「冒される日本人の脳
−ある神経病理学者の遺言」
白木博次著・藤原書店刊
1998年12月・3000円
この本は、表題から容易に想像できるように、日本人の脳がワクチン被害をふくめ種々の人工的環境汚染物質の影響による障害を受けており、それらの影響が子孫にも及ぶであろうことを警告する著者の科学的執念の産物と言える。精神・神経系の臨床医でもあった著者の眼は常に患者一人一人の症状に向けられており、そのヒューマニズムに裏打ちされた基礎医学者としての科学的探求と理論の結晶がこの本である。
スモン、ワクチン禍、水俣病の神経病理学的研究に基づいてそれらの裁判にも関わり、因果関係判断の基準とすべき「白木4原則」を確立したことは、著者の最大の社会的貢献であろう。この原則は今後、いわゆる環境ホルモンによる障害やバイオハザードの領域における因果関係判断に際しても適用すべき原則である。また、著者は昨今の病理学の極端なデータ数値化(客観化)の傾向を批判し、個々の患者の記録や主観的訴えに十分耳を傾けて判断することの重要性を主張している。そして、行政当局(厚生省、環境庁等)の御都合主義とそれに追随する御用学者たちへの批判の筆鋒もまたきわめて鋭い。
なお、著者は予研(感染研)裁判の原告を支持しており、この書でも予研問題に触れた文言(109ページ)がある。環境問題やバイオハザード問題に関わる人にとり必読の書である。
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