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No.202 ★★★ 2004/01/31 Sat  非常識な成功法則 神田昌典 フォレスト出版 2002/06/29

非常識な成功法則 神田昌典 フォレスト出版 お金と自由をもたらす8つの習慣

最初にご注意します。タイトルだけで“きわもの”と決めつけないでください。実践マーケッターによる実践のためのマーケティングの本です。

決して学者や学生のためのマーケティングの本ではありません。



では、どんな本でしょうか? 著者、神田昌典氏は冒頭で次のように書いています。

<ズバリ、成功法則が嫌いな人が成功するための実用書である。凡人が、一戸建ての家を建て、スポーツカーに乗るまでの、最短距離である。ナマケモノが、最短距離で這い上がるための、世界一簡単な方法である。同じ毎日に息が詰まりそうなサラリーマンが独立し、非常識に豊かで、自由になるための本である>

著者の意図をどこまでお伝えできるかわかりませんが、全力で取り組みます。最後までお付き合いください。もし、あなたがこの書評を途中で飽きたとしたら、それはひとえに私の文章が下手であったということであって、本の内容がつまらなかったということではないことを確約します。

お金と自由をもたらす8つの習慣を順を追って見ていくことにしましょう。

最初から「非常識」な言葉が書かれています。

第1の習慣 やりたくないことを見つける

まず、やるべきことは次のことであると神田氏は述べています。

目標は紙に書くと実現する・・・・・・・・・・・・。もう一度、言うよ。紙に書くと実現する・・・・・・・・・。そう、紙に書くと実現しちゃうんだ

のっけから、胡散臭いことを書いていてもうやめようと思っていませんか? ちょっと待って下さい。高校受験や大学受験当時を思い出してください。あなたは入学したい希望校名を紙に書き壁に貼っていつも眺めていませんでしたか? そうすることで、意識を高めた(自己暗示にかけた)ことはありませんでしたか? たぶんあるでしょう。私もありました。

タイトルをもう一度見てください。「非常識な成功法則」となっていますね。“非常識な”という点がポイントです。

そして、実は次の点が重要なのです。

<本当にやりたいことを発見するために、次のプロセスをぜひ、やってみて欲しい。(中略)まずは、紙を一枚用意する。そして、やりたくないこと・・・・・・・・を書き出す。タイプミスじゃないよ。やりたいことを明確にするためには「やりたくない」ことを明確にしなければならないんだ>

半信半疑な方のために、神田氏に補足説明してもらいましょう。それは、

<つまり、「やりたくないこと」を明確化することによって、本当にやりたいことが見つかる。それは、あなたの潜在的に思っている願望を引き出してくれる。世間体、家族からの期待、友人・知人の常識。そんな手垢のついた「やりたいこと」ではなく、あなたの心が求める、本当の「やりたいこと」に光を当てる>
ことなのです。

そして、次にするべきことは...

<「やりたくないこと」を明確にしてから、今度は「やりたいこと」を書き出す。すると作用と反作用の法則が起こる。つまり、自分勝手に「やりたくないこと」を100%通すんだったら、それじゃ、自分が選んだ道では、120%といわず、200%やってやろうじゃないか、ということになる。自分が本当にやりたいことには本当に情熱を持って取り組めることになる。嫌なお客と取引しないからこそ、付き合いたいお客とは、魂を込めて仕事するわけだな>

神田氏の言いたいことは、人は「論理」で動くのではなく、「感情」で行動するということです。常識的なマーケティングや企業内での議論でも「論理」を押し通し、説得する傾向がありますが、それは後講釈にすぎないのです。

「人間は感情の動物である」という視点を失ってはならないということではないかと思います。

ところで、スポーツ選手は記録に挑戦するために、イメージトレーニングを行なうことがあります。つまり、自己暗示(自己催眠でも同義)をかけることによって、自己実現を図ろうということです。「精神が肉体をコントロールする」と言い換えることができるでしょう。

そこで、第2の習慣 自分にかける催眠術につながります。

自己催眠をかけることによって、どのようなことが起こるのでしょうか?

