スティーヴン・キング 現代最高にして最大のホラーの巨匠、しかし本当に単なる恐怖小説の語り部なのか?
キャリー / 呪われた町 / シャイニング / 魔性の猫 / 深夜勤務/トウモロコシ畑の子供たち / デッド・ゾーン / ファイアスターター
ゴールデン・ボーイ/スタンド・バイ・ミー / ペット・セマタリー / イット / ランゴリアーズ/図書館警察 / グリーン・マイル
ライディング・ザ・ブレット /
Carrie
「キャリー」 Carrie 1974 ★★★
実はかなり昔にこの作品を映画で見ていたのですが、凄く「嫌」だった記憶があります。
ブライアン・デ・パルマ(個人的に『赤の魔術師』と呼んでいましたが、、、)監督が好き
だったので、見たのだけど、
「何で味方までやっちまうんだよ、このバカ!」とか思ったものです。
しかし原作を読むと、虐げられた少女の怒りや悲しみ、歪曲された宗教観による罪悪感や自己矛盾、
母親への愛と憎しみ、等によって導き出された破局にも説得力がありました。
25年前のキングのデビュー作、新人らしく「こんな事もやってやれ!」とばかりに、
技巧の目立つ作品ですが、後の『より』自然な文体と比べて読むのもまた愉しい。
(リンク) 「スタンド・バイ・ミー」の眼鏡のテディ・デュシャンの名前が登場します。
亡くなった年についての記述は4年程ズレてますが、まあイイでしょう。
他には「人間圧搾機」の舞台となった「ブルーリボン・クリーニング(ランドリー)」 キャリーの母が勤めていました。
salem's lot
「呪われた町」 'Salem's Lot 1975 ★★
「スタンド・バイ・ミー」の前書きに、この作品についてのちょっとした経緯が書いてある。
『Second
Coming』は、メイン州のある小さな町が吸血鬼に襲われるというメロドラマで、
(ブラム・ストーカーの)『ドラキュラ』の文字通りイミテーションである。 云々
ヨーロッパの古いドラキュラの伝説を現代のアメリカで再現する訳だが、
それをキリストの復活(Second Coming)になぞらえるのは余りに不敬だと考え直して'Salem's
Lotに改題
されたのかもしれない。
もちろんこれはJerusalem's Lot と言う町の名前の略であり、この舞台のエピソードは短編集「深夜勤務」
の中でも語られます。
小さな町に住む、様々な人達の日常生活とそれが壊されていく様子を並列的に描いていく手法はこの後
「IT」で見事に花開く事となる。 まあ前駆的作品ではないかと思いました。
(リンク) 「カール叔父さん」(カール・フォアマン)はやっぱり「葬儀屋」 →ペット・セマタリー
同じくペット・セマタリーで、レイチェル・クリードがレンタカーを走らせている途中で見る標識に、
<次の出口 ルート12 ジェルサレムズ・ロット> と書いてあるのを見て、彼女は何となく嫌悪感を感じる
映画は、『死霊伝説』と言う、どーにもならない邦題ですが、内容もどーにもならない。
初めてキング作品に触れるのであれば、コレは避けて欲しいモノだ。
一文字違いでクライブ・バーカーの『死都伝説』と言うのがある。純然たる化け物ホラー小説/映画だが、
よっぽど面白い。
shining
「シャイニング」 The Shining 1977 ★★★
スタンリー・キューブリック監督による映画で有名なホラー・サスペンス。
ジャック・ニコルソンが割れた扉の隙間から血塗れでニタ〜リと笑う顔がヘタをすると
トラウマになってしまうんじゃないかって程に怖い。
一流のスタッフによって作られた立派な作品なので、ホラーとは言え、安心して見れる。
(勿論、『ホラー嫌い』の人に、無理に薦める事も無いが、)
原作は夫婦間の心の機微を克明に描き、それが破綻して行くプロセスがより一層の怖さを演出している。
この辺りは映像化は不可能と言うモノだろう。
そう、映画は充分に名作だし怖いが、原作の怖さはその比では無い。
さて、余り知られていないが、実はこの作品、キング自身の監督でも映像化されている。
