5. 効率良く風上へ行くには

帆船で風上へ向かう場合、コースの取り方1つで、目標地点への所要時間が随分変わってきます。どうすれば、効率よく最短時間でゴールに到達できるか考えてみましょう。

◆ タッキングの回数は最小限に抑えたい

というのも、タッキングの最中は惰力だけで進むため、風による推進力がありません。タッキングをやれば必ずスピードが落ちてしまいます。ですから回数は極力少なくするのが得策です。ただし、途中で風向きが変わってしまうと、タッキングをやった方が得になる場合も多々あります。このあたりの判断も艦長の腕です。ここでは話を簡単にしたい(ややこしくしたくない)ので、風向きは常に一定ということにしてください。よってコースAはボツです。

◆ 三角形の二辺を走るコースにも、さまざまなバリエーションが

タッキングの回数を最小限にしたいなら、一回こっきり、三角形の二辺を走るコースBが最適です。図では右上→左上の順に走っていますが、逆の順、左上→右上でも構いません。このコースBにも角度を変化させるとコースC、Dというバリエーションが出てきます。

「こんなもん最短距離のコースBではないか。」と言いたくなるのが人情ですが、帆船の場合そうもいきません。ここからが本題です。今一度ポーラーカーブを見てみましょう。

上図はポーラーカーブの一部を拡大したものに、船の速度ベクトルを青線で追記した図です。この青いベクトル群には以下のような傾向が見られます。

◆ 走る距離を短くしたい→角度を小さくする→速度が落ちる(それも極端に)

◆ 速度を上げたい→角度を大きくする→走る距離が長くなる(これまた極端に)

ジレンマに陥ってしまったのがわかるでしょうか?あちら立てば、こちら立たず。二律背反とはこのことです。この難問を解決し、走行距離を抑えつつ速度を稼ぐのが、一流の船乗りというもの。影船クルーの採用試験に出るわよん。


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