世界で一番幸せな娘さん

ふふっ、ちょっと早くつきすぎてしもうたぁ

うちが噴水広場のミニチュア時計台を見上げると、針は11時をさしていた。

まだ11時かぁ

約束は1時やから、あと2時間もまたなーあかんのか・・・

でもこうして待つのも、なーんや「女の子」してるって感じやなぁ、きゃっ♪

今日は久しぶりのオフやし、めーいっぱい遊ぶでぇ!

ふふっ、耕介くん、はやく、きーへんかなぁ・・・



≪午前11時30分≫

「あ、あの?」

「はい?」

うちが声のしたほうをみると、

中学生くらいの二人組みの男の子がちょうきんちょーした顔で立っていた。

あちゃー、もしかして・・・

「あの!SEENAさんですか!」

「・・・ええ、そうです」

見つかってもうたぁ

一応、帽子と薄い色のサングラスで変装してるつもりだったんやけど・・・

まぁ、しゃーないわ

「やったー」

「すーげー、本物だぞ、おい!」

二人は小躍りしながら喜んでる。ふふ、かわいいなぁ

「あ、あの!サ、サインお願いできますか!」

「ええ、喜んで」

彼が学生鞄から取り出した大学ノートに、うちはサインをする。

嬉しそうにする彼。

げーのーじんたる者、いついかなる時でもファンサービスを忘れたらあかん!

「あ、あの、俺も!」

もう一人の男の子もそうゆうてノートを差し出した。

「ええ、いいですよ」

さらさらさらー、と

「あの、わ、私、ファンなんですー!」

さっきから遠巻きに見ていた女の子がちかづいてきて言った。

「あ、ありがとう」

・・・おい、あれって・・・・

・・・うそー、SEENA?・・・

「あの、握手お願いできますか」

女の子さんは、右手を差し出した。

「ええ、これからもよろしくね」

・・・まじかよー、俺ファンなんだよねー・・・

・・・ちょっといってみようぜ・・・

「SEENAさん、サインお願いしますー」

「はいはい、いいですよー」

・・・あぁー!SEENAだぁ!・・・

「おれ、大ファンです!!!」

・・・あれ・・・

「私、SEENAさんの曲、全部聞いてます!」

・・・ちょ、ちょう(汗)・・・

「Nameliss melodies!いい曲ですよね!」

・・・あ、あの(汗汗)

「はいはい、並んで並んでー」

「ええー、SEENA!どこどこ」

「サイン会だって!いってみようぜ!」

「おい、順番守れよー!」

・・・気が付けば、うちの周りには人の波が

なんだかいつの間に列整理している人たちまで現れてるし(泣)

なんでこーなるんやぁぁぁぁぁぁぁ!



≪午後2時≫

・・・き、危険やった・・・

一瞬の隙に人の輪から抜け出して、追って来るファンを巻くのに1時間

さらに戻ってくるまでに、30分・・・

うう、今度はみつからんように帽子を目深にかぶってっと・・・

1時間も遅刻してもうたぁ

・・・耕介くん、おらへんなぁ

もしかして、うちがおらへんからかえってしもうたん?

耕介くんにかぎってそんなことはないと思うけど・・・

携帯にかけてみよ

ピッ、プッ、パッ・・・・

・・・

トゥルルルルル、トゥルルルル・・・

カチャ!

「あ、こーすけくん!うち・・・」

「現在、電波の届かない地域におります。ピーという・・・」

・・・ピッ!

うちは携帯をきった。

・・・うう、うちのあほ

・・・うちが待ち合わせ場所におらんばっかりに・・・

・・・・・・・・・・・

そや!さざなみに!

ピッ、プッ、パッ・・・・

・・・

トゥルルルルル、トゥルルルル・・・

カチャ!

「はい、さざなみ女子寮です」

「あ、その声は知佳ちゃん!」

「あ、その声はゆうひさん!今日はお仕事オフですか?」

「そうなん!今日は久しぶりのオフなんよー」

「そうなんだぁ」

「それよりこーすけくんは・・・」

「えっ、お兄ちゃん?お兄ちゃんなら出かけてますよー」

そうか、まださざなみには戻ってらへんちゅーこっちゃな

そういえば、こーすけくん、ちょう用事があるから遅れるかもっていってたっけ・・・

ということは、まだついてへんっちゅー可能性も・・・

「あれ、ゆうひさん。そういえば今日はお兄ちゃんとデートじゃあ・・・」

「そうなんよー、それで行き違いになってしもうたかも知れんから電話かけたん」

「えっ、そうなんだ。・・・あれ、でも」

ブッ!

・・・・・・・・・

・・・あれ

「もしもし、知佳ちゃん?」

・・・・・・・・・

うちは、携帯を耳から離してみる。

液晶モニターは見事に何も映していなかった。

もしかして、これって・・・

「うそやろ、バッテリー切れ・・・」

うう、なんつー不幸少女なんやー、うちはぁ

結局うちは待ち合わせ場所で待つことにしました。

耕介くんのことやから、うちがおらんくらいで帰るようなことあらへん!

