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  「プラダを着た悪魔」  ★★★★

  ファッションって何だろう? 一言で片付けてしまうと「贅沢」だな。 終了。。。

  世の中がこれほどに進歩しても我々一般市民の生活は窮々として、税金は高くなっても
  高齢者の世話も出来ず、たくさんの子供も持てないのはひとえに、我々一人一人が
  「自分自身の為」の莫大な浪費のせいだと思う。

  私は確かにお金を持ってないが、私の父親が持ってなかったPCを持ち、高価なコンポ、腐る程のCD、本の上に
  高い服まで着てるもんな。

  ビンボーだけど贅沢なのだ。  みんな似たり寄ったりだと思うが。
  「たそがれ清兵衛」を見て流した涙は嘘だったのか。

  さて、この映画でメリル・ストリープはもう完全に「アッチの世界」の住民(というか女王)なんだけど、主人公の
  アン・ハサウェイはどうか?
  「ファッションなんて清潔にしてればイイのよ」的な彼女が回りの環境の激変により、止む無く「真のファッション」に
  開眼してビッカビカの(いわゆる)イイ女に変身してしまう。
  この落差を説得力をもって表現しえたハサウェイはエライ。

  しかし彼女は完全に“ダークサイド”に落ちる事なく、一般人的な感覚をも持ち続ける事に成功する。
  ラストシーンでの彼女の装いの本当に素敵な事ときたら!

  ※ なんだかスターウォーズの様だが、まぁ似てなくもない。

  まぁ個人的にはやはり、街を行く女性達には「より」美しくある為に素敵な服を身に纏って欲しいとは思う。
  でも最終的には、バランスが大切って事になるんだけどね。


  「麦の穂を揺らす風」 ★★★

  どうして人間はいつまでたっても賢くなれないのだろうか。

  どんなに理想のために戦っても、一旦勝ち取った瞬間に(結果的には)陣取り合戦が始まり、
  かつての同士さえも敵として戦ってしまう。

  アイルランドの民族紛争について詳しくは知らないが、この作品中で描かれる
  痛み・苦しみ・愚かさは人類普遍のモノだと思う。
  ただ、幸か不幸か我々日本人には、不当に他国に国土を蹂躙される痛みは
  想像し辛いのかもしれない。

  「プルートーで朝食を」でオカマを演じたキリアン・マーフィーが今回はアイルランド義勇軍の闘志として活躍する。
  (思えば「プルートー〜」でもIRAテロのエピソードがあったなぁ。)
  出来ればハリウッド映画よりはヨーロッパ/イギリス映画の渋いトコロで活躍して欲しい役者さんだ。


  「SAWV」  ★★★

  じゃあ、ジグソウとは何なのか? 彼は殺人者では無い。
  異論はあるだろうが私としては「物凄く苛烈な神」と定義したい。

  逃げてばかりであたら人生を無駄に浪費している私達に
  「生を受け止めて精一杯生きろ!」と叱ってくれているんである。
  だから彼の「ゲーム」は殺しを目的とした物ではなく、(元々死んでいる私達に対して)
  凄まじい痛みと恐怖を乗り越えた者を「生かす」為の試験であり通過儀礼なのだ。

  さて、シリーズも3作目となり、正直ネタに苦しんでいる様な感じが如実に伝わってくる。
  今回もラストで観客のドギモを抜く(べく)トリックが用意されているが、
  説明、と言うか言い訳が多く、1作目の様にドカンと殴られる様な衝撃はない。

  とは言え、無駄が多そうな序盤の『殺し』(←!)も物語の構成要素としてちゃんと機能している。
  良く考えてるなぁ。

  まぁ中盤の手術シーンは単に観客の精神を追い込む為だけのスプラッター演出だけどね。

  あと、根幹に係わる事だが、今作は「ソリッド・シチュエーション・スリラー」では無く、
  ジグソウを語った「物語」である。

  ともあれ、やっとこ終結して(4は無いだろう)ファンもスタッフもメデタシメデタシといった所だろう。
  かなり面白いシリーズだった。

  X-MENみたいにブサイクな事をしなかった点が偉い。


  「トゥモローワールド」 ★★★★

  全体的にあまりスムーズに流れず、何だかイビツで暗い映像が印象に残る映画だが、
  もちろんソコが魅力だ。
  ハリーポッターのシリーズでも私はこのアルフォンソ・キュアロン監督の撮った3作目が一番マトモだと思っている。
  (世評は恐らく低いと思うが)

  灰色に閉ざされた世界、緩やかな絶望の中で奇蹟が起こる。
  しかし、人はその奇蹟を目の当たりにしてもなお、何も出来ずにいる。
  ソレが恐ろしく儚く、脆いものであっても護る事すら出来ず、ただ目の前の状況に巻き込まれるのみ。

  「映画史上に残る8分間」は恐ろしく感動的であるが、同時に人間の愚かさをも露呈してしまった。
  たった8分間の奇蹟なのだ。

  結果的にこの映画の中で何が変わっただろう。 人が叡智に目覚めたか。
  否、クライヴ・オーウェン扮する “   ”によって絶滅までの執行猶予が与えられたのみである。

  やたらと動物に好かれる主人公は行動原理が明確ではないが、結果的に人類を一時的にでも
  救ってしまう。

  きっとあの方もそんな感じだったのかもしれん。


  「サッド・ムービー」 ★★★

  はいはい、韓流お得意の「お涙頂戴映画」ですよー。
  でもハナから判っていて泣きに行ってんだから問題ねっす。

  4つの物語が薄く絡むオムニバス形式だが、実際には強いエピソードが2つあって、
  それぞれにオマケの様なストーリーが付随したような形である。

  まぁ、その小さなオマケみたいなストーリーの愛おしさがあるからこそ全体のバランスが取れている
  とも言える。
  最初から最後までただ悲しいだけではラース・フォン・トリアーになっちまうわな。

  結構イイっすよ。  たまには泣いてみては?


  「unknown」  ★★★

  思いっきり「SAW」だな。 「メメント」のニオイもするぞ。

  「なんだパクリじゃん!」 ま、それで終わってもいいんだけど、逆に言えば「SAW」や「メメント」が好きな
  人であれば、これも好きなタイプだろうし、
  その2つを見て無い人にとっては結構新鮮に楽しめる佳作だと思う。

  要するにオリジナリティの点では今ひとつだけど、クォリティは充分に高い作品だ。

  善くある「ここはどこ?」「オレは誰?」な訳だが、今回は閉鎖空間の中で複数の人間が同時に同じ状態に
  陥ってしまうのがミソだ。
  「オレはアイツの敵なのか?味方なのか?」「オレは(アイツは)被害者なのか?加害者なのか?」
  トランプの「神経衰弱」みたいなもんだ。
  ちなみに同じくトランプの「ババヌキ」みたいなのが「インファナル・アフェアT〜V」で、今度ハリウッドリメイク版の
  「ディパーデッド」(ディカプリオ/デイモン/ウォルバーグ/ニコルソン/スコセッシ)が公開される。

  映画の流れとしては途中でダラダラしてしまう部分もあり、もっとサディスティックに観客を追い込む緊迫感が
  欲しかった。
  ジム・カヴィーゼルバリー・ペッパーグレッグ・キニアジョー・パントリアーノ(←メメントのテディ)と、魅力的な
  キャストがそれぞれイイ演技をしているだけにちょっと惜しかった。


  「7月24日通りのクリスマス」  ★★★

  まぁ電車男の女版みたいな感じだ。。

  しかし、男であっても女であっても「華が無い」ってのはもうどうしようもない事だわな。
  いくら一生懸命高価な服を買っても、化粧を頑張っても、ハマらない人ってのは(哀しいけれど)
  確実にいる。
  逆にいうと「華のある人」(オーラのある人といえば現代的か?)は何を着ていても、ボサボサの髪をしていても
  “なんかイイ”んだよな。

  更に、街中で美女と野獣みたいなカップルはたまに見かけるが、その逆のパターンは殆ど見た事もない。
  これは男性は見た目以外の部分での良い材料(金持ってるとか)をアピールしやすいが、
  女性はルックス以外でのアピールが難しい、という不利な状況が考えられる。
  この点に関しては男性の方が冷酷なんだろう。

  ま、この辺にしとこ。

  映画の趣旨としては、例え冴えない女の子であっても諦めて何もしないでいる事は無いんじゃない? ってトコ。

  こういう、みんなを応援する映画に背中を押されると勇気も出てくるのかもしれないね。
  で、勘違いして無茶な行動に出て玉砕をするが良いわ。
  そうやって恥ずかしく悲しい思いを積み重ねて人は優しくなっていくのだから。

  

   しかし、それ以前に、「“勝ち組/負け組”のルールを完全肯定した上で初めて生まれる“奇蹟”」 と言う構造に
  気付いてしまって、己が身を振り返って暗澹としてしまう私であった。

  うーん、ネガティヴシンキング!


  「ナチョ・リブレ」  ★★★

   ジャック・ブラックのコメディ。 
  別に期待してなかったんだけど、意外に笑えた。感動はしなかったけどね。

  「男にはピチピチパンツ(タイツ)を穿かなきゃならない時が誰にでもある」

  すいません、またちょっと太ってきてしまったんで、以前にも増してピチピチがデフォルト状態です。


  「カオス」  ★★★★

   こういう 2転3転して最後どうなるのか判らないってのがイイんだよな。
  もう頭の中でグルグル考えて、作り手と勝負しながら映画を観る感覚が好きだ。

  えーと、コイツがアレだと単純すぎるから、それは「引っ掛け」だよな、とかね。
  大抵はキャストで判ってしまったりするんだけど、今作は主要メンバーが
  ジェイソン・ステイサムライアン・フィリップウェズリー・スナイプス、ううむ絶妙だ。
  誰がどうなってもおかしくないキャストだもんな。

  そんな訳でネタバレは死罪に値するので、これ以上は何も言わない。
  サイコーに面白いので、DVDででもイイから絶対にオススメだす。


  「ユア・マイ・サンシャイン」  ★★★

   恋愛モノなんだけど、正直に言ってなかなか現実には成立し難い恋愛だな、と思った。

  我々不細工な野郎が、物凄い美人に「あら、か〜わい〜い♪」なんて言われる瞬間は確かにごく稀に発生する。
  でも、それって動物園のゴリラを見て「可愛い!」て言う類いの言葉なんだよね。
  男はその言葉に舞い上がって、女性に対して己を恋愛対象として認めて欲しいと迫り、99.9%は玉砕する。

  そんな経験を積み、男はピエロに徹する、という技術を習得するのだけど、
  ソレによって得られる均衡を(良い方向に)突破するのはほぼ不可能。

   この映画の場合、厳しい様でだけど、ヒロインの背負った悲劇があったからこそ恋愛が成就したのだと思う。
  (この段階ではHIV云々では無いのだけど)
  そして更に、相手がどーにもこーにも不細工なダサ男だったからこそ、
  その後の更なる悲劇(HIV)を物ともせず、突進できたのだろう。

  何も障害も無い状態で、ウナはソクチュンに振り向く事はないだろうし、
  もうちょっとソクチュンが10人並みのイイ男であったなら、これほど献身的な愛をウナに捧げなかったのではないか。

  哀しいけれど、恐らくこれが現実。

   しかし、ソクチュンはそんなに不自然な事をしたのか?
  いいや、恐らく彼にとってはこれは特別な事ではなかったと思う。
  「僕には彼女しかいない」「だから彼女を求める」「あきらめない」ただそれだけ。
  もの凄い自然なわけ。

  バカってシンプル。だから力強い。
  だから変に「お利口さん」になってしまった、今時のイケメン達の様に、焦点がブレる事が無い。

  だから、貴女がた麗しき女性よ、もし本当の優しさ・真っ直ぐな愛情を求めるのなら
  不細工でバカで、どうしようもない私達ダサ男に愛の手を差し伸べて下さい。
  もう3倍返しが当たり前ですから!

