経営の原点を考える
最近、世界最大の小売業ウォルマート・ストアーズが西友の株式を6.1%取得し、最終的には66.7%の株式を取得し傘下に収めるという報道がされました。いよいよウォルマートが日本に進出します。売上高2200億ドル、28兆円という巨大企業です。イトーヨーカドーの20倍といえばその大きさが実感できるのではないでしょうか。
迎え撃つイトーヨーカドーがどのような対抗手段を講じるのか、たいへん興味があります。そこで、イトーヨーカドー・グループの創業者伊藤雅俊の著書に当たってみたいと思いました。この本の他に「商いの心配り」(講談社)があります。
「まえがき」で次のように述べています。
<商売に王道なし。ただ心あるのみです。私はそのことを商道の先達である母や兄、そしてお取引先の恩人、偉大なる先輩諸氏から学びました>
「プロローグ」に書かれている次の言葉は、肝に銘じておく必要があります。
<忘れてならないのは、お客さまからの信用が小さいうちはまだしも、大きくなった時です。その時ほど、一旦、信用を失ってしまうと、瓦礫のように崩れてしまう危険性があるのです。信用が小さいうちは一生懸命反省して取り戻せても、大きくなってしまったらもう取り戻せないこともあるのです>
「商い」の本質について
<人を愛する、ものを作り上げる、それと同等の感動が“商い”という行為にはあるように思えてなりません。お客さまが安心感と満足感を持って商品を買っていってくださる、私どもを信頼されて買ってくださる、そのありがたさに、商いの本質があるように思います>
「正当な評価への努力」について書かれている部分を読みますと、他人事ではないと思いました。
<社員がやる気をなくす原因は、自分の努力が会社から正当に評価されていないと思い込んだ時です。給与面でも、待遇面でも、なぜ自分はこの立場にいるのか、という説明がなされなければ、疑心暗鬼になり、仕事への熱意もなくなります。公正にして誠実な対応が、ここでも必要になります>
次の言葉は、よく噛みしめたいと思います。
<ひらがなで話す人は知恵の人です。書物で得た学問的な知識よりも、実践を通して身についた知恵のほうが、商人には必要です>
売れる商品とは。
<売れる商品とは、お客さまが欲しいと思っている商品です。お客さまの心の奥底の、お客さま自身も気がつかない欲求を満足させてこそ、プロの商いだと私は考えています>
「商売の基本」とは何かについて、述べている個所があります。
<基本とはなにかと考えると、対お客さま、対従業員、対お取引先との関係をきちんとしたものにするとか、物心両面で清潔さを心掛けるとか、注文、発注をきちんと行うといった本当に地味なことです>
伊藤雅俊が考える底力のある会社とは。
<リーダーシップももちろん大切だけれど、声高に先頭切って旗を振る人よりも、黙ってやってくれる人が大勢いる、泥くさい会社のほうが底力があると思うのです>
どの言葉も、経験に裏打ちされたものだけに、ズシリとした重みがあります。
近いうちにウォルマート・ストアーズの創業者サム・ウォルトンの自伝「ロープライスエブリデイ」(同文書院インターナショナル)を取り上げる予定です。
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