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No.230 ★★★ 2005/03/13 Sun  かせぐが勝ち 堀江貴文 光文社 2004/08/10

稼ぐが勝ち 堀江貴文 光文社 ゼロから100億、ボクのやり方

書評の前に注目を集めている、ニッポン放送による新株引受権発行をめぐるライブドアVS.フジテレビの攻防について私の考えを述べましたので関心をお持ちの方はご覧ください。
                (→ ライブドアVS.フジテレビ

                     

著者堀江貴文氏は巷で話題の人です。ご存知のようにライブドアの社長です。
 言動が大胆であることから誤解や誹謗中傷する人がいます。この本の中でも大胆な発言がページのあちらこちらで見つかりますから、表面だけを捉えると反感を買うことでしょう。
 気をつけなくてはならないことは、その発言の背景にあるものや本質を見誤らないことです。相手の反応を窺っている面もあります。
 たしか落合信彦氏だったと思いますが、相手から本音を聞きだすために故意に相手を怒らすような質問をするという手段を使っているといいます。
 相通ずるものが感じられませんか?
 刺激的な発言や質問を投げかけて注目するように仕向けるのは一つのテクニックです。現代は「本音」で言える時代になったのです。そして、「本音」を認める時代にもなったのです。

堀江氏のこの本は「本音」で書かれています。自分の気持ちをストレートに語っています。それが現代の若者たちに支持されている理由の一つです。また、曖昧な表現が少ないため欧米人、特にアメリカ人には受け入れられやすいようです。

 年配の人たちや保守的な人たちから反感を買いそうな発言をご紹介します。たんなる反骨精神から出た発言なのか、そうでないのかお考えください。

<世の中には、搾取してお金持ちになる人間とだまされて貧乏になる人間がいます。この事実は知っておいたほうがいい。もちろん利口になってだまされないようになればいいのですが、これまで旧世代が構築してきた社会・会社システムもなかなか手ごわいものです。>
 ごく最近の例で言えば、コクド・西武鉄道グループの総帥堤義明氏の長年にわたる有価証券報告書の偽造やインサイダー取引等による商法違反での逮捕劇を見ると、カリスマと言われながら実は独裁者に過ぎませんでした。

 古今東西を見回すと独裁者の末路は哀れです。独裁者の象徴としてナチスドイツのヒットラーが取り上げられることが多いですが、スケールの大小は別にして日本にも過去に独裁者はたくさんいました。

 『ダイエー』の創業者中内氏、『そごう』で天皇と奉られた水島氏、武富士の創業者武井氏、NHKの前会長海老沢氏などなど枚挙に暇がありません。みな身近にご意見番を置いていませんでした。

 このことからいつも思い出すのは、史上最年少でゴールドマン・サックスでパートナーに就任し、後にソニーから出資を仰いでマネックス証券(5月に日興ビーンズ証券と合併予定)を設立した松本 大(まつもと・おおき)氏が述べたことです。

 話の概要は次の通りです。
 マネックス証券を設立する際に、松本氏は、出資してくれた外資系企業の経営者に「私に何を望むか」と尋ねたそうです。すると、その経営者はこう答えたそうです。「あなたを首にできる人をそばに置きなさい」と。

成功する人とはどのような人なのか定義している個所があります。とても分かりやすい言葉で表現されています。自分の限界を知るというきわめて当たり前のことですが、偉くなるといつのまにか忘れてしまうことでもあります。他の人がいたからできたのに、すべて自分がやったと勘違いしてしまうのですね。

<成功する人間とは、自分の知識や経験なんてちっぽけなものだと自覚し、他人の力を上手に利用できる人間のことです。>
 次の言葉も誤解を生んでいるようです。お金があれば何でもできるとは言っていません。でも、お金が欲しくて強盗殺人などの凶悪犯罪を犯すケースが増えてきていることも事実です。
<人間はお金を見ると豹変します。豹変する瞬間が面白いのです。皆ゲンキンなものです。善いか悪いかは抜きにしてそれは事実です。金を持っている人間が一番強いのなら、金持ちになればいいということなのです。人間を動かすのはお金です。>
 企業経営で大切なこと、ビジネスで重要な考え方を述べた個所があります。とても大切なことですからぜひお読みください。
<「企業経営に一番大切なことはなんですか」とたずねられると、いつも僕はこう答えています。「ものごとをシンプルに考えること」。「シンプル・イズ・ザ・ベスト」という言葉があります。「シンプルが一番」ということは、人類が長年の経験のなかから得てきた教訓だと思います。多くの経営者は同じ質問を受けたときに必要以上に難しく考えてしまうのです。>
 次の発言は、ニッポン放送の新株引受権問題とも絡む、「株主価値」に関するものです。コーポレート・ガバナンス(企業統治)に対する見解でもあります。
<株式会社の本来の目的は、株主へ利益還元することです。だから、「株主のため」とストレートに答えなければならない。株主に最大限の利益をもたらすことが、株式会社の社長の責任なのです。>
 ライブドアがニッポン放送株を買い集めていることが正しい投資であったかどうかはまだわかりません。しかし、少なくともあらゆるリスクを想定して行なったと考えたいです。次の言葉は「愚者は己の経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」という名言を踏まえたものです。
<投資には必ずリスクがあります。リターンを計算して、リスクをとる覚悟がないから大騒ぎする。要するに彼らは歴史から学んでいないのです。>
 最後に、「映像メディアの未来はこうなる」というテーマで堀江氏が具体的に述べている個所がありますのでご紹介しましょう。テレビとインターネットの融合を考えるヒントを提供してくれます。
<映画やテレビの未来というよりも、ブロードバンドによる映像コンテンツ全体の未来をどう考えるかが大切です。はっきりしているのは、これまでの考え方では、現在の映像メディアは早晩だめになるということです。これは既定路線なのです。>
<僕が一番注目しているのは、インターネットの映像コンテンツは口コミでの「毀損きそん」がぜんぜんないこと、です。>
 先入観を持たずにこの本を読んでいただきたいというのが私の希望です。

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