<自己催眠をかけることにより、不安がなくなり、自動的に目標に向かって進みはじめることができる。自己催眠とは、潜在意識をプログラミングする方法である。つまり、他人によって作られていた記憶の回路をいったん遮断して、自分に都合のいいように構築し直すのである>

自己催眠の効果を確実にする方法は<「繰り返す」こと>であると述べています。そして、凡人と成功者を分けるのは次のことであると言います。

<ポイントは、紙に書かれた目標を眺める、という習慣を持つこと。これが凡人と成功者との大きな違いを生む>

成功哲学の本の中でも「目標を紙に書いて、いつも眺めることによって、実現できる」といった内容のことが書かれています。私も「あること」を書いて毎日何度でも眺めています ― ある日までに実現できることを願って...

本書に戻りましょう。

第3の習慣 自分に都合のいい肩書を持つ

これは第2の習慣 自分にかける催眠術に関連することがらです。
「自分に都合のいい肩書を持つ」ことによってセルフイメージを改善することができるからです。その際にやるべきことはたった1つです。

<やることは、新しい肩書を紙に書いて、朝晩見る。それだけ>

第4の習慣 非常識的情報獲得術

神田昌典氏によれば、大成功した経営者には共通点があるそうです。

<それは「大量に本を読んでいる」ということだ>

しかし、大量に本を読んでいる人は世の中にはたくさんいるはずです。
その点をもう少し詳しく説明するために、神田氏は友人である小阪裕司氏(書評『「儲け」を生み出す「悦び」の方程式』PHP研究所参照)に語ってもらっています。

<ワクワク系マーケティングの小阪裕司先生によれば「感性(センス)は情報量に比例するということが、最近の感性工学の研究でわかっている」という。言い換えれば、大量の情報を浴びるように吸収する習慣を持てば、凡人でもセンスを磨けるということだ>

発想力や行動力に直結する情報収集の方法は、読書だけしかないのだろうか、他にもあるはずだという疑問が湧いてくるはずです。
そこで、神田氏は自分自身の体験を踏まえて、次の3つの方法があると述べています。

<ひとつ目は、先ほどの経営者のような「本との出会い」。二つ目は「人の出会い」である。(中略)そして、三つ目の方法。これはほとんど知られていないが、きわめて効果的な情報入手法だ。それは「テープとの出会い」である>

この3つの情報入手法のうち、3つ目の「テープとの出会い」についてもう少し見てみましょう。だれでも実行でき、非常に効果的であることがおわかりいただけると思います。

<優れた経営者がやってきた数十年の経験を、ほんの1〜2時間で学べる。成功だけでなく、失敗からも学ぶことができる。(中略)テープを聴くことの効果は、単に「知識が増える」ってことだけではない。さらに時間が増え、発想力、そして行動力も高まるという大きな効果がある>

テープを聴くことの効用を読書との比較で神田氏は、次のように説明しています。説得力を持つ説明です。

<私の場合、本は1回読んだだけで満足してしまうことが多い。しかしテープは隙間の時間に繰り返し聴くことが多いので、知らぬ間に自分の力になっている>

テープを聴くことの効用は、それだけではないそうです。

<またテープは、聞くたびに新しいヒントや気付きが得られる。なぜかといえば、脳は、自分に一番馴染みのある情報から気付くからである。(中略)テープは、時間を有効に使い、発想力・行動力を高める上では,極めて効果的なツールである>

第5の習慣 殿様バッタのセールス

まず、マーケティングとセールスの違いを明確にしておく必要があります。
著名なマーケッターである神田昌典氏に説明してもらいましょう。非常にすっきり理解できることでしょう。

<マーケティングとは「優良な見込客を、営業マンの目の前に、連れてくる」こと。それに対してセールスとは「その見込客を、営業マンが成約すること」なんだ>
次の指摘は営業マンの方の中には反感を抱く方もいることでしょう。しかし、これは「事実」であるということを認識すべきです。「目から鱗が落ちる」ことでしょう。
<営業マンは、購入する確率が高いお客にだけ時間を使い、購入する確率が低い客は、さっさと断らなければならない>

「殿様商売」という言葉がありますが、その言葉と同様な意味で「殿様セールス」について解説しています。神田氏の自らの体験に基づいているだけに非常に説得力を持っています。

