東京都青少年育成条例の改正に対する抗議表明

東京都の青少年育成条例の改正に、
東京都民として抗議します。









 遂に12月15日、条例改正案が付帯決議付きで可決されました。
但し付帯決議そのものには法的拘束力は無く、無視して運用してもそれに
対する処罰はありません。あくまで付帯決議に反した運用をするなという
注意・勧告のみです。

 『非実在青少年』という定義は削除されましたが、『表現の自由の確保
が充分でない』『規制範囲が広い割にその解釈が曖昧で恣意的に運用され
る可能性が大』『不当であるという事の判断根拠が不明確』という三点の
理由において、青少年育成条例の改正された内容に抗議を表明します。

 改正案に対する問題点は山口貴士弁護士のブログ記事も参照下さい。


 アニメと漫画、ゲームを規制対象としての改正が行われています。なぜ
小説や実写映画を省いたのかについては明確な答えが出ていません。また
過去の作品についてこの規制が及ぶのかについても不明確なままです。
「『風と木の詩』や『火の鳥』は規制対象になるのか?」「なりません。
名作ですから。」という回答すら出てくる始末です。誰が名作か否かを決
めるのか、なぜ規制対象とされているのに名作は対象外になるのか?
 こういうのを恣意的運用と言うのです。法律・条例は人によって解釈が
違わない為に明確にその目的と運用細則を設ける必要がありますが、この
改正はどうにでも解釈できる余地を残したままになっています。条例を運
用する者に優しく、運用される者に厳しい内容です。
 あくまで販売規制と言われていますが、いつ規制対象となるか判らない
出版物を販売店側が扱うのはギャンブルです。今回は対象外、次回は対象
というのは販売側が一番嫌います。結果として販売が拒否される事になり、
販売規制が表現規制を産む事になります。これを狙っての改正と言われて
もおかしくはありません。


 改正案の提出時点から問題は既に存在しています。第28期東京都青少年
問題協議会議事録を以前から引用して指摘していますが、忘れない為にも
掲載し続けます。このような発言をするような人々の議論をもって「議論
を尽くした」と認めるわけにはいきません。
 議事録はこちらから辿れば全て読めます。
 例として第8回専門部会議事録議事録を参照下さい。

「極論を言うと、示す必要もないくらい当たり前、正論でガンと言ってい
いのではないのかなと」(同議事録より引用)
 何をもって、何を根拠として『当たり前』というのか、議論として必要
な「証拠・データを示す」事を省くのが『当たり前』なのでしょうかね?
本当に自分が正しい事を言っている、という根拠を示さずに、何が『当た
り前』ですかね?
 こういった結論ありき・自分の主観を公の意見と思い込みすり替え・反
論を受け付けない、という行為を平気でできる人達の議論を元に改正案を
採決するのは非常に恣意的かつ危険であり、何が何でも規制という考え方
は粗野で暴力的と言わざるを得ません。
 今回の改正で第七条に加えられた二号にある、「刑罰法規に触れる性交
若しくは性交類似行為」は刑法だけでなく都道府県の条例なども含まれま
す。都議会で恣意的に条例を作る事で規制範囲を拡大できる事になり、非
常に危険です。
 
 「青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」という、解釈が曖
昧な文言を含む上、「不当に賛美し又は誇張するように」描写・表現され
た物を制限するという、何を指すのか定かでないものを根拠にして規制を
設けています。「誇張」という言葉も、描写・表現の程度なのか、分量な
のか、何をもって誇張とするかが明記されておらず、曖昧かつ意味不明な
ものになっています。これで改正に賛成しろという方が無理です。

 かつての治安維持法も「共産主義は絶対悪だ」という偏見と戦争継続の
為の批判封じから出た「国体護持が最優先である」という空気から生まれ
ています。そしてそれらの法律から、新聞用紙の統制令などが発布され、
国策に批判的な記事を書くと新聞用紙を供給しないなどの恣意的手段を用
いて出版そのものを規制していきました。今回の都条例の改正も、同じ事
をしないと誰も言い切れません。むしろ、治安維持法・国家総動員法を下
敷きにしたんじゃないかと疑いたくなる位に曖昧な言い回しで解釈・恣意
的運用の余地を残したものになっています。
 かつて、治安維持法に基づく捜査で小林多喜二らが獄中死し、横浜事件
などの悪しき司法の歴史を作りました。一枚の写真から秘密集会が行われ
たとして法に問い、拷問で自白を強要して短期結審で被告者を有罪と判決
する・・・これは実際にあった事です。このような悪しき例を二度も繰り
返してはいけません。



 2010年12月25日 おおたいさお
 本名と住所は救済の技法ページに書いています。





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