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No.143 ★★★ 2002/07/24 Wed  「一人勝ち」の経済学 大前研一 光文社 1999/08/30

選択をやめた日本人

「一人勝ち」の経済学 大前研一 光文社 今回は予定を変更して、大前研一の「『一人勝ち』の経済学」を取り上げます。

エンロンの不正会計に端を発した、アメリカ企業の相次ぐ破綻によってアメリカ経済が大きく揺らいでいます。直近のワールドコム(WorldCom アメリカ第二の長距離電話会社)の倒産は負債総額がアメリカ史上最大であったため、激震が世界中に広がっています。

ニューヨークダウは8000ドルを割り込み、日経平均株価はついに投資家の心理的境界であった10000円を下回りました。日米ともに株式市場は底が見えない状況に陥っています。



こうした現状を正しく認識するためには、私のグル(精神的な指導者)である、大前研一氏に聞いてみるのが一番です。もちろん、直接インタビューすることはできませんので、著書に当たるのが次善の策です。

世界の株式市場に対する考えを次のように述べています。

<ニューヨーク市場がポシャったときは、アメリカ全体がパニックになる。これは従来とはまるで違う構図だ。そのことをわれわれは理解しておく必要がある。ニューヨークの株価が落ちはじめたとき、アメリカでは国全体がヒステリックになるだろう。これは、いままで誰も経験したことがない世界だ。いままでの世界は、少数が富を独り占めしていた。大衆は貧しく、大企業や社会のトップ階層だけが富を得ていた。だから、共和党の支持層はどちらかと言うと金持ちで、民主党は労働組合だったのである。ところが、いまや、そういう区分は関係ない>

<恐慌にまでは至らないとしても、ニューヨークで暴落が起きたときには、他でも暴落が起きるのは必至である。なぜなら、すでに指摘したとおり瞬時にサヤ取りのための資金の大移動が起こるからだ>

<暴落したニューヨークの損を、どこか他の市場で取り戻そうとするかぎり、そちらの市場でも大量の売りが発生することになるのである>

この本が今から3年前に出版されたことを考慮しますと、いつものことながら驚くべきことです。関連したことを一つ付け加えますと、株式が暴落したときに債券に投資することを「質への逃避」(Flight to quality)と言います。金利が高い商品に現金を「逃避」させるわけです。

今、日本人に必要なものは何か?大前氏は次のように指摘しています。

<いま、日本人に必要なのは、自分自身の頭で考えること、自分一人で考えることである。インターネットに代表されるネットワーク時代というものは、他人の真似をしていては駄目だ。自分が受信者であると同時に、発信者でもなければならない。「個人」が非常に重要になってくるのである。個人が情報を受けて、それを消化し、今度は自分が発信していく。これからは、そういう情報化社会に突入していくのである>

<私は「質問する能力」と呼んでいるのだが、現実という泥沼や慌ただしい日常から冷静に距離を置き、自分の頭で考えて、「これでいいのかな?」「なぜだろう?」と問いを発することが、いま重要なのだ。問いを発する力を持つこと・・・・・それこそがいま必要なのである>

<何が本物かを見抜くことこそ、いま最も大切だということである。どれが本当の勝者であるか見抜く目を持つ―それこそが、何より重要なことである>

じっくりと読んでいただきたい本の一冊です。

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