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「物性なんでもQ&A」のホームページの一部を編集し『半導体物性なんでもQ&A』として刊行する準備を進めております。
つきましては、ご質問をくださった方にお願い申し上げます。
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最新のQ&A(#1000-) Q&A(1)#1-#299 Q&A(2)#300-#699 Q&A(3)#700-#999 「50音順キーワード索引」
佐藤勝昭のプロフィール
佐藤勝昭 (工学博士:応用物理学)
1966.4-1984.3 日本放送協会勤務 (1966 大阪放送局、1968 放送科学基礎研究所)
1984.4-1989.3 東京農工大学工学部電子工学科助教授
1989.4-2005.4 東京農工大学工学部物理システム工学科教授
2005.5-2007.4 東京農工大学理事・副学長(教育担当)
2007.5-    東京農工大学名誉教授・大学院工学府特任教授、
2007.5-    科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(さきがけ)研究総括
       (兼務)基礎研究制度評価タスクフォース
2008.4-    (兼務)科学技術振興機構(JST)広報ポータル部研究広報主監
刊行・発表・出版 佐藤ギャラリー
質問される方へ
このコーナーでは、佐藤勝昭のHPを見てメールで問い合わせがあった
材料・物性関係のご質問への回答を紹介しています。このQ&Aはボランティアワークですので下記の約束をお守り下さい。
お答えできない場合がありますのであらかじめご了承下さい。
 (1) 質問はE-mailで katsuaki.sato@nifty.comまで。
   当面の間はsatokats@cc.tuat.ac.jpでもOKです。
   ご質問にはメールでお答えし、その上で、編集してWebにアップします。
 (2) HPを見ての質問であることを明記して下さい。
 (3) お名前、ご所属(学校の場合教員か研究者か学生か。学生の場合、学科、学年)を書いてください。
  所属・氏名が記載されていない質問にはお答えできません。 (質問者のレベルに合わせて回答するためです。)
 (4) Webにアップする場合に匿名を希望される場合は、その旨記入して下さい。
 (5) このQ&Aコーナへの質問と回答は、多くの方がシェアできるように原則として公開します。
  質問者はお金をかけないで情報を得ようとするのですから、それなりの覚悟が必要です。
 (6) いったん掲載した項目を削除するよう要求される方があり困ります。企業の方、質問の前に、掲載された場合の危険性を考えてください。
 (7) 最近、説明不足の質問があり、対応に苦慮します。(例えば、1027. 相変態について状況を人にわかるように説明して質問してください。
 (8) お答えできない場合があります。 (専門ちがいでお答え出来なかった例)
 (9) 最近は、大学には週1回しか行かないので、図書館のデータベースに閲覧に行く機会があまりありません。従って、ハンドブックなどのデータベースを調べるだけのご質問は、なるべくご遠慮下さい。

「物性なんでもQ&A」更新記録 (2009.10.26update)
アップした日付
質問項目
分類
質問者
2009.10.261176C. 「濃度と誘電率の関係」へのコメント誘電物性C社Hさん
2009.10.161177. 基板と導電体の密着性加工技術A社Yさん
2009.10.151176. 濃度と誘電率の相関誘電光物性S社Aさん
2009.10.151175. ウェーハの薄膜干渉色除去光物性N社Kさん
2009.10.151174. ナイロン製品は液体燃料にリサイクルできるか化学S社Yさん
2009.10.151173. カーボンブラックの光学特性光物性S社Tさん
2009.09.281172. 縦カー効果を磁性薄膜製膜時の飽和磁化モニターに使えるか磁気光学T社Kさん
2009.08.201171. 熱線遮断塗料光物性I社Sさん
2009.08.171170. 複素屈折率と磁気光学光物性H大OB Aさん
2009.08.121169. 金属多層膜のプラズモン光物性T大Yさん
2009.08.081168. 金属の非接触判定光物性N社Kさん
2009.08.011167. 金属と紙の拡散反射の違い光物性C社鈴木さん
2009.07.181166. eVから温度への変換物理学基礎Suhiさん
2009.07.151165. シリコンへのドーピング半導体工学D社Kさん
2009.07.151164. 非磁性の絶縁体のファラデー効果磁気光学広島大(OB)Aさん
2009.07.151163. SCM440,FCD450の物性値金属工学S社毛利川さん
2009.07.041162. 樹脂の難燃剤素子実装技術O社員Iさん
2009.07.041161. CRS1010の比透磁率磁性会社員貝沼さん
2009.06.271160. LEDチップの機械的強度測定法半導体工学T社Tさん
2009.06.271159. 反転対称のある系の赤外吸収とラマン散乱光物性M大Kさん
2009.05.281158. 鉛フリーはんだAuSn4のヤング率金属物性H社Wさん
2009.05.271157. 電気を流しにくい物質電子物性T大Sさん
2009.05.231156. シリコンウェハーの光透過光物性Suhiさん
2009.05.111155. ダイヤモンドとアルミナの接合結晶工学S社Mさん
2009.04.171154. プリズムから金への斜め入射の反射光物性M高専Kさん
2009.03.141153. ダイヤモンド加熱ATRの高温特性光物性S社Aさん
2009.02.181152. シリコン/アルミニウムのI-V特性電子物性S大Uさん
2009.02.141151. チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸カルシウム(CTO)のバンドギャップ光物性n大Sさん
2009.02.111150. 吸収が強いときの反射率光物性C社Hさん
2009.02.101149. Mn5Ge3の選択エッチングプロセスD大Wさん
2009.02.101148. 磁壁のピニング効果磁性農工大長江さん
2009.02.091147. 軟鋼の表面張力金属工学K社Kさん
2009.02.071146. フラーレンポリマーのバンドギャップ有機エレクトロニクスC大Nさん
2009.02.071145. 磁気インピーダンス(MI)効果磁性T大Yさん
2009.01.301144. 光学遅延変調法のファラデー効果の場合磁気光学T大Sさん
2009.01.301143. 光照射による発熱効果熱物性O大Mさん
2009.01.301142. アルミニウムの誘電率誘電物性E社Mさん
2009.01.241141. 光子の強度相関測定量子光学K大Kさん
2009.01.241140. 円偏光発生についての質問磁気光学O大Wさん
2009.01.241139. アモルファスシリコンの吸収端光物性K大Yさん
2009.01.241138. 量子力学の質問物理基礎K大横山さん
2009.01.101137. 金属間化合物Fe2Al5の磁気特性磁性H試験場Tさん
2009.01.061136. 質問#1061「窒化ガリウム(GaN)の抵抗率の基板による違い」へのコメント結晶工学H社土屋さん
2008.12.251135. 貴金属上の水滴の濡れ性変化表面科学T社Tさん
2008.12.201134. PEMを用いた磁気光学測定における楕円率の膜厚依存性磁気光学K大Hさん
2008.12.151133. シリコンの直接バンドギャップ半導体物性M大Mさん
2008.12.141132. 仮想屈折率法における負の消光係数光物性S社Sさん
2008.12.141131. ダイヤモンドとグラファイトの熱伝導熱物性N社Oさん
2008.12.071130. ファラデー効果の磁区像と磁壁磁気光学O大Hさん
2008.12.031129C. 「磁界中での反応」へのコメント磁性学H社萬さん
2008.11.261129. 磁界中での化学反応磁性学E社Fさん
2008.11.211128. プラスチックの透湿性化学S社Yさん
2008.11.211127. 防音継ぎ手の音響伝搬特性建築音響K社Hさん
2008.11.211126. プラスチックの赤外吸収光物性O社井上さん
2008.11.211125C. 質問#1125へのコメント化学化学会社Sさん
2008.11.151125. 混合攪拌時にホイップクリーム状になる理由化学プロセス技術者平井さん
2008.11.071124. ファラデー楕円率は磁化に比例するか磁気光学K大Hさん
2008.10.311123. 超伝導磁気分離技術の実験をやりたい超伝導物性高校1年生Sさん
2008.10.271122. シリコンウェハのランプ加熱半導体物性H社坂本さん
2008.10.241121. ITOの面抵抗変化電子物性D社Sさん
2008.10.231120. アルミニウム蒸着とクロム蒸着光物性S社Tさん
2008.10.231119. 金/シリコンショットキーダイオード半導体物性M大Mさん
2008.10.231118. 骨の透磁率磁性M社Oさん
2008.10.161117. GaAsの電子線励起プラズマの光学的観察光物性O大Kさん
2008.09.291116. 薄膜シリコン太陽電池の分光感度の光バイアス依存性光物性S大Hさん
2008.09.121115. アルミ溶接時の反りについて金属工学F社Tさん
2008.09.111114. pn 接合ダイオードの順方向電流-電圧特性について半導体物性A高専Yさん
2008.09.091113. The question about the p-GaN ohmic contact
(p型GaNへのオーム性接触について)
半導体物性名工大Zhuさん
2008.08.311112. ダイヤモンドのバンドギャップ以下の光の浸入長光物性K大Iさん
2008.08.311111. emu/gからμBへの換算磁性W大Kさん
2008.08.311110. 黄銅の熱伝導率の温度係数金属工学S社Kさん
2008.09.201093C. 質問#1109へのコメント化学化学会社Sさん
2008.08.311109. シロキサンの水への溶解度化学S社Hさん
2008.08.281108. IH土鍋の銀ペースト電子物性半導体メーカーKさん
2008.08.171107. 高濃度ドープ半導体の活性化エネルギー電子物性半導体メーカーKさん
2008.08.021106. ポリウレタンチューブからの溶出化学S社Hさん
2008.07.291105. 半導体のフェルミ準位はなぜ禁制帯の真ん中に来るか半導体物性S社Gさん
2008.07.261104. n形およびp形半導体のキャリア密度の温度変化半導体物性H大Sさん
2008.07.191103. TM入射光に対するブリュースター角の求め方光物性武蔵工大植村さん
2008.07.111102. 赤色LEDの光を当てたとき青色LEDの光電流が流れないわけ光物性C大Yさん
2008.07.111101. FTIR分析ATR法に最適なプリズム光物性T社Sさん
2008.07.101100. ワイヤグリッド偏光子光物性E社Mさん
2008.07.031099. MIM構造の容量ー電圧特性電子物性K大Kさん
2008.07.031098. 皮膜で固定したアルミ線の熱膨張と線膨張熱物性電機メーカーNさん
2008.06.141097. PN接合の拡散電位を電池として利用できるか電子物性A社Kさん
2008.06.131096. 六方晶サファイヤの結晶面の名称結晶工学S社Yさん
2008.06.121095. ドーピングによってシリコンの色は変わるか光物性S大Uさん
2008.06.111094. スピン偏極の光学的測定について磁気光学O大Mさん
2008.06.211093C. 質問#1093へのコメント化学化学会社Sさん
2008.06.111093. 酸素気体透過率の小さい有機材料 (コメント参照)化学N社Mさん
2008.05.281092. カーボンナノチューブの磁気エネルギー磁性Kさん
2008.05.261091. アルミニウム容器での尿素の保存化学運送業Aさん
2008.05.251090. 強誘電体光変調器光物性N高専Tさん
2008.05.231089. 光電子分光におけるコヒーレント部分とインコヒーレント部分光物性T大Kさん
2008.05.231088. サブバンド間プラズモン光物性O大Kさん
2008.05.201087. プラスチックの電波透過性光物性K社Yさん
2008.05.191086. (Ba0.7Sr0.3)TiO3のヤング率、ポアソン比機械的性質M社Fさん
2008.05.101085. N−メチル−2−ピロリドン化学P社Yさん
2008.05.101084. X線の侵入深さについて光物性F社Kさん
2008.05.101083. ポラリトンの描像について光物性O大Oさん
2008.04.281082. 金ミラーの温度変化による変形薄膜物性K機関Kさん
2008.04.281080. ペロブスカイト型酸化物における物性変化の定性的説明電子物性T大Kさん
2008.04.271079. ソーラーパネルは発光するか光デバイス熊本県Kさん
2008.04.261078. 半導体の実験についての質問電子デバイス大学3年高橋さん
2008.04.261077. 圧力印加による磁化の変化と磁気特性の変化磁性T大Tさん
2008.04.261076. 空間電荷制限電流について電子物性S社Hさん
2008.04.261075. 分光分析における微分スペクトルについて計測技術K大Sさん
2008.04.261074. パイプコイルの加振試験計測技術N社Sさん
2008.04.231073. Fe-Al合金の結晶構造結晶工学熊本大邱さん
2008.04.201072. 酸化物焼結体の酸素の不定比性(酸素欠損)の定量結晶工学A社Bさん
2008.04.121071. 複合材料の比熱熱物性N社Uさん
2008.03.201070. Optical properties of stainless steel at the high temperature
(高温におけるステンレスの光学的性質)
光物性A社Bissonさん
2008.03.201069. ナトリウムターシャルプトキサイドの物性化学S大平崎さん
2008.03.061068. 単元素金属の結晶構造の起源金属物性T大Kさん
2008.02.281067. 光学薄膜の反射光物性K大Aさん
2008.02.241066. 電磁波とプラズモンの結合についての疑問光物性M社Oさん
2008.02.211065. 半導体の光学現象の量子力学固体物理学Mさん
2008.02.211064. チタン酸バリウム薄膜研究の意義結晶工学n大学Sさん
2008.02.211063. フラーレン(C60)単結晶のフォトルミネッセンス光物性*大学院Sさん
2008.02.121062. ボルタは電池の出力をどうやって確認したか電気化学山口市佐伯さん
2008.02.121061. 窒化ガリウム(GaN)の抵抗率の基板による違い
土屋様のコメント
結晶工学F大Yさん
2008.02.121060. 光学薄膜の透過率光学F大Yさん
2008.02.121059. ラマン散乱による結晶歪みの評価結晶工学O大Kさん
2008.02.121058. 66ナイロンの黄変化学M社大Sさん
2008.02.081057. 酸化タングステンの機械的性質機械的性質O大Kさん
2008.02.071056. エレクトロニクスの期末テストの解答が欲しい電子回路大和市在住浅野さん
2008.02.071055. 結晶SiとアモルファスSiの活性化エネルギー電子物性近畿大宮崎さん
2008.02.071054. ろう材の熱伝導率熱物性H社Tさん
2008.02.071053. 二次元正方格子における磁化率の温度変化磁性Y大Kさん
2008.01.291052. ITOの仕事関数電子物性Y大Yさん
2008.01.271051. 子ども科学教室の説明(紙おむつ、バネ電話、簡単モータ)理科教育A工房Sさん
2008.01.271050. 酸化アルミによる酸化チタン光触媒作用の増強光化学I高校Iさん
2008.01.271049. 構造複屈折光学K社Mさん
2008.01.271048. 原子の電子準位の状態数原子分子物理学A社Oさん
2008.01.251047. 金属中の電磁界の解析電磁気学K高専Mさん
2008.01.251046. 石英ガラスの緑色発光光物性S社Tさん
2008.01.231045. グラファイトとダイヤモンドの点欠陥の活性化エネルギー欠陥物性K大Yさん
2008.01.181044. テルル化ビスマスの屈折率と硬度電子物性T社小川さん
2008.01.181043. 銀接点に生じる硫化銀被膜について電子物性T社小川さん
2008.01.181042. 分極と光学遷移光物性T社Iさん
2008.01.161041. 運動量行列要素光物性S社Mさん
2008.01.111040. ヘリウムリークディテクターでのヘリウムの検出原理真空工学N社Oさん
2008.01.101039. アルミナのレーザー加工光物性K社Mさん
2008.01.061038. アルミニウム合金の物性値の温度依存性金属工学K大Iさん
2007.12.261037. 銅とアルミナ基板の接合無機化学N社Sさん
2007.12.221036. MgOをトンネル障壁に使うとTMRが増大する理由磁性H大Hさん
2007.12.191035. 「多元合金」の英訳金属物性S社Uさん
2007.12.191034. 形態の違うシリコンの物性値半導体物性T社Aさん
2007.12.191033. 酸素プラズマ中の石英の帯電プロセスF社Sさん
2007.12.101032. イオン照射したCoCr膜のMsとTcの変化磁性F社Sさん
2007.12.051031. エリプソメトリで測定した磁性ガーネットの屈折率の磁界依存性光物性T社Sさん
2007.12.051030. ショットキーダイオードのI-V特性エレクトロニクスO大Tさん
2007.11.221029. サファイヤ板の複屈折光物性K大Iさん
2007.11.181028. 先端をしぼった電磁石からの磁場電磁気学M大Aさん
2007.11.181027. 相変態について熱物性秋田県すがいさん
2007.11.141026. 太陽電池の理論的最大変換効率の導出法光物性O大Tさん
2007.11.121025. 強誘電体薄膜のキュリー温度誘電体物性H大Hさん
2007.11.101024. なぜPtの自由電子の散乱寿命は短いのか光物性M社Oさん
2007.11.071023. なぜ光伝導スペクトルを測定するのか光物性O大Tさん
2007.11.021022. GaAs, GaPのバンドギャップ光物性O大Tさん
2007.11.021021. セラミックスの発光光物性A社Nさん
2007.11.021020. 半導体単結晶のゲージ率半導体物性H大Oさん
2007.11.021019. 磁気光学の測定系磁気光学東大嶋田さん
2007.10.311018. パワーMOSのGate容量の温度特性についてエレクトロニクスH社Sさん
2007.10.261017. リンゴの色、金属の色光物性静岡県岡部さん
2007.10.251016. 鉄のバルクと薄膜の磁化の差異について磁性京大倉本さん
2007.10.251015. 金属と半導体の電気伝導の温度変化の主要因固体物性武蔵工大植村さん
2007.10.251014. ガラスエポキシの硬化則機械的性質O大Nさん
2007.10.211013. コイルを近づけたときの磁性粒子に働く力電磁気学O大Mさん
2007.10.111012. ギブスの相律統計力学名城大西脇さん
2007.10.111011. クロムモリブデン合金鋼SCM440の焼き戻し性能曲線金属工学N社Sさん
2007.10.111010. 間接遷移・直接遷移は何によって決まるのか半導体物性北大Kさん
2007.10.091009. 磁石にかかる力電磁気学N大Hさん
2007.10.051008. p型ゲルマニウムの仕事関数半導体物性F大Kさん
2007.10.051007. 磁性ガーネットの磁気光学スペクトルの光入射方向依存性磁気光学T社Sさん
2007.10.051006. 鉄-アルミの金属間化合物の物性値金属工学T社Tさん
2007.09.211005. 37℃の水に23℃の水入り小瓶を入れたときの温度熱学S社Kさん
2007.09.191004. Al-Cu合金鋳造の際の成分の偏り金属工学S社Sさん
2007.09.191003. シリコン研磨発生時の物質の処理半導体プロセスE社Oさん
2007.09.141002. 酸化チタンの伝導帯位置の決め方電子物性T大Sさん
2007.09.081001. ZnO透明導電膜について電子物性K大Sさん
2007.09.081000. 白色LEDについて光物性N大Hさん
2005.12-2007.9Q&A(3)#700-999  
2002.12-2006.12 Q&A(2)#300-699  
2000-2002.12 Q&A(1)#1-299  
下表の質問の回答は、なんでもQ&A(3)に移行しました。
アップした日付
質問項目
分類
質問者
2007.09.08999. TiO2の磁気光学効果磁気光学K大Iさん
2007.08.30998. トラップ存在下における空間電荷制限電流電子物性D大Mさん
2007.08.30997. 波長1310nmにおけるSiの消衰係数の温度依存性光物性H大Fさん
2007.08.25996. 傾けたガラス板の偏光性光物性S社Kさん
2007.08.23995. 金属表面の反応性表面物性D社Mさん
2007.08.07994. フォトダイオードの受光領域光物性K大Aさん
2007.08.04993. 人体からの赤外線を透過する材料光物性T大Kさん
2007.08.04992. 物質の接着界面化学F社Sさん
2007.08.04991. ガウスの定理における電荷分布電磁気学東理大社西田さん
2007.07.27990. 窒化珪素,酸化珪素,バナジウムのビッカース硬度機械特性T社Kさん
2007.07.26989. ニッケル,コバルト,鉄はなぜ磁石の材料になる磁性小6世古さん
2007.07.26988. イオンミリングの運動エネルギープロセスT社Kさん
2007.07.26987. 無電解めっきNi-Pの磁性金属物性F社STさん
2007.07.26986. 低温成膜Alの物性金属物性F社Sさん
2007.07.21985. X線はなぜ人間の内部を通り抜けるか電磁気学M社Sさん
2007.07.21984. 低温堆積と高温堆積のAl薄膜の物性の違い金属物性F社Sさん
2007.07.20983. ダイヤモンドの応力誘起直接遷移半導体物性Tさん
2007.07.20982. 金属薄膜の熱伝導率熱物性S社Kさん
2007.07.18981. 金を高周波が透過する厚み金属物性C社Kさん
2007.07.18980. ステンレスの酸化スケールの剥離と腐食金属物性M社Sさん
2007.07.14979. 工具鋼SKD11の電気抵抗率と硬度金属物性M社Tさん
2007.07.10978. γアルミナ((Al2O3)の硬度機械的性質N社Sさん
2007.06.27977. アンモニウムの電気分解電圧電気化学Y社Kさん
2007.06.23976. 光伝導スイッチとストリップラインの静電容量光物性M社Iさん
2007.06.23975. 石英ファイバーの赤外吸収特性光物性F社Kさん
2007.06.16974. 異方性エッチング半導体プロセスT社Kさん
2007.06.16973. 赤外線用光チョッパー光物性N社Mさん
2007.06.11972. ダイヤモンド結晶の末端の価電子状態結晶工学I高校教諭YFさん
2007.06.11971. 半導体プロセスでの異物付着半導体プロセスT社Fさん
2007.06.10970. LUMOが2.3eV以下、HOMOが6eV以上の有機EL材料電気化学D大Yさん
2007.06.08969. LIF法によるZnOのPLD過程の解析結晶成長学K大Sさん
2007.06.07968. ウェットスーツのコア素材の断熱性繊維工学K大Iさん
2007.06.07967. Al合金薄膜の許容電流密度金属工学T社Tさん
2007.06.02966. 半田の高さ金属工学K社Kさん
2007.06.02965. エポキシの熱劣化の活性化エネルギー化学重電機メーカーYさん
2007.05.29964. シリコン基板上の金属膜の加熱光物性S社Tさん
2007.05.29963. 液晶中の光の伝搬の説明光物性H大Mさん
2007.05.26962. 水の気化潜熱と融解潜熱熱物性北大大岡さん
2007.05.26961. 赤外線とX線の透過性光物性盗撮で悩んでいる者さん
2007.05.26960. 表面プラズモンとブリュースター条件光物性C大Mさん
2007.05.25959. ポリ塩化アルミ溶液の比熱有機材料D社伊藤さん
2007.05.25958. 金型と亜鉛メッキの凝着を防ぐには金属工学M社Yさん
2007.05.25957. シリコンのランプ加熱半導体プロセス制御屋CKさん
2007.05.24956. エポキシの熱伝導率熱物性K社袖山さん
2007.05.22955. ホッピング伝導とトンネル伝導電子物性東理大渡邊さん
2007.05.17954. コバールの物性値金属工学貝沼さん
2007.05.16953. 発電の原理電磁気学電気主任Sさん
2007.05.16952. 圧電体の発熱誘電体物性S大Uさん
2007.05.15951. ステンレスの反射率の温度変化光物性S大Uさん
2007.05.14950. タンタルとPTFEの耐食性の比較材料物性D社佐藤さん
2007.05.13949. フッ化アルミと酸化アルミについて電子材料F社Sさん
2007.05.13948. 金及び銀に対する複素屈折率光物性A社Sさん
2007.05.13947. 線膨張係数の温度変化熱物性東北大遠藤さん
2007.05.12946. 負の磁気抵抗効果スピントロニクス東工大Tさん
2007.05.12945. アルミ合金の仕事関数電子物性T高専Fさん
2007.05.08944. シリコンのランプ加熱半導体プロセス制御屋CKさん
2007.04.23943. 半絶縁性GaAsの電流電圧特性電子物性M社Iさん
2007.04.23942. ポリスチレンの放射率光物性T工高Oさん
2007.04.17941. ZnOにおける自由励起子発現の機構光物性電機大Sさん
2007.04.14940. 金属の比抵抗の不純物濃度依存性電子物性R社Iさん
2007.04.14939. Si基板への近赤外フィルタ膜の蒸着成膜技術A社Kさん
2007.04.10938. 高配向性グラファイトの硬さ機械的性質S社井上さん
2007.04.10937. 佐藤退官後「物性なんでもQ&A」はどうなる?一般農工大大田さん
2007.03.30936. ハンダの際に生じる金属間化合物の融点金属物性N社Kさん
2007.03.30935. 酸化亜鉛(ZnO)のA励起子光物性東京電機大Kさん
2007.03.30934. ラマン散乱の解釈光物性A社Kさん
2007.03.30933. テフロンの帯電電磁気学N社Sさん
2007.03.27932. 「塩の結晶と不純物」へのコメント結晶成長学農工大松岡さん
2007.03.22931. 塩の結晶と不純物結晶成長学塩製造会社松浦さん
2007.03.21930. タングステンの複素屈折率光物性A社Sさん
2007.03.14929. PMMAへの金属薄膜の成膜について成膜技術G社Uさん
2007.03.01928. 粉末試料の熱膨張係数熱物性S社Tさん
2007.03.01927. 光の散乱と微粒子のサイズ光物性B社白鳥さん
2007.02.15926. 金線へのハンダ付け金属工学マイコンクラブ川西さん
2007.02.14925. 水の比熱の温度依存性熱的性質S社Oさん
2007.02.14924. 制振メカニズム機械的性質T社Mさん
2007.02.14923. SiO2の弾性機械的性質M大Aさん
2007.02.13922. レジンコンクリートの耐火温度建築材料九工大若林さん
2007.02.13921. 金属内の光吸収光物性T社Kさん
2007.02.13920. pnダイオードの抵抗制限電流領域半導体物性神奈川大遠藤さん
2007.02.13919. フォトダイオードについて光物性N社Kさん
2007.02.06918. 光と磁気第4章4.3についての質問磁気光学T大Yさん
2007.02.06917. 鋼より線の引っ張り強度金属工学D大Sさん
2007.02.06916. 光吸収とキャリア生成光物性K社Mさん
2007.02.06915. 銀の340nmに見られる反射率の低下光物性特許事務所Oさん
2007.02.06914. XPSのピークシフト光物性N大Kさん
2007.02.06913. RFマグネトロンスパッタ装置のプラズマ温度プラズマ物性FセンターIさん
2007.02.06912. bulk thermal conductivityの日本語訳熱物性K社井上さん
2007.02.06911. 深い不純物準位のある場合のアバランシェ現象半導体物性T大Sさん
2007.02.06910. 原子拡散をメモリ等に利用できるか統計物理学アリゾナ州立大小谷さん
2007.02.06909. ポーラス酸化亜鉛の発光光物性N大Kさん
2007.01.19908. PMMAの吸光係数光物性T社後藤さん
2007.01.19907. ラスティーボルトエフェクト電波工学S社Kさん
2007.01.19906. 「#896 ポリウレタンの変色防止」へのコメント化学D社Sさん
2007.01.19905. シリコンと石英ガラスの破壊靱性度機械的性質K大Mさん
2007.01.19904. 太陽電池の低温特性光物性S社Nさん
2007.01.11903. ラマン分光のベースライン光物性S社Hさん
2007.01.11902. 量子ドットにおける光学遷移光物性T大Tさん
2007.01.11901. 太陽電池作製に必要なシリコンの量光エレクトロニクスH高Tさん
2007.01.09900. ストークスパラメータS3の符号光学K社Mさん
2007.01.09899. プラスチックの比透磁率磁性会社員上村さん
2007.01.04898. ステンレスの低温特性金属工学K社Hさん
2007.01.04897. 屈折率測定の誤差光学Mさん
2007.01.04896. ポリウレタンの変色防止(コメント参照化学Sさん
2007.01.04895. 金属加工時の磁化磁性O社竹崎さん
2006.12.22894. GaNの放射率光物性W社Mさん
2006.12.22893. 遠赤外線の放射率光物性井上理恵さん
2006.12.22892. サファイア単結晶のX線回折結晶工学M社Mさん
2006.12.18891. 塩化ビニールの色移り化学K社広部さん
2006.12.18890. 琺瑯ステンレス金属工学O社神崎さん
2006.12.18889. 木粉と樹脂の複合材の処分法林産学M社Mさん
2006.12.18888. 光の散乱と回折光物性ITコンサルタント村上さん
2006.12.18887. アクリルの熱膨張係数熱物性九工大若林さん
2006.12.18886. 石英の蛍光について光物性T社Mさん
2006.12.18885. MOSのC-V特性におけるヒステリシス半導体工学S大Kさん
2006.12.18884. セナルモン法の数式による説明光物性K大Hさん
2006.12.08883. ぬれた砂が黒いわけ光物性長崎大長野さん
2006.12.08882. Siの誘電関数について光物性T社Mさん
2006.12.08881. 液化二酸化炭素の粘度流体物性D社倉地さん
2006.12.04880. ZnO薄膜の応用性結晶工学京大村中さん
2006.11.30879. スイッチ部材へのステンレスの導入金属工学K社Oさん
2006.11.30878. モスアイ(蛾の眼)構造による反射防止光物性S社Kさん
2006.11.28877. 水晶の剪断弾性係数機械的性質C社Hさん
2006.11.28876. 熱電効果の論文の式の意味熱物性K大Kさん
2006.11.21875. 18-8ステンレスの食品安全性食品安全学Sさん
2006.11.21874. ベーテ・スレータ曲線について磁性F社Yさん
2006.11.21873. 蒸着における母材と金属の密着メカニズム薄膜工学O社Tさん
2006.11.21872. 相図の見方結晶工学S社斎藤さん
2006.11.21871. pn接合の光電流光物性東工大照井さん
2006.11.21870. 近赤外線の路面反射光物性N大Sさん
2006.11.21869. 温度勾配のある導体の電位差熱物性M大Kさん
2006.11.21868. 磁性材料の相転移磁性O大Tさん
2006.11.21867. 熱サイクルによるハンダの物性変化金属工学O大Nさん
2006.11.21866. 熱交換器伝熱面積熱工学N社Tさん
2006.11.09865. 弾性係数測定の誤差機械的性質F大学Kさん
2006.11.09864. 白色で近赤外吸収のある酸化物光物性岐阜大杉浦さん
2006.11.01863. 塩化ビニールのヤング率とポワソン比機械的性質S社本田さん
2006.11.01862. 光学的異方性フィルムの屈折率測定光物性N大Oさん
2006.11.01861. 酸化チタンのバンドギャップ決定法光物性O大Hさん
2006.10.25860. 微粒子の消磁効果磁性T大Wさん
2006.10.25859. シリコンの純度結晶工学S社Oさん
2006.10.25858. ランダム偏光から円偏光光学S社S
2006.10.16857. 細線に大きな電流を流すと切れるわけ電気工学中央大西岡さん
2006.10.13856. シャボン玉の物理物理学一般理系高校生松井さん
2006.10.12855. 熱伝導と誘電率熱物性H大学Tさん
2006.10.12854. シリコンゴムの耐腐蝕性化学Sさん
2006.10.10853. 拡散反射の偏光性光物性T大Yさん
2006.10.10852. 光と磁気(改訂版第1刷)第4章の誤植訂正磁気光学T大Yさん
2006.10.10851. 半導体への励起光の侵入長光物性P社Iさん
2006.10.10850. TiCの格子定数結晶工学I大Sさん
2006.10.10849. フタロシアニンの昇華温度化学I高専Tさん
2006.10.10848. 弾性定数の数値計算機械物性H大Fさん
2006.10.10847. アルミニウムの熱伝導率測定熱物性Y大Hさん
2006.10.10846. MOD成膜したPMNZTの表面モルホロジー結晶工学H大Hさん
2006.10.10845. 中炭素鋼の熱膨張係数熱物性Y社金田さん
2006.10.10844. 入射角によるアルミニウムの反射率の変化光物性S社Tさん
2006.10.10843. フォノン閉じ込めモデルによるラマン散乱スペクトル光物性N大学Eさん
2006.10.10842. Q179「炭素のマイクロ波加熱」への質問電磁気学H社Oさん
2006.10.10841. CdTeの電析について電気化学K大学Aさん
2006.09.20840. 活性炭素繊維の光導電性は測定できるか光物性K大学Mさん
2006.09.06839. ストロンチウムフェライトの物性値磁性T社Tさん
2006.09.04838. アクリルの熱伝導率熱物性C社坂巻さん
2006.09.04837. 真空蒸着の最適蒸着速度真空工学D大学Sさん
2006.09.04836. スパッタ装置の電源の極性真空工学猪俣さん
2006.08.31835. 磁気異方性物質に旋光性が発現する理由について磁気光学T社Hさん
2006.08.31834. アモルファスシリコンpinダイオードにおける
大電流でのI-V特性
半導体デバイスG社上山さん
2006.08.31833. 負分散ミラー光物性A社Hさん
2006.08.18832. プラズマポテンシャルとセルフバイアスイオン工学R社Sさん
2006.08.17831. 線材の長さの見積もり方数学基礎E社中川さん
2006.08.17830. ステンレスSUS316の熱膨張熱物性E社中川さん
2006.08.17829. パンチスルー現象電子工学日大荻原さん
2006.08.11828. アルミニウム酸化被膜の耐食性化学S社Nさん
2006.08.11827. 真空中での水の凝固物性一般D社Tさん
2006.08.11826. 半導体中の空間電荷制限電流の温度依存性固体物性T大Sさん
2006.08.11825. Fe磁石の導電性、コイル内の磁束の不均一性電磁気学M社Tさん
2006.08.11824. DVD-RAM記録層はAFMで観察できるか結晶工学S社Yさん
2006.08.04823. Crのプラズマ周波数光物性A社Hさん
2006.08.03822. ボルタ電池でなぜ電子が移動するのか電磁気学R社Tさん
2006.08.01821. アルミ鋳造合金のポワソン比金属物性M社Kさん
2006.07.31820. 表面プラズモンの分散式光物性W大Sさん
2006.07.31819. マイクロ波領域の半波長板電磁気学M社Sさん
2006.07.31818. DVD-RAM材料の結晶工学光物性S社Yさん
2006.07.31817. 金属探針への電場変調による電磁波発生電磁気学T大Aさん
2006.07.31816. 残留応力付与による金属通過センサ出力の変化電磁気学T社Fさん
2006.07.24815. コイルの磁束漏れの計算法電磁気学電機メーカーTさん
2006.07.24814. ステンレスはなぜ磁石につかないか磁性I社Kさん
2006.07.11813. 金属の水素吸蔵メカニズム化学半導体メーカSさん
2006.07.05812. アロットプロットについて磁性O大Tさん
2006.07.05811. 窒化珪素の合成法化学K大Mさん
2006.07.05810. 誘電体の絶縁性誘電体物性T社Mさん
2006.07.05809. 標準白色板を参照試料とした分光反射率測定光物性N大Hさん
2006.07.03807. トランジスタの電流増幅の仕組み電子工学F大学Hさん
2006.06.30806. MnSi1.7の格子定数の決定法結晶工学K大学Nさん
2006.06.29805. メチルジフェニルイソシアネート合成
のための反応器の材質
化学H大学Hさん
2006.06.29804. アルミ線と銅フレームとのボンディング金属工学H社Wさん
2006.06.26803. アルミ板上でのネオジム磁石の運動電磁気学K大学Nさん
2006.06.22802. 豆電球の非線形性金属物性東京工科大Aさん
2006.06.23801C. nandemoQ&APart3.html#801へのコメント熱物性化学会社Sさん
2006.06.21801. シリコーンオイルのDSC曲線の解釈(コメント参照)熱物性大阪工大岡島さん
2006.06.20800. 金のX線吸収端X線物理姫路工大藤井さん
2006.06.20799. 原子吸光分析装置のデータのばらつき計測化学品メーカIさん
2006.06.19798. アモルファス太陽電池のpin構造半導体物性H大Oさん
2006.06.16797. 金属の複素屈折率光物性大阪工大林さん
2006.06.16796. フェライトガーネットについて磁性T大Tさん
2006.06.15795. 太陽電池材料に関する質問半導体物性H大Oさん
2006.06.14794. 塩化ビニールの弾性係数機械的性質T社田中さん
2006.06.14793. 豚レバーの赤外分光特性光物性原子力施設赤津さん
2006.06.14792. 干渉縞とスペクトル幅光物性K大学Yさん
2006.05.27791. 金属で可視光が透過する厚み光物性N大Mさん
2006.05.27790. ガラスの磁気複屈折光物性Kさん
2006.05.27789. LSC を用いた試料測定の際の減衰率放射線計測C大Hさん
2006.05.27788. Al薄膜の応力緩和速度金属工学H社Oさん
2006.05.27787. 光触媒について化学K大Wさん
2006.05.27786. Niメッキの酸化化学S社Nさん
2006.05.17785. 電気泳動法によるコロイド結晶の作製化学K高専Yさん
2006.05.15784. 2光子吸収の減衰率光物性U大Tさん
2006.05.11783. 熱伝導性のよいポリエステル糸有機材料DSさん
2006.05.10782. NiOの誘電率誘電性N社Mさん
2006.05.10781. 真空蒸着中の真空度低下結晶工学愛工大溝尻さん
2006.05.08780. ITOの熱処理と着色光物性阪大斎藤さん
2006.05.08779. アルミニウムの線膨張係数熱物性宇都宮大伊藤さん
2006.05.08778. 重ね合わせの理が非線形回路では成立しない理由電気回路F大Hさん
2006.05.08777. 3dx2-y2、3dz2軌道の名前の由来物性基礎K大Oさん
2006.04.26776. ステンレス材SUS404の物性値金属工学O社Mさん
2006.04.26775. 太陽光のコヒーレンス長光学M社Yさん
2006.04.20774. 水中の電波伝搬電磁気学S社Tさん
2006.04.07773. 金属材料のマイクロ波焼結結晶工学H社Oさん
2006.04.07772. 窒化珪素の硬度 機械物性K大Kさん
2006.04.07771. アルミの電気特性の面積による違い 計測N社Nさん
2006.04.07770. 鋼材の硬度測定 金属物性K社Nさん
2006.04.07769. なんでもQ&A#676.薄膜の多重干渉の式の修正光物性マクセル萬様
2006.03.31768. フラットパネルディスプレイと無機材料光デバイスY社Mさん
2006.03.30767. 電源電圧の作り方によるトランス出力の違い電気回路佐藤さん
2006.03.17766. レーザ高調波のスペクトル幅光物性S大Sさん
2006.03.17765. チタンの複素屈折率光物性A社Sさん
2006.03.11764. 削除  
2006.03.11763. 準定常電流近似と変位電流電磁気学C社Nさん
2006.03.11762. 異方性・吸収性媒質に入射した際の、異常光線の吸収係数光学O大Kさん
2006.03.11761. 金属の熱処理による物性変化金属工学田原金属、田原さん
2006.03.11760. アルミニウム棒加工後の変形金属物性F社Nさん
2006.03.11759. アルミニウムの見分け方金属物性K社Kさん
2006.03.11758. 薄層クロマトグラフについて化学D社Sさん
2006.03.11757. GaAlNの電子親和力半導体物性法政大佐藤さん
2006.02.20756. 分光光度計用石英セル光物性D社Sさん
2006.02.20755. フロロシリコンの耐溶剤性化学東京システム開発中村さん
2006.02.20754. 束縛励起子を束縛する力光物性N大学Eさん
2006.02.16753. BaFe12-2xCoxTixO19の磁気物性磁気物性I大学Wさん
2006.02.16752. 色素増感太陽電池の対極の役割光物性D大学Nさん
2006.02.16751. アモルファス半導体のキャリア濃度半導体物性R大学Tさん
2006.02.06750. 金より高い標準電極電位をもつ金属電気化学バブルタンク社藤里さん
2006.02.06749. 有機ELとプラズモン光物性K大Nさん
2006.02.06748. 強磁性体のヤング率Eの低下(凾d効果)磁性弘前大Hさん
2006.02.02747. GaNのヤング率半導体物性P社Tさん
2006.02.02746. Geの非放物線パラメータ半導体物性神戸大サムコンさん
2006.02.02745. 空気中に放置したアルミニウム塊の温度熱物性N社Yさん
2006.02.01744. モリブデンの光学定数光物性神戸大Tさん
2006.02.01743. 塩化ビニールの比透磁率磁気物性T社井上さん
2006.01.31742. クラマースクローニヒ解析光物性大産大柏木
2006.01.31741. 屈折率分散、粗表面を伴う多重干渉光物性H社Mさん
2006.01.31740. 誘電泳動現象誘電物性東工大伊藤さん
2006.01.30739. 溶解度ギャップと臨界温度結晶成長学K大Kさん
2006.01.30738. BaTiO3多結晶の比誘電率誘電物性Y大Tさん
2006.01.30737. HoFeO3の相転移温度磁気物性K大Oさん
2006.01.30736. 溶接影響部の靱性金属工学H社Mさん
2006.01.25735. 光弾性定数の単位光物性T社Yさん
2006.01.25734. PZTのエッチャントプロセスM社Aさん
2006.01.24733. シェラーの式について結晶学奈良先端大高橋さん
2006.01.24732. 電磁シールドにゴムは使えるか電磁気学自営業立岡さん
2006.01.24731. In2O3の誘電率セラミクスK大Kさん
2006.01.23730. 屈折率から干渉縞を求めるには光物性N大Wさん
2006.01.23729. P形半導体のショットキーダイオード半導体デバイスH社Oん
2006.01.18728. 金属の種類とショットキー接合電子物性A高専Oさん
2006.01.18727. 「物性」とは一般翻訳者Mさん
2006.01.18726. ステンレス材SUS321溶接後の磁化金属物性K社Mさん
2006.01.18725. 酸化亜鉛[ZnO]の光化学反応成長のための基板について結晶成長N大Hさん
2006.01.17724. 完全導体と超伝導のちがい超伝導O大Mさん
2006.01.17723. ITO電極の導電率,誘電率,透磁率光物性K大Hさん
2006.01.17722. 亜鉛置換フェライトと亜鉛が混入しないフェライト
との磁束密度の差異
磁性N短大Oさん
2006.01.17721. 水、氷、雪の誘電率誘電特性笠井さん
2006.01.16720.放射線によるオーステナイト体積率測定金属工学I大Iさん
2006.01.13719. 誘電正接の大きな素材誘電体Y大学Kさん
2006.01.13718. 蛍光波長の励起波長依存性光物性D大Kさん
2006.01.13717. 高い誘電率の金属素材電磁気学O社Kさん
2006.01.11716. 鉄、アルミ、銅の複素屈折率光物性A社Sさん
2006.01.10715. 水滴接触角の表面モルフォロジー依存性流体物性京大六門さん
2006.01.10714. 屈折率による水晶の厚み測定光学D社Nさん
2006.01.10713. 鉛フリーハンダのヤング率金属工学学芸大李さん
2006.01.10712. Ta2O3のヤング率セラミクスN大Tさん
2006.01.07711. 半波長板について光学S大学Sさん
2006.01.07710. シリコンの屈折率と消光係数光物性A社Sさん
2006.01.06709. なぜZnOはn型で、NiOはp型か半導体物性R大Sさん
2006.01.05708. 吸光度測定のための至適濃度光物性城西大渋谷さん
2006.01.05707. 無酸素銅の機械的特性金属物性Y社Tさん
2005.12.26706. 物性値のナノ領域への適用限界材料物性会社員Mさん
2005.12.26705. ニッケルの降伏応力金属物性K大Kさん
2005.12.22704. 銀の固相接合金属物性O社Iさん
2005.12.22703. 軟X線と硬X線のちがいX線H大学Iさん
2005.12.22702. ステンレス鋼の焼け金属物性半導体製造装置メーカKさん
2005.12.22701. 密閉したプラスチック容器の空気圧による変形物性基礎N社Kさん
2005.12.19700. 液体ヘリウム温度における銅の抵抗率金属物性名大山口さん

