今 週 の 言 葉
2012年5月21日
 『日経ビジネス』(日経BP社刊)の「有訓無訓」のコーナーから印象に残った言葉を毎週ご紹介します。
------------------------------------------------------------
いろんな外国人とつき合って感じたのですが、彼らはいつも「パブリック・インタレスト(公共の利益)」という言葉を使います。会計士は顧客企業から監査報酬をもらいますが、実際のサービス提供先は財務報告のユーザーである投資家です。ですから、公共の利益を意識しないと、「誰のため」という基本を外してしまいかねません。

 会計士協会会長として、上場企業監査事務所登録制度という仕組みを導入しました。それまで協会は会計士に戒告などはできても、業務上の制限を課すような懲戒はできませんでした。そこで、監査の品質管理に問題がある事務所を開示し、悪質な場合には登録事務所から除名する制度にしたのです。会計士が守るべき公共の利益を考えて、自主規制の規律を強めたわけです。

 会計士は財務情報の信頼性など自分たちが関与する分野でいかに公共の利益を守れるかを考えるべきです。そして、財務報告の信頼性は国内問題と同時に国際問題でもあるので、双方の基準で行動する必要があります。

 日本では政治家なども含め、すぐに「国益、国益」と言う人がいますが、本当なのかと疑わしくなります。国にとって良いことなのか、特定の利害関係者にとって良いことなのかが分からなくなっているように思います。


藤沼 亜起(ふじぬま・つぐおき)氏
 [日本公認会計士協会相談役、中央大学ビジネススクール教授]

『日経ビジネス』(2012.5.21)

<【有訓無訓】 国益を主張する前に 公共の利益に奉仕せよ P.100から>


バックナンバーのページへ
本当に役に立つビジネス書のトップへ
 Copyright (C),2012 今週の言葉(本当に役に立つビジネス書) by Takashi Fujimaki
All Rights Reserved.