萌え萌えですぅ

「教授・・・準備できました・・・」
「うむ・・・」
白髪の髪をかきあげると、教授は後ろのパイプ椅子に腰掛けている若い男に声をかけた。
「・・・いいんだな?」
「・・・ああ」
男はにやりと笑った。
教授の指がキーボードをたたくと、コンピューターの脇に置いてある重厚な鉄の扉の小窓から激しい光が飛び散る。
いく秒かののち、光は収まり、やがて重厚な扉は白煙を上げながら開いた。
男は白煙を気にするようでもなく、扉の中を覗き込み、
「・・・完成だ・・・」
とつぶやき、なにかを手にとった。

「いくのか・・・」
「ああ、俺を待つものがいるんでね」
男は笑っていった。教授が手を差し伸べると、彼はその手をとった。
そして、手を離すと、白衣を翻し、新緑の茂る研究所前の道を歩いていく。
「教授・・・」
教授の隣にたっていた助手が不安げな表情で言った。
「彼は・・・いったい・・・」
教授はタバコを取り出すと、口にくわえ、ライターで火をつけた。
一口吸い込み、タバコを口から放して、大きく煙を吐き出す。
「・・・わからん・・・ただ・・・」
「ただ?」
教授はもう一度、煙を吸い込んだ。
うまそうに目を細める。
その顔は、なにか大きなことをやり遂げた顔だった。
「ただ・・・」
「ただ?」
教授は煙を吐き出し、
「見ず知らずの部外者だったことは確かだ・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
教授は道に目をやる。
男の姿はもう見えなくなっていた。
「願わくは・・・もう会いたくないものだ・・・」
「・・・そうですね」
二人は黙って男の消え去った道のかなたを眺めていた。





