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| No.208 | ★★★ | 2004/04/18 Sun | 「クビ!」論。 梅森浩一 朝日新聞社 2003/06/30 |
正しいクビの本質人事のプロが書いた正しい解雇、クビの仕方・・・一言で表現すればこうなるでしょうか。 日本にもようやくV字回復した企業が現れてきました。しかし、サラリーマンにとって大切だった諸手当ばかりか定期昇給が廃止された企業もあります。 リストラの名の下に解雇が日常茶飯事になり、一時は新聞や週刊誌を賑わせていた「リストラ」に関連した記事は最近ではほとんど目に触れなくなりました。 「成果主義」あるいは「年俸制」が導入され、企業は社員の賃金に格差をつけることによって、コストを削減し、企業収益を確保するケースが目立ってきました。社員を格付けする一方で、経営者側の人たちの評価は一体だれがするというのでしょうか? 社外取締役がその任にあたるべきですが、社外取締役を取り入れている企業はまだ少ない存在です。社外取締役の選任の仕方にも問題があるかもしれません。 古い話になりますが、「サラリーマンは気楽な家業ときたもんだ(クレージー・キャッツの植木等)」と歌われた時代とは隔世の感があります。 著者、梅森浩一氏は外資系金融機関の人事部長であった人で、本人の言葉によれば、 <30歳で外資系企業の世界に飛び込んでからというもの、私は1000人の社員のクビを切ってきました。(中略)口の悪い日本人の同僚からは、こう呼ばれました。「クビキラー(kubi-killer)」>だったそうです。 梅森氏は、「まえがき」でクビを次のように定義しています。 <私から言わせれば「リストラ」だろうと「早期退職」や「希望退職」と呼ぼうと、あるいは「雇用調整」と言ったところで、クビはクビ、ごまかしでしかありません> さらに、クビ切りの本質は次のような点にあると指摘しています。 <“正しいクビ切り”の本質は、「人材の流動化」と「実務の効率化」にあります>(「まえがき」から) 著者は外資系企業でキャリアーを積んできましたので、多くの指摘によって日本企業との違いが鮮明になってきます。 例えばこのようなことです。 <外資系企業の場合は“合併即リストラ”です。しかも、日本企業のように「たすき掛け人事」などなく、時間をかけた悠長なリストラとも無縁です> <リストラは、会社の経営判断です。人事担当者は、業務命令を受け、忠実に任務を果たしているに過ぎません。最終的な責任は、あくまで経営者にあります。人事部長が辞めると言うなら、それ以上に責任のある社長がなぜ辞めないのでしょうか。 やや皮肉めいた言い方をすれば、社長が辞めないのに人事部長が辞めるとは“おこがましい話”です> <特定の個人を辞めさせるのだから、外資系企業の解雇は、事実上は「指名解雇」です。(中略)(ばく然と)誰でもいいからクビを切るという発想は、外資系企業にはありません> <「あなたの仕事はなくなりました」と言われたら、プロである以上は辞めなくてはならないのが「暗黙の了解」になっています> <外資系企業の世界においては「個人」や「個性」が見えない人―すなわち“出ない杭”は引っこ抜かれるのです。「みんな」ではなく、「私はこう思う」「私はこう考える」と主張しないと、誰も認めてくれません> <外資系企業では、企業も社員も終身雇用など初めから考えていません。中途入社組も多く、社員は「クビも転職もあり得る」という前提で働いています。「いつまでもあると思うな親と会社」というわけです>何度も著者の言葉を引用したわけは、遅かれ早かれ日本企業の中にも外資系企業と同様なクビ切りを行なうところが出てくると思われるからです。 私も“指名解雇”される運命にあるかもしれませんし、このコーナーをご覧になっている「あなた」も同じ運命にあるかもしれません。そうなった時を想定して、前もって心の準備と次の仕事への準備(転職、起業)を怠ってはならないでしょう。 著者の新刊『「査定!」論。』(PHP研究所)と『チャンピオンを探せ!』(講談社)も期待できそうです。 最後に著者のメッセージをお伝えしましょう。 <転職したら損をするような社会や制度の改革を進めていかなければ、この国に未来はありませんよ、私は言いたいのです>著者が代表を務めるコンサルティング会社 アップダウンサイジング・ジャパン |
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