| 誰でもやり直せる復活の経営学 | 社長失格の幸福論 | 権力必腐 | コトラーのマーケティング・コンセプト | ベンチャー投資の実務 |
| もっとあなたの会社が90日で儲かる! | 覇者の条件 | 「茹で蛙」国家日本の末路 | トラ・トラ・ライオン! | 「儲け」を生み出す「悦び」の方程式 |
| 最新の書評はこちらをご覧ください |
| No.198 | ★★★ | 2003/12/07 Sun |
「茹で蛙」国家日本の末路 大前研一/田原総一朗 ビジネス社 2003/06/01 |
日本が元気になる最後の一手<茹で蛙―――蛙を熱湯にほうり込めば、あわてて飛び出すが、水から徐々に温められると、気持ちよく茹で上げられて、反応しなくなり、やがて死んでしまう。> わがグル大前研一氏は、十数年前から日本の異常さを指摘し、著書や講演を通じて提言してきました。彼の指摘は正しくまた優れた提言と認めながら、日本人の国民性のためでしょうか、私たちは日本を変革することに躊躇し続け、気がつけば「失われた10年」を取り戻すことができずにいます。 大前氏は次のように述べています。 <私は十数年来、『世界の見方、考え方』(1991年、講談社)、それから『世界が見える・日本が見える』(1986年、同前)という著作を通じて、日本を姿見に映して世界から見たら異常な国ですよ、と言ってきた。なぜかというと、国が豊かになっても、国民の生活は必ずしも豊かになっていない。世界の物価水準を考えたとき、これだけ給料が高くなっても、買えるものは多くなっていない>大前氏が早くから指摘していた「ボーダーレス・ワールド」の時代となり、インターネットを介在して情報やマネー(電子マネー)などが国境やすやすと越え、サイバー空間を縦横無尽に行き交うようになりました。この流れはだれにも止められません。 <ボーダーレス・ワールドにあっては、経営上、最も重要なもの、情報とかキャピタル(資本)とか技術とか、さらには消費者までもが、電話線やインターネットで国境をまたいでしまう。そうすると、国家というものはなんなのか。確固たる国境は点線と化し、実線で区切られていた国家は経済上はなくなってしまったのです> <これからは国家単位での繁栄はありえない。地域国家の繁栄になるのだ、ということを言ったのが『地域国家論』なのです>『地域国家論』に関連して中国の動向を述べた『チャイナ・インパクト』や『中華連邦』の本質を次のように述べています。 <私は『チャイナ・インパクト』や『中華連邦』という本も書いていますが、そこでは中国のことについて語っているが、私自身が言ってることは、基本的にこの20年間、一貫して変わっていない。要するに繁栄の単位が変わり、200年続いた国民国家システムが終焉したということです>日本が不況から脱出できない理由は何だろうか?と考えたとき、いろいろな指摘はできますし、多くの経済学者やエコノミストはそれぞれの論理で議論を展開してきました。しかし、私が知るかぎり、その多くは的を射たものではなかったと思われます。それらの指摘が正しく、処方箋が実行に移されていれば、日本はとっくに不況から脱出していたはずです。 問題を先送りしてきたという指摘は事実でしょう。赤字国債の発行を増加させ、にっちもさっちもいかなくなって、国債の償還のために新たな国債を発行するという愚行をおこなっています。国債残高は650兆円とも隠れ借金を含めると1000兆円とも言われています。ここまできますと、通常の方法では返済は不可能です。厚生年金についても破綻寸前の状況と見られています。保険料率を年々上げ、国民の負担率を20%にしなければ50%以上の給付が不可能という厚生労働省の試算があります。 では、大前氏はどのような考えを持っているのでしょうか?経済学者やエコノミストとはかなり異なった見方をしています。 <日本が現在の不況から抜け出せない最大の理由は、依然として国民国家の枠内でケインズ経済という、ちょうど100年前の経済政策しかやれていないからです。しかも、その財源はすべて国民の金です。今日、国民の金を使うやり方で経済が繁栄に向かっている国はない。世界中から金を集め、それを使って繁栄するという方程式しか成り立たないのです>次の指摘は、私たちの痛いところを突いています。 <マジョリティが既得権者になっていて、頭の中では自分の孫子たちのことを考えるとこのままでいいはずはない、とわかってはいても、自分の今の状態は守りたいと考えている人たちが大部分なのです。つまり抵抗勢力というのは、自民党の主流派だけではなくて、我々の心の中の七割くらいのところにも住んでいるのです>危機感があるかどうかということが重要になってくると言えるでしょう。 <危機意識を持つことが問題の解決につながり、生き残ってきた。こういう会社は、いまだに強い力を持っている。ソニーや、トヨタなどがそうですが、いずれも、世界企業になっています。ところが、円高に関係のなかった業種や国に守られている業種などは、この20年間というもの、まるで国際競争力がついていません>国際競争力に関連して田原総一朗氏との対談の中で次のように述べています。 <なぜ日本が国際競争力が強いかというと、強い業種はそれはメチャクチャ強いんです。ですからトヨタとかソニーとかそういうのはいいんですが、実は弱いものがたくさんあるということと、人が非効率的に使われているということを知っておくべきです>この本を読みますと、大前氏がここ10数年間にどのようなことをしてきたのかを概観することができます。と同時に、ようやく、徐々に日本復活の胎動が感じられるようになってきたということです。 |
| Back to Top |
| 書 評 一 覧 |
ご意見・ご感想はこちらまで
| Copyright(C), 2004 − 2007 本当に役に立つビジネス書をご紹介します! by Takashi Fujimaki All Rights Reserved |