次世代ディスクロージャーモデルの提案
今回取り上げる本は、企業のディスクロージャーはどこまでしなくてはならないかを明示した本で、一貫して経営者のアカウンタビリティ(説明責任)の重要性を述べています。
まず、米国で始められ日本でも一部の企業では行われている四半期報告がどのような経緯で実施されるようになったのか見てみましょう。
<米国での四半期報告は、もともと業績の途中経過について投資家の的確な投資判断に資するため提供されるものであり、会社が年次で発表する最終利益の補足的中間報告書として位置づけされるものである。しかし現在では、四半期の利益それ自体が最終結果となってしまったため、年次利益のもつ重要性は大幅に減少しつつある>
ディスクロージャーは投資家によい情報もわるい情報も提供し、その上で投資家に自己責任での投資を促すために不可欠なものです。
第7章 ディスクロージャーの効果の中で、情報開示向上による5大効果を紹介しています。
その5大効果とは、
1. 経営者に対する信頼性の向上
2. 長期的投資家の確保
3. 多数のアナリストの獲得
4. 新規資金調達の容易化
5. より高い株価
です。
順番に見ていくことにしましょう。
1. 経営者に対する信頼性の向上
<経営者に対する信頼性の向上は間違いなく最も重要な効果であり、他の効果を実現するための前提条件でもある。経営者が信頼を得ていれば、この戦略で株主価値を創出できるという主張をマーケットは信頼してくれる>
<良い時も悪い時も一貫して情報を開示することにより、経営者への信頼は向上するのである。予想外なもの、特にネガティブなものをマーケットは嫌うのである>
2. 長期的投資家の確保
<既存の投資家には買い足してもらい、新規の長期的投資家に買う気になってもらうには、長期的投資に見合う安心を保証するような情報を提供する必要がある。つぎの四半期や翌年度の利益を知るだけでは不十分である。投資家が忠誠を維持し忠誠心をもつためには、幅広い業績指標における実績および将来の計画について知る必要がある>
3. 多数のアナリストの獲得
<マーケットの注目を得る最善の方法の一つは、多くの情報を提供することである。この情報により、セルサイド・アナリストと投資家は投資機会を見きわめるための分析を行うことができる>
<情報開示が比較的少ない場合、企業はより多くの情報を提供することでアナリストの注意を引くことができるのである>
<企業はアナリストや投資家が分析を容易にできるようにしなければならない。企業が提供する情報およびマーケットから経営者へのアクセスが増大するほど、アナリストの数も増加するであろう。インターネットにより、さらに多くの情報をより低コストで容易に提供できるようになってきている。企業にとって、得るものは大きく失うものは小さいのである>
4. 新規資金調達の容易化
<より多くの情報を求める投資家は、短期的投資家よりもバリューインベスター(長期的投資家)である場合が多いが、彼らは必要な情報が得られた場合にだけ株式を購入する。そこには、高度な投資家つまりバイサイド・アナリストとのつながりが深い大規模な機関投資家や、大量の情報を活用することに慣れている米国の投資家も含まれている>
5. より高い株価
<最終的には、企業の業績が株価を決定する。これがまさしくバリューレポーティングの本質である。つまり企業の業績を可能な限り網羅的かつ正確に報告することで、資本市場は適正な株価を決定できるのである。マーケットが期待するほど業績が良くない場合には、こうした報告により株価が下落することももちろんある>
<経営者は悪いニュースを隠しているとマーケットが考えれば、信用は失われ株価は上昇ではなく急落するであろう。新しい経営者はたいていこの道をいく>
ディスクロージャーを行う手段として、今では一般的になっているインターネットの活用を勧めています。
<バリューレポーティングの見地からすれば、インターネットとはディスクロージャーが行われる場所であり、企業の情報公開に変革を引き起こすための重要なツールでもある。多くの企業では、インターネットについて学習を進め、情報収集とコミュニケーションのために活用しはじめている>
<企業の情報市場では、最も正確で最新の情報が価値をもつ。古い、不正確、虚偽などの情報は、非常に低いかマイナスの価値しかもたない。(中略)リアルタイムのバリューレポーティングとは、正しい情報をいち早く入手し、それが真実であることを瞬時に証明することである>
<法的な問題点を十分考慮しなければならないとしても、インターネットによる情報提供は少ないよりも多いほうが良いのは当然である。ただしそれには、ユーザーがその品質と信頼性を明確に把握できることが前提となる>
経営者がなすべきことは、アカウンタビリティを果たし、信頼性を構築することであると指摘しています。
<経営者にとっては、適切なアカウンタビリティを果たし、自分自身の信頼性を構築することが重要な課題となる>
次の言葉がこの本のすべてを物語っていると思います。
<企業の業績と株価が正当に評価されるのは、ディスクロージャーの向上を通じてなのである>
最後に、あるサイトを推薦していますので、ご紹介しましょう。
プライスウォーターハウスクーパースバリューレポーティングウェブサイト
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