」すると意外な答えが返ってきた。パトリックは本物の霊媒師だというのだ。彼の奥さんが亡くなったとたんに声が聞こえなくなってしまったのだ。
しばらくして今度はパトリックがフィーを尋ねてきた。フィーがパトリック旅行社から戻った後、ジャックがひとりで旅行社へやって来たらしい。それでフィーを傷つけたことを謝って欲しいと。お詫びにリックに会わせてあげると約束した。フィーはパトリックを家の中に招き入れた。彼の奥さんアマンダが亡くなったときのことやパワーを亡くしたときのことを思いだしフィーに語って聞かせた。そしてリックの遺品であるギターを手に取るとそっと耳を傾けた。しばらくじっとしてからフィーにそのギターを手渡した。「何か弾いてみて。」コードを知らないのでフィーは断ったがパトリックはそれでもギターをフィーに持たせた。するとフィーの指が動き出してメロディを奏で始めた。
外は大雨。辺りも薄暗くなっている。フィーの部屋からギターの音が聞こえてきた。モリーがやって来た。「このメロディ、どこで聴いたの?」モリーの問いにフィーはこう答えた。「きっとパパからのメッセージだよ。」モリーは余計に辛くなった。フィーにもうリックのことは忘れ留用に言った。愛しい人の思い出を嫌うなんておかしいことしてるのは充分分かってる。だけどこのままだと前に進めない。リックを思い出してしまってどうすることも出来ないのだ。モリーはフィーに優しくギターの弾き方を教えた。リックのギターで。ふたりともリックを思い出し涙を流していた。この様子をジャックはドアの影からそっと見守っていた。
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第15話 恐怖のテストドライブ
何かの機械を使っててこいつ心があるんじゃないか?って思ったことはない?機械が人間みたいなことをしたっていう話はいろいろあるんだよ。例えば1989年チェスの世界チャンピオン、ニコライ・セルコフがロシア製スーパーコンピューターと対戦して、3連勝しそうになった瞬間!コンピューターがチャンピオンを感電死させたの。これって偶然?コンピューターがジェラシーを感じたって事はない?ひょっとしたら機械が人間に反乱を起こそうとしてるんだったりして。それは怖いけど、もし機械に心があるんなら悪い事じゃないよね。だって機械と仲良くなれればトラブルがなくなるかもしれない・・・とは限らないか。
ある男性が物音で目を覚まし、別途から飛び起きた。真夜中だった。バットを手にし地下へと降りた。するとガレージに停めていた車がひとりでに動いてガレージのシャッターにぶつかってはバックしてまたぶつかって、それを繰り返している。男性は恐る恐る車に近寄りキーを抜いた。
モリーはスタジオに入って本格的にレコーディングをしていた。そこへジャックとクルーが大声ではしゃぎながらやって来た。お金がたまったので車を買いたいのでモリーに許可が欲しいというのだ。モリーはしぶしぶOKした。
翌日フィーが朝5時に目を覚ましてリビングへ向かった。するともうそこには着替えを済ませたジャックとクルーがいた。熱心に中古車の広告をチェックしている。クルーがたったの$1000で良さそうな車を見つけた。昼間早速ネッドをつれて車を見に行った。車の主はブランチャードさんといって、車を不安そうに見ている。ジャックたちが車を気に入れば気に入るほど落ち着かない様子。まるで売りたくないようなそぶりだ。ネッドが車に何か問題があるのかと聞いたが、ブランチャードさんはオイルの調子が悪いんだと言ってごまかしてしまう。何も知らないネッドは、このくらいの不備ならどうになると全く気にしなかった。車を手に入れたジャックとクルーは大喜びだった。
ネッドは戻ってきてすぐにモリーのいるスタジオへとやって来た。モリーは心配そうに様子をうかがった。車のこととなるとリックの事故を思い出してどうしても過保護になってしまうのだった。ネッドは優しい言葉をかけ、モリーを安心させた。これからネッドが付き添いで運転の練習に出かけるというのでフィーもついていくことにした。
車が通り出ると急発進したり、信号も無視。とても運転が荒いジャック。ネッドが注意してもハンドルがすべったとかオイルのせいだとか言い訳ばかり。懲りたネッドはUターンするようにジャックに言った。信号待ちで止まっている車のウィンカーが勝手に動いた。フィーはバックシートからその様子をしっかり見ていた。その瞬間車は信号を無視して赤信号を飛び出した。左から走ってくる車にもう少しでぶつかるところだった。ジャックは肩を落とした。
練習から戻ってきたみんなをモリーは心配そうに迎えた。クルーに様子を聞いたら、両手の親指を無言で下に向けた。もしかしたらジャックの運転が荒かったのはジャックの運転技術が悪いせいではなく車に問題があるのかも。そう思ったフィーはモリーにこの事を話すがいつものように否定された。モリーとネッドはジャックを励ますために早々と部屋に入った。フィーも仕方なく家の中に入った。その姿を車はルームミラーで追っていた。
フィーはジャックのせいではないと確信を持っていた。実際勝手にウィンカーが動いたのを見ているのだ。どうしても問題を解決したい。フィーは車を売ってくれたブランチャードさんの家を訪ねた。話を聞いたがブランチャードさんはこれまでスクラップ同然で手に入れたのこの車を2年かけて新品と同じくらいに整備したのだ。車が故障しているはずがない。結局手がかりは見つからなかった。
フィーはモリーにどうしても気になることがあるので一緒についてきて欲しいとお願いした。行き先はスクラップ工場。フィーは工場主にブランチャードさんと車のことを色々と聞いた。車は事故車で、ビリー・オーネストという男性が、奥さんが心臓発作をおこした際病院に連れていく途中で事故にあったのだ。その後車は大破。2人とも助からなかったのだ。その話を聞いてフィーはこう思った。車が病院に行けなかったのを悔やんで、スクラップから戻った今もう一度病院へ行こうとしているのだ。車が心を持っているのだ。
謎が解けた。ジャックに知らせなければ。しかし一足先にジャックは路上テストに出発してしまった。フィーはクルーに頼んでジャックの車を追いかけた。案の定ジャックの運転は最悪。急カーブ、急発進の繰り返し。教習員が縦列駐車を指示したのにも関わらず、車はまっすぐ進んでしまった。そこへフィーとクルーの乗った車がジャックの車を発見した。フィーは窓を開けて大声で叫んだ。「車の好きにさせて、ハンドルを離して!」ジャックは言うとおりにした。すると車は猛スピードでホープスプリング病院へと向かった。
車は病院の救急車の横にぴたりと止まった。車からジャックがよろめきながら降りてきた。無事だ。フィーは安心したようにジャックの様子を見守った。
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第16話 伝説の歌姫
何にもしていないのに、男の子が夢中になっちゃう女の子っているでしょ?それってどんな感じなのかな〜って時々思うんだ。美人だったりミステリアスだったりすると男にもてるっていうのは女の子ならみんな知っていることだけど、その常識はテレビや映画で作られたわけじゃない。紀元前のギリシャに生まれた詩人ホメロスの詩に出てくるセイレーンは鷹のはねと爪を持つ魔物でその歌声で船乗りたちをとりこにしたの。鷹の爪は欲しくないけど自分の歌声で男どもをメロメロにできたらいいと思わない?ラララララ♪〜 どう?私に夢中?