第1話ッ!「ニーソックスは愛と平和の象徴なの!?」






「じゃね!もえピー、ごめんね」
「うん、じゃ〜ね〜、ゆっちゃん」
由子が手を振ると、萌子はそれに答えた。
由子が教室の扉をぴしゃりと閉めると、いよいよ教室には萌子一人になってしまった。
「はうぅ〜〜〜」
大きなため息。
萌子の机の上には、ピンク色の毛玉と編み棒に絡まった毛糸が散乱していた。
「・・・・はうぅ〜〜〜」
再び大きなため息。
自分の不器用さを呪う瞬間だった。
「・・・・・よし!気分をかえよう!」
そういって萌子は椅子から立ち上がり、教室の窓を開けた。
立て付けの良い窓枠は、何の音も立てずに開く。
窓を開けた瞬間、教室に風が舞い込み、萌子の短く切りそろえた前髪をふわりと舞い上げた。
「う〜〜〜〜〜〜ん、いい風だなぁ」
萌子は大きく伸びをする。
かすかに風には潮の香りが混じっていた。
「綺麗だなぁ〜〜〜〜」
窓の縁に手をついて、萌子は乗り出すように外を見た。
木々が風に揺られ、新緑の向こうにマンションや白い研究棟がいくつも見えた。
さらにその向こうには、蒼くカーブする水平線が見える。
太陽を反射しきらきらと輝く水平線は一瞬ごとにその姿を変えていく。
ふと空を見ると、かもめたちが街に寄り添うように、飛んでいた。
「気持ちいいなぁ・・・これが課題で残ってなければ最高なんだけどなぁ・・・」
窓の縁にあごを乗せて、猫のように目を細める萌子。
そのとき、背後で教室の扉が開く音がした。
「はうぅ!」
萌子は振り返り、慌てて頭を下げた。
「ごめんなさい、ごめんなさい。サボってたんじゃないんですぅ。ただちょっと気分転換してて、 それでちょっと気持ちよくなっちゃって、気が付いたらうとうとってそうじゃなくて、え〜と、 その、そう!イメージを練ってたんです!この方法でいいのかなぁ、とか、この色使いでいいのかなぁ、 とか、完成できるのかなぁ、とか、今日の晩のおかずは何にしようかなぁ・・・ってこれはちがくて そのえ〜と・・・はうぅ、ごめんなさい、まだできてません、藤野先生〜」
「・・・・萌子、あなたに謝られるいわれはないわ・・・」
「えっ?」
萌子は頭を上げた。
と、そこには少し裾がだぼついた感のある制服を着ている少女。
「はうぅ、芹ちゃんかぁ」
「・・・相変わらずあわてんぼうね、萌子」
とクラスでも背の低いほうである萌子よりさらに頭半分低い少女、芹が言った。
「びっくりだよぉ、芹ちゃん。藤野先生かとおもっちゃって」
「びっくりするのは、まだ課題ができてないから?」
「うっ・・・・ううぅ〜〜〜〜〜〜」
思わず涙目になる萌子。
芹は教室に入ってくると、ちらりと萌子の机の上を見た。
「・・・まだおわってないようだけど?」
「・・・はうぅ、ごめんなさい」
やはり頭を下げる萌子。
芹は小さくため息をつくと、萌子の隣の席の椅子を引いて座り、
「手伝うわ」
と言った。
「え、いいよぉ。だってそんなの悪いし・・・」
「いいのよ、気にしないで。やるのは萌子、私はアドバイザ―」
「はうぅ、わかりました。やります」
萌子は肩を落とし、自分の椅子に座った。
「ごめんね、でもどうしてここに」
萌子は編み棒を動かし始めながら言った。
芹の教室は同じ学園都市の西方校舎の中といっても、結構離れているので、教室まで尋ねてくるのは珍しい。
「さっき由子さんからメールが届いたの。萌子の面倒見てあげてって」
そこ違う、と指摘しながら、芹は言った。
「え、ゆっちゃんが?」
「ええ・・・萌子一人じゃいつまでたっても終わらないから、バイトの私に代わって面度見あげてって」
「はうぅ、ゆっちゃん。感謝だよぉ」
萌子は再び涙を流した。
「もちろん芹ちゃんにもね♪」
「いいわ、そんなの。ミルフィーユ3つ分だから・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
ちょっとだけ友情を疑う萌子だった。
「それより・・・」
「なに?」
「なんで今ごろ編物・・・しかもマフラーなんて編んでるの?」
「う、うぅ〜〜〜」
「もうすぐ赤道よ、こんなものいまさら何に役に立つの?」
「はうぅ〜〜〜」
「藤野先生も、もう少し考えればいいのに・・・」
「・・・違うの」
芹の言葉をさえぎるように、萌子はつぶやいた。
芹の顔に?が浮かぶ。
「あのね・・・課題が出たときは・・・冬前だったの・・・」
「・・・・・・・・・・」
「でね・・・・ちょっと・・・・間に合わなくてね・・・・それで・・・・」
「・・・じゃあ、課題が出たのは日本列島付近だったってこと?」
「・・・・うん」
「・・・日本付近をこの街が回遊してたのは、2ヶ月前のことよ」
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜」
激しく落ち込む萌子。
その姿を見て、芹は聞こえるほどにため息をついて、
「まぁ、いいわ。海上回遊都市じゃ冬の次が夏だったりするし・・・」
とフォローぽいことを言う芹。
「そんなことより、早く終わらせないと。藤野先生どうこうより、このままじゃ真夏にマフラー巻くことになるわ」
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
激しく落ち込む萌子だった。

