犬のいろいろな品種は、人と暮らす長い歴史の中で、働く目的によって、よりその能力に長けた犬を作り出すために生まれてきました。純血種の犬とは、その品種に求められる能力や容姿の特長を固定化し、代々維持するために血統管理された犬のことを言います。
歴 史
-Breed History-
スプリンガー・スパニエルはコッカー・スパニエルと祖先を同じくする古い歴史を持つランド・スパニエル(銃猟犬として獲物(鳥)を飛び立たせ、撃ち落した鳥を回収する犬)で、1800年代までは同腹の子犬として産まれた犬を体の大きさだけで区別していました。1902年にイギリスのケネル・クラブがイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルを独立種として認定し、コッカー・スパニエルと分離されました。
一方アメリカにおいては、1880年にアメリカン・スパニエル・クラブが発足し、当初はやはり体の大きさで分けられ、28ポンド(12.7kg)を越えるものをスプリンガーとしていました。1924年にイングリッシュ・スプリンガー・スパニエル・フィールド・トライアル・アソシエイション(ESSFTA)が設立されて以来、この犬種はより知られることとなり、1927年にAKCの公認犬種となって犬種標準(スタンダード)が制定されました。
それ以来ショー用のスプリンガーの育成も始まり、1犬種として次第に特徴が一本化されることとなりました。また、ESSFTAは毎年フィールド・トライアルを開催し、この犬がいかに鳥猟犬として優れた能力を持っているかを大衆にアピールするように努めました。その結果スプリンガーは訓練次第で期待通りの能力を発揮してくれることが認知されるところとなり、明るく陽気な性格の家庭犬としても不動の人気を確立するに至ったのです。
犬種の特性と性格
-Temperament-
犬種標準の概要に、「全体的に見て、本犬種は困難な狩猟条件下でも活動しつづける事が出来、さらにそれを楽しむ気配さえ感じられる。典型的なスプリンガーは、スタイル、シンメトリー、バランス、仕事への情熱に恵まれ、優美と実用性とを兼ね備えた、まさにスパニエルのキャラクターにふさわしい生え抜きの鳥猟犬である」とあります。
本来のスプリンガーは親しみ易く、主人を喜ばせたがり、物覚えが速く、従順な性格であり、家庭の良いコンパニオン・ドッグとしての人気の高い犬です。
しかし、内面には脈々と「キング・オブ・スパニエル」の名に恥じない、上記の概要にある優秀な猟犬としての血が流れており、主人と一緒なら困難な条件をものともしない強い精神力と勇敢なチャレンジャー精神、1日中でも鳥を捜してフィールドを走り回れる疲れを知らぬ運動能力を持った犬でもあります。
日本ではショードッグ系統の犬が家庭犬として飼われることがほとんどですが、それでも屋外に連れ出した時に見せる活き活きとした表情とエネルギッシュな動きを見れば、その能力が決して失われていない事に容易に気付くでしょう。
しつけ易さについては、オス・メスの性差はあまりありませんが、オスの方がメスよりも体格が大きく、自信があって支配的な傾向があり、メスは飼い主に逆らうような所はあまりありませんが、焼きもち焼きであったり、甘えん坊で独りぼっちに弱いなどの傾向があります。
問題点と注意点
-Problems-
よく、犬の本などにはスプリンガーはただ飼い易い家庭犬として紹介されています。
だからと言って、まったく手のかからない犬ではありません。 成犬になると長くなる美しい被毛はお散歩後の手入れと定期的なトリミングが必要ですし、エネルギッシュで活動的な性質を満足させるためには内容の充実した相当の運動量も必要です。
また、優秀な鳥猟犬は自主性の強い積極的な性格を持ち合わせていますので、飼い主にもその高い能力をコントロールできる能力が要求されると言っても良いでしょう。 飼い主が控えめで犬の思うままに扱われてしまうと、飼い主が犬に言う事を聞かされ犬に支配されるという状況が容易に起こります。
また、他犬種にも同じ事が言えますが、ショー用として姿の良さを追い求めるあまり、近親繁殖や性質上の欠点を無視する繁殖が行われた結果、スパニエルにはふさわしくない、臆病で積極性に欠ける、内向的で繊細すぎる性格の犬が増えています。家庭犬で飼うぶんには大人しい方がと思われがちですが、シャイな性格の犬は教育を間違えると攻撃的になり易く、陽気で安定した性格の犬に比べて何倍も取り扱いに注意を要します。
シャイな犬は良きリーダーには絶対の忠誠を誓い、そのことで安心感を得ることが出来ますが、絶対的なリーダーが不在の場合は、不安感から同等か下位の者に対して必要以上に自分の立場を守る行動が目立ち、攻撃も容赦をしない面を併せ持っています。
飼い主が犬の絶対的なリーダーであれば何にも問題は起こりませんが、飼い主のリーダーシップが弱かったりすると、家族や他犬とトラブルを起こすことも多いのです。
最近のスプリンガーの噛み癖はほとんどが後者のシャイな犬の馴致(社会化)と教育の失敗が原因と言ってよいでしょう。 もともと強い部分を持っている犬なので、シャイで抑圧されている部分が大きいほど反動で強い攻撃性が弱い者に向けられます。 教育方法を間違えると、飼い主に叱られる事を攻撃されると思って先に反撃に出るケースも多く、追い詰められると見境なくなってしまう事もあります。
飼い主は愛犬の性格を普段からよく見極めて、小さいうちからしっかりリーダーシップをとれるように、正しいしつけ方を学ぶことが大切です。

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