No.098 ★★★ 2002/02/05 Tue 失敗学のすすめ 畑村洋太郎
講談社 2000/11/20
失敗こそが創造を生む
今回から3回にわたって「お薦めの3冊」で取り上げた本の書評を掲載します。
第1回は「失敗学のすすめ」です。
著者はプロローグで、「失敗」について理解することの大切さを次のように語っています。
<大事なことは、ひとつには学ぶ人間が自分自身で実際に「痛い目」にあうこと、もうひとつは自分で体験しないまでも、人が「痛い目」にあった体験を正しい知識とともに伝えることです>
ここでハインリッヒの法則をもう一度掲載します。きわめて重要な概念だからです。そして、最近マスコミをにぎわせている「雪印食品」の輸入牛肉を国産牛肉に偽装して売りつけた事件を考える際にヒントを提供してくれるからです。実は、その伏線は親会社「雪印乳業」のO-157による食中毒事件に遡ることができるかもしれません。
<1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、さらにその裏にはケガまではないものの300件のヒヤリとした体験が存在しています。これがハインリッヒの法則と呼ばれるもので、潜在的な労働災害とそれが顕在化する確率をいわば経験則から導き出した考え方なのです>
さらに「失敗のハインリッヒの法則」とでも呼ぶべきものが存在すると述べています。
<新聞沙汰になるような事故やトラブルが、「ある日突然降って湧いたように現れた」などということは、そもそもありえません。過去をふりかえってもそのようなケースはなく、前述の雪印乳業の集団食中毒やJCOの臨界事故もしかりで、最近多発する企業不祥事の原因を探ると、むしろ「いままでよく事件・事故が起こらなかった」という率直な思いにぶつかるはずです>
人が失敗情報から学ぶときに何が必要なのか、著者は明快に答えています。
<人が失敗情報から学ぶとき、正確な事実を把握し、その失敗の全容を正しく理解することが必要です。単純化された失敗情報では、正確な事実を把握できません>
「失敗学」をどのように活用すべきかについては次のように述べています。一考に価します。
<「失敗学」における基本的姿勢は、私たちの身近で繰り返される失敗を否定的にとらえるのではなく、むしろプラス面に着目してこれを有効利用しようという点にあります>
失敗学のすすめ
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