   ええと、、、私としては、HIVについて語った映画って訳でも無いと思った。
  でもそれは現実のニュース報道として肌に染み付いている韓国の事情との乖離かもしれないけれど。


  「父親たちの星条旗」  ★★★

   硫黄島の有名な写真を巡ってあんなキャンペーンがアメリカであった事も知らなかったし、
  国の思惑で踊らされた若者達の苦悩も、勿論知るよしもなかった。

  戦争映画でありながら、敵国を憎む気持ちが全く湧かない稀有な作品。
  凄く慎重に作られていると思った。

  意外に地味で、家に帰って反芻するうちにジワジワと良さが沸いてくるスルメの様な映画かもしれない。

  ぱっと見では、クリント・イーストウッド監督、ポール・ハギス脚本って事でちょっと期待しすぎたかな。なんて
  思ってしまったんだけどね。

  続いて公開される「硫黄島からの手紙」が楽しみだ。  


  「ホステル」  ★★★

   クエンティン・タランティーノ製作 ああ、ナルホドね。
  だから日本人女性が「止めて〜〜〜っ!!」って悲鳴を上げたりするのね。
  でもどうせだったら「とめて〜〜〜」じゃなく、「やめて〜〜〜!!」って叫んで欲しかったけどな。

  結構ストレートなホラー・エンターテインエント。
  内容が薄い事自体は別に構わないのだけど、だったら前半の導入部分にあれだけの時間を割く必要も
  無かったのにな、とは思う。

  ま、前半のポーキーズやリッジモント・ハイ状態のノーテンキさと後半の血みどろの対比こそ
  やりたかった事なのかもしれんけどね。
  個人的にはその後半でのスプラッター部が気に入ったので、このへんをもちっと増量して欲しかったなぁ。

  ほんの少し「セブンス・ゲート」みたいな怪しい香りがする所も実はお気に入り。

  チェーンソーで身体を斬られるのって、痛いだろうなぁ、、、、ぐへへへへ

  あ、もうすぐ「テキサス・チェーンソウ・ビギニング」だな、、、


  「クリムト」  ★★★

   えーと、なんだその、、、1分も理解できんかったとです。

  梅毒でグズグズになった脳ミソで夢幻の境地を彷徨うキチガイ映画だ。
  ヨーロッパらしい底意地の悪い香りに酔いませう。

  クリムトの絵が好きなんすよ。 以上


  「ヘイブン 堕ちた楽園」  ★★★

   オーランド・ブルーム主演だと言うのに東京1館でレイトショーのみ、しかも僅か2週で打ち切り、、、
  人気ないのねん。

  確かに、観る者の気持ちを爽快にさせてくれるオーランドの屈託の無い笑顔は前半1シーンでしか見られず、
  あとはかなり陰々滅々とした役なので、彼目当てのファンはガッカリかもしれん。

  映画としては2つの別々の物語が同時進行し、時々キャラクターの重複や時間軸等で、その2つのストーリーが交錯
  するテクニカルな物。
  ただし、決して1つの物語の進行がもう一つに対して影響を与えたりはしないので、あくまで並列状態と変わりが無い。
  良く考えられてはいるが、全く効果的では無い。

  ま、勉強して巧くなって行くんだろうけどね。


  「ブラック・ダリア」  ★★★★

   映画監督も新しい人がどんどん出てきて、それぞれが新しい手法を用いた映像体験を提供してくれている。
  だが、いわゆる「伝統的」と言う意味で、この「ブラック・ダリア」の完璧さを彼らに求める事は出来ないだろう。

  ベテランがやってくれた、ブライアン・デパルマだ。 ものスゴイよこれは。
  言い切ってしまおう 『これが映画だ!』

  魔術的な物語の紡ぎ方、1カットの長回しで客の注意をひきつけるケレン味、
  デパルマの印鑑が押してあるかの様な特徴のあるフォーカスやシーン移行、etc、etc、

  。。。。ああ、至福だ。


  「デビルズ・リジェクト」  ★★★

   「マーダー・ライド・ショー」の続編で、登場人物も同じなんだけど、全く違ったテイストの映画に仕上がっている。
  2つとも狂気を描いた作品ではあるが、前作が汚物やハラワタをスクリーンにブチまけた様な、
  手法までもが狂気に染まったモノだったのに較べ、今作は意外なほどにオーソドックスな復讐劇となっている。
  (それでもまぁ、ケッコウなもんだけどね。)

  使われている音楽もロブ・ゾンビの鼓膜をつんざくブルータル・メタル等ではなく、
  60〜70年代のアメリカン・ロックがセンス良く使われている。
  特にラストのレイナード・スキナード/「フリーバード」の焦燥感は素晴らしいね。


  「カポーティ」  ★★★

   一家惨殺事件を引き起こした2人組の怪物をルポする怪物作家/トゥルーマン・カポーティを
  これまた怪優フィリップ・セイモア・ホフマンが鬼気迫る役作りで演じた。

  辛辣で皮肉屋で人でなしで、不愉快なほど快活な人間がその実、自身の脆さを虚勢で隠した
  弱う男であった事を浮き彫りにしていく。

  一見普遍的なテーマに見えて、実は「カポーティ」という一つの現象にのみ焦点を当てた作品なので、
  彼に興味や知識の無い者には余り面白くない映画だと思う。
  娯楽映画としてのサービスは極小だ。

  私としては、筒井康隆やPK・ディック等の肥大した作家の自意識を扱った自伝的作品を読んでいるので、
  それらに重ね合わせてみた。


  「スネーク・フライト」  ★★

   どーにもこーにもバカ映画なんで、ポップコーンを喰いつつヘラヘラ笑って見てりゃイイんだけどね。
  でも高い入場料を払って見ている身としては、さすがに「もういいや」って感じ。

  飛行機上でのパニックを理由付ける為に、地上の寸劇もチョロチョロ演じられているんだけど、
  物凄くテキトーなんで、いっその事、全部カットして「何だか判らないけど、貨物室からヘビが出てきたよ〜!」で
  良かったのではないか。

  原因を作った悪党がヘビによって罰を受ける、と言ったような物語の円環も無いしな。

  ま、サミュエル・L・ジャクソンが必要以上にハイテンションにわめくのはいつも通りで良かったな。
  (マスター・ジェダイの時は猫かぶってたからな。)


  「トリスタンとイゾルデ」  ★★★

   リドリー/トニー・スコット兄弟によるスコット・フリー製作、ナルホドね。
  「キングダム・オブ・ヘヴン」が好きな人には良いかもしれない。 と同時に、雰囲気がかなり似ているので
  「確かにイイんだけど、、、またかよ」といった様に新鮮味に欠けてしまう危険もある。
  ま、姉妹作くらいに考えて大目に見てやって頂戴。

  主役に大抜擢されたジェイムズ・フランコはかなり魅力的なマスクで好感が持てるのだけど、
  映画の底に流れる「詠嘆」を表現するには今ひとつ力不足だった感が否めない。
  まぁ、オーランド・ブルームと較べるのは酷なんだが。

  映画としてはたゆたう悲恋のドラマの中に激しい剣戟アクションがアクセントとして効いていて
  観るものを飽きさせない。

  ワーグナーの原典からするとエロスの香りが足りない、と言う意見もあるかもしれないが、
  私はこんなモノで良いと思う。
  2時間枠の映画形式ではある程度特化して当たり前だと思うのだ。


  「サンキュー・スモーキング」  ★★★

   知的コメディ、何故かロブ・ロウのキャラクターのみ痴的だがな。

  全編を通じて(どいつもこいつも)「あーいえばこー言う」のオンパレード。
  こんな風に賢い話術を持ったアタマの良い人になりたかったなぁ。

  悔しいほど面白いっす。
  ウィリアム・H・メイシーのトボケた味も映画にマッチしていてナイスな配役。

  アーロン・エッカートは「ブラック・ダリア」も公開中、小太りのガキは「記憶の棘」「トランスポーター2」
  「ウルトラヴァイオレット」と超売れっ子。将来どんな俳優になるんだろうね。


  「ワールド・トレード・センター」  ★★★

   9.11のテロを通して、あくまで人間について語ったヒューマンドラマ。
  ポリティカルなモノは殆ど描かれず、ひたすらドメスティックな内容だったのは、
  オリバー・ストーン作品である事を考えるとちょっと驚きでもある。

   わざわざウィスコンシンからやって来てホットドックを振舞う男(そりゃ世界一ウマイさ)。
  酒(?)のせいで医師資格を剥奪された男。 なんかよく判らんが、取り敢えず居合わせた海兵隊員。
  大惨事に於いて、人々が自分の「役割」を取り戻すのは、シャマランの「レディ・イン・ザ・ウォーター」とも
  共通するテーマでもある。

   さて、主人公(ニコラス・ケイジ)は作品中の8割方は瓦礫に埋められたままであったが、
  そんな生き埋め状態の彼は妻の姿を目前に見て声を聞く。

   「頑張って生きて!」

  これ、ありえると思うのね。

  大惨事に巻き込まれ、身動きも取れない、ケガもしている、死ぬかもしれない、いや死んじゃうんだろうな。
  嫁さん、心配してるだろうな。 きっと泣いているぞ。 もの凄くツライ想いでオレの事を待ってるんだろな。
  こう祈ってるだろな。

   「頑張って生きて!」

  相手を信頼し、また自分が信頼されている事を揺るぎ無く知っているのであれば、
  どんなに離れていても相手の言葉を聞く事はきっと出来る。


  「16ブロック」  ★★★

   16ブロックって渋谷から原宿くらいの距離だそうな、、、楽勝じゃん? ま、いいか。

   ブルース・ウィリスの「気持ち悪さ」を引き出すのにちょっと失敗した感があるなぁ。
  たるんだ肉体、虚ろな目、呑んだくれのダメ男、でも彼ならもっと踏み込んだ退廃を表現出来たのでは?
  と思うのはファンの過大な期待だろうか?

  ともあれ、そんなダメ刑事が、自分の立場を危うくしてまで1人のチンピラを助けてしまう。

  もうオレは死んでもいいかな、くらいの緩慢な生の放棄をしてしまった男なら、こんな自己犠牲とひきかえに
  何かしら善行をしたい、と思う気持ちにも説得力がある。
  罪滅ぼし、という部分もあるだろうね。

  もう今の世のヒーローなんてこんな風にズタボロでないと説得力がないんだよね。
  デヴィッド・モースのキャラの立ち方もバリバリの悪人ではなく、どことなく曖昧だ。
  今の映画では極端な「役」作りを伴った演出を避ける傾向にあるかもしれない。

  そしてそれこそが「ダイ・ハード」や「リーサル・ウエポン」の様なブッチギリの爽快感を望めない理由の
  一つなんだと思う。

  ま、仄かに良い味の残るエンディングは好きです。


  「記憶の棘」  ★★★★ <ネタバレ有り>

   哀しい事に、大人の世界は少年の想像を遥かに越えて汚れていた。

  女(ニコール・キッドマン)は純粋な愛を信じて求めてきたけれども、それはやはり亡くなった夫に対する
  追憶であり、美化された理想を頭の中で描いたモノに過ぎなかった。

  少年の愛は(彼の無知ゆえに)純粋であり、だからこそ彼女の理想と共鳴してしまったのだろう。

  結局は現実の幸福を選んだハズの女が、それでも絶望にかられたのは何故か。
  それは自分が束の間でも信じた奇蹟を、自らが投げ捨ててしまった事が「判ってしまった」からだ。

  女は自分に対する過去の裏切りも同じ様に「判って」いたのかもしれない。
  実に深い悲劇だ。

  蛇足ながら「女性のスイッチが切り替わる瞬間」の描写も素晴らしかった。


  「もしも昨日が選べたら」  ★★★★

   ヘンなタイトルだな。 あまり内容に即してもいないので良い邦題とは思えない。
  現題は「click」と言う。 擬音だね。この言葉マジメに訳すと結構ヘンだ。「カチッ」

  「そこでクリックして」→「そこでカチッとやって」はまだイイとして、
  (動作をしめす)名詞として使う「右クリック」→「右カチッ」 なんじゃそりゃ。

  それはさておき、アダム・サンドラーの泣けるコメディ。
  笑える所は腹の底から可笑しいし、泣ける所は死にそうになる程哀しい。
  映画って感情を動かしてナンボじゃないすか、そういう意味で物凄く優秀な映画だと思う。

  自動操縦で生きて人生を無駄に浪費する、それは多かれ少なかれ全ての人にとって耳の痛い話では
  ないだろうか。
  自分の人生をDVDの様にチャプターで選択し、過去を追体験するってトコまではまぁイイのだけど、
  これから起こる未来をもスキップしてしまう悲喜劇は悲惨ですらある。

  イヤな事、ツライ事であっても、それらを飛ばしてしまった人生はあまりに薄い。
  だから家で映画を観る時も早送りをしてはイケナイのだ(いや、別にイイけどさ)

  大好きなケイト・ベッキンセールにもしびれました。


  「ザ・センチネル 星条旗の陰謀」  ★★★

   非常にオーソドックスな映画、まぁマイケル・ダグラスが主演・製作に係わってるとの事。
  昔ながらの正統派スタイルが自分に似合うのを良く判っているんだろうね。

  大統領暗殺計画に巻き込まれた無実の男。 最近だったらこの「無実の」って所に疑問符がついて
  自ら疑心暗鬼ってな映画も多いのだが、先程から言っている様にこの作品は「古い」ので
  主人公のアイデンティティは強固である。

  ま、ハリソン・フォード→マイケル・ダグラス 宇宙人ジョーンズ→キーファー・サザーランド
  置き換えた「逃亡者」みたいなモンだね。
  面白さは鉄壁です。


  「レディ・イン・ザ・ウォーター」  ★★★

   M・ナイト・シャマランは毎回必ず問題作をぶつけてくるね。
  観る方も緊張して劇場に臨むものな、これは本当に凄い事だと思う。
  しかし、今回も表面だけをなぞってしまうと 「ま、また『サイン』なのか、、、!」
  って事になりかねない。

  確かにラストの3兄弟には改めて失笑を禁じえなかった。
  彼はあーゆうのが好きなんだろうな、としか言い様がない。

  だが、シャマランの映画を語るのに、いつまでもそんな表面的な部分をあげつらうのはアホウのやる事だ。

  今回の舞台であるアパートメントは当然ながら我々の住まう現代社会の縮図であり、
  同時に彼の前作「村(ヴィレッジ)」である。

  てんで好き勝手にバラバラに生きる我々が、忘れかけていた伝説・お伽噺を軸に本来の自分の役割を
  見つける(あるいは見つけようとする)。

  大のオトナが雁首そろえて「俺は『守護者』だ」だの「お前は『治癒者』だ」だのと「ごっこ」に興じる姿は、
  『サイン』に於いてTVの前でアルミホイルを頭に巻いてた家族となんら変わらない。

  この様な(一見)愚かな人間の行動こそがシャマランの最近の3作に密接したテーマである。
  人間の心に通底する神や自然に対する畏れ。 それを忘れたフリをしている現代人。
  彼ら(我々)がその畏れに目覚め、対処する為に踊る姿(儀式)をシャマランは描く。
  滑稽で当たり前なんである。

