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覆面探偵] 2美術教師殺人事件

                              山本昌輝

 

「火事だー!」

光栄高校グランドの右側にある物置小屋が炎を上げている。体育館でバスケットボールの

授業を受けていた東馬たちも、運動靴のまま外に出た。教師や生徒たちが懸命に消化器で

火を消そうとしている。しかし、火炎は衰えることはなく、壁や柱や屋根を焼き落として

行った。

 六分後の午後一時五十分、消防車やパトカーが到着したが、すでに物置小屋は黒こげの

残骸となっていた。まだ白い煙が立ち昇る中を、警察の現場検証が開始された。

「死体です!」

鑑識係の一人が叫んだ。周りがどよめき、緊張感が一気に広がった。黒く焼け崩れた死体

が、真ん中程にあった。外見上からは身元は判別できない。斉藤警部補は死体の側から、

ベルトの金具のような物を拾い上げた。

「誰かこれに見覚えのある人はいませんか?」

斉藤警部補はそれを上げて、見せて回った。

「ああ、それは前川先生の物です」

「あなたのお名前は?」

斉藤警部補は首から笛をぶら下げたジャージ姿の男を見た。

「体育教師の木村哲也です。それは美術教師の前川純一先生のベルトの金具です」

「ずいぶんと詳しいんですね。どうしてそれを?」

「一度自慢気に見せられたことがあったんです。恋人にもらったとかで」

木村(四十三)はベルトの金具をチラッと見てから、悲し気に目を伏せた。

「そうですか。今日、前川先生は出勤されてますか?」

「いいえ」

「どうやら死体は前川先生と見ていいようですね」

「はあ」

木村は頭を垂れた。生徒の中から、どうして前川先生が、といような驚きの声があちこち

から上がった。東馬は焼け跡の奥の方にある黒く盛り上がった物を見て、こう疑問に思っ

た。

(おかしい。どうしてあれがあんな所に。これは何か裏があるかもしれない。調べなきゃ)

放課後、東馬はあることについて生徒に聞き回った。