  • 1000. 白色LEDについて


    Date: 2007/09/05 9:34
    Q: 佐藤先生、突然のメール失礼いたします。
    先生のホームページを拝見させていただきました。どうか、質問よろしくお願いいたします。

    現在、N**大学3年生のH**と申します。
    Web上にアップする際は、匿名でお願いいたします。
    白色LEDについて勉強してます。
    現在は、青色LEDに黄色蛍光体をかぶせる形で、白色光を得ているのが主流と分かりました。
    さらに勉強を進めましたら、以下の2点の問題により、青色LEDではなく紫外光LEDを元として、
    白色LEDを作成したいように(研究者の方々は)思ってるようなのです。

    @青色発光のパワーを強めることは難しい。
    A460nm(青色)で、効率的に励起する適当な蛍光体はなかなかない。

    なぜ、青色では、@、Aのような状態になるのでしょうか?
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/07 10:36
    A: H君、佐藤勝昭です。
     @青色のパワーは十分あると思います。ただ、青色を使って、黄色を励起するので、 青と黄色のパワー分配のバランスがむずかしいということがあるのではないでしょうか 。紫外線でRGB蛍光体を別々に励起すればパワーの分配がやりやすいと思います。
     A蛍光体としてはいろいろのものがありますが、主として希土類系が使われますが、 ちょうど470nm付近に励起帯をもつものは、少ないということです。紫外励起なら色ん な蛍光体が使えます。
     B紫外でRGB三色を励起する方が演色性がよいというのが開発の主目的です。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/09 19:28
    AA: 佐藤先生、お早いお返事ありがとうございました!!
    現在、自分なりに勉強はしているのですが、まだまだ知識量が足りない状態です。
    したがって、きちんとした質問を行うことができない状態のように思いました。
    また、質問が出てきましたら、メールさせていただいてもよろしいでしょうか?是非とも、 よろしくお願いいたします!
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/10 10:08
    Q2: Hです。

    自分なりに勉強しまして、また分からないところが出てきました。現在、うちの大学 の授業で、半導体の授業を履修しているのですが、この授業をしていただいてる教授 にも質問に行ったのですが、よく分からない、という回答でした。

    質問@ 現在、白色LEDと緑色蛍光体に関する英語論文を読んでいます。
    SrAl2O4:Eu2+ (2価のEuをドープしたアルミン酸ストロンチウム)という緑色蛍光体を 用いて、InGaN UV-LED の上に乗せ、 紫外励起の緑色LEDを作製するという論文です。
    ここで疑問なのは、なぜ、2価の Euなのに、緑色(下図516nm前後)なのか?ということです。
    2価のEuの最低励起状態と基底状態のエネルギー差は、430nm前後と思います。うち の先生にも伺ったのですが、分からない、という回答でした。
    以下の図の、516nmがEu2+、614nmがEu3+の影響と書いてありました。
    Fig.5

    質問A
    SrAl2O4:Eu2+ 粉末の励起-発光スペクトル図が以下です。
    Fig.3 この緑色蛍光体粉末を、エポキシ樹脂で、熱硬化させて緑色LEDを作製していま す。そして、その緑色LEDの発光スペクトルが質問@にもあります以下の図です。
    Fig.5 疑問点は、なぜ粉末状のときは、614nmの赤色が発光せず、緑色LEDにしたら発光 するのでしょうか?
    エポキシ樹脂で120℃で熱硬化(これも疑問です。InGaN UV-LEDを120℃の高温にさら して壊れないのか?、と不思議です。)
    したことが原因なのでしょうか?と言いますのは、粉末作製の際に、還元環境下 (Eu3+より不安定なEu2+ を多く残すために)で作製されています。それを高温状態 にするということは、酸化され、Eu3+が増えたから、ということなのでしょうか?と 考えているのですが、正しいのでしょうか?

    質問B また、この論文では、完成した緑色LEDの発光スペクトル図(質問@の Fig.5) より、結論として、
    「 All the characteristics indicate that SrAl2O4:Eu2+ is a good candidate phosphor that can be applied in white LEDs. 」
    と書かれてます。しかし、この図から、何がどう良い候補の蛍光体(good candidate phosphor)なのか分からないのです。自分なりに考えるには、InGaN UV-LED は市販されている と思いますし、よって比較的強力な紫外光を出すのではないか?と思います。よって、上図 を見ますと、その強いとされるInGaN UV-LEDの発光強度と同じくらいの緑色発光 を出しているように思えます。516nm前後と397nm前後を積分したら、圧倒的に516nm 前後の積分量が上まっているように思えます。したがって、この緑色LEDの発 光効率は緑色LEDとして使用するには、十分に期待が持てる、ということなのかな ?と考えています。この考えで正しいのでしょうか?
    (添付ファイル:Z.C.Wu et al., Materials Letters 60 (2006) 3499-3501)
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/11 1:43
    A2: H君、佐藤勝昭です。
     論文を読みました。
     この論文は、電子系の学部3年生にはちょっと難しいかもしれませんね。
     @ 2価のEuの励起状態が430nm(青)というのは、出典はなんでしょうか? f-f遷移を考えておられるのでしょうか?f-d遷移(正確には4f65d1→4f7遷移)を 考えた場合には、配位子が何であるかによって、赤、緑、青のいろんな遷移を示 します。4f電子状態は原子核に強く束縛され結合の影響を受けないのですが、5d 電子状態は配位子のp電子状態と結合して結晶場分裂を受けているため、f-f遷移 の第1励起状態よりかなり低エネルギーに励起状態を作ります。EuSではEu2+のf -d遷移は赤の発光を示しますし、SrS:Eu2+では緑の発光を示します。私は、以 前、SrGa2S4:Eu2+単結晶を作ったことがありますが、f-d遷移による美しい緑色 発光を示しました。SrAl2O4でもSrのサイトをEuが置換すると励起状態は緑色に 来ると思います。
     A Fig.3の粉末のPLスペクトルは、ジョバン・イボンの蛍光分光装置で測定し たものです。(b)は励起波長が365nm、(c)は励起波長が397nmの単色光源で励起し たときのPLスペクトルです。一方、Fig.5はUV-InGaN LEDを励起光源としたとき のスペクトルです。LEDのスペクトルは決して単色光源ではありません。色々の 波長が含まれています。Eu3+の4f6状態の吸収帯(7F0→5D3遷移)は408nm付近にあ り、LEDの397nmのピークの裾にかかっているので、5D3状態が励起され、5D0状態 に緩和し、5D0→7F2の発光(614nm)を起こすのだろうと思います。熱硬化樹脂によ る影響ではないでしょう。
     B これまでの黄色と青を合成した白色LEDでは緑の成分が少ないため、この白 色光源で照らすと緑がくすんで見えるという演色性の悪さが問題でしたから、こ の緑色蛍光体を黄色蛍光体とともに利用すれば演色性が改善されるので、good candidate phosphor that can be applied in white LED's (白色LEDに応用する ことができるよい候補)と書いたのでしょう。
    ----------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/12 12:13
    AA: Hです。
    先生ありがとうございました。
    自分は、この論文翻訳するのに、1週間くらいかかったのですが、先生は、こんなに すぐに理解してしまわれるのですね・・・
    本当に尊敬します。
    貴重なお時間を割いていただきまして、本当にありがとうございました。
    ------------------------------------------------------------------------
  • 1001. ZnO透明導電膜について


    Date: 2007/09/06 13:43
    Q: 佐藤先生

    以前もメールさせていただいたK*大学大学院博士前期課程2年のS**と申します。
    再び質問させていただきたいと思いメール差し上げています。
    HPにアップする場合は大学名・氏名は匿名で掲載していただければ幸いです。

    今も酸化亜鉛の成膜を行い、透明導電膜の研究をやっているのですが 論文などを調べても詳しい内容が分からないことがありましたので質問させていただきました。
    酸化亜鉛(ZnO)にアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)をドープして低抵抗な透明導電膜を作製する研究は 非常によく行われているのですが、なぜAlやGaなどのV族の元素をドープすれば抵抗が低くなるのか いまいち納得できる解説が見つかりません。
    専門外かもしれませんが、よろしければ佐藤先生のアドバイスをいただきたいと考えています。
    よろしくお願いいたします。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/06 21:57
    A: S君、佐藤勝昭です。
     坂井君は、半導体の不純物ドーピングは勉強したことがありますよね。
    ZnOの亜鉛の格子位置をAlが置換したとしますと、Znは2属、Alは3属なので Alの原子核はまわりのZnに比べて+1価だけ電荷が大きいので、このまわりに 電子が引きつけられて、中性ドナーとなります。室温ではドナーに 捕まっていた電子が伝導帯に供給されて、低抵抗になるのです。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/07 11:05
    Q2: 佐藤先生

    丁寧な回答ありがとうございました。
    続けて質問なのですが、電子が伝導帯に供給されると低抵抗にはなると思いますが、 キャリア密度が高くなりすぎると薄膜が着色してしまうと思うのですが、そのよ うな問題は大丈夫なのでしょうか。
    一般的にキャリア密度がn=1021 cm-3 を超えると色がついてしまい、あまりに キャリア密度が上昇すると透明導電膜としては使用できないと思うのですが。
    透明で低抵抗を実現するには、やはり移動度を高くするという発想が大切になるのですか。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/07 15:22
    A2: S君、佐藤勝昭(応用物理学会@札幌)です。
     キャリアをドープすることによる着色は、自由キャリア吸収によるもので、キャリア 密度が高いほど赤外に向かってλ^2で増大するような吸収を作ります。導電率σはキャ リア密度nと移動度μを使って
       σ=neμ
    と表されるので、自由キャリア吸収を増やさずに導電率を高める(=低抵抗化する)に は移動度μを大きくする必要があるのです。そのためには、ZnOの結晶性を高くする必 要があります。
    ------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/07 16:01
    Q3: 佐藤先生
    Sです。
    お忙しい中、返信ありがとうございます。
    ZnOを透明導電膜として使用するには、1021 cm-3オーダ程度のキャリア密度と 低抵抗率が必須条件であるので、そのためにはσ=enμから移動度μを高くしないといけないこ とは分かりました。
    ただ、移動度μというのは結晶化の度合いに関係するのでしょうか。
    我々のコンセプトとして低温成膜(100度以下)で透明導電膜を実現したいのですが、 低温成膜だと結晶化があまり進まないので移動度の向上は難しくなってくるのでしょうか。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/07 20:29
    A3: S君、佐藤勝昭です。
     一般論として100℃という低温では、基板上を原子が拡散するのに十分なエネルギー が得られないのでグレインサイズが小さく、欠陥の多い膜になると思います。しかし、 あなたの指導教員が、その温度でやれというのでしたら、きっと成膜技術に自信がおあ りなのでしょうから、私がとやかく言えるものではありません。指導教員と十分に話し 合ってください。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/10 10:10
    AA: 佐藤先生
    Sです
    返信が遅れて申し訳ありません。
    我々の考えてしては100度以下で結晶化させようという考え方は少ないです。
    しかし、完全に結晶化させずとも透明で低抵抗な膜が得られれば、透明導電膜として の機能は果たせるのではないかと考えているところです。しかし結晶化と移動度μが 大きく関係してくるとなれば他の方法も考えなければいけないと考えています。
    いろいろ参考になりました。ありがとうございました。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1002. 酸化チタンの伝導帯位置の決め方


    Date: 2007/09/12 12:43
    Q: 佐藤先生はじめまして。
    物性なんでもQ&Aいつも研究の参考のため参考にさせていただいております。
    T*大学4年のS**と申します。
    webにアップロードされる際は匿名でお願いします。
     私は卒業研究で半導体光触媒の可視光増感に取り組んでいるのですが, 恥ずかしながら研究で用いている酸化チタン,酸化タングステンの正確なコンダクションバンドの値の算出法がわからず、 光励起時の電子移動を明確に説明できません。
     自分の大学に仕事関数測定装置はあるのですが,電子親和力を測定することが出来ず、正確な値にちかづけることが出来ませんでした。(イオン化エネルギーは測定できるらしいのですが・・・)
     つきましては、コンダクションバンドの正確な値の仕事関数、及びイオン化エネルギーから求める算出法、もしくは関連するし両党ございましたらお教え願えないでしょうか。
     つたない文章で失礼いたしました。よろしくお願いいたします。
    ------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/13 0:10
    A: S君、佐藤勝昭です。
     卒業研究に関して出てきた疑問は、本来、指導教員に質問すべきものですし、 指導教員もテーマとして与えた限り、学生にきちんと説明する責務があります。
     金属の仕事関数の測定法の最新の解説は、応用物理学会誌の2007年4月号に 載っています。
    吉武道子:デバイス電極材料と仕事関数;応用物理、第76巻、第4号、p.0399- 0404 (2007)
     半導体の仕事関数は、バンドギャップ中にあるフェルミ準位と真空準位とのエ ネルギー差が仕事関数となるので、仕事関数だけからは伝導帯の位置が決められ ないのです。光電子分光または逆光電子分光などでフェルミの位置を正確に決める必要があります。
    ------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1003. シリコン研磨発生時の物質の処理


    Date: 2007/09/11 17:49
    Q: こんにちは。
    はじめまして、私はE社Oと申します。
    去年の11月ころからシリコン材料(OG)の販売開始しました、 今回は回収先の業者からシリコンと酸化アルミの粉(シリコン研磨時発生後の物です。)
    上記の品物の再生利用可能性はありますか?との質問でございます。
    つきましては、佐藤研究室様に、シリコン研磨時発生後の物でご教授を頂戴いたしたく、お願い申し上げます。
    佐藤研究室様のご協力のほどを切にお願い申し上げます。
    敬具
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/16 10:09
    A: O様、佐藤勝昭です。  私は、農工大を定年になり(現在は特任教授です)、研究室を持って いません。従って、直接お手伝いはできませんが、参考になる情報をお 教えしましょう。
     大阪大学大学院工学研究科環境エネルギー工学専攻の西嶋茂宏研究室 では超伝導磁石から出る強い磁界を用いて、シリコンと研磨剤、さらに は、切断の際に混入した鉄などを分離する研究を行っておられます。 ご相談されるとよいでしょう。
     メールアドレスは、nishijima@see.eng.osaka-u.ac.jpです。 ホームページは、http://www.nucl.eng.osaka-u.ac.jp/04/index.html です。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/18 14:45
    AA: 独立行政法人 科学技術振興機構
    佐藤勝昭(工博)様
    拝啓 仲秋の候 ますますご健勝のこととお喜び申し上げます
     このたびは誠に勝手きわまるお願いを申しあげましたにもかかわらず、お聞き届け くださいまして、心から感謝いたしております。
     おかげさまで、貴重なご意見を多数頂戴することができました。今 後は、これらのご意見を参考に、よりきめ細かで、お客様のご期待に そえる商品開発を始め、営業・サービス体制を確立してまいりたいと 存じます。
     本来、貴社へお伺いしてお礼申し上げるべきところ、略儀にて誠に 失礼ではございますが、書面にて御礼申し上げます。
     どうぞこれからも、忌憚のないご指導ご鞭撻を賜りますようお願い 申し上げます。
    敬具
    ----------------------------------------------------------------------------------------
  • 1004. Al-Cu合金鋳造の際の成分の偏り


    Date: 2007/9/18 8:44
    Q: 佐藤先生
    はじめまして、鰍r***のS*と申します。(匿名希望)
    弊社は鋳造業を営んでおります。
    先日、疑問があったので材料学の本やWEBで調べてる最中に 先生のHPを拝見させて頂きました。
    もしよろしければ回答を御願い致します。

    合金鋳物を鋳造する時に、成分が偏る理由が知りたいのです。
    例えば、Al-CuでCuが10%の時に製品を鋳造すると、 鋳物のある部分では5%で違う部分では15%になったりする事が多々あります。
    ちなみに、母材はメーカーの保証付きのAl-Cu90-10のインゴット合金です。
    テストピースは問題なく90-10です。
    Al-Mg系でマグネが飛ぶ時とは異なるようです。
    御教え願えれば幸いです。よろしく御願い致します。
    ----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/19 1:37
    A: S様、佐藤勝昭です。

    クリックすると拡大します
     私は、金属工学の専門家ではありませんので、正しくお答えできる かどうかわかりませんが、一応私の知識の範囲でお答えします。
    添付図はAl-Cuの合金状態図(いわゆる相図)です。
    (http://tptc.iit.edu/Center/research/PhaseDiagram/Content/result/Al-Ni-Cu%20system/Al-Cu.gif による)
    加工用Al-Cu合金の場合、Cu組成が少ないので、合金状態図のα相 の状態を保つことが出来ますが、鋳造用Al-Cu合金は、Cu含有量が 多いので、出発融液の温度によってはα相を保てず、共晶組成の 合金が固化することになるのではないかと存じます。
    例えば、90-10合金を700℃で融解し徐冷したとしますと、液相線に 達したところで、α相のAl(Cuをわずかに含む)を析出しながら、液 相線に沿って降下し共晶点に達します。共晶点から急冷すると Cu18%のAl-Cuが得られます。もし、共晶点から徐冷すると、α相と θ相(Cu33%の金属間化合物)が析出します。

    合金状態図とにらめっこしながらよく考えてみてください。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/19 9:21
    AA: 佐藤先生
    御多忙の中、早速の御返事、ありがとうございました。
    おっしゃる通り、状態図を見て、考えてみます。
    ありがとうございました。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
  • 1005. 37℃の水に23℃の水入り小瓶を入れたときの温度


    Date: 2007/09/18 17:00
    Q: 東京農工大学名誉教授 佐藤様
    はじめまして。私はS***(株)のK*と申します。(社名、名前は匿名でお願いします。)
    私は物理・化学・数学等全てにおいて無知ですが、縁あって分析関係の仕事をしています。
    仕事内容とは関係ないのですが、上司から、水槽中に物体を入れるとどれくらい温度が下がるのかを 算出しなさいと言われました。水槽の体積や物の比表面積、熱伝導率など関係するとは思うのですが、 相談することも出来ず、ひたすらインターネットで算出方法・例など探しましたがやはり基礎知識も乏しく、 さっぱりわかりません。
    例えば37℃の水が2L水槽に入っていて、23℃の水を30mL入れたガラス瓶を1つ入れると何℃下がるのでしょうか? 低レベルな質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
    ------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/18 18:03
    A: 水の比熱をC(=4.2J/K・g)としておきましょう。2[L]の水の熱容量は、比重を1として2000C[J]です。37℃の水が、 水の入った瓶を入れたことでt[℃]になったとすると、ガラス瓶に移動した熱量は、ΔQ1=2000C(37-t)です。
    一方、ガラス瓶30[mL]の水の熱容量は、瓶のガラスの熱容量を無視すれば、30C[J/K]ですから、 23℃の水がt℃になったとすると増加した熱量はΔQ2=30C(t-23)です。
    ΔQ1=ΔQ2なので、2000C(37-t)=30C(t-23) よりt=36.79
    すなわち、23℃の水30mLを入れたことで、全体の温度は36.79℃になります。
    従って、低下した温度はΔT=37-36.79=0.21℃です。
    (瓶の熱容量が大きいとこの計算は成り立ちません。また、厳密には比熱Cは温度の関数なので、 水槽と小瓶の水の比熱Cは異なりますが、およその見積もりではこの違いは無視できます。)
    ------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/09/19 9:24
    AA: 東京農工大学名誉教授 佐藤様
    ありがとうございます。難しく考えすぎたのかもしれませんね。
    回答の例を参考に再度計算したいと思います。
    ありがとうございました。
    ------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1006. 鉄-アルミの金属間化合物の物性値


    Date: 2007/09/27 22:04
    Q: 佐藤先生
     はじめまして。T社研究所のT*と申します。
    金属の表面処理の開発を行っているものです。

    お願いは
    ・ 鉄-アルミの金属間化合物(FeAl3、Fe2Al5、FeAl2、FeAl、Fe3Al)の熱膨張係数
      破壊靭性値、硬さなどの物性値が知りたいのですが、そうした値が載っている
      ハンドブックないし文献をご存じないでしょうか?

    です。よろしくお願いいたします。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/05 14:34
    A: T様、佐藤勝昭です。
     海外出張のため、お返事が遅くなりました。鉄−アルミニウム合金の 物性については1957年のフォード自動車による研究があります。

    Ion-Aluminum Alloy Systems, Part 1, Fundamental Studies and Alloy Development
    Corporate Author : FORD MOTOR CO DEARBORN MI
    Personal Author(s) : KAYSER, F.X.
    Report Date : MAY 1957
    Descriptors : *ALUMINUM ALLOYS, *IRON ALLOYS, MAGNETIC PROPERTIES, MECHANICAL PROPERTIES, METALLURGY, TRANSFORMATIONS.

    Ion-Aluminum Alloy Systems, Part 2, Some Investigations in Air-melting and Application of Iron-Aluminum Alloys
    Corporate Author : FORD MOTOR CO DEARBORN MICH
    Personal Author(s) : CLARK,JOSEPH J. ; ZAGER,WILLIAM J.
    Report Date : MAY 1957
    Descriptors : *ALUMINUM ALLOYS, *IRON ALLOYS, MACHINING, MECHANICAL PROPERTIES, MELTING

    Ion-Aluminum Alloy Systems, Part 3. Welding of Iron-Aluminum Alloys
    Corporate Author : FORD MOTOR CO DEARBORN MI
    Personal Author(s) : BURTHWICK, R. ; GOODMAN, S.
    Report Date : MAY 1957
    Descriptors : *ALUMINUM ALLOYS, *IRON ALLOYS, MECHANICAL PROPERTIES, METALLURGY, TESTS, WELDING.

    T社なら入手可能ではないでしょうか。

    また、West Virginia大学の学位論文に下記のものがあります。
    Title: Magnetostriction and Thermal Expansion from 77 K to Room Temperature of Ordered Iron Aluminum Alloys Containing 25 Atomic % Aluminum.
    Authors: Cook, Jason Michael
    Affiliation: WEST VIRGINIA UNIVERSITY.
    Publication: Thesis (PH.D.)--WEST VIRGINIA UNIVERSITY, 1979.Source:
    Dissertation Abstracts International, Volume: 40-12, Section: B, page:5727.
    Publication Date: 00/1979
    Category: Physics: Condensed Matter
    Origin: UMI
    Bibliographic Code: 1979PhDT.......189C

    これは、大学に問い合わせるしかないですね。

    添付のpdfは
    Thermal Expansion of Aluminum and Some Aluminum Alloys Peter Hidnert and H. S. Krider
    です。参考になれば幸いです。
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    Date: 2007/10/08 15:17
    AA: 佐藤先生
     Fe-Alに関する文献ありがとうございます。
    この文献たよりにいくつかあたってみます。
    Fe-Al金属間化合物は、最近AlとFeの異種材接合などで 接合部の靭性を低下させるものとして嫌われ、その対策 などが進められていますが、そもそもなぜFe-Alはだめなのか またいろいろあるなかで、どの化合物が問題なのかなど 知っておく必要があり、メールしたしだいです。
    また、お願いする機会もあろうかと思いますが 今後ともよろしくお願いいたします。

    お忙しいなかご返事いただきありがとうございました。
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  • 1007. 磁性ガーネットの磁気光学スペクトルの光入射方向依存性


    Date: 2007/10/02 11:36
    Q: 佐藤勝昭様
    T社Sです。
    製品製造現場からの質問なので、匿名で済みませんが、お願いします。
    希土BiFeガーネット光アイソレータ製品で、印加磁界方向変化によって、 (一定光線軸に対する磁力線の傾き角度変化によって)アイソレーション 最大となる波長のシフトが起きているように思えます。 実際は・・・

    光線軸に沿って棒磁石のNS方向が有り、棒磁石の側面で、NS極の中央に 置いた回転子よりも、NあるいはS極に寄せて置いた回転子では、最大アイ ソレーション波長が短いほうに10nm(1540⇒1530nm)シフトしていま す。

    この原因は物性的に何によるものと考えられ、対策は何でしょうか?
    どうぞよろしくお願いします!
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    Date: 2007/10/02 13:08
    A: S様、佐藤勝昭です。
     磁化方向が光軸から傾いた場合、純粋の磁気旋光性に、磁気円二色性が混じってくることがあります。 また、磁気複屈折の効果も無視できなくなります。従って、スペクトルは、光軸//磁化の場合とは異なるでしょう。定 量的に扱えると思いますが、今、手元に論文がありません。
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    Date: 2007/10/02 18:47
    A': S様、佐藤勝昭です。
     さきほどの説明は正確さを欠いていました。改めて説明します。
    もとの誘電率テンソルの成分が、εxx、εxyおよびεzzで表されるとする。
       εxx  εxy   0
    ε=- εxy  εxx   0
        0    0   εzz
      もし光の進行方向が磁化の向き(z軸)からθだけx方向に傾いていたとすると、
    そのような系の誘電率テンソルは、c=cosθ、s=sinθとして、
       c2εxx+s2εzz  cεxy     -cs(εxx−εzz)
    ε'=-cεxy      εxx      sεxy
       -cs(εxx−εzz) -sεx      s2εxx+c2εzz
    に対してマクスウェルの方程式(Nは複素屈折率)
    N2E−ε'E=0
    を解くとき、 複屈折がない、すなわち、εxx=εzzならば、任意のθに対し、
    (N2-εxx)2 + εxy2=0
    となって、N2=εxx±iεxyという普通の解しかありません。
    しかし、εxx≠εzzならば、
    Nは複雑な式となります。
    N2-εxx=Aとし、Δε=εzz−εxxとすると
    A3+(Δε−c2εxy)A2−(c2(1-s2εxy)Δε+s2εxy)εxyA+s2εxy2Δε(c2+1)(c2Δε- 1)=0
    を解くことになります。解析的に解けませんが、εxyとΔεがθに応じて混じってくるため、 解は、N2=εxx±iεxyから大きくずれます。もはや円偏光は固有関数でなくなります。
    もともと、ファラデー回転角はεxy'とε"xyの1次結合で表されますが、その係数が角度依存性を持つこととなり ピーク位置が角度によってシフトするものと思われます。
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    Date: 2007/10/04 6:05
    Q2: 佐藤 勝昭様
    早速、丁寧なご説明を有難うございました。
    基礎知識が不足なので、佐藤様の著書を勉強します。 ところで・・・
    単純な質問ですが、結晶内に複屈折がなければ、光線と磁力線の角度 に依存したファラデー回転角変化は生じないとして良いでしょうか?
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    Date: 2007/10/04 23:31
    A2: S様、佐藤勝昭です。
     結晶内に複屈折がなければ、光線と磁力線の角度に依存した ファラデー回転角変化は生じないと考えてよいのですが、複屈折として、 結晶の異方性によるもののほか、磁気複屈折を含んでおりますので、 どうしても避けられないのではないでしょうか。
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    Date: 2007/10/06 9:40
    AA: 佐藤 勝昭様
    光線軸と磁力線が傾いている限り逃げられないのですね、ファラデー回転子の ガーネットも最近は片側においた基板に金属で接着固定され、表面実装による 接着歪からの光弾性複屈折も手伝っているかもしれません。
    磁力線を光線軸にできるだけ揃えるのを解答とします。
    有益なご助言有難うございました。    S
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  • 1008. p型ゲルマニウムの仕事関数


    Date: 2007/10/04 18:21
    Q: はじめまして。F*大学のK*と申します。
    なお、大学名、氏名等は公開時には匿名(イニシャル)でお願いします。
    n型のSi基板に プラズマCVD法でGeを堆積させて、ゼーベック効果測定をしたら P型層でした。なぜP型層になるのか教えてください。出来れば、バンド図を書いて 説明をお願いします。(canvasでもパワーポイントでも何でもいいので図を書いて下さい) そして、P型の単結晶Geの仕事関数と電子親和力を教えてください。また、n型のSiの 仕事関数と電子親和力を教えてください。
    Si/GeのPN接合をしたら、デバイスとして何に応用されますか?
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    Date: 2007/10/05 0:52
    A: F大学 K君、佐藤勝昭です。
     ご質問は卒業研究の課題ならば、まずは指導教員におたずね下さい。
    また、学生実験のレポートのためのご質問ならお答えするわけにいきません。
    ヒントを差し上げましょう。
    =====================================
     半導体の電子親和力と仕事関数について、参考になるサイトをご紹介して おきます。(コロラド大学の講義テキスト)
    http://ece.colorado.edu/~bart/book/book/chapter3/ch3_2.htm
    添付の表は、上述のサイトに出ている金属と半導体のショットキー接合の 障壁高さφBです。n型の場合、φB=φM-χですから、
    nGeについては、Agとの接合から、0.54=4.3-χより電子親和力χが求まります。
    一方、pGeについては、φB=Eg/q+χ−φMです。Eg/q=0.66eV、Agとの接合から
     0.5=0.66+χ-4.3からχが求まります。
    半導体の仕事関数は、電子親和力にフェルミ準位と伝導帯のエネルギー差を 足したものです。
    ======================================
    Geがp型になる理由はプラズマCVDの過程でアクセプターになる不純物がドープ されたと考えられます。それ以上のことはわかりません。バンド図で説明せよ というのは筋違いの質問です。pn接合が何に役立つかは、半導体の教科書で 勉強してください。
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    Date: 2007/10/05 20:24
    AA: F大学のKと申します。
    分かりました。ありがとうございました。
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  • 1009. 磁石にかかる力


    Date: 2007/10/08 13:09
    Q: 佐藤勝昭先生

    N**大学情報工学科4年のH*と申します.
    (HPアップの際は学校名,氏名とも匿名でお願いします.)

    佐藤先生のHP拝見させて頂きました.
    気になることがあるので質問させてください.

    磁場H中に置かれた磁荷q[Wb]に働く力は,F=qHと理解しているのですが,
    現実では磁荷というものは存在しないのですよね.

    では現実に,ある磁場中に置かれた磁石にどの程度の力が働いているかという 計算はどのようにしたらよろしいんでしょうか?

    勉強不足で申し訳ありませんが,ご教授願います.
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    Date: 2007/10/08 15:15
    A: H君、佐藤勝昭です。
     磁石にはN極とS極があります。これがペアで現れるので、 磁石と外部磁界とのなす角をθとすると、+qの磁極に力qHsinθが、 -qの磁極に力-qHsinθがかかるので、極の間の距離Lとすると T=qLHsinθというモーメントが働きます。
     磁石と磁界が平行でないなら、回転力が働きます。
     磁石の磁化方向とが磁界の方向が平行なら磁界に勾配がない限り磁石に 移動力は働きません。
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    Date: 2007/10/08 17:59
    Q2: 佐藤勝昭先生.
    N大学のHです.
    早々のお返事ありがとうございます.
    では,磁場中に置くのを磁石ではなく,鉄球のようなものの場合でも 同じように考えればいいのでしょうか?
    また,先生にお聞きするのは御門違いかもしれませんが,
    先程インターネット上で,「磁力は F=(B2*S)/(2μ) (B:磁束密度,S:面積, μ:透磁率)
    で表すことができる」というのを見つけました.
    この式の意味がわからなかったので, ご存知でしたら教えて頂けませんか?

    お手数かけますが,よろしくお願いします.
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    Date: 2007/10/08 23:10
    A2: H君、佐藤勝昭です。
     「磁力は F=(B2*S)/(2μ0) (B:磁束密度,S:面積,μ0:真空の透磁率)」 ですが、これは、電磁気学でいうマクスウェルの応力です。
     空間に電磁場の形でエネルギーを蓄えられるならば、空間を伸縮して電磁場を 変化させることはエネルギー量の変化を伴うため力が必要になります。これは、 エネルギーの定義が力の空間積分であることから、エネルギーの空間微分が力に なるものと理解できます。結果として磁界は外部からの変形に拮抗する何らかの 力を持つことになります。このような力は面積あたり力になり、マクスウェルの 応力と呼ばれます。マクスウェルの応力は電磁場を変化させようとしなければ発 生せず、実際に外部に影響を及ぼすものではありませんが、変化に対してはこの ような応力が働くはずです。このように、微小な変位を考えたときに発生するは ずの力を求める方法を仮想仕事の原理と呼びます。電磁場がもつ潜在的な力です。
    (この文章は、
    成蹊大学の電磁気学の授業ノートの記述 を参考にしました。)
     従って、強い磁力で鉄球を重力に逆らって浮かせるときの力は、この力であると見て良いでしょう
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  • 1010. 間接遷移・直接遷移は何によって決まるのか


    Date: 2007/10/10 8:54
    Q: 東京農工大学 佐藤勝昭 先生

    突然のメールながら失礼します。
    北海道大学博士課程3年 K*と申します。
    (web公開時は名前のみ匿名でお願いします)

    物性Q&Aをいつも拝見させていただいております。
    この度はかねてからの疑問がどうにも解けないため、 先生のご助言を頂けないかと思い、メール致しました。
    お忙しいところ大変恐縮ですが、どうぞ宜しくお願いします。

    質問は、
    「間接遷移になるか直接遷移になるか、それは何によって決まるのか」
    というものです。

    私が勉強してきた一般的な半導体物性の本では、クローニッヒペニーモデルによって エネルギーギャップの出現、E-k分散関係を求める手続きが説明されています。
    E-k分散関係を得る基礎的な過程は理解しているつもりですが、 実際の半導体において、伝導帯下端がΓ点にくるかどうか、 そしてこれが何によって決まるのか、ここまで結びつけた理解ができません。

    また、これに関して調べていたところ、以下の記述を見つけました。
    (Siが間接遷移であることを説明する一文です)
    http://mole.te.chiba-u.jp/(研究内容 → 半導体物語)

    電気伝導に使うのは、シグマ結合の結合性軌道と反結合性軌道ですから、
    価電子帯と伝導帯の形がかなり違います。そのため、光子を直接つくるのは難しいのです。

    これについても、次のような疑問を持ちました。
    Siはsp3混成軌道を形成し、それぞれの原子の結合は、シグマ結合によるものかと思います。
    しかし、GaAsといった直接遷移の半導体も、Si同様にsp3混成軌道を形成し、 原子同士は結局Siと同じような結合をしているのではないかと思います。
    これを基に考えると、GaAsも間接遷移になってしまうのでは、と思いました。

    以上、質問をまとめますと、伝導帯下端がΓ点に来るかどうかは、 定性的にどのように決定されるのか。ということになります。

    2つの質問を含むようになってしまい申し訳ありませんが、 長い間すっきりとした理解が出来ずにいる問題です。
    どうか先生のご助言を頂けたらと思います。
    宜しくお願いします。
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    Date: 2007/10/11 0:47
    A: K君、佐藤勝昭です。
     GaPとGaAsは同じ閃亜鉛鉱構造をもつIII-V族半導体です。
    GaPはEg=2.261eVの間接遷移型、GaAsはEg=1.424eVの直接遷移型です。
    両者をx:1-xの割合で混ぜ合わせた固溶体GaAs1-xPxのEgは添付図(b) のように組成によって変化します。x<0.45では直接遷移型、x>0.45 では間接遷移型の半導体になります。
    (図は、佐藤勝昭編著:応用物性(オーム社)第3章よりコピー)
     図(a)を見ればわかるように、Γ谷とX谷の相対的な位置関係で、 直接→間接の変化があるのです。どちらが低くなるかは、単純には 説明できません。バンド計算をして初めてわかるものです。
     AsとPのイオン半径の違いや電子親和力の違いなどが原因と考えら れますがいろいろの原因が重なっているため特定できないと思います。
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    Date: 2007/10/11 8:37
    AA: 東京農工大学
    佐藤勝昭 先生

    おはようございます。
    先日Q&Aに質問をさせて頂いた北海道大学のKです。
    佐藤先生、早急な回答ありがとうございます。

    添付図を使った非常に分かりやすい回答を有難うございます。
    GaAsではΓ谷が最下部ですが、リン組成を高くするに従い、X谷が最下点になることが見て取れます。
    この連続的変化からも予想されるように、やはり単純な説明という訳にはいかないんですね。
    何らかの定性的な理解を得たいと、ここに固執しすぎました。

    この度は大変お忙しいところ回答を頂き、有難うございました。
    今後も物性Q&Aを拝見させていただき、勉強していきたいと思います。
    有難うございました。
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  • 1011. クロムモリブデン合金鋼SCM440の焼き戻し性能曲線


    Date: 2007/10/10 19:40
    Q: 佐藤 勝昭 様

    初めまして。
    私、N**社で開発業務に携わっておりますS***と申します。
    佐藤先生のHPを拝見し、不躾ながら質問させて頂きたく、メール致します。

    下名、業務におきまして、ある部品を応用設計しようと思い、弊社にある過去図面を閲覧しておりますと、 SCM440を高い硬さで使用している部品があり、このSCM440は実用的にどこまで硬く出来るのか?と ふと疑問が起きました。

    ここで質問の本題ですが、SCM440の低温テンパまで網羅した焼き戻し性能曲線をお持ちではないでしょうか?