  エンディングはもう少し感動的であるべきだったと思うがなぁ。

  あと、世界を変えていく指導者(メンター)を監督自ら演じてしまうのはちょっと傲慢かもしれん。


  「地獄の変異」  ★★

   いかんな。。。別段悪い所は無いのだが、誉める所が全く思いつかない。
  強いて言えばジーパーズ・クリーパーズに似たクリーチャーの造形がちょっと良かったかな。
  でも「グエムル」であれ程にクッキリと見せ付けられた後だとツライな。

  それと、直前に「ディセント」と言う殆ど同じ内容の映画があり、爆発力の点で大いに劣っているのも
  痛い所だ。

  こうなったらしょーもない突っ込みをチマチマやって楽しむしかないか。

  ・「30年後ったらどう少なく見積もっても50〜60歳のオジーチャンだぞ」
  ・「テンプル騎士団の昔から連綿と続く同じ突然変異かよ」

  ま、とりあえず予告編よりはクリアな映像だった事だけは救いかな。


  「日本以外全部沈没」  ★★★

   タイトルを見て面白がれる人だけ見ればイイと思う。
  「フザケている」「くだらない」と思った方、正解です。ふざけててクダラナイ映画っす。

  知らない人はこんな映画に「原作」があるのか、とか思うかもしれないが、小松左京の代表作
  「日本沈没」を筒井康隆(本作にも出演)がパロディした短編を映画化したものなんである。

  映画の内容としては原作を再現したものではあるが、ちょっと煮え切らない印象も受けた。
  現在の国際情勢を多少なりとも気遣ったのかもしれない。
  全く無責任な私からすると、「チーム・アメリカ」くらいにぶっちぎって欲しかったなぁ。
  と言うのが正直な感想だ。


  「イルマーレ」  ★★★

   チョン・ジヒョン主演の同名映画のリメイク。
  今回はキアヌ・リーヴス/サンドラ・ブロックと言う「スピード」コンビの再共演。
  以前の超ハイテンションの2人が、今回は実にリラックスした雰囲気で魅せてくれる。
  キアヌで言えば「スイート・ノーベンバー」あたりが似ているかな。

  冒頭での事故が後で効いてくる。 オリジナルよりもタイムパラドクスによる仕掛けは巧妙かも。

  途中でサンドラがキアヌを諦めなくてはならない理由は希薄で説得力に欠けるのが難点だけど、
  映画の進行上はしかたがないな。

  例えば「2006年の何月何日になったら、私の携帯に電話頂戴」みたいなガチの約束をせず、
  レストラン「イルマーレ」の予約を入れて落ち合おう、ってのはイイなぁ。

  物凄く不自然な状況下にあって、お互いをキツキツに追い込まず、ひたすら自然に相手を想う優しさに
  満ちた作品だった。

  「2006年のダービーで○×が勝つから」って手紙を出して大金持ちの彼に迎えて貰う映画でなくて良かったね。

  ただ一点、、、「デンジャラス・ビューティ」であれ程頑張ったサンドラ・ブロック。
  顔は美しく年を重ねたが、体型が激しくオバハンで哀しいわ。 正直、萎えた。


  「マイアミ・バイス」  ★★★

   非常に殺伐として乾いた質感の映画だった。
  かなりの長丁場なのだが、とりたててギャグもなくド派手なアクションも無く、
  妙な緊張感のみがジリジリと続く。
  題材といい、エピソードの連なり方といい、まさにTVシリーズのノリだな。

  冒頭でのコリン・ファレルの「ハード・ボイルドだど」的なキャラクターの立て方にはちょっと違和感も感じたが、
  映画が進むにつれ気にならなくなってくる。 これはこれでイイ。

  前述の様に乾ききった映画だが、だからこそラストの仄かな潤いが愛しく感じられる。

  それにしてもC・ファレルの「ハ」の字の眉毛とジェレミー・フォックスの「V」字の眉毛の対称が可笑しかった。
  あと、コン・リーの素晴らしさにはまいりますた。 確かにこの役は彼女でないとな。


  ワイルド・スピード×3 TOKYO DRIFT  ★★★

   一匹狼のガンマン(ドライバー)が見知らぬ土地(東京)でギャングに雇われて
  抗争の中で大暴れ、という西部劇の定番プロットを持ってきた車映画。
  割と底の浅い感じがしてしまうのは否めない。

  同じ形式をとるニコラス・ケイジの「60セカンズ」の方が西部劇に対するリスペクトや車に対する
  フェティシズムが感じられて良かったと思う。

  とは言え、我々日本人にとっては渋谷や新宿の見慣れた街並みや、柴田理恵・妻夫木聡・曙(?) 
  等のTVでお馴染みのタレントが見れるのは嬉しいね。(反則だけどさ)

  あと、港で釣り糸を垂れてるオヤジの「カウンターステアが遅ぇんだよなぁ」ってセリフが格好よいんだけど、
  ひょっとしたらこの映画のドリフト技術を監修した土屋圭一かもしれん。

  シリーズで見てる人には最後の「あの人」の登場も嬉しい所だね。


  「ドリームシップ エピソード1/2」  ★★★

   スター・ウォーズ、スター・トレックを元ネタにしたSFコメディなんだけど、宣伝文句通りの
  爆笑ってホドでもなかったな。

  でもダメダメ作品って事は全然なく、色んな映画(主にSF)のパロディが満載で充分に楽しめた。
  チーズケーキとワイキキに固執する意味はサッパリ判らんが、全く気にせず素直に楽しみたい。

  特筆すべきはSFXで、マジですか?って位にお金の掛かった(であろう)素晴らしい映像が楽しめる。
  確かに「スター・ウォーズ」をパロディするなら、「親指スター・ウォーズ」の様に徹底的にチープに逃げるか、
  「ギャラクシー・クエスト」の様にトコトン本家に迫るかのどちらかだと思う。
  いやぁ、宇宙空間の絵は素晴らしい出来だったなぁ。

  日本の「超大作」も見習うように!


  「ファイナル・デッドコースター」  ★★★ 公式サイトが面白い

   うーむ、大好きなシリーズなんだけどねぇ。
  やはり発展がないと映画で3作やる意義が薄いなぁ。

  大惨事を免れたティーンエイジャーたちが、結局は死神の手によって一人ずつ死んでいく。
  その手口は「風が吹けばオケ屋が〜」的な、もしくは「塞翁が馬」的なムチャクチャな状態で、
  そのシチュエーションを楽しむのが本シリーズの唯一の特色だ。

  回を重ねる度に、1作目での飛行機事故で助かった人(死の予約リスト)の数が増えているだけだな。

  ラストのダブルの予知夢をもうちょっと効果的に扱えば、新しいテイストも出たかもしれんな〜。


  「X-MEN ファイナルデシジョン」  ★★★

   X-MENに 登場するミュータント達の面白い所は、その特殊能力を「どう活かすか」って部分だ。
  主人公ウルヴァリンは「金属のツメをジャキーンと延ばす」能力を持っている訳では無く、
  肉体の治癒能力が異常に高い為に、皮膚を突き破る超硬度金属の刃を「人為的に」仕込む事ができた。
  こういう応用力がイイね。
  今回も「壁抜け」が出来る少女が敵をコンクリートの中に封じ込める機転とか、良かった。

   さて、最高に格好良いヘルメットを被ったガンダルフと車椅子のピカード船長のエピソードは、
  単純な敵/味方の図式に止まらない機微があって好もしい。
  そのガンダルフ、じゃなかった、マグニートー率いるミュータント一族を、現代のテロリスト集団となぞらえるのは
  ごく自然な見方だと思う。
  「聖戦」の描き方として非常に判りやすく出来てると思う。
  どうせなら、もっと突き進んで人間のあり方をエグる、とんでもない作品にさえなり得たのに、
  とか勝手な事も思ってしまう。

  まぁ結果としては当たり前の娯楽作品として、40のババァがクルクルと空を回転するバカ映画としての
  本分をまっとうした。
  ハル・ベリー、この人はもうこれでイイと思う。一時期は「いつまでこんな扱いを受けてるんだ」等と思ったが、
  ここまでくりゃ、もう立派。いつまでも美しくセクシーにクルクル回り続けてくれ。 好きです。

  作品としては一応この3作目で完結、のハズなんだけどこのオマケ映像は酷いな。
  せっかく殺したものを、、、   何故そこまでする? 


  「トランスポーター2」  ★★★

   前作は「俺の」スー・チーが出ていて、それはもう大のお気に入り映画だった。
  基本的には「タクシー」シリーズと変わらないんだけど、そのスー・チーの可愛らしさと、
  爬虫類もかくや、と思わせる程のクールなドライバーのキャラの立ち様が傑作に仕上げていた。

  そして今回の続編だが、私に言わせればこれは「トランスポーター」を名乗るべき作品ではない。

  冒頭でドライバーがガキにルールを言わせるが、それ以前に「トランスポーターの主人公はかくあるべし」
  というルールを君が破りすぎだっての。
  基本的に今回の主人公は前作に較べてユルすぎだな。

  そのクセにドライビングテクニックの他にも格闘技での強さはS・セガール並みで、
  これはもうタイトルを「沈黙のドライバー」かなんかにした方が良かったかも。

  車の底に着けられた物体をこそげ落とすシーンや、キリモミ状態の飛行機内でのドリフのコントの様な
  格闘シーン等、爆笑シーンも満載で、「楽しい」という点で語るなら優秀な作品だった。

  例によって「3」まで作るのなら、初心に戻ってゴツゴツしたヘンタイ男の主人公で作って欲しいモノだ。


   「マッチポイント」  ★★★★

  ウッディ・アレンの新作。 しかし多作だね、最近は年に1〜2本はリリースしてないかい?
  まぁ製作費○億ドルのスペクタル超大作ではないからこそ可能なんだろうね。
  それにしてもこの製作意欲は尊敬に値する。

  私は特にファンって事もないが、それでも近作の4〜5本は観ており、どれもなかなか楽しませてくれる
  好作品だった。

  今回はいつものNYからイギリス(?)に舞台を移して描かれるが、内容はいつも通りのドメスティック・コメディ
  (というかジャンルが「ウッディ・アレン」)なので、本質的には何も変わらない。

  シンプルな不倫劇と言ってよく、昼メロを見る感覚で「ケッ」と笑いながらダラダラ観るのが正解。
  そうやって油断しているからこそ効いてくるラストの仕掛け、、、絶妙っす。

  序盤で主人公が読んでいる本のタイトルにも、この映画のテーマが暗喩されている。
  ホント、良く出来てるな。  オススメだす。


   「グエムル 漢江の怪物」  ★★★

   ヒーロー不在の時代、とはもう聞き飽きたフレーズではあるが、これはマスメディアによって
  もたされた現象である、と私は考えている。

  ヒーローってのは常人を超えた「何か」を持った、いわゆる「神」にも近い存在であったのだが、
  現代のプライバシーを最大限に無視したゴシップ趣味が彼らの(真の意味での)カリスマ性を剥ぎ取って
  地上に引きずりおろしてしまった。
  人の性癖や合コンや浮気やささいな過ちがそんなに楽しいか?
  そうやってヒーロー達を自分の蠢く汚泥に落として、「自分もそう変わらない」と横並びにして安心しておきながら、
  求心的なモノを失って嘆く。 愚民どもめ。

  そんな中で再び立ち上がったヒーロー中のヒーロー、スーパーマンの在り様は非常に苦しかった。
  彼がいようといまいと、世の中はもう変わりようがない、とみんなが気付いてしまっている中で、
  それでも彼は超人ならではの力を振り絞って戦わなければならなかった。
  観ている(助けられている)私たちが苦しかった。

   さて、そんな時代の新しいフォーマット(と言うほどでもないのだけど)で作られた「グエムル」は、
  まさにヒーロー不在のまま突き進む怪物映画だ。

  家族愛がどうとか真剣で言っている評価もみるけどお笑い種だね。

  普通ならヒーローとなるべき主人公が全くのダメ男である。
  怪物に娘をさらわれて泣きわめき、そしてほぼ無策のままヤミクモにジタバタするだけだ。
  コメディみたいだが、そう、モチロン笑ってイイのだ。

  実際の所、我々に彼ら以上の事が出来るだろうか?

  主人公一家の徹底的なヒーロー性の剥奪は、これが特別な誰かのモノではなく、
  私たちの物語だと言うことだと思う。

  河にホルマリンを流しただけで生まれた廃棄物13号、じゃなかった怪物は特に何の悲哀も怒りも
  感じさせず、ただ、そこにいるだけだ。

  現実のテロがそうである様に、その災厄には明確に理解できる理由がない。
  その惨劇は、「ただそこに、避けようも無く、ある」だけだ、
  そしてヒーローならぬ我々は実質上「何もできない」のだ。

  何も出来ない孤立無援の主人公一家の娘に対する思いの強さが「家族愛」等といわれる所以
  であろうが、決してヒロイックな格好良いモノではない、「妄執」である。
  もちろん、その愚かさがテーマである。


   「スーパーマン・リターンズ」  ★★★  (ユナイテッド93と併せて観るとイイかもしんない。)

   ラピュタはスーパーマンが支えて宙に浮いているらしい。

  それはさておき、まずオープニングが実に堂々としているのが良い。
  誰もが知っている、J・ウィリアムズのあのテーマを高らかに謳い上げ、否が応にも猛烈に高揚する。
  しかし、その後は非常におずおずとしたもどかしい人間ドラマが映画の推進力を削ぐ。

  「鋼鉄の男は細かいコトは苦手」と敵に言われる通りだ。
  確かにヒーロー物として「強い力」とうらはらの「繊細な心」というのは重要なテーマではある。
  でもこの余りにチマチマして、かつポイントを捉えてない主人公では殆どデクノボーである。
  こんな奴に正義のジャッジメントをされた日にゃかなわんな。
  この映画の中では善悪がハッキリした案件しか取り扱わんからのう。

  んで、それを観客達はもう判ってしまっているから、どんなにハッピーエンドを提示されても
  ちっとも幸福感に浸れないのだ。

  スーパーマンってさ、もう殆ど「神」な訳よ。
  至近距離でピストル撃たれ、なかんづく目ン玉を直撃されても弾を跳ね返しちまうのね。
  9.11だって楽勝で防げるじゃん?