フィー、ジャック、クルーそしてケアリーの4人はもうじき始まるツアーのために買い出しをしていた。パソコン専門店に行ったがそこは今ではクラブに変わっていた。たった1年間町を離れただけなのに、風景は変わりはじめている。がっかりするフィー。ちょうどその時店から出ていくお客さんがいた。扉が少しだけ開いた。ケアリーが店中から聞こえてくる音楽にひきよせられて中へ入っていっく。ステージでは、女の子がギターを弾きながら歌っていた。ケアリーはその歌声にすっかり聞き惚れてしまい、演奏が終わるとひとりで楽屋を訪ねた。声をかけられて女の子はすこし迷惑そう。彼女の名前はキャリー。ケアリーの言葉にいちいちつっかかる。ケアリーは彼女の歌の感想を素直に伝えた。歌声は素晴らしいけど歌詞が悲しすぎる。まるで永遠に続く愛を信じてないようだと言われて、キャリーはムッとした。そこへ彼女のマネージャーが来た。あまりいい感じのしないマネージャはケアリーをすぐさま楽屋から追い出した。
家に戻ってもずっとキャリーの歌の素晴らしさをみんなに言いまわっていた。みんなで彼女のライブを聞きに行こうというケアリーの提案にネッドがのった。
その晩、フィリップス家とベル家はそのクラブへと足を運んだ。場内はお客さんで溢れかえっている。みんながキャリーの歌声に聞き入っている。フィーが会場のお客さんをぐるりと見回して、あることに気がついた。お客さんはフィー、モリー、アイリーン以外は全員が男性だったのだ。このことをモリーに言うが、音楽業界では客層のターゲットを決めるのはごく普通のことだと返された。ライブが終わった。ネッドもすっかりキャリーの歌を気に入ったようだ。そこへキャリーのマネージャーのエヴリンがキャリーを連れてモリーのテーブルへやって来た。実はこのふたり、昔一悶着あった仲だったのだ。アイリーンは敵意をむき出しにした。エヴリンはキャリーをアドレア海の小さなビストロで見つけたとか、モリーとリックのマネージャーをやらなかったおかげで、ここ10年休みを取ってないとかいろいろ自慢話をはじめた。「時々お客さんが騒然となっちゃうのよ。」とキャリーを褒めちぎっているとフィーが一言つぶやいた。「それって男の人だけ?」一瞬みんながひいた。これは何かあるとフィーは直感で感じた。クルーがキャリーを明日のディナーに招待した。ケアリーは大喜びした。
家に帰ってもずっとキャリーのことが頭から離れない。ケアリーは夜中に家を抜け出して、キャリーに会いに行った。キャリーはなにか心配事があるようだ。やけに楽しくなさそうだった。急にケアリーにこう聞いた。「愛する人のためなら何でも出来る?」ケアリーは一瞬ためらったが、言い切った。「ああできるよ。」キャリーは明日自分と一緒に逃げて欲しいとケアリーに頼んだ。そして自分のCDを手渡した。
フィーはパソコンで調べていた。歌声、男性、アドレア海。するとセイレーンという言葉がでてきた。セイレーンはその歌声で船乗りを魅了し、彼女の歌声を聞いたらたちまちとりこになって、その場を離れられなくなるのだ。フィーはキャリーがセイレーンだと確信した。ケアリーを助けなくては。
キッチンではディナーの準備で大忙し。フィーはケアリーの部屋に行った。ケアリーは昨晩キャリーからもらったCDを真剣に聴いている。ケアリーにオデュッセイアの話をした。セイレーンの歌声に魅了された船乗りは、セイレーンを追いかけて船から飛び降り、全員溺れ死んだのだ。フィーの話を聞いてもまったく信じてくれないケアリーは、これは恋だと言って相手にしなかった。
ディナーの席。エヴリンはキャリーのことを自慢しっぱなし。モリーは傲慢な彼女の態度を皮肉っぽく言った。エヴリンも言い返す。お互い昔の恨みをまだ根に持ち続けている。ケアリーとエヴリンは席をたった。フィーも後を追った。
ケアリーの部屋でエヴリンとケアリーは駆け落ちの準備をしていた。「みんなにさよならを言わなきゃ。」ケアリーが出るのをためらっていると、キャリーはケアリーの耳元でやさしく歌声をささやいた。ちょうどその時フィーが部屋に入ってきた。キャリーはケアリーをしばらく部屋から追い出し、フィーと二人きりで話をすることにした。
とうとう正体がばれてしまったキャリー。フィーは勇敢になぜケアリーを連れて行くのかと質問した。すると素直にキャリーは理由を話し始めた。実はキャリーはエヴリンに秘密を握られていて、無理やり歌わされていたのだ。もし歌うことを拒否したらエヴリンはセイレーンの秘密をばらしてしまう。そうなったらもう誰も自分のことを愛してくれる人は現れないとおびえていたのだ。そんな生活から逃れたいと願っていたときにケアリーとであった。これで逃げられると思ったときに、フィーに正体がばれてしまったのだ。フィーはキャリーの話を聞いて、決心した。キャリーを逃がしてあげよう。
大人たちは食事を済ませたようだ。エヴリンはキャリーを呼んだ。しかし返事がない。みんなで家中を探したがもう逃げた後だった。
夜の街を急いであるくフィー、ケアリー、キャリーの3人。キャリーをどこかに隠さなくては。フィーのポケベルがなった。モリーからだ。フィーはモリーに助けを求めようとした。その時キャリーが重大なことを思い出した。お父さんの形見のギターを楽屋に忘れてきてしまったのだ。大事なギターを取りに3人は楽屋へ向かった。
楽屋でエヴリンが待ち伏せていた。手には形見のギターを持って、キャリーを脅した。そこへモリーが助けに入った。このままキャリーをしばりつけておくのはかわいそうだ。業界の知人に言ってエヴリンに圧力をかけて二度とこの世界でビジネスでできないようにしてやると脅した。それでもエヴリンは食い下がった。「キャリーの正体を知らないくせに。」モリーは静かに答えた。「知ってるわ。20年前の私よ。」この業界に長い間いて、エヴリンのような傲慢なマネージメントのおかげでこの世界を後にしたアーティストを大勢見てきたモリー。キャリーをそんな風にさせたくない。エヴリンは言葉がなかった。気がつくとキャリーは楽屋を後にしてた。もう戻ってはこないだろう。
モリーはキャリーの代わりにステージに立った。
その晩、部屋で一人っきりキャリーのCDを眺めているケアリー。そこへこっそりとキャリーが訪ねてきた。しばらく家に戻ってゆっくり考えたいとケアリーに伝えるとその場を離れた。ケアリーは何も言わず彼女のうしろ姿を見つめていた。
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第17話 悪夢のモンスター
誰でも夢を見るけど、なぜ見るのかはわからない。どうやら人間の心の一番深いところにある考えや希望や恐怖からくるみたいなんだけど、心の中から生まれるならなぜ見たことない人や場所が出てきたりするの?もっと不思議なことに、何人かの人が同時に同じ夢を見たっていう記録がある。夢の世界っていうものが現実の世界と同じようにどこかに存在するっていうことがあり得るのかな。オーストラリアのアボリジニは夢の世界のほうが本物だって信じてる。私たちが現実って呼んでるものは夢からできてるんだって。それが本当だとしたら、どっちの世界が夢で、どっちが現実かどうやって分かるの?
ジャックは森にいた。どこかの墓地。あたりは小雨が降り、喪服を着た人たちが集まっていた。墓石をみるとそこにはリック・フィリップスの名前が刻まれていた。その瞬間男の子が話しかけてきた。「ジャック、これって本当なの?」ジャックはびっくりして飛び起きた。全部夢だった。
タイトスケジュールの中ツアーバスは寄り道をしていた。アイリーンの妹エレインに会いに行こうとしている。だけどアイリーンはあまり気が進まない様子。成功している妹に引け目を感じているのだ。いやがるアイリーンをモリーが一生懸命説得するのだった。
とうとう着いた。凄い豪邸だ。バレットさん夫婦が玄関で出迎えてくれた。フィリップス家のみんなはバレット夫妻に会うのはこれが初めて。あいさつをしていると、玄関先に小さな男の子が出てきた。バレット夫妻の一人息子ダニーだった。ジャックが彼を見るなり驚いた。エレインがダニーのことをみんなに紹介した。ダニーは最近寝不足だといってエレインはダニーを寝かしつけに行った。その間旦那さんのケビンが家の案内をすることになった。
その夜、ジャックはまた悪夢にうなされていた。夢の中で、男の子がジャックの名前を必死に呼んでいた。声の聞こえる方へ向かった。部屋の扉を開いてまっすぐ進んでいく。そこでダニーが現れた。「ジャックも逃げた方がいいよ追いかけてくるから。」ジャックは何がなんだか分からない様子で答えた。「どういう意味だよ。」その瞬間目の前に真っ黒なもやもやが襲いかかってきた。逃げようとするところで目が覚めるのだった。
朝食の席。ジャックは昨晩の悪夢のおかげで睡眠不足になっていた。みんなに夢の話をした。するとクルーも同じ夢を見たと言い出した。クルーが見た夢を話すとジャックが見たそれと全く同じではないか。みんなはびっくりした。ジャックとクルーは同時にまったく同じ夢を見ていたのだ。だけどジャックは超常現象なんかではなくて、ただの偶然だというだけだった。
お昼にダニーをつれてみんなでモールにショッピング出かけた。ジャックは元気が出ない。ダニーがジャックに声をかけるが、素っ気ない返事を返すだけだった。そしてそのままクルーとケアリーをつれてCDショップに行ってしまった。
ダニーはフィーと一緒にベンチに座っていた。ダニーはジャックに嫌われていると感じていた。フィーはとっさに今朝話していた夢の話をダニーがこっそり聞いたんだと思った。しかし意外なことをダニーから聞くことになる。なんと昨日ジャックが見た夢はダニーの夢でもあったのだ。夢の中でダニーは隠れようとしても黒いもやもやがどこまでも追いかけてくる。そこでダニーは誰かにいて欲しいと願ったのだ。そしたらジャックが現れた。夢についてフィーに全部話してみた。ダニーはとても夢を怖がっている。悪夢が睡眠不足の原因だった。
その晩ジャックはまた同じ悪夢を見ていた。同じ部屋でさまよっている。そこにクルーも現れた。同じ夢を見ていることを楽しんでいるようだ。なんと今晩はフィーも夢に入ってきた。ダニーがみんなを自分の夢の世界へ呼んだのだ。みんなそろったその時、廊下の奥から黒いモンスターが現れた。フィーはみんなを連れて逃げようとした。だけどジャックは単なる夢だと軽く見てモンスターにはむかった。すると力いっぱい床にたたきつけられてしまった。クルーがカーテンをちぎってモンスターに投げつけた。しかし窓からたやすく逃げられてしまった。フィーは言った。「ダニーを探そう。」
