現代の練習帆船の続きです。最高速度に続いて、VMGにチェックを入れます。

16世紀の帆船 現代の練習帆船 影船八番艦 アメリカズカップ艇
◆ まだ貧弱な上り最大VMG…1.9ノット(風速の16%、最高速の29%)
16世紀の帆船に比べて、対風速で4%から16%へ…。4倍速です。16世紀の帆船があまりに悲惨だったのもありますが、何かしらの技術革命なしに成せる業ではないと思います。貧弱ながら風上への航行も現実的になっています。角度が少なくなるほど、走るのが苦しくなるのはみな同じです。カーブを180°から0°へ向かって見ていくと、4ノット弱から増速し120°〜90°で6.5ノット以上の最速状態になります。90°のラインを超えて風上側へ入っても、極端に速度が落ちることもなく、70°まで5ノット以上をキープします。この辺が16世紀の帆船とは雲泥の差です。さすがに60°になると苦しくなり、後はブラックホールに吸い込まれるようなカーブを描きます。最後は40°で1ノット。走行試験とはいえ、見ていて船が少し気の毒でした。
◆ 標準的な下り最大VMG…4.5ノット(風速の37%、最高速の67%)
16世紀の帆船に比べて、34%から37%へ、9%程度のアップにとどまっています。上りVMGとは対称的に、さほど性能が上がっていません。対最高速度では16世紀の帆船より悪くなっており、7割を切ってしまいました。それでも上り16%にくらべて下り37%なので、横から風下へ走るほうが楽な船です。
総合力で3割アップと言いましたが、その多くが上りの性能アップ、すなわち弱点の克服に注がれたと見て取れます。実際の航海、戦闘での運用を考えるに、弱点が減ったことは高く評価すべきです。自分なら3割どころか2倍近い性能アップと評価します。
◆ まだ頻度の高いジグザグ走行…0°〜60°& 150°〜180°(50%)
16世紀の帆船に比べて、61%から50%へ、2割程度削減されています。それでもジグザグ走行の方角が、全方位の50%を占めています。まっすぐ一目散に走れるケースは半分。残り半分はジグザグ走行を強いられます。下りのジグザクはさほど苦にならないでしょう。問題の上りですが、最大VMGの角度は60°。まだまだ「変な」方角への走り方です。0°の方角へ向かう場合、走行距離は最短距離の1/cos60°=2倍になります。