  でも彼が1人いた所で、ビルに飛行機が突っ込むのも、コンビニで店員がチンピラに撃たれてしまうのも
  決して止められない。
  「世界中に現れるスーパーマン」ってニュースの時、みんな思ったハズだ。
  「いや、、、間に合わないってば」
  この世界はもうそんな事では救えない。

  だから、みんな祈るのだ。
  それが決してかなう事のない哀しい祈りだと知りつつ。


   「ユナイテッド93」  ★★★★

   イイ映画とか、ダメな映画とかちょっと判断が出来ない作品なんだけど、
  とにかく一生懸命に作った感じが伝わってくる。

  ほとんどハンディで撮っていて、画面が手ブレするのがドキュメンタリー感を演出して
  緊迫感のある映像になっている。(ランス・フォン・トリアーのドグマ方式かな?)

  意外な程に乗客一人一人のドラマに焦点を合わせないのだが、お涙頂戴のドサ芝居を
  やらない事がこの映画のマジメさ、一生懸命さを表している様に思える。

  それでも現実の出来事として、その結末を知っている私たちはこの地獄図の収束を目の当たりにして
  ただ震えるばかりだ。
  最後のホワイトアウトを充たすモノを敢えてここで言葉にしようとは思わない。

  ハイジャック犯も乗客も、地上で成す術もなく茫然とする管制官たちも同じく神の名を口にする。
  それがただ哀しい。


   「愛と死の間で」  ★★★ 

   「インファナル・アフェア」「マッスル・モンク」のアンディ・ラウ主演のラブ・ストーリー。

  主人公(ラウ)の奥さんが事故死し、彼女の心臓移植をした女性の彼氏が、主人公のソックリさん。

  、、、無茶なシチュエーションだな。 と言ってしまえば全てが終了か。

  まぁ、その無茶さ以外は割と普通のメロドラマですわな。
  あそこまで献身的な男(しかも超イケメン)ってだけでも感動的なのだが、
  ダマされたフリを続ける女の優しさにも泣かされる。
  それを支える妻の両親のサポートも美しい。

  そして、それら全てを包み込むのが、あのちょっとアタマの弱そうな(お言葉ねっ!)妻の大きな愛な訳だ。

  以前も書いたが、生者は死者に何もする事はできないが、死者は生者に対して絶大な影響力を持つ。

  なんだチキショー、いい映画じゃねぇか。


   「狩人と犬、最後の旅」  ★★★

  雄大で、時には過酷なロッキーの大自然と1人の親父がガチで向き合う様を描いた映画。
  親父はそりゃ当然オヤジな訳だから頑固で、奴の行動原理は非常に手前味噌の自分勝手だ。

  自然からおこぼれを貰う狩人が、自然から多くを奪い取る大企業より「エライ」訳ではないと思うしな。

  ただその2者を較べると、前者の方が圧倒的にカッコ良く見えるのは確かだ。

  テーマは非常にシンプル。 life goes on てトコだろう。 狩人とワンコの旅は続く。


   「カクタス・ジャック」  ★★★

   ゆ、、、ゆるい、、、、

  テンポの悪〜い、もったりした、名付ければ「アンスタイリッシュ・コメディ」
  でもこのモタモタした絶妙な間の悪さが猛烈に笑いを誘う。 不思議な映画だなぁ。

  一応、スラップスティックなんだけど、そのスピード感の欠如のおかげでなんかノホホンとした
  仕上がりになっている。

  基本的には「緩い」ってのは貶し言葉なんだけど、この映画に関してだけは正反対の意味になる。

  そして只でも面白いのに、更にトドメを射す如く「人喰いトニー」というとんでもないキャラクターが出てくる。
  こいつはスゲエぜっ!!!
  顔は幸田晋みたいなチビなんだが、、、ウプププ、思い出したダケでも笑いがこみ上げてくる。

  エンディングに一抹の疑問も残るが文句ナシに面白い。 コメディ好きには間違いなくオススメだぁっ!


   「幸せのポートレート」  ★★★

   幸せラブコメ。 私は基本的にハッピーエンドに対して凄く懐疑的なのだけど、このようなコメディ仕立てだと
  余り抵抗なく喜べたりもする。
  要するにリアルさが無い分、気楽なんだろうな。  ええ、ネクラですとも。

  テーマ・ストーリーは物凄くシンプルで、「本当の相手は、、、?」ってとこ。

  私は終始楽しく笑えた作品だったのだが、前の席のおねぇさんはやたらとハンカチで涙を拭いておられたようだ。
  う〜む、やはりオンナは判らぬ。

  ま、何かツボにハマる部分があったんだろうね、映画に限らずだけど、受け取り側の個人的体験も
  色々と左右するからね。

  私が京極夏彦の小説「魍魎の匣」で涙した、と言っても誰にも理解されないだろうしね。


   「日本沈没」  ★★★

   私にとって原作者である小松左京という人はすごく懐かしく、思い入れのある人だ。
  小学生の頃、北杜夫で小説に目覚めた私はその後小松左京にハマり、中学生頃まで
  平井和正、半村良などの作品と共に相当数のSFを貪り読んだ。
  「果てしなき曲がれの果てに」「虚無回廊」「さよならジュピター」etcetc、面白かったなぁ、、、
  もう殆ど内容は覚えてないんだけどね。

  映画版の「首都喪失」を観て「金返せ!」とか思ったコトもあったっけ。

  さて、小松左京の代表作とも言える「日本沈没」の今回のリメイク版、非常に評判悪いみたいだ。
  友人知人、みなクチを揃えてダメ出しの連打。
  うむ、その気持ちも良く判る。

  確かに草gクン扮するヒーローの立ち回りには疑問も感じるし、すんごいお金を掛けたという特殊効果も
  時々悲惨だった。
  あの「凸版地図がチカチカ光っている」のを「上空からみたリアルな日本」と納得するには非常な努力が必要だ。

  でも同じく絵がショボイ「カリブの海賊」と違って内容があるからな。

   危機に瀕した状況で、「日本人なら『何もしないで』敢えて国土と共に死ぬ、という選択もあるのではないか」
  という精神性に触れただけでもエライ!

  「生きるよりも大切な事もある」という心情が柴咲コウと草gとのくっだらないロマンスにもキチンと通低している。

  まぁオリジナル版と較べるとやはりダメダメなのかもしれないが、(遥か昔に見たと思うのだがまるで覚えてない、、、)
  時代を汲んで、強い女性に焦点を当てたり、ちゃんと頑張った作品だと思う。

 

   さて、これでもうすぐ公開の筒井康隆原作「日本以外全部沈没」を観る準備もOKだぜっ!
  楽しみだなぁ。


   「リブ・フリーキー!ダイ・フリーキー!」  ★★

   「サウスパーク」と「チーム・アメリカ」を血と精子と生ゴミで煮詰めた地獄鍋。

   こんな映画観ちゃダメっす。

  このスプラッター人形劇を観て、気持ちが悪くならなっかたり、何の反発も覚えないとしたら
  貴方は相当に病んでるのかもしれない。

  ましてや、チャーリー・マンソンや、そのファミリーの事件について何の知識も無いでいて、
  この映画を「楽しい」と言うのなら、その人の人格さえ疑ってしまうな。

  それ程に下劣な表現のオンパレードである最大限に阿呆な映画だが、決して阿呆に見せてはならない。

 

   話は全然違うが、その昔フランク・ザッパのビデオでクレイ・アニメがあったんだが、もう一度見たいなぁ。
  タイトルすら判らないしなぁ、、、


   「ザ・フォッグ」  ★★★

   ジョン・カーペンター監督の同名映画のリメイクだと言うが、私はオリジナルを観ていない。
  従って、ほぼ純粋に新作ホラーとして楽しんだ。

  とは言っても、やはり多少の先入観はあったので、出てくるゾンビ(?)の造形に、
  「ああ、やはりカーペンターのニオイが残ってんなぁ」等と思ったりもした。

  「ゴースト・オブ・マーズ」とか、おんなじ様に「鉄拳」みたいな顔してるからな。

   前半〜中盤くらいまでは全く意味が判らず、「何でこの村人達が死ななきゃならんの?」等と
  思っていたが、ラストではその謎やオープニングの映像etc,もちゃんと収束するので安心できる。

  尤も、それに関してはオリジナルが優秀だったって事だろうけど。

   オリジナルを観てないので何とも言えないのだけど、これもリメイクする理由が良く判らない作品
  ではあった。

  取り敢えず、相変わらず不機嫌そうなセルマ・ブレアが久々に観れたのは良かった。


   「アルティメット」  ★★★★

   サイコーですバイ。

  人間の身体能力の極限的なアクションの鶴瓶打ち、いやつるべ打ち。
  それダケでも充分に入場料以上の価値はあるが、更に意外な程にストーリーもしっかりしている。
  その点はやはりリュック・ベッソンが絡んでいるだけの事があるね。

  まぁ予算が無かったのだろう、近未来的な要素を現す舞台設定(セット)が無かったのは少し残念。

  でもまぁガタガタ言う事ないよ。 観ればイイさ。 開いたクチが塞がらないから!


   「ディセント」  ★★★

   こりゃめっけモン。 女7人がどっかの洞窟で迷ってさぁタイヘン!

  せまいよー  暗いよー  帰れないよー

 

  最初はこれだけのストイックなホラー(最近の「オープン・ウォーター」みたいな、)かと思っていたら、
  中盤以降、大暴走する。 ぎゃははははっ!!

  それまでは、「また、今更な『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』かよ、、、」とウンザリしかけていたんだけどね。

  残念な所としては主人公のトラウマが効果的にストーリーに絡んで貢献しなかった事かな。
  「雰囲気」的な演出程度に終わってしまっているので、いっそカットしても良かったかもしれない。

  あ、血まみれの女(キャリー?)は、やっぱ怖いっすな。


   「サイレント・ヒル」  ★★★

   最近良くある「ゲーム原作」のホラー映画。 (らしい)

  私はこのゲームは知らないので単純に、単体の映画作品としてしか評価できない。
  が、結果としてかなり良い出来だと思う。
  まず、ストーリーがストーリーと言うに足る「物語」を紡いでいる点がエライ。

  そして映像もしっかりとお金と手間を掛けてかなりのモノを見せてくれる。
  子供ゾンビ(ゴブリン?)みたいなのや、頭デッカチのマッチョ野郎等、色々な怪物が出てくるが、
  それらの造形も素晴らしい。

   主人公側の視点を敢えて離れてこの作品を俯瞰すると、興味深い事に気が付く。

   善と悪がそれなりの均衡を保って存在する「村」に突然の侵入者が現れ、
  勝手に大暴れして全てをブチ壊す。 迷惑な話だ。
  しかも本人的には「不可抗力によって引き寄せられた」のであり、「自分の子供を守るための正義の戦い」
  である。
  すっげぇアメリカ的なんだけど、、、

  この構図を外側から描いた作品として、ラース・フォン・トリアーの「ドッグヴィル」を挙げておこう。


   「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」  ★★

   前作同様の薄い作品。 子供向けのコメディと割り切って観るしかない。

  しかし、あの「安い絵」はどうにかならないモノかねぇ。内容なんかにハナから期待してないんだから
  せめて圧倒的な映像でも見せてくれよ。

  これ、デップのミーハーにもウケが悪いだろな。それこそ内容や映像以前に彼が「カッコ良く」描かれてないからな。

  でも、ごく平均的な方々には楽しい映画なんじゃないかな。跳んだり撥ねたり愉快だしな。
  ただ、これから観る、と言う人には1作目をDVDででも見てから劇場に行く事を強くお奨めする。

  あと、今作で完結しないって事も念頭に入れておいた方がいい。


   「ローズ・イン・タイドライン」  ★★★

   前作がグリム兄弟で、今度は「不思議の国のアリス」か、、、 
  と騙された人もいるんだろな。  ザマミロ! がっはっは!