3人で部屋中を探し回る。扉を開いたら、真っ白な部屋へ出てきた。いろんなものが不自然にポツリと置かれている。バレット夫妻のベッドが置いてある。テレビにはジャックが写っている。「ただの夢だ。」と繰り返し、その顔に表情はまったくない。その時どこからかすごく大きな超音波のような音が聞こえてきた。慌てて3人は別の部屋へと移動した。するとそこにはダニーがいた。安全な部屋へと案内してくれた。
みんなはダニーの夢の中の部屋へと逃げた。ここでは欲しいものは何でも手に入れることができるらしい。フィーはみんなで作戦を立てようとするが、ジャックは部屋から出ようとした。まだダニーの悪夢を信じていないのだ。ひとりで部屋を後にしたジャックは、別の世界へと迷い込んでしまった。
あたりは薄暗い森の中。人々が行列を作ってあるいている。喪服を着ていた。行列の中にモリーを見つけた。声をかけるが反応がない。ある墓石が目に入った。近寄ってみた。そこにはリック・フィリップスの名前があった。その瞬間、ジャックはまた別の世界に移動していた。昔モリーとリックが住んでいた部屋だった。モリーが見える。そばにはリックもいて、小さなベビーベッドがひとつ。中では赤ちゃんがぐっすり寝ていた。モリーが泣きながらリックに話していた。「だんだん普通じゃなくなってきている。もうやめて、あなたに何か起こりそうで心配なの。」モリーの必死に訴えにリックは「今はやめられないんだ。この目で知った以上・・・大丈夫だよすぐに帰る。」そう答えると家から出ていってしまった。ジャックはリックに向かって叫んだ。「だめだよパパ、行かないで!!」しかしその声はリックには届いていなかった。
気がつくとジャックはもとの場所へ戻っていた。この悪夢ははダニーだけのモンスターではなかったのだ。ジャック自身のものでもあったのだ。リックがこの世を去ったように、いつかモリーやフィーが自分のそばからいなくなってしまうのを恐れていたのだ。その恐怖心からモンスターを生んだのだ。正体が分かった今、ジャックはダニーを助けに向かった。
ダニーとジャックの二人だけになった。ダニーは部屋から出たがったが、ジャックは逃げてはいけない、立ち向かうんだとダニーを励ました。そこにとうとうモンスターが現れた。ダニーが勇気を振り絞って叫んだ。「おまえなんか怖くないよ、あっちへ行け!」ジャックがダニーにささやいた。「何が怖いかよく見るんだ。」するとモンスターのもやもやの中から現れたのはダニーの両親の姿だった。ダニーのことで言い争っていた。今にも泣きそうな顔をして訴えた。「やめて!けんかしないで。僕のことをおいてどこか行かないで・・・」するとモンスターは自然に消えてどこかへ行ってしまった。
ジャックが目を覚ました。時計は8時を回っていた。
朝食の席でバレット夫妻がダニーに優しく話しかけた。ダニーが悪夢を見るのはふたりが原因だと分かったのだ。夫妻はダニーに謝るときつく抱きしめた。
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第18話 ミステリー・サークル
宇宙人本物証拠?!何年も前から世界中の穀物畑でなぞの模様が現れている。ミステリー・サークルの名前で有名なこの模様は地球征服を狙う宇宙人の手がすぐそこまで迫っているっていうことを訴えているわけ。確かににせものもあるかもね。でも調べれば調べるほど不思議なんだよ。「サークル」といいながらパターンはいろいろだけど幾何学的に完璧。それに足跡が見つかったことがない。誰が作ってるんだろう。なにかのメッセージだっていうのはホントかな。じゃあ誰からのメッセージ?そして何が言いたいの?
チャリティーコンサートで小さな町にやってきたツアーたち。この間のツアー先ではギタリストをよそのバンドに引き抜かれしまい、モリーはガッカリしていた。子供たちは食料品の買い出しにベーカリーに行く。
店内でケアリーとクルーがこそこそと話をしている。大学を中退したことをケアリーはまだ両親だけに話していなかった。商品ケースをのぞきながらクルーが言った。「え〜うそだろ、置いてないなんて言うなよな。」すると店員のグレッグが答えた。「エクレアは後ろの棚。」ケアリーはすぐに気がついた。クルーはエクレアを探しているとは言わなかったのに、グレッグはそれがそれが分かったのか?さらに彼はジャックとフィーにモリーのチャリティーコンサートについて皮肉混じりの事を言った。モリーのことはまったく教えていないのにも関わらずにだ。店を出ながら気持ち悪がるクルーとケアリー。だけどジャックがツアーバスを指さして、みんなが納得した。店の外には大きなツアーバス。これを見れば誰だってコンサートだと分かるに違いない。
ライブ当日。ギタリストを捜すのに会場ではアイリーンが四苦八苦。電話をかけるが誰もギタリストが見つからない。モリーがケアリーをギタリストに使うことを提案したが、アイリーンは断固反対。フィーにもお願いしてギタリスト探しを続けていた。アイリーンに頼まれて電話をかけた。「もしもし」受話器ごしにひとことしゃべったら、相手はすぐに答えた。「やつならいないよ」そう答えるなり電話が切れた。
ベーカリーでの出来事やさっきの電話。何かおかしいと思い、フィーはキャンディにお願いしてカンザス州のハッチンソンという町について調べてもらった。
ケアリー、ジャック、クルーそしてフィーの4人は町にゲームセンターがないか歩いて回っていた。たまたま1軒の家の前を通りかかった。昼間のベーカリーの店員グレッグがトラックから荷物を下ろしているところだ。ジャックはあいさつをしながら寄って手伝おうとした。するとグレッグは答えた。「同情は必要ないよ。」さらにジャックにけんかを売ってきた。「2、3曲歌っただけでアメリカの農業が救えると思っているのか。」グレッグは母親とふたりきりで畑とベーカリーを切り盛りしていたのだ。企業経営の農業に遅れをとらないためにも毎日休みもなくギリギリのところでやっているのだ。そのことについてジャックに一言冷たく言い放った。「おまえだけじゃないんだ。」何のことを言っているのか、ジャックはグレッグに聞き返したが「とにかく関わるな。」と追い返されてしまった。最後にフィーが振り返ってグレッグを見た。目があった。その時どこからともなく声がした。首を突っ込むな・・・
モリーのコンサートのことや、リックのこと。町中の人がフィーたちのことを何でも知っているようだ。町の人全員にテレパシー能力が備わっている。フィーはそう感づいていた。さらにその力がフィーにもついてきているのだ。テレパシーについてモリーに話すが全く信じていない。そこでキャンディからのメールが届いた。キャンディはミステリーサークルについての資料を送ってきた。それにはこのように書かれていた。〜サークル上にある作物は水平に曲げられているが折れてはおらず、ミステリーサークルが出現したあとも曲がったまま成長を続けている。農家ではサークル上の小麦も収穫し他と混ぜて出荷している。〜つまりこの土地の小麦はミステリーサークル内でとれたものが混ざっているのだ。あのベーカリーで売っているパンにもそれが使われていたのだ。
町の人々はミステリーサークルで育った小麦を食べたせいで、他人の思考を読めるようになったのだとフィーは考えた。それを確かめるべく、クルーを連れてもう一度あのベーカリーへやってきた。ふたりはエイリアンやミステリーサークルについて遠回しに聞き出そうとしたが、また追い返されてしまった。
ライブ直前。モリーはギタリストのことで頭がいっぱい。そのときモリーがフィーに向かって急に話しかけた。「そうねフィー。ケアリーにだってできるのよ。外からレンタルしてくることないのよね。」フィーはあ然とした。モリーにもテレパシー能力がつてきたのだ。そのことを本人はまったく気がついていなかった。アイリーンを見つけるなり、ケアリーをギタリストに使うことを頼んだ。アイリーンもモリーの考えを読んでしまった。そこで初めてケアリーの大学中退がバレてしまった。アイリーンはケアリーを使うことを承諾したが、だいぶ腹を立てていた。モリーはすぐにケアリーに準備するように言った。ライブの前にフィーはする事があるといってジャックを連れて会場を離れた。
ジャックはフィーと農道を歩きながら話を続けた。何のためにテレパシー能力にこだわっているのかを。フィーの推測では、町の人々はほとんど自分たちにこんな能力が備わっているなんて気がついてないのだ。さらにその力はフィーたち部外者にも影響し始めた。何がなんでもあのペーカリーの農場に行って、真実を突き止めたかったのだ。フィーとジャックは小麦畑を見つけて中へと入った。金色の小麦の中をどんどん進んでいくふたり。とうとうミステリーサークルを見つけたのだ。茎が折れていない。フィーの思ったとおりだった。みんなに言わないと。そう思った時、声が聞こえた。フィーが秘密を突き止めたことを察知してグレッグが畑へと向かっていた。グレッグはフィーの頭の中に入ってきた。
納屋をはなれたところでグレッグに捕まってしまった。ジャックとグレッグが言い争っているところに偶然グレッグの母親がやって来た。彼女はフィーたちにミステリーサークルのことを口止めした。世界中から注目されてしまったら、農業どころじゃなくなってしまう。グレッグと母親は生活のためにミステリーサークルを秘密にせざるを得なかったのだ。
モリーのライブ、ケアリーの初ステージが無事終えようとしていた。その瞬間、空が赤く光った。そしてみんなが同じ声を耳にした。「聞け・・・」。その声はライブ会場にいた人たちだけではなく、町のはなれでも聞こえていた。もちろんグレッグの耳にも届いていた。フィーは悟った。小麦、テレパシー。準備させようとしている。声を聞くための・・・
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第19話 難破船に眠る悪霊
眺めたり手に持ったりするだけで何かを感じさせてくれる物ってない?まるでかつてそれに触れた人と近づけたような気持ちになれるの。中には赤の他人の持ち物にさわっただけでその持ち主のことがいろいろ分かるっていう人もいる。姿や声やにおいや感情まで。これはサイコメトリーって言うんだよ。ラテン語で「魂をはかる」っていう意味。その昔有名な超能力者でエドガー・ケイシーっていう人がいたんだけど、彼は寝る前に枕の下に本を置いとくだけで内容が全部分かっちゃったんだって。すごいよね。だけどちょっと考えちゃう。いろんな物から話を聞けたら楽しいけど、もしいやなストーリーを持ったものに触っちゃったらどうする?