    とはいえ、下名の検討条件はHRc 50(MAX)であり、ピーク域では、と思っております。
    材料選定に何らかの事情が作用したものと推測しております。

    ご多忙のところ、誠に恐れ入りますが、ご教授頂けますと幸いです。
    宜しくお願い申し上げます。
    ※web上、掲載時には匿名にして頂けますようお願い致します。
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    Date: 2007/10/10 23:54
    A: S様、佐藤勝昭です。 申し訳ありません。何度か書いておりますように私は金属工学の専門家ではあり ません。従って、焼き戻し性能曲線も有しておりません。
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    Date: 2007/10/11 8:01 AA: 佐藤 勝昭 様

    Sです。回答有難うございました。
    私の確認不足でご迷惑をお掛けしました。
    今後のご活躍をお祈りいたします。
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    Date: 2007/10/11 11:06
    A2: S様、佐藤勝昭です。
     お役に立てず申し訳ありません。
    あれから、金属データブックを調べたのですが、クロモリ鋼SCM440はブリネル硬度で285-341となっております。
    ロックウェル硬度HRBに換算すると、105.5-109となります。
     焼き戻し性能曲線については、現在、独立行政法人物質材料機構に問い合わせ中です。
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    Date: 2007/10/11 11:27
    AA2: 佐藤 勝昭 様
    お世話になります、Sです。

    下名の不躾な質問にてご迷惑をお掛けしましたのに、 とても、ご丁寧な回答を頂きまして、誠に御礼申し上げます。
    こうして、先生にお手数をお掛け頂いたことは、HPで先生がお書きになっているように、 まずは自分自身で調べなければならないことですから、今回の件、大変恥ずかしく申し訳なく思っております。

    重ねてになりますが、回答を頂きまして誠に有難うございました。
    先生のご活躍をお祈りいたします。
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    Date: 2007/10/12 20:58
    A3: S様、佐藤勝昭です。
     物質材料機構のT*様から返事が来ました。以下に転送します。
    ------------------------------------------------------
    >>>> Date: 2007年10月12日 14:36:41:JST
    >>>> 手元にある資料のみでお答えします。
    >>>>
    >>>> SCM440の最高硬さは焼入れままの硬さです。
    >>>> つまりHv=600, Rc=55程度ということになります。
    >>>> 焼き戻し温度の上昇にともなって、炭化物の析出が起こる200C
    >>>> あたりから、硬さはほぼ単調に低下します。
    >>>> 添付は私どもで測定したHvと焼き戻し温度の関係です。
    >>>> 鉄鋼便覧や特殊鋼便覧にはより詳細な結果が示されているはずです。
    >>>>
    >>>> 実用的にどこまで硬く出来るのか?というご質問ですが、これは実用
    >>>> の用途によって異なります。
    >>>> 例えば部品の衝撃靭性が問題になる場合は、400Cを超えた焼き
    >>>> 戻しが必要です。
    >>>> これは400C以下では衝撃靭性(シャルピー吸収エネルギー)が
    >>>> 10J程度と極めて低いためです。
    >>>> 衝撃吸収エネルギーはもちろん不純物量(たとえばP)の影響を受
    >>>> けますが、0.02-0.03%では10J程度のはずです。脆いで
    >>>> す。これも便覧をご覧になれば詳しい図面があるはずです。
    >>>>
    >>>> この場合、焼き戻し温度400C(シャルピー吸収エネルギー>10J)
    >>>> を条件とすると、許容限界硬さはHv=500でRc=50程度になるかと思い
    >>>> ます。
    >>>>
    >>>> 以上 >>>>
    >>>> 追伸:
    >>>> どこからの問い合わせかわかりませんが、便覧を見れば得られる情報です。
    >>>> また特殊鋼を扱う会社(日立金属や大同特殊鋼)は、顧客のために、
    >>>> このような情報を整備しています。
    ----------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/15 11:23
    A4: S様、佐藤勝昭です。
     物質材料機構(NIMS)より添付の
    SCM440の焼き戻しに関するパワーポイントファ イルが送られてきましたので添付します。
    -------------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/16 8:21
    AA2: 佐藤 勝昭 様
     この度は誠にお世話になります、Sです。
    昨日メールを頂きましたのに、返信が遅れまして大変申し訳ありませんでした。
    また、物質材料機構様への問い合わせ、並びに回答についてご教示頂き、大変感謝しております。
     物質材料機構様もお書きですが、今回の件は下名が便覧を調査し確認すれば容易く得られるとのことですので、佐藤先生を始め、皆々様にご迷惑をお掛けしたことを猛省し、これからの自身業務に携わっていきたいと考えております。
     本当に有難うございました。先生のご活躍をお祈りいたします。
    ---------------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1012. ギブスの相律


    Date: 2007/10/11 11:35
    Q: gibbsの相律式で、df=h+2-pの2が、金属の場合df=h+1-pとなる理由を教えてください。
    名城大学 西脇一彦
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    Date: 2007/10/11 11:58
    A: 西脇君、佐藤勝昭です。
    ギブスの相律は、一般にどんな物質にも当てはまる式なので、金属でもdf=h+2-p が成立すると思うのですが・・。
     私は、金属の場合に1になるという説があることを知りません。
    ------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/11 12:01
    AA: 返信ありがとうございました。
    いま実験でレポートを書くために調べていました。
    またほかにもわからないことがあったら質問します。
    ありがとうございました。
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    Date: 2007/10/12 0:40
    A2: 西脇君、佐藤勝昭です。
     物性なんでもQ&Aは実験や講義の課題に関する質問には、 原則としてお答えしないことになっています。今後、指導教員に 聞いてください。
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  • 1013. コイルを近づけたときの磁性粒子に働く力


    Date: 2007/10/21 7:08
    Q: 佐藤勝昭先生。
    はじめまして。O大学工学部応用理工学科4年 M**と申します。
    (申し訳ありませんが、HPアップ時は学校名、氏名とも匿名でお願いします。)
    先生のHPを拝見し、お聞きしたいことがありメールさせてもらいました。

    質問内容は、
    磁性粒子 (直径d[μm]、磁化M[Wb/m2]) に、鉄心 (透磁率μ、直径D[mm]) に巻数n[回/m]で導線を巻いたコイル (電流I[A]、長さl[mm]) をz[mm]まで近づけたときに、磁性粒子にどの程度の力が働くかというのを知りたいのですが、計算での求め方がわかりません。

    実は、自分が研究していることで磁性粒子を利用しようと思ったのですが、この磁性粒子に働く力がわからないために、先に進みません。
    私の指導教官に聞いてみたのですが、恥ずかしながら何度訪ねても忙しいの一点張りで答えてもらえませんでした。
    本を調べても、似たような問題が見つからず、頭を悩ませています。

    他大学の者の質問で恐縮ですが、ご助言お願いできませんでしょうか?
    長文申し訳ありません。
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    Date: 2007/10/21 11:53
    A: M君、佐藤勝昭です。
     M君は電磁気学を受講されたでしょうか?
    お尋ねの件は電磁気学での基本的な事柄です。
    (質問では、単位を[μm]や[mm]で書いておられますが、ここでは全部[m]を単位とします。)
    なんでもQ&A「1009. 磁石にかかる力」に書きましたように、
     磁気モーメントと磁界が平行でないなら、回転力が働きます。
     磁気モーメントと磁界の方向が平行なら磁界に勾配がない限り磁石に移動力は働きません。
    それでは、磁界に勾配があればどのような力が働くでしょうか?
    磁界H中に置かれた磁気モーメントMは,U=-M・Hのポテンシャルエネルギーを 持っています。
    磁気モーメントmに作用する並進力は,次式で与えられます。
     F=∇U=-∇(m・H )=-(m・∇) H (1)
    従って,均一でない磁界中に置かれた磁気モーメントは力を受けます。
    ここに∇は(∂/∂x,∂/∂y,∂/∂z)というベクトルで表される微分演算子です。
    磁気モーメントが磁界と平行の時、軸方向をzとすると
     F=-m∂H(z)∂z           (2)
    となります。
    磁化がM[Wb/m2]で直径d[m]の球状粒子の磁気モーメントはm=M・V=(4πM/3)(d/2) ^3[Wbm]ですから、式(2)は
     F=-(4πM/3)(d/2)3∂H(z)∂z    (3)
    となります。

    一方、透磁率μの鉄心に巻いたコイルからの磁界を計算するには
     半径aの1周のコイルの円電流Iが流れているとき、コイルの中心から中心軸に 沿ってzの位置に作る磁界H(z)は
     H(z)=Ia2/{2(a2+z2)3/2}    (4)
    で与えられます。ここにa=D/2です。
     巻き数がmあたりn回のコイルの長さがl[m]ですから全巻き数はnlです。
    正しくは各周のコイル位置について積分をしなければならないのですが、 測定位置z[m]がa=D/2[m]に比べて十分長いとしますと近似的に
     H(z)=Inla2/{2(a2+z22)3/2}=InlD2/{8((D/2)2+z2)3/2} (5)
    と書けます。従って、中心軸方向の磁界の勾配は
     ∂H(z)/∂z=-3(InlD2/8)z{z2+(D/2)2}-5/2   (6)
    で与えられます。
    力F(z)は従って、式(3)を用いて
     F(z)=4πM(d/2)3(InlD2/8)z{z2+(D/2)2}-5/2  (7)
    となるはずです。
    (はじめに書きましたように長さの単位はmであることに注意してください。)
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/22 18:05
    Q2: 佐藤先生。
    O大学のMです。
    つまらない質問に回答していただき、真にありがとうございます。
    そして、お手数おかけして申し訳ありませんでした。

    もうひとつお聞きしたいのですが、

    先程の力の式に透磁率μが入ってきませんでしたが、
    計算上ではコイルに鉄心を挿入しようがしまいが、力の値には関係ないということなのですか?

    経験上、やはり鉄心を入れたほうが、力も大きくなるのではと思いましてお聞きしました。

    よろしくお願いします。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/22 19:12
    A2: M君、佐藤勝昭です。
     ごめんなさい。確かにコイルのみを考え鉄心のμのことを忘れていました。
    鉄心を考えると磁性体内部の磁束密度はB=μHの磁束密度になります。磁性体の外 部では磁界はHex=B/μ0となります。従って、先日お答えした力の式の磁界の値を μ/μ0r(比透磁率)倍した値になります。
    ------------------------------------------------------------------------------------
  • 1014. ガラスエポキシの硬化則


    Date: 2007/10/25 10:30
    Q: 佐藤先生
    O*大学大学院工学研究科博士前期過程N*と申します。

    いつもこちらのHPを参考にさせていただいております。

    現在僕は研究でFEM解析を行っているのですが、ガラスエポキシ樹脂の物性値がなく て困っております。
    温度依存性を考慮した硬化則を教えていただければと思っております。また、クリー プにおける温度依存性を考慮したノートン則も教えていただきたいです。

    お忙しいところ申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。

    最後に名前は匿名でお願いします。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/25 14:56
    A: N君、佐藤勝昭です。
     私は、プラスチックの機械的特性の専門家ではありません。
     硬化則(hardening rule)というのは、応力ひずみ曲線をσ=Fεnという べき関数で表したときの指数nのことですね。
    金属の場合は、軟鋼で0.20-0.28, ステンレスで0.45-0.6, Cuが0.35-0.45, Alで0.25-0.35となっています。
     ガラスエポキシというのはガラス繊維製の布(クロス)を重ねたものに、 エポキシ樹脂を含浸させた複合材料で、製造方法により物性値の変動が大きく、 金属のようにどの金属の加工硬化則の指数nはいくらといえないものです。
    従って、具体的な製品についてのデータを製造会社に問い合わせるほかは ないでしょう。
     ハイブリッド材料の非弾性的挙動の解析については、手がかりとして下記の 論文をお読みになってはいかがでしょうか?
    河井 昌道 八戸 敦司 高倉寛: ハイブリッド複合材料GLARE-3の室温と高温に おける非主軸非弾性挙動と積層理論による解析; 日本機械学會論文集. A編 vol.69, No.680 (2003) pp. 711-718
    ------------------------------------------------------------------------------------
  • 1015. 金属と半導体の電気伝導の温度変化の主要因


    Date: 2007/10/24 23:29
    Q:武蔵工業大学の植村惇史といいます。今、電子通信の実験をしているのですが今回の 実験の予習事項で、金属と半導体の電気伝導における温度依存性の主要因を調べると いうのがあるのですがどうしてもわかりません。どうか教えてください! ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/24 22:51
    A: 植村惇史君、佐藤勝昭です。
     物性なんでもQ&Aは学生実験の課題に直接お答えすることは出来ません。
    固体物理学・半導体工学などの教科書、あるいは、講義ノートを読んで下さい。

    ヒントを上げましょう。
    導電率σはキャリア密度nとキャリアの移動度μと電子の電荷eを使って
      σ=neμ
    で表されます。金属と半導体ではキャリア密度nの温度依存性がどうちがうのか は、半導体工学の授業で学んだ筈です。一方、金属でも半導体でもμの変化は同 じです。μは温度が上がると、格子振動のことを考えるとどうなるか考えてくだ さい。
    -------------------------------------------------------------------------------------
  • 1016. 鉄のバルクと薄膜の磁化の差異について


    Date: 2007/10/25 18:25
    Q: 佐藤 勝昭様

    はじめまして。
    突然のメールながら失礼します。
    京都大学大学院修士課程2年 倉本と申します。

    物性Q&Aをいつも拝見させていただいております。
    このたびは、不躾ながら質問させて頂きたく、メール致しました。

    私は、研究で、直径75mmのSi基板に、真空蒸着装置によって、鉄を5nm、パラジウムを2〜3nm を対層として、数十層の多層膜を作成し、鉄の磁化の増減を振動磁束計で調べるという研究を行っています。

    そこで、つい先日、鉄60nm単層をSi基板に蒸着し、-250Oe〜250Oeの範囲で ヒステリシスループを描いたところ、1.3T弱というバルクの鉄の飽和磁化2.15Tに比べて低い値となってしまいました。
    これは、なぜなのでしょうか?鉄の酸化膜ができ、消磁効果をもたらしているのでしょうか?

    この試料を中性子線を使って磁化を測定しましたところ、1.5T程度ですが、1.2Tに比べて少々増加しました。 このときの試料にかける外磁場は750Oeと先に比べて3倍程度だったのですが、それでもまだバルクの 鉄の飽和磁化には届きません。
    磁壁の大きさが関係していたりするのでしょうか?

    ご多忙のところ、まことに恐れ入りますが、ご教授いただけますと幸いです。
    ----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/25 19:36
    A: 倉本君、佐藤勝昭です。
     修士論文の研究でしょうか?修論の研究過程で出てきた問題点は、本来、指導教員と相談されるべきです。 私が、君の指導教員だったとしたら、学生が自分をさておいて他大学の教員に教わりに行ったとしたら、私は よい気持ちがしません。しかし、京大工学部ともなると指導教員と接する機会も少なそうなので、京大の古き 先輩として特別にヒントを差し上げましょう。
     薄膜の磁化がバルク値より低いことはよくあります。
    いくつかの原因がありますので、1つずつつぶしていってください。
    (1)結晶化に必要な温度に達していなかったため、膜の一部のみ結晶化し、残りは非晶質であった。
      X線回折(XRD)を測定すると、ブロードな回折線しかみられない場合、この可能性があります。
    (2)逆に基板温度が高くて、Feの一部がSiと反応してFeSi2ができてしまった。
      遷移金属のシリサイドは比較的低温でできやすいです。できていないかXRDでチェックしましょう。
      βFeSi2は非磁性(正しくは常磁性)の半導体です。
    (3)膜の密度が低く、表面積と膜厚から求めた体積から期待されるバルクの質量に達していなかった。
      走査型電子顕微鏡(SEM)などで表面をよく観察してみてください。がさがさのモルホロジーだと
      この可能性があります。
    (4)蒸着機の真空度はいくらですか。かなりの高真空でないと、Fe表面は成膜中に酸化されます。
      酸化膜ができているかどうかは、Auger分析やXPSなどで確認できます。酸化膜は反強磁性なので
      磁化は小さくなるはずです。
    (5)なんらかの理由で保磁力Hcが750[Oe]より大きくなって飽和しない。
      欠陥が多く磁壁のピン留めが起きて、Hcが高くなってしまった。この場合は、局所的なモーメント
      は小さくないはずです。磁区が原因なら磁区の様子をカー効果顕微鏡で観察してみてはいかがでしょう。
    -------------------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/26 16:44
    AA: 佐藤様

    早々の返信まことにうれしく、ありがとうございました。
    先生の叱咤の通り、私の担当教官に何度か尋ねましたが、磁性の専門の教官でいらっしゃらないため
    なかなかこのあたりのことは難しいといっておりました。
    このたびからは、心を改めまして研究に取り組みたい所存でございます。
    さて、5nmの鉄で磁化を測定しましたところ、確かに、0.82Tと60nmの磁化1.2Tに比べて さらに低くなりました。その原因として、やはり、おっしゃっていただいたとおり、 (4)の表面の酸化膜の影響が大きいのだろうと考えられます。

    真空度は、1.0×10-5Torrくらいで蒸着を行っておりますので、イオンスパッタリングや エピタキシャル蒸着に比べ低いのは確かにあると思われました。

    (3)でおっしゃっていただいたバルクの質量に達していないのは確認しました。
    といいますのも、振動型磁束計で測定する際に面積は、ノギスで測定し、 Fe膜厚はX線反射率計でθー2θスキャンして測定した結果をフィッティングさせたもの を用いています。
    そこで、密度×体積をしたところバルクの質量には追いついていませんでした。ご指摘のとおりです。
    (1)〜(5)の理由を参考にさせていただき、今後の研究の糧とさせていただきたく思います。
    お忙しい中、稚拙な質問にも寛容にお答えいただき、本当にありがとうございました。
    -----------------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/26 19:32
    A2: 倉本君、佐藤勝昭です。
     返信ありがとう。
    1.0×10-5Torrの真空度では、 「鉄を5nm、パラジウムを2〜3nmを対層として、数十層の多層膜を作成し、鉄の 磁化の増減を測定する」実験に使えるような膜は出来ません。
    やろうしておられるような実験は、ずっと以前(1980年代)に産総研(当 時)の片山利一先生によって行われており、その当時はスパッタ法で行われてお りましたが、スパッタ装置の到達真空度は10^-8Torrよりも高真空でしたよ。
    (例えば、藤森他編:金属人工格子;アグネ技術センター1995、p.68参照)
    研究を始める前に十分な調査をされるようお奨めします。
    -----------------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1017. リンゴの色、金属の色


    Date: 2007/10/26 9:17
    Q: はじめまして、静岡県で物理学の勉強をしている岡部佑機です。
    疑問に思うことがありましてインターネットを検索していたところ先生のホームページにあたりました。
    そこで、光の反射・吸収・透過のことについて、いくつか質問させていただきたいのですがよろしいでしょうか。
    御多忙中とは存じますがよろしくお願いします。以下に質問を書かせていただきます。

    @白色光がリンゴにあたる。リンゴは赤くみえる。これは、リンゴが赤色以外の光を吸収し、赤色の光を反射するからだと思います。
    ここで、選択反射は何に依存するのか。
    また、何が光を吸収するのですか。(電子が吸収し励起されて熱エネルギーになるのですか。)
    何が光を反射するのですか。(電子が吸収し、再放出するのですか。)
    反射・吸収のメカニズムを教えてください。

    A金属が金属光沢を生じる理由は何ですか。(リンゴは光沢がありません。自由電子が光を反射しているのか。)

    B可視光線・電波は、ガラスに対する透過率が大きく、金属に対する透過率は小さいですが、これは、結合の違いによる原子密度が原因なのでしょうか。
    透過とはどのようなメカニズムで起きている現象なのでしょうか。

    よろしくお願いいたします。
    ------------------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/26
    A: 岡部佑機様、佐藤勝昭です。
     岡部様のご年齢、学業経歴、職業キャリア等がわかりませんので、一通り物理 学を学んだことのある年配の方という想定でお答えします。理解するには、多 少、固体物理学の知識が必要です。

    (1)リンゴの赤色は、選択反射によるものではありません。物性なんでもQ&A 質問No.85にありますように、「リンゴの皮には、アントシアン系の色素が含ま れています。これは、美しい花の花びらや紅葉する葉に含まれている色素です。 酸と結合すると赤く発色します。この色素を透過し、散乱されて出てきた光は、 波長600nm-700nmの波長の光が多く含まれています。」
     アントシアニンの光吸収スペクトル(永田雅輝他:植物環境工学 18 [1] 42-49 (2006))によれば、吸収帯が450-580nmにあって、橙、緑、青、紫を吸収 するため、その補色である赤が透過するのです。
    坂田 健他:アントシアニジンの構造と電子状態に関する量子化学的研究:分子 科学会、分子構造総合討論会2005、講演番号1P079
    によりますと、アントシアニン色素は3つの6員環をもち、理論計算の結果、 HOMO(highest occupied molecular orbital:半導体の価電子帯に相当) から LUMO(lowest unoccupied molecular orbital:半導体の伝導帯に相当)への1電 子励起が主成分であるとしています。いわば、バンド間遷移なのですね。

    (2)金属の金属光沢の原因は、自由電子の集団運動(プラズマ振動)によって 入射した光の電界が遮蔽され、中に入れないことによります。詳細は、 金属の色の物理的起源 をお読み下さい。

    (3)金属においては、自由電子のプラズマ振動によるほか、フェルミ面の下の 満ちた電子状態からフェルミ面の上の空いた電子状態への遷移による吸収が可視 域に連続的に分布しているために、光が透過しないのです。一方、ガラスをはじ めとする誘電体では、価電子帯と伝導帯の間に明確なバンドギャップが開いてい るため、バンドギャップ以下の光子エネルギーをもった電磁波ではバンド間遷移 が起きないので吸収がないのです。
    -----------------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/27 10:20
    Q2: 私の年齢は24歳です。今年高等学校の教員になったものです。
    物理学に関してそれほど詳しいわけではありません。
    御回答ありがとうございます。
    (1)リンゴの赤は、白色光の反射ではなく、リンゴそのものが発しているのですか?
    以下に自分なりの解釈を書いてみました。正しいでしょうか。
    リンゴが赤いのは、色素が酸と結合したときに放出されたエネルギー(電磁波)のうち、 波長450-580nmの橙、緑、青、紫がアントシアニンに吸収され、波長600nm-700nmの赤が透過されるためである。
    ]ただ、暗いところ(白色光なし)では赤く見えないような気がするのですが。発色しているならみえるはずでは?

    (2)金属中に電磁波による電場が進入すると自由電子が力を受け、電気分極がおき、逆向きの電場を生じ金属内部の電場は0となり(振動数が小さい電磁波の場合)電磁波が金属内部に進入しないのと同じことになる。ここまではわかったつもりです。
    しかし、金属内部に進入しないこと=反射することであることが納得に苦しみます。電磁波は進入しているけれども実際は進入していないのと同じであるだけで、それが反射につながるのはどうしてでしょうか?無知で申し訳ありません。

    (3)「金属においては、フェルミ面の下の満ちた電子状態からフェルミ面の上の空いた電子状態間のエネルギー差が可視光線領域に連続的に分布しているため、光の吸収が起こり、透過しない。このほかに、プラズマ振動による反射の影響もあるが。しかし、ガラスなどの誘電体は、価電子帯と伝導帯の間に明確なバンドギャップが存在するため可視光領域程度のエネルギーではバンド間遷移がおきないため吸収されず透過する。」ということでよろしいでしょうか?
    そうすると、紫外線やX線などの高いエネルギーを持った電磁波は、ガラスなどの誘電体に吸収されるのでしょうか?また、金属に対してどのように作用するのでしょうか?

    お忙しいところ誠に申し訳ありません。
    ---------------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/27 12:24
    A2: 岡部様、佐藤勝昭です。
     メールありがとう。高校の先生なのですね。前回の回答は説明不足だったよう なので補足します。
    (1)リンゴが赤色発光していることは全くありません。
     物体を白色光で照らしたとき、光が物体から帰ってくるのは、反射とは限りま せん。むしろ散乱のほうが一般的です。白い紙は実は無色透明な材料から出来て いて、その材料自身の鏡面反射率は4%そこそこです。紙が白いのは、微細な材 料の粒に光が入って裏面で全反射してきたり、粒を透過したのち、他の粒の界面 で散乱されたりして、様々な方位に向けて光が散乱されるためです。
     赤い絵の具でも、同じことです。一例として、バーミリオン(朱赤)という絵 の具を取り上げますと、しんしゃ(硫化水銀HgS)が色素として使われていま す。この物質は半導体で、バンドギャップは2eVで、これ以下の光子エネルギー の光を透過するので透過光は赤です。HgSの反射率は赤だけが特に高いわけでは 決して高くありません。バーミリオンでは、HgSの微粒子が有機物で練り合わさ れていて、有機物の中に微粒子が多数浮かんでいる構造です。入射した白色光は HgS粒子を透過し赤以外の波長の光が透過します。裏面に達したとき、もし裏面 に対する入射角が臨界角を超えていると全反射しますし、そうでなければ裏面か ら抜け出します。そして、別のHgS粒子の表面で反射され、更に反射されたり、 透過したりして、外に出てきます。このとき、光の方向はランダムになってしま います。リンゴの皮の赤も同じです。入射した白色光の内、赤い色のみが散乱し てくるのです。

    (2)「金属内部に進入しないこと=反射することであることが納得に苦しみま す。電磁波は進入しているけれども実際は進入していないのと同じであるだけ で、それが反射につながるのはどうしてでしょうか?」というご質問ですが、こ れは電波工学におけるインピーダンス整合の考えと同じです。あなたが、内部イ ンピーダンス50Ωのアンテナに、回路インピーダンス50Ωの同軸ケーブルを接続す ればアンテナで受けた電磁波はそのままテレビ受像器に導かれますが、もし300Ω のフィーダー線をつなげば、インピーダンス不整合のため反射がおきゴースト像 になるでしょう。電磁波が送られてきて、表面で侵入が出来なければ、表面で吸 収されない限り、反射するしかないではないですか。
     理論的には、前回紹介した「金属の色の物理的起源」に書いてあるとおり、金 属内部に電磁波が侵入できない状態は、負の誘電率で説明されます。電磁気学に よれば、誘電率εの物質に空気中から光が垂直入射したときの光強度の反射率R は、R=|(ε^1/2−1)/(ε^1/2+1)|^2で表されますが、εが負の実数とするとR=1と なります。すなわち100%反射するのです。

    (3)あなたの解釈はその通りです。通常のガラスは紫外線を吸収します。石英 ガラスはバンドギャップが大きいのでかなり短い波長の紫外線でも透過します。 X線領域になると、光の領域とは別の考えが必要です。X線領域になると、閉殻の 電子状態からの遷移が関与します。この遷移が始まるエネルギーをX線吸収端と 言います。鉛ガラスを用いると通常のX線は吸収されますが、普通のアルカリガ ラスはX線を透過します。
    金属は紫外線を吸収しますが、X線についてはX線吸収端以下のエネルギーのもの については透過します。
    -------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/01 14:32
    Q3: 返事が遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございました。
    ガラスを熱すると色づいて見えるのは、熱することによって伝導帯への遷移が可視光領域のエネルギーでも可能になるからということですね。
    また、質問させていただくことがあると思うのですがよろしいでしょうか。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/01 15:22
    A3: 岡部様、佐藤勝昭です。
     ガラスを熱すると色づくのは、黒体輻射によるものです。星の色が高温ほど青 いというのと同じです。バンド間遷移は関係していません。
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/07 10:50
    AA: そうでした。ありがとうございます。またお邪魔させていただくことがあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
    ---------------------------------------------------------------------------------
  • 1018. パワーMOSのGate容量の温度特性について


    Date: Fri, 26 Oct 2007 21:07:30 +0900
    Q: いつも物性Q&AのHP興味深く拝読しています。
    小職、インバーター発電機の開発をしております、H**社S**(匿名希望)と申します。
    インバーターのスイッチング時の損失を減らす上では、電流×電圧のどちらかがゼロでない時間をできるだけ短くしたいのですが、時間を短くしすぎるとサージが大きくなってしまいます。(Offの時は電流がゼロ、Onの時は電圧がゼロ)
    パワーMOS(Nチャンネル)のGateへ与える信号を適切な時定数を持つようにする為に、容量成分と抵抗成分を用いていますが、外付けのコンデンサーと抵抗の他に、MOS自体の持つGate容量も考慮する必要が出てきます。各社の製品シートをみるとかなりバラツキがありまして、更にバラツキの他に温度特性も考慮する必要があります。しかしながら各社のデーターシートを見ると温度特性に関してはあまり記載がありません。増減の程度、メカニズム等参考になる文献などありましたら、ご紹介いただきたく、宜しくお願いします。
    追記
    IGBTになるとどの様に変化の傾向が変わるのか、についても、ご存知でしたら宜しくお願いいたします。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 29 Oct 2007 14:11:28 +0900
    A: S様、佐藤勝昭です。
     大変高度なご質問で、私の知識ではお答えできないので、パワーエレクトロニクスの専門家である農工大の赤津助教に伺いましたところ、下記の回答を得ましたので転送します。
    ---------------------------------------------------------------------------
    佐藤先生
    このたびはお問い合わせありがとうございます。
    かなり高度なご質問なので、簡単にしかお答できませんが、知っている限りでご回答 させていただきます。

    以下回答です
    ===================================================================
    Mos-FETのゲート容量(酸化膜)の温度依存性は聞いたことがありません。
    というのは、仮に容量単体の温度依存性があったとしても、 測定することが非常に難しく、また、 むしろゲート寄生抵抗の温度依存性の方が問題になると思います。
    (ゲート寄生抵抗の温度依存性の方が十分に大きい)
    さらにはご存じかと思いますが、これら容量はVdsによってダイナミックに変化しま す。
    したがって実際にドライブ回路をご設計なさる場合には、 Vgs=0時の等価容量ではなく、ダイナミック特性であるVds-Qg特性を使用して、 各動作モード(オン、導通、オフ)にて容量を算出しゲート抵抗値を決めるのがよい かと存じます。
    (IGBTに関しましてもゲート構造は共通のため、これら容量の変化は同一かと思いま す)
    参考文献として、下記挙げさせていただきます。

    電力制御回路設計ノウハウ 
    在田、森、由宇
    CQ出版社

    トランジスタ技術 1999年3月号
    パワーMOSFET実践活用法
    CQ出版社
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Date: Mon, 29 Oct 2007 16:12:58 +0900
    AA: 佐藤様
    ご連絡ありがとうございました。
    ご指摘の通り、Vds-Qg特性を実測し、設計に反映したいと思います。

    ご紹介いただいた文献は、さっそく探してみたいと思います。
    赤津先生にもよろしくお伝えいただければありがたく、お願い申し上げます。
    ---------------------------------------------------------------------------
  • 1019. 磁気光学の測定系


    Date: 2007/10/31 14:43
    Q: 佐藤勝昭先生
    東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻D3の嶋田と申します。
    物性なんでもQ&AのWebサイトは事あるごとに大変参考に させていただいております。

    さて、透過配置での磁気光学の測定系を新たに組み立てることになり、 ミラーで組むのとレンズで組むのとで、どのような違いがあるのか お伺いしたくメールにて質問させていただきました。

    測定したい波長領域は250〜850nmで光源ランプを分光器で分光した 後、透過配置の光学系を経て光電子増倍管で検出します。
    磁場は出力磁場方向に穴(直径5mm)が開いた電磁石で印加します。
    (想定している光学系の
    模式図を添付させていただきました。)

    凹面ミラーで組んだ場合と、凸レンズで組んだ場合とでは下記の 有利不利のトレードオフになっているものと考えられます。

    ミラーの場合
    【利点】
    色収差がない
    【欠点】
    偏光子、PEMに斜入射
    スポットサイズ大きい(磁石の穴を通れない)

    レンズの場合
    【利点】
    偏光子、PEMに垂直入射
    スポットサイズ小さい(磁石の穴を通れる)
    【欠点】
    色収差がある

    広い波長領域で色収差を消すにはミラーで光学系を組めばよいと 思われますが、この場合偏光子やPEMには斜入射となってしまいます。
    また、偏光が乱れるため、PEMの後にミラーを入れられないので 結局、焦点距離の長いミラーでサンプルに光を絞ることになり、 サンプル上でのスポットサイズが大きくなってしまいます。

    一方、レンズで組む場合には色収差は出るものの、PEMや 偏光子にはほぼ垂直入射となります(波長によっては垂直から外れる)。
    また、スポットサイズの点でも有利となります。

    以上の点を踏まえ、レンズで組もうと考えていますが、色収差があることが 磁気光学効果にとって影響があると考えられますでしょうか?
    (少なくとも、透過スペクトルを測定するのには問題ないはずです。)

    また、逆に、ミラーの場合で、PEMや偏光子への斜入射は、どの程度の角度 までなら許容となるのでしょうか?

    お忙しい所大変恐縮ですが よろしくご指導お願いいたします。
    ---------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/01 11:19
    A: 嶋田君、佐藤勝昭です。  メール、添付図拝見しました。波長範囲が紫外寄りなのですね。 ご質問の、
    「色収差があることが磁気光学効果にとって影響があると考えられますでしょうか?」
    ですが、色収差が問題になるのは小さなサンプルの場合です。石英レンズの250-850nm による焦点の位置ずれはδf/f=-δn/(n-1)で表されます。この波長範囲のδnは、 Palik: Handbook of Optical Constants of Solids p759-760によれば、 n(250nm)=1.5084, n(850nm)=1.4525なので、δn=0.0559, nの平均値は1.4805 ですからδf/f=-0.0559/1.4805=-0.037です。従って、仮にf=20cmであれば、 6.4mmもずれます。この値が問題になるかどうかは試料の大きさ、一様性など が関係するので何ともいえません。しかしほぼ無視できるでしょう。
    問題は、むしろ、偏光光学系に2つのレンズがはいることです。ミラーを使った場合は、 ミラーに偏光特性があったとしても、偏光子・PEM・検光子の外にあるので、全く問題が ないのですが、PEMのあとにレンズが2つも入っているので、よほど均一で複屈折のない レンズを使わないと、ベースラインがうねる場合があることです。これは、お使いになる レンズで実際に調べてごらんになればよいと思います。問題がなければ、お使いになって よいと思います。

    次に「斜め入射の問題」ですが、これは使う偏光子のview angle(視野角)によって違います。
    ローションプリズムは60度もありますが、グランテーラーは8度程度しかありません。 PEMにおいては入射角が0でない光は光路長が長いため、リターデーションが大きくなり ます。精密測定なら問題がありますが、通常の使い方では変調をかけるだけなので、 10度くらいなら全く問題ないと存じます。
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    Date: 2007/11/01 18:02
    Q2: 佐藤先生

    東京大学の嶋田です。
    早速の回答ありがとうございます。

    実際に使用しているf=200mmの石英レンズのデータシートでは焦点距離が 181mm(250nm)〜204mm(850nm)と20mm以上変化するようです。
    試料は径1mmほどのピンホールに貼り付けてあり、その径内では均一だと 考えられるので、問題にならないと理解しました。

    偏光子の詳細を書くのを忘れていましたが、グランテーラーを使用して います。角度で8度ですと、Fナンバーでは3.6程度なので、今の (PEMを入れたりするスペースの都合上)長い焦点距離のミラーで試料に 光を絞る場合には偏光子がパスを切ってしまうなどの問題はほとんどない と思います。

    心配だったのはむしろPEMへの入射角度が平行からずれることでしたが、 これも10度程度までなら問題ないとのことですので、グランテーラーを通った 光はこの範囲にあるので大丈夫ということですね。

    加えての質問で申し訳ありませんが、PEMと検光子の間にミラーを入れると 場合にも、レンズを入れた場合と同様にベースラインがうねるという 理解でよいでしょうか?
    (佐藤先生の教科書では偏光が乱れるので入れるべからず、となっていましたが。)

    これまでカー効果の測定をする際には、正負の磁場でそれぞれ変調シグナル を測って引き算するという方法でベースラインのゆれを消してきました。

    よろしくご教授下さい。
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    Date: 2007/11/01 23:25
    A2: 嶋田君、佐藤勝昭です。  偏光子と偏光子の間にミラーを入れますと、大変偏光が乱れます。 私自身、スペースの関係からやりましたが、偏光性を打ち消すために ミラーを組み合わせるなどの努力をしましたが、完全には打ち消すことが 出来なかったです。  おっしゃるように、結局はブランクの測定しておいてさっ引くとか、 正負磁界で測定して差を取るとしかないようですね。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/02 0:02
    A2': 嶋田君、佐藤勝昭です。
     NHK基礎研勤務時代の1976年4月〜6月期の四半期報告の抜粋をお送りします。
    このなかに、ミラーを組み合わせて、ベースラインのうねりを取るための試みが 紹介されています。このほか、当時、InSb赤外検出器の窓材で苦労したことなど があって、あのころの苦労を思い出しています。
     何かの参考になれば幸いです。
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    Date: 2007/11/02 15:41
    AA: 佐藤先生

    東京大学の嶋田です。
    資料大変興味深く読ませていただきました。

    やはり、レンズに比べてミラーは偏光を大きく乱す様ですね。
    キャンセルするための工夫も凹面鏡では、パス組みがなかなか シビアになりそうな気もしますが。

    奇しくも、当方もInSbのディテクター(Kolmar社製)で赤外領域の磁気光学を 測定(しようと)しており、サファイア窓のものなので、複屈折でベースラインが ゆれているかもしれませんね。(鏡を入れたから仕方が無いとばかり思っていて、 正負磁場で引き算していたのであまり気にしていませんでしたが…)

    大変、懇切丁寧なご返答ありがとうございました。
    少し手を動かしながらレンズ/ミラーの違いなど確かめてみます。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/02 16:18
    A3: 嶋田様、佐藤勝昭です。 
     InSb検出器の窓材問題ですが、これには後日談があります。
    お送りした資料では、InSbの前に検光子がありませんよね。
    検光子を置いたら、InSbの窓の影響がなくなることがわかりました。
    そして、その数学的な解析を進めているときに、検光子を入れた 場合に、変調周波数の2倍すなわち2fの成分をとると、旋光角の 情報が得られることに気がついたわけです。
     これが、下記の論文のもとです。
    K.Sato: Measurement of Magneto-Optical Kerr Effect Using Piezo-Birefringent Modulator; Jpn. J. Appl. Phys. 20 [12] (1981) 2403-2409.
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    Date: 2007/11/05 10:14
    AA2: 佐藤先生
    東京大学の嶋田です。
    なるほど。大変興味深い後日談ですね。
    今でこそ、偏光子-PEM-検光子で変調分光をすれば, 2fと1fでそれぞれ旋光角と楕円率角が同時に求まるというのは半ば常識ですが、当時はそうではなかったということですか。
    逆に、サファイア板の複屈折を利用して楕円率角のキャリブレーションを行うというのも、こういった経験からのアイディアにも思えます。
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  • 1020. 半導体単結晶のゲージ率


    Date: 2007/11/02 1:35
    Q: 佐藤先生 

    はじめまして。H*大学で半導体薄膜の研究をしているO** といいます。(匿名でお願い致します。)

    @ 単結晶Si、SiCのゲージ率を調べているのですが、半導体に関する物性が書いてある本等を   ご存知でしたら教えていただけないでしょうか?

