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No.075 ★★★ 2001/11/11 Sun  カリスマ 中内功とダイエーの「戦後」 佐野眞一
 日経BP社 1998/07/10

カリスマ 中内功とダイエーの「戦後」 佐野眞一 日経BP社 奢れる人は久しからず

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらわす。奢れる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。「『平家物語』岩波文庫」

『平家物語』の有名な書き出しです。
著者はエピローグでこの一節に触れています。中内功と巨大スーパーとなったダイエーの奢りを『平家物語』の冒頭に重ね合わせて指摘しています。

中内功の人生に暗い影を落としているのは、第二次大戦で酷寒のソ満国境から灼熱のフィリピンへ送られ、そこで九死に一生を得た経験であると述べています。

「主婦の店ダイエー」としてスタートしたダイエーが、大衆から支持された理由を次のように説明しています。
<中内ダイエーが大衆から圧倒的な支持を得、驚異的な成長を成し遂げていったのは、一にも二にも、中内のなかに、一般消費者と通じる現実性と大衆性が強烈にあったからにほかならない>
中内の周辺の人たちが、早世するか、恨みをもって去っていった例が非常に多いという。
<中内ダイエー最深部の秘密を知りながら、そのことを一切黙して彼岸に渡っていった。(中略)中内をよく知る関係者によれば、中内は人を迎えるときにはそれなりに三顧の礼で迎えるが、一応の成果があがると、その人が社外に去るための道をさりげなく用意するという>
ダイエーの中内とイトーヨーカ堂の伊藤雅俊が対比されることがよくあります。
<売り場売り場で癇癪球をけたたましく爆発させる中内と違って、伊藤は無言で店内を巡回し、ふいに止まって売り場に近づき、棚をひと拭き、無言のまま埃のついた指を店員にそっと突き出すのだという>
ダイエー急成長については、次のように述べています。
<ダイエーを急成長させた牽引車は“カリスマ”の中内であることは間違いないが、逆風にあうと脆さが露呈する>
つまり、中内のカリスマは諸刃の剣であったということです。

この作品は、「日経ビジネス」97年6月2日号から98年2月23日号まで連載された「カリスマ」をベースに大幅に加筆訂正を行い、原稿用紙1400枚、総ページ数673の大作です。

雑誌連載中の97年暮れ、中内功とダイエーの暗部を詳細に記述していたため、2億円の損害賠償請求訴訟が東京地裁に起こされたそうです。

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