恐らくロードショー公開は無かったと思うが(見た印象ではテレビ作品の様にも感じた。)
何とこれがビデオ上下巻の合わせて4時間モノ。。。
原作者ならではの細かいディテールに対する愛情が感じられる。 そしてエンディングも少し変えてあり、
ファンならチェックしてみるのも良いと思う。
原作の終結部の一節を別添えしよう。 (勿論ネタバレでは無い)
ホラーが苦手、と言う方はコレをチェックするだけに留めておいた方が良いかもしれない。
cat
「魔性の猫」 The Cat
From Hell 1977 ★★
「魔法の猫」 Magicats ! (扶桑社)と言うアンソロジーに収録されている短編。
例えばコレを映画化するとしたら、クライマックスの場面では、やはりSFX(特撮)を使わないと
表現出来ないだろう。
(キングに限らず)この辺りがホラー作品の弱点かもしれない。どんなに精巧なCGを駆使した所で、
きっと「可笑しさ」は拭えないと思うのだ。
「ホラー」と「笑い」は紙一重ではないかと思う。
私なら、、、強力に古典的な手法だけど、壁か何かに、「影」として映すかな。
night shift
「Night Shift」 1978 ★★★
彼の第一短編集、日本では2冊に分けて刊行されている。
● 「深夜勤務 ナイトシフト1」
「地下室の悪夢」 Graveyard
Shift
やはり欧米ではペストの恐怖が根強くある様で、ネズミに対して圧倒的な嫌悪感があるらしい。
(ディズニーランドだって「ネズミの国」なのにね)
同名映画はホラーとしては、まぁまぁ良い出来だと思う。(ホラー好きの方にはお勧め)
「人間圧搾機」 The Mangler
原作は少しコミカルな味もあって、ナカナカ良いです。
映画は、原題そのまま「マングラー」 、、、見る気なくなる、、、
しかし、ホラー映画の巨匠、トビー・フーバー監督。 そして「エルム街の悪夢」のロバート・イングランド
も出演と言うちゃんとした(?)ホラー映画なのだ。 意外に良かった。
「トラック」 Trucks
この作品はキング自身の監督により映画化。「地獄のデビルトラック」、、、、サイテーだ。
しかし、見たいのだが、近くのビデオ屋に置いていない。ちと残念(まぁ大して期待してる訳でも無いが)
「やつらはときどき帰ってくる」
Sometimes They Come Back
映画タイトル(邦題)は何故か「ブロス」 ??? bros, (brothersの短縮型) なのかな?
映画はたいして面白く無い。しかし何故か続編もあったりする。これまた不思議な事だ。
「波が砕ける夜の海辺で」 Night Surf
「やつらの出入口」 I am the Doorway うへぇ、夢見そう。 こわっ
「子取り鬼」 The Boogeyman
「灰色のかたまり」 Gray Matter ゲロゲロだじょ。
「戦場」 Battleground これはナカナカ面白い。
「呪われた村<ジェルサレムズ・ロット>」
Jerusalem,s Lot 恐らくはH,P,ラヴクラフトに対する
オマージュ的作品ではないか。 これはとても良く出来ている傑作だと思う。
● 「トウモロコシ畑の子供たち ナイトシフト2」
「超高層ビルの恐怖」 The Ledge いいです、コレ。 短編ならではのパリっとした面白さ。
「芝刈り機の男」 The Lawnmower Man サイテー。笑ってしまう。
※この作品も映画化されていて、邦題は「ヴァーチャル・ウォーズ」。私は昔、この映画を見て割と好き
だったのだが、キングの原作とは全く結びつかなかった。
いや、実はこの映画の元は「アルジャーノンに花束を」だと勝手に思い込んでいた。
印象としてはオリジナルな脚本にキングの短編が包含されている、と言った所か。
今回見直して、主役が今では大物になりつつあるピアース・ブロスナン(007)であった事を知った。
「禁煙挫折者救済有限会社」 Quitters, Inc.