    A ピエゾ抵抗特性について様々な文献を調べているのですがなかなか見つかりません。ピエゾ抵抗の原理が   書いてある本等をご存知でしたら教えていただけないでしょうか?

    よろしくお願い致します。
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    Date: 2007/11/02 15:33
    A: O様、佐藤勝昭です。
     ゲージ率(gauge factor)Kは、ひずみ(ΔL/L)あたりの抵抗値の変化率(ΔR/R)で 定義されています。
     K=(ΔR/R)/(ΔL/L)=(ΔR/R)/ε
    ピエゾ抵抗効果の原理と特性についての教科書としては、
    浜口智尋・谷口研二:(現代人の物理シリーズ4)「半導体デバイスの物理」 (朝倉書店, 1990)p170-173
    の7.3節圧力センサーに詳しく出ています。表7.2にGeとSiのゲージ率が出ています。
    Ge (1Ωcm)
    結晶軸n型p型
    [100]-1-5
    [110]-97+67
    [111]-147+104
    Si(2Ωcm)
    結晶軸n型p型
    [100]-132+10
    [110]-104+123
    [111]-13+177
    ---------------------------------------------------------------------------------------
  • 1021. セラミックスの発光


    Date: 2007/10/29 17:31
    Q: 佐藤様へ
     励起波長関係の質問なのですが、セラミックに200nmから400nmをあてると赤紫の発光するのですが
      どの波長が励起させているのか?また発光している波長を教えてもらえないでしょうか?

       A社技術本部N**
    ---------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/10/29 18:15
    A: N様、佐藤勝昭です。
     ご質問だけでは状況がわからないので、お答えようがありません。
    赤紫という色は、紫の成分(400nm付近)と、赤の成分(600-700nm)が混じってい ると考えられますが、正確には分光器で測らなければなりません。
    また、どの波長で励起しているかは、励起スペクトルを測定しなければなんとも いえません。
    確認させてください。
    (1)セラミクスといっても千差万別です。どのようなセラミクスなのですか? 陶器の壺のようなものでしょうか?また、およその材質がわかればお答えください。
     いわゆる白色のセラミクスは、紫外光をあてても可視発光しないことが多いの ですが、釉薬(うわぐすり)が使われて着色しているものでは、含まれる  金属イオンの発光が観測される可能性があります。釉薬には希土類であるCeや Euなどの化合物であることが多いのです。
    (2)200-400nmの光というのは、どのような光源ですか?この波長範囲をすべ てカバーしている光:たとえば、水銀灯やキセノン灯の光をフィルタで選択した のですか?
     それとも、この波長範囲に含まれるいくつかのレーザ光源で励起したのですか? (3)きちんと測定するには、それなりの設備が必要ですが、あなたの会社には そのような設備(分光器、紫外線を出す白色光源、検出器など)があるのでしょ うか?
    --------------------------------------------------------------------------------------
  • 1022. GaAs, GaPのバンドギャップ


    Date: 2007/11/02 15:44
    Q: 私はO**大学 3回生 応用物理学科所属のT*という者です。(匿名希望)

    混晶のバンドギャップエネルギーに関して調べていたところ、あなた様のページを見つけ、質問させていただくことにしました。

    具体的に言うと、GaAsPがGaAsとGaPの混晶であるとし、GaAsPのバンドギャップエネルギーは組成比を与えられたとき、バンドギャップエネルギーとその比を用いて求めることができるとはわかりましたが、GaAsとGaPのバンドギャップエネルギーを調べていると、室温でGaAsが1.42(k=0),1.90(k=100)でGaP2.75(k=0)、2.24(k=100) となっていました。単位はeVです。

    このときバンドギャップエネルギーはどうなるのですか?4種類の可能性があるのでしょうか?
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    Date: 2007/11/02 16:54
    A: T君、佐藤勝昭です。 GaPのバンド構造は、ロシアのヨッフェ研究所のHPの
    (http://www.ioffe.rssi.ru/SVA/NSM/Semicond/GaP/bandstr.html)にでています。

    Energy gap 2.26 eV
    Energy separation Eo (Γ1c - Γ15ν) 2.78 eV

    バンドギャップは最も狭いエネルギー間隙を言います。
    GaPは間接遷移型なので、Γ15v→X1cがEg=2.26eVに相当します。
    E0=2.78eVというのはΓ点での価電子帯→伝導帯のエネルギー間隔です。

    一方、
    GaAsについては、同じサイトの
    (http://www.ioffe.rssi.ru/SVA/NSM/Semicond/GaAs/bandstr.html)にあります。
    Energy gap 1.424 eV
    Energy separation (EΓL) between Γ and L valleys 0.29 eV
    Energy separation (EΓX) between Γ and X valleys 0.48 eV

    GaAsは直接遷移型なので、Γ15v→Γ1cがバンドギャップです。
    あなたのいう、1.90(100)は、GaPのE0に相当するエネルギー間隔で、エネルギー ギャップ1.42eVにEΓX=0.48eVを加えた値になっています。
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  • 1023. なぜ光伝導スペクトルを測定するのか


    Date: 2007/11/06 16:35
    Q: 私はO**大学3回生 応用物理学科所属のT*という者です。(匿名希望)
    先日は、
    混晶のバンドギャップエネルギーに関して質問をさせていただきました。
    とてもわかりやすい説明とサイトを教えていただきありがとうございました。
    このバンドギャップに関することでもう1つ疑問があります。(前の質問とはつながりはありませんが...)

    光電流スペクトル(吸収スペクトル)を調べると、立ち上がり付近がバンドギャップとなりますが、 励起子の影響などにより、実際のバンドギャップよりも小さくなるということを本 (半導体工学 第二版 松波弘之著 昭晃堂)を読んで知りました。

    ではなぜ、光電流スペクトルをしらべるのですか?
    バンドギャップを知りたいのであれば、発光スペクトルを分光器を用いて計測すれば、知ることができるのではないですか?
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    Date: 2007/11/07 14:00
    A: T君、佐藤勝昭@札幌です。
     発光スペクトルを測定できるのは、励起された電子とホールが再結合する時に、光 を放出する遷移(radiative recombination)の場合に限られます。
    発光スペクトルに自由励起子が観測されるのは、よほどよい結晶の場合に限られます。
    大抵は、束縛励起子か、ドナーアクセプタ対発光が見られることの方が多いのです。
     ドナーアクセプタ対発光では、バンドギャップよりかなり低いエネルギー位置で発光します。
    たとえ自由励起子が観測された場合でも束縛エネルギーがわからないと正確なバンドギャップは得られません。
     自由励起子でも束縛エネルギーが小さい場合、熱的に解離して電子は伝導帯を、 ホールは価電子帯をマイグレートして、どこかのトラップ準位に捕獲され、 そのエネルギーがフォノンとして放出される場合があります。
    伝導帯の電子と価電子帯のホールが、バンド間直接遷移で再結合して発光する場合もありますが、 室温ではスペクトルがブロードで弱いことがしばしばです。
     よく光らない場合でも、伝導帯と価電子帯にキャリアがあれば、電界を印加すれば、 光電流として観測されますから、正確な情報ではなくても、とりあえずバンドギャップのエネルギーの近似値が得られるのです。

     私もずっと以前に、磁性半導体CdCr2Se4のバンドギャップを決めるために光伝導スペクトルを 測定した経験があります。バンドギャップ付近の発光はほとんど観測されませんし、 薄膜ができないので吸収スペクトルの測定もむずかしいので光伝導に頼らざるを得なかったのです。
     K.Sato and T.Teranishi: Photoconductivity and Electronic Structures of CdCr2Se4; J. Phys. Soc. Jpn. 29 [2] (1970) 523
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  • 1024. なぜPtの自由電子の散乱寿命は短いのか


    Date: 2007/11/10 2:15
    Q: 佐藤先生

    M**社のO**と申します。匿名で「M社のO」でお願いします。
    工学部電気系出身で、半導体素子の研究開発をしております。
    「物性なんでもQ&A」を楽しく拝見しております。

    「Q468. プラズモン励起について」に関連して質問があります。
    このQ&Aにおいて、ご質問者の「Ptはダンピングが大きく・・・」に対して、 佐藤先生も「(Ptは)ご指摘のようにscattering lifetime が短く・・・」と 回答されています。

    私の質問は、なぜPtはAgやAuなどの貴金属に比べて、 scattering lifetime が短いのでしょうか。
    これは、電子のバンド構造より予測できることなのでしょうか。

    お忙しいところ申し訳ありませんが、ご指導よろしくお願いいたします。
    小生、先生の本などにより物性の基礎は修めておるつもりですので、 かなり専門的なご説明でも理解できる自負があります。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/10 10:13
    A: O様、佐藤勝昭です。
     Ptの伝導電子の散乱ライフタイムがなぜ短いかというご質問ですが、明確なお答えが できるかどうか自信がありません。
     バンド構造だけからは散乱の寿命まで予測できないとは言えます。
    キャリアの散乱には、フォノンによる散乱、不純物による散乱のほか、遷移金属の場合 磁気的な散乱も関与します。白金はパウリ常磁性体ですが、強磁性秩序をもつ寸前の状 態にあるといわれています。たとえば、PtCo, PtFeなどの合金では、Ptが磁気モーメン トをもつことが、XMCDの測定から明らかにされています。スピン軌道相互作用が大きい ことも考慮すると、スピンの揺らぎによる散乱が効いている可能性がありますが、それ を裏付けるデータを持ち合わせていません。お答えにならなくて申しわけありません。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/10 11:43
    A2: 追伸O様、佐藤勝昭です。
     先程、バンドは無関係と書きましたが、もうすこし説明しておきます。
    筑波大学松本紳研究室のHP にPtのバンド構造と状態密度曲線(DOS)が載っています。
    DOSを見ると、Ptのフェルミ面は狭い5dバンドの中にあることが分かります。
    この点は、Auとの違いで、Auではフェルミ面の2eV下に5dバンドが存在します。
    このため、自由電子の有効質量が大きいので、電気伝導は小さくなります。しか し、だからといって散乱寿命が短いとは言えないのです。散乱寿命に結びつける にはスピン散乱を考える必要があるのではないかと思うのです。
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/30 3:38
    AA: 佐藤先生、M社のOです。
    「Ptは散乱ライフタイム」に対して、ご指導ありがとうございました。
    お礼が遅くなり申し訳ありません。
    ご質問者も佐藤先生も当然のように「Ptの散乱ライフタイムが短い」ことをお話しされているので、 現象だけでなく原因の物理も広く知られていることかと思ったのですがそうでもないようですね。
    ただ、確かにスピンの効果は大きいような気がします。
    お忙しい中、丁寧にご説明して頂き、ありがとうございました。
    今後も、「物性なんでもQ&A」で勉強させて頂きます。
    御礼まで。
    --------------------------------------------------------------------------------
  • 1025. 強誘電体薄膜のキュリー温度


    Date: 2007/11/12 15:47
    Q: H**大学大学院 工学研究科 物質系工学専攻のH**と申します。
    Webに掲載の際は匿名でお願いいたします。
    以前にも質問にお答えしていただいたことがあります。
    その節はお世話になりました。

    いつも物性Q&Aは参考にさせていただいております。

    今回の質問は『強誘電体膜のキュリー点』に関する質問です。

    私は現在強誘電体膜について研究を行っているのですが、
    つい最近『膜のキュリー点はバルクのキュリー点よりも高くなる』
    という話を聞きました。
    膜の場合、基板と膜の間に熱履歴が生じていてキュリー点が上昇したように見える、
    というのが原因らしいのですが、ある文献によりますと、『Tcは粒径とともに下がる』
    と記述されているものもありました。
    これは強誘電体の種類によって原因が違うと考えた方がいいのでしょうか。
    どちらを信用したらいいものか判断し兼ねましたので
    もし宜しければお答えいただきたくメールさせていただきました。

    ちなみに参考文献は
    Material Letters Vol.34 No1/2 pp. 5-9
    で、私の取り扱っている試料はPZT系のものです。

    お忙しいところ申し訳ありませんが、
    宜しければ回答のほどよろしくお願いします。
    --------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/12 16:48
    A: H君、佐藤勝昭です。
     強誘電体のキュリー温度は、バルク単結晶ではきちんと決まっていますが、 薄膜となると、物質、作製方法、膜厚、密度等により、大きく変化するので 一概に何が正しいかはいえないと思います。しかし、一般的に言って、バルク に比べて、薄膜のTcはバルクより低いのが当たり前で、高くなる方が例外で、熱履歴の ため見かけ上高くなったように見えるだけのことです。
    Material Letters Vol.34 No1/2 pp. 5-9の論文は、ゾルゲル法で作製しており、 グレインサイズの減少とともにTcが低下するという報告で、きわめてリーズナブル な内容だと存じます。
    あなたの研究室のHPによれば、あなたのテーマは、「MOD法による圧電体の厚膜」の ようですが、MODでも膜質は作製法に大きく依存します。熱処理方法などを 工夫して、なるべく粒径が大きく、配向性のよい膜を作製されますよう アドバイス申し上げます。
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/12 17:48
    AA: H大学大学院のHです。

    早速のご回答ありがとうございました。
    非常に参考になりました。
    ありがとうございます。
    -----------------------------------------------------------------------
  • 1026. 太陽電池の理論的最大変換効率の導出法


    Date: 2007/11/13 21:27
    Q: 私はO**大学 3回生 応用物理学科所属のT*という者です。(匿名希望)
    半導体デバイスの本を読んでいると、Si単結晶によるpn接合のエネルギー変換 効率の理論値は22%となっていたのですが、どのような理論式からでてくるので しょうか?固体物理の本なども見たりはしたのですが、見つけられず頼ることに させていただきました。
    Siフォトダイオードの実験の考察に用いたいと考えております。
    できれば導出もしりたいですが、ここでの記述はつらいですから、理論式だけでも 教えていただけるとありがたいです。
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    Date: 2007/11/14 11:11
    A: T君、佐藤勝昭です。
     実験レポートの考察に使う式を、「物性なんでもQ&A」に求めようというのは 本来心得違いです。
    しかし、変換効率の理論的背景を知ろうという気持ちをもつことは評価できます のでお教えしましょう。
    図書館に行って(古い論文ですが)次の論文を探してきて読んでください。
    J.J. Loferski: Theoretical Considerations Governing the Choice of the Optimum Semiconductor for Photovoltaic Solar Energy Conversion;
    Journal of Applied Physics 27 (1956) 777-784.
    この論文は、太陽電池関係の論文では必ずといってよいほど引用される文献です。
    =============================================
    これによると、pnホモ接合ダイオードを念頭に、次のようにして式を導いています。
    まず、光照射を受けたpn接合は、電流電圧特性が
     Ij=I0(exp(eV/kT)-1) (1)
    で表されるような非線形抵抗に並列に置かれた電流Is の定電流源に等価です。
    ここにI_oは逆方向飽和電流です。
    もし、整合負荷がpnダイオードに接続されているとすると、取り出しエネルギー が最大になる電圧Vmpは次式で表されます。
     exp(eVmp/kT)(1+eVmp/kT)=(Is/I0)+1=exp(eVmax/kT) (2)
    ここに、Vmaxは開放端子電圧です。従って、V_mpを計算するにはI0とIsを決める必要があります。
    I_0はダイオードに関するSchockleyの式I_0= Aexp(-Eg/kT) から導かれます。
    (この式の係数Aには、移動度や伝導帯・価電子帯の状態密度などが含まれます が、Siでは10-8のオーダーの量です。)
    一方、Isは次式で与えられます。
      Is=Q(1-r)(1-exp(-αl)) e nIph(Eg) (3)
    ここにQはキャリア収集効率で、回路を通り抜けるキャリア数と、バルクで生成されたキャリア数の比です。
    また、rは光の反射係数(シリコンでは、反射防止コーティングをしなけらば40%くらい反射します(佐藤註))です。
    αは吸収係数、lは吸収層の厚みですから、exp(-αl)は試料を透過してしまう光強度の割合、 nph(Eg)は、半導体において電子ホール対を生成するに十分な光子エネルギーをもった単位時間・単位面積あたりの光子の数です。
     最後に、最大変換効率η_maxは、単位面積に到達した太陽光のパワーに対する取り出せる最大電力との比として定義され、次式で与えられます。
     ηmax=Q(1-r)(1-exp(-αl)){(eVmp/kT)/(1+eVmp/kT)}{enph(Eg)/N_ph}(Vmp/Eav) (4)
    ここにNphは太陽光スペクトルに含まれる全光子数、Eavはその平均エネルギーです。
     太陽光のパワースペクトルのピークは1eV付近にあるので、光子の数はエネル ギーの増加とともに減少します。従って(4)のn_ph(Eg)はEgの増大とともに減少 します。一方、Is/I0はI0= Aexp(-Eg/kT)を考慮するとEgとともに増大しま す。従って、VmpもEgとともに増大します。
    このため、ηmaxをEgの関数としてプロットすると、ピークを生じるのです。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 1027. 相変態について


    Date: 2007/11/16 15:08
    Q1: なぜおんどは上昇するのですか?
    変態温度はなぜ低いのですか?
    秋田県在住19歳 すがい
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: すがい君、佐藤勝昭です。
    A1: 質問の意味がわかりません。もう少し丁寧に質問してください。
    (1) 地球温暖化のことを聞いているのですか?それとも、熱源に接したとき の物質の温度上昇のことを聞いているのですか?
    (2)変態というのは昆虫かなにか生物の変態ですか?それとも、物質の気相・ 液相・固相の相変態のことですか?
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/16 15:26
    Q2: 熱源ッてなんですか?
    (2)物質の気相・液相・固相の相変態のことです。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/16 15:38
    A2:
    (1)熱源というのは、熱の元のことです。
    例えば、鍋に入れた水の温度を上げるときに、ガスコンロにかけて熱を与えます よね。熱源がなければ温度上昇はありません。
    (2)水の固相・液相の相変態(融解)は低い温度で起きますが、金属の融解は 1000度におよぶ高い温度で起きます。
    変態温度は物質の結合の強さと関係しています。水では、水分子同士の結合(水 素結合)が弱いので低温で相変態が起きるのです。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/16 15:45
    Q3: (2)はわかりました。
    (1)体心立方格子から面心立方格子に変わる時に、構造や磁気特性が変わることによって 一瞬膨張し、熱エネルギーが発生するから温度は上昇するのですか?
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/16 16:00
    A4: 佐藤勝昭です。
    体心立方格子から面心立方格子に変わる時になぜ温度が上がるかという質問ですね?それならそのように質問してください。
    温度上昇の原因は熱膨張が原因ではありません。
    一般に相変化をするときに、潜熱が発生します。潜熱の例としては、水が蒸発するとき、周りから潜熱を奪うので涼しく感じるということで経験されたことがあると存じます。
    潜熱とは、水→蒸気 のように物質の状態変化だけに費やされる熱です。全体温度は変化しません。潜熱については、
    http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~masako/exp/netuworld/syoutai/sennetu2.html
    を参考にしてください。
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/16 16:20
    AA: わかりました。
    ありがとうございました。
    ---------------------------------------------------------------------------------
  • 1028. 先端をしぼった電磁石からの磁場


    Date: 2007/11/16 2:54
    Q: 佐藤勝昭先生.
    はじめまして.私,M*大学工学部機械工学科4年A*と申します.(ホームページへのアップ時は,学校名,氏名とも匿名でお願いいたします) 先生のホームページ拝見させていただきました.
    さて,質問のほうなのですが,
    添付させていただいた図のように,コイルの中に入れた磁性体の先端をしぼった電磁石を設計しようと考えているのですが,先端(r=0)からr (r>0)の位置での磁場の計算の仕方がわかりません.
    No.1013の内容も参考にしてみたのですが,あの場合だとr=r´のところからの磁場なので,それから,今回の場合の,面積が小さくなっていく磁性体を通り,先端からの磁場とする応用の仕方がわからず,断念しました.
    また,コイルを半無限長コイルと近似して,r=r´での磁束密度B=μnI/2から,r=r´での磁束φ=(μnI/2)*S1と計算し,先端r=0で断面積がS2になるので,r=0での磁束密度がB2=(μnI/2)*(S1/S2)と計算しました.
    しかし,ここからどうすれば良いか分からなくなってしまいました.
    私の学校の教授に聞こうと思ったのですが,その教授は学会等で忙しくしているらしく,今年は学校には来れないらしいので,誰に相談すべきか悩んでいたときに,佐藤先生のホームページを見つけ,御迷惑かと思いましたが,御相談のメールを送らせていただいた次第です.
    お手数おかけしますが,ご教授お願いできないでしょうか?
    よろしくお願いします.
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    Date: 2007/11/18 0:15
    A: A君、佐藤勝昭です。
     r=0における磁束密度がB2[Wb/m2]ですから、そこにB2S2[Wb]の磁極が置かれ たの同じです。r>>D2であれば、先端からrの位置における磁界はクーロンの公式 で与えられるはずです。
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    Date: 2007/11/18 2:2015
    Q2: 佐藤先生.
    M大のAです.
    回答ありがとうございます.
    なるほど.確かに磁束の単位が[Wb]というのを忘れていました.
    もう一つお聞きしたいのですが,
    r>>D2という条件が気になりました.
    これはどういうことなのでしょうか?
    rがD2と近い値だとまずいのでしょうか?
    よろしくお願いします.
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/18 8:54
    A2: A君、佐藤勝昭です。
     磁極の中心から軸上rの位置にある測定点を考えますと、磁極内の各点から測 定点までの距離は一定rではなく、磁界の方向も軸から傾いていますから、各点 からの寄与を中心から磁極の半径D/2にわたって積分しなければならないので す。しかし、r>>Dであれば、磁極内のどの位置からも距離はrと見なせますし、 磁界の方向も軸方向と見なせるからです。
    ----------------------------------------------------------------------------------
  • 1029. サファイヤ板の複屈折


    Date 2007/11/22 3:20
    Q: 佐藤勝昭先生
    K*大学のI**と申します。(HPに載せる際には、匿名希望です)
    いつもお世話になっております。
    ファラデー楕円率の校正をサファイア板を用いて行いたいのですが、サファイア板の楕円率を教えていただけないでしょうか。
    また、何面のサファイア板を用いればよいのでしょうか。
    お忙しい中、ご迷惑をおかけします。
    ご教示いただけますよう、よろしくお願い致します。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/11/22 15:57
    A: I君、佐藤勝昭です。
     サファイアはc面(0001)以外は複屈折を持ちます。通常はc軸を含むa面 (1120)を使います。
    ある面に垂直に入射した光のうち、常光線に対する屈折率noと異常光線に対 する屈折率neとしますと複屈折は複屈折Δn=ne-noとして与えられます。
    長さdとしますと、これによる位相差は2πΔnd/λ=ωΔnd/cです。このサファイア 板に直線偏光を入射したとき、出てきた光の異常・常光線の位相差が0 のとき は直線偏光ですし、π/2のときは円偏光です。この途中では楕円になります。
    したがって、楕円率を測定する設定で、適当な厚みの適当な面のサファイヤ板 を入れたとき、出力には波長とともに振動するが様子が見られます。ピークの 位置が円偏光(楕円率=1)になりますので振動波形の包絡線をとれば、校正が できるのです。
     λ=.590μmにおいてc軸に平行な方向の屈折率がne=1.768、c軸に垂直な方向 の屈折率がno=1.760となっていますので、Δn= 0.008 です。
    この波長で1/4波長板にするには 2πΔnd/λ=(π/2)*(奇数) なので d=36.875*奇数[μm] となります。
    短波長まで細かい校正をしたければ、薄くすれば波長に対して細かい振動がでます。
    (なお、校正の具体的な方法は、 K.Sato, H.Hongu, H.Ikekame, Y.Tosaka, M.Watanabe, K.Takanashi and H.Fujimori
    Magnetooptical Spectrometer for 1.2 - 5.9 eV Region and its Application to FePt/Pt Multilayers;
    Jpn. J. Appl. Phys. 32 Part 1 [2] (1993) 989-995.
    をご覧下さい。)
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  • 1030. ショットキーダイオードのI-V特性


    Date: 2007/12/04 16:40
    Q: 私はO*大学3回生のT*という者です。(匿名希望)
    大学の講義で先日、ショットキーダイオードについて学びました。
    その中でpn接合ダイオードのNAを無限大にしたもので、I−V特性も全く類似したものであると学びました。
    しかし私が不思議に思うのは、NAを無限大にしたのに全く同じになるものなのかと思ってしまいます。
    実験をすればショットキーダイオードのI−V特性も片対数をとればほぼ直線になるのですか?
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    Date: 2007/12/04 16:55
    A: T君、佐藤勝昭です。
     大学の講義で学んだことについて疑問に思ったら、講義を担当した教員に聞く のが正当ですよ。
    pn接合のI-V特性も、ショットキー接合のI-V特性も式の上からは、
     J=J0 {exp(qV/kT)-1}
    という同じ形の式で表されます。ただし、pn接合では接合界面から注入された少 数キャリアの拡散が電流を決めていたのに対し、Schottky接合では半導体から金 属側への多数キャリア(電子)の流れが電流を決めているという点が違います。 Schottky接合のJ0はpn接合のJ0より数桁大きく、また逆方向電流はpn接合 と違って飽和しません。
    もっと詳しく知りたければ、オフィスアワーに担当教員の部屋に行って、質問してく ださい。
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  • 1031. エリプソメトリで測定した磁性ガーネットの屈折率の磁界依存性


    Date: 2007/12/04 19:08
    Q: 佐藤勝昭様
    元T社のSです。紅葉も真盛りを過ぎようとしているこの頃益々ご活躍と存じます。過日は
    磁力線と光線軸の傾きによって、磁気光学結晶ガーネットに複屈折の生じることを指摘頂き有難うございました。
     再びHPをみてご相談お願いします。同じ希土類BiIG結晶ですが、エリプソメトリーによって屈折率を測定するに当たり、外部磁界で容易軸方向[111]に飽和磁化している状態と、磁界が無くマルチドメインの状態とで測定の結果にどのような差が生じると考えられるでしょうか?
    試料結晶は{111}板0.3mm厚で[111]方向に成長誘導異方性のある状態、測定波長は光通信帯域1〜1.7μmです。
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    Date: 2007/12/05 0:20
    A:S様、佐藤勝昭です。
      メール有り難うございます。
    お尋ねのようなケースのエリプソメトリ測定をやった経験がありませんので、 何が起きるか断定的に言えないのですが、考えられることを述べます。
    磁気飽和して単一磁区になった場合には[111]軸の周りについて等方的ですが、 縞状磁区になった場合、縞の長手方向と、垂直方向では屈折率に異方性が 出る可能性があります。また、DyIGのように磁歪の大きなガーネットの 場合、単磁区では磁気ひずみが生じていますが、多磁区では磁気ひずみは 打ち消しています。屈折率はひずみに敏感なので、わずかながら磁界の 有無による変化がある可能性があります。
    --------------------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/12/06 20:44
    Q2: 佐藤勝昭様
    早速のご回答有難うございました。
    反射光に対して、均一に磁化されている場合は極カー効果のみ発生、 磁区がある時は磁壁が存在するごく微小部分では縦、横カー効果も 発生と考えても良いでしょうか?
    磁壁では磁歪も複雑でしょうか?
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    Date: 2007/12/10 15:42
    A2: 様、佐藤勝昭です。
     エリプソメトリにおいては光は斜め入射しますから、斜め入射の極カー効果に 加えて、一般には、縦カー効果、横カー効果が加わってきます。しかし、磁区内 では磁化は面直で上向きか下向きかだけですから、極カー効果のみが寄与しま す。エリプソメトリでは、rp/rs=tanΨ exp(iΔ)を評価しますから、極カー効果が あるとΨ、Δが磁化方向の正負に応じて正負に変化します。初磁化状態で磁区に分 かれている場合には、この効果は打ち消しているはずです。しかし、面直上向き の十分強い磁界で飽和させると、上向きの成分のみが寄与するので、磁化による カー効果が重畳します。したがって、エリプソで見た屈折率は、非常にわずかな がら変化があるはずです。
     一方、磁気光学効果を考えず純粋に光学的に考えたとき、磁化があると磁歪の ために屈折率が変化しています。単一磁区では全体として大きな磁歪eがあり、 屈折率は全体として変化を受けています。消磁状態では磁歪はe/3になってお り、全体として飽和状態の1/3の屈折率の変化になっているはずです。しかしミ クロに見ると、縞状磁区では、屈折率の変調が起きているはずなので、島に対直 に入射した光は回折格子を見ることになります。磁区/磁壁の周期が波長に近い とこの効果が無視できないと思います。
     また、磁壁内では、面内成分がありますから、縦・横磁気カー効果の寄与があ ります。縦カー効果は、両側の磁壁で反対方向ですから打ち消すはずです。横 カー効果は磁化の方向に応じて強度が変調されるはずです。しかし、この成分は 小さいのではないかと推察します。
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 6 Dec 2007 20:44:35 +0900
    Q3: 佐藤勝昭様
    早速のご回答有難うございました。
    反射光に対して、均一に磁化されている場合は極カー効果のみ発生、 磁区がある時は磁壁が存在するごく微小部分では縦、横カー効果も 発生と考えても良いでしょうか? 磁壁では磁歪も複雑でしょうか?
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 10 Dec 2007 15:42:35 +0900
    A3: S様、佐藤勝昭です。
     エリプソメトリにおいては光は斜め入射しますから、斜め入射の極カー効果に 加えて、一般には、縦カー効果、横カー効果が加わってきます。しかし、磁区内 では磁化は面直で上向きか下向きかだけですから、極カー効果のみが寄与しま す。エリプソメトリでは、rp/rs=tanΨ exp(iΔ)を評価しますから、極カー効果が あるとΨ、Δが磁化方向の正負に応じて正負に変化します。初磁化状態で磁区に分 かれている場合には、この効果は打ち消しているはずです。しかし、面直上向き の十分強い磁界で飽和させると、上向きの成分のみが寄与するので、磁化による カー効果が重畳します。したがって、エリプソで見た屈折率は、非常にわずかな がら変化があるはずです。
     一方、磁気光学効果を考えず純粋に光学的に考えたとき、磁化があると磁歪の ために屈折率が変化しています。単一磁区では全体として大きな磁歪eがあり、 屈折率は全体として変化を受けています。消磁状態では磁歪はe/3になってお り、全体として飽和状態の1/3の屈折率の変化になっているはずです。しかしミ クロに見ると、縞状磁区では、屈折率の変調が起きているはずなので、島に対直 に入射した光は回折格子を見ることになります。磁区/磁壁の周期が波長に近い とこの効果が無視できないと思います。
     また、磁壁内では、面内成分がありますから、縦・横磁気カー効果の寄与があ ります。縦カー効果は、両側の磁壁で反対方向ですから打ち消すはずです。横 カー効果は磁化の方向に応じて強度が変調されるはずです。しかし、この成分は 小さいのではないかと推察します。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/12/13 14:43
    AA: 佐藤 勝昭様
    遅れましたが詳細なご回答有難うございました。
    定量的に差を明確にし、最適ARコートするため実測予定です。
    年明けには結果は出ますので両者の値をお知らせします。
    親切なご教示をいただき感謝いたします。
    ------------------------------------------------------------------------
  • 1032. イオン照射したCoCr膜のMsとTcの変化


    Date: 2007/12/07 19:23
    Q: 佐藤勝昭、F社Sです。
    いつもお世話になっております。HPを見ての質問です。
    匿名希望です。私は、磁気記録媒体の開発を担当しております。

    今回の質問は、Coの自発磁化についてです。
    hcp-CoCr垂直磁化膜にArイオンを照射すると室温での 飽和磁化が大幅に低下することに気が付きました。膜 減り量を考慮しても十分なMs低下が確認されています。

    X線回折測定の結果、hcp-Co(002)の格子定数が大きく なっていました。また、Msの温度変化測定で、Tcが下がっ ていることがわかっています。格子間隔が広がるとTcが 下がることについて、物理的解釈を付けたいのですが、 アドバイスいただけたら幸いです。

    また、バンド計算を有限温度に拡張するなどして、Tcと 格子間隔の関係について計算できたらよいのですが、 可能かどうか、先生のお考えをお聞かせいただけたら と思っております。

    以上、たいへん恐れ入りますが、なにとぞよろしくお願い いたします。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/12/08 0:10
    A: S様、佐藤勝昭です。
     一般に固体に高エネルギーのイオンを照射しますと表面付近の原子が 散乱を受け原子配列に乱れが生じます。イオンの照射量によっては、ア モルファスライクな乱れとなります。MsおよびTcの低下は格子定数の増 加というよりは格子の乱れの方が聞いているように思うのですが。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/12/10 10:33
    Q2: 佐藤勝昭様

    お世話になっております。
    アモルファスライクな格子の乱れとTc低下の関係について、 ご教授いただきたく、返信させていただきました。格子の乱れに よって、原子間の交換相互作用にも揺らぎが生じ、Tcが下がった と考えればよいのでしょうか。

    磁化の温度変化測定の結果を0 Kに外挿した自発磁化は、イオン 照射で低くなりました。バンド計算によると、基底状態では、格子間 隔が広がると自発磁化が増加し、縮まると減少するようです。つま り、X線回折の結果とあわせて考えると、0 Kでの自発磁化は増加し なければなりませんので、磁化の実測結果と合いません。先生の おっしゃるとおり、格子定数の増加をTc変化やMs変化の原因と考 えることには無理があるのかもしれません。

    以上、お忙しいところ、誠に恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: 2007/12/10 11:05
    A2: S様、佐藤勝昭です。
     自発磁化が減少することは必ずしも交換相互作用の減少のせいとはいえませ ん。たとえば、イオン照射で原子空孔やボイドが生じて密度が低くなれば、見か けのMsは低下します。
    キュリー温度Tcと交換相互作用Jの関係は、近角先生の強磁性体の物理(6. 34)式によりますと、kTc=J/log{z/(z-2)}と表されます。ここにkはボルツマ ン定数、zは隣接スピンの数です。2次元正方格子ではz=4でこのときkTc= 1.443J、単純立方格子ではz=6でkTc= 2.446Jとなります。このようにキュリー温 度Tcは、Jのみならず配位数zにも依存します。
    イオン照射によって、Jが小さくなっても、配位数が小さくなってもTcは低下し ます。私の解釈では、格子の乱れによって、隣接スピンの数が減少したことが Tcの低下に寄与していると思うのですが・・。
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    Date: Tue, 11 Dec 2007 10:56:23 +0900
    Q3: 佐藤勝昭様
    さっそくご回答をくださり、ありがとうございます。
    隣接スピンが減少したことによるTc低下について考えて見ます。
    格子の乱れによって小さくなるのは、Jよりもzの方が可能性が 高いとお考えの訳をご教授いただけないでしょうか。Jはそんなに 簡単に小さくなるものではないのでしょうか。

    ちなみに、膜厚測定は、蛍光X線によるCo強度変化から算出 しているため、厳密にはCo原子の数を測定していることになり ます。

    以上、恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
    ----------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 11 Dec 2007 14:40:22 +0900
    A3: S様、佐藤勝昭です。
     私は、決して交換相互作用Jの変化がないと言っているわけではありません。J の変化の寄与を考える前に乱れによる隣接スピンの数の変化の寄与を考えて、そ れで説明できない分をJのせいにすればよいのではないかと言っているわけです。
    Coのような遍歴磁性体の磁性について乱れの効果がどのようにJに影響するかを 理解するのは簡単ではないと思います。
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    Date: Tue, 11 Dec 2007 16:15:14 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
    ご丁寧にご回答くださり、ありがとうございました。
    --------------------------------------------------------------------------
  • 1033. 酸素プラズマ中の石英の帯電


    Date: Tue, 18 Dec 2007 10:35:45 +0900
    Q: 東京農工大学名誉教授 佐藤勝昭 様
    F社のSと申します。H/Pを拝見させていただき,ご質問します。
    申し訳ありませんがよろしくお願いします。

    酸素プラズマ中の石英(SiO2)の帯電についてご質問します。
    酸素プラズマ中では石英(絶縁物)は一般にはマイナスに帯電すると 思いますが、プラスに帯電する可能性はないでしょうか?
    すみませせんが,よろしくお願いします。
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    Date: Wed, 19 Dec 2007 02:32:13 +0900
    A: S様、佐藤勝昭です。
     私は、酸素プラズマ中で石英をおいて帯電させた経験がありませんので間違っているかもしれませんが、 私の考えを述べさせていただきます。
     プラズマにおいてはプラスイオンと電子が分離していますが、マイナ スの電子は軽くて動きやすいので、チェンバーの金属壁に到達して逃げ ていきます。一方、プラスイオンは空間に残ります。(電子は高周波の 動きに追従できるが、イオンは追従できずほとんど動かない)
     このため、プラズマの中心部においた石英はプラスに帯電するはずで すが・・・。
    なんでもQ&A 
    「832. プラズマポテンシャルとセルフバイアス」 をご参照下さい。
    ------------------------------------------------------------------------
  • 1034. 形態の違うシリコンの物性値


    Date: Tue, 18 Dec 2007 20:04:24 +0900
    Q: 佐藤さま
    初めまして。
    (株)T*で働いているA*と申します。

    ボランティアでこのような活動をなさっていることに驚き、でもすごくありがたく 感じています。
    学生時代の研究で放射伝熱学を通して半導体の世界に興味を持ち、今の仕事に至っ ています。
    バックグラウンドはないですが、忙しいながらも日々楽しく仕事をして知識を増や しています。

    すごく基礎的なところで非常にきがひけるのですが、シリコンの物性について教え ていただきたいです。
    シリコンと一口に言っても、amorphous/single crystal/poly crystalとあると思 うのですが、このどの状態においても物性は同じなのでしょうか?
    会社の図書室で調べた中では、この状態を明記してデータが記載されているような 資料を見つけられませんでした。

    具体的に私が知りたいのは各状態における密度と酸化速度(特にwet酸化)の差です。
    結合の状態が違うのならば密度が変わってくるだろうし、 その場合には酸化速度も変わってくるのではないかと予想しているのですが・・・。
    酸化反応の際のシリコン消費分はあくまでもSi-O結合の問題であって、44%である ことは変わりないですよね?
    このあたりについても教えていただけないでしょうか。
    参考になりそうな文献ももしご存知でしたら教えてください。

    お忙しいところ図々しくお願いして申しわけありませんが どう資料を探していいのか行き詰まっているのでご助力いただけたらと思います。
    どうぞよろしくお願いいたします。
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    Date: Wed, 19 Dec 2007 00:14:38 +0900
    A: A様、佐藤勝昭です。
     シリコンの物性といっても、結合性、電子物性、光物性、熱物性、機 械的性質など入さまざまなものがあります。  アモルファスシリコンは、 a-Si:H(水素化アモルファスシリコン)と記されるように、水素を数% 〜10数%含んでおり、結晶Siとは別の物質(珪素と水素の合金、また は、有機物のC-HにおいてCをSiに代えたもの)と言ってよいでしょう。
     アモルファスシリコンの結合性は結晶シリコンと同じ4配位ですが、配 位の方向も結合の長さもランダムで、その結果3配位になってダングリ ングボンドができて、ドーピングしてもキャリアが活性化しないので、 水素で終端しようというのが、水素化のコンセプトだったのです。従っ てアモルファスシリコンの密度は結晶シリコンの密度より低くなります が、結晶の場合のような物質定数ではなく、アモルファス性によって異 なった値をとります。
     多結晶シリコンといってもいわゆるポリシリコン は、アモルファスシリコンの海の中に微小な結晶粒が浮かんでいる状態 です。従って、その結晶粒の大きさや分布の様子の違いによって密度も 異なった値をとります。アモルファスシリコンからレーザーアニールで ラテラル成長で結晶化した膜の場合、その密度は結晶とほとんど変わり ません。
     電子的にはバンドギャップは、水素含有量にも因りますが、太陽電池 に使うものでは、1.7eV位で、結晶シリコンのバンドギャップ1.1eVより もはるかに大きいこと、ギャップ内状態があるけれど、アンダーソン局 在のために電気輸送には寄与しないことなどが知られています。ポリシ リコンの電子状態は結晶の電子状態と基本的に同じですが、結晶粒界に 障壁が存在することによって、移動度が小さくなっていることがありま す。
     さて、お尋ねの酸化速度の違いですが、私の手元にデータがありませ んが、水素化アモルファスシリコンは、単結晶とは別の物質と考えるべ きでしょう。単結晶シリコンの表面は極めて酸化しやすいのですが、水 素化アモルファスの表面は比較的安定です。
    また、多結晶のものは粒界にWetの酸化剤が浸透しますので、酸化しやすいと思います。
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  • 1035. 「多元合金」の英訳


    Date: Wed, 19 Dec 2007 10:58:25 +0900 Q: 東京農工大学 佐藤先生
    初めまして。私、S**社のU*と申します。
    (HPに掲載する時は、所属・氏名はなにとぞ匿名にてお願いします。)
    技術用語の英語表記を検索しているうちに先生のHPにたどり付きました。
    質問内容が学術的な内容ではないので申し訳ございませんが、教えていただきたいことがあります。
    開発テーマの関係で、「多元合金」あるいは「多元合金材料」を英訳したいと思います。
    辞書やWebで色々検索したのですがしっくり来ません。
    どうも、「多元」という表現があまり出ていないようです。
    そこで、先生の参加されている国際会議で、「三元多元化合物国際会議(International Conference on Ternary and Multinary Compounds)」 というものがあるようですが、これを元に考えて、
    「Multinary Metal Alloy」や「Multinary Metal Alloy Material」などとして見たのですが、 これで国際的にも通用する表現となりますでしょうか?

