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No.152 ★★★ 2002/10/04 Fri  勝つ経済 宮内義彦+田原総一朗 PHP研究所 2002/08/14

勝つ経済 宮内義彦+田原総一朗 PHP研究所 問題は「経営力」

「経営力」のある企業が「勝ち組」になっているということが、まえがきに書かれています。では、その「経営力」とはどのようなものを指すのでしょうか?田原総一朗氏は次のように書いています。
<一言でいうならば、従業員に持てる力以上の力を発揮させるということである>

この本は、タイトルが示すように「勝つ経済」に必要な要件は何か、そして日本、日本企業あるいは日本国民はどこへ進んでいくべきなのか、そうした問題への大胆な提言をしています。



そうした提言の主なものをいくつかご紹介します。中には、当事者にとっては、かなり痛みを伴ったものになると思われます。しかし、そうしなければ改革はできないと二人の著者は異口同音に述べています。
<総合化の悪いところは、自分の得意な分野だけにいればいいのに、あまり知らない分野へも進出し、無限に事業範囲を増やしていくところだと思います。そうなると、得意な分野では儲かっていても、知らない分野では儲からない。そして全体として見ると利益が薄いということになってしまうわけです。総合化しないと儲からないというのはまったくの逆で、それをやっていては収益性は上がりません。そもそも、企業活動をするための経営資源が有限であるとするならば、「総合」などということはあり得ないはずなのです(宮内)>

<いまの時代というのは、たぶん日本人が日本の歴史が始まって以来一番いい生活をしています。生活が非常に悪くなれば、どうしようかという方策はいくらでも見えてくるはずなのですが、いまの生活が一番いいのだから、これを守りたいと思ってしまう。守りたいと思うところから展望など見えるはずはありません(田原)>

<「勝つため」というのは誰のために勝つのかというと、まず、そのチームに出資しているオーナー、すなわち株主です。株主は勝つためのチームをそのチームに望んでいるのですから、株主に喜んでもらうような企業経営をしないといけません。自分たちが仲良くやるための麗しい経営ではなく、株主を向いた経営が必要です(宮内)>

<グローバリズムと日本的経営というのは非常に違っている。その一番の違いは何かというと、私は、日本的経営というのは性善説であり、グローバリズムは性悪説ではないのかと思うのです。(中略)日本の経営というのは、どこか性善説で、もっといえばムラの経営です。ムラの人々によく思われたいという意識がある。だから、人格円満で調整がうまい人がトップになる。ここが決定的な違いではないかと思うのです(田原)>

<いまのデフレは、何もしない人、経済活動に積極的でない人が得をしています。お金をそのまま持っている人ほど得をするというのは、やはりどこかおかしいのではないでしょうか(宮内)>

<おそらく本当に危機感を持っているのは、ごく一部の経営者だけではないでしょうか。中小企業の経営者も、いまが非常に厳しいということはわかっていても、多くは、政治家が悪い、何かしてくれ、というふうに考えている。サラリーマンも自分の会社がつぶれるなどとは、夢にも思っていない。政治家にしてもおおかたは危機感を持っていません。官僚もマスコミも同じです。(中略)危機感がないから、皆、いまの水準を何とか守りたいとしか考えない。守りたいという発想からは、変えようという意識は絶対に出てきません。ここに、いまの日本が変わることができない最大の原因があると思っています(田原)>

不良債権問題にしましても、いっこうに前進しません。最近になって、日銀が市中銀行から特定株式(トヨタやホンダと言われています)を買い入れることが公表されました。これは、株式持合いが一向に解消されていないことによる不良債権の増大を市中銀行から見かけ上減らす手段です。これは明らかに銀行の救済策です。日本の株式市場は低迷を続けていますが、日経平均等を上げるPKO(=Price Keeping Operation、株価維持策)ではありません。一部の株式だけが上昇しても景気が良くなるわけではないからです。

「不良債権」は英語でどのように表現するのか海外の新聞・雑誌で調べてみますと、bad loan(s) ―つまり「不良貸付」という言葉が使われています。
bad loan(s)については、こちらをご覧ください。
つまり、日本では貸した金は返してもらう“権利”があり、返済しない方が悪いということになります。一方、欧米特にアメリカでは貸金が回収できないのは、よく調査せずに貸した方が悪いという見方がされています。
私は、その点に日本語と英語での表現の違いを見出したのですがいかがでしょうか?

この本は、経営者(オリックス会長兼CEO宮内義彦氏)と評論家(田原総一朗氏)という異色な二人の対談を基に編集されたものですが、立場による見解の相違と、逆に個人的な見解の共通点を鮮明に浮き彫りにしています。
どちらの見解が正しく、どちらが間違っているということではなく、このようなものの見方ができるということを学んでいただきたいと思います。

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