最後にオマケではありませんが、アメリカズカップ艇の性能に言及したいと思います。ご存知のとおり、最速の帆船の代名詞みたいな存在です。そりゃ、こんなものを持ち出したら影船八番艦の面目が無くなってしまいますが、あくまで影八の性能を把握するための参考用です。
◆ あいつ、どこへ行った?!
残念ながら私自身は阿修羅や韋駄天(ニッポンチャレンジの2艇)が走行しているところを目撃していません。しかし、人に聞いた話によれば、並みのヨットでは到底太刀打ちできないほど速いそうです。さっき離岸したばかりなのに、少し油断してよそ見しているうちに、はるか沖へ行ってしまい、探すのに苦労するそうです。ニッチャレほどではないにしろ、影八も似たようなものでしょう。

16世紀の帆船 現代の練習帆船 影船八番艦 アメリカズカップ艇
◆ 風と共にぶっちぎりで去りぬ。最高速度…10.0ノット(83%)
ほとんど風に近い速さで走れる、非常に効率の良い理想の帆船です。影船に比べて、対風速で69%から83%へ、20%程度アップしています。逆にいえば、影八はアメリカズカップ艇の2割落ちになります。居住&貨物スペースを持った航洋帆船が、F-1やGP-1同様にひたすら速く走るためだけに生まれた戦闘マシーンの2割落ち…こっちの方がアンビリーバボーな話です。
◆ 極限に近い走行不能範囲…0°〜20°(11%)
角度が小さくなるほど走るのが苦しくなるのは、この船でも変わりません。一番強調したいのは…
角度がゼロに近づくと、走りの難易度は無限大へ向かって急激に増加する。
50°から40°へ上がるのは、さほど難しくはありません。しかし40°を30°へ上げるのは、生半可なことではありません。30°から20°へ…未知の領域です。これには私も参りました。風向きが安定していれば私のラジコンも30°で上がりますが、どうすればこんな芸当ができるのでしょう?影八と比べても、17%から11%へ、約5割削減されていますが、技術レベルから言えば多分100%以上の進歩だと思います。さすがにこのあたりで航洋帆船と戦闘マシーンの差が出ています。全方位の9割をカバーする走行可能範囲。帆船として、もはや制約なしといっても過言ではないでしょう。海皇紀の連中が見たら「船の形をした悪魔」です。
◆ 快走範囲は意味無し?チンタラでも速い(最高速度の70%以上)…30°〜140°(61%)
最高速度の7割以上で走れる範囲は、61%で影八と変わりません。ただし、範囲そのものは風上側へ10°シフトしています。風下より風上へ走るのが得意な船です。実際のレースでは、風下航で「スピンネーカ」あるいは「ジェネカー」と呼ばれる、馬鹿でかいパラシュートみたいな帆を使って、あと1ノットほど余分に速度を稼いでいます。さて、全方位の4割を占めるチンタラ領域ですが…チンタラとはこの船にとっての話です。他の3隻にしてみれば最高速度に近い速さです。腐ってもチンタラでも、やはり戦闘マシーンです。