    恐れ入りますが、ご教授の程よろしくお願いいたします。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 19 Dec 2007 11:50:18 +0900
    A: U様、佐藤勝昭です。
     合金や化合物において、2元素からなるものを2元合金(binary alloy)、2元化合物(binary compound)、3元素からなるものが、3元合金(ternary alloy)、3元化合物(ternary compound)、4元素からなるものを4元合金(quaternary alloy)、4元化合物(quaternary compound)、・・・・と続きます。これを延長して多元素の場合に多元 合金(multinary alloy)、多元化合物(multinary compound)と呼んでいます。multinaryは造語だと思いますが、金属関係者の述語として定着しています。
    なお、日本語では、合金という言葉は、金属にしか使われませんが、英語では半導体の混晶をsemiconductor alloyといいます。
     お尋ねの多元合金はmultinary alloys、多元合金材料はmultinary alloy materialsとなります。(複数形にしておくほうがよいと思います。)どうしても金属の合金であることを強調するのであれば、それぞれ、multinary metallic alloys、multinary metallic alloy materialsとされるとよいと思いますが、ちょっと長たらしいので、書かなくても分かるようであれば、metallicは不必要です。
     なお、化合物や合金でなく多元素が入っている(一般の)場合にmulticomponentという言葉が使われるようです。以前に、ICCG(結晶成長国際会議)で、多元化合物のセッションには、multicomponent compoundsと書かれていました。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 19 Dec 2007 12:25:03 +0900
    AA: 東京農工大学 佐藤先生

    早速の回答、また詳細なご解説を頂き大変ありがとうございます。
    大変参考になりました。(multinaryは造語なんですね)
    これからも先生のHPは楽しみに拝見させて頂きます。
    今後ともよろしくお願いいたします。
    ---------------------------------------------------------------------------
  • 1036. MgOをトンネル障壁に使うとTMRが増大する理由


    Date: Sat, 22 Dec 2007 16:53:37 +0900
    Q: 佐藤勝昭 様
    はじめまして、「物性なんでもQ&A」を度々参考にさせていただいています。
    現在H*大学博士前期課程1年のH*と申します。
    アップロードされる際は匿名でお願いいたします。

    早速質問させていただきます。
    現在spin-FETに関する研究をしています。
    具体的には強磁性電極から半導体(二次元電子系)への高効率スピン注入です。
    そこで、スピン注入という観点からTMRについて調べていたところ、トンネルバ リアとして、それまで用いられていたAl_2O_3ではなくMgOを用いることによって TMR比が改善されたようです。
    私自身様々な資料を調べましたが、なぜAl_2O_3ではなくMgOでTMR比が改善(スピ ン注入効率の改善とほぼ同義?) されたのかわかりません。
    ちなみに量子力学(小出昭一郎著)と固体物理の基礎(キッテルの固体物理入門程 度)は理解しているつもりです。
    急な質問で恐縮ですが、何卒ご教授くださいませ。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 22 Dec 2007 17:49:32 +0900
    A: H君、佐藤勝昭です。
     研究上の疑問は、指導教員に聞くのが筋ですよ。しかし、先端的なこ とは教員も十分に勉強していないことがありますので、ご説明しておき ましょう。
     磁気トンネル接合素子において、アモルファスのAl2O3に代えて結晶 性のMgOをトンネル障壁に使うとTMRが改善され1000%におよぶ値が得ら れる可能性があることは、Butlerらが2001年に理論的に予言しました。
    (W. H. Butler, X.-G. Zhang, T. C. Schulthess, J. M. MacLaren: Phys Rev. B63 (2001) 054416.)
     世界中の研究者が実験的に検証しようとしましたが、成功しませんで した。産総研の湯浅らは良質のMgO単結晶層の作製に成功し、200%にお よぶ大きなTMR比を実現しました。
    (S. Yuasa, A. Fukushima, T. Nagahama, K. Ando, Y. Suzuki: Jpn. J. Appl. Phys. 43 (2004) L588.)
    現在では500%という大きな値が報告されています。
     従来のアモルファス絶縁層によるトンネル効果では、電子のトランス ファーが散漫トンネルによって起きるのでエネルギーの保存だけがかか わったのですが、結晶絶縁層を用いるとコヒーレント・トンネルとなり、 エネルギーのほかに運動量が保存されるために、MRは電極のバンド構造 を反映し、磁化が平行のときはトンネルできるが反平行のときはトンネ ルできなくなるのです。
    (猪俣浩一郎:RISTニュースNo.42(2006) 35.参照)
     参考のために、私が、結晶工学分科会年末講演会で話した内容の
    予稿パワポ(pdf)が、ネットにアップしてあるので、参照してください。
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    読んでみて、分かったかどうかは、返事を下さいね。
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    Date: Mon, 24 Dec 2007 02:16:48 +0900
    Q2: 佐藤勝昭 様
    迅速な返信さらには大変参考になる資料添付に感謝致します。
    (猪俣浩一郎:RISTニュースNo.42(2006) 35.)については以前より参考にさせていただいてました。
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    Date: Mon, 24 Dec 2007 15:31:56 +0900
    A2: H君、佐藤勝昭です。
     トンネル障壁層を単結晶にすると、特定の波数ベクトルを持つ電子波 動関数の連続性が保たれ、伝導率が特定のバンド電子の透過率で決まる ために等価的に高いスピン分極率が得られると言うことです。
     日本磁気学会2006年サマースクールテキストpp.93-106にあります大 阪大学の鈴木先生の解説がわかりやすいので、それを読んで理解してください。
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  • 1037. 銅とアルミナ基板の接合


    Date: Tue, 25 Dec 2007 15:06:54 +0900
    Q: 佐藤様
    初めてメールさせて頂きます。鰍m**のS*と申します。
    HPへ掲載の際は匿名でお願い致します。
    今更という内容かも知れませんが放熱基板製作にあたり銅板とアルミナ基板の接合に 取り組んでおります。
    不活性雰囲気(N2)で銅の融点(1083℃)より若干低い温度で圧縮しながら 加熱すれば接合するという知見をもとに試験を進めていますが、うまく張付かなかったり 逆に溶けすぎたり(表面状態は綺麗なまま貼り付けたい)と行き詰っております。
    条件出しだけの問題として時間をかければできるのか不安があり質問させて頂く事 にしました。
    具体的な質問としては酸素濃度と銅の融点の相関関係の分かる資料等があれば教え て頂きたいです。
    又、本件の接合に関する製法で既に確立しているものがあるのであれば教えて頂き たいです。
    私なりにNETで検索したりと調べて見ましたがこれといったものがなく、初歩的な 質問かもしれませんが御回答頂ければ幸いです。
    以上
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    Date: Tue, 25 Dec 2007 22:33:38 +0900
    A: S様、佐藤勝昭です。
     私は、金属とセラミクスの接着については全くの専門外です。
    参考になるかどうか分かりませんが、Cuとα-Al2O3結晶(セラミクスで はありませんが)の接着に対する酸素分圧の影響については、次の論文 がありますのでご紹介しておきます。
    U. Alber, H. Mullejans, and M. Ruhle:
    Wetting of copper on α-Al2O3 surfaces depending on the orientation and oxygen partial pressure;
    Micron Volume 30, Issue 2, April 1999, Pages 101-108.
     この論文は、融点と分圧の関係ではなく、高い酸素圧の方が強い結合 が実現すると書いてあります。また、R面の方がB面よりCuとの結合を作 りやすいと書かれています。したがって、CuのAl2O3への接着は融解で はなく酸化物イオンとの結合の問題ではないのでしょうか。
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  • 1038. アルミニウム合金の物性値の温度依存性


    Date: Mon, 7 Jan 2008 13:29:26 +0900
    Q: 東京農工大学 佐藤先生
    初めまして,私はK*大学の修士1年でI**と申します.物性値のキーワードで検索 しておりましたところ先生のサイトを見つけました.
    webアップの際は匿名でお願い致します.アルミの物性値について質問させてください.
    私はアルミ合金(5000系)の動摩擦係数を測定する研究を行っております.係数 を評価する際に材料の密度,比熱,熱伝導率の3つのパラメータが必要なのです が,いずれも多くの文献で20℃固定での値でしか記されていないことが多いのです. 実験の過程でアルミ合金は15℃から100℃未満まで温度上昇するので,より精度 の高い解析結果を得るためには,温度上昇に伴う物性値の変化を考慮すべきではな いかと考えているところです.

    指導教官とも軽金属関係のハンドブックや,論文などを探してはいるのですが目的 とするデータに未だ出会うことができず困っております.
    佐藤先生の専門ではないかもしれませんが,アルミ合金の物性値の温度依存性につ いて詳しく記された文献などご存知でしたら,ご教授いただければ幸いです.
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    Date: Mon, 07 Jan 2008 14:46:24 +0900
    A: I君、佐藤勝昭です。
     私も、通常のハンドブックにしかアクセスできませんので、材料の密度,比 熱,熱伝導率などの温度変化のデータは持ち合わせません。このようなデータの データベースは物質材料機構(NIMS)さんがお持ちだと思います。Mat Naviを調 べてみてください。
    http://mits.nims.go.jp/matnavi/
    これになければ、NIMS科学情報室に直接問い合わせてください。
     なお、Aluminum Alloyに関する書籍としては、
    FM Mazzolani : Aluminium Alloy Structures, 1995
    JE Hatch : Aluminum: Properties and Physical Metallurgy, 1984
    などに、thermal expansionなどは載っているようです。
    Google Scholarに
    5000 series aluminum alloy thermal property
    など入力して丹念に調べてみるしかないでしょう。
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    Date: Mon, 7 Jan 2008 17:15:52 +0900
    AA: 佐藤先生
    こんなにも早くお返事頂けるとは思いませんでした.お忙しい中ありがとうござい ます.
    早速教えて頂いたNIMSのデータベースにユーザー登録しましたので,aluminum alloysから根気よく探してみます.この度は,ご丁寧にどうもありがとうございま した.
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  • 1039. アルミナのレーザー加工


    Date: Thu, 10 Jan 2008 16:18:24 +0900
    Q1:佐藤勝昭様
     突然のメールで失礼致します。
     私、K**株式会社のM*と申します。(HP公開時は匿名でお願いします。)  「物性なんでもQ&A」をいつも拝見させて頂き、度々参考にさせていただいて います。
     
     早速ですが、セラミックへのレーザ孔加工について質問があります。レーザ 加工は専門外で基本的なことすら分かっておらず困っております。場違いな 質問とは思いますが、何かアドバイスを頂けると助かります。

     内容は、5〜6mmtの厚みのアルミナ(純度99.5%以上)基板への多数の 貫通孔加工(φ0.3程度)方法を検討しており、加工タクト等を考慮してレーザ での加工を検討しております。
     そこで、何回かテストしているのですが、垂直に孔が空かずに途中でレーザ が曲がったと考えられる入射口と出射口がずれた位置に出来るという現象が おきています。レーザメーカも経験的には分かっていても、原理までは分かって いないということで困っています。

     ご多忙中申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
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    Date: Thu, 10 Jan 2008 17:16:21 +0900 A: M様、佐藤勝昭です。
     むずかしい質問ですね。わたしもよくわかりませんが、ヒントになればと思い 考えてみました。
     アルミナはα-Al2O3の多結晶焼結体です。αAl2O3はコランダム構造をもち、光 の電界の振動方向がc軸方向とab軸方向では屈折率が異なります。結晶粒径は数 μmですが比較的方位のそろった直径数10μmの束が観測されています。光がコラン ダム構造のc軸に平行に入射すれば、複屈折は起きませんが、方位が傾いている と(焼結体ですから当然結晶粒の方位は揺らいでいます)複屈折のため、光が曲 げられてしまいます。特に、直径300μmの孔をあけるとなるとレーザ光の直径は 数十μmに絞っているでしょうから、光が見る結晶方位は完全にはランダムではな く、揺らいでいると思われます。いったん曲がると次の結晶粒界でも曲げられ、 入射位置と出射位置がずれることは十分考えられます。光の直径より1桁以上小 さな直径で方位がばらばらな結晶粒からなるアルミナがあれば、この現象は見ら れないでしょう。
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    Date: Thu, 10 Jan 2008 20:07:37 +0900
    Q2:佐藤勝昭様
     お世話になります。Mです。
     お忙しいところ迅速なご回答、誠に有難うございました。
     予想としては、結晶粒の方位ということで材料起因とすれば 加工条件での改善は難しいかもしれないですね。
     恐縮ですが、もう一点だけ質問させてください。
     同材料でも、1mmt程度のアルミナ基板であれば、比較的 垂直の孔加工が出来ますが、厚みが薄いために結晶粒の方位 揺らぎがあったとしても、それを払拭するぐらいのエネルギー入射 ができ加工できたと考えても良いのでしょうか?

     度々の質問で申し訳ありませんが、お時間が許すときに、ご教授 いただければ助かります。

     以上、宜しくお願い致します。
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    Date: Thu, 10 Jan 2008 23:47:27 +0900
    A2:森様、佐藤勝昭です。
     多分、距離が短いと位置ズレが少ないので目立たないと考えられます。
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    Date: Fri, 11 Jan 2008 07:41:14 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
     K社Mです。
     貴重なお時間を割いていただきまして、ご検討/ご回答本当にありがとうございました。
     また、質問が出てきましたら、メールさせていただいてもよろしいでしょうか?
    是非とも、よろしくお願いいたします。
     以上
    --------------------------------------------------------------------------------
  • 1040. ヘリウムリークディテクターでのヘリウムの検出原理


    Date: Sun, 6 Jan 2008 18:25:59 +0900
    Q:こんにちわ、佐藤先生
    HPを拝見しての質問です。
    私は、半導体メーカーN社のO*(匿名でお願いします。)です。
    文系出身者です。
    ヘリウムリークディテクターでのヘリウムの検出において逆拡散(カウンターフロー)を利用して検出していると言う事を聞いているのですが、 この逆拡散現象による、検出には一定の法則(等式)などがあるのでしょうか?
    また、リークレート(漏れ量)とその漏れ量とガス(特に特殊高圧ガス)の関係が良く理解できません。
    具体的には、漏れ量が 5.0x10-10Pa・m3/secとなった場合 例えばAsH3のようなガスはどれぐらい漏れることになるのでしょうか?

    Q&Aの質問を拝見して似つかわしくない質問なのかとは思いますが よろしくお願いいたします。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 07 Jan 2008 11:44:09 +0900
    A:O様、佐藤勝昭です。
     小生は、真空工学は専門ではありません。正しくお答えできる自信がありません。
    キャノンアネルバのホームページに出ている
    「真空基礎講座」のリーク探しのページ が役に立つと思います。リーク探しその3その4にヘリウムリークディテクタのことが書いてあります。
    ================================================================================================================
     アネルバのホームページの受け売りですが、 「プローブ法」の原理については、次のように書かれています。
    「プローブ法では、プローブガス(ヘリウムガス)に対する排気速度Sと、リークハンティングの対象となっている真空容器の容積Vとの比(排気時定数τ=V/S)が重要となります。 τの大きい真空系に対するヘリウムガスの信号の変化と、τの小さい真空系に対するヘリウムガスの変化は図1に示してある通りです。 この図からわかるようにτは中間ぐらいの大きさが最もリークハンティングに適していると言えます。このτの値は5〜8秒が適当と言われています。 τを制御するためにはヘリウムに対する排気速度を変えることを行います。 一般には主ポンプについているバルブを少し絞ることによりτを大きくしています。」
    ====================================================================================================================
    「カウンターフロー」については、次のように書かれています。
    「リークディテクタには真空ポンプ系が組み込まれていますが、主ポンプは圧縮型(分子流ガスの運動方向を揃えて圧縮する方法)のポンプ、即ち油拡散ポンプかターボ分子ポンプが使用されています。 最近はターボ分子ポンプのコストが下がったため油拡散ポンプを使用することは少なくなりました。 これらの圧縮型のポンプは、軽いガスほど圧縮比が小さいという特徴をもっているので、ヘリウムガスの排気速度が小さくなります(またはより小さくすることができます)。
    リークディテクタは、被測定系の圧力によっては、大気圧に近い圧力での測定を行うときもありますので、上記の特徴をもったポンプを用いてヘリウムへの逆拡散現象を利用し、質量分析計へヘリウムを導くことができます。 これをカウンターフロー方式と呼びます。図4は通常の方式とカウンターフロー方式を比較したものです。 カウンターフローの場合では、ターボ分子ポンプはヘリウムガスより重いガスに対しては、十分な圧縮比を維持しているので、質量分析計の中は高真空に保たれます。」
    ということで、おそらく、ポンプの圧縮比、排気速度などによるので、簡単な計算式は無いのではないでしょうか。
    ==================================================================================================================
     より詳細には、アネルバにお問い合わせになってはいかがでしょうか。
    特殊高圧ガスのリークと、真空装置のリークとでは、状況が異なります。高圧になりますと分子流から粘性流に変わると言うことです。
    そのまま換算することは出来ないと思います。また、AsH3(アルシン)のような危険なガスの場合には、慎重の上にも慎重を期す必要があるでしょう。
    ガスの専門家にお問い合わせになることをお勧めします。
     専門違いでお役に立てず申し訳ありません。
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  • 1041. 運動量行列要素


    Date: 2008/01/15 21:58
    Q: 東京農工大学 佐藤勝昭様
    はじめまして。
    S**社のM**と申します。
    公開の際は匿名でお願いいたします。
    分からない点を調べている際に先生のHPを拝見し、質問させていただきたく思 い、メールさせていただきました。

    主な半導体の運動量行列要素の経験式や実験データが出ているサイトや文献を 教えてください。

    お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
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    Date: Tue, 15 Jan 2008 17:49:50 +0900
    A: M様、佐藤勝昭です。
     小生は、半導体レーザや量子井戸レーザなどの発光効率について研究したこと がありませんので、具体的な半導体の運動量行列要素の式を扱ったことがありませんが、わかる範囲でお答えします。
     東大物性研の近藤高志先生の「ニューマテリアル特論」の
    3つめの講義ノートに 運動量行列要素の式が書かれています。このなかの式(36),(37)をご覧ください。
     また、以前、NTT基礎研の影島博之氏が、理論的な研究をしておられました。たとえば、
    Hiroyuki Kageshima and Kenji Shiraishi:Momentum-matrix-element calculation using pseudopotentials; Phys. Rev. B 56, 14985 - 14992 (1997)
    をお読みください。詳細は、影島氏に直接お尋ねください。
     以下に、この論文から、GaAs, ZB GaN, WZ GaNの価電子帯頂と伝導帯底の間の運動量行列要素を採録しておきます。
    単位はatomic units (hbar/aB)

    GaAs

     ΓXLU
    補正あり0.550.480.580.71
    補正なし0.540.480.570.71
    Suzuki, Uenomiya0.622   
    (補正とはcore repair termの補正のことです。)

    ZB-GaN

     ΓXLU
    補正あり0.430.480.540.63
    補正なし0.650.570.690.70
    Suzuki, Uenomiya0.507   

    WZ-GaN

     ΓKHAML
    補正あり0.430.530.360.010.000.25
    補正なし0.660.530.420.020.000.31
    Suzuki, Uenomiya0.510     
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 16 Jan 2008 21:20:12 +0900 (JST)
    AA: 東京農工大学 佐藤勝昭様
    お忙しい中、私の質問に答えていただきいありがとうございました。
     ぜひ、参考にさせていただきたいと思います。
     また、お願いをする時があるかもしれませんので、そのときは宜しくお願いいたします。
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  • 1042. 分極と光学遷移


    Date: Fri, 18 Jan 2008 03:16:25 +0900
    Q: 佐藤先生
    こんにちは。
    T*大学大学院工学系研究科 博士課程1年のI*と申します。
    (アップする時は大学名、名前ともに匿名でお願いします) 研究室にMO顕微鏡があり、使っている人がいますが、あまり 誘電率、ましてや光学遷移などは気にせずツールとして使われています。
    磁気光学効果について詳しく調べようと考え、先生のHPの 過去の講義PPTを拝見させて頂きました。

    実は私は以前農工大に所属しており、その時に他学科でしたが 佐藤先生の固体材料物性工学の講義を受けており、その時の事も 思い出して今回思い切ってメールさせて頂きました。
    その時のノートや講義資料は今でも大変役立っていますが、 当時はこの疑問に至るほど理解していませんでした。それとは 程遠いところでつまずいていました。

    今回思い切ってお聞きしたい事は、分極と光学遷移の、 「光と磁気」でいうと第4章4.3.4に関することです。
    光の電界を摂動として扱い、その励起状態の波動関数を 基底状態の波動関数に取り込むことが分極である、という 事なのですが、実際にその励起状態への遷移が起きていないのに その軌道が取り込まれるとは、どういう事なのでしょうか?
    電子が部分的にその軌道を回るようになるという事ならば、それは その軌道への遷移が起きているという事にはならないのですか?

    すみません、どうしても疑問が解けないので、教えて頂ければ幸いです。 宜しくお願い致します。

    昔のノートを引っ張り出してきて「光と磁気」も購入し 色々懐かしく思い出しながら勉強させて頂いております。
    講義を受けていた当時は講義前半の磁性の基礎と、磁気光学効果の 現象論まではなんとかついていっていましたが、電子論はさっぱりでした。
    今はその辺も少しずつ理解できるようになりました。
    あの時他学科でしたが、佐藤先生の講義を受けていて本当に良かったと 実感しています。

    長文失礼致しました。
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    Date: Fri, 18 Jan 2008 11:15:35 +0900
    A: I君、佐藤勝昭です。
     私の講義のことを覚えてくれていてありがとう。あなたのようにいってくれる と、教師冥利に尽きるというものです。
    さて、ご質問の件ですが、量子力学の本質に関わることなので、短い文章では説 明できませんが、遷移が起きるということはreal processです。これに対して、 摂動で上の状態が混じり込んでくることはvirtual processです。real process では、励起エネルギーが必要ですが、virtual processでは摂動で中間状態が取 り込まれても、基底状態→励起状態→基底状態というかたちなので、エネルギーの 収支はゼロなのです。励起状態の軌道が取り込まれるということは、基底状態の 軌道の形が変わったというだけのことで、決して、励起状態の軌道を回ることで はないのです。
     1つの例として、半導体のバンドギャップ以下の光子エネルギーに対する光学 応答を考えましょう。バンドギャップ以下では、real processとしての光学遷移 が起きませんから、光子エネルギーは半導体にトランスファーされません。しか し、光は何も感じなかったかというと、半導体中では、屈折率をnとすれば光速 はc/nとなっていますよね。これは、価電子帯の電子が、virtual にバンド ギャップを超える遷移をおこして中間状態である伝導帯に行き、もう一度中間状 態からvirtualに価電子帯に戻ってきたために、光の吸収は起きないけれど、電 子分極がおき、光は電子分極を引きずりながら半導体中を進むので、速度がc/n になっているのです。
     おわかりになりましたでしょうか。
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    Date: Fri, 18 Jan 2008 13:24:47 +0900
    Q2: 佐藤先生
    早速のお返事ありがとうございます。
    そうすると、励起状態を仮想的な中間状態として扱い、エネルギーの 収支なしに、つまり基底状態のエネルギーを変えずに(量子化を保ちつつ) 基底状態の形だけが変わる事を説明するための考えが摂動という事 なのですね。

    摂動は少し勉強しただけなのですが、ではポテンシャル井戸で井戸の底の エネルギーが変化するような摂動も、中間状態を仮想的に導入している のでしょうか?
    また、「仮想的に」という事は、やはり実際のプロセスではなく、 本当にその軌道が取り込まれているかどうかは分かっていないのですか?

    また、共鳴周波数を受けたときは実際の遷移が起きて電子は励起状態の軌道 を回るようになると思うのですが、ではそれ以上光のエネルギーが高くなった ときはどうなるのですか?
    もっと上の準位を摂動で取り込むようになるのでしょうか?

    沢山聞いてしまい、すみません。
    宜しくお願い致します。
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    Date: Fri, 18 Jan 2008 13:55:51 +0900
    A2:I君、佐藤勝昭です。
     量子力学では、すべてのプロセスは確率的に起きています。
    仮想的に取り込まれているというのは、ある確率で基底状態に部分的に励起状態 が取り込まれているがエネルギーの散逸をともなわないことを表しています。本 当に取り込まれているといってよいのです。軌道の形が変わるということは、あ る確率で、別の軌道を運動しているのです。仮想プロセスの場合、エネルギーの 収支を伴わないだけです。
     共鳴周波数より光エネルギーが高くなった場合には、その準位も、それ以上の 準位も摂動の中間状態になり得ます。
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 18 Jan 2008 14:18:12 +0900
    Q3: 佐藤先生
    何となく分かったような気がします・・・
    摂動論についてよく勉強したらもっと分かるように思うので、 勉強したいと思います。
    しつこくお聞きして申し訳ないのですが、では、その仮想過程は 実際に中間状態を経ているのですか?
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    Date: Fri, 18 Jan 2008 16:16:40 +0900
    A3: I君、佐藤勝昭です。
     量子力学では、観測が状態を決定してしまうので、実際に中間状態にあるかの 観測をしたとたん状態が見えなくなってしまいます。
    だれも確認できませんが、中間状態を経ていると考えれば、説明がつくというこ とです。
     このような例は他にもあります。たとえば、電気双極子禁止で磁気双極子許容 の遷移は本来弱い吸収しかもたらさないはずなのに、強く観測されることがあり ます。これは、スピン軌道相互作用の摂動で、エネルギー的に近くにある電気双 極子許容遷移の励起状態が仮想的に混じることで、見かけ上電気双極子許容遷移 になっているという例です。たとえば、Ruby におけるR線のCr3+の4A2→2T2+2Eの 遷移が4T2から強度をもらっている例がこれだと考えられています。この場合、 決して中間状態にリアルに行っているわけでなく、軌道状態を借りているだけな のです。
    ----------------------------------------------------------------------------
  • 1043. 銀接点に生じる硫化銀被膜について


    Date: Fri, 18 Jan 2008 13:30:48 +0900
    Q: HPを見て初めてお尋ねします。
    私、小川は電気接点を製造販売するT*(株)の技術担当です。
    純銀の電気接点間の接触抵抗値を論じる必要が起き、大気中で銀の変色原因である硫 化皮膜が問題となりました。皮膜抵抗の計算式と硫化銀の固有抵抗値を教えて頂けれ ば幸いです。其の他本件で留意すべき点があればご指導願います。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 19 Jan 2008 00:21:05 +0900
    A: 小川様、佐藤勝昭です。
     銀の電気接点の硫化の問題は深刻で複雑な問題です。硫化銀は半導体 なので抵抗値は不純物・欠陥・温度に依存するので、固有抵抗値は定義 できません。硫化銀と銀の間にはショットキー接合ができてダイオード になっています。従って、電流電圧特性は直線ではなく、整流性が見ら れます。
     この問題を扱った論文としては、下記のものがお勧めです。
    G.Russ: Electrical Characteristics of Contacts Contaminated with Silver Sulfide Film; IEEE Transactions on Parts, Materials and Packaging Volume 6, Issue 4, Dec 1970 Page(s): 129 - 137.
    これによると、「銀電極の電気特性は接点表面に成長する硫化銀の薄膜 によって損なわれる。一方、または、両方の電極が純銀または銀を含み、 かつ、硫化銀が一方または両方の電極に形成される場合、電気特性は大 きく劣化し、汚染された接点においては見出された最も複雑なものであ る。硫化した接点の電気特性についての最近の研究によれば、非線形 電流電圧特性および抵抗の時間依存によって、接触抵 抗は増加し、かつ接点電圧の極性に依存する。」として、説明のための 理論を展開しています。この理論では、硫化銀の半導体特性、銀の陽イ オンの高い移動度、トンネル効果、電気力による伝導チャネルの広がり、 温度によって変化する硫化銀の結晶構造などに基づいています。
     このように銀接点の硫化銀形成の問題点は単純ではありません。この 論文を取り寄せてお読みになることをお勧めします。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 19 Jan 2008 11:06:07 +0900 AA: 早々に回答を頂きまして心から感謝しております。推奨いただきました論文を取り寄せて よく勉強します。今後ともご指導のほどよろしくお願いします。
    --------------------------------------------------------------------------------
  • 1044. テルル化ビスマスの屈折率と硬度


    Date: Fri, 18 Jan 2008 19:18:15 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生
    K**大学大学院のN*と申します.
    (申し訳ありませんが,HPアップ時は学校名,氏名とも匿名でお願いします.)
    インターネットでいろいろ調べているうちに先生のHPにたどり着き,メールで 質問をさせていただくことにしました.

    現在,熱電半導体であるビスマステルライド(Bi2Te3)を使用して研究を行って います.
    ビスマステルライドの屈折率と硬度を文献から調べていたのですが見つけきれず にメールいたしました.
    この2つの物性値が載っている文献等をご存知でしたら教えていただけないで しょうか.

    突然のメールで申し訳ありませんが,よろしくお願い致します.
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    Date: Fri, 18 Jan 2008 22:03:33 +0900
    A: N君、佐藤勝昭です。
     Bi2Te3の屈折率は、古くから調べられており、
    I G Austin: The Optical Properties of Bismuth Telluride;
    Proc. Phys. Soc. 72 (1958) 545-552
    によりますと、The refractive index, determined from interference fringes, is 9.2 in the region 8-14μ.
    となっています。
     最近のデータでは、
    H.E.A. El-Sayed: Structural and optical properties of thermally evaporated Bi2Te3 films;
    Applied Surface Science, Volume 250, Issues 1-4, 31 August 2005, Pages 70-78
    に載っています。これによると
    Bi2Te3 is a high refractive index material (n has values of 4.7 -8.8 in the wavelength range 2.5-10 μm)
    となっています。
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     InxBi2-xTe3のVickers 硬度は、
    G. R. Pandya, S. R. Bhavsar, C. F. Desai: Temperature Dependence of Vickers Microhardness and Creep Study of InxBi2-xTe3 Crystals; Turk. J. Phys, 24 (2000) 13-19
    図1を添付しておきます。x=0すなわちBi2Te3のHvは26kg/mm^2です。

     Bi2Te3のマイクロハードネスは、
    Saji Augustine and Elizabeth Mathai: Dislocation, annealing and quenching effects on the microindentation hardness of Bi2Te3 and Bi2Te2.9Se0.1 single crystals;
    Materials Characterization, Volume 52, Issues 4-5, July 2004, Pages 253-262
    に載っているようです。
    大学に行かないとこの論文が手に入らないので、自分で図書館に行って 探してください。
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    Date: Fri, 18 Jan 2008 23:09:11 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生
    K大学のNです.
    早速のご解答ありがとうございました.
    教えていただいた文献をきちんと読んでみたいと思います.
    ありがとうございました.
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  • 1045. グラファイトとダイヤモンドの点欠陥の活性化エネルギー


    Date: Sat, 19 Jan 2008 15:33:58 +0900
    Q: 東京農工大学 佐藤勝昭 様
    はじめまして。私はK大学大学院で材料物性学を学んでいるY*というものです。
    ホームページを見て質問をさせていただいています。
    Webでは匿名でお願いします。

    私は共有結合性物質における低エネルギーでの電子励起効果というテーマで、透 過型電子顕微鏡を用いてグラファイトとダイヤモンドに電子線を照射したときの 構造変化について調べ、原子移動についての知見を得ることを目的としています。

    グラファイトとダイヤモンドは低電子励起されると表面原子結合が切断され表面 原子の脱離や空格子点の生成・成長が誘起され表面に穴があきます。
    また、試料温度を上げて実験すると、温度が高ければ高いほどグラファイト、ダ イヤモンドともに表面の穴が減少します。この原因は電子線照射によってグラ ファイトとダイヤモンドにできた点欠陥が温度が上がって再結合したためだと考 えていますが、グラファイトとダイヤモンドでは穴の減少の過程に差があります。

    この原因は、グラファイトの点欠陥とダイヤモンドの点欠陥の活性化エネルギー とそれぞれの拡散係数の違いによるものだと考え、論文や参考書を読みました。
    しかし、拡散係数はみつけることができず、活性化エネルギーは論文によって値 がばらばらです。

    そこで、グラファイトとダイヤモンドの拡散定数が載っている論文もしくは参考 書などがあれば教えていただけないでしょうか?

    よろしくお願いします。
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    Date: Sat, 19 Jan 2008 16:47:01 +0900
    A: Y君、佐藤勝昭です。
     天然グラファイトの原子拡散係数は1950年代に研究されています。
    Manuel A. Kanter: Diffusion of Carbon Atoms in Natural Graphite Crystals; Phys. Rev. 107, 655 - 663 (1957)
    KanterはArgonne National Lab.の研究者でデータはカーボンの同位体 を使って調べたもので、信頼性があります。それによると、
    The volume diffusion coefficient for graphite is D=40f^2exp[(- 163 000±12 000) / RT], where f is a geometry factor used because of the irregular shape of the crystals and is estimated to be between 0.1 and 0.6.
    従って、活性化エネルギーは163000±12000[cal/mol]=0.4036±0.024[eV/atom]というこ とになります。
    また、グラファイトの欠陥の拡散の活性化エネルギーは、日本のグルー プによってHeイオン照射によるラディエーション・ダメージを使って研 究されています。
    E. Asari, M. Kitajima, and K. G. Nakamura, T. Kawabe: Thermal relaxation of ion-irradiation damage in graphite; Phys. Rev. B 47, 11143 - 11148 (1993)
    Asariは金材研(現NIMS)の研究者です。これによると
    Results indicate that two relaxation processes occur, i.e., a fast-rate process with an activation energy of 0.89±0.10 eV and a slow-rate process at 1.8±0.3 eV. The fast and slow processes are, respectively, suggested to be a recombination of vacancies -interstitials and a vacancy clustering process which occurs during diffusion of vacancies in the graphite plane.
    と書かれています。
     一方、ダイヤモンドについては入手できるデータがありません。
    理論の論文があるようです。
    J. Bernholc, A. Antonelli, T. M. Del Sole, Y. Bar-Yam and S. T. Pantelides: Mechanism of self-diffusion in diamond; Phys. Rev. Lett. 61, 2689 - 2692 (1988)
    に実験のデータが引用してあると思われますので、図書館に行って読 んでみて下さい。
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    Date: Sat, 19 Jan 2008 17:02:31 +0900
    Q2: 東京農工大学 佐藤勝昭 様
    早々のお返事ありがとうございます。
    教えていただいた論文を読ませていただきます。
    さらに質問なのですが、アレニウスの式中の頻度因子(frequency factor)はグラ ファイトとダイヤモンドでは異なるのでしょうか?
    もし異なるのならばその値を教えていただけないでしょうか?

