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No.186 ★★☆ 2003/07/21 Mon  これから日本市場で何が』起こるのか
 田坂広志 東洋経済新報社 1999/12/23

これから日本市場で何が』起こるのか  田坂広志 東洋経済新報社 ネット革命

著者は、「インターネットがもたらすものは何なのだろうか」という視点から出発しています。そして、徐々にインターネット革命(ネット革命)の本質を解き明かしていきます。

<インターネットという「ハイ・テクノロジー」がもたらすものは、「ハイ・パフォーマンス」(効率化)ではなく、むしろ「ハイ・タッチ」(触れ合い)であるということです>




著者は、ネット革命の本質は3つの革命であると述べています。

<ネット革命の本質である3つの革命とは何でしょうか? それは、次の3つの革命です。
@情報バリアフリー革命
A草の根メディア革命
Bナレッジ共有革命>

この3つの革命はどのようなものなのか、著者の説明を読んで見ることにしましょう。

@情報バリアフリー革命
<誰でも、テマ、ヒマ、カネをかけずに情報が入手できるようになるということです>

A草の根メディア革命
<これは「情報バリアフリー革命」の反対の革命です。端的に言えば、誰でも、テマ、ヒマ、カネをかけずに情報を発信できるようになるということです>

Bナレッジ共有革命>
<これは、「情報バリアフリー革命」や「草の根メディア革命」によってやりとりされ、共有される「情報」の中身が、単なる「データ」のレベルの低付加価値の情報ではなく、「ナレッジ」のレベルの高付加価値の情報になっていくという革命です>

著者の説明はわかりやすいものですが、問題はこうした革命によってどのようなことが起こるかです。著者の考えを見ていくことにしましょう。

<「ガラス張りの市場が出現します。 すなわち、市場が、顧客から見てすべての商品の価格や内容が透けて見える「ガラス張り」になるのです。経済学者の好きな言葉で言えば「完全情報の市場」になるということでしょうか>

<「ガラス張りの市場」において、企業は、当初、徹底的な「価格競争」を繰り広げるのですが、その競争は、まもなく「リバウンド」を生じ、他社よりも高付加価値の商品を生み出す「価値競争」に向かっていきます。そして、その「価値競争」は、究極、他社に先駆けて新しい「ビジネス・モデル」を生み出すといった「智恵の競争」に向かっていくのです>

つまり、図示しますと、「ガラス張りの市場」 ⇒ 「価格競争」 → 「リバウンド」 → 「価値競争」 → 「智恵の競争」となるでしょうか。

次に起こることは何でしょうか?
続けて著者の主張に耳を傾けてみましょう。

<「戦略的な顧客が増えてきます。

「戦略的顧客」とはどのような顧客のことでしょうか。著者の説明を見てみましょう。

<「スマート・コンシューマ」(賢い顧客)が増えると言ってもよいでしょう。ネット革命によって、市場において商品の情報を簡単に手に入れることができるようになるため、多くの顧客が、戦略的なショッピングを行うようになるのです>

つまり、「商品の情報」がキーワードになっています。

さらに、<これからは、顧客は「顧客の声」をきくようになっていきます。その理由は、(中略)「草の根メディア革命」によって、顧客が顧客の声に耳を傾けることが容易にできるようになってきたからです>

こうした傾向は企業にとっても次のようなメリットをもたらします。
<企業は、こうした「顧客の声」に耳を傾けることによって、自社の商品についての評判を聞くことができるだけでなく、その改良についてのヒントを得ることができます。また、新製品についてのアイデアを得ることもできます>

しかし、同時に企業は次のような義務を負うことになります。いや、むしろそうしなければ顧客からソッポを向けられることになります。
企業は顧客に対して「商品」を売る前に「情報」を提供しなければならなくなります。なぜならば、顧客が企業から商品を購入するときには、その前に、企業からその商品に関する情報を十分に集め、それらを徹底的に検討して、ベストのショッピングを行おうとするからです>

ということになれば、企業は変わらざるを得ないことになります。成功するためには、次のように発想の転換をしなければなりません。
<これまでの「企業中心」の発想から、「顧客中心」の発想へと切り替えた企業こそが、顧客の支持を得て、成功を収めていくのです>

その一方で、企業は個客(一人ひとりの顧客)情報を収集し、個客に合った商品を提供するためにあらゆる手段を講じることになります。

大前研一は以前に次のようなことを書いていたことを思い出しました。
「ヤフーなどの検索エンジンは、ブロードキャスティングではなくナローキャスティングである。実は顧客を絞り込んで、その顧客にマッチした情報を提供しているのである」

次の言葉は著者が一番言いたかったことではないかと思います。

<ネット革命がもたらすものは、新たな価値を生み出す知識や智恵こそが最大の経営資源になっていく時代にほかならないのです>

ネット社会の本質を理解するための一つの考え方を提示した本と言えるでしょう。

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