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No.174 ★★★ 2003/03/27 Thu  ネクスト・ソサエティ  P.F.ドラッカー
 ダイヤモンド社 2002/05/23

ネクスト・ソサエティ  P.F.ドラッカー ダイヤモンド社 歴史が見たことがない未来がはじまる

ドラッカーの言うネクスト・ソサエティとはどのような社会を指すのでしょうか。まず、ネクスト・ソサエティの定義から見ていくことにしましょう。
ネクスト・ソサエティは知識社会である。知識が中核の資源になり、知識労働が中核の働き手となる>





ドラッカーは、ネクスト・ソサエティには三つの特質があると言います。
<知識社会としてのネクスト・ソサエティには、三つの特質がある。第一に、知識は資金よりも容易に移動するがゆえに、いかなる境界もない社会となる。第二に、万人に教育の機会が与えられるがゆえに、上方への移動が自由な社会となる。第三に、万人が生産手段としての知識を手に入れ、しかも万人が勝てるわけではないがゆえに、成功と失敗の並存する社会となる。これらの三つの特質のゆえに、ネクスト・ソサエティは、組織にとっても一人の人間にとっても、高度に競争的な社会となる>

ドラッカーにとって「知識」とはどのようなものなのでしょうか。
 知識について述べている個所を抜粋します。
知識は急速に陳腐化する。そのため定期的に教室に戻ることが不可欠になる。知識労働者のための継続教育がネクスト・ソサエティにおける成長産業となる>

知識とは専門化である>

知識に上下はない。状況への関連の有無しかない>

知識は、相続も贈与もできないところが他の生産手段と異なる。あらゆる者が自力で獲得しなければならない。誰もが無知の状態からスタートする>

知識は、教えることができなければならない。すなわち、公共のものである。誰でもアクセスできる。あるいはただちにアクセスできるようになる。この事実が知識社会に高度の流動性をもたらす>

知識は常時使わなければ劣化する>

<これからは誰でもが、高度な知識、しかも専門化した知識をもたなければならない。その結果、高等教育の重心が、若者の教育から成人の継続教育へと移行していく>

知識は専門化して、初めて有効となる>

ドラッカーは知識労働者についても多くのページを割いて述べています。
知識労働者にとっても重要なことは、第一に組織が何をしようとしており、どこへ行こうとしているのかを知ることである。第二に、責任を与えられ、かつ自己実現することである。もっとも適したところに配置されることである。第三に、継続学習の機会をもつことである。そして、何より敬意を払われることである。彼ら自身よりも、むしろ専門分野が敬意を払われることである>

上記の言葉に異論はないでしょう。特に「自己実現...」や「敬意を払われること...」のくだりにはあなたも納得できるのではないでしょうか。

<労働人口の四割を占めるにいたった知識労働者は、上司はいたとしてもその部下ではない。同僚である。自らの専門とする分野では、何を行なうべきかを言う立場にある>

知識労働者は同質ではない。知識は、専門化して成果をあげる。(中略)知識労働者は、その専門性のゆえに、大組織においてさえ少数が散在するにすぎない>

<今日知識を基盤とする企業も、彼らにとっての資本の生産性すなわち知識労働者の生産性に焦点を合わせなければならない>

<知識組織のリーダーたる者は、将来性のある知識労働者のために時間を使わなければならない。彼らを知り、彼らに知られなければならない。彼らを導き、彼らに耳を傾けなければならない。挑戦し、激励しなければならない。法的には正社員ではないかもしれない。しかし、組織にとっては主たる資本であり、業績を左右する存在である>

知識労働者とは新種の資本家である。なぜならば、知識こそが知識社会と知識経済における主たる生産手段、すなわち資本だからである。今日では、主たる生産手段の所有者は知識労働者である>

今ドラッカーが述べたことは簡単にはできないことです。そこまで考えて、実行する人は少数です。

ところで、日本企業の中にもCEO(最高経営責任者)という肩書が散見されるようになってきました。ドラッカーは、このCEOにとってもっとも必要なものは情報責任であると述べています。
<今日のCEOにもっとも必要とされるものが情報責任である。「どのような情報が必要か。どのような形で必要か」を考えることである。(中略)重要なのは、「いつ必要か。誰から得るか。そして自分はどのような情報をださなくければならないか」という、より根本的な問題のほうである>

次の言葉は私たちの盲点を突いたものになっています。
<現在の情報システムが与えてくれるものは社内の情報である。成果が生まれるのは社外においてである。(中略)プロフィットは外からしかやってこない。顧客が注文をくれ、支払いの小切手が不渡りにならなかったとき、ようやくプロフィットセンターをもてたといえる。それまでは、コストセンターを手にしているにすぎない>

さらにこのようにも述べています。
<大切なことは、外部の世界について十分な情報を手にして意思決定を行なうことである。これは市場についていえる。消費者の変化や流通システムについていえる。技術の変化や競争相手についていえる。まさに、それらの変化が倒産を招きかねないからである>

さて、次の言葉は管理職の方々には耳が痛いことかもしれません。
<コンピューター・リテラシーをもたないならば、社員からの敬意を期待してはならない。彼らにとっては日常のことである。上司がコンピューター・リテラシーをもつことを当然とする>

<時代の変化とともに、われわれ自身が変化しなければならない。読み書きと掛け算に毛の生えた程度の最低限のコンピューター・リテラシーから、情報を使ってものごとをなしとげるという情報リテラシーの域に達しなければならない。それは面白く価値のある挑戦である>

ドラッカーは自分自身を「観察者」と表現しています。このことを具体的に述べている個所がありますので、ご紹介しましょう。
<変化を観察することである。しかもあらゆる世界を見ていくことである。そして、それらの変化が本物の変化か、一時の変化か、自分たちにとってチャンスかどうかを考えていくことである。見分け方は簡単である。本物の変化とは人が行なうことであり、一時の変化は人が言うことである。話にばかり出てくるものは一時のものである>

ところで、勤務先は「洋書輸入卸」を業としていますので、企業業績は外国為替(特に対ドル)の変動に大きな影響を受けます。外国為替の変動によって差益・差損が出ます。

為替予約(外為先物予約)を適宜実行することによって円の支払額を減らすことが可能になります。これは円を外貨建てで支払う時の話ですが、これとは別に行なっていることがあります。

 それは、アメリカやイギリス現地に当座預金口座を開設し、USドル建ての支払いにはUSドルの、英ポンド建ての支払いには英ポンドの小切手で送金するという方法です。まだ、ユーロの当座預金口座は開設していません。
今後、支払いに不可欠な口座となることでしょう。

私は、外為管理は重要な仕事の一つと常々考えていました。

この点に関して、ドラッカーは次のように述べています。
<10年後には、大企業だけではなく中堅企業でも、現在一人の人間が行なっていることが二人の人間によって行なわれるようになる。一人は、人のマネジメントから解放されたCFO(最高会計責任者/最高財務責任者:藤巻)である。彼は金を扱う。外国為替の管理が重要な仕事の一つとなる。(太字は藤巻)為替管理はすでに多くの企業において大変な仕事になっている。間もなく、さらに大変な仕事になる。もう一人は、情報システムを扱うCIO(最高情報責任者)である。これらの二つのポストが必要となる。いずれも別の観点から世界を見、事業を見る>


ドラッカーは「ネクスト・ソサエティ」をどのようなものとして捉えているかがよく理解できる本です。ものごとを観察し、じっくりと考えるためのテキストと言えるでしょう。

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