    次々と質問をして申し訳ありませんがよろしくお願いします。
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    Date: Sat, 19 Jan 2008 18:49:39 +0900
    A2: Y君、佐藤勝昭です。
     ダイヤモンドとグラファイトではおそらく異なると思います。ダイヤ モンドは等方性ですが、グラファイトでは、面に垂直か面内かで異なる はずです。申し訳ないが、具体的な数字は持ち合わせません。
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    Date: Sat, 19 Jan 2008 19:08:19 +0900
    A2': Y君、佐藤勝昭です。
     さきほどの回答は、拡散係数Dの温度変化の活性化エネルギーでした。 あなたの、最初の質問を読み返してみると、欠陥生成の活性化のアレニ ウスプロットにおける、活性化エネルギーのことでしたね。
     そのつもりになって探してみると、よいサイトが見つかりました。 「照射によるグラファイト格子乱れの熱緩和」
    http://www.rada.or.jp/database/home3/normal/ht-docs/member/ synopsis/110001.html
    ですが、これは、1998年、前金属材料研究所(現物質材料機構)でHOPG という高配向性グラファイトにおいて、高エネルギー粒子照射による欠 陥生成を調べている研究です。
     ぜひ参考にされてください。
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    Date: Wed, 23 Jan 2008 13:31:47 +0900
    Q3: 東京農工大学 佐藤勝昭 様
    お忙しいと思われますがもう一つだけ質問させて下さい。

    グラファイトとダイヤモンドが低電子励起され表面に穴があく原因を、オージェ 緩和過程の終状態おいて生成した二正孔によるクーロン反発力が原因だと考えて いるのですが、グラファイトとダイヤモンドでは結合の違いによりクーロン反発 力に違いはでるのでしょうか?
    もしあるならダイヤモンドのσ-σのクーロン反発力、グラファイトのσ-σのクーロ ン反発力、グラファイトのσ-πのクーロン反発力などの具体的な値があれば教え てください。

    よろしくお願いします。
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    Date: Wed, 23 Jan 2008 21:37:44 +0900
    A3: Y君、佐藤勝昭です。
     低エネルギー電子励起で穴が空くのですね。ご質問の件は、おそらく 理論家にお願いして、第1原理計算で調べるしかないと思います。そこ いらに転がっているデータでは、役に立たないと思います。たとえあっ たとしても、疑って掛かる必要があると思います。Y君が自ら計算す べきでしょう。
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    Date: Thu, 24 Jan 2008 10:00:48 +0900
    AA: 東京農工大学 佐藤勝昭 様
    わかりました。やはりそんなに簡単にわかるものではないのですね。
    一度、第一原理計算の論文や教科書を読んでみます。
    ありがとうございました。
    K大学大学院機械工学専攻 Y
    -------------------------------------------------------------------------
  • 1046. 石英ガラスの緑色発光


    Date: Wed, 23 Jan 2008 16:53:22 +0900
    Q: 佐藤先生
    初めてお便り致します。
    私、S*社のT*と申します。
    公開の際は匿名にてお願い致します。

    弊社で製造しております合成石英で、稀に248nmのエキシマレーザーを 照射した際、緑色に発光するものがございます。
    この原因を調査するため、成分(Fe、Al、K、Ca、Na、Cu、Zn)分析を実施しても 検出下限以下(1ppb)でした。
    また、未発光品と比較のため、昇温脱離ガス分析(<600℃)にかけても 差は認められませんでした。

    このような発光は何に起因するものなのでしょうか?
    何か知見が有ればご教授下されば幸いです。
    お忙しいとは思いますが、何卒よろしくお願い致します。
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    Date: Wed, 23 Jan 2008 23:52:03 +0900
    A:T様、佐藤勝昭です。
     不純物が検出されないのに、発光があるとすれば、何らかの格子欠陥 が関与していると考えるのが自然です。
     石英ガラスの発光現象については、湘南工科大学の長沢可也教授がご 専門です。
    長沢先生のグループのお仕事のリストを調べていましたら、
    Yuryo Sakurai and Kaya Nagasawa: Green photoluminescence band in γ-irradiated oxygen-surplus silica glass;
    J. Appl. Phys. 86, 1377 (1999)
    が目に留まりました。酸素過剰で出ると云うことのようです。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 24 Jan 2008 07:13:02 +0900
    AA: 佐藤先生
    お忙しい中、早速のご教授有り難うございました。
    お教え頂きました論文を読んでみたいと思います。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。
    -------------------------------------------------------------------------
  • 1047. 金属中の電磁界の解析


    Date: Thu, 24 Jan 2008 16:45:04 +0900
    Q: 東京農工大学 佐藤勝昭教授

    はじめまして。
    K高専専攻科2年のM*と申します。
    「物性なんでもQ&A」を拝見し、質問をさせて頂くことにしました。
    学校名も名前も匿名でお願いします。

     私は現在学校で、ある研究をする準備としてドルーデ金属(銅)中に 電磁波を入射するシミュレーションを行っています。
    そこで電磁波(波長80nmのsin波)を真空から銅に入射させたところ、 透過波は減衰していくのですが、銅中の境界近くの電界が振動を始めます。
    この現象は物理的におかしいのでしょうか。
    そもそも銅のプラズマ波長は約140nmなので、波長80nmの波は銅を減衰なく 伝搬するのでは?とも思います。
    銅の誘電率はドルーデ分散を用いています。
    私の文だけでは分かりづらいと思い、
    シミュレーション結果を添付させて いただきました(ただし、領域の半分より左側が真空、右側が銅、横軸:位置 、縦軸:電界です)。

    大変お忙しい中申し訳ありません。
    どうぞろしくお願い致します。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 24 Jan 2008 19:21:39 +0900
    A: M*君、佐藤勝昭です。
     ご質問の研究は高専の専攻科の研究ですよね。まずは、指導教員の意見を聞い てください。
    それでもらちがあかないときには一緒に考えてみましょう。
    あなたの質問では、前提条件がわからないので、お答えできません。
    (1)図の横軸の単位は何ですか?メートルですか?
    (2)半分が真空ということですが、2.5e-7の位置より左ですか?すると振動は 真空側に見られるのですか。
    (3)計算には、FDTDを使っているのですか?FDTDのソフトは、気をつけない と、ナノ領域には適用できないという研究があります。
    (4)80nmの電磁波とは極紫外光ですよね。そのような光に電磁界解析すること に意味はあるのでしょうか。
    (5)銅のプラズマ波長140nm(8.86eV)というのは,バンド間遷移を考えない場合 のプラズマで、実際には、バンド間遷移のために誘電率の実数部・虚数部は複雑 なスペクトルを示します。単純なDrude分散など成り立ちません。現実的なパラ メータを使うべきでしょう。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 24 Jan 2008 21:31:11 +0900
    Q2: 佐藤勝昭 教授
    Mです。早速のお返事ありがとうございます。
    指導教員の意見も聞いたのですが、どうしてもらちがあきません。
    質問の前提条件は以下の通りです。

    (1)図の横軸の単位は[m]です。
    (2)ちょうど横軸2.5e-7[m]から右領域を銅に設定してあります。
    よって、振動は銅側に見られているものと思います。
    (3)CIP法という方法で解析しています。私たちは、CIP法をFDTD法に 代わる電磁界解析手法として注目しています。しかし現段階では、CIP法に よる電磁界解析を分散性媒質に適用する方法が確立されていません。
    そこで私は、その方法を模索しています。模索した結果、FDTD法で 分散性媒質を解析する際に用いられるRC法を、CIP法でも用いることに しました。送付した解析結果は、この方法を用いたものです。
    比較のためFDTD法でも同じ条件で解析した(自作プログラムで)ところ、 やはり同じ結果が得られました。解析結果は物理的におかしな気がするのに、 CIPでもFDTDでも同じ結果が出たということで悩んでいます。
    (4)私は光ナノテクノロジーで必要となる電磁界解析に、CIP法を用いる ことを目標としています。そのための一段階として、CIP法を分散性媒質にも 適用できるようにしようとしています。80nmの電磁波は、分散性が考慮できた かどうかを調べるために用いました。
    (5)私の勉強不足でした。ただ、現段階ではDrude分散で考えたいと思います。

    Drude分散を持つ銅に、80nmの電磁波が入射した場合の電磁波の応答は、私の 解析結果のようになるのでしょうか。全く異なるのでしょうか。

    どうぞよろしくお願い致します。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 25 Jan 2008 10:42:19 +0900
    A2: M君、佐藤勝昭です。
     誘電率の式としてどのようなものをお使いですか。
    純粋に自由電子のみを考えたDrudeの式は、
     ε=1-ωp2/ω(ω+i/τ)
    と書けます。もしτ→∞(散乱を考えない)とすると
     ε=1-ωp22
    となります。この場合は、ω<ωp ではε<0となり、このときは反射率が100%となり、 電磁波は金属の中に入り込めません。
    ω>ωp になると、一部の電磁波は界面で反射され、残りは中に入ります。
    τ→∞ということは、損失がないので減衰することもありません。
    もし金属の厚みが有限であれば、進入した電磁波は裏面で反射して戻ってきます。 この戻ってきた電磁波と入射した電磁波が干渉することによって、複雑な振る舞 いをするはずです。
    τとして有限の値をとった場合、金属にはいった電磁波は減衰しますが、金属の 厚みが無限大でない限り反射した波が来ますから、干渉が起きるでしょう。
     従って、計算するときの金属のサイズを考えないと、端っこから必ず反射波が 来るので干渉が出てしまうでしょう。

    実際には、バンド間遷移がありますから、ε=1-ωp2/ω(ω+i/τ)の1のかわりに、 バンド間遷移に基づく誘電率の分散が加わります。
    「銅」という具体的な系でやるのであれば、きちんとした複素誘電率の値を使う べきでしょう。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 25 Jan 2008 13:16:39 +0900
    Q3: 佐藤勝昭 教授
    Mです。丁寧ななご回答ありがとうございます。

    誘電率はτの値が有限の場合のDrudeの式を用いています。
    銅の厚みは、入射地点から右側は半無限であると設定しているため、 裏面からの反射の影響とは考えにくいと思っています。
    私のプログラム、あるいは考え方のどこかに誤りがあるようです。 教授がおっしゃることを踏まえ、少し考え直して、新たに取り組んで みたいと思います。

    お忙しい中、本当にありがとうございました。
    感謝します。
    これからも頑張ってください。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 25 Jan 2008 14:34:17 +0900
    A3: M君、佐藤勝昭です。
     添付図を見る限り、戻り電磁波があるとしか考えられません。有限の数のセル に分けて計算している限り、境界面があります。半無限というのを計算機ではど のような扱いにしているのでしょうか。
    ナノサイズでの電磁波解析の数値解析については、東大の宮野研の田丸先生のす ぐれたお仕事があります。
    田丸博晴:電磁場の数値計算(FDTD法)
    石原照也 監修「メタマテリアル −最新技術と応用−」(基礎編 第3章)、シー エムシー出版 (2007).

    田丸博晴:単一金属ナノ粒子の光散乱特性:数値計算による実験の評価
    山田淳 監修「プラズモンナノ材料の設計と応用技術」(第10章)、シーエムシー 出版 (2006).
    などをよくご参照されるとよいでしょう。
    --------------------------------------------------------------------------------------
  • 1048. 原子の電子準位の状態数


    Date: Sat, 26 Jan 2008 18:24:10 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生
    初めまして、A社で機能材料開発に携わっているO*です。
    先生のHPを拝見させて頂きました。
    学生時代、先生編著のオーム社「応用物理」でお世話になりました。
    さて、キッテル著の「第2版熱物理学」で、分からないところがありますので、 ご教授下さい。
    図1.1に、水素、リチウム、ホウ素の(全系の)エネルギー準位が低い方から示 してあります。
    水素の場合は、エネルギーの低い方から状態数が、2→8→18→32→50→、となっており、 これは、それぞれ、主量子数1→2→3→4→5→、に対応することが分かります。
    (水素原子の場合は、1電子でクーロン型ポテンシャルなので、エネルギーが  主量子数のみで決まると理解しています。)
    また、リチウムについては、2→6→2→6→10→2→6→24→、で、最後の2→6→24のところの 2が(1s)(2s)2、24が(1s)(2s)(2p)から来ると考えていますが、6のみ分かりませ ん。
    それから、ホウ素については、6→12→2→2→10→、となっており、最初の6が (1s)2(2s)2(2p)から来ているだろうことは分かりますが、12からが分かりません。
    フントの法則も考える必要があるかと思い計算してみましたが、うまくいきませ んでした。

    お忙しいところ申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 26 Jan 2008 22:00:41 +0900
    A:O様、佐藤勝昭です。
     キッテルの「第2版熱物理学」は手元にないのですが、一応、分かる範囲でお答えします。
    まず、水素もリチウムも、O様が書かれているように1電子系ですから、比較的簡単です。
    水素では、純粋に主量子数で考えて結構です。
    リチウムの場合、Condon-Shortley: The Theory of Atomic Spectraによれば、
    基底状態は2sで励起状態は, 2p, 3s, 3p, 3d, 4s, 4p, 4d+4f, 1s2
    となっています。状態数は、基底状態2sが2, 励起状態は2pが6, 3sが2, 3pが6, 3dが10, 4sが2, 4pが6, 4d+4fが24です。

    ホウ素は3電子原子です。多電子系の電子状態は多重項で考えなければ なりません。Condon-Shortleyでは
    -----------------------------------------------
    電子配置多重項全角運動量J (括弧内は状態数)状態数
    2s2 2p2PJ=1/2(2), 3/2(4)計6(基底状態)
    2s2 3s2SJ=1/2(2)計2
    2s 2p24PJ=1/2(2), 3/2(4), 5/2(6)計12
    2s2 3d2DJ=3/2(4), 5/2(6)計10
    2s2 4s2SJ=1/2(2)計2
    2s2 4d2DJ=3/2(4), 5/2(6)計10
    2s2 5d2DJ=3/2(4), 5/2(6)計10
    ------------------------------------------------
    これだと、6→2→12→10→2→10→10となり、 6→12→2→2→10ではありませんね。

    一方、
    米国NISTのダイアグラムでは
    -----------------------------------------------
    電子配置多重項全角運動量J (括弧内は状態数)状態数
    2s2 2p2P0J=1/2(2),3/2(4)計6(基底状態)
    2s 2p24PJ=1/2(2), 3/2(4), 5/2(6)計12
    2s2 3s2SJ=1/2(2)計2
    2s 2p22DJ=3/2(4), 5/2(6)計10
    2s2 3p2P0J=1/2(2), 3/2(4)計6
    2s2 3d2DJ=3/2(4), 5/2(6)計10
    2s2 4s2SJ=1/2(2)計2
    2s2 4p2P0J=1/2(2), 3/2(4)計6
    2s2 4f2F0J=5/2(6), J=7/2(8)計14
    ------------------------------------------------
    従って、6→12→2→10→6→10→2→6→14 となります。少し、近づきましたね。
    実験で得たスペクトルをどの準位にアサインするかは、高い励起状態で は、かなり不確定性があるのではないでしょうか。
    -------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Jan 2008 13:23:37 +0900
    AA: 佐藤勝昭先生
    早速のお返事どうもありがとうございます。
    いろいろと勉強になりました。今回、分かったことは以下の通りです。
    (1)キッテル本の図の励起状態の数は実験データである。
     (本には明確な記載が無いので、少々不親切だと思います。)
    (2)多電子系において、励起状態に、電子が主量子数の異なる状態に移るものが
     含まれる場合、フントの法則が使えないため、励起状態をエネルギーの低い方から
     並べるのは困難。
     (私の書いた、リチウムの励起状態の順序誤っていました。主量子数n=4は考 えていませんでした。)
    それから、学生時代と、少し間があって現在と、磁性分野に携わっています。
    応用技術も大切ですが、磁性の基礎も開発には欠かせないので、再勉強中です。
    (実験屋には不必要かも知れませんが、守谷理論とか式を追うだけでも難しいです。)
    周りには磁性の理論を深いところまで分かっている人がいないので、 今後とも宜しくお願い致します。どうも'ありがとうございました。
    ------------------------------------------------------------------
  • 1049. 構造複屈折


    Date: Sat, 26 Jan 2008 23:23:29 +0900
    Q:佐藤勝昭先生
     K社のMです。今回は構造複屈折に関するものです。
    本メールの最後に書いている本のAppendix Fに「 Form Birefringence of Composite Media」の記述があります。これは屈折率n1の媒質の中に 屈折率n2の楕円体状の等方性光学体がある方向に配向して分布して いる系の異方性屈折率を扱っています。式の中に楕円体の反磁界係数が 使われていることから単磁区微粒子磁石(ESD磁石)のような系だと 思います。
     教えていただきたいことはこの系と「構造複屈折」として扱われる系 とは全く別物なのか、あるいは広義では同じものなのか、ということ です。
     よく言われるように、構造複屈折の系は一次元のサブ波長周期構造を 持つことが特徴となっています。一方、上のComposite Mediaではサブ 周期構造はなんら言及されておりません。しかし、どちらの系でも方向 によって偏光の伝播速度が違うという点では同じなのだから、広い意味 ではどちらも「構造複屈折の系」ではないのかと職場で議論になって いるのです。
     よろしくお願い致します。

    Pochi Yeh and Claire Gu著’Optics of Liquid Crystal Displays’ John Wiley & Sons,Inc,1999、
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Jan 2008 10:28:28 +0900
    A:M様、佐藤勝昭です。
     私は、液晶業界のことはあまり詳しくないのでこの分野での用語の統 一性について議論するつもりはありませんが、Form birefringence (形 状複屈折)とStructural birefringence(構造複屈折)は基本的に同じで す。
     媒体がサブ波長の要素から構成されている場合の光学的なレスポンス を考えるアプローチとして色々な考え方があります。古くは、Maxwell- Garnetの理論に代表される実効誘電率の取り扱いがあります。最もポピ ュラーな扱いは分散している微粒子が球体の場合ですが、楕円体にも一 般化され、通常は楕円体の軸がランダムに配向しているとして、補正項 の形で取り扱われます。この補正項に反電場係数qが使われます。
     ご質問の中にあるYeh, Guの書物は持っていませんが、「屈折率n1の 媒質の中に屈折率n2の楕円体状の等方性光学体がある方向に配向して分 布している系の異方性屈折率」の扱いは上記の実効誘電率の扱いを拡張 して異方性を導いているのではないでしょうか。
     コレステリック液晶のように周期性があるときは、ランダムな分布の かわりに正弦波による展開が使えるので取り扱いが簡単になります。こ のような場合に、日本の文献では「構造複屈折」という用語を使ってい ますが、先程の本の著者は、周期性のある場合もForm birefringenceと いう用語を用いています。例えば、
    C.Gu and P.Yeh: Form birefringence dispersion in periodic layered media;Optics Letters vol.21, p.504 (1996)
    をお読み下さい。
     平均的な誘電率の代わりに、マクスウェル方程式において、微粒子の 散乱をきちんと扱って、全体的な光学応答を調べるアプローチがありま す。この理論の代表がMie 散乱の理論です。この場合は、波長に近い場 合も扱うことができます。
     Maxwell方程式の厳密解とForm birefringenceとは、構造の単位が波 長より十分小さいときは同じ結論が導かれます。
    例えば、
    網盛、鈴木:光誘起型二軸性コレステリック液晶の光学特性モデルに関する研究:Fujifilm Research and Development No.52, p.42 (2007)
    をお読みになっては如何でしょうか。
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    Date: Sun, 27 Jan 2008 13:11:09 +0900
    Q2: 佐藤勝昭先生、早速のお返事ありがとうございます。ご紹介していただいたGu&Yehの文献をすぐ取り寄せます。

    Form birefringence (形状複屈折)とStructural birefringence(構造複屈折)は基本的に同じです。
    やはりそうですか。用語が不統一になっているわけですね。
    ご質問の中にあるYeh, Guの書物は持っていませんが、「屈折率n1の
    媒質の中に屈折率n2の楕円体状の等方性光学体がある方向に配向して分
    布している系の異方性屈折率」の扱いは上記の実効誘電率の扱いを拡張
    して異方性を導いているのではないでしょうか。

     まさにその通りです。局所電場の話から始まっています。

    ところで私が判断しかねているのは、「周期性」と「サブ波長サイズ」の二つは 構造複屈折の必須条件なのかどうかということなのですが、先生の説明全体を 読むと二つとも必須条件ではないように思えます。
    たとえば、
    コレステリック液晶のように周期性があるときは、ランダムな分布の かわりに正弦波による展開が使えるので取り扱いが簡単になります。
    周期性は単に取り扱いを簡単にしてくれる因子であって構造複屈折と 呼ばれる現象の本質とは関係ないと読めるのですが、こういう理解で よろしいでしょうか。

    この理論の代表がMie 散乱の理論です。この場合は、波長に近い場
    合も扱うことができます。 Maxwell方程式の厳密解とForm birefringence
    とは、構造の単位が波長より十分小さいときは同じ結論が導かれます。


    これらの文からは、粒子サイズがサブ波長かどうかも本質的なことではない と読めるのですが、この理解でよろしいでしょうか。実用上はサブ波長で ないと透明にならないのでその場合がよく取り扱われるということだけの ように思えます。
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    Date: Sun, 27 Jan 2008 15:10:42 +0900
    A2: M様、佐藤勝昭です。
     不均一媒体の光学応答は、粒子サイズがサブ波長かどうか、周期性を もつかどうかは本質的なことではありません。ただ周期性のある系は扱 いやすいし、わかりやすいという利点があります。また、周期構造を扱 う場合、サブ波長でないと干渉や回折の効果でフォトニックギャップな どの問題があり、実効的な誘電率の近似が使えないというだけのことで す。
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    Date: Sun, 27 Jan 2008 22:19:31 +0900
    AA: 佐藤先生
    やはり本質的なことではないのですね。これで疑問が晴れました。ありがとうございました。
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  • 1050. 酸化アルミによる酸化チタン光触媒作用の増強


    Date: Sun, 27 Jan 2008 13:00:37 +0900
    Q: 佐藤先生こんにちははじめまして。
    I高校Iと言います 光触媒についての課題研究をやってます。再生繊維にTiO2だけを 加えたものとTiO2+Al2O3を加えたものの2種類作りエチルバイオレット水溶液にい れて紫外線を照射してその水溶液の浄化率を分光光度計で計って値をとっているんで すけどTiO2だけのものよりTiO2+Al2O3を加えたものの方が触媒の効果がよく進んで いますしています。どうしてAl2O3を加えたら触媒の効果が上昇したのでしょうか。
    もしよろしければ回答お願いします。
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    Date: Sun, 27 Jan 2008 15:43:46 +0900
    A:I君、佐藤勝昭です。
     Web掲載の際はイニシャルにしますから、質問するときは、氏名、高 校名、学年を書いてください。エチケットですよ。
     光触媒の研究は、クラブ活動でやっているのですか。実験結果は、面 白い結果が出ていますね。
     お答えする前にお伺いしたいのは、TiO2やAl2O3をどのようにして繊 維に付着させているのかということと、どのような形態で付着している かということです。
     といいますのも、TiO2とAl2O3が別々に存在した場合、Al2O3には光触 媒作用がほとんど無いので、光触媒作用を強める効果がないからです。
    もし、例えば、Al2O3が凹凸のある構造として繊維に付着し、そこにTiO2が絡 まっているならば、TiO2の付着量が増加するようなことが考えられます。
     また、TiO2の上にAl2O3が覆っていたとすると、TiO2は屈折率が高く そのため反射率も高いのですが、Al2O3膜が間に入ることで反射防止コ ーティングの働きをして、たくさんの光をTiO2の中に入れることができ たということも考えられます。もっとも、スッポリとAl2O3でくるんで しまうと水との反応が出来なくなるので、光が来る側だけが覆われてい る必要がありますが・・。
     再生繊維にTiO2を付着したものと、TiO2+Al2O3を付着したものの電子 顕微鏡写真が撮れないでしょうか。日本電子(株)に依頼すれば、SEM を使わせてくれます。竹橋の科学技術館でも、SEMを使わせてくれる かもしれません。指導教員を通じて相談してご覧なさい。
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    Date: Sun, 27 Jan 2008 18:24:40 +0900
    Q2: I*高校2年のI*と申します。お返事ありがとうございます。説明不足ですいませ ん。TiO2とAl2O3の付着のさせ方ははシュバイツァー試薬を作り脱脂綿を溶かし、そ の溶かした液体にTiO2とAl2O3の粉末を入れてそして繊維状にしています。
      断面図は図のようになっていると思います。
    一回学校にある電子顕微鏡で画像を撮ってみました。
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    Date: Sun, 27 Jan 2008 19:59:01 +0900
    A2: I君、佐藤勝昭です。
     頂いた図だけでは判断できません。もし、繊維の外側にAl2O3が付着 し、繊維の内部にTiO2が付着していたとすると、外側のAl2O3が反射防 止コーティングの作用をしたとも考えられますね。
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    Date: Wed, 30 Jan 2008 22:23:36 +0900
    Q3: I高校のIです。お忙しい中たびたびすいません。この前いただいた返事のこと で繊維の内部にTiO2が付着していたとすると、外側のAl2O3が反射防止コーティング の作用をしたというのはどういうことでしょうか説明お願いします。担当教員に聞い てみたりパソコンで調べてもこれといったものが見つかりません返信できるようなら お願いします。
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    Date: Thu, 31 Jan 2008 00:16:39 +0900
    A3: I君、佐藤勝昭です。
     酸化アルミの屈折率は1.8程度(反射率は8%)、酸化チタンは2.6-2.9 程度(反射率は19%〜24%)です。もし、Al2O3/TiO2の接合が出来ていた とするとAl2O3/TiO2界面での反射率は(1.8-2.6)^2/(1.8+2.6)^2=3.3%に 過ぎませんから、ほとんど酸化アルミの表面反射率になり、酸化チタン に光が入りやすいのです。
     一方、外側にAl2O3があり、内側にTiO2があったとすると、たとえ接 触して無くても、外部の反射率が低いので繊維内部に入る光が多くなっ て内部にあるTiO2の光触媒作用が増えるでしょう。
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  • 1051. 子ども科学教室の説明(紙おむつ、バネ電話、簡単モータ)


    Date: Sun, 27 Jan 2008 16:12:38 +0900 (JST)
    Q: 佐藤勝昭先生、お世話になります。

    当方は、かわさきA工房と申しまして、一般人が子供たちに 科学に興味を持ち、実験をわかりやすく体験できるようにと 活動している任意団体です。
    私はそこの代表をしているS**と申します。
    機械科の出身ですが、不勉強な学生時代の余韻が残り今になって苦労しています。
    (団体名・氏名はできれば匿名でお願いしますが、先生の都合に合わせます)
    こちらのHPは大変高度な内容なので、時々勉強させていただいております。
    つきましては、以下の実験の原理について原理説明をしてみましたが、自信があ りません。
    場違いの感もありますが、教えていただける方が近くにいないので、 お手数ですがご指導いただければありがたい次第です。

    @1.高分子ポリマーの不思議(紙おむつ)
    子供用原理説明:高分子ポリマーは水を吸水してジェル状になります。これは高 分子ポリマーの小さい隙間から水が中に入り込み、浸透圧という圧力がある為、 水は外には出てきません。
    このジェル状の水をもとの水にもどすには、塩を加えてやります。高分子ポリマ ーは、塩でその小さい隙間を大きくし、水を引きつける能力をなくしてしまいま す。
    大人用原理説明:高分子ポリマーの分子中には親水基があり、水を含むと一部が 電離し、+イオンが離れ水中にでます。ポリマー中の親水基には−イオンが残っ ていて、+イオンと−イオンが互いに引き合う力により水分子が親水基にとらえ られます。これは、縦横に張り巡らされた高分子の編み目の中に水分子が水素結 合で押さえ込まれるためです。なので、圧力を加えても水分子をはじき出しませ ん。

    @2.糸電話でエコーマシン<ばね電話>
    子供用原理説明:糸電話では、糸が振動して音を伝えることができます。その糸 の代わりにばねを使ったのがばね電話です。ばね電話で話すと、自分の声が相手 にはエコーがかかって聞こえます。ばね電話では、音がばねの端ではねかえるの で、音がばねの中を往復して、エコーがかかって聞こえます。
    大人用原理説明:ばねを伝わる縦波が端で反射され、往復によりエコーがかかる。

    @ネオジム磁石で簡単モータ
    子供用原理説明:磁界の中で電流が流れると電線には力が働くことが分かってい ます。ここで、磁石とくぎと電池を直列につないだ時、くぎに電流が流れるので 、くぎを回そうという力が働いています。
    大人用原理説明:くぎの頭を磁石のN極につけ、くぎのとがった先を乾電池の+ 極につけて、乾電池からくぎをぶら下げます。くぎは磁化されて、くぎ全体から 磁力線が出てきます。くぎの中を移動する電子は、下から上向きです。くぎが回 転するのは「フレミングの左手の法則」により、くぎの表面の電子全てについて 、磁力線からローレンツ力を受けて回転運動になる。
    以上ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Jan 2008 16:51:43 +0900
    A: S様、佐藤勝昭です。
     青少年の理科離れが問題になっている昨今、このような啓蒙活動をな さっていることに同じ川崎市民として敬意を表します。
     書かれている3つとも、説明が難しい課題ですね。
    @1 紙おむつ
     「浸透圧」は子どもに難しいかもしれませんね。
    花王のHPの説明は、浸透圧を使っていますが、比較的わかりやすいですよ。
    大人用の説明も、疎水基、親水基、水素結合などというとかえってわか りにくいので、高分子の網目構造によるくらいのほうがわかりやすいの ではないでしょうか?

    @2 糸電話、バネ電話
     おっしゃるようにバネを伝わる縦波がエコーを生じさせていると考え て良いはずです。バネの縦波とは、バネの伸縮により疎密波として伝わ るので、ばね定数によって幅がありますが、速さは数m/s〜数10十m/sと いう遅い速度になっており、エコーになるのです。もし、鉄の線をぴん と張ったのでは、弾性波の速度が速すぎてエコーになりません。このあ たりのことを、説明すべきでしょう。

    @3 簡易モータ
     「磁石とくぎと電池を直列につないだ時」と書かれている実験装置の イメージがつかめませんこのようにすると釘はその中心軸の周りに回転 するのですか?この場合に、釘を流れる電流による回転力の説明は難し いです。釘は磁性体なのでそれ自身でネオジム磁石の磁界と相互作用す るので話がややこしくなります。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Jan 2008 18:47:50 +0900 (JST)
    Q2: 佐藤勝昭先生
    早速のご返事有難うございました。
    川崎に御住まいとのこと、力強い限りです。

    @1 紙おむつ
    折りたたまれた分子の鎖が水をつけると、分子の鎖が伸びきるまで水を吸収する という絵と説明が分かりやすくて感心しました。さすが製造メーカのHPで、こ れを検索するのを忘れておりました。有難うございます。
    @2 糸電話、バネ電話
    弾性波は線材の中を進み、縦波はコイル状になった円形の面で進むということで しょうか。理解が足りなくてすみません。もう少し、説明をお願いします。
    @3 簡易モータ
    以下のHPを参考にしました
    http://www.eneene.com/omoshiro/11tankyoku/

    このHPにも説明がなされていますが、
    この説明を見ると、くぎ全体がN極になるように見えるのですが、
    実際はどう考えたらよいのでしょうか。

    以上ですが、また質問させて頂いてもよろしいでしょうか。
    今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Jan 2008 20:28:33 +0900
    A2: S様、佐藤勝昭です。
    @2 バネを円柱と考えて、そこに伝わる弾性波として取り扱ってよい と思います。円形の面で進むと見ても良いでしょう。
    @3 簡易モータ
    ネオジム磁石は釘を磁化するだけのためなのですね。わかりました。
    釘全体が1つの磁極になることはありません。磁石のNに着けたくぎの 頭はSになり、先端はNになるでしょう。磁化の方向と電流の方向が平 行ですから、ローレンツ力qv×Bは働きません。おそらく、不均一な電 流パスがあって、釣り合いからずれていて、回転トルクが生じるのでは ないでしょうか。この系は、ローレンツ力を理解するには、あまり、教 育的な系ではないようです。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Jan 2008 22:19:19 +0900 (JST)
    Q3: 佐藤勝昭先生
    @2 了解しました。有難うございます。
    @3 簡易モータ
    はい、くぎの先端がN極です。磁化の方向と電流の方向が平行なので、ローレン ツ力が働かないとのこと。残念です。何度か子供たちに見せました。するとすご い反応がありましたので、何とか説明を付けたかったのです。理解度が足りない ので、確認させてください。
    磁化の方向と電流の方向が平行というのは、電池の−極がN極となり、そこから 使用電線と同じように弧を描きながら磁力線が出て磁石まで到達する。するとく ぎの部分では電流と磁力線が逆向きで平行になる。不不均一な電流パスというの は、くぎの先端で電池の+極の出っ張りとの接触部分と電線が釘に触る部分の電 流の流れに乱れが生じて、磁力線の方向に対して電流の方向が平行でなくなる場 合にフレミングの法則で力が発生する。
    ・・・というふうに考えてはおかしいでしょうか。
    おっしゃるように教育的な題材ではないようですが、興味がありましたので、し つこくお伺いしました。すみません。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Jan 2008 23:41:49 +0900
    A3: S様、佐藤勝昭です。
     磁極から出る磁界ですが、一般には、釘の先端(N)から外の 空間を弧を描いて釘の頭(S)に繋がります。釘は長いので釘の中を通 反磁界は無視して良いと思います。釘の周りには、アンペールの法則に 従って同心円状に磁界が取り巻いています。従って釘の外には、電流に よる磁界と釘の磁化からの磁界とがベクトル的に加わっています。この 磁界を全部合わせると、その合力は釘と平行になるはずです。従って、 これでは、力が生じません。電線と釘の電気的接触は釘の横っ腹ですか ら電流には斜めの成分があるはずです。この不均一で非対称の電流のた めに回転力が生じていると考えるのが自然でしょう。
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    Date: Mon, 28 Jan 2008 00:15:24 +0900 (JST)
    AA: 佐藤勝昭先生
    遅くまでお付き合い頂き申し訳ありません。
    ようやく自分なりに理解できました。
    分かりやすく説明頂き有難うございました。

    近くにお住まいと分かりましたので、 教えて頂くのにも元気が出てきました。
    また質問させていただくことがあるかと思いますが、 我慢のお付き合いをお願い申し上げます。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 29 Jan 2008 22:23:07 +0900 (JST)
    Q4: 佐藤勝昭先生
    お世話になります。かわさきA工房のS*です。

    質問です。
    タコ糸の場合の糸電話と鉄線の場合の糸電話ですが、

    タコ糸の場合:相手の紙コップに届いた時に反射をしないのは何故でしょうか。
    鉄線の場合:弾性波のスピードが速すぎて反射がないとのことですが、どうして ばね電話では反射が起こりエコーになるのでしょうか。ここのところがどうも理 解力がないので、よく分かりません。

    ご指導お願いします。
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    Date: Tue, 29 Jan 2008 23:40:43 +0900
    A4: S様、佐藤勝昭です。
     私の説明が悪くて誤解を与えたようですね。
    糸でも鉄線でもバネでも反射はあります。何度か反射して減衰するまで の時間が問題なのです。人間がエコーとして捉えるには10-30msくらい の遅れがなければならないと云われています。今、1mの長さの糸電話を 考えましょう。エコーが聞こえるためには1往復しなければなりません から、長さは2mです。
    ナイロンの音速は、縦波c1=2620m/s, 横波c2=1070m/s
    鉄の音速は、縦波c1=5950m/s, 横波c2=3240m/s
    ですから、遅い方の横波でも、2mの線を伝わる時間は、
    ナイロンで1.87ms、鉄で0.62msです。ナイロンだと最低5往復、鉄だと 最低15往復位行き来しないと、エコーになりません。その間に音は減衰 してしまうのでエコーにならないのです。
    バネの場合、ばね定数によって違いますが、疎密波の伝搬速度は数m/s 〜数十m/sなので、5〜50m/sとしておくと、2mの線を伝わる時間は、 400ms〜40msとなり、十分エコーとして識別可能な時間になります。
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    Date: Wed, 30 Jan 2008 01:53:27 +0900 (JST)
    AA: 佐藤先生
    遅くまでお付き合い頂きありがとうございます。
    何度か反射して減衰するまでの時間が糸とばねで違い、糸は減衰が大きく音とし て聞こえなくなるので、エコーにならない。ばねは振動が伝わる時間と反射して くる時間差がちょうど良い時間差なのでエコーとして聞こえる。という理解をし ました。
    簡単に出来る実験が、原理説明をしようとするとき こんなに大変なものとは考えていませんでした。
    どうもありがとうございました。
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  • 1052. ITOの仕事関数


    Date: Tue, 29 Jan 2008 02:29:41 +0900 (JST)
    Q: 佐藤勝昭先生、初めまして。
    Y*大学工学部応用化学科3年のY*という者です。(匿名 希望)
    ITOのエネルギー準位をインターネットで探していた ところ、先生のHPにたどりつき、過去の質問を一通り見てみ ましたが、このような質問がありませんでしたので、質問させ ていただきました。

    電極表面で何が起こっているのかを知るために、ITOのエネ ルギー準位を調べているのですが、見つかりませんでした。バ ンドギャップは4.1ev-4.8ev程度だということはわかったので すが、エネルギー準位はわかりませんでした。

    もしご存知でしたら、教えていただけないでしょうか?または 、参考文献などを教えていただけたら幸いです。
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    Date: Tue, 29 Jan 2008 10:53:40 +0900
    A: Y君、佐藤勝昭です。
     あなたが知りたい「エネルギー準位」というのは、仕事関数(フェルミ準位と 真空準位とのエネルギー差)のことでしょうか。
     少し古い論文ですが、有機ELの開発者として有名なTang博士のグループが Applied Physics Lettersという雑誌に、4.4-4.5 eVであると述べています。
    Y. Park, V. Choong, Y. Gao, B. R. Hsieh, C. W. Tang:
    Work function of indium tin oxide transparent conductor measured by photoelectron spectroscopy
    Appl. Phys. Lett. 68, 2699 (1996)
    We used ultraviolet and x-ray photoelectron spectroscopy (XPS) and (UPS)
    techniques to directly measure absolute values of vacuum work function
    of indium tin oxide (ITO) thin films. We obtained a work function of
    4.4-4.5 eV which is lower than the commonly cited value. These values do
    not change substantially by heating and Ar ion sputtering. The atomic
    concentrations of each element in ITO, measured with XPS, are also quite
    stable under heat treatment and ion sputtering.

