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| No.170 | ★★★ | 2003/02/22 Sat |
ボンド・キング ビル・グロスと第2創業の「楽天」 <日経ビジネス(2003.2.10)> 日経BP社 |
久々に日経ビジネスの記事から2つのトピックスを選びました。最初の記事は、ボンド・キング(債券の王様)と呼ばれるビル・グロスについてです。 「減速の世紀 デフレを生きる逆転の経営」という特集記事の中でビル・グロスが取り上げられています。 ビル・グロスについて簡単にご紹介します。 <債券の世界ではカリスマ的存在として知られる。債券運用会社、米ピムコで投資責任者を務め、旗艦ファンドはアクティブ運用の投資信託において世界最大の資産を誇る。(中略)旗艦ファンドの資産残高は678億ドル(昨年末、約8兆1360億円)。日本の国家予算の1割に匹敵するマネーを意のままに操る。年間50億円と言われる契約金もなるほどとうなずける>と日経ビジネスの記者は描写しています。 ビル・グロスの名前は、フィナンシャル・タイムズ(英国Financial Times) にBill vs. Bill Bill Gross: The Bond King(August 12,2002)というタイトルの記事が掲載されましたので憶えていました。 ちなみに、もう一人のビルはBill Millerで「株の皇帝(The Sultan of Stock)」と呼ばれる人物です。 ビル・グロス(以下、ビル)がすごい人物であることを示すエピソードが紹介されています。 <彼(ビル)の言動は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の資金調達方法まで変える。昨年3月、資金の調達先がコマーシャルペーパー(CP)に偏っていると指摘したうえで、もうGEのCPは買わないと発言すると、同社はすぐさまCPの発行を減らした。この時期、時価総額で世界トップだったGEすら、存在感を急速に増した債券市場の実力者の声は無視できなかった。GEばかりでなく、米西海岸から発せられる痩身の男の一言一句に、世界の市場は聞き耳を立てる> このエピソードだけからでもビルの影響力の大きさが推し量られるのではないでしょうか。 そのビルが日銀の金融政策に対して苦言を呈しています。 <もたもたしているうちに、デフレに入った時より、さらに財政は悪化し、身動きが取れなくなってしまう。政策転換によって「急激なインフレになったらどうしよう」などと恐れるより、現在のまま放置することに対してこそ大いに危機感を抱くべきだ。デフレ克服には、マネーサプライ(通貨供給量)をさらに増やすことも必要だろう> ビルの運用する旗艦ファンドでの資産、投資対象での日本の比率はわずかということですが、それでも日本に対してこれだけ関心を寄せているは次の理由によります。 <日本のデフレには底知れぬ不安感を抱く。それは、日本の病が米国に伝播し、さらには世界を覆い尽くすことを恐れるからだ> 一方、ユーロが強くなってきた欧州と、国際的にはイラク問題を抱え、国内には貿易と財政の双子の赤字に苦しむ米国に対しては次のように発言しています。 <欧州を見ればドイツもデフレに陥りつつある。米国でも既に一部で見られる兆候だ。米国については、昨年の10月まで私も随分心配をしていた。11月に入ると、米連邦準備理事会(FRB)議長のグリーンスパンや理事のバーナンキが非常にはっきりした形で、いつでもどこでもデフレに対抗していく姿勢を示した。私はこれを評価しているが、だからといって、デフレを抑え込める保証はどこにもない> 今後もビル・グロスの発言に注目していきたいと思います。 二つ目の記事は、書評を掲載したことがある「楽天」です。その書評はこちらをご参照ください。 「楽天」がネットビジネスで数少ない「勝ち組」であることはだれもが認めることです。 その「楽天」のケーススタディーを取り上げたのが、これからご紹介する記事です。 この記事を読むにあたって、2つの点に注目していました。1つは、急成長企業が今後も成長を持続できるのかということと、もう1つは急成長企業に共通する問題である、人材不足に対して人材を確保するために、人材を育成し、人材を採用するシステムをどのように構築するのかということです。 まず、「楽天」の業績について。目下、絶好調であると日経ビジネスの記者(佐藤新氏)は伝えています。 <楽天市場(「楽天」の仮想商店街:注 藤巻)は絶好調だ。商業統計によると2002年の国内小売業販売額は1〜11月のすべての月で前年同月割れ。それに対し、楽天市場での取引総額は、2001年の523億円から2002年には4割増の750億円を達成する見通し。これは東京・銀座にある百貨店に匹敵する規模だ> もう少し、詳しく、楽天本体の売り上げの柱となっているものから見ていくことにします。 <楽天本体の売り上げは、出店者から得る出店料と、仮想商店街の入り口に当たるホームページに出店者が出す広告料金が柱となる> では、楽天本体の業績はどうなっているのでしょう。 <出店者数、広告出稿数がともに伸びたこともあり、楽天は2002年12期の18億円から、2ケタ増は確実と見られる。もちろん、楽天が好調な背景には、インターネットを利用した通販市場全体の伸びがある> その一方で、出店料の料金体系の変更を行っているそうです。その結果は、凶と出たのでしょうか吉と出たのでしょうか。 <2002年2月21日、新料金体系が発表された。月商100万円までは従来通り基本料金(月額5万円:注 藤巻)のみで利用できるが、それを上回るとシステム利用料金として追加料金が発生する。この料金体系変更は売り上げが多い出店者にとっては事実上の値上げにつながるものだった> となれば、出店者数が減少する可能性が高かったと普通ならば考えられますが、<新体系が出店者数減につながるという懸念は杞憂に終わった>ということでした。 この記事の中には書かれていませんが、こうした事実は「楽天」というブランドが出店者にもその出店者の顧客にも十分に認知され、広く利用されていることを物語っています。 人材育成について書かれている個所を見てみることにしましょう。やはり、この点は急務となっていることがわかります。 <楽天では社内体制の整備を急ピッチで進めているが、創業からわずか5年余りで事業規模が急拡大したため、手つかずの部分も多い。特に「マネジャークラスの人材は足りない状況」(三木谷会長兼社長)だ。もちろん、幹部クラスの人材育成プロジェクトは既にスタートしている> では、「楽天」に死角はないのでしょうか。 <人材育成と並んで、楽天にとって急務になっているのは、買収や資本参加によって急速に増えたグループ企業の経営立て直しだ。2002年末時点で連結対象となるグループ企業は18社を数え、中にはポータル(玄関)サイト運営会社ライコスのように16億円という巨額の赤字を出している企業もある> それでも、<一部には成功の芽が出始めていてい>て、<創業メンバー、中途採用、新卒、買収企業の従業員>の<少なくとも、現時点での楽天は動機づけに成功している>と担当記者、佐藤新氏は書いています。 辛口の結論を出すことが多い日経ビジネスにしてはめずらしく(私個人でそのように感じています)、かなりの期待感をもって次のように結論づけています。 <自分の居場所を確保するためにがむしゃらに働いてきた創業期から、持続的成長を目指す次の段階へとうまくギアチェンジした楽天。「第2の創業」を着々と推し進めていく同社の姿は、新しいものを生み出して、世の中に定着させていく1つのモデルケースとなりそうだ> 今後、日経ビジネスの記事を1ヵ月に1回のペースで取り上げ、書評を書いていきたいと思っています。日経ビジネスを一人でも多くの方に読んでいただきたいと願っているからです。 下に貼ってあるバナー広告や大型書店に常備されている「日経BP社の雑誌」購読申込みはがきを利用して定期購読されるか、駅売店で毎週購入されることを希望します。 2月26日、「ベンチャー株市場」についてまとめましたのでご参照ください。 |
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