「キャンパスの悪夢」 I Know What You Need ストーカーの恐怖に近い?しかも、奴は不思議な力を、、、
「バネ足ジャック」 Strawberry Spring
「トウモロコシ畑の子供たち」 Children of the Corn
この作品は1984年に同タイトルで映画化(日本未公開)され、その後何故か続編の様な物が
数多く作られている。
「死の収穫」 「アーバン・ハーベスト」 「アーバン・ハーベスト2」 「同3」 「ザ・チャイルド」
しかし、本当にキング原作なのは勿論最初の一本だけで、他のモノは限りなく「バッタもん」に近い。
私は別に『ホラーマニア』では無いので見ないが
誰か見た人がいたら、感想を教えて下さい。
※「ザ・チャイルド」を見た。キングの原作の設定だけ借りて来たオリジナルな脚本。
ヒロイン(名前忘れた)がとても可憐なのと、悪者が「Mr,ビーン」みたいだなぁ、って印象くらいしか
残ってない。 余り面白いとは言い難い映画だった。
「死のスワンダイヴ」 The Last Rung on the Ladder
「花を愛した男」 The Man Who Loved Flowers これはマジ怖いっス
「<ジェルサレムズ・ロット>の怪」
One for the Road 邦題はラヴクラフトの「ダンウィッチの怪」を
もじったモノと思われる。 内容は「呪われた村」ホドでは無いと思う。
「312号室の女」 The Woman in the Room 微妙な後味を残してこの短編集は終わる。
さて、22編の短編を読んできたが、キングは余り「言い切る」事をしないで、
最後の恐怖を読者の想像力に委ねている。 だから、怖い。
dead zone
「デッド・ゾーン」 THE DEAD ZONE 1979
★★★
いわゆる「ホラー小説」とはちょっと趣の異なる作品。 ちょっと(彼の、としては)地味だけど、
より幅広い方にお奨め出来る佳作です。
やはり、恐怖や不安を題材にしてはいるけれども、サスペンス物に近いかもしれない。
「タテ糸、ヨコ糸のプロットが織りなす精緻なタペストリー的」な魅力は、例えばR.ゴダード等には敵わないが、
キングらしく、アメリカの日常に寄り添った語り口で、政治を描きます。
ところで、この主人公は「正義のヒーロー」だろうか。
色々な傍証や過去の実績はあるものの、
彼の最後の行動がオブセッションに依るモノで無い、と誰が言えるのか。
我々は、オブセッションに取り憑かれ、凶行に及ぶ人間を数多く知っている。
彼らの中では、その行動は「正義」なのだ。彼らも将来のヴィジョンが見えていたのかもしれない。
その事がまた私達を不安にさせるのだ。
サービス精神に溢れるキングだが、「キャリー」の名前を叫ばせたのは悪ノリが過ぎた感じだ。
それでなくても、「火事で玄関に殺到する人達」ってだけで、充分にキャリーを感じるというのに。
映画はデビッド・クローネンバーグによって作られました。
かなり原作に忠実で、彼の映画にしては『ストレート』な作品です。
全体を覆う不機嫌な空気感が独特な世界を作り出しています。 良いです。
(リンク)父との電話中「ああ、場所は知ってる、ジェルサレムズ・ロットの北だろう?」
キングの作り出した地図があるワケですね。
firestarter
「 ファイアスターター 」 FIRESTARTER 1980 ★★★
ホラー作ではなく、ストレートなエンターテインメント作品と言えると思う。
通底する不安感はいつも通りではあるけれど。
少女チャーリーの持つ「力」は絶大であり、その父の能力もまた使い方によっては何だって出来そうだ。
しかし、「大きな力」=「マイティ」では無い。
絶大なパワーは、その大きさ故に行使者自身にも大きな反動を与え、使いこなす事は難しい。
このパワーを、人類にとっての核エネルギーと同じく考えた人は多いと思う。
少女が厳しく「躾け」られたのと同様に、人類も自らを良く理解し慎重にその力を扱うべきなのだ。
しかし、その「練習」が広島・長崎、そしてビキニ環礁、と言うのは些か大義名分に過ぎる、と思うのだが。
エピローグにあたる最終章の美しさは感動的、今までとひと味違ったキングの魅力を発見した思いです。
映画は邦題「炎の少女チャーリー」 残念ながら近くのビデオ屋に無い為に未見です。
(リンク)農園のお婆さんの名はノーマ、ノーマと言えばペット・セマタリーのジャドの妻(おばあさん)
名前にある種の思い入れを感じますね。
different
「 Different Seasons (それぞれの季節) 」 1982 ★★★★