「芹ちゃんありがとうね」
「感謝してもらうなら、物品でお願いね」
「はうぅ、わ、わかってるよぉ」
傾斜のある坂道はまっすぐに下の街に伸びている。
青々とした街路樹も今は赤く染まっている。
街のどこからも見える水平線の向こう側に太陽が隠れ始めていた。
きっと反対側の街では星空が水平線の向こうから顔をのぞかせているだろう。
「あれ、そういえば、芹ちゃん」
「なに?」
と芹が言った。
「芹ちゃんのそれって・・・ニーソックスだよね?」
芹の足には大きめのスニーカーと白いニーソックスが履かれていた。
「ええ、それが?」
「う〜ん、だって・・・」
萌子が困ってように言った。
「最近、TVで話題になってるから・・・その・・・」
うん?という顔の芹。
「ニーソックスを履いた子が襲われるって・・・」
「そうなの?」
「そうなの?って芹ちゃん、知らないの?」
芹はうなずいて、
「しらないわ。TVとか見ないから」
「そうなんだ、でも凄い成績だよねぇ」
芹は西方校舎、俗称西校でもトップレベルの成績だった。
「TVはゆがんだ情報しか入ってこないから・・・。かえって勉強の邪魔になるわ」
「そ、そうなんだ」
「萌子もTVを見るのやめてみればわかるわ」
「そ、それはちょっと」
焦り顔の萌子。
「それはそうと・・・もう少しその話、聞かせてくれる?」
「その話って?」
「ニーソックスがうんぬんって話」
「あ、え〜とね、狙われるのは大体、私たちぐらいの年齢の子で、時間も今とおなじぐらいかな。 で、ニーソックスを履いてる子を見つけるとニーソックスを無理やり脱がせるんだって」
「女の子には手を出さないの?」
「うん、脱がせたニーソックスを取っていくだけで」
「・・・変態なのね」
「う、うん。変態さんだね」
「犯人は?」
「まだつかまってないよ。警察さんも探してるらしいんだけど」
「犯人像とかわかるかしら?」
「え〜とね、良くわからないんだけど、マントみたいなものを着て、高笑いする若い男だって。って、芹ちゃん、こんなことに興味あるの?」
「・・・ちがうわ」
芹はそういうと、指を前に向かってまっすぐ指す。
芹の指の指す先には、沈みゆく太陽を背にする影が二つ立ちはだかっていた。
片方の影は、ひらひらと何かがたなびいている。まるでマントのようだ。
「・・・あれって・・・」
「・・・これで高笑いとやらをすれば完璧ね」
芹が冷静に言ったとたん、
「ぬはははははははははははははははははは はははははははははははははははははははは はははははははははははははははははははは はははははははははははははははははははは はははははははははははははははははははは はははははははははははははははははははは はははははははははははははははははははは ははははははははははははははははははははッ!!!」
と影は萌子たちの方へダッシュしてくる。
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「とぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜う」
と影はジャンプして、萌子たちの前に立ちふさがった。
といっても、数メートルジャンプしただけだが。
「はうぅ、はうぅ、はうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ」
「・・・萌子、とりあえず落ち着いて」
「そうだぞ、レディーは取り乱してはいけない」
と意外にやさしげな声で話し掛ける眼前の若い男。
とは言うものの、黒いマントをたなびかせ、顔には仮面舞踏会に出るような仮面をかぶっている、路上パフォーマンスかでなければただの変な人にしか見えないのだが。
「だ、だって芹ちゃん〜〜〜〜〜、こ、この人〜〜〜〜〜」
萌子が指を指して言う。
「この人とは失礼な!私にはれっきとした名前がある」
「じゃあ、名乗れば?」
とどこまでも冷静な芹。
「ぐっ!」
仮面の男は一瞬言葉に詰まったが、すぐに、
「わけあって本名は名乗れないが・・・そうだな、コレクター元帥とでも呼んでくれたまへ」
といった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ぴゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
「・・・そ、それで、その〜〜〜〜、コレクター元帥さんがぁ」
「なんだい?レディー」
「・・・なんの御用ですか?」
と萌子が言った。
「ぬははははははははははははははははははッ!!!レディー!私が用のあるのは残念ながら君ではない!そこのビューティフルレディーにあるのだよ!」
「・・・・私?」
「・・・なんで芹ちゃんにだけビューティフルがつくの?」
ぶつぶつと文句をいう萌子。
「で、私に何の用?」
無視して会話を続ける芹。
