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| No.160 | ★★★ | 2002/12/01 Sun |
キャピタル・フライト 円が日本を見棄てる 木村剛 実業之日本社 2001/11/16 |
金融緊急プロジェクトチームの有力メンバーの一人による刺激的な書連日のように金融機関の不良債権問題が報道されています。 日本の不良債権問題に対して、海外のマスコミもかなり厳しい扱い方をしています。 小泉政権の中核である構造改革の一つである「金融改革」を推進する上で不可避な、不良債権問題の解決のために「金融緊急プロジェクトチーム」が立ち上げられました。その有力メンバーであり、実質的に竹中平蔵経済財政・金融担当大臣とタッグを組み、不良債権問題の解消のために尽力しているのが本書の著者です。 以前に木村剛やペンネーム織坂濠による著書の書評をご覧いただいた方もいらっしゃるかもしれません。著者の考え方は、これらの著書で書いていることと基本的に変わりません。それは、危機を直視せよということであり、投資においては自分と家族を守るという視点で行なうできであるということであり、また国際的な常識から見れば日本が逸脱しているというメッセージです。 本書で繰り返し使われている言葉は「不作為」です。 <おりしも9月28日(2001年:藤巻)、薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われていた松村元厚生省課長に対する有罪判決が出た。この裁判の妥当性についてはさまざまな評価はあるのだろうが、「不作為は罰せられない」という官僚機構の慣行に対する有罪判決として、その意義は重い> <金融行政でいえば、最大の罪は、不良債権問題に対する「不作為」であろう。誰もがそこに問題があると知りながら、あえて解決しようとせずに放置し続けてきた> 著者が「危機」と警鐘していることが2つあります。日本国債の発行残高の膨大さ(666兆円、「隠れ借金」を加えると1000兆円を超えると著者は述べています)であり、<満期になった国際を償還する財源を確保するために発行される国債>である借換国債の存在によって一向に国債残高が減らないどころか増加の一途を辿っていることが1つです。 もう1つは、不良債権問題の先送りです。不良債権問題の本質は貸倒引当金の不足によるものであり、会計上の問題であり、さらに「大手30社問題」であると鋭く指摘しています。そして、その問題の解決策を提示しています。 <不良債権処理は、正当な引き当てが為されれば終わる―少なくとも銀行サイドの問題は終了する。日本以外の国は、銀行に過剰なほどの引き当てを強制することによって、不良債権問題を解決してきた。それにもかかわらず、日本は引き当てを強化できていない> <要するに、時価以上の簿価で不良債権を保有していることが問題なのである。保有自身ではなく、保有の価格が問題なのだ。つまり、十分な引き当てがなされていないことが問題の核心である> <会計処理が終わらないから、不良債権問題は終わらない> <世界の3分の2の国は、こうして不良債権問題を解決してきたのだ。 迅速=あっという間にやる。 包括=いっせい(一斉)にやる。 強制=うむ(有無)を言わせずやる。 公平=えこひききしない。 完了=お(終)わらせる。 の「あいうえお」に尽きるのだ> <次の3つのルールが無視されるようになってきたのだ。(中略) @会計のルール=不良債権に対しては十分な引当金を積む。 A返済のルール=借りたカネは返さなければならない。 B退場のルール=引き当てを積めない銀行や、カネを返せない企業は退場する。 3つとも当たり前のルールだ。ところが、これが3つともできていない> なぜ、十分な引き当てを行なわねばならないかについては次のように述べています。 <債権者の利益を守るために、十分に引き当てをしなければならない義務があるのだ。それをやっていないところに問題の本質がある> <不良債権処理は会計処理であり、本来は、あくまで銀行の問題である> <@不良債権問題の核心は「大手30社問題」である=中小企業を倒産させても、問題は解決しない。 A「大手30社問題」は、限られた産業と企業に集中した問題である=早晩、退場せざるを得ない大企業の問題で ある。 B不良債権問題は銀行の引当不足の問題である=一義的には企業を倒産させるか否かという問題ではない。(以下 略)> 「不良債権問題の本質」はどこになるのかを理解するための必読書です。 関連する書評 時価革命 織坂濠 徳間書店 リスクヘッジ経営 木村剛 徳間書店 |
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