    ITOというのは、In2O3とSnO2の混晶なのですが、仕事関数はその組成比や表面状 態(何と接触するかも含め)でも変わるはずです。表面状態を改善して仕事関数 を下げる試みは、現在にいたるまで続けられています。最近の論文ではSwedenの グループが、3.7eVという低い仕事関数を達成したと述べています。
    W. Osikowicz, X. Crispin and C. Tengstedt, L. Lindell, T. Kugler, W. R. Salaneck:
    Transparent low-work-function indium tin oxide electrode obtained by molecular scale interface engineering
    Appl. Phys. Lett. 85, 1616 (2004);
    A redox reaction between a monolayer of electron-donor molecules,
    tetrakis(dimethylamino)ethylene, and the indium tin oxide (ITO) surface
    results in a decrease of the ITO work function down to 3.7 eV. The
    modified ITO surface may be used as electron injecting electrode in
    polymer light-emitting devices. Photoelectron spectroscopy measurements
    show that the low-work-function of the modified electrode remains upon
    exposure to air or gentle annealing; thus, making it a good candidate
    for inexpensive fabrication of organic/polymeric (opto)electronic devices.

    1996-2007の間に、様々なデータが報告されていますので、Google scholarで、 work function indium tin oxide と入れて検索してみてください。
    また、APLにもたくさんの仕事が載っています。APLのWeb siteにて (work function) and (indium tin oxide) で検索をかけてください。
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    Date: Wed, 30 Jan 2008 17:40:50 +0900 (JST)
    Q2: 佐藤先生わざわざありがとうございます。
    一昨日、先生に言われた仕事関数についてしらべていたのです が、いろいろ混乱していたため調べがひと段落してからお返事 を書こうと思っていました。行動してから結果を報告しようと 思いましたので。

    現在、混乱していることは、
     バンドギャップ
     仕事関数
     エネルギーレベル
    の3つの違いです。
    もはやエネルギーレベルという言葉が正しいのかどうかもわか らない状態なのですが、とりあえず、私が知りたい事をこの言 葉として定義したいと思います。
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    Date: Wed, 30 Jan 2008 18:54:33 +0900
    A2:Y君、佐藤勝昭です。
     バンドギャップ、仕事関数について、学んでいないのですか?固体物 理の基本なので、それなしには「ITOの表面に違う物質を付着させど のように電気が流れるかをポテンションスタットで計測する」というこ とをやっても、意味がわからないでしょう。
     ここでは、すごく簡単に解説しておきますが、短い文章では理解でき ないと思うので後述の本を読んでください。
    (1)バンドギャップ:固体中で、電子は波として結晶中に 広がり、そのエネルギーは幅のあるもの(バンド)となっています。
     金属では、連続なバンドの途中まで電子が満ちています。(絶対零度 において)電子の占めているエネルギーの一番上をフェルミ準位といい ます。
     これに対し、半導体では、エネルギーバンドが価電子帯と伝導帯に分 かれています。価電子帯のてっぺんと伝導帯の底のあいだにはエネルギ ーの隙間(エネルギーギャップ)があって、電子はこのギャップ内のエ ネルギーを持つことができません。
     電子がエネルギーバンドのどこにどれだけ分布するかは、(電子がフ ェルミ粒子なので)フェルミ・ディラックの分布関数によって決まりま す。絶対零度においては、この分布関数は、フェルミ準位の上では0%で、 下では100%という階段型の関数です。半導体においては、、このフェル ミ準位が、バンドギャップのど真ん中のあたりにあるので、価電子帯は 100%電子で満たされるのに対し、伝導帯には全く電子がいません。ちょ うど、分子軌道法におけるHOMOが価電子帯に相当し、LUMOが伝 導帯に相当します。この状態では、電気を運ぶものがないので絶縁体で す。
     温度が上昇するとフェルミ・ディラックの分布関数は、1か0ではなく、 ゆっくりと変化する関数となり、伝導帯に電子が、価電子帯には電子の 抜け穴(ホール)が分布するようになります。これによって、電気を運 ぶもの(キャリア)が生じ、伝導性をもちます。
     一方、価数の違う不純物を入れたり、格子欠陥があったりすると、フ ェルミ準位の位置が、バンドギャップの中心からずれてきます。普通の n型の半導体では、ドナー準位が伝導帯の底にできてフェルミ準位が伝 導帯の底のすぐ下に来るため、伝導帯に電子を供給します。ITOでは、 フェルミ準位が伝導帯の底より高い位置にくるためキャリアを伝導帯の 底にたくさん供給してまるで金属のような電気伝導性をもちます。これ を縮退半導体と呼んでいます。
    (2)仕事関数:ITOを他の物質にくっつけて電極として使うために は、接触したときに界面にポテンシャル障壁(バリア)を作らないよう にしなければなりません。このためにバンドギャップを使うことができ ません。なぜなら、バンドギャップは、各物質の中での相対的な値にす ぎないからです。できれば、絶対的な関係を見たいのです。
    このためには、フェルミ準位のエネルギー位置を絶対的な尺度で、示しておかなけ ればなりません。このために真空準位を使います。物質から電子を取り 出して、真空準位にもってくるためのエネルギーのことを仕事関数とい うのです。
    他の物質との間にバリアを作るかどうかは仕事関数と電子を くっつけることによるエネルギーの得(これを電子親和力といいます) とがどうかで決まります。仕事関数は、フェルミ準位が真空準位からど れだけエネルギー的に離れているかを測る尺度です。
    (3)エネルギー準位:今まで述べてきたことからあなたが言うエネル ギー準位とはフェルミ準位のことだと言うことがわかるでしょう。
     HOMOもLUMOも、ドナーもアクセプターもエネルギー準位なの で、他の物質との比較を行うときに使うエネルギー準位としては、フェ ルミ準位を使うべきなのです。

    貴学科の電子シラバスで確認しましたところ、2年生前期に、T/K先生の 無機化学の授業があって、「固体の電子構造と化学, 技報堂出版」が 参考書として挙がっています。アマゾンの書評では、「化学者がバンド を勉強するのに最適な本」となっています。貴大学の図書館にもある ようですから、借りて勉強してください。
    応用化学科の3年生なので、やむを得ないと思いますが、物理現象の基本的な理解をなし に、実験を進めるのは無茶です。あなたのやろうとしている課題は、学 生実験の課題ですか、あるいは、卒論の課題ですか?上の説明でわから ない部分は、指導教員に基本を教わってください。
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    Date: Thu, 31 Jan 2008 02:18:29 +0900 (JST)
    AA: 佐藤勝昭先生、詳しい説明に感激しておりますと同時に自分の 知識不足に恥ずかしくなりました。しかし、恥を恐れずご質問 したことでまた新しいことがクリアになりました。ありがとう ございます。
    この度は本当にありがとうございました。
    ----------------------------------------------------------------------------
  • 1053. 二次元正方格子における磁化率の温度変化


    Date: Wed, 6 Feb 2008 17:56:50 +0900 (JST)
    Q: Y**大学理学部四年生、K**といいます。HPを見ました。匿名でお願いします。
    現在、二次元正方格子反強磁性体の物質を取り扱っています。M−T(磁化ー温度)曲線を測定したのですが、 ネール温度(反強磁性体転移おきる温度)より高い温度で、キュリーの法則に反して磁化率の落ちていく様子が見られました。
    ネール温度より高い温度でこのようなことが起きるのはなぜでしょうか?ネール温度で反強磁 性転移が起きるのは確認済みです。 よろしくお願いします。
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    Date: Wed, 6 Feb 2008 23:21:57 +0900
    A: K君、佐藤勝昭です。
     磁化率χが高温側で温度上昇と共に落ちるのは当たり前でしょう。
    もし磁化率の逆数が高温側で落ちたら不思議ですが。いずれにせよ、グラフを添付していただけないでしょうか。
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    Date: Thu, 7 Feb 2008 10:17:59 +0900 (JST) Q2: 早いお返事ありがとうございます。
    グラフを添付させていただきました。

    先のメールでは説明が不十分でした。申し訳ありません。グラフを見ていただければわかると思うのですが、低温にすすんでいるのに、ネール温度より手前から磁化率の低下が見られます。キュリーの法則では磁化率は上がると思うのですが。グラフの→?のあたりです。ちなみに磁場は磁化困難軸に平行にかかっております。取 り扱っている物質は正方格子反強磁性体です。
    よろしくお願いします。
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    Date: Thu, 7 Feb 2008 23:45:26 +0900
    A2: K君、佐藤勝昭です。
     図をみて、どこかで見たことがあると思って、探しましたらありました!
    理研の田村さんのお仕事です。
     そもそも、統計物理の教えるところによれば、二次元ハイゼンベルク系 では反強磁性転移は絶対零度まで現れないはずです。従って、反強磁性 秩序が現れると云うことは一見二次元格子であるけれど、低温では層間 の交換相互作用が無視できず三次元の秩序があるということです。高温 になると二次元系として振る舞うので、どこかの温度で二次元と三次元 の転移があるということです。これを次元クロスオーバと呼んでいます。
     高温では層内の相互作用に支配されていて、二次元性を示しますが,層 間相互作用の影響は磁化率のピークよりも低温側でようやく現れてきて いると考えられます。このような物質の例は,層状の正方格子構造をも つ銅(II)化合物などでたくさん知られていて,二次元正方格子モデルに 従って磁化率ピークを示し,そのずっと低温側で反強磁性転移を示します。
    (文章は、上記サイトから引用しました。)
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    Date: Fri, 8 Feb 2008 05:26:16 +0900 (JST)
    AA: とても参考になりました。どうもありがとうございました。
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  • 1054. ろう材の熱伝導率


    Date: Thu, 07 Feb 2008 10:28:21 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    初めてメールいたします。H社の研究員をしておりますT**(Webでは匿名でお願いいたします)と申します。
    いつも先生のホ−ムページを拝見させていただいております。

    質問ですが、ろう材(例えばAgろう)の熱伝導率が80W/m・K程度と、ある文献で 見たことがあるのですが、なぜ熱伝導率の良い銀や銅を多く用いているのに、 ろう材の熱伝導率は低いのでしょうか?
    ご教授頂きたく宜しくお願いいたします。
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    Date: Thu, 07 Feb 2008 11:17:36 +0900
    A: T*様、佐藤勝昭です。
     私は、金属工学が専門ではないので、正しくお答えできるか自信がありません が、物理屋としての見解を述べます。
     銀蝋の組成を調べると、BAg-1ではAg44-46%、Cu14-16%、Zn14−18%、Cd23-25% (JIS Z 3261-1998) という組成比になっており、Ag以外の金属の方が多い、いわば金属のごった煮です。
     このため、電子は合金散乱を受け、電気伝導率が悪くなっています。Wiedeman -Franzの法則により電気伝導率と熱伝導率は比例しますので、熱伝導も悪いのではないでしょうか。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 07 Feb 2008 11:44:29 +0900
    AA: 佐藤様
    早速のご回答ありがとうございました。
    ぜひ参考にさせていただきます。
    ----------------------------------------------------------------------------------
  • 1055. 結晶SiとアモルファスSiの活性化エネルギー


    Date: Wed, 6 Feb 2008 21:51:04 +0900 (JST)
    Q: 初めまして。私は近畿大学理工学部電気電子工学科3年の宮崎隼人と申します。
    いつも物性なんでもQ&Aを拝見させていただいております。
    今回こちらでいろいろ調べて見たのですがどうしても解らなかったので 質問させていただきたきたいと思いメールを出させてもらいました。
    質問内容
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    学校の講義でアモルファスシリコンの活性化エネルギーは、結晶シリコンに比べて
    大きくなると聞いたのですが、何故大きな数値になるのかがわかりません?
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    どうが宜しくお願いいたします。
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    Date: Wed, 6 Feb 2008 23:41:04 +0900
    A: 宮崎君、佐藤勝昭です。
     活性化エネルギーといっても、欠陥の形成の活性化エネルギー、 不純物拡散の活性化エネルギーなどいろいろなものがありますが、ここでは、キャリ ア密度の活性化エネルギーのことだと考えておきましょう。
     真性半導体の場合、キャリ密度nの温度依存性は、
     n=(NcNv)^(1/2) exp{-(Ec-Ev)/2kT}=(NcNv)^(1/2) exp{-Eg/2kT}
    と表されます。Nc, Nvはそれぞれ伝導帯および価電子帯の状態密度, Eg=Ec-Evはバンドギャップです。従って、活性化エネルギーEaはEg/2で 表されます。
     結晶シリコンのEgは1.1eV, 水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)の Egはほぼ1.7eVです。従って、結晶シリコンの活性化エネルギーは、 Ea=0.55eV, アモルファスシリコンの活性化エネルギーはEa〜0.85eVで す。
     不純物半導体の場合の活性化エネルギーは、ドナーやアクセプターの 準位で決まりますので、必ずしも、上の議論は成り立ちません。
    ------------------------------------------------------------------------------------
  • 1056. エレクトロニクスの期末テストの解答が欲しい


    Date: Tue, 5 Feb 2008 13:09:24 +0900
    Q; 佐藤勝昭様
    はじめまして、私は浅野と申します。
    お願いがあります。
    このホームページにあるエレクトロニクスIIの期末テストの問題を個人的に解いたのですが、解答が無く困っております。
    最近、電子回路を勉強しており、大変良い問題だったので挑戦してみました。
    誠に一方的なお願いではありますが、「解答例や解答手順」等の資料がありましたら 是非拝見させて下さい。
    もし、解答例や解答手順が存在しましたらお願いします。
    お忙しい中申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
    神奈川県大和市在住 浅野
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    Date: Tue, 05 Feb 2008 15:48:35 +0900
    A: 浅野様、佐藤勝昭です。
     以前の授業なので標準解答が残っていませんでしたので、急遽作成しました。
    間違っているかもしれませんが、取り急ぎお送りします。
    解答pdf
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    Date: Tue, 5 Feb 2008 19:59:08 +0900
    AA:佐藤 勝昭様
    解答ありがとうございました。
    早速、拝見させて頂きます。
    お忙しい中、このような好意に大変感謝しております。
    佐藤先生の講義プリントも大変参考になり勉強になります。本当にありがとうございました。
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  • 1057. 酸化タングステンの機械的性質


    Date: Fri, 8 Feb 2008 14:24:04 +0900
    Q: 突然のメール失礼致します。
    O*大学工学部4年のK*と申します。(Webでは匿名でお願いします)
    現在、「酸化タングステン」に熱負荷を与えた場合の挙動を調べるためにシミュレー ションによる解析を行っております。
    しかし、酸化タングステンの物性値(ヤング率、ポアソン比、線形膨張係数、比熱、 熱伝導率)がわからなくて困っています。
    恥ずかしながら、図書室で調べた中ではこれらのデータが記載されているような資料 を見つけられませんでした。
    お忙しいところ申し訳ありませんが、ご助力いただければ幸いです。
    どうぞよろしくお願いします。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 08 Feb 2008 15:14:55 +0900
    A: K君、佐藤勝昭です。
     理化学辞典によると、酸化タングステンには、酸化数4,6およびその中間にある多数のマグネリ相の化合物が存在します。
    室温で多形(polytype)をもち、特定の相の単結晶を分離するのが難しいことから、きちんとした機械的性質が測定されていないのではないでしょうか。
    最近、ナノワイヤについての機械的性質がin situで調べられているようなので、それから類推するしかないでしょう。
    K. H. Liu, W. L. Wang, Z. Xu, L. Liao, X. D. Bai, and E. G. Wang:
    In situ probing mechanical properties of individual tungsten oxide nanowires directly grown on tungsten tips inside transmission electron microscope;
    Appl. Phys. Lett. 89, 221908(2006)
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    Date: Fri, 8 Feb 2008 16:58:24 +0900
    AA: O大学工学部4年のKです。(Webでは匿名でお願いします。)
    早速のご回答ありがとうございました。
    ぜひ参考にさせていただきたいと思います。
    佐藤先生のご好意に大変感謝しております。
    どうもありがとうございました。
    -----------------------------------------------------------------------------------
  • 1058. 66ナイロンの黄変


    Date: Fri, 8 Feb 2008 18:48:12 +0900
    Q: 佐藤研究室 御中
    HPを拝見し質問させていただきます。

    名前: S***    所属 : N***社 品質管理グループ
    Webにアップする場合は匿名を希望いたします。

    お世話になります。
    弊社は電気部品として成形品を扱っております。
    ご使用されるお客様から66ナイロンの成形品を部品とする製品についてホワイト品の変色(ホワイトからベージュに)について問い合わせを受けており、弊社内でも製造工程を確認しましたが要因となるものが確認されませんでした。
    ここで、66ナイロンについて環境から受ける変色に目をつけ、調べておりましたら下記の情報を得ました。
    ==================================================================
    4.1 黄変現象(暗所黄変)のメカニズム

     スチレン系樹脂(ABS、HIPS、AES等)は、通常の環境下で光や過度な熱の影響を受けない状態で保管しても、長期の保管中に色調が黄色く変化する現象がある。このような環境下での黄変現象は、光の直接当たらない密閉した試験槽などの暗所において発生することから、”暗所黄変現象”と呼ばれている。この暗所黄変の場合、変色した成形品を太陽光に照射すると、元の白味方向の色調に戻る傾向を示し、他の湿熱および耐侯劣化による黄変とは区別することができる。
     暗所黄変のメカニズムは未だ解明されておらず、明確な原因は不明である。但し、一般的には以下の傾向があることがわかっている。
     (1) 保管前に成形品が太陽光等の光エネルギーを照射した状態で保管すると、黄変は増加する傾向がある。
     (2) 保管状態は高温・高湿の場合に黄変が増加する(温度・湿度の影響大)。
     (3) 色調としては、変色が目立ちやすい淡色系で発生し易く、透明色が最も顕著である。
     (4) 酸化防止剤を代表とする、キノン系発色化合物(例:フェノール系酸化防止剤BHT)が存在すると顕著に発生する。

    4.2 暗所黄変の対策

     暗所黄変については、そのメカニズムが解明されていないため、根本的な解決策が見つかっていないが、この暗所黄変現象は”初期の光酸化(光照射)を受けて生成したラジカル種により暗所で更に酸化が進む現象”と考えられることから、材料面対策として下記が有効とされている。
     (1) 初期の光酸化防止:紫外線吸収剤の添加
     (2) 生成したラジカル種の除去:光安定剤の添加
    更には、注意事項として成形品の保管を屋外等の直射日光はもちろん、蛍光灯、水銀灯等による光照射を避け、高温・高湿とならない場所での梱包および保管する事が重要である。

      (株)技術情報協会発行 高分子材料の劣化・変色メカニズムとその安定化技術-ノウハウ集- より
    ==================================================================
    この上記情報は66ナイロンも該当するのでしょうか?

    また、ご使用いただいているお客様での保管状態は下記のようです。

    どの位の期間保管されているか?=約4ヶ月間保管
    保管状態(条件)=倉庫(窓なし=日光入らず)に下記条件にて保管
    ・温度:22℃±10(±10は最大でそこまでいく事は殆どないと思われる)
    ・湿度:70%以下

    製品の梱包状態は一定の数量・一定の姿勢(プラスチック製のトレーに整列されている状態で数段に積み重なっている)でダンボールに梱包されており、この状態ですと外光にさらされることはありません。
    変色の状態はこの梱包状態において(重なっているトレーの)一番上の段のなおかつ上面のみ変色しております。
    ダンボールが開封された状態で最上段の表面に外光が照射され変色をきたしているのではないかと考えております。
    しかしながら保管状態としては光がほとんど遮断されている。
    そこで暗所黄変との関係は?????と考えた次第です。

    66ナイロンについて蛍光灯や紫外線などの長期間による照射が無い場合でも変色の可能性があるのか?
    また、あるならばそのメカニズムについてお教えいただきたいと思います。
    解決策が導き出せれば弊社にも展開できると考えます。
    何卒よろしくお願いいたします。
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    Date: Sat, 09 Feb 2008 00:02:43 +0900
    A: S様、佐藤勝昭です。
     66ナイロンの暗所黄変の件、お困りのことと存じます。私は、無機材料は 専門ですが、高分子は専門外なので、正しいお答えができるか、自信がありませ ん。私見ですが、トレイに使われているプラスチックは多少の不安定性を有して いて、気温が高いときに揮発性のものが微量ながら分解して出ている可能性を否 定できないと存じます。その気体が空気より軽ければ、梱包の段ボール箱の最上 部に溜まっていることは十分考えられることです。ナイロンは安定な高分子です が、表面がその気体に曝されて、変化を受けることはあり得ないことではないと 考えますが、いかがでしょうか?
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 12 Feb 2008 10:38:27 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
    お世話になります。ご回答頂きありがとうございました。
    回答いただいた内容については全く考えもしておりませんでした。
    梱包資材についても考慮してみたいと思います。
    S
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  • 1059. ラマン散乱による結晶歪みの評価


    Date: Sat, 9 Feb 2008 06:58:12 +0000
    Q: 佐藤勝昭 様
    いつもホームページを拝見、勉強させていただいております。
    私、O阪大学工学部3年、Kという者です。
    今回、ホームページを見て、初めて質問させていただきます。

    今私はラマン散乱分光測定を行っており、ある希土類ガーネットのサンプルのラマン測定を行いました。
    ある2箇所の波数において希土類ガーネット薄膜のピークが観測され、
    1つは、z(x、y)−z、 z(x’、x’)−z配置でのみで観測されたのでT2g,
    もう一方はz(x、x)−z、z(x’、x’)−z、z(x’、y’)−z配置でのみ観測されたためEgモードとアサインしました。

    ここで、c軸に対して圧縮の歪を受けているサンプルに関してはラマンのピークは低波数側にシフトすると記憶しており(調べた文献にもそう書いてありました)、今回測ったサンプルはc軸に対して伸張したサンプルであったため、高波数側にシフトすると考えていたのですが測定結果は低波数側にシフトしていました。

    検証のため、c軸に圧縮されたサンプルを測定したところきちんと低波数側にシフトしたのですが、先のc軸伸張のサンプルと比べると、 c軸圧縮のサンプルは2/cmほど低波数側にシフトしておりc軸伸張のサンプルは4/cmほど低波数側にシフトしておりました。

    この結果の解釈に困っており、実験に問題があるのか、測定のモードに依存するなにか、もしくはガーネットという複雑な構造ゆえの何かなのか、ヒントをいただければと思い質問させていただきました。

    お忙しいとは思いますが、お答えいただければ幸いです。
    よろしくお願いいたします。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 09 Feb 2008 18:31:26 +0900
    A: K君、佐藤勝昭@那覇です。
     学部の3年なのに高級なことをやっていますね。私は、ガーネットのラマンは やったことがないので、よくわかりませんが、referenceとして用いた歪みのな い試料は、薄膜ですか、バルクですか?
     一般論ですが、対称性にもとづくフォノンの議論はバルクについてはきちんと できると思いますが、薄膜については注意が必要です。
    おそらく、測定しておられるのは、GGG基板にLPE法で成長したRGG、RAG、または RIGだと思いますが、基板に対してどの程度コヒーレントに成長しているのか で、観測されるものが異なってきます。基板の格子定数より格子定数の小さなも のを成長すると、もしコヒーレントに成長しているなら、確かに面内にひっぱり 歪みが加わり、面内の格子定数は伸び、XRDで見られる面直の格子定数は縮みま す。理想的にはそうなのですが、実際には、ミスフィット転位が入って、格子定 数は緩和してしまうことがあります。従って、ラマン以外の方法で、引っ張り歪 みを受けているか圧縮歪みを受けているかよく調べた方がよいと思うのです が、・・。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 9 Feb 2008 21:12:12 +0000
    Q2: 佐藤 勝昭 さま

    早速のお返事ありがとうございます。

    また実験は研究室の4年生の先輩の指導の下行っている次第で、私自身はまだまだ知識が追いついていけていないと感じているのが現状です。

    今回リファレンスとして歪のないバルクを採用しました。
    実験はGGG基板に少しCaなどをドープして格子定数を大きくしたものを基板として使い、 PLD法という方法でエピタキシャル成長させたガーネット薄膜(RIG)を測定しました。
    また、格子定数は基板>薄膜となっています。
    私の知識不足でミスフィット転移というのはよくわかりませんが(ある膜厚以下や、格子定数の差がある程度以上になると亀裂が生じるなどといったことでしょうか? 早速調べてみます。)、XRD測定において、膜圧の薄いものに関してはc軸方向の縮みを、膜圧が厚いものに関しては逆にC軸方向に伸びているのを確認しました。(逆格子マッピングというものを測定していただき、その結果、このように聞いております)

    膜厚が厚いサンプルにおいて、XRDではC軸の伸びが確認されたのに対しラマン測定ではC軸の縮みと思われる低波数シフトが観測されたということから、今回非常に悩む結果となってしまいました。

    何度も申し訳ないのですが、これら以外に格子が圧縮または引っ張り歪みをうけているか測定する手段をご存知であれば教えていただけないでしょうか?
    また、繰り返しになりますが、お忙しい中お返事いただきまして誠に感謝しております。
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    Date: Sun, 10 Feb 2008 06:57:18 +0900 (JST)
    A2: K君、佐藤勝昭です。
     ラマンは、レーザを使うので、波長によっては、試料の中まで侵入せず、表面のみの 情報を見ている場合があります。厚い試料ではX線でみる全体の平均的情報とラマンで みる表面の情報が異なるのでとくに注意が必要です。
    ----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 11 Feb 2008 05:37:27 +0000
    Q3: 佐藤 勝昭 さま
    お返事ありがとうございます。
    今回用いたラマン測定のレーザーの波長は458nmです。
    458nmだと薄膜のどの程度まで侵入しているのかわからないですが、ご指摘いただいた点に関しても考えていきたいと思います。
    またお気づきになる点がありましたらご連絡いただけますと幸いです。
    お忙しい中、お答えいただき誠にありがとうございます。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 11 Feb 2008 22:31:18 +0900 A3: K君、佐藤勝昭です。
    458nmは、2.7eVですね。YIGの吸収は2.4eV付近で急に立ち上がるので、吸収係数は105[cm^-1]程度あると思います。
    従って侵入深さは10^-5[cm]=100[nm]程度でしょう。
    膜厚が100nm以下なら、中まで光は侵入 しますが、例えば10μmの厚さのエピ膜ですと、最表面の情報しか見ないことになります。
    ------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 11 Feb 2008 14:51:50 +0000
    Q4: 佐藤 勝昭 さま
    お返事ありがとうございます。
    今回測定したサンプルは30nm,50nm,100nm,160nmの膜厚であり、ほとんどのサンプルにおいては中まで光が侵入していると考えられますが、 今現在判断に困っている、XRDではc軸の伸びが観測され、ラマン測定ではc軸の圧縮が観測されたと考えているサンプルの膜厚は160nmであり、このサンプルにおいては光が中まで侵入しておらず、表面の情報のみを見ている可能性があると思います。
    ただ、格子の歪の影響はは膜の表面に近づくほど緩和されることを考慮するとラマン測定の結果が膜の表面情報のみを示し、 かつ、膜厚の厚いサンプルが、膜厚が薄いものよりもc軸方向に大きく圧縮されているというラマン結果だったことはますます理解に苦しむことになってしまいそうです。 (設計では膜厚が薄いほど大きくc軸に関して圧縮され、膜厚増加に伴い緩和されるはずです。格子定数:基板>薄膜)
    お忙しい中、いつも返事を送っていただきありがとうございます。 実験データがすんなり納得のいくものでないことに対し困惑に近いものを感じたりもしますが、 同時に、このようにいろいろと考えをめぐらせていくことの楽しさも感じているところです。
    また、私のような者のためにお時間を割いていただいていること、深く感謝しております。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 12 Feb 2008 01:53:38 +0900
    A4: K君、佐藤勝昭(自宅に戻りました)です。
     レーザの侵入深さでは、説明できないようですね。
    エピ膜試料の良さを見るには、断面TEMを測定するのが一番よいのです が、その前に取りあえず、その膜のようすを光学顕微鏡で観察してみて ください。私の経験ですが、よい試料が出来ていると思っていたのに、 説明できない現象が観測されたことがあり、光学顕微鏡で観測したら、 マクロスケールで相分離が起きていることを発見したことがあります。
    マクロな観察も役立つことがあります。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 14 Feb 2008 05:57:58 +0000
    AA: 佐藤 勝昭  さま
    返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
    はい、早速光学顕微鏡で観察してみたいと思います。
    いろいろとアドバイスしていただき本当にありがとうございます。
    ---------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1060. 光学薄膜の透過率


    Date: Mon, 11 Feb 2008 08:25:27 +0900 (JST)
    Q: はじめまして。F*大学工学部4年のY*と申します(Webでは匿名でお願いします)。
    私が研究している中の1つに多層膜による光の反射防止というものがありまして、設計した値と実験のデータの比較から設計のミスではないかと思い、恐縮なのですがご助力していただきたくメールさせていただきました。
    大変基本的な質問で恥ずかしいのですが、垂直入射で光エネルギーの吸収が無いとすると透過率はどのような式で表すことが出来るのでしょうか。
    本を参考に設計していたのですが、薄膜内での繰り返し反射というところがよく分からなかったので、おそらくそこが原因で結果にずれが生じているのではと考えています。
    以前佐藤先生は、
    反射率の質問のところでエクセルによる解析をなさっていたかと思いますが、リンク先を開くことが出来なかったので、差し支えなければ参考までにそちらの方もお願いできればと思います。

    お願いばかりして大変恐縮ですが、よろしくお願いします。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 11 Feb 2008 18:39:23 +0900
    A: Y君、佐藤勝昭@那覇です。
     大学のHPからprovider(Lacoocan)に移したときにリンク切れが発生しました。申しわけあ りません。旅先なので、帰宅してから対応します。
    なお、薄膜の多重反射については、藤原史郎「光学薄膜」(共立)という本に詳 しく載っていますので、図書館に行って調べてください。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 12 Feb 2008 02:07:24 +0900
    A2: Y君、佐藤勝昭です。
     リンク切れを修復しましたので、ご確認下さい。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 13 Feb 2008 17:56:20 +0900 (JST)
    AA: 佐藤先生。
    返事が遅くなってすみません。
    そして出張先から休日なのにも関わらず素早い対応をしていただき、本当にありがとうございます。

    佐藤先生に教えていただいた本を参考に、現在多層膜を設けた時の基板内の繰り返し反射を見直しています。
    ファブリ・ペロモデルでの透過率がおそらく求めている答えだと考えていますが、本文の説明が多少分かりにくく苦戦しています。
    出来るだけ自分で理解しようと思いますが、また質問させていただくかもしれません。
    失礼とは存じますが、その時はよろしくお願いします。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1061. 窒化ガリウム(GaN)の抵抗率の基板による違い


    Date: Tue, 12 Feb 2008 21:46:10 +0900 (JST)
    Q: T*大学 電気工学科 4年 S*といいます。(匿名でお願いします。)
    研究でGa(solid)とNH3(gas)を熱分解により反応させ、GaNを作製しています。
    基板にサファイアと石英を用いているのですが、NH3流量を変化させてGaNを作製したところ、サファイアの抵抗率は、流量を増やすことで大きくなり、石英の場合流量を増やすことで抵抗率が小さくなりました。
    これはどういうことなのでしょうか?
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    Date: Wed, 13 Feb 2008 01:15:29 +0900
    A: S君、佐藤勝昭です。
    4年生ということですが、卒論ですか?その場合は、本来指導教員に尋 ねるべきですよ。
     サファイヤはAl2O3です。表面のAlはNH3と反応してAlNという絶縁物 が出来る可能性があります。AlNは絶縁性の高い物質です。このため、 NH3の流量と共にAl3N4膜厚のカバーする領域が増え、高抵抗化するので は無いでしょうか。
     一方、石英(アモルファスの酸化アルミニウム)は表面が安定なので、 NH3と反応せず、直接GaN(半導体)が形成され、NH3流量と共に膜厚が 増え、低抵抗になるのではないでしょうか。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    この件に関しH社Tさんから
    コメントをいただいております。
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    Date: Wed, 13 Feb 2008 01:28:40 +0900 (JST)
    AA: お忙しいところすみませんでした。
    参考になりました。ありがとうございました。
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  • 1062. ボルタは電池の出力をどうやって確認したか


    Q: Date: Thu, 14 Feb 2008 17:43:08 +0900
    素朴な質問なのですが教えてください。
    ボルタが電池を作った時に電気が流れたことをどういう手段で確認したのでしょうか?
    まだ、電球とかはなかったようですが!
          山口市   佐伯清子
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    Date: Thu, 14 Feb 2008 19:27:43 +0900
    A: 佐伯様、佐藤勝昭です。
     ボルタ電池のことは
    「大人の科学」のネット版に出ています。
    これによれば、ボルタは死んだカエルの脚に2種類の違う金属を当てて、金属同士を触れさせると、脚がけいれんすることから、電気が起きていることを見出し たようです。
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    Date: Thu, 14 Feb 2008 20:24:01 +0900
    AA: 佐藤先生
     ボルタ電池の件ありがとうございました。
     また不明なことがありましたらよろしくお願いします。
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  • 1063. フラーレン(C60)単結晶のフォトルミネッセンス


    Date: Sun, 17 Feb 2008 22:25:05 +0900 (JST)
    Q: 突然のメール失礼致します。*大学院1年のS*と申します(Webでは匿名でお願いします)。
    HPとQ&A拝見しました。今度フラーレンC60の単結晶について実験することになりました。
    C60単結晶の発光スペクトルについて質問なのですが、低温で測定を行うと3〜4つの発光ピークが見られます。
    それぞれの発光ピークがどういう発光起源(発光メカニズム)なのかを是非知りたいです。
    またC60単結晶の発光スペクトルの起源についての基本的な論文が何かあれば教えていただきたいです。
    お忙しいところ申し訳ありませんが、ご助力いただければ幸いです。
    どうぞよろしくお願いします。
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    Date: Mon, 18 Feb 2008 00:20:10 +0900
    A: S君、佐藤勝昭です。
     Webでは匿名にしますから大学名・学科名を書いてください。人にも のを尋ねるときに自分の所属と名前を名乗るのは最低限のエチケットで す。また、学科(専攻)を明らかにすることは、質問者の基礎知識の程 度を判断でき、適切な答えができるからです。

    良質のC60単結晶のPLは、
    V. V. Kveder, V. D. Negrii, E. A. Shteinman, A. N. Izotov, Yu. A. Osip'yan and R. K. Nikolaev:
    Long-lived excited states and photoluminescence excitation spectra in single crystals of fullerene C60;
    Journal of Experimental and Theoretical Physics Volume 86, Number 2 (1998) 405-411

    V. Capozzia, M. Santoroa, G. Celentanoa, H. Bergerb and G. F. Lorussob:
    Growth and photoluminescence spectra of C60 single crystals;
    Journal of Luminescence Volumes 76-77, February 1998, Pages 395- 398

    J. Feldmann, W. Guss, U. Lemmer, E. O. Gobel, C. Taliani, H. Mohn, W. Muller, P. Haussler, H.-U. Ter Meer:
    Photoluminescence Studies of C60 Single Crystals ;
    Molecular Crystals and Liquid Crystals, Volume 256, Issue 1 November 1994 , pages 757 - 762

    エピタキシャルフラーレンのフォトルミネセンスは、
    R. D. Averitta, P. M. Pippengera, V. O. Papanyanb, J. A. Durac, P. Nordlanderd and N. J. Halasa:
    Photoluminescence spectra of epitaxial single crystal C60;
    Chemical Physics Letters Volume 242, Issue 6, 1 September 1995, Pages 592-597
    をお読み下さい。
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    Date: Thu, 21 Feb 2008 15:47:02 +0900
    A2: S君、佐藤勝昭です。
     昨日、大学に行ったので、J.Lumi.とChem.Phys.Lett.の論文を入手し ました。(JETPとMol. Cryst. Liq. Cryst.は入手できませんでした。)

    V. Capozzia, M. Santoroa, G. Celentanoa, H. Bergerb and G. F.
    Lorussob: Growth and photoluminescence spectra of C60 single
    crystals; Journal of Luminescence Volumes 76-77, February 1998,
    Pages 395-398
     これによると、1.4eV〜1.8eVにAからHまで8個のピークが見られてい
    ます。最も強いピークC(1.66eV),D(は1.62eV)は1重項励起子のゼロフ
    ォノン発光線、F(1.51eV),G(1.47eV)は3重項励起子のゼロフォノン線と
    アサインされています。A(1.76eV),B(1.71eV)は高温で消滅するので、X
    -トラップによるとしています。




    R. D. Averitta, P. M. Pippengera, V. O. Papanyanb, J. A. Durac,
    P. Nordlanderd and N. J. Halasa: Photoluminescence spectra of
    epitaxial single crystal C60; Chemical Physics Letters Volume
    242, Issue 6, 1 September 1995, Pages 592-597
     これによりますと、12000〜14500cm-1(1.48eV〜1.80eV)に6つのPLピ
    ークがあります。最も強いピークは14250cm-1(1.76eV=701nm)にありま
    す。6つのピークは、1重項励起子および3重項励起子による発光とそれ
    に伴うvibroic遷移(格子振動と電子状態が結びついた状態の関与する
    遷移)とアサインしています。




    このほか、Phys.Rev. Lett.にもよい論文が出ていました。 W.Cuss, J.Feldmann, E.0.Goebel, C.Taliani, H.Mohn, W.Mueller, P.
    Haussler,and H.-U.ter Meer: FIuorescence from X Traps in C60
    Single Crystals; Phys. Rev. Lett. Volume 72, April 1994, Pages
    2644-2647.
     この論文ではPLのピークは730nmと820nmにあると書いてあります。
    観測されたピークのアサインは下表のようになっています。
    t1u, huとあるのは実験で得られたピークでfalse originと書いていますが、
    必ずペアで現れ、その間隔は約33meVです。
    これらは、vibronic mode(格子振動・電子状態の結合状態)で、
    表の左端が計算で得られた0-0(始状態、終状態ともにフォノンが結合していない状態)
    のスペクトル位置を示しています。



     0-0
    (eV)
    t1u
    (nm) (eV)
    hu
    (nm) (eV)
    Δ
    (meV)
    X11.993683.2 1.815695.1 1.78431
    X21.940703.7 1.762718.4 1.72636
    C 1.871732.4 1.693747.4 1.65934
    X31.839746.5 1.661  
    X41.816757.0 1.638  1
    X51.781773.5 1.603789.8 1.57033
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  • 1064. チタン酸バリウム薄膜研究の意義


    Date: Wed, 20 Feb 2008 17:58:50 +0900
    Q: n大S**です。今、研究室でチタン酸バリウムの薄膜をレーザーアブレーションで作製しています。
    出来た薄膜をフォトルミネッセンスで温度依存性を測定してます。
    未だになぜ薄膜にして酸素欠陥などをそくていするのですかわかりません。
    とても馬鹿ですけれどいい返答ありましたら教えてください
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    Date: Thu, 21 Feb 2008 01:01:13 +0900
    A: n大S君、佐藤勝昭です。
     Webでは匿名にしますから、大学名・学科名はきちんと明かしてくだ さい。
    また、研究室でやっていることに関する質問は、本来、指導教員 または上級の大学院生に尋ねるべきです。
    自分でバカだと卑下しないで 下さい。学部では、基礎的なことしか学ばないのですから、4年生が知 らないのは当たり前なのです。
    君の研究室では、始めに、なぜその研究 をやっているのかの意味づけを教員が教えていないのですね。
     チタン酸バリウムBaTiO3は強誘電体です。「強誘電体」というのは、 外部電場を加えなくても電気分極をもつ(このような分極を自発分極と いいます)誘電体です。このため誘電率が高いのです。

     それではなぜ、薄膜の強誘電体を研究する必要があるのでしょうか。
    そのためには、基礎知識が必要です。
     半導体メモリーのDRAMのことは知っていますよね。
    DRAMではMOS-FET でスイッチして情報を電荷としてコンデンサに蓄えていますが、コンデ ンサの誘電体として酸化珪素(SiO2)を使っています。
    しかし、ご存じの ように集積化が進んで、1ビットのセルサイズが一辺100nm以下になって きますと、コンデンサの面積が小さすぎて、十分な電荷を蓄えることが できません。それで、トレンチという深い井戸を掘ったり、数段重ねに したり工夫をしていますが、追いつきません。
     また、MOS-FETのゲート絶縁物も問題です。MOS-FETではシリコンの上 に酸化膜を付けてその上に金属電極を付けてゲートとしています。
    ゲー トに加えた電圧によってシリコンの表面にチャンネルという電気の通り 道を制御してトランジスタの働きをさせるのです。
    しかし、ゲートの面 積が小さくなるとゲート絶縁膜でのコンデンサの容量が小さすぎて、じ ゅうぶんな電界がシリコンに加わらないので、チャンネルの制御が出来 ないのです。
    それで、ゲート絶縁膜に使われるSiO2の厚みは1nmという 薄さになっています。あまりに薄いので絶縁破壊がおきる寸前になって います。SiO2より10倍高い誘電率をもつ誘電体を絶縁物に使うとすれば、 絶縁層の厚みは10nmになるではありませんか。

     それで、誘電率の高い(high kといわれます)酸化タンタルTa2O5や 酸化ハフニウムHfO2や珪酸ハフニウムHfSiO などが検討されています。
     さらに強誘電体にすれば、数桁も誘電率が高いので、絶縁破壊の問題が ありません。強誘電体としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)がよく使 われますが、鉛は環境汚染の問題があるので、チタン酸バリウムに関心 が寄せられているのです。
     このことから、ゲート酸化膜に使うためには薄膜にする必要があるこ とがわかるでしょう?
     次になぜ酸素欠陥をなくす必要があるかということです。酸素欠陥は ドナーとなって電子を供給するので、抵抗率が低下してリーク電流が増 え絶縁物としての使命を果たせないことや、欠陥がトラップとなって電 荷を蓄積することで、トランジスタの応答を悪くする可能性があるので す。
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    Date: Mon, 25 Feb 2008 09:13:35 +0900
    AA: 返信ありがとうございました。
    大学は恥ずかしいので伏せていました。
    N**大学のB**学科です!
    今回は、教員や上級の人には聞きずらかったので質問させてもらいました。でも、とてもわかりやすく理解しやすかったです。
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  • 1065. 半導体の光学現象の量子力学


    Date: Wed, 20 Feb 2008 23:13:54 +0900
    Q: 佐藤先生
    M**と申します。メーカーを退職をした後、光の物理学について独学しています。匿名でお願いします。
    物性Q&AのHPを見ての質問です。
    シュレディンガーの方程式に関して、教科書的には、クーロンポテンシャル、井戸型ポテンシャル、調和振動子ポテンシャルの場合が個別に説明されています。しかし、実際の原子や分子において、これらの異なるポテンシャルがどのように連続的に関わっているのかという点がよく理解できていません。

    1.孤立原子のエネルギー準位は、クーロンポテンシャルに束縛される電子のエネルギー準位として計算されます。原子や分子が凝集する場合、それぞれのエネルギー準位がバンド幅を持ちます。価電子がエネルギー準位E1にある場合、光の電場を加えると、E1に調和振動の離散的なエネルギー準位Uxが加わると考えてよいのですか?この場合、フェルミ準位が増えるのですか?この場合、内核電子のエネルギー準位も影響を受けるのですか?