「ビューティフルレディー!君の履いているニーソックス!」
「これ?」
芹が指差す。
「そう!それを渡してもらおう!」
「そ、そんなのだめだよぉ〜〜〜〜〜〜」
「・・・いくらだす?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「せ、芹ちゃん?」
「いくらだすの?」
「・・・・・・・はっ!こ、これはずいぶんとまた肝のすわったレディーだな」
額の汗をぬぐうコレクター元帥。
といっても額も仮面で覆われているのだが。
「で?」
「ふっ・・・・・ちなみに希望小売価格はおいくらぐらいでしょう?」
急に卑屈になるコレクター元帥を見ながら、芹は手の平を差し出した。
「・・・・5千円か・・・・それならなんとか・・・・」
「5万よ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ぴゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
「ちなみに片方で」
「き、貴様!暴利にもほどがあるぞっ!」
「マニア価格というやつよ」
「そ、そういう問題かなぁ」
と後頭部に汗マークが浮かんでる萌子。
「貴様のようなやからがいるから、悪質なマニア店舗が付け上がるのだ!」
「しょうがないわ。求めるものは高くなる。需要と供給のバランスが市場経済なの」
「はうぅ、問題が違う方向に〜〜〜〜〜〜」
「ふっ、もうよい。力ずくで奪い取ってくれるわ!」
というと、片手を天に向けて差し出し、
「さぁ、こい!わがコレクター軍団が誇る海底獣よっ!」
ぱちんっ!と指を鳴らした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「きませんねぇ」
ぴゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
3人の間に冷たい空気が流れた。
「くっ、何をしておるのだっ!」
ぱちんっ、ぱちんっ、ぱちんっ、ぱちんっ、ぱちんっ、つっ。
「くううううううううう」
指をおさえて座り込む元帥。
「大丈夫ですかぁ?」
「なれないことするから、指がつったのね」
とそのとき、
「だ、旦那〜〜〜〜。待ってくださいあわび〜」
ずる〜、ぺた。ずる〜、ぺた。ずる〜、ぺた。ずる〜、ぺた。
「おお、きたか!」
「というか、あなたが最初に走ってきたからいけなかったんじゃないの?」
最初に見た二つの影のうちのもうひとつが、今ごろになって到着したのであった。
「さぁ、見よ!これがわがコレクター軍団が誇る海底獣「あわびん」だっ!」
「・・・・あの、これって・・・・・」
「・・・・もしかしてあわび?」
そこには下半身がごつごつした黒アワビで、上半身が髪の毛が薄いおじさんの”モノ”がいた。
少女たちに視線を向けられると、あわびんは老けた頬を赤らめてうつむいてしまった。
「どうだ!我らが誇る海底獣は!恐怖したか!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「というか・・・」
「あわびだから、あわびんだなんてセンスなさすぎですぅ」
「ぐさぁ!」
「なんであわびだなんて、陸上にもっとも適してなさそうなものを選ぶわけ?」
「普通〜、タコさんとかイカさんですよぉ〜」
「ぐさぁ!ぐさぁ!」
「だいたい、黒アワビだなんて・・・」
「ある意味、放送コードぎりぎりですぅ〜」
「ぐさぁ!ぐさぁ!ぐさぁ!」
「あなたも大変ね」
「あ、わかってくれますあわび〜?この体でここまでくるの、大変だったんですあわび〜」
「上の人は選んだほうがいいですよぉ〜」
「そうなんですけどあわび〜、この不況だと職は選べないっていうか、養わなきゃいけない家族もいるし・・・」
「あわびも大変なのね」
「ええあわび〜・・・・」
「・・・・・・・って、貴様ら!なにをなごんどるかっ!」
「あ、復活したみたいですぅ〜」
萌子が言うと、唇をわなわなとさせて元帥が言った。
「あわびん!やっておしまいなさい!」
「は、はい!すみませんあわび〜、これも仕事なんで・・・」
「っていうか、なんで命令はお姉言葉なんですかぁ〜〜〜〜」
「・・・・ま、変態だし」
ぼそっという芹。
そのとき、
「わはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!!!!!!!!!」
「むっ!何奴!」
「はうぅ、あそこだよぉ〜」
と萌子が指差した先、街灯の上に立つ白衣をたなびかせる男。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・また変なのがでてきたわ」
呆然とする2人と1匹?をよそに、またも一人冷静に突っ込みを入れる芹。
「とぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜う」