4つの季節になぞられた「お話」の話。
恐らく、このタイトルでピンと来る方は少ないだろう。
しかし、この4つの中編からなる作品集のうち、実に3編が映画化されてお馴染みなのだ。
元々は分厚い一冊のハードカバーだったのが、日本では2冊の文庫本に分けられている。
● 春夏編「ゴールデン・ボーイ」
春に当たる第一話は
「刑務所のリタ・ヘイワース」
Rita Hayworth and Shawshank Redemption
僅か170ページにも満たないこの作品が、映画化された時は2時間半にも及ぶ大長編となって、
圧倒的な感動を巻き起こした。
冤罪で投獄された銀行員の伝説を同じ刑務所のオヤジが語る。
どんな状況下であっても決して自分の『時』を止めない男がいる。
私の最も好きな小説、そして映画、 邦題は勿論「ショーシャンクの空に」だ。
そして夏、「ゴールデン・ボーイ」
Apt Pupil
加速していく狂気。 人間の暗い歪んだ一面を描きます。
同名映画は、あまり良い出来とは言えませんが、小説を読んだ後なら楽しめるかもしれません。
(リンク) ドゥサンダーの株の売買の手続きをした銀行員は。。。
● 秋冬編「スタンド・バイ・ミー」
〜秋の目覚め〜「スタンド・バイ・ミー」 The Body
映画を見た方なら、「えっ『秋』?『夏』じゃなくて?」と思うかもしれない。
そう、確かにこの話の舞台は夏だ。
しかし、主題は「終わり行く夏」であり、秋そのものには全く触れずに、ソレを語っている。
実に心憎い素敵な手法だ。
この映画を好きだ、と言う方は絶対に原作も読んだ方が良い。
仕方のない事だけど、「映画」は、この作品の30%も表現出来ていない。
原作をきちんと読んだ上で、始めてこの映画が「名作」だと語れるのではないかと思う。
この中で語られる「デブ少年」の話は最高に笑える。ある意味、キングの最高傑作だ。
(リンク) ゴミ置き場の猛犬、こいつよりイカレてるのは「クージョ」だ。
冬。 「マンハッタンの奇壇クラブ」 The Breathing Method(←「壇(たん)」は本当は「ごんべん」、)
軽いエピローグの様でもあるけど、作家の「語る」と言う行為がなんとなく判る気がする。
確かにこの話は映画化は無理だろう。
pet
「ペット・セマタリー」 Pet Sematary 1983 ★★★★
もうメタメタに怖い話。 しかしヤミクモに怪物が出てきて人々をブッ殺して廻る訳では無い。
死者は逝ってしまってからも(時として、生前よりも強い力で)残された生者に働きかける。
しかし、我々は死者に対しては、ただ祈る事しか許されない。
キングが「死」について真正面から描ききった名作だと思う。
紛れもないホラー作品ではあるけれど、どのページにも「愛」が底に流れている。
だからこそ、哀しい。 だからこそ、怖い。
訳者あとがきを引用しよう
死にたいして不安をいだき、それをつらく、悲しく、恐ろしいと感じるのは、根底に”愛”が
あるからです。
愛していればこそ、その死に遭遇すれば完全に理性を失うほどに苦悩し、ついにはいっさいを
破滅に導くような行動に走る。 (深町眞理子)
私がキングの作品に惹かれるのは、別に「怖いモノを見たい」からでは無く、
この様な「人間の本質」に迫るモノを、その底流に見るからである。
映画はキングが脚本も手掛けており、なかなか良い出来です。
「人生オヤジ」的な要素は後退し、よりホラー味の強い感じがしました。
そして、彼自身もチョイ役で登場、嬉しいサービスでした。
映画の続編「〜2」は、エドワード・ファーロングが出演しているものの、余りストーリーに深み
が無く、私はさほど好きでは無い。まあ、そこいらの安物ホラーよりはずっと良いけど。
it
「 イット 」 it 1986 ★★★★★
内容は、デリーと言う田舎町の地下に棲み付いた怪物「it」と7人の子供達の戦い。
変身自在な「it」は狼男、ミイラ男、巨大蜘蛛、地を這う巨大な目玉etc,etc,となって次々と
人々を惨殺して行く。。。。
全然読みたく無いでしょ? しかもコレが文庫本4冊組ときたもんだ。
でも、私は4巻のラストを読みながら、電車の中にも関わらず感動で思わず涙が出そうだった。
S,キングの本は実に言葉が汚い。 しかも内容はホラー。
映画化されたモノを見て、本を読まずして、この作家が大嫌いな人は多いと思う。
実は私もそうだった。
おや? と思ったのは映画「ショーシャンクの空に」を見ての事。
そして、去年「グリーンマイル」を見て更に「おやおや?」
そして遂に「グリーンマイル」の原作を読んで圧倒された。
何という表現力!