ツアー一行は海辺の小さな町にやって来た。1通の郵便が届いた。ネッドは宝くじの当選通知が届くのを心待ちにしていたのだが、届いたのはクルー宛。大学の合格通知だった。ネッドは封筒を受け取ると、うつむいたまま黙り込んでしまった。大学に行ってしまえばクルーと離ればなれになってしまう。大学には受かって欲しいけど離れて暮らすのは寂しい。複雑な心境だった。
フィーたちは灯台のふもとにある小さな博物館で展示品を見ていた。そこには昔の船乗りの刀や、絵が飾られていた。フィーとジャックが展示品を見ていると、博物館の館長がやってきて話を聞かせてくれた。その横でケアリーとクルーが展示品の舵で船長ごっこをしはじめたのだ。あまりにも大騒ぎするので館長は怒って4人を追い出した。博物館を叩き出されたみんなはぶらぶらと海辺を散歩してツアーバスへと戻ろうとした。その途中砂浜であるモノを見つけた。流木の破片だった。フィーが手にすると一瞬、ある映像が見えた。「どうした?」とケアリーが声を掛けたがフィーはボーっとしただけだと言ってその場を流した。流木をよく見てみたら何か模様が彫ってある。クルーがネッドにプレゼントしようと流木をリュックのポケットにそっとしまった。
ツアーバスへ戻るとネッドがクルーの帰りを待っていた。さっき届いたサンタクルーズの合格通知をクルーに渡した。結果はみごと合格!!クルーは絶叫して大喜びし、ネッドに飛びついた。ネッドは少し元気がなさそうだったが、それをみんなに悟られないようにカバーした。オリエンテーションは2週間後だ。クルーがさっき拾った流木をネッドにあげた。ネッドは一言お礼を言うと、その流木を手にとってさすってみた。遠くのテラスでツアースタッフが食事休憩を取っているのが見える。ネッドは急に人が変わったように怒鳴り声をあげてスタッフを叱り始めた。そしてケアリーにも「バスの掃除でもしろっ!」と命令した。
しぶしぶバスの掃除をする4人。さっきまで普通だったネッドがなぜ急に怒り出したのか疑問に思っていた。クルーは拾ってきたものをプレゼントしたせいだと自分を責めていた。そこへネッドが入ってきた。まだ怒っているらしい。怒りは収まることを知らず、スタッフを2人も解雇してしまった後だった。ネッドはフィーを見つめると、急に立ちくらみをおこした。その瞬間ある映像が見えた。フィーが浜辺で流木を見つけたときと一緒だ。ネッドは自分に何が起こっているか分かっていなかった。ツアーバスの狭い中にいると次第に息苦しく感じ始め、怒鳴りながら出ていった。その時手に持っていたバインダーを落とした。フィーが拾って中を見てみた。するとそこには流木に彫られていたマークと同じ錨(いかり)の絵が無数に描かれていた。
フィーは灯台の博物館にもう一度行こうとしていた。博物館の館長に話を聞くのだ。クルーとジャックに止められた。しかしさっき流木を手にしたときに見たデジャヴの話をしたら、なんとクルーも同じ物を見ていたのだ。絶対にあの流木が原因でネッドがおかしくなったのだ。クルーはフィーの事を信じてふたりで博物館を訪れた。
館長に話を聞こうとした。最初は話に取り合ってくれなかったがフィーがネッドが書いた流木のマークを見せると、館長は棚からひとつのカップを取り出した。スイフトというイギリスの船の物だ。そしてスイフト号や冷酷なスイフト号の船長の話をフィーとクルーに聞かせてくれた。その話を聞いて驚いた。ネッドがまったく同じ事をしているのだ。周囲に怒鳴りちらして、部下に横暴な態度をとっていた。その船長の幽霊がネッドに取り憑いたのだ。フィーは館長に助けを求めた。けれど館長はバカにされたと思ってフィーに帰るように言った。それでもお願いし続けるフィーをクルーが止めた。「期待したのが間違いだったんだよ。」呟きながらクルーは博物館を出ていった。
バスに戻ったフィーとクルー。なすすべもなく、ケアリーとジャックが二人の帰りを待っていた。モリーに助けを求めようとケアリーが携帯に手を伸ばしたが、ネッドがやって来て取り上げてしまう。もう頼みの綱もない。さらにネッドは子供たちを外出禁止にして、バスの中に閉じこめてしまった。表にはネッドが見張っている。フィーは流木をネッドから取り上げたら元に戻るんじゃないかと考えた。ジャックはバカげていると言うがクルーとケアリーが賛成した。みんなは作戦を考え始めた。ふとフィーが窓の外を見た。なんと博物館の館長がこちらへ向かってくるではないか。
館長はバスの外で流木をなでているネッドを見つけると、そっと話しかけた。「何のマークだい?」さりげなくネッドに質問した。するとネッドは「俺のシンボルマークだ」とにらみながら答えた。館長はネッドが普通じゃないことを悟った。さっきフィーが言ったことにこれで確信が持てた。やはり船長の幽霊がネッドに取り憑いている。そこで船長はひと芝居うつことにした。フィーが博物館から物を盗んだとネッドに告げ口をしたのだ。窃盗と聞いてネッドは怒り狂った。
バスの中へ入ってくるネッド。フィーを見つけると怒鳴り散らした。何の事だかフィーにはまったく分からない。何も盗んでいないからだ。フィーは博物館の館長を見た。彼が目で合図を送っている。そこでフィーは察知してこう答えた。「ごめん。取りました。あっちの部屋に隠してある。」そして奥の部屋へと移動した。ネッドも後からついてくる。フィーは必死に探している振りをした。館長が合図をしたその瞬間、フィーはネッドの手から流木を取り上げて部屋から駆け出した。こうやってネッドを部屋の中へ閉じこめた。中からネッドが怒鳴っている。「ドアを開けろっ!!」
流木を海に戻して霊をしずめなくては。ケアリーがツアーバスを運転して灯台のある海岸へやって来た。まだネッドが部屋の中で大騒ぎしている。部屋の扉を押さえつけたロープを切って、ネッドがとうとう外へ飛び出してきた。フィーは流木を石に巻き付けて海に投げ込んだ。どんどん深く沈んでいく流木。その瞬間ネッドは苦しがり、身動きできずに地面にひざまずいた。、みんなが駆け寄ってきた。しばらくするともとのネッドに戻っていた。
ネッドはクルーを見つけると、正直な気持ちを話し始めた。大学へ進学することを誇りに思っているが、それ以上に息子と離れて暮らすことが辛かったのだ。ネッドは冷たい態度をとったことを謝った。そしてクルーを抱きしめながら大学へいくことを励ました。
ファーガスの後を追ってフィーはリアノン町役場にたどり着いた。
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第20話 死者がよみがえる夜
今ではハロウィンっていうとお菓子屋さんの陰謀みたいに見えるけど、もともとは大昔アイルランドに住んでいたドルイト教徒たちが始めたものだって知ってた?サモハイン祭りっていって、その夜は幽霊が歩き回るって思われてたの。ちょっと不気味だけど死んでお墓に入るっていうのがどういうことなのかを生きてる人間が考えるいいチャンスになる。そう思わない?だってねぇ、ご先祖様のためにパーティを開いたことなんてある?今度ハロウィンがきたら考えてみて。
今夜はハロウィン。ツアーバスはリアノンという小さな町にやってきた。バスの中はカボチャのお化けの飾りつけでムード満点。町を通りぬけてある1軒の家にたどり着いた。メアリー・マクギャリティさんのお宅にお世話になるのだ。マクギャリティさんは自宅を開放してワイルドローズという宿を経営していた。旦那さんのファーガスは出張中らしい。バスを降りるとアイリーンがバスのフロントガラスの掃除をフィーとジャックに頼んで、バスのキーを鍵穴にさしてどこかへいってしまう。フィーとジャックは掃除をケアリーに押しつけて遊びに行ってしまった。キーは鍵穴にささったままだ。バスの周りには誰もいない。と思ったが誰かがキーを盗んでいった。