  これ、テリー・ギリアムの映画なんだよな。 はっきり言ってヘンタイなんだよな!
  「ジーパーズクリーパーズ」ばりの「人皮縫い」もあってゲロゲロなんだよっ。

  じゃぁホラーなんか?  いいや、ギリアムと言ったでしょ、これこそファンタジーなのさ。
  前作「ブラザー・グリム」で肩透かしを喰らった「ブラジル」好きの貴方もこの作品で溜飲が下がる事だろう。

 

   サイレント・ヒルでの子役ジョデル・フェルランドがこっちでは主役を張っている。
  ダコタ・ファニングの向こうを張る天才の予感、、、


   「バタリアン4」 ★★

  非常に明快な正統派ホラー。

  ホラーとは言っても本来の「観客を怖がらせる為に特化した映画」では無く、
  「ホラー映画」と言う1つの確立されたジャンルの定型にはまった作品、ってな意味になる。

  しかしいかんせん爆発力に欠ける。
  「悪魔の棲む家」のブキミさ、 「ファイナルデスティネーション」の圧倒的スピード感、
  「マーダー・ライド・ショー」の血飛沫と狂気、 「毒々モンスター」のオゲレツetc,etc,,,,

  これらに匹敵する売りが「何一つ無い。これはイタイ。
  この弱さを誤魔化す為のギャグに走らなかったのはエライとも言えるが、
  見てる方としては余りにエサが少なくて困ってしまった。

  研究所で、危険な毒ガスが実験ボックスから洩れている所や、ヒト型最終兵器のデザイン等で、
  失笑してしまったが、あれは狙ったギャグと言うよりは、単にズサンなだけって気もする。

  超B級は勿論、Z級にもなれない、普通のC級映画になってしまった、、、

  一応のテーマとしては「スターシップ・トゥルーパーズ」の様な社会風刺を、、、、の訳ねぇ!


   「M:i:3」  ★★★★

  「不可能を可能にする」にしては余裕綽綽でニヤニヤしながらコナしてた前作とは違い、
 今回のハント君はシリアス。
 その追い詰められた主人公の底力が人間臭くて良い。

 しかし何より、一度見たら絶対忘れようの無い、敵キャラの立ち様がこの映画の成功に繋がったと思う。 

 サブマシンガンで○○○を撃墜する、という大爆笑シーンもあったが、まぁ良しとするか。


   「嫌われ松子の一生」  ★★★

  「下妻物語」で結構良かったから、期待して行ったけど裏切られること無く楽しめた。 優秀。

  美しく天真爛漫な女教師が、あれよあれよと言う間に不幸のズンドコに陥り、
  そこからは黄金のイバラの街道をひた走る。

  不幸な事件に出くわすたびに、「この時、私の人生は終わったと思いました。」「今度こそ、私の人生は〜」と、
  何度も繰り返す所がミソ。

  『全然、終わらない』のだ。 実に逞しい。

  ストーリーの収束としては「最近の子供はモンスターだ」で終わらせてしまうのだけど、それはリアリティがありすぎて
  ちょっと嫌だなぁ。

 

   色んな見方があるだろうけど、私としては全体的なテーマは、

  「愛とは奇麗事なんかじゃなく、『覚悟』なのよ」 って感じだと思う。  


   「メタル・ヘッドバンガーズ・ジャーニー」  ★★

   ええ、アタシ、動物も好きだけど、メタルも好きでよ〜

  サム・ダンなる人類学者(?)がヘヴィ・メタルの歴史を辿って世界を旅するドキュメンタリー。
  しかし、非常に退屈だった。このインターヴュアーでもあり監督でもあるサム君の圧倒的なユーモア感覚の欠落のおかげで、
  本来ならいくらでも面白く作れるであろう題材をまるでダメにしてしまった。

  クソ真面目にやるならやるで、もっともっと深く激しくマニア心をくすぐるコアな所まで掘り下げるべきだった。

  一生懸命だした結論が、

  「メタルを馬鹿にするなら、それはそれでイイ。俺達はアンタら無しでも楽しくやっていける」 、、、阿呆か。

  大の大人が2時間も掛けて大真面目でこんな程度の結論を語ってるからバカにされるんだよ。
  味噌汁で顔洗って出直して来い、バカヤロー!    


   「ホワイト・プラネット」  ★★★

   映画の出来としては別にそれほど素晴らしい訳ではない。

  地球温暖化を受けて、あと数十年で北極が無くなってしまうかもしれない、という。
  その北極圏に住む動物達のドキュメンタリーだ。
  特にこった演出がある訳でもなく、撮って出しての刺身状態だ。

  でも、オイラ動物好きだからさー。

  北極が無くなる前にシロクマを南極に疎開させてはどうだろうか。
  いや、確かに南極の生態系も乱れるだろうけどさ。


   「オーメン」  ★★★

   言わずと知れた、ホラーの名作のリメイク。

  正直、最近の多くのリメイク作品はえてして、「何がしたくて敢えてこの作品を再び世に問う」
  のか、さっぱり判らない。
  その部分が伝わって来ない以上、「ハリウッドはネタ切れだね」「金が欲しくて作ったダケじゃん」
  等と悪口を言われても仕方ないと思う。

  その点を考えると、「バットマン・ビギンズ」の優秀さったら別格だったね。(リメイクではないが)

  この作品に関しては、もちろん現代のテクニックで撮られているので、その映像を存分に楽しんだ。
  私としてはそれだけでも、まぁ満足ではある。出来はかなり良いと思う。
  ゴチックで、カラーなんだけどモノクロを思わせる質感、
  うむ、オリジナル作品だったらもっと素晴らしかっただろう。

  あ、あと毎回書いてるけど、冷たい目をしたリーヴ・シュレイバー、好きなんだよね。


   「インサイドマン」  ★★★★   お奨め

   クライヴ・オーウェン主演のクライム・ムービー。 って、この人も主役張れるようになって来たんだなァ。
  なんだか滑舌が悪く、野暮ったい人ってイメージがあったんだけど、今回はちょっとアカ抜けてイイ感じ。
  ニコラス・ケイジが油が抜けてきたから、そこを埋める感じで行けるかも。

  天才的犯罪者(オーウェン)に対するチョイ悪な刑事役にデンゼル・ワシントン
  かつては品行方正なイメージの役が多かったが、最近は年を取って、中年パワーの凄みが出てきたのが
  功を奏して、こういう「太い」キャラクターが似合うようになってきたと思う。

  それ以外にもウィレム・デフォージョディ・フォスターと相当に豪華な顔ぶれ。
  (とは言え、ジョディ・フォスターである必要もそれほど無い気もする。)

   さて、ストーリー的にはちょっと変わった銀行強盗なのだが、C・オーウェン率いる強盗団の顔が今ひとつ
  ハッキリしないところが味噌。
  もう一度見たくなる事、請け合いだ。

  かなーりお気に入りの作品なんだけど、オープニング・エンディングのインド風の音楽の意味が判らない。
  全く映画と無関係じゃないか?  


   「ウルトラヴァイオレット」  ★★

   って名前の香水があるなぁ。凄く好きな香りだが、結構強いので自分では使えない。
  そんな事は全くカンケー無い映画だが、とにかくCG処理が目につく作品だった。

  ミラ・さのばびち、じゃなかった、ジョボビチだって人間なんだからシワだってなんだってそれなりにはあるハズなのに、、、
  最強のファウンデーションはCGか、、、
  ちょっと前の缶コーヒーの宣伝ポスターの山本リンダを思い出してしまった。

  そのウソ臭さは背景処理にもそのまま共通している。
  例えば「スカイキャプテン」や「ゴッド*ディーヴァ」、せめて「マイノリティ・リポート」程度の作りこみを
  してくれれば良かったのだけど、物凄くノッペリした、安物のゲーム世界の様な舞台でどんなアクションを
  見せてくれても気持ちが高ぶらないよ。

  この監督「リベリオン」の人らしいんだけど、よっぽどクリスチャン・ベールが再び大暴れするガン・カタ映画の2作目を
  作ってくれた方が良かったよ。

  え?ストーリー、、、?何だっけ? 「X-MEN」+「トランスポーター」だったと思うんだけど、、、
  すいません余りのユルさに途中で気を失ってました。


   「ダヴィンチ・コード」  ★★

  つい最近、世界各国で大ベストセラーになった小説の映画化。 
 つまりは観客は原作を読んでる。という前提で物事が進行している。
 (例えばエレベーターの前でたじろぐ主人公、なんて描写は少なくとも今回の映画では殆ど不必要なエピソードだ。)

 この映画化によって「ダヴィンチコード」と言う作品は判りやすくなった。
 そりゃそうだ。 原作小説のあらすじ「のみ」を抽出して簡単なアクション映画にしたのだから。

 お気づきの方も多いだろうが、この作品は「物語」が豊かなわけではなく、それを彩る博覧強記のダン・ブラウン
 ガジェットが面白いのだ。

 映画の中で滔々とそんな薀蓄を語らせる訳にもいかず、冒頭のラングドン教授の講演の時に、壇上のプロジェクターに
 映る記号学の解説映像くらいにその名残を留めるに至った。

 まぁ、非常に内容の薄い映画になってしまったが、面白かった小説が映画化されるのは嬉しいものだ。
 単純にその事を喜べば良い。

 あ、ラストシーンは結構良かったな。


   「ジャケット」  ★★★★  

   暗い、、、、イイなぁ、、、ちょっとだけ「メメント」や小説「リプレイ」等を彷彿させる作品だ。

  エイドリアン・ブロディが、非常に彼らしく虚ろでアブナイ魅力を全開にする。
  主人公と共に我々もジャケット=拘束着で縛られているかの様な閉塞感に押しつぶされそうになって行き、、、
  この先は言えねぇ。

  抑えに抑えた表現の演出が最終的に圧倒的な感動を我々の心の中に生み出させてくれる。
  与えられた受動的なだけの感動ではなく、能動的に作品に向かって行った人に生まれる感動だと思う。 秀作!

  こういう映画にブチ当たる幸福があるから、ミニシアター系の映画に時間とお金をつぎ込んでしまうのだな。


   「カサノヴァ」  ★★★

  「ブロークバック・マウンテン」のホモ野郎、ヒース・レッジャーが今度は稀代のプレイボーイ、カサノヴァを演じた。
  裏の「マスク・オブ・ゾロ」みたいな印象もある映画だ。

  ラッセ・ハルストラム監督作品としては意外な程「ハネた」感じも多い映画だったが、
  元々「ショコラ」等でもおおらかなユーモアのセンスをチョコチョコ(←洒落)披露はしているので、
  彼女らしい作品であると言ってしまっても良いと思う。

  このカサノヴァを観客である現代の女性にもアピールさせるために、「可愛らしさ」を打ち出している部分には
  苦笑を禁じえなかったのも確かだが。  


   「プルートーで朝食を」  ★★★

   、、、良く判らん、、、
  取りあえず、オカマの姉チャン(兄チャンか?)が母親を探すロードムービーの体裁を取っている。

  判るも判らんも、それでイイ。と言うので正解の様な気もする。 
  「全ての映画はロードムービーである。」といったのは誰だったかしらん。

  IRAのテロが吹きすさぶ厳しい現実と、オカマ達による狂騒的な部分を切り離して見てしまうと、
  さらに理解が出来なくなるかも。この二つはまったく別に見えて、実は必然である。

   リーアム・ニーソンの生臭牧師には笑った。


   「ポセイドン」  ★★★★

  「へ〜い!『ポセイ丼』いっちょ上がりィ!」  はいはい。

   言わずと知れた、往年の名作「ポセイドン・アドヴェンチャー」のリメイク。同時代には「タワーリング・インフェルノ」
  とかもあったね。

  で、今回の監督は、、、超迷作「パーフェクト・ストーム」のウォルフガング・ペーターセン
  あんた、、、津波好きねぇ。

  豪華客船が難破してイッパイ死んじゃうよ、どうしよー!って映画ではやはりレオ様のアレを思い浮かべるだろうが、
  その「タイタニック」から全てのドラマを剥ぎ取ったアクション一本槍の作品がこの「ポセイドン」だ。

  何しろ説明ナシで最新の超豪華客船が大波一つで転覆だからね。
  理由なんて要らないのだ。「転覆するからするんだヨ!」  、、、は、はい、、、、

  結果、ビタイチ感動は無いが矢鱈滅法面白いアクション作品が出来上がってしまった。
  圧倒的な水流に飲み込まれ、体がへし折れてしまう人々の姿は、その人の人生=ドラマも何も語らせず、
  無機的ですらある。そこが物凄くリアル。

  人が車に撥ねられるのを見たことがある。
  普通の人はジャパンアクションクラブ(JAC)の人の様に「受身」なんて取らない。
  ボウリングのピンの様に同じ様に弾かれて倒れるんだな。
  大きな力の前では我々人間なんて材木やなんかと変わらない、、、、あ、「パーフェクトストーム」じゃん!