と男は掛け声をかけると、飛び降りるのかと思いきや、そろそろと街灯にしがみついて下りてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「とぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜う」
まだ呆然としている2人と1匹と一人冷ややかな視線でいる少女の前まできて、男は再び掛け声をかけた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・今度は変態じゃなくて馬鹿?」
「って貴様!あの場面は飛び降りてかっこつける場面だろう!」
と突っ込むコレクター元帥。
「なにぃ!貴様、5mはあろうかという街灯から飛び降りて普通の人間が無事ですむとおもっているのかッ!!!」
「できないなら、最初からあんな場所にいるんじゃない!」
「・・・・・・どっちも正論」
「そういう問題かなぁ〜」
乾いた笑顔を浮かべる萌子。
とその笑顔が凍りつく。
「は、はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「どうしたの萌子?」
「うむ、どうしたのだッ!妹よッ!」
「はうぅ〜〜〜〜〜、お兄ちゃん何でここにぃ〜〜〜〜〜」
「ちが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜うッ!!!」
と萌子兄は派手な身振りで、萌子の額にチョップを叩き込んだ。
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜、痛いよ」
「妹よッ!!!私を呼ぶときは「お兄ちゃん♪」と呼ぶのだぁッ!♪を忘れてはいか〜〜〜〜〜〜〜んッ!!!」
「何か問題があるのかしら」
「うむ、重要な問題だな」
冷静に突っ込む芹と、なぜかうんうんとうなずくコレクター元帥。
萌子は額をさすりながら、
「な、なんでお兄ちゃん♪がここに?」
と言った。
「うむ、よく言った、妹よッ!無論ッ!」
といって、指をびしっ!とコレクター元帥に突き刺した。
「悪を倒しにきたのだッ!!!」
「貴様!何者だ!」
「ふふふっ」
とメガネをきらりっと輝かせる。
「仕方ないッ!悪に名乗る名前は持ち合わせていないが、特別に名乗ってやろうッ!萌子兄こと、謎の超科学者ッ!!プロフェッサーXとは私のことだッ!」
「・・・・はうぅ、お兄ちゃん〜」
「ぜんぜん謎になってないわ」
「ちなみにPXでも可だッ!プロフェッサーと打つのはめんどくさいからなッ!!!」
「内部ネタね」
「というか、ネーミングからして敵っぽいですぅ」
「くっ、プロフェッサーでもXPでもかまわん!我が野望を邪魔するものは排除するのみだ!」
「それはこちらのセリフだッ!!!ニーソックスとはッ!!! うら若き未成熟な乙女が履いて、初めて芸術品と呼べるものッ!!!それを私利私欲のために強奪するとはッ!!!天が許してもこの私が許さんッ!!!」
「・・・・盛大に問題が間違っている気がするわ」
「はうぅ〜〜〜〜、お兄ちゃんもうしゃべらないで〜〜〜〜〜〜」
「ふっ、我が野望、誰にも邪魔はさせんわ!あわびん、やるのだ!」
「・・・・は!はいあわび〜、旦那」
今まで呆然としていたあわびんが芹に向かって動き出す。
「そうはさせんぞッ!!!萌子ッ!!!変身だッ!!!」
「はいですぅ・・・・・・・・って、なにそれぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
大声でいう萌子。
「心配いらないッ!!!お前はこの日のために生きてきたのだッ!!!」
「心配するよぉ〜〜〜〜〜。しかも、勝手に人の存在定義を決め付けないでぇ〜〜〜〜〜〜」
「ごちゃごちゃうるさいぞッ!!!妹よッ!!!細かいことは気にするなッ!!!」
「気になるよぉ〜〜〜〜〜〜」
「ええ〜〜〜〜〜いッ!妹よッ!お前は困っている友人を見捨てる気かッ!!!お前たちの友情はそんなものだったのかッ!!!」
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「私は別にこまってないけど」
「あわび〜〜〜〜、つかまってくださいあわび〜〜〜〜」
のろのろとしたあわびんの手をあっさりとステップで交わす芹。
そもそも異常に遅い移動速度なので、歩いてでも交わせるほどだ。
「せ、芹ちゃんもああいってるしぃ」
「妹よッ!!!お前はそんな奴だったのかッ!!!父さんと母さんが草葉の陰でないているぞッ!!!二人の言葉を思い出せッ!!!」
「はうぅ、お父さんもお母さんもちゃんと生きてるよぉ〜〜〜」
「困っている人がいたら助けてあげなさい、そういい残して逝ったではないかッ!!!」
うう、生きてるのにぃとつぶやきながら、萌子は両親の言葉を思い出した。