フィー、ジャックそしてケアリーの3人は町を散歩していた。町にはハロウィンの飾り付けが見あたらない。なんとも地味な町だった。お菓子屋さんの前を通りすがった。お店の人がプレートを差し出した。キャンディがいっぱいのっている。勧められるままにフィーはキャンディをもらった。ジャックはお店の人に言った。「ハロウィンカラーじゃないね。」するとお店の人は不思議そうに聞き返した。「ハロウィン?」ジャックが説明すると、お店の人はきょとんとしていた。どうやらハロウィンを知らないようだ。しかしフィーたちはさほど気にもとめずその場を立ち去った。お店の人が店内に戻ろうとしたその瞬間、あたりから笑い声が聞こえてきた。店員は恐怖に震えながら手に持っていたキャンディのプレートを床に置くと、一目散に店の中へ逃げた。しばらくするとキャンディは消えた。
買い物から戻るとアイリーンが携帯片手に困っている様子。今日のライブの打ち合わせをしたいのに電話がつながらないのだ。メアリーはモリーたちが到着する前にライブハウスから伝言を受け取ったことを思い出してアイリーンに伝えた。なんとライブはキャンセルされてしまったのだ。突然の出来事で腹を立てるアイリーン。モリーは旅の疲れもたまってることだしとアイリーンを説得してこの町で休むことにした。
みんなで夕食を頂いた。モリーが片付けを始めようとすると、慌ててメアリーが自分ひとりでやるといってみんなをキッチンから追い出した。なんだか様子が変だ。しかしこのときは誰も何も気がつかなかった。誰もいなくなったキッチン。メアリーは時計を見た。もうこんな時間。大慌てで外へ出ていった。
フィーが部屋からでてきた。メアリーを捜しているがさっきから見あたらない。リビングでくつろいでいたモリーに聞いたが、モリーも彼女を見ていないと言う。家のどこからかバタンと大きな音がした。家中を見て回るモリー。裏玄関が風で開いた音だった。振り返った瞬間、入り口には子供たちが立っていた。キャンディをもらいにやってきたのだ。何も言わずにドアの前に立つ子供たち。すごい仮装だった。まるで死人そのもの。モリーは振り返ってフィーにキャンディを探すように言った。「ちょっと待っててね。」一瞬目を離したすきに子供たちは姿を消した。暗闇にはカラスがじっと木の枝に止まって、フィーたちを見ていた。
モリーはフィーを連れて町に出てきた。夜になるとさすがに町はハロウィンの雰囲気が出ていた。仮装をした人がちらほらみえる。しかしフィーは疑問に思っていた。昼間出会ったお菓子屋さんはハロウィンが何かも知らなかったのだ。お菓子屋さんに入ると店内には誰もいなかった。商品棚はめちゃくちゃになって、床には食い散らかしたキャンディが転がっている。振り返ると、さっき宿にお菓子をもらいにやって来た子供たちが立っていた。「さっきはお菓子がなくてごめんなさいね。」モリーが子供たちに謝っていると、遠くから女性の悲鳴が聞こえてきた。驚いて声のする方を見た。悲鳴に気を取られて、そのすきにまた子供たちは姿を消していた。不気味な感じがした。その時どこからか異様なにおいがしてきた。モリーとフィーは顔をしかめた。するとある男性が二人に声を掛けてきた。妙にハイテンションで、言っていることがよく分からない。彼はファーガス・マクギャリティと名乗った。フィーたちが今滞在しているところの旦那さんだった。フィーはファーガスや町の様子がおかしいと気がついた。そして逃げていったファーガスを追いかけていった。モリーもフィーの後を追ったが、見失ってしまった。
フィーはひとりでファーガスを追ってリアノン町役場にたどり着いた。木陰に隠れてファーガスの様子をこっそり見ていた。役場の庭に立って、ファーガスが奥さんのメアリーの名前を呼んだ。役場の2階の窓からメアリーが顔を出した。メアリーはファーガスが戻ってきたことに驚いているようだった。メアリーは言った。「あの一家をあんたの身代わりになるように手配したのは私なのよ。感謝なさい。」ファーガスが町役場の鍵を開けるようにメアリーに頼んだ。しかしメアリーは開けようとしない。「まだだめ。12時5分前に入れてあげる。あの人たちが連れてかれるってはっきりしてから。」メアリーがファーガスに言った瞬間、フィーが木陰から出てきた。「連れてかれるってどういう意味っ?!」メアリーはフィーにバレたことを怒って、窓を閉めて建物の中に入ってしまった。一体町はどうなっているのか?フィーはファーガスからすべてを聞き出した。
リアノンの町では毎年ハロウィンになると死者がよみがえり、町中を荒らしていくのだ。それだけではない。死者は毎年ひとりおみやげを連れて霊界へ帰るのだ。このおみやげのおかげで町は繁栄しているらしい。去年はファーガスが連れて行かれたのだった。1年間飲まず食わずで、お風呂にも入れない。死体と一緒に365日暮らしたのだ。そこでメアリーがファーガスを助けるためいモリーたちをはめて、今年の犠牲者にしようとたくらんでいたのだ。フィーはこの話を聞いて怒った。いくらフィーが怒鳴ってもファーガスは無視。フィーは「逃れる方法が絶対にあるはず!」と言い切るが、「死んだふりが得意ならね。」とファーガスは茶化すだけだった。このままだと、モリーもジャックもみんな霊界に連れて行かれてしまう。どうにかしなくては。
宿ではモリーがフィーを探すために警察や消防署に電話をかけまくっていた。しかしどこも電話がつながらない。さすがのモリーも町全体がおかしい事に気がついたのだ。途方に暮れているところにフィーが帰ってきた。モリーはホッと一安心してフィーを抱きしめた。フィーはモリーにこの町が普通だと説明した。普通の町が普通のハロウィンパーティをしているだけだと。けれどモリーはフィーの話に納得いかなかった。だってフィーがおかしいと言い始めたからだ。フィーは「町中が自分たちのためだけにパーティを開いてくれてるんだよ。楽しまなくちゃ。」とモリーを強引に参加させた。ネッドとアイリーンはフィーの言うことを信じて、パーティ気分だった。
ファーガスが幽霊たちを連れてワイルドローズへやってきた。フィーたちが危ない。大人の霊から子供の霊まで大勢がファーガスに案内されて家の中に入ってきた。ファーガスがキッチンにいるフィーたちを見つけた。声をかける。しかしフィーも、モリーもみんな死人のメイクを施していた。まんまと幽霊たちをだまして助かったのだ。幽霊はファーガスに手を出した。引きずられてそのまま外へ連れて行かれるファーガス。その光景を見てフィー以外のみんなはあ然とした。一体何が起こっているのか見当もつかない。自分たちの命がフィーのおかげで助かったことさえも知らないのだ。フィーはリアノンの町のことを説明した。ハロウィンの日は避難所に行くか、町を離れてないと霊界につれていかれるといっても、もちろんだれも信じてはくれなかった。しかしあまりにも気味が悪いので大急ぎで町を去ることにした。
そのころファーガスは死体と一緒に葬られていた。これからまた1年間墓の中だ。
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第21話 オオカミ少女の秘密
グリム兄弟が赤ずきんの物語を書いて以来、オオカミには悪者のイメージがついてるよね。でもオオカミは自然界の立派な一員で、人間の敵じゃないんだよ。だけど伝説によるとこんな不気味なオオカミが存在する。真夜中になると狩りをする「オオカミ人間」。オオカミ人間っていうのは人間の頭脳とオオカミのどう猛さを持っていて、銀の銃弾で心臓を撃たない限り死なないんだって。だけどもしそれが愛する誰かだったら?
