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No.190 ★★★ 2003/09/13 Sat  知恵は金なり  堀 紘一+ドリームインキュベータ
 PHP研究所 2003/04/02

知恵は金なり  堀 紘一+ドリームインキュベータ PHP研究所 これから5年を勝ち抜くための経営学教科書

表紙には小さな文字で次の英文が書かれています。
Wisdom is money! This is a brand new saying that is so instructive to every business person fighting desperately in the severe 21st century's economic war. We promise that this unique business management textbook will surely lead you to victory.

この文章から原題は『知恵はきんなり』ではなく、『知恵はかねなり』であることがわかります。



前ボストンコンサルティング・グループ社長の堀 紘一氏と彼のもとで働いていたコンサルタントが「ドリームインキュベータ」というコンサルタント会社を設立しました。この本は彼らの共著です。

本著は副題にもありますように「経営学」の教科書です。しかし、無味乾燥な教科書ではありません。経営コンサルタントの知識と経験を総動員して書かれた生きた教科書です。

ケーススタディ(事例)が豊富に書かれていますので、非常に参考になりますし、仕事をする上で役に立つことが多いと思われます。少なくとも、私には頷けることがたくさんありました。

序章で、堀 紘一氏は次のように述べています。
<「失われた十年」といわれるなかで、つねに好業績を上げ続けている優良企業は、キャノン、トヨタ、ホンダなどの大企業だけではなく、専門に特化した中堅企業でも、キーエンス、ローム、マブチモーターをはじめ、探せばいくらでもある。
 業績不振にあえぐ多くの企業と彼ら優良企業との違いを分析してみると、出てくる答えはただ一つ。経営において、知恵を絞っているか、いないか、である。
 日本経済、いや広く日本の再生は、ひとえにここにかかっているといっていい>

知恵については以下のように述べています。
<「知恵」というのは、基本的には情報を「集める」「捨てる」「つなげる」ことによって生まれる。
 情報を集めることはできても、そのなかからあれこれ取捨選択して、足したり引いたり掛けたり割ったりしてうまく加工する能力がないと、知恵にはならない。その点、ソクラテス以来の伝統で、論理的思考が身についている欧米諸国は、総じてこの能力が高いのである>

次からは、ドリームインキュベータのコンサルタントに登場していただきましょう。
最初は古谷 昇こたに のぼる氏(ドリームインキュベータ代表取締役)です。古谷氏は戦略について次のように書いています。
<戦略とは資源配分なのだ。(中略)もともと足りない人やお金といった経営資源を、制約のなかでどう使えばいちばん効率がよいか、あるいは生き延びられるかと考えるのが戦略なのだ。
 戦略というものの原点を考えてみれば、カネもモノも決定的に不足しているベンチャーにこそ戦略が必要なのは、自明の理であることがわかる>

専門のコンサルティングの質について明快に述べています。
<コンサルティングの質は「知識ではなく知恵」で決まるのである>

つまり、経験も必要であるということです。その点について詳しく述べています。
<それぞれ固有の条件を持っている企業に対してキチキチと最良の答えを出していくには、誰にでもできるようなパターンにはめたやり方では無理で、どうしても答えにもプロセスにも知恵が必要なのだ。本で勉強しただけのコンサルタントや、MBAを取得したばかりの人がすぐには役に立たないのは、彼らには知識はあってもまだ経験などからくる知恵が発揮できないからである>

「ビジネスモデル」という言葉をよく目にしたり耳にします。「ビジネスモデル」は一般的には儲ける(あるいは儲かる)仕組みといわれますが、企業によって皆違います。唯一これしかないというビジネスモデルはありません。

山川隆義氏(ドリームインキュベータ取締役)はビジネスモデルについて抽象的ではなく、具体的に述べています。
<ビジネスモデルは企業の命運を左右する命綱にほかならない。これを式で表すと次のようになる。

 ビジネスモデル=差別化×回収エンジン(“儲け”の源泉)> 

萩島功一氏(ドリームインキュベータ取締役・CTO)はCTO(最高技術責任者)の立場からマーケティングについて述べている個所があります。
<コア技術だけではなく周辺技術も付加して、お客様がこれなら明日からでも使えるな、というかたちにまでもっていかなければ、売れる商品にはならない>

次に金光隆志氏(ドリームインキュベータ執行役員)の言葉では次の個所が印象に残りました。
<九割だめでも一割のいいところを見つけ、どうしたらもっとうまくできるのか考えてみようという姿勢で、ともに歩んでいかなくてはならない>

<結果を出せない部下が悪いのではない。チャレンジする勇気をもたせてやれない、結果を出させてやれない幹部がダメなのだ。断じて逆ではない。「こんなバカ社員ばかりで何ができるか」と思う人は、その時点で幹部を降りるべきだろう。あなたはマネジメントができないといっているのだから>

井上 猛いのうえ たけし氏(ドリームインキュベータ代表取締役)は、自社と他社とを比較する際のポイントをまとめています。
<自社と他社との比較をするときは、むしろ自らの評価を割り引いて、さらに他社はもっと進んでいるはずだと割り増し評価をしたうえで判断することだ。これは、「そういうものだ」と心得ておいたほうが失敗が少なくてよい>

堀 紘一氏は終章で「学習する組織」について述べていますので、ご紹介します。
<組織にも学習が必要なのは、考えてみれば当たり前のことだ。
 経営環境というのは時々刻々と変わる。ということは、会社のほうも時々刻々と変わらないことには、経営環境の変化に置いていかれてしまう。そして、その差が大きくなればなるほど、売上げは低迷し、利益が圧迫されることになる。結局、いまの時代のように環境変化のスピードが速いときには、組織もどんどん変わっていかざるをえないのだ>

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