「萌子・・・お兄ちゃんが何か困ったことをしていたら、みんなに迷惑がかからないようにするんだよ」
「お願いね、萌子。大丈夫、あなたならできるわ・・・」

と苦笑いをしていた両親の顔を・・・。
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、お父さんもお母さんも無責任だよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
なぜか涙目で叫ぶ萌子。
「思い出したかッ!!!萌子、二人の最後の言葉をッ!!!」
「はうぅ、思い出したくなかったよぉ」
「わかったら変身だッ!!!さあ、叫べ!!!「萌子、萌え萌えですぅ」だッ!!!」
「なにそれぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
うむ、とPXはうなずき、
「無論ッ!!!変身シーンにお約束の掛け声だッ!!!」
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜、はずかしいよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「大丈夫だッ!!!恥ずかしいのは最初だけッ!!!すぐに気持ちよくなるぞッ!!!」
「なんかHね」
「そうですね〜あわび〜」
「くっ、それは凄い萌えだ!」
「・・・あなた、根っからの変態ね」
とコレクター元帥の言葉に、冷静に突っ込む芹。
「さぁッ!!叫ぶのだッ!!!」
「はうぅ〜〜〜〜〜、も、萌子、萌え萌えですぅ〜〜〜〜〜〜〜」
ほとんどやけっぱちの萌子だった。

説明せねばなるまいッ!!!
萌子の「萌子、萌え萌えですぅ」は、萌子兄ことPXが常時ハッキング状態にある都市管理システム 「ジョージ1世」の監視モニターを通じて海上回遊都市の上空2万mに浮かんでいる 都市サポート衛星「撫子」にデータ転送され、萌子の下に超科学の結晶である ニーソックス(白)と萌えばーじょんあっぷふぃーるど(簡易更衣室)を物質転送装置により転送するのだッ!!!(無許可)

