STORY

主人公は、甲子園球場の老グランドキーパー・藤本栄治。
ここ甲子園球場を、グラウンドの土を、
そして、野球を、阪神タイガースをこよなく愛する男である。
そんな彼の秘めた夢が、娘の手によって明らかになって行く様が描かれる・・・。

主人公・エイジには二人の娘がいる。長女・ミノルは、新米スポーツ記者。
プロ野球担当にして、タイガースを集中取材する通称「トラ番」に属する。
彼女に今、「プロ野球の舞台裏」なる特集コーナーのリポートが課せられた。
そんなわけで、父・エイジへの取材をすることとなる。
しかし、劇的な絵が見えて来ず、記事は一向に進まない。

見えるのは、頑固なタイガース狂の実生活ばかり。
新人グランドキーパー・シンジョーにグランドキーパーとはなんたるか、
聖地・甲子園球場の想いを熱く語るエイジ。
同じ球場の職員・タブチとカケフの盟友と共に、タイガースについて論じる午後。
グラウンドの整備と偽って、
敵チーム(ジャイアンツ)を陥れる罠(子供のイタズラ程度?)を仕掛ける夕刻。
負けても勝っても、反省会として飲み明かす深夜。
思うように進まない仕事に、イライラの積もるミノルであった。

そんな時、画家を目指していたという母のデッサンを押入れの奥から発見する。

そこに描かれていたのは、知られざる父の実績であった。
そのデッサンを覗くうち、次第に父の過去へとミノルの頭の中は旅を始める・・・。

一心に野球選手を目指した人生。エース「ムラヤマ」に憧れ、
その宿敵「ナガシマ」に更なる憧れを抱き、その彼との対決を夢見る日々。
昭和59年「天覧試合」での
ナガシマのサヨナラホームランに悔し涙が止まらなかった夜。
一向に夢叶わぬエイジに、「ナガシマ」への思いはやがて片思いの恋の様相も呈して来る。
そんな「ナガシマ」
に夢中なエイジに対して、
母・フミオの恋心もまた一方通行なムードが帯び始め、そこに奇妙な三角関係が成立してしまう。

気付くすべもなかった情熱的な父の素顔を発見するミノルに、
今度は父の友人達から、驚くべき真実が知らされる。
それは、父がいまだに「タイガース入団テスト」を受け続けているという事実であった。
そして・・・。

その日は、実に「100回目」のテストの日。
父は手作りのタイガースのユニフォームへと袖を通し、
試験官を前にしたマウンドへと勇敢に立つ!
その時、遂にミノルの握ったペンが動き始めた。その劇的な物語が書き上げられて行く。

今尚、夢を追い続ける父の、凄まじきも眩しい栄光の物語・・・。




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