<私は、相手を見極め、自分の客としてふさわしくないお客はお断りするというセールスを「殿様セールス」と呼んだ。そして感情マーケティングと殿様セールスを組み合わせると、きわめて営業が効率的になることがわかった>
もう少し具体的な説明がされている箇所がありますので、ご紹介しましょう。
<殿様セールスで、見込客からできるだけ早くNOの返事を得ようとすると、その瞬間に、お客と営業マンとの立場が入れ替わる。営業マンが、「欲しくないのであれば、結構ですよ、他のお客さんがいますから」という態度を匂わせると、お客は決して嘘をつくことができない。なぜなら、営業マンから相手にされなくなると、お客にとって、欲しい商品が買えないというリスクが生じるからである。その結果、お客の側で、売ってもらおうという努力・・・・・・・・・・・・を無意識に始める>

第6の習慣 お金を溺愛する

何か守銭奴のように振舞えとでも言っているように聞こえますが、神田氏はまったくに異なった見方をしています。 私の知り合いに創業者にして資産家がいます。その方は、いつも新札を末尾の数字を1からの通し番号で財布に入れていました。

当時は、非常に奇異に感じられました。しかし、今から思えば、お金を大切にしていたからこそ財を成したと言えるかもしれないと思い直しました。

話がそれてしまいましたので、元に戻ります。
神田氏は

<お金をコントロールするための3つの原則>
として、次のことを公開しています。
<お金をコントロールするための3つの原則>
@お金に対する罪悪感を持たないこと。
A自分の年収は、自分で決めること。
Bお金が入ってくる流れをつくること。出て行く流れを作ってはならない。

お金持ちは私たち常人とは違うということがおわかりになることでしょう。私たちはお金が入ってくるとすぐに使ってしまいます。
つまり、神田氏が言うような出て行く流れを作ってしまうのです。

「お金の流れ」が重要なことは、企業においてキャッシュフロー(=お金の流れ)は財務諸表上の「利益」よりも大切であることからも理解できます。キャッシュがなければ、企業は黒字倒産に至ることもあります。

第7の習慣 決断は、思い切らない

成功するためにはどうしたらよいのか? この問いに対する神田氏の1つの解答は<思考だけではダメで、行動しなければならない>というものです。

昨日(2004年1月30日)はビッグニュースがありました。
中村修二カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授が起こした訴訟の第一審判決が、東京地方裁判所でありました。
中村教授が勤務していた日亜化学工業(香川県)に対し、中村教授が発明した「青色LED(発光ダイオード)」の特許権料の一部200億円を中村教授に支払うように命じたのです。(実際には、東京地裁は2010年までの企業の利益を1200億円と算定し、中村教授の貢献度を50%と見なし、600億円と認定していたため、中村教授が求めていた200億円は全額認められました。企業は即日控訴したため、東京高等裁判所で引き続き争われることになりました。その後も最高裁判所に上告され、決着が付けられるものと思われます)
(中村修二カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授については、『考える力、やり抜く力 私の方法』をご参照ください)

長々と裁判のゆくえを述べましたが、その趣旨はその判決内容について言いたかったのではありません。中村教授がたった1人でノーベル賞級の発明をした(行動した)こと、泣き寝入りせずに訴訟を起こした(行動した)ことによって、第一審であるにせよ認められたということを言いたいのです。

この第7の習慣でのポイントは下記のことでしょう。

<シナリオを描く習慣を持つことができたとき、目標を達成するためには、道はひとつに限られないことに気付くだろう。あなたが成功に至るために、無数の道が開かれているのである>

第8の習慣 成功のダークサイドを知る

神田氏がサラリーマンを独立し、2年で10倍を超える年収を得た結果、学んだことがあると言います。

<やっぱりお金じゃない。新しい自分に出会うことが重要なんだなあ。お金があろうと、お金がなかろうと幸せには関係ない。いままでの自分の枠を取り外していく。いままで見えなかった現実が開けてくる。それが幸せなんだと>

次の話は哲学的です。

<一般的な成功法則では、金持ちになって成功して、ジ・エンドだ。それでおしまい。だが幸運にも、私は、横浜国立大学・助教授の堀之内高久先生から教えられた。実は、成功にはダークサイドがある、と。成功するということは「光が当たる」ということだ。光が当たれば、影が濃くなる。そして、影は、成功しつつあるその過程から、既に濃くなり始める。影はあなたの一番弱い部分で、噴出する>

今回の書評は長いものとなりました。充分に消化できなかった部分があったかと思われますが、自分では全力投球したつもりです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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