「はうぅ〜〜〜〜〜〜、なにこれぇ〜〜〜〜〜〜〜〜」
萌子の目の前には、白いカーテンで包まれた更衣室とアタッシュケースが現れた。
「うむ、MBUF(萌えばーじょんあっぷふぃーるど)だッ!!!そしてこれこそッ!!!」
そういってPXはアタッシュケースを開ける。
ぷしゅぅ〜〜〜と密閉された空間が開いた音がし、中から現れたのは、
「はうぅ〜〜〜〜〜〜、ニーソックスだよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
涙が滝のように流れる萌子。
「そう、これがさる研究室の協力(無許可)をあおいで完成させたアイテムッ!!!さぁ、このニーソックスを着足しッ!!!萌え萌え☆モエリーナへ変身するのだッ!!!」
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「最悪のネーミングセンスね・・・・」
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
もう逆らう気力もないのか、ニーソックスを持ってMBUF(萌えばーじょんあっぷふぃーるど)のカーテンを開ける萌子。
「まてぇッ!!!萌子ッ!!!」
「はうぅ、まだなにかあるのぉ〜」
「着足ッ!!!と叫んでから入るのだッ!!!」
「・・・・ちゃくそくぅぅぅぅぅぅぅ」
「萌子・・・不憫ね」
珍しく同情した声で、芹が言った。
「ま、まて!貴様!」
「なんだ、三下ッ!!!」
「誰が三下だっ!!!!そうではなく!!!このまま、私たちが変身を見過ごすと思っているのか!!!」
「変身って・・・・ニーソックス履くだけでしょ」
「ふっ、これだから坊やは困るな・・・・」
芹のつぶやきを無視して、PXはふっと失笑した。
「なにがおかしい!」
「貴様もコレクターの端くれなら承知していようッ!!!妹のはぢめてにニーソックスッ!!! 「お兄ちゃん♪これ似合うかな・・・えへへっ、ちょっと恥ずかしいけど」とはにかみながら、 スカートの端をちょっとあげてこちらを見るしぐさッ!!!そしてニーソックスとスカートのぎりぎりのラインまでのゴールデンゾーンッ!!! これで見ずして漢かッ!貴様ッ!!!」
「なにぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「そ、それは凄い萌えだあわび〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「わかったら黙ってろッ!!!」
「き、貴様!そこまでわかっているのなら、なぜ「お兄ちゃんの前で着替えるなんてはずかしい。 でもでも、こんなことするのお兄ちゃんの前だけだからね♪」という妹の生着替えシチュエーションをみせんのだ!!!」
「ちちち、だから貴様は坊やだというのだッ!!!」
と指を左右にふるPX。
「カーテンが開いたとき「お兄ちゃん♪ありがと、とってもうれしいよ」 と恥ずかしがりながらもはにかみの笑顔を浮かべる妹から得られる視覚情報ッ!!! そして、その姿を見て、「ちょっとはずかしいよ、でも、お兄ちゃんのせっかくのプレゼントだもん。これでお兄ちゃんを悩殺♪そして二人は・・・きゃっ♪」 とはしゃぐ妹の姿を思い描くことにより得られる想像情報ッ!!!この二つの萌えを一度に得るにはッ!!! カーテンで仕切られた空間というものが必要不可欠なのだッ!!!」
「な、なにぃ〜〜〜〜、なんと緻密な計算にとんだシチュエーション!!!」
「す、すごいあわび〜〜〜」
「・・・・・・・あんたたち、最悪ね」
かなり冷たい視線をおくる芹であった。
「そしてッ!!!あのMBUF(萌えばーじょんあっぷふぃーるど)には恐ろしい仕掛けがしてあるのだッ!!!」
「・・・・はうぅ、さっきからどうしたのぉ、お兄ちゃん?」
「妹よッ!!!言い忘れていたが、そのMBUF(萌えばーじょんあっぷふぃーるど)を外界より遮断するカーテンは・・・」
「カーテンがどうかしたのぉ?」
「10秒で落着するようになっているぞッ!!!」
「え?」
と萌子が言ったとたん、カーテンは力を失ったようにばさっとくずれる。
「え、え、え」
そこには、体育座りで片足にニーソックスを履き、もう一方の足はつま先にニーソックスを入れ今まさにニーソックスを引き上げようとしている萌子の姿があった。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
「これは凄いあわび〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「くっ、この俺とて直視できんッ!!!これぞ、「妹の履きかけニーソックス、お兄ちゃん、部屋に入るときはノックしてよぉ♪」だぁッ!!!」
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、 まだ履けてないよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
涙を流してうずくまる萌子。
「も、もう思い残すことはない、あわび〜〜〜〜〜〜〜〜」
とあわびんの体から光の結晶が徐々に現れていき、その姿を消していった。
「くっ!!!」
「ふっ、海底獣は極大の萌えを与えると萌え尽きてしまう・・・そうだったな?」
「き、貴様!なぜそれを!」
「・・・・ふっ、天才はなんでも知っているのだッ!!!」
といって高笑いするPXだった。
「貴様ら!今日のところは引いてやる!覚えておくぞ!PX!そして、萌え萌え☆モエリーナよ!」
「はうぅ、そんな変な名前でよばないでぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
萌子の叫びを聞かない間に、コレクター元帥はすっかり沈んだ夕日に向かって走り出していた。
「ええもん見せていただきましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
夕日に向かって叫びながら・・・。
「ふっ、どうだッ!!!萌子ッ!!!この天才の考えた秘策はッ!!!従来の”敵出現→変身→ピンチ→必殺技で勝利!” のヒーローモノの常識を根底から覆す変身と同時に、否ッ!!!変身途中に敵を殲滅するというこのエクセレントな勝利はッ!!!」
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「そうかッ!!!涙を流すほど記念すべき勝利にうれしさがこみ上げているのかッ!!!」
「はうぅ〜〜〜〜、ぜんぜんうれしくないよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「はははッ!!!照れ隠しすることないぞッ!!!萌子よッ!!!」
「・・・・本気で泣いているわ、萌子・・・・」
と芹が言った。
「まぁ、勝利の余韻に浸るがよいッ!!!・・・おっともうこんな時間か!いかねばッ!!! では萌子ッ!そして友よッ!アデュー!・・・萌子よッ!!!今日の勝利を祝し、今日の夕飯はトンカツで頼むぞッ!!!ではさらばだッ!!!」
そういってPXこと萌子兄は闇の中に消えていった。
その姿を見送った後、まだ肩をひくひくと鳴らす萌子に、芹は近づいていった。
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜、芹ちゃん〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「・・・萌子・・・・」
と芹は萌子の頭を優しくなでて、
「・・・・私たちの友情も今日までね・・・・」
「はうぅ〜〜〜〜〜〜、芹ちゃん〜〜〜〜〜〜〜」
「・・・・・冗談よ」
「・・・・・芹ちゃん〜〜〜〜、目が笑ってないよぉ〜〜〜〜〜〜」
と、ますます涙目になる萌子だった。