   いや、ホントは父親と娘のドラマらしきモノもあるにはあるんだが、、、
  敢えてそんなモノを無視して評価した結果が★4つの高得点じゃ。


  「ブロークン・フラワーズ」  ★★★

  「コーヒー&シガレッツ」のジム・ジャームッシュ作品、という事でかなりの「?」を覚悟して行った。
 でもまぁ意外に判りやすいストレートさではあったかな。

 まぁまぁそれなりにプラ〜ンと生きてきた初老の男が、過去を振り返って旅に出る。
 大事なのは、ソレほど大切には思ってなかった家族の絆を、最後には(走ってまで)求める、と言う点だろうか。

 ビル・マーレーの心の中に起きた小さな革命である。

 ラストシーンで車の中から見つめる男(ビル・マーレーの実子?)の表情が暗喩的だ。


   「サウンド・オブ・サンダー」 ★★

  まー酷い映画だ。 ヒドイ酷いとは訊いてはいたが、よもやコレほどの代物とは。
 思わず、「これは紙芝居ですか?」と聞きたくなる。

 なんでこんなヘンな映像なんだろなぁ。 CGの中で役者が動き回る手法は今や当たり前ではあるけど、
 ここまでチープさが全面的に支配するとさすがに萎える。(パイレーツ・オブ・カリビアンより酷い)

 で、ブラッドベリ原作になるストーリーはと言うと、「CORE」や「タイムマシーン」と同様のドタバタSFなのだけど、
 出来はそれらに遥かに及ばない。

 600万年前(だったかな?)の過去をほんの少し変えてしまった事で、「風が吹けば桶屋が儲かる」的
 (もしくは「バタフライエフェクト」的)な連鎖によって人類滅亡の危機を迎えてしまう。
 が、残念ながら「どのような道筋で」その曲がった進化が行われたのかの説明が一切無いので、
 ストーリーの説得力に欠ける。

   (暴言) 「っつーかさ!あの蝶も噴火で死んでるっての!!!」

 それでもラスト間際の「過去を修正し直した証拠」を持ち帰るシークェンスはちょっと面白かった。
 ただ、「全く何も知らなく、危機感も無い人」が、あの証拠映像のみで巨大な危険を理解できるか、
 というのはかなりの眉唾モノではあるな。 


   「アンジェラ」  ★★★★

  それこそ星の数ほどの映画があり、それぞれに意味がある。(無いモノも少なくないが、)
 楽しく笑いたい→「ピンクパンサー」、知的好奇心を充たしたい→「グッドナイト&グッドラック」、とかね。

 でもそんなジャンル的な分類を超越して、胸の奥にいつまでもしまっておきたくなる様な映画がある。

 リュック・ベッソンは時々そんな作品を作ってしまう。誰にでも共感できる映画ではない。
 例えば「グラン・ブルー」を宝物と思う人は結構多い様だ。私自身にはあの映画はただ退屈だったが、
 アレをもって人生観が変わってしまう人がいる事はなんとなく理解できる。

 この「アンジェラ」も、映画の完成度とかを語ると、結構ボロボロだ。
 ラスト間際の、アンジェラとブ男が空を舞うクライマックスだって滑稽一歩手前の危うさだ。

  でも愛しい。       愛情なんて、そんなものじゃないか。  


   「ナイロビの蜂」  ★★★

  凄くイイ映画、、なんだけど面白みは少ない。
 本当の意味での「大人のラブストーリー」だから結構シリアス。

 結果的に女性の愛情の強さにばかり焦点があってしまいがちだが、
 何も出来ない男のどうしようもない哀しみに視点がいった瞬間に胸が打たれる。

 レイチェル・ワイズジョセフ・ファインズも本当に素晴らしい演技だ。


   「ブラッドレイン」  ★★

  「ターミネーター3」でのクリスタナ・ローケンは衝撃的だった。 こんな美女がパワフルに邪悪を演じるギャップに
 我々は誤魔化され、「ターミネーター2」から全く進歩してない映画でも何となく新しいモノを見せられた気になってしまった。

 今回、久しぶりのローケンのスクリーン登場にまたもや衝撃を受けた。
 パワフルだ、、、、身体が。

 無理矢理なローライズでオナカ周りのムッチリした肉を意識的に見せ付けられる。 暴力的だなぁ。
 いや、まぁそれはそれでセクシーなんだけど、かつてのローケンのイメージはもっとシャープではなかったか。

 更にこの程度の映画で脱がなくてはいけない彼女の扱いの低さに涙した。

 そりゃまぁ、「アンダーワールド」のベッキンセールみたいな扱いは無理だろうけどさ。 頑張れ、ローケン!


   「ロンゲスト・ヤード」  ★★★

   囚人チームvs看守チームによるスポーツ対決。昔から良くあるねー。
  でもこれは脱走モノではないんだな。

  そういう強いストーリーが無い分をクリス・ロックアダム・サンドラーのコメディアン・コンビが笑いで救ってくれる。
  ボブ・サップも珍しく映画の中で正しく機能しているし、他にも個性的なキャラが立ちまくり。
  おそらくこの1作でしか見れないのが残念な程だ。
  少林サッカーなみに良いメンバーが揃ってますぜ、ダンナ!

  おまけにバート・レイノルズだ!  「死ぬぞっ!」  がっはっはっ!
  彼は74年のオリジナル版にも出ている。


   「RENT」  ★★★

   非常に良い歌があるのに、今ひとつそれが生かされてなかったミュージカル映画。

  エイズや貧困、大家と戦うNYの若き芸術家達の生き様を歌に綴ったのだが、せっかくの音が生々しさに欠け、
  (音像が遠いのよ)なんだか安っぽいカラオケみたいな感覚が始終付きまとった。

  それは別にしても、もっと壮絶に暗く悲しいミュージカルにした方が良かったんではないだろうか。

  予告編が一番感動しますた。


   「リバティーン」  ★★

  うーん、文芸作品?
 音楽がマイケル・ナイマンなんですわ。 こう言えば、判る人には雰囲気を判って貰えると思う。

 中世(?)のヨーロッパの怪物を描いたものだが、この人は結構悪名高い伯爵だったらしい。
 まぁ、日本人である我々には余り馴染みの薄い人なので、もう一つピンと来なかったのは仕方ないだろう。

 ジョニー・デップの演技を異常に誉めている記事(宣伝?)を見たが、普通だよな。
 デップにしては良くやったな、て事だろうな。


   「モルタデロとフィレモン」  ★★

   ミョーなコメディだ。マンガの映画化らしいが、なるほどマンガだ。 
  そこは納得できるし、この独特の風合も結構良いと思う。

  ただ、笑いの爆発力の維持が出来なくて、途中どうしようもなくダレてしまう部分が多い。

  でもまぁたまにはこんな変わったスペイン映画を観るのも良い。 「モンキーボーン」にちょっと似てるかな。


   「グッドナイト&グッドラック」  ★★★

  50年代のアメリカに吹き荒れた「アカ狩り」の嵐。
 この辺の事情は「マジェスティック」でも扱われていた。私達日本人の想像を超える痛みだったのかもしれん。

 そんなマッカーシー旋風に真っ向から立ち向かうTVニュースキャスター、エド・マーロウ達の真の勇気を描く。
 ジョージ・クルーニー監督でソダーバーグ絡みなので例によってシブイ。
 モノクロの絵も非常にシブイし、サントラのJAZZも大層シブイ。

 しかし、体制に押しつぶされそうな恐怖を非常に良く描いた好作品だ。

 何が「正義」なのかは後にならないと判らない場合も多いだろう。
 しかし、その時自分が正義と信じたモノの為に、この様に力強く立つ事が出来るだろうか。


   「ピンクパンサー」 ★★★

  良質のコメディ。笑えた、楽しかった。  これ以上何を求める必要があると?


   「アンダーワールド・エヴォリューション」  ★★★

  ほとんどストーリーは無いに等しいが、単純に楽しい。「何も語らない映画」って(観るのも)楽だね。

  特筆すべきは「一番最後に逝く人」の死にっぷり。これには拍手喝采、良くやった、ブラボー!!!


   「ニューワールド」  ★★★

  美しい映像叙事詩。 全く一般向けではなかった様で、公開2日目にしてチケットが700円で売られてた。
 確かにエンターテインメントを求めて劇場に出かけた人にはツライ作品だったかもしれない。

 しかし、美しい映像、美しい音楽、美しい愛情のこもった秀作であると信じる。
 たおやかで、力強く、更に、うるおいに満ちている。 じっくりと楽しんでみてはどうだろう。

 ネイティヴ・アメリカンの王女、ホカポンタスの勇気に打たれた。


   「V・フォー・ヴェンデッタ」  ★★★★

  現代の題材で、昔ながらの健全な映画を作った。エライ。

 ソレがポーズである危険があろうと無かろうと、本来映画というメディアは反体制であるのが正しい姿勢だと思う。
 この映画の有り様は、近いところで言えば「マスク・オブ・ゾロ」くらいになるのだが、
 舞台設定が近未来なので、かなりダークだ。

 このちょっと変わったヒーロー物の良い所は、怪人にして超人たる「V」が、
 ギリギリの人間性を持ち合わせている事だろう。

 しかしその表現を最小限に留めているおかげで「ゾロ」よりもよっぽど冷徹な作品になった。
 監督の見識の高さが伺える。

  「小説家は嘘の言葉で真実を語り、政治家は真実を騙って、嘘を説く」

 見事な一言だ。

 ナタリー・ポートマンがスキンヘッドにしたとかはどうでもイイ。


  「夢駆ける馬ドリーマー」  ★★★

  ダコタ・ファニングはやはり天才だ。
 冒頭のトラック前で父親に見せる表情一つで改めて確信させられた。
 セリフ無しで、あれほどの感情を伝える役者は大人でもそうそうはいない。

 「ポセイドン」に続きカート・ラッセルの父親ぶりが共感を呼ぶ。
 今、旬なアメリカの親父と言えばデニス・クエイドとラッセルだな。

 使い古された平凡なストーリーではあるが、良い役者、良い演技、良い音楽、美しいカメラワーク、
 そして甘めではあるけど、たおやかな人間愛。 良い映画だな。


  「デイジー」  ★★★

  「消しゴムの次に泣ける映画はコレだ!(宣伝文)」 アホか。  おかげで泣けんかったわ。

 チョン・ジヒョンが好きなので見たが、少し中途半端な感じがした。
 1人の女を巡る2人の男の葛藤を描いたストーリー自体は大変に面白いのだけど、
 犯罪組織のディテールが余りにもぞんざいなのと、肝心な3人のジレンマの演出が不足している為に
 少し萎えてしまう。
 こっちは感情移入したいのに、説得力の無さが邪魔をして身を委ね切れないのだ。

 でも牧歌的な描写は良かったな。

 ま、私がズルズルのナニワブシが好きだってのも原因かもしれないが、「イルマーレ」の方が好みだす。


   「EYE2」「EYE3」 ★★

  パン兄弟が無理矢理作らされて、(ヤケになって?)遊びまくってしまった様な感のある続編。3部作かよ、、、

  2はまだどうにかホラーの範疇に入る作品で、終結部辺りに見るべきモノはあるが、
  3に至っては霊験導士(←字、あってるのか?)級のコメディである。必見! 責任は取らんが

 

   オレの(←!)スー・チーをこんな映画に出しやがって、、、


   「ファイヤーウォール」  ★★★

  あら、ハリソン・フォード主演のアクション映画が単館上映とは、、、時代なのかねぇ。

  家族が人質に取られて、誘拐犯と戦うハリソン、、、やはりマンネリかな。

  でも、しっかり安心して楽しめるぞ。別に何一つ新しいわけでは無いが、単純に面白い。
  それ以上を求めなければ何の不満も無い。


   「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」  ★★

  最近のデイヴィッド・クローネンバーグの作品はどうも今ひとつピンと来ない。
 今回も死体のシーンとセックスの描写映像に僅かに彼の持ち味が出ていたが、
 それ以外に語るべきモノが無いとなると、その彼のシグネイチャーも無味乾燥に思えてしまう。

 オープニングの非常にダルな倦怠感の中での暴力シーンは良かったんだけどなぁ。

 足を洗いたくても、過去のしがらみに引きずられてしまう、菅原文太とかの古い仁侠映画と変わらない。
 なーにをいまさら、、、な感じなのだ。

 「クラッシュ」とか「フライ」とかは面白かったのになぁ。

 ま、ヴィゴ・モーテンセン(「指輪」のアラゴルン)がちょっとマトモな映画に出てくれただけで良しとするか。


   「ホテル・ルワンダ」 ★★★

   人は愛情ナシに生きていくのは結構ツライが、同時にその愛情と同じ程の重さ、深さで誰かを憎まないと
  生きていけないのかもしれない。
  理由があれば勿論、無くても、人は容易く「敵」を作り、そして敢えてソレを回避しようともしない。

  エンディングの歌にあるが、
  「アフリカが『アフリカ合衆国』になれない、『アフリカ王国連合』になれない」 のは、勿論、政治の問題だ。

  アフリカの地図の国境線がおかしい程に「直線」であるのは、民族的・伝統的な理由ではなく、
  ヨーロッパ諸国の植民地政策による理由でアフリカが分断されているからだ。

  そして、このヨーロッパ諸国によるアフリカの政治支配が、「憎みあう人間の特性」を利用したモノである事も
  確かだ。 別にアフリカに限ったコトでは無い。

  日本の封建制度の中でも、虐げられた農民はその怒りを施政者によって、更に下層階級のエタ(←字、忘れた)
  非人への憎しみとして方向付けられた。

  人間とは、愛し合う生物であると同時に、憎しみ合う生物でもあるのだ。

 

   例によって映画には全く触れてないが、よわっちいウェズリー・スナイプスこと、ドン・チードル主演の、
  アフリカ版「シンドラーのリスト」 と乱暴な説明だけしておく。


   「トゥー・フォー・ザ・マネー」  ★★★

  ほう、意外に良いな。 まぁアル・パチーノルネ・レッソが出る以上は、単なるバカ映画の訳が無いんだけどさ。

 取り敢えずはマシュー・マコノヒーを主軸として安っぽいバカを描いた映画として進んで行くのだが、
 本当に言いたいことは「自尊心について」だと思う。

 ギャンブル自体からは足を洗っても、結局はギャンブルの周辺で危険な人生を歩んでしまうアル・パチーノに向かって
 妻(ルネ)が言う。

 「あなたが自分自身を思う以上の気持ちで、私達はあなたを愛している。」

    それなのに、あなたはソレでイイのか?  という事だろう。

 お話のメインテーマであるスポーツ賭博については特に思う事は無い。
 試合の結果についてハラハラするのは普通のスポ根モノでも変わらないからだ。

  意外な程にマシュー・マコノヒーが良い。元々演技は出来る人ではあったけど、最近の「サハラ」だの
 「サラマンダー」だののバカ映画のイメージが強すぎるので、この映画の序盤での軽薄でバカな青年の役が
 物凄くハマって見えてしまう。
 そして後半、「人間に目覚めていく」過程もしっかりとこなして、シリアスな味わいに逆転させる事に成功している。

 エライ!