ちょっと遅れてるんやなぁ

しょーもないなぁ、あとでいっぱいおごってもらお

「ふふっ、はやくきーへんかなぁ」



≪午後3時≫

うちは視線を下に下げ、帽子を目深にかぶっていました。

またファンの子たちに見つからへんように。

そのとき、

クィッ、クィッ

と袖をひかれました。

耕介くん!

「おそかったやんかぁ!こーすけ、く、ん。んっ?」

うちの袖を引いていたのは、見た目5歳ぐらいのジャンパースカートの女の子。

女の子はちょっと赤くなった目でうちを見て、

「ママ?」

と言いました。って、ママ!

「えっ、ママって?」

とうちが言うと、女の子はじっとうちの顔を見て、そして見る間に瞳に涙を貯めていきました。

もしかしてこれって・・・

「ママじゃない、う、うう、うわーん!ままぁ!」

と女の子は泣き出してしまいました。

な、なんてお約束な迷子さんやぁぁぁぁぁぁぁ!

女の子の泣き声に反応して、周りで待ち合わせている人たちや、

通りがかりの人が足を止めてこちらを見てます。

こ、これはいかんでぇ!

「ああ、泣かんといてぇ」

「ままぁ!ままぁ!」

「ほ、ほら、かわいい顔が台無しやでぇ」

「うう、ままぁ・・・・」

「ほら、大丈夫やから」

「うう、ま、まぁ・・・」

「そうや、おなかへってへん!ケーキとか食べたくない?」

「・・・ひっく・・・けーき?」

ふっ、のってきたでぇ(笑)

「そや!お姉ちゃんとケーキ食べへん?」

「・・・・知らないおばちゃんについていっちゃ駄目って、ママに言われてる・・・」

ぐっ!お、おばちゃん・・・

「大丈夫や!お・ね・え・ちゃ・ん・が!お母さんみつけてあげるから」

「まま?ほんとう?」

「おお、お姉ちゃんにまかせんかーい!」

うちが胸をぐぅでたたくと、女の子はちょっと笑顔になった。

「その前に、戦の前のなんとやらや!

あそこの喫茶店でケーキでも食べながら、お母さんのお話、聞かせてや」

うちが噴水広場の目の前にある喫茶店を指差すと、女の子は満面の笑顔で、

「うん!ありがとう、おねえちゃん!」

と言いました。

さ、最近のお子様は、げんきんというか、なんというか・・・・

こうしてうちは再び待ち合わせ場所を離れることになりました。

うう、耕介くーん・・・



≪午後4時30分≫

・・・な、なんとか戻ってこれた・・・

広場の人ごみではぐれてしまったという女の子の証言だけを元に探すこと1時間30分。

おなじく必死になって探していたまだ若いお母さんにようやく出会えた。

お母さんは何度も何度も深いお辞儀をしながら、

安堵の表情で女の子の手を引いて人ごみの中に消えていった。

「ばいばい、お姉ちゃん!」

ご機嫌な女の子の小さな手にうちは答えながら、

彼女達の姿が人の波に消えると同時に、待ち合わせ場所にダッシュした。

なのに・・・

「耕介のあほ・・・」

・・・なのに、耕介くんの姿はありませんでした・・・

「もう・・・」

とそこに、

「あのー」

というちょっとしゃがれた声。

うちが振り向くと、白髪の髪をしたおばあちゃんが杖をついて立っていました。

「はい?なんですか?」

「あのー、臨海公園というところにはどういったらいいんでしょうか?」

・・・・はうぅぅぅ

「えーと、その・・・・・・はい、案内しますよ、おばあちゃん(泣)」

「ああ、ありがとうございます」

おばあちゃんは曲がった腰をさらに折って言いました。

・・・うう、泣きたい・・・



≪午後5時30分≫

・・・・・・・・・・・・・・・

「かーのじょ!ひとりー」

・・・・・・・・・・・・・・・

「僕達と、遊ばない?」

・・・・・・・・・・・・・・・

「ねえねえ、どうかなぁ?」

「一人でいてもつまんないでしょ?」

・・・ひとり・・・

「なぁ、いいっしょ?」

「・・・なんやて?」

「ね、俺たちと・・・」

「じゃあかしい、おんどれら!」

「ひっ!」

「こーすけくんはなぁ、ぜったいにぃ、ぜったいきてくれるんじゃあ!!!」

「あ、あのう?」

「きえんかい!!!ぼけぇぇぇぇぇぇ!」

「し、失礼しましたぁぁぁぁぁぁ!」



≪午後6時55分≫

耕介のあほ

耕介のあほ

耕介のあほ

絶対、絶対ひっぱたいてやるんやから!