経緯はどうあれッ!!!
萌子は悪のコレクター軍団に勝利したッ!!!
だがコレクター元帥は更なる悪事をたくらむに違いないッ!!!
がんばれッ!!!萌子ッ!!!街の平和は君の足と履きっぷりにかかっているッ!!!
モエリーナの激萌えの戦いは幕を開けたのだったッ!!!





<あとがきです♪>

・・・・え〜と・・・・
1万ヒットリクエスト企画でした・・・・
・・・・皆様・・・いかがだったでしょうか?
・・・・なんというか・・・・
どうしようもないですな(乾笑)
つーか、こんな真夜中(午前3時すぎ)に私は何をしてるのでしょうか(笑)
ちなみに・・・・
確かにニーソックスで変身と言い出したのはですが!萌え萌え☆モエリーナのタイトルをだしてきたのは別の人間です(爆死)
まぁ、ギャグなんで(笑)適当に楽しんでください(笑)
ちなみに、第1話となってますが・・・
第2話をやる予定は今のところありません(爆笑)
が、しかし、設定的には最終話まで考えてありますので(大爆笑)、好評なら続くかもしれません(笑)
いつもどおり、ご感想、萌えなどをらくがき帳の方へ書いていただきますと、作者、原作者とも満足するかもしれません(笑)
それではぁ第2話にて〜〜〜(ってやるのかよ!)



なぜか次回予告(笑)・・・・

静かな海上回遊学園都市「水中学園」にあらたな闇の手がッ!!!
「こんどは短パンをブルマに履き替えさせる変態よ」
「はうぅ、しかも紺だよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
暗躍する男。
「お前は!」
「ふっ、計画を実行に移すぞッ!」
そして愛の着足天使、最大のピンチッ!!!
「はうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「くッ!まさか履きかけニーソックスが通用せんとはッ!!!」
「ぎょぎょぎょ(笑)」
そのとき現れた第2の着足天使とは!?

次回ッ!!!
「ブルマは由緒正しき履き物なの!?」
に、君も着足せよッ!!!

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