   「戦場のアリア」  ★★★

  これ、多分クリスマス映画だと思うんだけどね。
 第一次世界大戦中に、「戦場レベルでの一時休戦」が行われた、という実話を元に作られた。
 しかし、その奇蹟は実にあっけなく成されてしまう為に、ちと盛り上がりに欠けてしまう。
 その分、なんだか真実味が感じられるのだけど。

 世界共通の言語、音楽は素晴らしい!とか言わないこの映画は清潔でイイ。

 ダイアン・クルーガーが天使の歌声で人を癒すものの、全然天使でも何でも無く、普通の人間である事に好感が持てる。


  「マンダレイ」  ★★★

  映画界の超サディスト、ラース・フォン・トリアーによる「アメリカ三部作」の2作目。
 前作「ドッグヴィル」と全く同じ手法・スタイルで我々マゾヒストな観客を締め上げる。 この変態が!(お互いな)

 まぁとにかく、、、「人間である事」がそんなに罪か。
 そんなにオレ達ァ汚れてるか。  汚れてんだろな、、、まぁいいさ。

 全然、難解でもなんでもなく、見たままの事を監督は言いたい、というシンプルな映画だ。

 前作よりはやや物語に起伏があって幾分観やすくなった気はする。

 あ、どうしてもニコール・キッドマンである必要はないから主役の交代は問題ないっす。


   「カースド」  ★★★

   ウエス・クレイブンのホラー。 馬鹿馬鹿しい事にも意義を見出せる人にはお奨め。
  真正面からB級の王道を突き進む。 馬力もあるし、立派な仕事だ。


   「キスキス、バンバン L.A.的殺人事件」  ★★★★

  ポール・ベタニーの同名映画はサイコーに好きな映画だった。
 さてこの新作(リメイクではない)はどうだろう?  結論から言うと、このアクションコメディも相当に良かった。 

 ハードボイルドな部分と笑いの部分が絶妙に入り混じって、独特な雰囲気を醸し出している。
 トラボルタの「Be Cool」の感じと似てるかもしれない。

 ちょっと複雑な人間関係が展開されるが、全体像を完全に把握しなくても充分に楽しめる。

 お奨め。 


   「プロデューサーズ」  ★★★★

  腹かかえた。 以上! 楽しんでくれたまへ。


   「ナイトウォッチ」  ★★

  ウォシャウスキー兄弟が好きなんだろうな。 いきなりオラクル婆さんが出てくるし、
 「バウンド」での“電話コード伝達”を彷彿させるシーンもあるし、かなり意識しているのだろう。

 題材は「コンスタンティン」に近い部分もあり、要するに“マトリクス以降”の映画、と言う事だ。
 しかし、肝心の出来は、と言うと、、、、ううむ、、、、

 本当にイヤになる程にまどろっこしい演出が仇となり、中盤の中ダルミは非常につらい。
 90分程の映画にしてしまった方が良かったのではないだろうか。

 3部作という事だが、続編の日本公開はあるのか?


   「エミリー・ローズ」  ★★★★

   後でその訳も書くけど、今回のこの文章はネタバレだす。
  完全に新鮮な気持ちでこの作品を楽しみたい方はこんなの読んでないで、とっとと映画館に走ってくれ(急げ!)

   いや、素晴らしい、、、皆さんご存知だと思うけど、この映画を一応ジャンル分けすると「ホラー」なんだよね。
  でもね、泣いたっす。感動したっすよ。

  「ジョン・グリシャムが書いた愛の物語をホラーの手法で映画に仕立て上げた様な作品」 ←わかんねぇ!!

  最終的にこの映画が伝えたかった事は何か?を考えると、実はラブ・ストーリーの一種である事はきっと
  お判り戴けると思う。
  出来ることなら「ミリオン・ダラー・ベイビー」「クラッシュ」のポール・ハギスに脚本を書いて欲しかったなぁ。

   ああ、「その裁判は初めて悪魔の存在を認めた」って言う文言は戯言ですわ。その理由は書きたいが書かない。
  見れば判る!

  

   ちょっと話はズレるが、以前友達と、キアヌの出ている「ドラキュラ」について話をしたことがある。
  レンタルビデオ屋で、あの作品をどの棚に置くべきか?という論争だ。

  私 「あれはラブ・ストーリーじゃん?だからホラーの棚ではなくて恋愛の棚に置くべきでは?」

  友 「いやいや、だからこそ敢えてホラーの棚に置くべき。 あれはホラーだと思って鑑賞した人が、
    『おお!?なんと、ラブロマンスじゃん?』と新鮮な驚きを得る為の映画だもの。仮にラブロマンスの棚に置いて、
    恋愛モノを期待した人の目には、単なるホラーにしか映らないハズ。」

  おお、、、完全に負けた。 仰る通りだ。 頭イイ人にはかなわないな。

 

  と言うわけで、先程この「エミリー・ローズ」を「愛の物語だ」と言ってしまった私はネタバレの罪を犯したのである。
  市中引き回しの上、獄門打ち首じゃ。


  「ナルニア国物語」  ★★★

  トンネルを、じゃなかった。どこでもドアを抜けると、そこは雪国だった。

 ま、それはどうでも良いのだけど、どうこう言っても私はオッサンなので、ディズニー映画に身も心も全て委ねて、
 ってのは結構難しいんだよね。
 やはり幼い子供でもストレスなく楽しめる映画でならなくてはいけない、と言う絶対的な制約があるから、過激な表現は
 避けられてしまう訳だ。

 仮に同じ作品をピーター・ジャクソン監督&ニューライン・シネマで撮ったらどうなるんだろう?
 恐らく、サイクロプスがグリフォンの翼を食いちぎって、血飛沫が降りかかり、劇場内の子供が泣き喚く阿鼻叫喚の
 映画会になっただろう。  、、、、それこそ見たい映画なのだけど。
 と、無いものねだりをしても仕方ないね。 あははは。

  さて、まずオープニングだが、絵が柔らかい。昔の「OZの魔法使い」でも見ているかのようなレトロなフィルム画質と
 やはりレトロなフォントがこれから始まるファンタジーの雰囲気を盛り立てる。これはイイね。

  だが、例の扉を抜けて100年の冬に閉ざされた王国へと踏み出す1歩がどうも演出不足ではないか。
 意外に平板なのだ。
 あるがままの出来事をそのまま受け入れる柔軟な精神がファンタジーの根底だとしても、目を見張る驚きを主人公達が
 感じていないのなら(それが伝わってこないのなら)、見ている私達の心も鼓舞されない。
 山羊人間を見たら、ライオンが喋ったら、もっと驚こうよ!

 まず、常識があって、そこから飛翔するからこそのセンス・オブ・ワンダーだと思うのだけど、、、

  子供たちは良い演技ではあったけど、正直に言って「世にも不幸な物語」のガキ共ほどの魅力があるキャラクターでは
 なかった。 酷な事を言ってスマン。 いや、本当に申し訳ない。

 

  と、悪口ばかり書いたが、決して悪い作品でも無い。 
 充分に楽しめると思う。「それ以上の作品」では無い、と言うだけの事だ。


  「ダイアモンド・イン・パラダイス」  ★★★

 007シリーズでお馴染み、ピアース・ブロスナンがセクシーで危険な大泥棒を演じる。
 確かにハマリ役だけど、そろそろ他の役柄も見てみたい所だな。思い切ってメチャメチャなコメディに出るとか。
 「バーチャル・ウォーズ」で蚊トンボの如き青年だったのが、
 今では体重もゴージャスさも増してオトコの魅力ムンムンな彼である。
 さすがに顔は多少年輪を加えているが、そんなところさえもセクシーである。
 ジョージ・クルーニーとかブロスナンとか、格好良い人は年をとっても更に魅力が増すんだよな。羨ましい限りだ。

 ヒロイン役のサルマ・ハエックはこれまた直球なお色気ムンムンだ。ヘタなAVなんかよりよっぽどエッチだぜ。
 何故そこまで水着小さいんだ。 ああ嬉しい。

 さて映画だが、そんなお色気ムンムン攻撃で誤魔化さなければならない様なヘナヘナでは無く、しっかり楽しめる。
 割と良くある「不可能を可能にする犯罪計画」に焦点をあてたモノではなく、その部分は割とアッサリ流して、
 泥棒とその相方、そして彼らを追う捜査官との間の愛憎や友情やトリックがメインとなる。

 簡単に言っちまうと、ルパン3世と峰不二子と銭方のとっつあんだね。

 非常に楽しめる良い娯楽映画だった。


  「マインドハンター」   ★★★

 ううむ、一言で片付けてしまうと「ソウ」のバッタ物ですわ。

 監督が「ダイハード2」のレニー・ハーリンという事なので、もう少しアクションに比重を置いても良かったのでは、と思う。
 ラスト間際の殴り合いがちと良かったけど、全体的には物足りない。
 アクションで押さないのだったら、M・スレイドの「髑髏島の惨劇」ぐらいの超スプラッタで責めて欲しかった、
 と言うのが正直な感想。どこかに特化しないとな。

 せっかく、かなりの死にっぷりなのに、それが「絵」になって衝撃が伝わって来ないのが勿体無いなぁ、
 割とどっちつかずの中途半端な印象が残ってしまった。

 あとプールの遅〜い場面、観客に凄さが伝わり難い上に、ヘンだから!

 形式的には典型的なフーダニットだが、実際にはそうでもない。この意味は見れば判ると思う。
 いや、たいして見て欲しいとも思わないのだけれど。


  「ミュンヘン」  ★★★★

 大変に優しい人間が大変に過酷な映画を作った。
 この作品のいびつさは人類の抱える巨大な歪みと合い通じるものがある様に思える。

 例えばこの映画、一旦はハッピーエンドを提示する。 主人公の奥さんのセリフがそれに当たる。
 1つの国家の縮小図と化してしまった主人公、彼は家庭を愛し、高潔であろうと戦ううちに自らの手と心を血糊で汚してしまう。
 そんなドロドロの彼(=国家、ひいては人類)を、妻はそれでも「あなたを愛してる」と抱擁してしまう。
 これこそがヒューマニストたる監督が最も伝えたかった祈りであり、希望である。
 彼女、そして同時にスピルバーグは世界を抱きしめたのだ。

 そしてどんなに厳しくても最後に希望を示す事が出来るのであれば、それはハッピーエンドだと私は信じる。

 しかし、彼は単なる夢想家では無い。
 その様に一旦ハッピーエンドを提示しておきながら、
 我々が更なるテロの時代を生き続けなければならない事をラストシーンで映さずにいられなかった。

 それが現実なのだ。

 夕陽に輝くWTCビル。それは美しくも鋭く肺腑をえぐる。

 

  ズッコケ殺人チームの珍道中、と楽しんで見るのであっても、それはそれで良い。
 過酷な映画の中に一生懸命「甘味」を紛れさせているのはスピルバーグの優しさなのだが。

 それを無駄と言うのならポランスキィを見れば良い。さて「オリバーツイスト」はどうなんだろう。


  「クラッシュ」  ★★★★

 スピルバーグの「ミュンヘン」でのテロの連鎖を見たら、是非この映画も見て欲しい。

 個人レベルでの「事態の転がり(良くも悪くも)」が語られる。
 人種差別をメインテーマとして、様々な群像ドラマが繰り広げられる。

 善良な人は、そう願えば善良のままでいられるのか。 卑劣なヤツは卑劣なままでしかいられないのか。
 良心が全てを解決する鍵とはなりえないのか。 性善説にはやはり限界があるのか。

 「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本家、ポール・ハギスが監督した素晴らしい映画だ。
 人の痛みが判る、と言うのは奇麗事ではない。 スーパーマンなぞいやしない。(だからこそ憧れてしまうのだけど)
 我々は泥にまみれ、血を流しながら、
 「自分も生きていかなければならない。」 

 そんな過酷な現実を私達は押し合いへし合い、今日もどこかでクラッシュしながら精一杯生きている。

 メチャメチャに良い映画だ。 「ミュンヘン」と共に強く強くお薦め。


 「オリバーツイスト」  ★★★

  じゃあ、主人公は誰なのさ?

 「ロード・オブ・ザ・リング」のフロド以上に状況に流されるがままの彼、オリバー少年?

