6. VMG(Velocity Made Good)

速度を出せば距離が長くなるし、その逆しかり。いかにして速く風上へ走るか?一見難しそうな問題に見えますが、決して解けない問題ではありません。ここでの課題は所要時間を最小にすることです。

◆ 禁断の記憶…代数学&三角関数

求めたい量は所要時間なので、これを未知変数tにします。→この解決の手口が代数学です。代わりの数ですな。

図の右下には見たくもないようなものが並んでいますが…上から解説します。←(非情な鬼)

式(1)(2)は 青線とピンク線の長さが等しいことを表しています。L (青線)は船の走行距離です。

式(3)は 青線と緑線の長さの関係を表しています。D (緑線)はスタートとゴールの最短距離です。

式(4)は 小学生でも知っている? 距離=速さx時間 です。V は船の速さです。

式(3)(4)から Lを消去して t=… の形にして 式(5)を得ます。

さて最終的な結論ともいうべき、式(5)ですが、当然右辺に視線が集まります。分子のDを小さくすれば左辺のtが小さくなるのは分かりますが、これは単にスタートとゴールの距離を短くするという極めてアホい話です。分子のDは放っておいて、分母を見に行きますと…なんと、問題にしていた速さVと角度θがいるではありませんか!この分母 V cosθを最大にしてやれば、所要時間tを最小に抑えることができるはずです。

◆ V cosθの正体…VMG(Velocity Made Good)

さて、V cosθを最大にするにはどうしたら良いのでしょうか?V cosθと書くと難しそうに見えますが、絵にすると意外と簡単に理解できます。

早い話が、船の速度ベクトル(青色)を縦横に分解したときの縦方向成分(オレンジ色)の長さが V cosθです。風上へ行くのに、縦方向成分(オレンジ色)が働いており、横方向成分(緑色)は役立たずという解釈になります。速度ベクトル(青色)がどこへ向いていようが、どんな長さであろうが、欲しいのは縦方向成分(オレンジ色)なのです。この成分はVMG(Velocity Made Good)と呼ばれており、VMGを最大にする走り方が現在のヨットレースの主流となっています。


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