言葉は汚いが、そのべらんめぇ調の文章は溢れんばかりの愛情に満ちていました。
そして、彼の最高傑作とされる、この「it」に挑戦。
実に素晴らしかった。
怪物を倒す、倒さないなんて、本当はどうでも良い事。
少年達の友情、勇気、愛、そしてなにより「人間の成長」について堂々と語った
大傑作だと思う。
恐ろしく下品だ、しかし紛れもなくここには本当の優しさが描かれている。
four
「FOUR PAST MIDNIGHT」 1990 ★★★
中篇集とされているが、実際には普通の長編くらいのボリュームの4作品を
集めたもの。 「キングにしては」短めなので中篇とされるのだろう。
● 「ランゴリアーズ」
第一話 「ランゴリアーズ」 The Langoliers
長い、、、、無駄に長い。 キングの小説には、その長さが感動を生み出す作品があるが、
この作品の様にウンザリさせられるモノもある。
短編としてサックリ読めれば、結構良かったと思うんだけど、ここまでネチネチと書かれると、
「だからどーした」とイヤミの1つも言いたくなるってもんだ。
この感覚はリチャード・バックマンに通じるなぁ。この2人、似た部分が多い。
ビデオになっていて、確かデヴィッド・モースがエングル機長を演じてるハズだ。(未見)
「秘密の窓、秘密の庭」 Secret Windows, Secret Garden
この秋、ジョニー・デップ主演で公開される映画の原作。
こっちの方がずっと好きだなぁ。
「自分」や、「自分の事を外側から見てる自分」とかで頭がグルグルしてしまう事がある。
キングもそうなんだろな、なんて考えるのは楽しい。
目撃者の証言などが、ちょっとしたトリックになっているのが珍しい。
彼の小説としては、やや技巧的な方だと思う。
「グリーン・マイル」 The Green Mile 1996 ★★★★★
私は映画を見て、ストーリーを知ってからこの本を読んだのだけど、その『結末を知っている』事が
この本を楽しむ事の邪魔にはならなかった。
モチロン何も知らずに読んだ場合とでは、読んでいる最中の印象等も大きく違っていただろうと
思うのだけど。
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映画では、単純に『心優しい看守達』と感じられる彼等も小説の中では1つひとつの行動にも葛藤があり、
決して迷わずに「善い行い」をした訳では無い。
特に主人公ポール主任がハル所長に憎しみを抱く 瞬間なんかは映画では描かれないし、
それこそ「血の通った」人間らしい感情の発露で、真実味を感じさる小説ならではの素晴らしい瞬間だと思う。
一々は書ききれないが「ディテール」を楽しむ上でも小説にも手を出してみてはいかがだろう?
そして映画では削除された興味深いエピソードも沢山あったりする。
1つにはコーフィが『違う』事を証明する事実
そして更にはジョン・コーフィの『復活』(!!) ←イニシャルに注目
ほうら!読みたくなってこない?
「ライディング・ザ・ブレット」 RIDING THE BULLET 2000 ★★
これはホラーなのか。ううん、、、まぁそう言えなくもないが、私はキング独特の私小説だと思う。
個人的に「スタンド・バイ・ミー」や「秘密の庭・秘密の窓」等をこのような彼独自のジャンルの作品
と捉えている。絶対に他人に伝えきる事の出来ない(であろう)事を、それでも語る。
彼の作品に時折現れる現象であるが、これはキングが「言葉の限界」を熟知しつつ、
それでも人間の奇跡を信じる(願う)気持ちの顕われではないかと、思っているのだが見当違いだろうか。
一つの作品として「面白いか?」と聞かれれば、「そうだな、先に「イット」や「ペット・セマタリー」を読んだ方が
良いかもね」と答えてしまうのが正直な所。
それと僅か1時間程度で読めてしまう短編を1冊のハードカバーとして1000円ものお金を取る出版社の
意向も気に入らない。
それでもこの本を読んで、一瞬(人生に対して)立ち止まる自分がいる。
この事は私にとって確かに意義がある。