夜のハイウェイをツアーバスが勢いよく駆け抜けていく。今日の運転はモリーの担当だ。バスの中ではケアリーがモリーのギター指導を受けていた。ジャックは大学に行っているクルーと電話で話していた。モリーがちょっとよそ見をしたその瞬間、バスの前に何かが飛び出してきた。驚いて急ハンドルを切るモリー。急いでバスを止めて降りてみるが、そこにはうさぎの死骸があった。それはバスが引いた様子はなく、何か他の動物が殺したようだった。みんなは安心してバスに乗り込んだ。草むらの影から一匹のオオカミがフィーをにらんでいた。最後にケアリーはその場から赤いプラスチックのかけらを見つけてこっそりとポケットにしまった。
今夜の宿に到着した。プリティ・メドウズと言う名前の住宅を改造した小さな宿だった。モリーたちはさっそく宿の女主人のジュディとその旦那さんカールに挨拶をするとすぐに部屋に案内してもらう。フィーが部屋に入るなり、オオカミの遠吠えが聞こえた。しかしこのときは特に気に止めることは何もなかった。
翌朝フィーが目を覚ますと宿主の娘ローラが目の前に立っていた。ローラは10歳くらいの小さな女の子。フィーのことをお姉ちゃんのように慕っている。ジャックがローラの父カールに頼んで町まで連れていってもらうことになった。モリーは曲作りのため宿に残った。宿には宿主のジュディとモリーのふたりっきり。ジュリーは夫のことやローラのこと、ローラと出会った時のことを話し始めた。ローラには親はなく、長年子供をほしがっていたジュリーたちが養子にしたのだった。
町では最近オオカミが出てニワトリなどの家畜が殺されていた。町民はオオカミを捕らえようと皆で罠を仕掛けて各地を回っていた。大人たちが罠を仕掛けている間、フィーはローラとおしゃべりしながら歩いていた。ローラはおしゃれに興味があるらしい。ジュディに買ってもらったおもちゃの付け爪をフィーに見せていた。その時フィーが動物の足跡を見つけた。ジャックに見てもらう。オオカミにしては大きな足跡。何かありそうだった。
夜、フィーが眠りに落ちたところへケアリーがパソコンを返しに部屋に来た。その時ケアリーは昨日の晩拾った赤いプラスチックのかけらをフィーに見せた。それは赤い付け爪だった。それを受け取るとケアリーは部屋を後にした。彼と入れ違いに今度はローラがやって来た。一連のオオカミ騒ぎで眠れずにいたのだ。ローラはフィーのベッドのなかでぐっすりと眠った。
真夜中、モリーがフィーの様子を見に来た。開けっ放しの部屋の窓を閉めてフィーの寝顔を見つめた。しかし一緒に寝ているはずのローラはそこにはいなかった。
翌朝カールが世話をしているニワトリが1羽オオカミに殺された。フィーはカールを手伝って、壊れた柵を直していた。側では真っ昼間だというのに干し草の上でローラが眠っている。フィーはカールにローラのことをいろいろ聞いた。ローラを森で拾ったあと、病院に電話してどこの子か手がかりを探したり、新聞に広告も出したが親は見つからずカールたちが引き取ったのだ。
フィーにはすでに確信があった。犯人はローラだ。ネットで調べてみると変身できる人間のことが出てきた。相変わらずジャックはバカにするばかり。それでもフィーは真剣だった。このまま放っておくわけにはいかない。これはローラの命に関わることだ。夜まで待って行動を開始することにした。
朝の4時。真っ暗な家の中。フィーは足音を忍ばせてローラの部屋に向かった。しかし中にはローラはいなかった。急いでジャックとケアリーを起こして3人は森の中へとローラを探しに出かけた。ジャックが何かを見つけた。木の枝で三角に組まれた小さなテントの中央には衣類が落ちていた。ローラのパジャマだ。そのときオオカミが3人を見つけた。森を疾走する3人。オオカミはどこまでも追いかけてくる。家の中に入ろうとするが鍵がかかって入れない。急いでバスの中に乗り込んだ。間一髪で逃れる。
バスの外ではオオカミがのどを鳴らして威嚇している。どうにかやっつける方法はないかとジャックが考える。フィーは訴えた。「あれはローラかもしれないんだよっ!」ふたりは言い争いはじめるとケアリーがそれを鎮めるようにアイディアをだした。ケアリーがおとりになってオオカミをバスの中に呼び、その間にいちばん奥のフィーの部屋の窓からみんなが逃げるというものだった。フィーとジャックの二人は奥の部屋に移動した。ケアリーはバスの入り口を静かに開け、恐る恐るオオカミを呼んだ。
作戦は無事成功。オオカミをバスの中に閉じこめた。ジャックとケアリーは急いで大人たちを呼びに宿へ戻った。その時地平線には太陽が昇り始めた。バスの中から助けを求める声が聞こえた。ローラだ。フィーはゆっくりとバスの中に入ると、そこには衣服を着てないローラが座っていた。足は裸足で泥だらけ。疲れ切った表情をしている。ローラは自分でもなぜ変身するのかまったく理解できなかった。オオカミに変身し、夜な夜な動物を殺してまわる自分の存在を自分がいちばん怖がっていた。そしていつか両親にばれるのではないかとビクビクしていたのだった。フィーはローラを抱きしめた。そしてずっと秘密にすると約束した。
ジャックとケアリーがカールを連れてバスまでやって来た。二人にはオオカミは逃げたとうそを付いた。そしてフィーはローラをカールに引き渡した。
フィーは悩んだ。果たしてローラの秘密をカールとジュディに話すべきか。このままだとローラの命が危ないのだ。
牧場を眺めながらカールは悩んでいた。そこへそっとジュディが手をさしのべる。二人は抱き合った。その様子を2階の窓からローラは悲しそうに眺めていた。
ツアー一行が町をはなれる日がやって来た。町の住民はカールに呼び出されて彼の家の前に集まった。カールとジュディはローラの病気について話した。ローラは深刻な病気を抱えていて、もし皆が協力してくれるならローラはこの町できっと生きていけるかもしれない。町の人たちは快く協力してくれると約束した。
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第22話 愛のDNA研究
これは6歳のあたし。オフ・オフ・オフ・オフブロードウェイで「レ・ベジタブル」に出たの。トマトのあたしがママに手を振っているところ。その後トマトにはママなんかいないって分かったんだけど、トマトと人間には共通があるんだよ。どっちも何万っていう遺伝子から出来ている。不思議だと思わない?遺伝子についての研究が進むに連れて、人間の仕組みも分かってきたの。何もかもが遺伝子によって決められるっていう説もあるんだよ。でもどんな生き物も遺伝子だけじゃ説明出来ないものをもってるんじゃないのかな。特別な何かを。科学者はよく気をつけてないとそれ見落としてしまうかも。
ハリウッドのライブハウス。モリーはリハーサルを行っていた。今日はレコード会社が9社も見にくるのでとても緊張していた。フィーにお客さんがやって来た。ライアンと名乗る男の子はフィーと同じ14歳。ウェブサイトを見てフィーのことを知ったらしい。ライアンはフィーの得意とする『不思議なこと』よりも、亡くなったリックに興味があった。というのは、ライアンも幼くして母親を亡くしていたのだ。このことをフィーに話したくて彼女を訪ねてきたのだ。ふたりは意気投合した。いい雰囲気だった。その時ライアンの携帯がなった。ライアンの父親からだ。電話の会話を聞いてフィーはビックリした。ライアンは遺伝子学の教授で父親と一緒に共同研究を進めている最中らしい。ハンティントン病の治療法を研究しているのだ。父親に呼び出されたライアンはフィーにメールすることを約束してその場を立ち去った。フィーはすっかり舞い上がっていた。
ライアンとの電話を切った後、彼の父デレク・オルマンはパソコンに向かっていた。それにはライアンの成長記録をつづった発育日誌が保存されていた。今日もデレクはライアンが待ち合わせに遅れた理由と時間を記録していた。そのほかにも事細かくライアンの行動を記録していた。データアップした後デレクは保管庫にしまい鍵を掛けた。
その晩、フィーはモリーと一緒にペディキュアを塗りながら部屋でライアンからのメールをじっと待っていた。そこへジャックがモリーに新聞を届けに来た。モリーが待ちに待ったライブ批評だ。タイミング良くフィーにもメールが届いた。ライアンから家に遊びにおいでとの誘いのメールだった。モリーはジャックが付き添いをする事を条件にOKした。初めてのデートにフィーは大喜び。明日はゆっくりライアンに会える!