 ディケンズが書いた小説「オリバー・ツイスト」ならそうなのかもしれない。
 (読んでないけど、実際には原作でも仮の主人公なのではないか、という気がする。)

 オリバーは自発的に何をしただろう?救貧院で煙突掃除屋に引き取られるのを弱々しく拒んだくらいかな。
 他の事はほぼ全て(美しい顔立ち故に)周囲の人の善意や悪意に翻弄されるがままだ。
 となれば彼を取り巻く「時代」こそが主題であり、オリバー少年はそれを語るための触媒にしか過ぎない。

 しかし更に、(巧く言えないのだけど)私なりにこの作品を一言で説明するなら、

 ポランスキィ監督が年老いた盗賊フェイギンの身を借りて、『ごめんなさい、ごめんなさい』としきりに謝っている映画。」

 となる。だからと言って、主人公=フェイギンとまでは言わないが。

 誰に対して何を謝っているのか、そんなモノは知らん。

 

 スピルバーグが「ミュンヘン」で厳しいテーマの作品のも関わらず、ヒューマニストぶりが溢れ出てしまう映画を撮ったが、
 ポランスキィは牧歌的でハッピーエンドっぽい作品にも関わらず、狂人の繰言が後味に残るザラリとした映画を撮った。

 2人ともきちんと個性を出して良い仕事をしている。

 この「オリバーツイスト」、大作のわりにはかなり短い期間で上映が終了となる。
 つまりは人気が無いって事だが、当たり前なんである。

 『だって、ポランスキィなんだもん』    甘口の訳なーいじゃん。


  「ナイト・オブ・ザ・スカイ」   ★★★

 「空の『タクシー』」という触れ込みだったので、爆笑モノをちょっと期待したが、全く違った。
 それはそれでイイ。
 私としては「タクシー」よりも「WATARIDORI」に近いものを感じたぞ。

 ストーリーはまぁしっかりしていて、それなりに楽しめるのだけど、
 実際にスクリーンを見ていると意識が「お話」から遊離してしまう。

 この映画は、ストーリーなんかよりも、最強レベルの戦闘機が大空を翔ける姿が限りなく美しい。それに尽きる。

 フランス映画に時々見られる、このような「対象に没入する姿勢」、これはある種の変態を思わせる。

 言い過ぎ?


  「タブロイド」  ★★★★

 こりゃめっけモンですばい。「映画は明るく楽しくなきゃね」と言う人(←決して間違いでは無い)には
 到底お薦め出来ないが、「暗かろうが、破綻していようが、気分が悪くなろうが『面白く』さえありゃエエんじゃ!」
 って人(←軽く狂ってる)にはマスト!

 しかし、映画本編の出来は凄く良いのだが、予告編を作ったヤツは阿呆じゃ。
 (配給会社サイドの意向だと思うのだが、監督もOK出すなよ)
 私はこの予告編を何度も見てたのだが、それでも冒頭の、あるシーンでは「おお」と思った。
 しかし恐らく予告を見ていなかったであろう隣のお姉ちゃんは「ひょっ」と軽く息を呑んでのけぞっていた。
 羨ましい。。。 そういう驚きこそ映画の楽しみじゃん?

 そうやって監督が狙った衝撃をわざわざ予告編であらかじめ小出しにして見せて、薄めてしまうのが腹立たしい。

 等とムカついたが、内容は非常に優れている。短めの上映時間に旨みがタップリ凝縮された濃い〜〜作品である。
 特に編集が大変に素晴らしい。
 例えば前半でのリンチのシーン、意外と起伏の少ないこの映画のイベントとして、最大限に時間を取り、
 深く我々の心に傷を付ける。このどうしようもない憤りを抱えているからこそ、
 それに続く「『羊たちの沈黙』を凌ぐ心理戦」の戦況の遷移が面白いのだ。

 更にはラスト間際で、無言で歩く主人公の長映し。セリフがない事でどれほどの内心の悔悟が感じ取れる事か。

 ラストの1カットもまた我々の心臓に深い爪痕を残す、  素晴らしい。  ゲロ吐きそう。

 ただ、件の隣の女性、映画が中盤に差し掛かった辺りから舟を漕ぎ出して、最後は爆睡しておられた。
 当たり前の事だが、誰にとっても面白い映画と言う訳では無い。


  「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」  ★★★

 砕けてしまった人生を愁い、カウチに身を沈める女。
 冒頭のほんの2秒(?)ほどの1カット。これこそ映画だ、と言い切ってしまおう。

 しかし正直なところ、グウィネス・パルトロウアンソニー・ホプキンスジェイク・ギレンホールであるなら、
 もう一段いい作品にもなり得たんじゃないのか、という気もする。
 決して悪い映画ではないのだけど、昨今の濃い味付けに慣れてしまった私には、
 関西風のダシとでも言うか、あっさりしたサラサラした作風がちょっと物足りなかったかな。

 特にオープニングのちょっとした衝撃を引き起こす技巧が素晴らしかっただけに、
 その後の展開が素朴すぎる様に思った。

 美人である事以外で勝負するグィネスが素晴らしい。
 いつもの様にハイテンション爺ぃのsir,アンソニーはなんだかドンドン巨大化しているけど、
 これではレクター博士のビギニング物を演じるのが難しくは無いか。
 (つーか、そんな企画自体がダサダサなんだけど。トマス・ハリスが書くのならしょうがないけどさ)

 で、ジェイク・ギレンホールだ。この人はっきり言ってジョセフ・ファインズと顔が似ているのだが、
 違いと言えば彼よりもアメリカ的で肉太で愚かっぽい。(イメージ)
 逆にジョセフはジェイクよりヨーロッパ的で繊細で白痴的、あとここまでセクシーだとホモかな、等と、、(あくまでイメージ)
 で、そのどこか野暮ったいジェイクが今回も愚か者ゆえの優しさでヒロインや我々を救ってくれる。

  馬鹿って、温かいんだよ。

 余談だが、この映画は表面上は数学者の新しい数式研究についての物語なんだけど、
 偶然にも同じ時期に公開になった邦画、「博士の愛した数式」も同じ題材である。
 寺尾聡が泣かせそうなのでちょっと見たくなってしまった。


  「フライトプラン」  ★★★

 ジョディ・フォスターの最新作。「パニックルーム」と似たような閉鎖空間でのシチュエーションのサスペンス。
 航行中のジャンボ旅客機の中で隣に乗っていた筈の子供の姿が消え、失踪だ誘拐だと騒ぎ立てる。
 ここでまず徹底的にジョディーに、猛烈で狂信的な母親を演じさせる。
 しかし彼女の演技が上手過ぎて、乗り合わせた乗客と共に我々観客もこの母親がちょっとイヤになるのでは
 ないだろうか。少なくとも私は少々辟易した。

 ここまで振れしまった観客の感情を利用しない手は無いと思うのだが、
 この作品ではほぼストレイトに物語を進めてしまうのが少し残念。
 ま、D・フィンチャーやB・デパルマの様な映画を期待してしまったのが間違いかも知れない。

 映画の運びとしては、【実は全てが彼女の妄想であった、】等と行けば猛烈に暗いお話となってしまうのだが、
 さてどうだろうね〜〜。

 これから見る人の楽しみを削ぐ事が本サイトの趣旨では無いので、こういう作品の場合に語れる部分が非常に少ない。

 ただ、「プラン」の方から考えるとかなり綱渡り的な、穴だらけの計画であり、
 「おいおい、アイフルの父ちゃん並に行き当たりばったりじゃん」なんて思ってしまうのであった。

 ストーリー上の辻褄を合わせるために、不自然な会話や行動に「気付かない」機長等、
 違和感を強く残す演出はイマイチと言わざるを得ない。

 9.11以降と言う世情を反映した新しい恐怖を打ち出しながらも、非常にオーソドックスな仕掛けの映画だった。
 脚本はダメダメだが、J・フォスターの凄まじい演技を観るだけでも価値はある。

 あ、子供が消えるサスペンスと言えば忘れちゃいけないのがジュリアン・ムーアの「フォーガットン」(忘れてた)
 こっちも主人公の女優が素晴らしい演技を見せてくれるが、驚愕の(噴飯モノの)オチが待ち構えている。
 「ビヨ〜〜〜〜〜ン!!」


  「秘密のかけら」  ★★

  ケビン・ベーコンコリン・ファースというなかなか豪華な共演。
 この2人のコンビの過去についてのサスペンスだが、その秘密を発掘しようとする雑誌記者を巻き込んで
 ドラマは展開して行く。
 過去の出来事を探るうちに現在の自分(記者)とスター達との関係がダブって行き、幻惑される。

 非常に古典的ではあるが面白い仕組みの物語なのに演出がゴチャゴチャしすぎてストレートに楽しめない。
 念入りに隠された答えなのに、せっかく用意されたオチに辿り付く前に「もうどーでもいいや」と
 思わせる様な演出では本末転倒だろう。

 同じ用な題材でデフォーの「ボブ・クレイン〜快楽を知ったTVスター」という映画があったが、あっちのほうが過激だった分、
 本作はちょっと面白みに欠けるかな。
 でもクラシカルでゴージャスなケビン、コリンの2人を楽しめるので、まぁ良しとするか。


  「綴り字のシーズン」  ★★

 余り共感できないなぁ。壊れそうな家族の絆、とは言っても全然この程度では問題ないし、
 取り立てて映画にする程の危機かな?

 強いて言えば母親の奇癖だろうが、殆どサスペンスの様な演出までして、この程度の破綻では
 竜頭蛇尾もいい所だ。
 こんな脆弱な家庭生活を救う為に少女の自己犠牲を必要とするというのか。
 なんか間違ってないか?

 まぁ、少女が妖精の囁き通りに正解したところで、今以上に平凡な映画になってしまうのだけれど。

 正直に言って、映画として成立するギリギリの危うい所にある作品だと思う。


   「輪廻」  ★★★

  優香主演。ひょっとしてダメダメのアイドル作品だったらどーしよう?
 なんて心配は杞憂に終わり、かなり楽しめる作品だった。

 「呪怨」等で知られるホラーの大御所、清水崇監督作品だが、
 この映画はホラーと言うよりはミステリーに近いストーリー展開が嬉しい。
 正直、オチはかなり簡単なのだけど、意外な程に達者な優香の演技で安心して楽しむ事が出来た。

 ただ、序盤のダラダラした感じはちょっと失敗ではないかなぁ。怖くもないし気持ち悪くも無い。
 全体的に起伏に欠ける演出が少し気になった。
 特に後半の過去と現在が同時進行する辺りの緊迫感がこの映画の一番美味しい所なんだけど、
 クライマックスの追い込みとしてはもう一味欲しかった。

 って優香(←すいません)、コアなホラーマニア向けではなく、
 割と一般的な人々を狙った緩めのホラー風味作品なのかもしれない。

 ところで、、、例えば市川崑作品の様に美しい城下町等(ジャパネスク?古い?)の映像美がこういう映画にこそ
 必要なんではないかと思うんだけどな。
 ここ最近の邦画では奥行きのあるウェルメイドな映画って無いんだろうか。
 って見てる映画が「ローレライ」や「踊る〜シリーズ」ではダメか。


  「スタンド・アップ」  ★★★

 シャーリーズ・セロンがまたまたやってくれた。
 ハリウッドの超美人女優にしては珍しく「痛み」を体現できる非常に稀有な存在になってきた。本当に素晴らしい。

 実際にあったセクハラ訴訟についての物語で、それはそれで大変だなぁ、と思うし、充分に主人公に感情移入も出来る。
 ただ個人的にはこの映画が訴えかける物が「正義」と「勇気」に対する大きなくくりでの物語であると思いたい。

 セクハラって、大声で叫べば叫ぶ程、良い結果から遠ざかると思うんだよね。
 まぁこの話題はもっとスペースを取って雑記にでもいずれ。

 ところで、労働組合の集会の場面で、それまで散々に主人公を野次り倒して馬鹿にしていた聴衆が、
 父親の一言で打って変わって拍手をするシーンがある。
 確かに感動的なのだが、例によってアメリカ人特有の「ON-OFFスイッチが切り替わる」瞬間を
 見せ付けられて辟易としてしまった。恥を知らない人種だ。
 過去(数秒前であっても)がどうあれ、現在は良い事をしているのだから、
 という明解さの美徳を全く認めない訳でもないのだが、「どのツラ下げて」と思ってしまう私は
 確かに執念深いのかもしれない。


  「プライドと偏見」  ★★★

 「私達、間違ってばかりね」  「それが人間なのよ」

 このセリフがこの作品の全てであろう。

 

 不自然なほどに誤解される男が出てくるのだが、古い時代の文芸作品ならでは、かもしれない。
 キーラ・ナイトレイ主演なのだが、上目遣いで見上げる表情等、素晴らしく美しい。
 だが笑った顔が良くない。単に好みでないってだけなんだけど。
 まぁ「ドミノ」より遥かに彼女に合った役だったので安心して楽しめた。

 全体的にクラシック音楽が上品に使われ、霧の掛かった瑞々しい緑の風景など、
 とにかくゆったりと美しい映画だった。おおらかでイイねー。


    「レジェンド・オブ・ゾロ」  ★★★

  バンデラスゼタ=ジョーンズの痛快アクション、「マスク・オブ・ゾロ」の続編。
 って、言わなくても判るか。今回は息子も登場して3人で大活躍。
 なんか「Mr,インクレディブル」みたいなドメスティック・ヒーロー物(←今、勝手にジャンルを作った)となった。

 元々前作で古今無双、向かうところ敵なしのヒーローを確立したのだが、
 今回はやはり当世を反映してかチョコチョコとダメ親父ぶりも発揮してコメディ感を出している。
 ブラピ&ジョリーの「Mr,&Mrs,スミス」くらいのアクション・コメディを期待して行くと裏切られる事なく楽しめると思う。
 後はゼタジョンが凄くハリウッドの正統派女優の顔立ちに見えてきた事以外に特に書くことも無いなぁ。

 非常に手堅く、間違いなく楽しめる様に作られた何の役にも立たない、これぞハリウッド娯楽映画の王道といえる。
 ついついバカにしてしまうけど、楽しめるってのは凄いことだす。

 ついでだが、「パイレーツ・オブ・カリビアン2」の予告編をやっていた。
 前作では色んな意味でシラけてしまう場面も多かったが、今度は大人もちゃんと楽しめるウェルメイドな
 娯楽作品にして欲しいものだ。ハナから感動なんて期待してないから、イク所までイッちゃって下さい。