アルミニウム
軽い金属ですがアルミニウムはねじ材料としては柔らかく 利用は限られたものでしたが
高強度のものや、表面技術の進歩により硬度のあるものも製作できるようになって利用の幅が広がりました。
新規製錬より熱で溶かして再利用したほうがエネルギーを消費しない(1/27)アルミはリサイクルの簡便性からも
分解にコストをかけないよう、アルミの部材にはアルミのビスを利用するなどの試みも始まっています。
また軽量化は移動体の省エネルギーに貢献します。
一般的な市販ビス類では、キャップスクリューで7000系、ボルト、小ねじ、リベットでは2000系、
ワッシャーでは1000系が利用されています。
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アルミニウムは元素で一番多く存在する酸素との親和性が強く、天然の金属状態としては存在せず
いろいろな化合物となっていたため、鉄や銅に比べて発見が遅れていましたが現在では鉄鋼の次に
生産量の多い金属となりました。
クラーク数も酸素、珪素に次ぐ3番目で金属資源としては豊富なものです。
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歴史
1807年イギリスのハンフリー デービィーが電気法による明ばん石からのアルミニウム分離に挑戦
その2年後に強力なバッテリーを用いて鉄とアルミニウムの合金生成に成功しました
1825年 デンマークの電気物理学者HCエルステッドが金属のアルミニウム分離に成功しました。
実験室で生まれたアルミニウムはごく微量で 1850年当時は白金と同程度の値段だったそうです。
1886年にイギリスでアルミナ改良、アメリカでナトリウムの新製錬法が発明され価格も下がりましたが
不純物が多く工業材料としては耐久性に乏しいものでした。
1886年アメリカとフランスで電解製錬法が発見され 製法は科学還元法から電解へと移り 単価も安くなりました。
日本では1895年に輸入材からアルミ板の生産を開始したのが最初で 「軽銀けいぎん」と呼ばれていました。
軍隊で利用する飯ごうや水筒が多かったようです。
国内のアルミニウム製錬は1934昭和8年になります。
北イラクのメソポタミア文明ではアルミけい素岩が風化した酸アルミ粘土で作った彩色土器を作りました。
天日に乾かすと石のように硬くなることを利用したものでした。
エジプトやバビロニアでも皮のなめしや目薬、止血剤にある種のアルミ化合物が使われていたそうです。
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健康
アルツハイマー病患者の脳にアルミが蓄積されていたことから
アルミはボケの原因物質ではないかと言われていますが はっきりとした結果は出ていないようです
地殻表層部で一番豊富な金属なので(クラーク数が3番目)ありとあらゆるところに存在し
アルミのなべなどを利用しなくても人体に入り込みますが 基本的には生体内には吸収されずに
普通は消化器系で排泄されるようです。
化合物は止血や胃酸過多、汗止めスプレーなどの薬剤にも多く利用されます。
カビやバクテリヤの成長も阻止するのでバターなどの包装にも利用されています。
サファイヤ、ルビー、ヒスイなど多くの宝石はアルミの化合物です。
そしてアルミナより人工的に造ることができます。レーザー用の人工ルビーなどは有名です。
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種類
日本では1970年=昭和45年よりAA(Aluminium Association)の合金記号に準拠した4桁の数字になりました。
| 合金の種類 | 合金の記号 |
| 純アルミニウム系 | 1000 |
| Al-Cu系 | 2000 |
| Al-Mn系 | 3000 |
| Al-Si系 | 4000 |
| Al-Mg系 | 5000 |
| Al-Mg-Si系 | 6000 |
| Al-Zn系 | 7000 |
| 将来の合金向け 空番 | 8000〜 |
例えば 5000番系には5052、5083といった合金がありますが
配合比率等の違いによって命名されたAl-Mg系の合金です。
52Sなどの記号はアメリカ大手のアルコア社の改正前社内記号で5052と同じです。
Nのついた合金はAA合金記号の規格に該当するものがなく 日本独自の合金です
またJISでは展伸材にも記号をつけています。
強さでは7000>6000>5000>4000>3000>2000>1000ですが
耐食性では1000>2000>3000>4000>5000>6000>7000となりますが
溶接による軟化や自効効果など個々の加工に関連した特性を見て利用します
質別記号
| 記号 | 意味 |
| F | 精錬後加工していないもの |
| O | 焼きなましして再結晶した状態 |
| H | 加工硬化したもの Ex H18 H14等 |
| W | 焼き入れしてあるが 材質の変化が進行中 |