ライアンの家にある大きなプールでジャックは大はしゃぎ。プールサイドでフィーとライアンがおしゃべりしている。ライアンの研究のことや、彼の母親のこと。ライアンは母親について何一ひとつつ思いでを持ってなかった。ライアンの父親がファイルを作ってクローゼットに隠していることは知っているものの、それもライアンは見たことがなかった。フィーは奇妙に感じた。家族のファイルを作るなんて。ライアンが見せたい物があるというので、ふたりは家の中に入った。
ライアンは父親の書斎に入るとひとつの箱を手にした。ふたを開け、中から写真をとりだした。父親の昔の写真だがライアンに実によく似ていた。あまりに似ていたのでフィーは驚いた。ライアンが新聞の切り抜きを見つけた。母親の死亡記事だった。おかしな事にこの死亡記事にはライアンのことも父親のことも一切記載されていない。さらにフィーがすごいことを発見した。この記事の日付は16年前。まさかそんなわけがない。ライアンが生まれる前なんて。ライアンは印刷が間違っているだけだと言い張ったが、内心動揺していた。フィーにはそれが分かっていた。ちょうどその時ジャックが呼びに来た。もう帰る時間だ。気まずい雰囲気になったが仕方なくフィーはバスに戻った。
その晩、フィーはライアンの父デレク・オルマンの研究について調べていた。昔のことだがどうやらクローン人間の研究をしていたようだ。
翌日フィーはライアンに呼び出され彼の大学へやって来た。ライアンは昨日の態度を謝るなり、自分でもいろいろ調べた結果をフィーに知らせた。父親から教えられていた病院とは別のところで生まれて、出生証明書はにせ物だった。母親だと見せられた写真の人物は実は母親ではなかった。そこでフィーは昨日調べたデレク・オルマンについての記事のプリントアウトをライアンに手渡した。それはクローン人間に関する記事だった。それに目を通すなりライアンは昨日よりも増して怒った。クローン人間だなんて人を化け物扱いして!それにこんな昔に技術が発達している訳がない。フィーは怒りをむきだしにしたライアンに一言謝った。階段教室の上からライアンを呼ぶ声がした。父親のデレクだ。研究の補助金のことを知らせに来たのだ。ライアンはフィーを紹介して、自分の研究室へと向かった。彼は父親の髪の毛をこっそり取っていた。これで全てが分かる。
フィーとふたりで研究室に大急ぎで向かった。ライアンのDNAと父親のものを一致するかどうか調べていた。ライアンはフィーの仮説を試すつもりなのだ。フィーが研究室を離れているときに結果がでた。ライアンは黙ってコンピューターの画面を見つめていた。画面には【DNA一致】の文字が。フィーが自販機で買ったおやつを持って研究室に入ってきた。検査の結果を見るなり言葉を失った。ライアンは父親デレクのクローン人間だったのだ。フィーを置いて研究室から出ていってしまった。
父親が講義をしている最中だというのにも関わらずライアンは父親を呼びだした。講義なんてどうでも良かった。今は真実をはっきりさせたかった。ライアンは父親に大声で怒鳴った。自分がクローンだということ。自然に生まれたのではなく試験管で作られたということ。怒っているライアンを目の前に父親はまったく的はずれなことばかりを言いだした。今まで毎日ライアンの健康状態を調べているのでどこもおかしなところはない。それにライアンの存在が世界を変えるのだと。研究のことばかりを考えていたその目は多少興奮ぎみだった。ライアンはがっかりした。父親の手を振り払って外へ飛び出してしまった。フィーは言った。ライアンを追いかけてあげて、愛情を見せてあげてと。けれど父親はその場を動かなかった。
ライアンはひとりで研究所のそとにある噴水の側にすわっていた。水面に映る自分の姿を見つめながら。生まれたときから自分は自分じゃない。父親のDNAしか持っていないのだ。今まで母親の影を探して悩んだことはすべて無意味だった。苦しみをフィーに一気に吐き出した。父親と同じだと何度も繰り返すライアンに向かってフィーは優しく言葉をかけた。「君は君だよ。DNAがすべてじゃない。」それでもライアンは前を向こうとしなかった。肩を落としたライアンにフィーがキスをした。「私は君が好き。」彼を励ます精一杯のことばだった。
デレクがやって来た。ライアンに本当のことを話すためだ。母親だと偽っていた女性はデレクの昔の研究パートナーで名前はシーラといった。人間のクローン化の一歩手前までいったが、病気で命を落としたのだ。彼女を愛していたデレクは彼女のためにも研究を完成させなければと考え、夢のためにも自分のクローンを作って研究を進めたのだ。そして彼女をむしばんでいった病気を治療法を発見するのだと。デレク自身もとても苦しんだのだ。「おまえは私ではない。別人だ。」ライアンにはっきりと伝えた。そして涙を見せながら謝ったのだ。
フィーは急いでモリーのライブに駆けつけた。ラストに間に合った。会場は拍手喝采で大盛り上がり。大成功だった。ライアンとデレクが会場までお礼を伝えにフィーを訪ねてきた。これからまたモリーのツアーが始まる。ライアンともしばらくは会えなくなる。ライアンはフィーにお別れのキスをした。
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23話 オーパからのメッセージ
場違いだなぁって感じた事ある?それって君が初めてじゃないよ。例えばこのバッテリー。1957年にイラクで発見されたの。しかも2000年前の遺跡の中から。実はここ2,30年、考古学の発掘現場からあるはずのないものが見つかるっていう例が相次いでるんだよ。そういうのはオーパって呼ばれている。場違いな人工物って言う意味。この点火プラグもそのひとつ。カリフォルニアのコソ山脈で発見されたんだけど、大昔に医師の車を作った文明があったのなか。だとしたらその技術はどこから手に入れたの?(画面をエイリアンの人形が通る)ゴメン、答えは秘密なんだ。
今度のツアーがレコード契約前の最後のツアーになりそうなツアー一行はホテルに着いた。南国の花があちらこちらに飾られている。ジャングルのようだ。受付にチェックインしようとしたら、なんとそこにいたのはあのタッド・ラクサルだ!モリーの姿を見るなり以前と変わらないハイテンションでまくし立てた。タッドはツアーがこのホテルにやってくることを事前に調べて先回りしてきた。しかし本当の目的を隠してタッドは嘘をついた。フィーに表情で合図を送りながら、「出張先でもあったし、フィーに最新ソフトをあげる約束をしていたんだ。」フィーはうまく裏口を合わせた。タッドは別れ際にモリーにバラを一輪差し上げた。
タッドはフィーに呼ばれてホテルのラウンジに座った。これは何かある。フィーはすでに勘づいていた。タッドはモリーに会いに来たなんて言ってたけど、それは絶対に違う。ヴァージニア州のこんな小さな町に出張だなんてあり得ない。フィーはタッドがブツブツと独り言のようにしゃべっているのを聞きながら、この町のことを調べた。するとこの町にCIA本部があることが分かった。いとも簡単にフィーにばれてしまったタッドは本当のことを話してくれた。タッドはCIAに仕事を依頼されてここまでやって来たのだ。依頼物は丸いチーズのような鉄板。素材はベリギューム合金。CIAはタッドに3Dモデルを作るよう命令したのだった。しかしタッドにはこれが何なのか分からなかった。タッドは自分が作ったモデルをフィーに見せながらいろいろ話しつづけた。
その様子を遠くからじっと見つめているひとりの男がいた。黒いスーツに身を包み、ポケットから何かを取り出した。小型のコンピューターだった。画面を見ながらフィーとタッドを観察していた。その時入り口からラウンジへ勢いよく入ってきたケアリーとジャックが、その男にぶつかった。ケアリーは偶然にもコンピューターの画面を見てしまう。なんとそこにはフィーの顔写真が表示されていた。スーツの男は逃げるようにラウンジから出ていった。
フィーの横に座ったケアリーは男の事をすぐに知らせた。さらに驚くことに、その男はタッドの依頼人だったのだ!さらにケアリーは事件を知らせた。さっきフィーたちの部屋に何者かが忍び込み、荷物を開けられていたのだ。何も盗まれてはいなかったが、誰かがフィーたちを狙っているのは確かだった。
フィー、ジャック、ケアリーの3人はタッドに案内されてある建物へやって来た。タッドが依頼物を見せてくれるというのだ。ケアリーはあちこちデジカメで撮影している。いよいよ「チーズ」とのご対面。それは直径が1メートル、厚さ30センチほどの鉄板に無数の丸い穴が並んでデザインされている。その穴のひとつひとつにふたが付いている。フィーが顔を近づけて、このチーズが一体どこからやって来たのか考えていた。とたんにその鉄板の穴が開いたり閉じたり、素早く動き出した。驚く4人。その時外から誰かが入ってきた。タッドは裏口からフィーたちを逃がした。