うちがどんなに、どんな想いしてるのかもしらんで・・・

だいたい、普段からぼけっとして何考えてるのかわからん面しおってからに!

・・・おい・・・

なんでうちがこんな目にあわなぁならんねん!

・・・ゆうひ?・・・

あったらひっぱたいて、つめでがりがりして、ぐぅで鳩尾や!

・・・おい、ゆうひ?・・・

つーか、口なんか聞いてやらへん!シカトや!シカト!

そのとき、肩を誰かに揺さぶられました。

うちが顔を上げると、

「おい?どうしたんだよ、ゆうひ」

いつのまにかに灯ったイリュミネーションの灯りをバックにする黒く大きい影。

「大丈夫か?具合でもわるいのか?」

「・・・こーすけくん」

耕介くんが不思議そうな顔をして立っていました。

・・・耕介くん・・・・

「こーすけくん?」

「なんだよ?ほんとにどうかしたのか?」

「もう・・・こーすけくん・・・の・・・・あほ・・・」

うちは・・・耕介くんの顔を見たら・・・なんだかいろんなものがでてきてしまって・・・

「お、おい、ゆうひ!どうした?」

「う、う、うわーーーーん」

耕介くんの胸に飛び込んで、さっきの女の子みたいに思いっきり大声をあげて、

「こーすけくん!うううう、わーーーん」

大好きな人の胸の中で泣きました。

耕介くんの大きな手が、うちのあたまを優しくなでてくれるのを感じながら。



≪その後の時間≫

「はははっ!」

耕介くんが声をあげて、目には涙まで浮かべて笑いました。

うちはテーブルの上のサラダにフォークをつきたてて、

「そんなにわらうことないやろ!」

とプチトマトを口に運びました。

「いや、わるい、わるい」

「もう、しらん!」

うちがそっぽを向くと、ほんとに悪かったってと両手を合わせてあやまる耕介くん。

「大体そんなとんでもない時間から待つなよなぁ」

と耕介くん。

「うう、だってうち、いちじってきこえたんよー」

「ははは、いちじとしちじを間違えるかねぇ、普通?」

「うう・・・・」

そうなのでした。

うちには、「ちょっと用事があるから、1時待ち合わせでいいか?」と聞こえたのですが、

耕介くんは「ちょっと用事があるから、7時待ち合わせでいいか?」とゆうていたのです。

うう、すっかり舞い上がっていたうちには、その言葉はとどいておらんかったん。

「うう、だってぇ・・・」

「ああ、また泣く」

耕介くんはテーブル越しにうちのあたまをまた撫でてくれました。

もう、今日は駄目やー

鼻をぐしぐしさせているうちに、ちり紙を差し出す耕介くん。

今日は激脆モードやー

「しっかし・・・」

「なん?」

「まだ一つ、偉大な伝説を作り上げたなぁ」

「なんやて!」

「よ、生きるお笑い!」

むかぁ

「誰のせいやとおもってるんや!」

うちはテーブルの下で、耕介くんのすねを思いっきり蹴ってやりました。

「いてぇ!」

テーブルの向うですねを抱える耕介くん。

レストランのほかのお客が、なんだ、という目でうちらの席を見ます。

「ふふっ」

耕介くんはまわりに愛想笑いを見せながら、額に汗を浮かべています。

なんだかおかしくなってうちは笑いました。



いろんなことがあった今日一日・・・

うちには少しだけわかったことがあります

今日一日、耕介くんのために、喜んだり、怒ったり、悲しんだり・・・

いっぱいの感情をこの人のために使いました

いっぱいつらくなったりも、不安になったりもしたけれど・・・

それでもこうして二人でいるときは、うちを安心させてくれる

うちを幸せにしてくれている

つくづくうちは、槙原耕介という人間が好きなんやなぁーって・・・

「こーすけくん?」

「んっ?なんだ、ゆうひ?」

・・・ふふっ、大好き・・・

「今日はまだまだこれからや!遊び倒すでぇ!」

「おう!」




−−−うちは世界で一番幸せな娘さんです−−−





このゆうひ、なんだかいろんなキャラが混じってるような・・・
どもーあとがきです♪
何を思ったかゆうひのデートなんぞを書いてみました
たのしんでいただけたでしょうか?
またもベタあまな展開に、「もううちのHPはこれでいこう!」と密かに決めました!(笑)
え〜、わたくしを知っている方々にしてみれば、なにとちくるっとるねん!となるのでしょうが、
これもわたくしの側面の一部と解釈してください(笑)
次こそは月姫SSの更新を目指して!(笑)
またも勝手なお願いではありますが、できましたら感想等、「こんなんゆうひちゃう!」とか、
「関西弁が変!(関東人なので・・・)」とかありましたら、らくがき帳のほうへ記帳していただくとありがたく思います
注意事項として、ネスケでは正しいスタイルシートの適用がされていません
おそらく文字がみにくい表示になっているかと思います、大変申し訳ありません
ではではぁ

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