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No.201 ★★★ 2004/01/10 Sat  ドットコム仕事術 大前研一 小学館 2003/08/10

ドットコム仕事術 大前研一 小学館 年収格差時代の到来

2004年最初の、そして区切りのよい201回目の書評は、大前研一の『ドットコム仕事術』です。

まず、大前研一の次の言葉をよく考えてみたいと思います。





<悪魔の主張をする―反対を表明する勇気を持つことが、ビジネスマンにとっていかに必要かを痛感している。(中略)議論を深めるために故意に反対を唱えることは、非常にハードであると同時に、建設的な態度でもある。悪魔の主張と正反対なのが、相手の意見をそのまま受け入れてしまう態度だ。その方が証明する責任も生じず、楽だからである。これは、知的に怠惰な人間のすることである>

あるいは、

<日常のさまざまな事柄を日頃から悪魔の主張精神で眺め、疑問を抱き、その理由と代替案を考える癖や態度が重要なのだ>

これらのことから次のことが導き出されます。

<自分の出番がいつ回ってきてもいいように、日頃から準備を怠らない人間こそ、いざというときチャンスをものにできる、という教訓だ>

つまり、プロアクティブ(Pro−active)に行動することが、必要になってきたということではないでしょうか?

この本の中で、著者大前研一は実践的ノウハウを惜しげもなく公開しています。このうちの1つでもよいから実践しようではありませんか?

私たちサラリーマンに求められているものは何か、から見てみることにしましょう。

<今サラリーマンに求められているのは、<<問題解決能力>>にほかならない>

つまり、ソリューションです。しかし、この能力は一朝一夕に身につくものではありません。また、問題がどこにあるのかが明確にならなければ、問題解決には至りません。この点は肝に銘じておきたいものです。

<<問題解決能力>>はコミュニケーション・ツールとしても重要であると指摘しています。

<つねに論理を重んじ、全体像を把握して真の問題点を抽出し、その解決のために躊躇なくメスを入れる能力― <<問題解決能力>> は、上司や部下、取引先を説得したり、部下に的確な指示を出すためのコミュニケーション・ツールとしても重要だ>

大前研一は著作を通じて数多くの「名言」を残していますが(私だけが勝手にそう思っているだけかもしれませんが)、次の言葉も「名言」だと思います。

<サラリーマンにとって、いや人間にとって大事なことは、自分が自分の人生のCEO(最高経営責任者)になり、自分で自分の人生を設計することである>

なお、「大前研一名言集」を他のウェブページに掲載していますので、お時間がありましたらご覧ください。

大前研一名言集

ところで、「構想力」と「戦略的思考」との違いは何でしょうか? この2つを的確に説明できる人は、そう多くはいないと思います。もちろん、私は説明できません。そこで、大前研一に説明してもらいましょう。

<単純化すると、ゼロから新しいビジネスを創出するのが構想力で、既成のビジネスから創出するのが戦略的思考だといえよう>

このように説明されると、すっと頭に入ってきますね。

ところで、私は大前研一がどのような雑誌を読んでいるか前々から知りたいと思っていました。ついに、その一部を知ることができました。

<私はアメリカの週刊誌、『ビジネス・ウィーク』と『タイム』を定期購読している。(中略)『ビジネス・ウィーク』にはシンガポールの、『タイム』には香港のスタンプが押されている。それぞれ海外から航空便で送られ、郵便局が配達しているわけだ。切手代はともに10円未満である>

私がこの箇所を引用した理由は、先に書いたように大前研一の愛読誌を知りたかったこともありますが、もう1つの理由があります。
それは、大前研一は私たちとは異なり、目の付け所が違うということだけではなく、即座に実行するということです。

<両誌はそれぞれシンガポール、香港で印刷、製本されている。この方法を採用することで、両誌は郵便料金のみならず、印刷代のコストまでダウンさせることに成功している。ここまで考えたとき、私はDM製作・発送会社をシンガポールや香港に設立することを思いついた>

私たち凡人と大前研一との違いはどこにあるかを探ってみますと、次のような記述に遭遇しました。「知的にマメか、怠惰か」という言葉です。耳の痛い表現です。

<ビジネスのヒントは、身近に転がっている。問題は、それに気づくかどうか、そして、未知の知識を吸収する好奇心を持っているかどうかだ。知的にマメか、怠惰か。その差が収入を大きく左右する。どんな事柄も、それを知っている人間と、知らない人間がいる。この<<知識格差>>にこそ、ビジネスチャンスがあるのだ>

さらに、「英文メディアはどれを読むとよいか」を述べている箇所があります。参考にしてください。

<多くの媒体の中で、英経済紙『フィナンシャル・タイムズ』の英文が、群を抜いて質が高い。また米経済誌『ビジネス・ウィーク』も読み応えがある。両紙誌は、1つひとつの記事が短く、それでいてニュースの背景まで鋭く切り込んだ記事が多い。また、米隔月刊誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』の英文もいい。ビジネス情報収集の点でも有意義だ。英経済誌『エコノミスト』は記事が長文で、しかも難解。上級者向きのメディアである>

今の話に関連した「大前研一の名言」をご紹介しましょう。

<自分が「もっと知りたい」と思うことこそ、他人も知りたがっていることである。知りたいと思うからこそ勉強し、新たな発見もある。そして、その成果を話すことで、自分にとっても聞く側にとっても財産となるのだ>

昔、「T型人間」(大前研一の造語)という言葉が流行ったことがありましたが、憶えていますか? 幅広い知識を身につけ、その中の専門分野の1つは深い(詳しい)知識を有している人間のことでした。

大前研一は<<Π(パイ)型人間>>を提唱しています。<<Π(パイ)型人間>>とはどのような人間を指すのか、次の文章を見てみましょう。

<私はつねづね、<<T型人間>>を目指せといってきた。これは、幅広い知識や経験を持つ(Tの横棒の部分)ゼネラリストであると同時に、何か1つ専門分野を持っている(Tの縦棒の部分)人間を指す、私の造語だ。さらにいえば、ゼネラリストでありながら、専門分野を2つ持っている<<Π型人間>>が望ましい>

次の言葉を噛みしめながら、今回の書評を終わりにしたいと思います。

<「さして出世もできなかったが、私の人生は充実していた」―こういい残してこの世に別れを告げられることこそ、本当に幸せな人生を送ったといえよう。こんな辞世の言葉を口にしながら死んでいくためのままなら、大いにけっこうではないか>

私のグル(精神的指導者)であり、メンター(師匠)でもある大前研一の『ドットコム仕事術』をぜひご一読ください。

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