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No.103 ★★☆ 2002/02/24 Sat  住宅新時代への指針  鶴蒔靖夫
 IN通信社 2002/02/11

「アキュラホームがめざす『理想の家づくり』とはなにか」

 今回とりあげる本は、「アキュラホーム」を詳細に分析した本です。

 「アキュラホーム」を率いる宮沢俊哉氏が住宅業界に旋風を巻き起こした経緯と、「アキュラシステム」と「アキュラネット」を武器に住宅建設コスト削減と全国の工務店・ビルダーの組織化への挑戦の記録です。

 なぜこうした挑戦を開始し、「一般消費者でも一戸建ての家を持ちたいという夢」を実現させたのかは、次の言葉が雄弁に物語っています。
<宮沢が徹底してこだわっているのは、あくまでも木造軸組工法(在来工法=日本の伝統的建築法 注:藤巻)による注文住宅であり、木造の戸建て住宅建築である。アキュラホームでは方針として、いわゆる建売住宅、分譲住宅は取り扱わない。しかも資産家向けの高級住宅ではなく、一般消費者向けの高性能で低価格の木造住宅である。
彼が一貫して追求してきたのは、入居者が長い間安全で快適に暮らせる高性能の家であり、なおかつごく普通のサラリーマンでも、ローン返済の負担に苦しめられる心配のない、低価格の家である>
 「業界の異端児」と呼ばれる宮沢俊哉氏の生い立ちを見てみることにしましょう。
<宮沢は大工出身なのだ。昭和34(1959)年、東京都生まれ。祖父の代から三代続いた大工の家系で、祖父は宮内庁ご用達の大工の棟梁だったが、父は東京ではなく、母方の郷里・山梨県で工務店を開いた。<中略>
父の工務店は次第にさびれ、経営が苦しくなってきた。高校進学もなんとなくいい出しにくい雰囲気になり、宮沢は手に職をつけ、早く自立したいと思うようになる。そこで、中学を卒業すると、すぐ親戚の紹介で、埼玉の親方の元に弟子入りした。いくら家業が大工でも、一度は他人の釜の飯を食わないことにははじまらない。<中略>
昭和53年、親方の会社が倒産し、その親方の親会社にあたる不動産屋から仕事をもらい、修繕などの下請け業者として個人創業することになったのだ。それが「都興(みやこ)建設」だ。<中略>まだ弱冠19歳のときであった>
 長い引用を掲載した理由は、その後「アキュラホーム」がそしてその経営者宮沢俊哉氏が住宅業界に旋風を巻き起こすことになる伏線となっているからです。その意味でこの部分は絶対にはずすことができないところです。

【アキュラシステムについて】
<「アキュラシステム」は宮沢が打ち立てた「高性能・低価格住宅開発のノウハウ」の開示であり、コンピュータソフトの一種で、旧来の価格体系、コスト計算に疑問を抱いた宮沢が、徹底的に計算項目を洗い出し、4種類のデータベースに体系化したものである>
【アキュラネットについて】
<「アキュラネット」は、「アキュラシステム」の愛用者たちの全国組織化である。ネットワーク組織だが、住宅FCではない。FCのようなエリア性がなく、地域の工務店・ビルダーが、元請け業者としての主体性を保ちながら、地域特性を生かして活用できるシステムである>
 「アキュラシステム」はパソコン好きの宮沢氏が18年の歳月を費やして完成させたソフトウェアです。1本500万円で、決して安い買い物ではありませんが、便利さが受け、現在では1800社以上が採用する家づくり専用ソフトだそうです。

 このソフトがこれだけ受け入れられた理由は、“積算からなにから2、3時間ですべて出せること”にあります。以前は通常2週間から1ヵ月かかっていたことを考慮しますと驚異的なことです。しかもCGを駆使し出来上がる家をシミュレーションできるそうですから、立体感があり、家具等を配置した場合や家周辺の状況が実感できます。
 工務店は、これによってプレゼンテーションがしやすくなったことは、大きなメリットになったと思われます。

 以前は「アキュラシステム」を“採用した工務店・ビルダー”VS.“採用していない工務店・ビルダー”の競争でしたが、今後考えられる課題は「アキュラシステム」を“採用した工務店・ビルダー”同士の競争が激化することでしょう。そこで不可欠になってくることは「独自性」をいかに出すかです。「独自性」が出せたところだけが勝ち残ることができるでしょう。

 この本をご紹介するに至った経緯をここで書きます。
 私のホームページを見てくださった、ある広告代理店の方からEメールをいただき、ある依頼がありました。その内容は次の通りです。
 「クライアント(お客様)が今度本を出版しましたので、あなたのホームページで紹介してもらえませんか。ジャンルが異なっている場合にはお断りください。本を送ります」。

 私は二つ返事でそのお申し出を引き受けました。
 以前、「蔵書一覧」に掲載した本の著者からお礼のEメールをいただき、書評を書いたことがあります。「経営が苦しいときの給料の払い方」北見昌朗+大平吉朗 東洋経済新報社
 しかし、今回のようなことは初めてのことであり、非常に光栄なことと思ったからです。また、正直申し上げて「アキュラホーム」については名前を聞いたこともなく、予備知識はまったくありませんでした。
 ある意味では、先入観を持たずに読むことができました。書評に不十分さが感じられたとしましたら、それは私の読み方が浅かったとご理解ください。

アキュラホーム

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