英国史にみる日本の未来
先のイギリス総選挙は、トニー・ブレア首相率いる与党労働党が大勝しました。これによって、イギリスのユーロ加盟が促進されるものと見られています。 「イギリスは遅かれ早かれユーロに加盟する」と断言していた人がいました。その人が、この本の著者、中西輝政京都大学教授です。
<通貨統合に関しては、99年1月からの発足には「イギリスは加わらない」と、ブレア政権は繰り返し言っている。しかし、こういった場合のイギリス人の伝統的な物の処し方は、ぎりぎり「最後の最後まで」、自分達の利益になる立場を主張しつづけるが、タイミングを逃さず、「最後の船」が出るときには必ず飛び乗るはずである。これを「11時50分の思想」と言い、ぎりぎりのところでは必ず間に合うように、態度の転換をつねに用意しておく。>
著者は歴史家として長期的視野に立って、鋭い指摘をしています。
<20世紀は、3つの世界大戦−両大戦と冷戦−に代表されるように、「戦争と革命の世紀」だといわれる。つまり、「対立と闘争」をモチーフとした世紀といえるかもしれない。しかし、「歴史の弁証法」は、これに対するアンチテーゼともいうべき、20世紀世界秩序のもう1つの隠れたモチーフを用意してきた。「和解と協力」を主要なモチーフとする、20世紀の英米関係がそれである。>
<「ジェントルマン」とは何か。17世紀初め、イギリスのある学者は、「ジェントルマンとは、ジェントルマンらしく金を使うことのできる人物である」と定義したが、その後、この同義反複よりもすぐれた定義は与えられていないといわれる。つまり、金の所有ではなく、「金の使い方」こそが深く文化にかかわり、「ジェントルマン」の本質に最も重要な示唆を与えるものだからである。そしてそれは、何よりも、生まれや「階級」だけでは、「ジェントルマン」にはなれないことを示唆している。>
<今日の世界では20世紀とちがい、物事を正確にとらえるには、歴史、文明、国民性といった、大きな構造のパースペクティブやファクターをしっかりつかみ、体質や直観も合せて大切にする、私のいう「歴史の思考」が強く求められているように思う。>
最近「歴史と哲学」の大切さを強く感じるようになりました。「愚者は己の経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」という言葉を思い出しました。
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