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No.096 ★★★ 2002/01/27 Sun  リスクヘッジ経営  木村剛
 徳間書店 1999/08/31

財務危機を回避する10の知恵

日米の大手企業の倒産が相次いでいます。アメリカでは、エンロン、Kマートが破綻しました。日本では、マイカル、殖産住宅が倒産しました。アメリカに以前ほど経済で世界をリードする力がなくなってきましたし、日本にはアメリカをサポートできる力はありません。

株式相場を見ましても、日米ともに低迷を続けています。NYダウは10000ドルを割り込み、ナスダックは節目である2000ポイントを回復していません。
日本では、円安の恩恵を受ける輸出産業の中心である自動車産業のトヨタ、ホンダ株は続伸していますが、日経平均は10000円台、TOPIXは1000ポイントを割り込んでいます。

銀行と企業との株式持合い解消も進んでいるとは言えず、銀行の不良債権処理も遅々として進んでいません。さらに、小泉政権が掲げる「構造改革」も遅れています。こうしたことから、格付け機関による日本国債の格下げが、取りざたされています。

さて、今回取り上げる本は3年前に出版されたものですが、今読んでもこの本の価値が色あせることはありません。
著者は2つの名前を持っています。以前このコーナーでご紹介しました、「時価革命」(徳間書店)の織坂濠(オザカゴウ)というのは、木村剛氏のペンネームです。
「時価革命」については、
こちらをご覧ください。

著者は“はじめに”で次のように述べています。

<マーケット・リスクがありながら、その状態を放置すること、それは投機である>

また、この本を書き進める前に、「企業財務」は<「マーケット・リスクによる意図せぬ巨額損失を防ぐための実務上の知恵」>と定義しています。

リスク・マネーが大量に流入し、「ハゲタカファンド」と揶揄された外資による投資信託が国内でも設定されました。しかし、リスクを負わなければリターンがないということも事実です。要は、それらのリスク・マネーをどうコントロールするかということです。

著者の次の言葉は肝に銘じておくべきだと思います。

<リスクなしで、投資金額が倍になる話などこの世界のどこにも存在しないからだ。あるとするならば、それは詐欺師の話の中だけのことである。そんなうまい儲け話があるとしたら、「一人占めして黙っている」というのが古今東西の鉄則だ。敢えて他の人々に儲かるチャンスを分け与えたいと考える心優しい人などいないと思ったほうがいい>

著者が考えた10の知恵を列挙します。
【第1の知恵】世の中にうまい話は絶対にない

【第2の知恵】虎穴に入らずんば虎子を得ず

【第3の知恵】知らないものには手を出すな

【第4の知恵】シンプル・イズ・ベスト

【第5の知恵】値段だけ叩け

【第6の知恵】論より書面

【第7の知恵】リバース・エンジニアリングの活用

【第8の知恵】見切り千両

【第9の知恵】傍目八目

【第10の知恵】餅は餅屋

この10の知恵の中で、【第7の知恵】リバース・エンジニアリングの活用と【第8の知恵】見切り千両、【第9の知恵】傍目八目に補足説明します。
リバース・エンジニアリングとは<金融のプロフェッショナルを別途雇って、特殊な金融商品あるいは金融技術の解析を自分の代わりに行なってもらい、プライシングや商品設計の妥当性を検証してもらうことをいう>そうです。
見切り千両とは<ミスに気付いたら、まず認める。認めた上で、早急に対処する>こと。
傍目八目とは<第三者が処理に当たれば、冷静に状況を見定めることができる。自分のミスではないから、処理もすばやくできるはずだ。熱くなった財務マンは、ペナルティ・ボックスに入れて、頭を冷やすまで現場に出すべきではない>ということです。

最後に次の言葉で締めくくりたいと思います。

<ノー・リスクにはノー・リターン。ハイ・リスクにはハイ・リターン。ノーリスクかつハイリターンはない>

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