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| No.162 | ★★★ | 2002/12/30 Mon |
シスコの真実 ジェフリー・S・ヤング 日経BP社 2001/07/23 |
シリコンバレー「超」優良企業の光と影シスコシステムズ(以下シスコ)に関する書評を掲載するのは、成長を創造する経営 シスコシステムズ 本荘修二+校條浩 ダイヤモンド社についで、これが2度目です。 シスコについては、私が考える優良企業のコーナーの「世界の『優良企業』」の中にも掲載しています。 シスコといいますと、インターネットのルーターとスイッチのマーケットシェアが世界一であることはよく知られています。特にルーターにおいてはそのシェアは8割とも9割とも言われています。 そうした超優良企業の全貌を厳しい眼で捉えたのが本書です。 著者がはじめに断っているように、シスコ非公認の本です。ですから影の部分をあぶりだしています。 例えば次のような個所です。 <ルーターの販売価格の平均が上がり続けるその一方で、業界では他のすべての製品は逆の動きをしている。これが本当に「ニューエコノミー」ビジネスの兆しと言えるのだろうか> <シスコは異常なほど隠し立てをしたがる企業だ。「新世界」の価値観を話題にするだけで、他のことはともかくこのことについては何も具体的なことは明らかにしていない。報道機関との接触はひとつ残らず徹底してコントロール、統制し、あらかじめ筋書きが作られる。シスコではわずか一握りの人間だけに記者とのインタビューが許されている> <ジャック・ウェルチが世界的レベルの後継候補を三人も抱えているGEと違って、ジョン・チェンバース(CEO:注 藤巻)はシスコに留まっている役員の中からたった一人の後継者を育てることにも失敗している。皮肉なことに、ワング(元PCメーカーで現在では存在しない:注 藤巻)を凋落させた原因こそまさにこの後継者育成計画の欠如そのものだった> <シスコのソフトウェアを基本にしたルーターはすでに技術の趨勢からはずれており、今はもう、ルーティングされる膨大なデータパケットを回線に乗せる仕事はソフトウェアではなくハードウェアがする時代になっている> <ワイヤレスのように爆発的に技術が進歩している領域では、エンジニアリングのイノベーション、明確な経済的優位性そして顧客に対する徹底した理解こそが、最後まで勝ち残るための武器なのだ。シスコはこれらすべての基準に照らせばワイヤレスのマーケットで失敗を繰り返している> しかし、それでもなおシスコが超優良企業であり続けることができるのには、当然のことながら理由があります。 それは、辛口の著者でさえ認め、指摘していることです。 <シスコ、それはインターネットの代名詞であり、そのビジネスとインターネットは密接不可分に結びついていた。そしてシスコにはひとつの単純な真実があった。つまりIPネットワーキングが勝つ、ということだ> <今日、情報、ルーティングはすべてパケットで処理されている。そしてシスコはこのパケットの王者なのだ> <トラフィックがどのようにして運ばれようと、それが運ばれるフォーマットはイーサネット、つまりインターネットのデータトラフィック用にもともと考えられたIPから派生した何かになる。なぜならこのフォーマットに従うことによってルーティングとスイッチングがデータに応用できるからだ。これがシスコの成功の秘密だ> そして次の事実によって、シスコはインターネットの世界で揺るぎない地位を築いているのです。 <ひとつだけ確かなことがある。現時点では、当面、シスコのビジネスであるIPネットワーキング製品の加速度的成長が終わることはない。さらに、十分に実力のある競争相手がシスコのカルトを奪い取り、圧倒的にコストパフォーマンスにすぐれた対抗製品を導入するまでは、シスコはIPの丘の王者でいるはずだ> “著者紹介”によれば、著者は「米『マックワールド』誌の創刊編集者で、『フォーブス』誌の寄稿編集者を長年務める。主にシリコンバレーのハイテク企業を精力的に取材し、雑誌『ワイヤード』『エスカイヤ』などのも記事を数多く寄稿している」人と紹介されています。 著者のプロファイルからもわかるように、本書には専門用語が数多く出現しますが、専門用語の意味がわからなくても理解できるような配慮がなされています。 最近、ソフトバンクが「IP電話」を普及させようとしています。本書の中にも「IP電話」についての記述がありますのでご紹介しましょう。 <音声はまもなくIPに間違いなく移行するだろう。これは当然のことであるが、シスコの並はずれた努力のたまものでもある。同社の社内では自社開発のIP電話システムを利用している> ソフトバンクがシスコに投資していることを考慮しますと、ソフトバンクが「IP電話」を普及させようとしていることと無縁なことではないと思います。 今後のインターネットと周辺機器の動向を見極めるためにも参考になる本です。 |
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