| T | O、H以外の熱処理を受け材質が安定している 方法により1〜10の数字がつく |
他にアルミ鋳物合金でAC1A〜AC9Bの10個、ダイキャストでADC1〜ADC14の5つ
のJIS記号があります。
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添加元素による性質の変化
| 元素名 | 特徴 | |
| 銅 | Cu | 熱処理により、組織を強める析出物をつくり、細かく分散して強度や硬度を高める |
| マグネシウム | Mg | 固溶して粘り強さ、耐食性、硬さを強める |
| マンガン | Mn | 固溶して強度と耐食性を強める |
| ケイ素 | Si | 融点を低める。マグネシウムと一緒に添加すると加工しやすく、耐食性が出る |
| 亜鉛 | Zn | 強度が高まる。マグネシウムと一緒に酔ういると高強度になる |
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| 合金の種類 | 合金の記号 | 熱処理 | 特徴 | 用途 |
| 純アルミニウム系 | 1000 | あり | 純度99.00%以上
電気と熱の伝導性に優れる 耐食性に優れる。 |
箔 コナンデンサー
反射板 容器 電線(1060は電気伝導が銅の61%) |
| Al-Cu系 | 2000 | なし | 高強度 ジュラルミン2017(Al-4%Cu-0.6%Mg-0.7%Mn) 超ジュラルミン2024(Al-4.4%Cu-1.6%Mg-0.6%Mn)
銅の含有量が多く耐食性で劣る |
切削部品
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| Al-Mn系 | 3000 | あり | 純アルミと同等の加工しやすさと耐食性
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アルミ缶ボデー(3004)
建築材料、車両用材 容器、電球口金 |
| Al-Si系 | 4000 | あり | ケイ素の含有量が多いと熱膨張率が小さく耐磨耗性が優れる
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Cu Mgを加えて強度を増しエンジンのピストンやVTRヘッド
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| Al-Mg系 | 5000 | あり | アルミニウム合金中最も耐食性が良い
溶接が可能、強度もある |
車両、缶のふた5082(Al-4.5%Mg)
建築用材、船舶、圧力容器(高強度)5083(Al-4.5%Mg-0.7%Mn-0.15%Cr) |
| Al-Mg-Si系 | 6000 | なし | 中程度の強度と高い耐食性を兼ね備える | 光学機器構造用材料6N01(Al-0.6%Mg-0.6%Si)
建築用サッシ、内外装6063(Al-0.7%Mg-0.4%Si) |
| Al-Zn系 | 7000 | なし | 超々ジュラルミン(Al-5.6%っZn-2.5%Mg-1.5%Cu)はアルミニウム合金中最も強度がある | 日本で開発されゼロ戦に利用された
航空機 |
| 将来の合金向け 空番 | 8000〜 |
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特性
アルミは鉄に比べて約1/3ほどの比重で軽量な金属です。
比重 アルミ2.70<チタン4.51<鉄7.86<銅8.93
しかし引っ張り強さは約2/3、縦弾性率は1/3と応力に対しては弱い金属です。
5083-0では比強度は鉄の2倍ですが これは単位の重さに対する強さなので
実際に鋼材と同じ設計で軽量化できるわけではなく 厚みをましたり大きくしたりする必要があります。
以下のように柔らかいアルミを強化する方法もあります。
超々ジュラルミンは普通鋼に匹敵する強さを持ちます
冷間加工。。。圧延や引き抜きなど冷間圧造で加工硬化すると強さが増し 伸びも減ります。
合金化。。。合金化することで強さと耐食性のバランスをとります。
熱処理。。。アルミではその合金により熱処理で硬化させることができます。
熱処理後常温で時間がたてば自然に硬化する(時効硬化)するものと
一定の温度にしておかないと硬化が進まないもの(高温硬化)があります。
大気中のアルミニウム表面は、自然に精製した薄い透明な酸化膜に覆われています。
表面には水分を含む多孔質のバルク層があり その下に緻密でアクティブなバリヤー層があり
この下にアルミの素地があります。酸化反応は大気中で短時間に行われ再生され防食効果を示します。
しかし、この酸化膜を侵すような環境では鉄などと異なり局所に小さな穴があく孔食となります。
湿潤な雰囲気では均一に侵食される場合があります。色が鈍くなりザラつきますが鉄の錆とは異なり
脱落することはありません。乾燥した雰囲気での保管が適しています。
強い酸やアルカリには水素の泡を出して溶解します。
異種金属の接触と水などの浸入による電食には注意が必要です。
