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No.158 ★★☆ 2002/11/20 Wed  戦略投資・リスク分析 ムーディーズ・インベスターズ・
 サービス・インク NTT出版 2002/09/10

戦略投資・リスク分析 ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク NTT出版 ムーディーズの財務アドベンチャー

S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)と並ぶ格付け機関ムーディーズによる「ビジネス上のシミュレーションゲーム」本です。

見開き2ページ(SECTION)でストーリーが展開し、ストーリーの終わりで読者に選択を迫ります。
まさに、シミュレーションゲームです。



SECTIONの終わりで、いくつかの選択肢が提示されます。その中から自分の考えに最も近いものを選択して進むように構成されていますが、そうした読み方をしなくても最初から順に読み進んでいっても一向にかまいません。

この本には2つのテーマがあると思います。1つはリスクをどのように分析するかということで、もう1つはキャッシュフローの重要性を認識することです。

この2つは極めて重要なことです。

以前、企業価値評価 バリュエーション マッキンゼー・アンド・カンパニー ダイヤモンド社 2002/03/14で「企業価値をどのように評価するか」というテーマの本の書評を掲載しました。この「企業価値評価」の中でもキャッシュフローについて詳細な説明がされていました。

企業の真の価値を見る場合にキャッシュフローが重要である理由は、「お金の流れ=キャッシュフロー」を見るとその企業が本当に儲かっているのかどうかが解るからです。

損益計算書(P/L、Profit and Loss Statement)で利益が出ていても必ずしも儲かっているとは言えません。P/Lの最初に置かれる「売上高」の中にはまだキャッシュ(現金)が回収されていない部分が含まれているからです。場合によっては、取引先が破綻したり、売掛金の支払が滞り、売上代金が回収不能に陥ることもあります。
本来、利益は売上代金が全額回収できてはじめて確定するはずです。しかし、P/Lからでは確認できません。ですから、欧米とりわけアメリカではキャッシュフロー計算書の提出が義務付けられているのです。

本書の内容に戻りましょう。
“第3章 リスク分析の罠”の“SECTION15”に次のようなことが書かれています。

リスクを分析する際には<シミュレーションに主観的・希望的な見解を入れてはならない>。
その理由は同じ章の“SECTION7”に書かれています。

<シミュレーションは所詮、現在わかっていることに基づいて作成され>るからです。

リスクについては、、ピーター・バーンスタイン著「リスク」日本経済新聞社が参考になると思います。

コーポレート・ガバナンス(企業統治)の観点からキャッシュフロー経営を考えてみますと、株主価値を高めるためにはキャッシュフローを最大化することが求められます。
簡単に言えば、本当に儲かっている会社に投資すれば株価は上がるでしょうし(多くの投資家が買い付けるため)、配当金も多く得ることができる可能性が高まり、株式の所有者すなわち会社のオーナーとしての株主価値を高めることになります。

フリーキャッシュフローの定義を見てみましょう。
<税引き後の利益を、減価償却費などのキャッシュを使わない費用科目や、運転資金等のキャッシュを使う資産や負債項目で調節して営業キャッシュフローとし、そして最後に現状維持のために設備投資などに利用されるキャッシュを差し引いたもの>

間違いを恐れずにいえば、「フリーキャッシュフローというのは、経営者が自由に扱うことができる金」ということができるでしょう。

本書の章末ごとに掲載されている書籍や関連サイト、あるいは巻末の「用語解説」は役に立ちます。

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