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中国シフト | チャイナ・インパクト |
| No.150 | ★★★ | 2002/09/20 Fri | チャイナ・インパクト 大前研一 講談社 2002/03/29 |
中国はどこへ向かうのか、そしてその時日本は?150回目の書評は、前回に引き続き、「現代中国」に鋭く切り込んだ大前研一の『チャイナ・インパクト』を取り上げます。 実は、『チャイナ・インパクト』の方が、前回掲載の『中国シフト』よりも発刊が4ヶ月早いのです。その点をお含みおきください。 前回の書評でも書きましたが、私は中国関係について全く疎いため、ただただ驚きの連続でした。12億人を越える人口を抱える中国の強みと弱みを考えて見ますと、強みは世界の人口の4分の一近くを占めるマンパワーです。もう一つは華僑による世界的な強力なネットワークです。その一方で人口が多いということは食糧問題を引き起こす要因ともなります。これが弱みになります。そのため、「一人っ子政策」を実施しているわけです。これ以上人口を増やすわけにはいかないという中国政府の「強い意思」が働いているのでしょう。 最近、新聞・雑誌などで中国は「世界の工場」という表現をよく目にします。安い工賃を背景に、ユニクロのように衣料を中国で生産し、輸入するという例が多くあるためこのような表現をされるわけですが、はたして中国は諸外国からの要請で製品をつくるだけの国なのでしょうか、という疑問がこの本が書かれる原点になっているように思われます。 以前、地域国家論を取り上げたことがありますが、リージョン・ステート(地域国家)という概念を詳しく説明していました。ネーション・ステート(国民国家)との対比で、リージョン・ステート(地域国家)の重要性を強調した本でした。 この「中国」に関する本では、新たに「メガリージョン」という言葉を紹介しています。 <これらの地域(「東北三省」「北京・天津回廊」「山東半島」「長江デルタ」「福建省」「珠江デルタ」:藤巻)は、それぞれが独自性を持って発展しており、独立性が高い。面積や人口、経済力からみても、中国の一部というよりは、一つの国家として認識したほうがより正確に把握できる。私はこれらを「メガリージョン」と呼んでいる。地域=リージョンの枠を超えたメガ地域という意味である> 著者は中国を単一国家としては見ていません。これが重要なポイントです。 <中国を単一の国家として眺めていたのでは、いつまでたっても中国の本質が見えてこない。別の言い方をすれば、日本企業がしばしば使いたがる「中国戦略」という言葉は、現実的にはありえないコンセプトだ> 6つの「メガリージョン」の特徴を見てみることにしましょう。 まず、「珠江デルタ」から。 <珠江デルタは、いまや世界最大のパソコン産業の集積地で、IBMやデルコンピュータ、コンパックなど世界の主要メーカーがほぼ出揃っている> 次に、「長江デルタ」についての解説を見てみましょう。 <長江デルタは携帯電話、半導体などの産業が強い。珠江デルタのような組み立て加工型ではなく、ある程度の技術力を必要とする先端IT産業が集積しているのが特徴だ。エリクソン、シーメンス、日立製作所、ソニーなどのメーカーがすでに進出している> 次は、「北京・天津回廊」。 <首都・北京から天津へと延びる一帯は、6つのメガリージョンの中でもとりわけハイテク分野、IT分野の産業が集積している地域だ。特に中関村は中国のシリコンバレーと呼ばれ、産学一体となった研究開発機関の一大集積地となっている。(中略)IBMやマイクロソフト、インテル、モトローラ、松下電器、富士通、日立製作所といった世界の最先端企業が、中関村に研究開発機関を設け、有能な中国人エンジニアをどんどん雇い始めている> 次は、「山東半島」。 <青島ビールで日本人にも馴染み深い青島(チンタオ)を抱える山東省は、日本向けの加工食品、冷凍食品の生産拠点として成長してきている> 次は、「福建省」。 <経済的には、日本では烏龍茶の産地としても知られているが、食品工業が大きな産業になっている。またアモイにはデルコンピュータが進出するなど、ハイテク産業の製造基地としての顔ももっている。また人件費が安いので、ナイキも大きなスニーカーの工場をいくつか持っている。ただ、他のメガリージョンにくらべると、残念ながら今のところ際立った特徴を出せずにいる> 最後は、「東北三省」。 <東北三省とは、中国東北部の遼寧省、黒龍江省、吉林省をあわせた呼び方である。日本では「旧満州」といったほうが通りがいいかもしれない。(中略)東北三省は、日本語だけではなく韓国語を操る人も多い。歴史的に韓国とのつながりも深いし、地理的にも近い。今後、韓国語と日本語の二つが、大連を含めた東北地区の最大の特徴になるだろう> もはや、中国は一言で片付けられるほど単一の国家ではないということが如実にわかる、生きた「中国レポート」です。非常にボリュームのある本で、じっくりと読んでいただきたいと思います。 大前研一の本の書評 企業参謀 Re-Boot! ゼロからの出発 eブレークスルー サラリーマンリカバリー やりたいことは全部やれ! 大前研一 新・資本論 地域国家論 サラリーマンIT道場 「一人勝ち」の経済学 中国シフト |
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