金属は電気が通るような液体中では独自の電位を持ち この電位差に電気が流れます。
このとき陽極はイオンを放出するのでその跡は侵食されます。
鉄とアルミニウムに電解質の溶剤が加わるとアルミニウムが陽極となり電食(ガルパニック腐蝕)します。
アルミ合金同士でも種類により電位は異なります。
ただし、分極で電位差が少なくなる場合もあります。アルミとSUS304などの組み合わせは分極により
電食が少なくなります。
電食を防止するには異種金属の接触面を絶縁にすることです。
アルミの場合ですと結束するボルト、ナット、ワッシャーなどのビス類に亜鉛めっきすることで
電位の低い亜鉛へ電気を流し、亜鉛のある間は電食を肩代わりさせることができます。
電食は電位差のある場所で起こり 少し離れると抵抗の増加で無関係なのが特徴です。
分極...異種金属の接触と電解質の溶剤により電位差で電流が流れると電極表面が絶縁性の化合物をつくり
界面の抵抗を増加し電気の流れを阻止して侵食速度を原則させる
アルミとSUS304の電位差はアルミと銅や鋼材に比べて大きいが、分極によりアルミの侵食は
銅や鋼材に比べて少ない。
また2枚のアルミ板をリベットでかしめた場合などもアルミ合金同士の端部が隙間腐蝕することがあります。
これは隙間に入り込んだ水分により隙間の内外で溶存酵素量の濃淡による電池作用による腐蝕です。
これを防ぐには板の間にゴムをはさんだり接触面を塗装したりします。
| 合金の種類 | 合金の記号 | 孔食 | 粒界腐食 | 応力腐食割れ | 異種金属接触腐食 | すきま腐食 |
| 純アルミニウム系 | 1000 | C | A | C | C | |
| Al-Cu系 | 2000 | D | C | C | C | D |
| Al-Mn系 | 3000 | C | A | A | C | C |
| Al-Si系 | 4000 | C | A | A | C | C |
| Al-Mg系 | 5000 | C | C | C | C | B |
| Al-Mg-Si系 | 6000 | C | A | A | C | C |
| Al-Zn系 | 7000 | C | C | C | C | D |
A..感受性の危険なし 腐食の危険度なし B.場合による C..感受性あり D..感受性大 腐食の危険度大
磁性の影響を受けないのもアルミの特性です。
ハードディスクのディスク基盤は非磁性が要求されます。
熱を伝えやすいので電子部品の放熱板に利用されています。
熱伝導は銀、銅についで3番目 銀の約1/2ということです。
対局するガラスはアルミの約1/280ということです。
電磁波や光、熱(赤外線等)を反射する性質も持ちますのでマイクロ波のパラボラアンテナに利用されます。
身近なところではCDにもこの性質が利用されています。
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切削
Al-Cu系合金の2011を熱処理したものがもっとも優れた切削性を持ちます。
高速で切削しても表面が良好で、バイト磨耗が少なく、切粉離れがよく
快削アルミニウム合金と呼ばれます。
他に5056、2017、2024、6061、6262などいろいろな熱処理をしたものが利用されます。
切削材には水溶性エマルジョンなどが利用され 硫黄、塩素分のあるものは仕上げ面に汚点を残すので
利用されません。
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接合
溶接はガス溶接に変わりティグ、ミグ溶接が主流になりました。
溶接により継ぎ手の周囲は熱影響をうけます。
熱処理合金や加工硬化した合金も軟化しますが、時効硬化する合金を利用することで
強度を回復させることができます。Al-Zn-Mg系合金では顕著に時効硬化する合金もあり
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表面処理
アルミには大気中で自然に酸化皮膜が生成されますが
人工的に皮膜を厚くして対候性をます処理が行われます。
アルマイト処理(陽極酸化処理)...アルミ合金を陰極として電解液中で直流を流すと水が分解して発生する酸素が
アルミニウムと反応して陽極の表面に不動態の酸化皮膜を生成してそれが次第に成長して厚くなる
というもので しゅぅ酸(硫酸)で生成した陽極化皮膜のことを言います。
耐食、耐磨耗性が大きくなります。装飾的にも利用されます。
硬質皮膜の生成は特定の条件で行います。色は灰色か褐色になります。
皮膜への染色は染料によって行うことができますが電解着色処理したほうが
安定しており紫外線による退色も防げます。
アルマイトは1931年に理化学研究所(科学技術庁系団体)が商標登録した名称です
参考文献
アルミニウムのおはなし 小林 藤次郎 著 財団法人 日本規格協会 発行 1985.11
金属なんでも小事典 ますもと つよし監修 講談社 発行 1997.09
さびのおはなし 増子 昇 著 日本規格協会 発行 1990.03
end
up 2003/04/26