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No.183 ★★★ 2003/06/28 Sat  日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日
 ベンジャミン・フルフォード 光文社 2002/12/10

日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日  ベンジャミン・フルフォード 光文社 米経済紙『Forbes』日本支局長が書いた日本では報道されない「日本の真実」

書名を見たとき、内容をすぐに理解することはできませんでした。

日本とアルゼンチン・タンゴとの結びつきに違和感を覚えたのです。

しかし、読み進むうちにその違和感は消えていきました。




著者は冒頭で「アルゼンチン・タンゴについて」述べています。
<アルゼンチン・タンゴの名曲に『カンバラッチェ』(Cambalache)というのがある。「泣かない奴はオッパイが吸えない、盗まない奴はアホだ」という歌詞は有名で、よくアルゼンチン人が口にする。その意味するところは、「人生は抜け目なくやった者が勝つ」で、つまり、あまり楽天的すぎるとバカをみるということである。ちなみにカンバラッチェとはスペイン語で質屋のことだ>

さらに、イントロダクションでは次のように書いています。
<2002年4月20日、ついにアルゼンチンが国家破産状態(デフォールトdefault、対外的な決済が不可能になる状態)に陥った>

<アルゼンチン経済の大崩壊meltdownは、日本の明日の姿である。欧米のエコノミストも、日本の金融関係者たちも、最近はみなこの見方に傾いている。残念ながら、この私もそう考えざるを得ない。というのも、私は、次々と内外の関係者を取材し、その誰もが日本経済の未来についてなんの有効な処方箋も持っていないことを知ったからだ>

日本経済は危機に瀕していることを数多くの取材を通じて、浮き彫りにしていきます。内容的にはかなり重いはずですが、なぜかそれほどに堪えないのは正確なデータに基づき、率直に意見を述べている潔さによるものかもしれませんし、外国人が書いた「日本経済論」や「日本論」であるからかもしれません。

その点については読む人によって感じ方がかなり異なると思います。実際に読んでみることをお勧めします。

この本が類書と大きく異なる点は、通常、ビジネス書では触れられない、触れてはいけない「タブー」に挑戦していることです。

具体的には、ヤクザの世界(裏社会)と政官財(表社会)との癒着についてです。私たち一般人にはヤクザ(むしろ暴力団いうべきですが)の世界は、ヤクザ映画や覚醒剤の売買あるいは内部抗争事件などでしか目にすることはありません。それだけに、表の社会と裏の社会はもしかしたらどこかでつながっているのかもしれないという感覚は持っていても、所詮他人事のように思いがちです。

しかし、この本はそうした感覚を見事なまでに打ち砕くものです。
第1章 ヤクザが不況をつくった The Yakuza Recession

第2章 日本の裏社会      Japan's Underground Society

この2つの章を読みますと、後頭部を思いっきり叩かれたような衝撃を受けます。

<なぜ、日本は不良債権の処理ができないのか?
それは、多くの不良債権にヤクザが絡んでいるからである。すなわち、日本の不況は「ヤクザ不況」the Yakuza Recessionなのだ。
日本の現存する不良債権は、とても銀行の力だけでは解決できるものではない。そんなことは、銀行の幹部ならみな承知しているし、財務省、金融庁、日銀の幹部たちから、政治家たちも先刻承知しているはずである。なぜなら、彼らはほとんどがヤクザと関わってきたし、いまも関わっているからである>

この文章は著者の主観で書かれたものではないことは、多くの取材から明らかなことです。例えば、次の例をご覧ください。取材を受けた人が実名で登場するからです。
<「不良債権をどう処理していくかをいくら考えても、ヤクザに対してどう対処するかという戦略をもたなければ、日本の公的機関はヤクザに大金を与えているのと同じです」と、日本有数の企業調査会社である帝国データバンクの中森貴和・情報課長は言う>

政治家・官僚・財界の癒着構造を「鉄の三角形」と表現することがあります。
しかし、著者はこの3者に「ヤクザ」を加え、「鉄の四角形」と指摘しています。
<日本のメディアは、「日本には政治家・官僚・財界という癒着構造がある」とよく言うが、それもウソである。日本にあるのは、たったひとつの権力であり、その癒着構造は「政・官・業の“鉄の三角形”iron triangle」ではなく、「政・官・業・ヤクザの“鉄の四角形”iron square」なのである>

この本では、他の本や新聞が触れたがらない暗部を取り上げていますが、日本の週刊誌1誌がこの問題を取り上げたそうです。しかし、実態は...
<2002年5月、『週刊文春』(2002.5.16)は、“元米国捜査官が書いた「日本はヤクザ不況だ!」レポートの戦慄部分”という記事を掲載している。(中略)なぜ、『週刊文春』だけが、日本のほとんどのメディアでタブーとされていることを書いたのだろう?それは、この記事の出所originを考えてみると、ハッキリする。というのは、この記事はほとんどがアメリカ国務省に提出されたレポートの抄訳にすぎないからだ。いちおうアメリカ人ジャーナリストが書いた形式をとっているものの、内容は国務省レポートと寸分たがわないものなのであった>

著者は日本のメディアに対しても斬りこんでいます。ある意味で、同業者であるがゆえに事実を正確に伝えていない日本のメディアのあり方に疑問を呈し、その気持ちをストレートに述べたとも言えます。
<メディアの役割を表す言葉に、question authority(クエスチョン・オーソリティ)というのがある。これは、メディアが常に権力のあり方を「疑問」を持って見ること。つまり、監視checkをし続けなければならないことを表している。残念ながら、日本のほとんどのメディアにこの機能はない>

著者は『日経ウィークリー』(日経の英字新聞)のスタッフ・ライターとして雇われていたことがあり、日本の実情についてかなり詳細な知識を持っています。表面だけを見て、偏見を持って「日本観」を述べた本ではないことを強調しておきます。もちろん、著者の指摘のすべてが納得できるというものではありませんが、外国人から見て日本や日本人は「ここがおかしい」という指摘には真摯に受け止めるべきでしょう。
逆に、日本人から見て外国人の「ここが変だ」ときちんと指摘することも必要です。

日本の真の姿を知りたければ、日本のマスコミ報道を見たり聞いたりしただけでは不十分です。海外のメディアが伝えるニュースにダイレクトに接することが不可欠です。
その意味で、私はトップページの上部に「世界のニュース」というコーナーを設け、Forbesをはじめ、New York Times、Washington Post、The Economist、Fortune、BBCなどにリンクしています。

また、「海外の記事」というコーナーも設け、毎日「これは」という記事を選んで、その記事にリンクを張り、見られるようにしています。
ぜひ、ご覧ください。日本に関する記事はあまりなく、見つけだすことは容易なことではありませんが、毎日注意深く探しています。

海外の記事をご参照ください。

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