フィーはタッドと一緒にネットで調べてみた。あのチーズはオーパかもしれない。海に沈んだ古代文明アトランティスで作られたコンピューター。さっきケアリーが撮った写真をプリントしながら考えていた。フィーは思いついた。もしかしてフィーの心を読んで返事をしたのかも。しかしタッドは否定した。
フィーはホテルの部屋に戻っても、オーパの写真を片手にずっと考えていた。フィーが新たに思いついたのは二進法。もしこのオーパがコンピューターなら、その仕組みと同じ二進法が当てはまるかもしれない。開けると閉じるで1と2を表している可能性が高い。もうしばらく考えてフィーがまた発見した。二進法を当てはめたらある数字が出てきた。【34,58,12】と【23,43,27】この数字を手がかりにさらに調べ上げた。地図の座標にこの数字を当ててみると・・・アトランティスと場所が一致したのだ!アトランティスのコンピューター。フィーは絶対にそうだと確信したが、ジャックはあり得ないと否定するばかり。ケアリーの提案でもう一度あの建物に向かった。真実をはっきりさせるために。
フィーとケアリー、ジャックはオーパの前に立った。その時進入したのがバレたらしく、追っ手がやって来てしまった。逃げ道のドアはロックされてしまった。逃げ道がない!フィーは勢いでオーパを持って逃げてしまった。
どうにか逃れてホテルまでやってきた3人。デート中のモリーとタッドに助けを求めた。フィーがオーパを抱えているのを見て驚くタッド。皆で逃げようとしたその時、追っ手に囲まれてしまう。そしてオーパも取り上げられてしまった。奴らはCIAの人間ではなかったのだ。
あれから、ケアリーが撮ったオーパの写真や、フィーが調べた緯度と経度の数字のメモなど、オーパに関する資料は全て盗まれてしまった。タッドもファイルを全て盗られていた。タッドはモリーを励まし、ツアー一行と別れた。
どこかの海の上。1隻の船が海上をさまよっていた。船内ではフィーとタッドを狙った男たちがオーパを前に研究を続けていた。オーパが動いた。小さなパネルを動かして、何か文字を表した。アルファベット2文字FとI。フィーの名前を表示させたのだ。しかしそれを見ている者は誰ひとりいなかった・・・
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第24話 死を予告する精霊
ママのファミリーがアイルランドから来たって知って以来、私はアイルランドに夢中。アイリッシュダンスのレッスンも受けたんだよ。でも足が痛くて1週間でやめた。で、代わりにアイルランドについての本を読み始めたの。そしたら面白いんだぁ。このすっごくきれいな国には伝説の魔物がいっぱいいるんだよ。私の知る限りでは世界中のどこよりもたくさん。中でもいちばん怖いのは、バンシーっていう女の精霊。鳴き声で死を予言するって言われてるの。その声は捨てられた赤ちゃんの泣き声と、迷える亡霊の悲鳴を混ぜたような感じなんだって。午前2時に聞きたい声じゃないよね。でもその時間に現れるらしいよ。ある伝説によると、バンシーは王族や貴族の家にだけ現れるって言うけど、古くから続いている家ならどこにでも出るっていう話もある。特に音楽の才能に恵まれた家。うぅ〜こわっ。
モリーは今日は久しぶりにジャックとフィーを連れて実家を訪れた。フィーのおばあさんキャスリーンは孫たちを見るなり歓迎した。おじいさんのコリンもジャックやフィーに久しぶりに会えたことをとても喜んでいた。しかしモリーの顔を見るなり表情が固まった。モリーも久々に父親に会ったわりにはよそよそしかった。
リビングではさっそくコリンとジャックがチェスを楽しんでいた。モリーがおみやげを手渡すが、コリンはただ眺めてソファの上に置いてしまった。モリーは息が詰まる思いだった。キッチンに行くとキャスリーンがクッキーを焼いてくれていた。モリーは必死に涙をこらえながらレコード契約が決まったことを話した。おばあさんはとても喜んでくれたが、まだコリンに話す勇気が出ないのだった。モリーは昔から父親とあまりうまくいっていなかった。
真夜中、フィーはベットの中で奇妙な叫び声を聞いた。そっと寝室から出て、声のする方へと向かった。声はコリンの寝室からだった。その瞬間、コリンが寝ている枕元で女の幽霊がおじいさんを襲おうとしていたのだ。フィーが叫ぶと幽霊は消えていた。
翌日フィーが見た物を説明したが、モリーもジャックも信じてはくれなかった。フィーが昨日聞いた赤ちゃんの叫び声のような音も、聞いてないという。5人は森の散歩途中、奇妙な岩を見つけた。アイルランドのケルト民族のお墓、ケルンだった。キャスリーンの顔色が変わった。
散歩から戻るとフィーはおばあさんのキャスリーンからいろんな話を聞いた。オーシャノン家の家系の不思議な力や、バンシーについて。オーシャノン家には昔から死を予告する精霊バンシーが取り憑いているという言い伝えがあったのだ。キャスリーンはバンシーが毎晩コリンの元にやって来ていることを知っていたのだ。
モリーはコリンの寝室に言った。実家に帰ってきたものの、ろくに話をしていないので今回こそはきちんと話をしようと勇気を出したのだ。そしてレコード契約が決まったことを伝えた。しかしコリンは「大丈夫だろう、今まで通りだ。」とそっけない返事を返して、読みかけの新聞に目を向けた。モリーはとうとう気持ちが押さえきれずに爆発した。モリーは単に父親に一度でいいから誉めてもらいたかったのだ。そんなモリーを「昔から人の意見なんて耳も傾けなかったくせに、今更どうアドバイスしたらいいのか」とはねのけるだけだった。モリーは涙を流しながら自分の寝室に行った。今回の帰郷も前と変わらず、お互い分かり合えないまま終わってしまうのだろうか…
フィーは何とかしてコリンを助けようとした。夜中からジャケットを着て出かけるところだった。コリンに付きまとっている霊が一体何なのか突き止めるつもりだ。ジャックがあきれながらも心配して付いていくことになった。ふたりは懐中電灯ひとつで森に入った。その時あの【声】が聞こえた。ジャックが声のする方へ向かった。フィーが振り返るとケルト民族のお墓ケルンがそこにあった、その上にはなんとバンシーが舞い降りていた。
バンシーはオーシャノン家のことをなんでも知っていた。フィーのことももちろん知っていた。フィーはバンシーにお願いした。コリンから離れて病気と闘うチャンスを与えることを必死にお願いした。森の中をさまよいながら、バンシーに導かれてフィーはある建物へとやってきた。中にはオーシャノン家の人物、フィーの曾祖母フィオナの肖像画が飾られてる。フィーはもう一度バンシーにコリンを殺さないように頼んだ。バンシーは言った。「バランスがある…誰かが死んで、誰かが生きる。人間の願いなんて何の意味もない。」フィーはそんなことに納得はしなかった。そして大声で叫び続けた。「私が寝ている間パパを殺したくせにっ!!」しかしバンシーはリックを殺してない。リックを殺したのは別の誰かだとフィーに教えてくれたのだ。そしてフィーのおじちゃんを殺さないと約束した。
モリーが部屋で荷造りをしていた。予定通り、明日帰る準備をしていたのだ。そこへコリンが入ってきた。さっきのことを誤りにきたのだろうか。だけど昔の事、モリーが10代で荒れていた時のことを持ち出しては言い合い寸前だった。コリンはモリーがカバンに荷物を詰め込むとき、何かを見つけた。モリーが書いた曲の楽譜だった。その曲を聴かせるように言ったがモリーは今歌を歌える気分ではなかった。しかし「おまえが聴かしてくれないなら下でピアノを弾いてやる。」と嫌みを言われたので、ため息と付きながらモリーはギターを握った。モリーの歌は父親への愛情が込められたとても素敵な歌だった。初めて娘の歌を聴いたのだった。そして初めて娘を誉めた。
翌日、玄関にはモリーが持ってきたおみやげのプレートが玄関の入り口に飾られていた。アイルランド語で文字が書かれたウェルカムプレートだ。コリンとキャスリーンは孫たちにキスをし別れを惜しんだ。そしてモリーを抱きしめた。長年積み重ねられつもった確執が消え去り、ふたりはやっとわかり合えたのだった。モリーは言った。「大好きよ、お父さん」コリンも娘を抱きしめながら答えた。「俺もだ」
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