株式投資の王道は成長企業に投資することである
IPO(Initial Public Offering=新規株式公開)とは株式を市場に公開(上場)し、株式を流通させる手段です。
株式を公開する目的は、市場から「直接」資金を調達することにあります。今、「」で直接と書きました。市場から直接に資金調達することを直接金融といいます。
資金調達する手段として一般的なのは金融機関からの借り入れです。これは市場を通さずに「間接的」に資金調達するため、間接金融といいます。
直接金融のメリットは(1)まとまった資金を手に入れられること、(2)借入の返済も利息の支払も必要ないこと、(3)公開示に株式を売却することによって、創業者利益が得られること、があります。
東証マザーズやヘラクレス(ナスダック・ジャパンの後継)などの新興市場は新規上場企業が目白押しです。そのわけは、上場基準が緩やかだからです。しかし、問題がないわけではありません。「ライブドア事件」がもたらしたのは「粉飾決算」や「時間外取引による不正行為」、「インサイダー取引」だけではありません。
そもそも上場基準が甘すぎたのではないかということで、ルールの見直しを余儀なくされています。
余談はこのあたりにして、本題に入ります。
まず、株式投資についての一般論について、著者は巻頭でていねいに説明していますので、こちらをご覧ください。
<株式投資で大きな投資収益を得るためには、成長企業に投資するのが早道である。企業の成長には時間が必要であり、時間というリスクをとった投資家だけに、成長によってもたらされる投資収益という大きな恩恵が与えられる。>
では、私たち個人投資家にとって投資すべき株式はどのようなものでしょうか。著者は明快に答えています。
<個人投資家にとって成長企業に最も早い段階で投資できるタイミングは、新規上場(IPO)株への投資である。1999年から創設された東証マザーズなどのベンチャー市場には、すでに数多くのベンチャー企業がIPOを果たしている。>
本書の目的は次のとおりです。
<本書は「未来の金鉱脈」を発見するためのガイドブックである。>
「インサイダー情報はアテにならない」と著者は書いています。ニッポン放送株を巡って、ライブドアと村上ファンドがインサイダー取引という不正を行なったことは株式市場に大きな重しとなりましたが(さらに派生して福井日銀総裁が村上ファンドに投資し、巨額の利益を得たことが発覚しました)、自浄作用が働いたことはきわめて重要なことです。日本市場が世界から見放されてしまう危険性を崖っぷちで持ちこたえたからです。
そうした意味で、著者が述べていることは注目に値します。
<自分だけが知っている情報というものは、当事者のインサイダー情報くらいのものだろう。運良く噂を聞きつけたとしても、これほどアテにならないものはない。
幸いにIPOをする銘柄は、上場基準というモノサシによって一定のお墨付きを与えられている。「ゴーイングコンサーン」というのもそのひとつ。IPOをした銘柄というのは、今後成長を続けていくと認められた企業である。成長のスピードを高めるために株式市場に迎えられ、資金を調達する。市場から調達した資金を持ち逃げしたり、すぐに倒産するような企業が出てしまったのでは株式市場の信頼は失われる。国内だけではなく世界からも信用を失って、市場機能はパニックに陥ってしまう。上場基準が厳しいのは当たり前である。>
IPO株と仕手株を同一視する人がいます。しかし、著者は両者には大きな違いがあると指摘しています。
<IPO株と仕手株の違いは、業績や材料の裏づけがあることである。IPO株は急落しても再び立ち直って株価が上昇する期待が残されている。株式投資というのは成長企業に投資するべきである。説明のつかない赤字続きの低位株が意味もなく買われていくのに便乗して利益を狙っても、ろくなことはない。>
デイトレードか長期保有かというテーマがあります。成長企業に投資するという観点からすれば、とうぜん長期保有ということになります。
しかし、IPO株への投資は短期間で収益を得ることも可能です。
<短期間で大きなキャピタルゲインを生み出す投資対象として、IPOほど魅力のある市場はない。株式投資が抱えるリスク・リターンは、成長過程という時間に関係する。(中略)
しかし、日々の株価動向よりも、時間というリスクを取って将来の成長を実現できれば、結果として投資収益は短期売買で積み上げた収益を上回ることが多い、成長銘柄に辛抱強く付き合っていくには、四半期ごとの決算や、1年後の本決算という短期的な時間よりも、もっと長い先行きを見渡した投資姿勢が求められる。>
最後に、IPO株への投資についての注意点をご紹介しておきましょう。
<企業経営が安定してくると、株価変動も小さくなってくる傾向がある。株価変動が小さくなると、短期売買による投資妙味もなくなる。新興市場でIPOをした成長期待のある銘柄ほど株価変動が大きいことは、投資タイミングの注意点として考慮しておきたい。>
私も何度もIPO株を手に入れようと抽選に参加しましたがことごとく外れました。市場に売り出される株数がきわめて少ないために手に入れにくいのです。だからこそ、希少価値で値上がりが期待できるのです。
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