    2.調和振動のエネルギー準位Uxが軌道間エネルギーギャップを超える場合、エネルギー準位が上の軌道に遷移するのですか?エネルギーギャップを超えない場合、禁止帯にはいりこめないエネルギー準位をどのように考えたらよいのか教えてください。

    3.半導体の場合、価電子が調和振動のエネルギー準位を得て(井戸型ポテンシャルから計算される)自由電子のエネルギー準位になると考えてよいのでしょうか?

    あいまいな質問で申し訳ないのですが、ご教示いただければ幸いです。
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    Date: Thu, 21 Feb 2008 02:03:24 +0900
    A:M様、佐藤勝昭です。
     退職後独学されているのですね。頭がさがります。頑張って下さい。
    ご質問ですが、すこし、混乱があるようなので、整理して見ましょう。

    0.「クーロンポテンシャル、井戸型ポテンシャル、調和振動子ポテン シャルの場合が個別に説明されています。しかし、実際の原子や分子に おいて、これらの異なるポテンシャルがどのように連続的に関わってい るのか」というご質問ですが、実際の物質の中の電子を考えるときのポ テンシャルとしてはクーロンポテンシャルを考えればよいでしょう。
    (井戸型ポテンシャルは、量子力学の最も簡単な練習問題として書かれ ているもので、実際の系としては、半導体レーザに人工的な量子井戸と して用いられています。障壁層としてGaAlAsを用い、GaAsを井戸層とし て用いることで、電子をGaAs層に閉じこめることに使われています。バ ンド構造までを論じるときには、井戸型ポテンシャルを使う必要はあり ません。調和振動子モデルは、格子振動や励起子などを量子力学で扱う ための手段で、通常の電子構造を調和振動子的に扱うことは、必要あり ません。)

    1.「価電子がエネルギー準位E1にある場合、光の電場を加えると、E1 に調和振動の離散的なエネルギー準位Uxが加わると考えてよいのですか?」 という質問ですが、半導体による光の吸収を考える場合、光は古典的 に電界として考え「価電子帯の電子が光の電磁場のエネルギーと運動量 を得て伝導帯に遷移する」と考えています。本当は、フォトンを粒子 (調和振動子の量子化したもの)として考え、電子の生成・消滅演算子 との相互作用という形で表現しなければ、オール量子力学にならないの ですが、光の吸収や、光による電子分極を考える場合には、初めに述べ たように半量子力学的な扱いになっています。
     「光の吸収でフェルミ準位は上がるか」ですが、真性半導体の場合、 ほとんどフェルミ準位は動かないでしょう。しかし、外来性半導体の場 合、ドナーに束縛されていた電子が強励起で伝導帯に出払ったとすれば フェルミ準位が上がると思います。内殻準位はX線のような高エネルギ ーの光でない限り関係しません。

    2.「エネルギー準位が上の軌道に遷移する」という表現は、物理的で はなりません。「価電子帯のエネルギー準位に対応する電子軌道から、 伝導帯のエネルギー準位に対応する電子軌道へと遷移が起きる」という のが正しい表現です。禁制帯には電子を励起しようにも禁制帯内の電子 エネルギーをもつ電子軌道が存在しないのです。その場合、高い電子エ ネルギー準位の状態を光の摂動で仮想的に取り込んできて、電子分極を 起こします。そのために、誘電率が真空の値より大きくなります。

    3.「半導体の場合、価電子が調和振動のエネルギー準位を得て(井戸 型ポテンシャルから計算される)自由電子のエネルギー準位になると考 えてよいか」という質問ですが、答えは「いいえ」です。伝導帯の状態 は決して自由電子の状態ではありません。伝導帯の底の電子状態は、格 子の周期的なクーロンポテンシャルのお陰で、有効質量が自由電子質量 より小さくなっています。このことは、ブロッホモデルによるバンドの 考えによって、初めて説明できます。固体物理学のバンドのところをき ちんと勉強して下さい。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 22 Feb 2008 00:15:42 +0900 Q2: 佐藤先生 お忙しい中、丁寧な回答をいただき有難うございました。
    おかげさまで大分整理していただきました。
    再度の質問で恐縮なのですが、
    「高い電子エネルギー準位の状態を光の摂動で仮想的に取り込んできて、電子分極を起こします。そのために、誘電率が真空の値より大きくなります。」 の部分が理解できませんでした。

    1.「仮想的に」というのは、エネルギー準位の確率的な遷移の重ね合わせであり、固有状態にはないということですか?

    2.電子遷移が発生した時には、電子分極の状態にはないということですか?

    ご教示お願いします。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 22 Feb 2008 00:33:08 +0900
    A2: M様、佐藤勝昭です。
     説明が不十分でわかりにくいようでしたね。
    光学遷移と分極については
    「物性何でもQ&A」の質問#1042 を参考にしてください。
    1.摂動を受けた系の固有波動関数は、無摂動系の固有状態の確率的な 重ね合わせで表され、エネルギー保存則の制約なしに高いエネルギー準 位の状態が「仮想的に」混じったものと考えられます。

    2.いいえ、遷移が起きたときにも電子分極は起きていますが、エネル ギーの散逸(吸収)を伴うと云うことです。誘電率で云えば、電子分極 は誘電率の実数部、遷移による吸収は誘電率の虚数部に相当します。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 22 Feb 2008 17:56:16 +0900
    Q3: 佐藤先生
    Mです。再度にわたって、教えていただき有難うございます。
    「物性何でもQ&A」の質問#1042についても参考になりました。

    分極に関して次の2つの場合があると理解しました。
    VirtualなProcess:基底状態→励起状態(中間状態)→基底状態:エネルギーの収支をともなわない。
    RealなProcess:基底状態→励起状態:エネルギーの吸収を伴う。

    このように理解する場合、

    1.RealなProcessにおいて、光の自然放出により励起状態→基底状態が発生します。RealなProcessにおいても基底状態→励起状態→基底状態となりますが、この場合、熱や格子振動による散逸がないとすると、エネルギーの吸収と放出の収支はどのようになりますか?

    2.VirtualなProcessにおける励起状態(中間状態)とRealなProcessにおける励起状態はどのように区別されますか?2つの励起状態で、電子軌道は違うのですか?VirtualなProcessにおける励起状態(中間状態)の緩和時間は?

    3.RealなProcessにおいて、基底状態にとどまっている原子と励起された原子の混合状態はありますか?共鳴周波数の付近では、基底状態にとどまっている原子の誘電率(実部も虚部も)の方が伝導体に励起された原子より大きいと考えてよいですか?

    4.励起された状態の緩和時間(励起されてから光の自然放出に至る時間)と伝導電子の散乱による緩和時間は同じですか?

    先生のご好意に甘え、沢山の質問をして申し訳ありません。先生のご指導、感謝しています。
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    Date: Fri, 22 Feb 2008 19:39:29 +0900
    A3: M様、佐藤勝昭です。
     私は理論家ではないので、ご質問のすべてに完全に正確にはお答えできないと 存じます。いわば、私のフィーリングでお答えしますので、理論的に正確かどう かはわかりません。

    1.もし光を吸って基底状態から励起状態に遷移確率Pで遷移し、エネルギーの 散逸がなく、低いエネルギーのほかの励起状態へ遷移することがなければ、励起 と同じ遷移確率で基底状態にもどります。このとき光を放出しますので、エネル ギーの収支はありません。

    2.実過程で共鳴的に遷移する相手先の励起状態と、仮想過程で基底状態にとり こまれる励起状態とは、必ずしも同じではありません。仮想過程では、いくつも の励起状態を基底状態に取り込むことができますし、直接励起では禁止されてい る遷移でも、他の摂動で仮想的に取り込むこともできます。実過程は、時間がか かりますが、仮想過程では瞬時にとりこみが起きます。実際には遷移していない ので緩和時間という言い方はできないでしょう。

    3.普通の光吸収過程で遷移が起きると言っても、部分的に励起がおきるだけで す。真性半導体の吸収では、フォトン数に応じた電子が価電子帯から伝導帯に励 起されます。
    しかし、何らかの方法で強く励起すると、基底状態より励起状態の方が多く分布 することがあります。これを反転分布と呼び、レーザー発振するための必要条件 となっています。
    誘電率は、多くの励起状態からの(仮想的な)寄与の重ね合わせで表されていま す。強い実過程の遷移が期待される共鳴条件の周波数では、準位の寿命が十分長 ければδ関数的な虚数部を持ち、実数部はその遷移に向かって発散的に増大する はずですが、実際には有限な寿命のため、虚数部 はピークになり、実数部はクラマースクローニヒの関係で与えられるS型の分散 曲線になります。このときどれだけ励起されたかは問題になりません。「共鳴周 波数の付近では、基底状態にとどまっている原子の誘電率(実部も虚部も)の方 が伝導帯に励起された原子(からの誘電率)より大きい」という設問自体、無意 味です。しかし、強励起したときは、誘電率は励起強度に応じた変調を受けま す。これが非線形光学効果です。

    4.答えを先に述べれば、励起状態の緩和と伝導電子の緩和は別の現象です。励 起された状態の緩和時間には、励起状態の位相が失われる横緩和の緩和時間T2 と、基底状態に戻ることにとる縦緩和の緩和時間T1とがあります。励起状態の線 幅を(不確定性原理で)決めている緩和時間はT2であると考えられています。基 底状態にもどる緩和時間にも、フォノンが関与した非発光の緩和時間と、遷移確 率の逆数に比例する発光緩和時間とがあります。一方、伝導電子の散乱による緩 和時間は、イオン化不純物による散乱、格子振動による散乱、磁性不純物からの スピン散乱など、いろんな散乱機構が関与します。
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    Date: Fri, 22 Feb 2008 20:31:31 +0900
    AA: 佐藤先生
    村上です。再三にわたり丁寧にご教示をいただき、有難うございました。
    いろいろな参考書を読んでも、ともすればDetailだけに目がいき、全体像をつかめません。
    先生のご回答により、全体像をつかむための指針を与えていただいたと感謝しています。
    今後とも宜しくお願いします。
    -----------------------------------------------------------------------------------
  • 1066. 電磁波とプラズモンの結合についての疑問


    Date: Sun, 24 Feb 2008 02:28:06 +0900
    Q: 佐藤先生

    M*社のO*と申します。匿名でお願いします。
    工学部電気系出身で、半導体素子の研究開発をしております。
    「物性なんでもQ&A」を楽しく拝見しております。

    先生のご専門ではない分野で申し訳ありませんが、 多くの方が質問される「プラズモン」に関しての疑問ですので 公開でご指導頂くのは価値があると思い、質問させて頂きます。

    ちなみにこの質問は私の現行業務には全く関係なく、 趣味の勉強からの質問で、申し訳ありません。

    質問は
    「電磁波とプラズモンとは、
     周期構造(回折格子カップラ)や斜入射構成(ATRカップラ)を用いないかぎり、  直接的に結合しないのは、電磁波が横波でプラズモンが縦波だから」
    という、よく見る説は、間違っているのでは?
    というものです。

    以下のように考えたのですが、どこか間違えてないでしょうか。
    ご指導いただければ幸いです。

    1.なぜ、金属の光反射スペクトルに、プラズモンの応答が現れるのか?
    質問915「波長340nmに見られる 銀の光反射率の低下」のご説明は 花村栄一先生の教科書「固体物理学」(裳華房)に基づくものと思われます。
    が、教科書の以下の説明(p.150)は、私には理解できませんでした。 「波数k→0の長波長近似では、横誘電率と縦誘電率が等しくなるので、  光で測定できる横電誘電率の中に、縦波のプラズモンを観察できる」

    数学的に、横誘電率と縦誘電率が等しくなることは、 物理的に、電磁波とプラズモンとの結合を保証しないのではないでしょうか。
    電磁波とプラズモンとの間に、どのような「力」が作用しているかを 説明しない限り、物理の説明になっていないような・・・

    2.ある教科書の記述
    塚田挺先生編集の「表面科学シリーズ8 表面の電子励起」(丸善)には、 以下のような記載があります。
    「プラズモンの励起エネルギーより高いエネルギーの光を、金属に入射した場合、  縦波であるプラズモンを励起する」(p.30、須藤彰三先生のご担当の章) 上記は、特に何の注釈もなく、さも当然のように記述されています。
    「電磁波とプラズモンが直接に結合しない」というのは 光学分野だけの誤解なのではないでしょうか。

    3.ローレンツ力により、電磁波とプラズモンとが結合するのでは?
    D.パインズ先生の「固体における素励起」(日本語訳 吉岡書店)には、 以下のような説明があります。(若き大槻義彦先生の訳!)
    「外部のテスト電荷が電子密度変動と直接結合するのに対し、
     外部のテスト電磁波は電流密度のゆらぎと直接結合する」(p.204)
    これは固体の光学的性質を理論的に説明する中に出てくるのですが、
    ベクトルポテンシャルを用いているので、私のような素人には直感的理解が難しいです。

    要するに、以下のようなことではないかと、考えてみました。
    ・電界と磁界を有する電磁波が、外部より金属に入射する。
    ・この外部電界により、金属中の電子が振動され電流が発生する。
    ・ところで、電磁波は波なので、あるいは電流による電界遮蔽により
     外部電界の強度は(電磁波の進行方向zに対して)z位置によって異なる。
    ・その結果、電流密度はz位置によって異なる
    ・電流密度が異なるので、電磁波の持つ外部磁界が電流に及ぼすローレンツ力が
     z位置によって異なる。
    ・ローレンツ力がz方向によって異なると、z方向に電子の疎密が生じる。
    ・その結果、z方向に伝搬するプラズモンが励起される。

    4.結論
    ローレンツ力であれば、
    電磁波は波数ベクトルの方向に力を及ぼすことができるので、
    よく見られる
    「電磁波の電界は波数ベクトルに対して横方向の振動なのに、  なぜ波数ベクトルに対して縦方向の電子の疎密であるプラズモンを生み出すのか」
    という疑問が解消するのではないでしょうか。

    また、よく見られる
    「表面に局在するモードの表面プラズモンポラリトンを、どのように電磁波で励起するのか」
    という質問は、「縦波/横波」で説明するできるのではなく、
    波数-振動数の分散(空気/金属界面に平行方向の、波数の整合)によりのみ 説明できるのではないでしょうか。

    もちろん正確には、
    (バルクプラズモンの固有振動数以上の振動数の)電磁波が金属に入射する場合、 バルクプラズモンではなく、 表面プラズモンポラリトンとの結合を議論する必要があると思います。
    が、表面プラズモンポラリトンの非輻射モード(表面に局在)ではなく、 輻射モード(金属中を伝搬する)と電磁波の間には 波数-振動数の整合の問題がないため、結合には問題がないように見えます。
    (「表面科学シリーズ8 表面の電子励起」p.120)

    よく考えてみれば、プラズモンと電磁波が相互作用(分散曲線が交差)する場合、 分散曲線には上枝/下枝(upper/lowe branch)の2モードが 現れてもおかしくないはずですが、 よく見る解説は下枝(局在モード)しか触れていません。
    これは初学者の視野を狭くさせる解説のような気がしたりします。

    お忙しいところ申し訳ありませんが、ご指導よろしくお願いいたします。
    (私の趣味にお付き合い下さると、嬉しい限りです。)

    ちなみに、「電磁波とプラズモンが直接に結合しない」という誤解が 生まれた背景には、以下のような事情があるのかと、邪推してみました。

    ・佐藤先生のご専門の光磁気効果以外の、これまでの光学では磁気作用を無視できる誘電体を用いることが多かったので、  自由電子やローレンツ力は視界に入りにくい。
    ・光学問題の多くは静電近似で考えても説明できるので、  電流のような動的視点は見落としやすい。
     あるいは、つい電磁波を交流電界と同一視してしまう。
    ・波数-振動数の分散の整合は、初心者には説明しにくいので、  どこかの偉い先生が素人に分かりやすく誤魔化した説明をして、  それが流布してしまった。
     (例:電磁波の発生を説明するための、電界と磁界が互いに輪になるという、   ボルン先生オリジナルの図)
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    Date: Sun, 24 Feb 2008 16:36:09 +0900
    A: O様、佐藤勝昭です。
     むずかしい問題提起をされましたね。
    固体中の電子の集団的運動によるプラズマ振動には縦波も横波もありま す。物質中を伝わる電磁波の電場も波数ベクトルkに対して垂直に振動 する横波E_Tと、kに平行に振動する縦波E_Lに分けることが出来ます。
    従って、ご指摘のように「電磁波が横波でプラズモンが縦波」というの は短絡的です。横電場には分極による反電場が働きませんが、縦電場と では反電場のために復元力が働きます。このため、縦電場では自由電子 の運動はω_pで共鳴的になります。通常の実験では、縦電場の測定が行 われないので横電場について扱っています。(工藤恵栄:光物性の基礎、 オーム社、1977、p.82参照)工藤先生は、我が国の光物性の先駆者です。
    光学の研究者が縦モードのプラズモンを考えないというのは誤解です。

    1.「波数k→0の長波長近似では、横誘電率と縦誘電率が等しくなるの で、光で測定できる横電誘電率の中に、縦波のプラズモンを観察できる」
     この解釈は、私にもよくわかりません。k→0ということは、古典的な 電子の集団運動がおきることを意味していますが、
    上記「光物性の基礎」p82によると、
    横誘電率の式は
     ε_T=ε_∞ - (ω_p)^2/ω(ω-iγ)
    縦誘電率の式は
     ε_L=ε_∞,L + (ω_p)^2/{(ω_p)^2-ω^2+iγω}
    で与えられます。 
    k→0でω_p→0で無い限り、縦誘電率と横誘電率は等しくありません。

    2.ω>ω_pにおいては、横誘電率ε_Tの実数部は正となり、もはや、 電子の運動は電場に追従しなくなります。一方、縦誘電率は、ω=ω_p を境に正から負に変わりますが、このとき、電子の運動は電場の位相か ら遅れがでます。縦波の振動はω>ω_pでも存在するのです。「電磁波 とプラズモンが直接に結合しない」というのは誤解です。

    3.私には、ローレンツ力で説明しなければならないかどうかわかりま せん。
     複素誘電率εをもつ媒体のlossはε"/|ε|=Im(-1/ε)で与えられます。 ε=1-(ω_p)^2/ω(ω+iγ)をこの式に代入すると、
    loss=Im[-ω(ω+iγ)/(ω^2-ω_p^2+iγω)]
    =γ(ω_p)^2/{(ω^2-ω_p^2)^2+ω^2γ^2}
    これは、まさに、縦誘電率の虚数部と同じなのです。このことは、横波 モードのプラズモンが電界の横波成分に応答できなくなったとき、縦モ ードのプラズモンが励起され、これを通じてエネルギーの散逸を生じる と解釈できるのですが、この解釈で正しいのか自信をもってお答えでき ません。

    4.プラズモンの分散曲線ですが、プラズモンと電磁波が相互作用して, 光の分散関係の直線ω=ckから曲がって離れていく辺りでは、もはや、 フォトンともプラズモンとも言えない状態です。プラズモン・ポラリト ンの上の分枝は格子振動との類推で言えば縦光学モードのポラリトンで す。
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    Date: Thu, 28 Feb 2008 00:27:35 +0900
    Q2: 佐藤先生へ
    M社Oです(匿名でお願いします)。

    遅くなりましたが、早速のご指導ありがとうございました。

    不勉強なため恥ずかしながら工藤先生も「光物性の基礎」も知りませんでしたが、 さっそく読んでみますと、素晴らしい教科書でした。

    工藤先生の本を勉強しているところですが、 佐藤先生に追加で質問させて頂けないでしょうか。

    質問1.物質中を伝搬する電磁波の縦電界
    確かに誘電体中を伝搬する電磁波には分極のため(分極波のため)縦電界が生じ 半導体のように自由キャリアはその縦電界の影響を受けると思うのですが、 金属中を伝搬する電磁波の縦電界が、イメージできません。
    金属中も背景陽イオンの分極を考えればいいのでしょうか。

    P.S.
    「光物性の基礎」p.81や、以下のような記載がありました。
    たぶん、これがヒントかと思うのですが、理解できません。
    参考文献も勉強してみます。
    「試料の厚さを入射光の半波長より小さくし、p偏向を斜入射させると、
     表面に誘起された電荷によって縦電界を与えることができ、
     縦振動による吸収を測定することができる」
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    Date: Thu, 28 Feb 2008 01:10:33 +0900
    A2: O様、佐藤勝昭です。
     「光物性の基礎」をきちんと勉強されるのは大変よいことと存じます。
    金属であっても光の周波数まで行くと誘電率で扱うことが出来るという ことは、金属でも電子分極を考えてよいということになります。プラズ マを考えるということは正電荷の原子核と負電荷をもつ電子分布の重心 がずれるということを意味します。ωp以下の周波数では、電子が電場 に追従するのですから、誘電体と同じように考えてよいのではないでし ょうか?
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  • 1067. 光学薄膜の反射


    Date: Thu, 28 Feb 2008 02:56:17 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生:
    K**大学のA*と申します(匿名でお願いいたします)。
    先生のHPの、108.光学定数から薄膜の反射率を計算できますか?を 拝見させていただきました。光学薄膜は専門外で、疑問点および確認点が3つご ざいましてメールを送りました。どうかよろしくお願いいたします。

    空気、薄膜、基板それぞれの複素屈折率を元に、界面での「電界の反射率および透過率」 が求まると理解いたしました。さらに、反射の電界Erは

    Er =E0 r0 +E0 (1-r0 2 )r1 exp(i2φ){1-r1 r0 exp(i2φ)+(-r1 r0)2 exp (i4φ)+・・}
    =E0 r0 +E0 (1-r0 ^2 )r1 exp(i2φ)/{1+r1 r0 exp(i2φ)}
    =E_0 {r0 +r1 exp(i2φ)}/{1+r1 r0 exp(i2φ)}

    と求めてくださっております。

    1.光が界面で反射あるいは透過した場合の位相変化ですが、これは「電界の反 射率および透過率」が複素数であるので、位相の変化も考慮していると理解してよろしいでしょうか?

    2.入射電界をE0 と定義しておりますが、実際にはexp{iωt}が隠れているが、光強度の反射率Rを 求める際は絶対値を取るので(exp{iωt}の大きさは1)、このexp{iωt}は省略し てあると理解してよろしいでしょうか?

    3.電界Erが空気側に反射してくるわけですが、この反射のErと入射のE0 が干渉し合って、空気側で E0 +Erの電界が生じるのではないかと思います。したがって、空気側では入射光と比べて |(E0 +Er)/E0 |2 倍の強度の光が観測されるのではないかと思いますがいかがでしょうか?
    薄膜の膜厚や光の波長、複素屈折率(半導体材料は主にSi、SiO2なので不変)をうまく設計すれば 光増幅デバイスのようなもの(最大で4倍?)ができそうです。

    以上、私の身勝手な理解が含まれているかもしれませんが、その場合はご指摘いただけると うれしく思います。ちなみに先生が紹介されている藤原史郎編「光学薄膜」(共立出版1985初版)p.12-18は 読ませていただいております。よろしくお願いいたします。
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    Date: Thu, 28 Feb 2008 13:13:35 +0900
    A: A様、佐藤勝昭です。

    1.光が界面で反射あるいは透過した場合の位相変化ですが、これは「電界の反 射率および透過率」が複素数であるので、位相の変化も考慮していると理解して よろしいでしょうか?
    A: 当然、位相の変化が考慮されています。

    2.入射電界をE_0 と定義しておりますが、実際にはexp{iωt}が隠れているが、 光強度の反射率Rを求める際は絶対値を取るので(exp{iωt}の大きさは1)、こ のexp{iωt}は省略してあると理解してよろしいでしょうか?
    A: exp(-iωt)は共通ですので、省略しています。
    本来電界は実数ですから、電界を考える時は実数部をとることが暗黙の了解です。
    光強度を考えるときは、絶対値の2乗で考えるので1となります。

    3.電界Erが空気側に反射してくるわけですが、この反射のErと入射のE0 が干 渉し合って、空気側でE0 +Erの電界が生じるのではないかと思います。したがって、空気側では入射 光と比べて|(E0 +Er)/E0 |2 倍の強度の光が観測されるのではないかと思いますがいか がでしょうか?薄膜の膜厚や光の波長、複素屈折率(半導体材料は主にSi、SiO2なので不変)を うまく設計すれば光増幅デバイスのようなもの(最大で4倍?)ができそうです。
    A: 100%反射のミラーを考えましょう。その時、媒体側の電界は0でなければなりませんね。
    すると、反射界面では連続性から、空気側の電界もゼロでなければなりません。
    このため、入射光と反射光は180度位相がずれています。
    エネルギー保存則から増幅はできません。光学設計でできるのは、透過で失う分をとり戻すことができるだけです。
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    Date: Thu, 28 Feb 2008 21:11:13 +0900
    Q2: 佐藤勝昭先生:

    お忙しい中、ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
    大変恐縮ですが、3番目の質問について再度尋ねたいと思います。

    私の増幅という言葉の使い方が悪かったようで申し訳ございません。確かに100%の反射率で、 反射波の振幅は入射波と同じ振幅になり、入力と出力の比は1で、増幅率は1を超えません。

    しかし、反射波と入射波が空気側で重なり合ってできる定常波の振幅は入射波の2倍になり、 定常波の強度は入射波の4倍になるのではないかと思います。

    以下が再質問です:
    電界反射率r(大きさは1とは限らない)を用いまして、光強度の反射率Rは

     R=|r|2=|Er/E0|2<1

    と表され、一方、定常波E0+Erの光強度は入射波E0の光強度とくらべて

     |(E0+Er)/E0|2<4

    倍で観測されるのではないかと思っていますがこの考えは正しいでしょうか?

    実は私は今、薄膜に光が垂直入射した際に空気側でできる定常波の強度を 求めたいと思っているわけでございます。何度も申し訳ございませんが よろしくお願いいたします。
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    Date: Fri, 29 Feb 2008 00:25:27 +0900
    A2: A様、佐藤勝昭です。
     干渉を考えておられるのですね。
    入射光がE0expi(k0r-ωt)で垂直入射したときの振幅反射率がr=|r|expiδであったとしましょう。
    反射光はE_r=|r|E0expi(-k0r-ωt+δ)
    両者を合成した電界はE=E0exp(-iωt){expi(k0r)+|r|expi(δ-k0r)}
    強度は
    I=E02{exp-i(k0r)+|r|exp-i(δ-k0r)}{expi(k0r)+|r|expi(δ-k0r)}
    =E02{2+2|r|cos(2k0r-δ)}
    となり、I/E02=2{1+|r|cos(2k0r-δ)}
    となりますから、
    位置rとともに変動し、最大は2(1+|r|), 最小は2(1-|r|)となります.
    |r|=1のときは、干渉縞のピークで4倍、極小で0となります。
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    Date: Fri, 29 Feb 2008 15:29:35 +0900
    AA: 佐藤勝昭先生:
    このたびは何度もご丁寧な説明をありがとうございました。式の導出を確認いたしました。
    教えていただいたI/E02を導き出すプロセスを踏まえて今考えている別の光学薄膜構造(この質問では空気/薄膜/基板でした)に応用したいと思います。
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  • 1068. 単元素金属の結晶構造の起源


    Date: Wed, 05 Mar 2008 22:43:13 +0900
    Q: 佐藤勝昭 先生
    私は T*大学 材料系 M1のK*と申します
    物性なんでもQ&AのWebサイトを拝見させて頂いています.
    単元素金属の結晶構造の起源について質問させて下さい.
    (Web上に掲載する際は匿名でお願いします)

    単元素金属の結晶構造を決定する要因は何でしょうか?
    特に,細密充填構造であるfccとhcpの違いに興味があります.

    以下に,現時点で自分が考えていることを述べます.

     剛体球原子で考えたhcpの軸比c/aは√(8/3)≒1.633だが,
     常温常圧下でhcpである単元素金属のc/aは,
     いずれも1.633ではなく原子形状を真球と見なせない.
     (Zn, Cdでは1.633より大きく,それ以外では1.633より小さい)

     一方,fcc金属をhcpと比較するために,
     最隣接原子間距離をa,細密面間隔をc/2と考えると
     全てのfcc金属はc/a=1.633で,原子形状は真球と見なせる.

     このようなfccとhcpとの違いは,
     電子軌道の形状が異なることに起因している.

    と,ここまでは考えたのですが, 金属の電子軌道と結晶に関する文献を探し出せず, この先どう考えたらいいのかが分からない状態です.

    長々と書いてしまいましたが,ご回答いただけると幸いです.
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    Date: Thu, 06 Mar 2008 15:18:39 +0900
    A: K君、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。私は、金属の専門家ではないので、あなた の問題提起は、むしろ、貴学の先生方にしていただいた方がよいのでは ないかと思うのですが、ここでは私なりの考えを述べさせていただきます。
     単元素金属においてどの結晶構造が安定化ということは以前からの課題 のようです。そもそも、金属の結晶構造は、剛体球の充填だけで説明でき るものではありません。あなたが指摘しておられるように、hcpになると、球 同士が重なり合ってしまいます。これをあなたは、電子軌道で説明しようと されているのですが、金属の結合は、原子の軌道を持ってきても、説明で きないのです。なぜなら、金属の結合は、原子から結晶に供給されて結晶 全体に広がるバンド電子が担っており、教科書にあるように、金属の結晶 においては、「電子の海に原子核が浮かんでいる」状態であると見なせる からです。従って、原子核がどのように配列すればエネルギーが低くなる かは、バンド電子のエネルギー状態が鍵を握っているのです。
     このような場合、第1原理計算によっていくつかの結晶構造について、 トータルエネルギーを計算し、その中で、最もエネルギーの低い構造が実現 すると考えるのです。現在ではコンピュータの発達によって、いろいろな原子 について、第1原理計算が行われ、それにもとづいて物性値が議論できる 用になっています。

     しかしながら、話はそれほど単純ではなく、有名なFeのfccとbccの問題 ですら、通常のバンド計算では、どちらが安定か完全には予測できず、 「強磁性をもつことがbccを安定化する原因」だろうと推測されています。
    (M. Ekman, B. Sadigh, K. Einarsdotter, P. Blaha: Phys. Rev. B 58, 5296 - 5304 (1998); "Ab initio study of the martensitic bcc-hcp transformation in iron ")

    地球の内殻においては高温高圧の環境となっており、この条件下での 第1原理計算からは、Feはhcpが安定であろうとされています。
    (L. Voc?adlo, J. Brodholt, D. Alfe`a, M.J. Gillan, G.D. Price: Phys. Earth & Planetary Interiors 117, 123-137 (2000) "Ab initio free energy calculations on the polymorphs of iron at core conditions")

     このような計算では、全エネルギーを求めるので、個々の原子の位置で バンドの電子軌道がどうなるかまでは、論文に書いてありません。あなたが、 仮説を立てたのなら、それを実証するために、自分で計算して、波動関数 の形状、オーバラップと結晶構造の関係をいくつかの物質について系統的 に調べるしかないでしょう。
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    Date: Tue, 11 Mar 2008 21:05:23 +0900
    Q2: 佐藤先生, Kです。
    早速ご返答いただきありがとうございます.
    返事が遅れてしまい申し訳ございません.
    金属の電子配置・電子軌道で結晶構造を整理できれば便利だと思い調べていましたが, やはり簡単な話ではないようですね.
    私は実験系で計算が不得意なので,バンド計算を基に議論するのは厳しそうです. 一応,自分なりに調べ続けたところ,
     金属学のための原子論 / W.Hume-Rothery著 吉岡正三訳, コロナ社, 1968年 という文献を見つけ,遷移金属の章に
    「混成軌道の形状と結晶構造に相関が有り,d電子の比率が重要である」 といった内容が書かれていました.
    (恥ずかしながら電子論に明るくないため,あまりフォローできていません)
    ご紹介いただいた論文とともに,もう少し考えてみます.
    また,何かありましたらよろしくお願いします.
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    Date: Wed, 12 Mar 2008 00:50:31 +0900
    A2: K様、佐藤勝昭です。
     ヒューム・ロザリー則で有名な先生の本ですね。
    ヒューム・ロザリーは金属間化合物に関する法則(価電子数について) や合金の化学的親和力効果を明らかにした学者です。
    私は手元に持っていないので、「混成軌道の形状と結晶構造に相関が有 り,d電子の比率が重要である」ということが書かれた前後のページを コピーしてご送付願えませんでしょうか。
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    Date: Wed, 12 Mar 2008 10:16:13 +0900
    Q3: 佐藤先生、Kです。
    「金属学のための原子論」の混成軌道と結晶構造に関する箇所を引用してお送りします.
    該当ページ以外にも,金属学的に基本的なことが書かれているので, 現在勉強している最中です.以上,よろしくお願いします.
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    Date: Sun, 16 Mar 2008 23:09:29 +0900
    A3: K君、佐藤勝昭です。
     「金属学のための原子論」該当ページをお送りいただき有り難うござ いました。この本が書かれた1950年代には、電子状態を第1原理から計 算するなどということはとても不可能だったので、「経験則」によって 定性的に理解するしかありませんでした。現実の金属では、各原子から の電子軌道が混じり合って、純粋のs, p, dの軌道ではなくなっている のですが、その対称性は保たれていることが多いので、そこに注目して、 軌道の混成の度合いと結晶構造の関係を取り出して説明しているのです。  s電子の波動関数は方向性のない偶関数です。p電子の波動関数は、 軸方向に伸びた奇関数です。従って、原子の中心付近には密度が低く、 くびれています。s電子とp電子の混成で作られる電子軌道における方向 性の強いp軌道の混成の割合が結晶構造と関係することは、同じ炭素で もsp2ではグラファイト構造をとり、sp3ではダイアモンド構造になるこ とに現れています。
     遷移元素におけるd電子の波動関数は、2箇所にくびれを持つ方向性 の強い偶関数です。従ってこの電子がどれくらい結合に寄与するかで、 結晶の構造が決まるというのが、p441での説明です。3d電子のエネルギ ー準位は周期表を右に行くに従って、フェルミ面からだんだん深くなっ ていきます。このために、d電子の混成の程度は、IIIA族のScではかな り大きく、その結果異方性の強いhcp構造をとります。一方、系列を右 に進んでCuにいくとd準位はフェルミ準位から2eVも深い位置に来て、混 成が少なくなってfccになります。このように遷移金属の範囲ではこの ストーリーが成り立ちますが、隣のIIB族のZnとなると、d電子殻は満ち て閉殻(3d^10)となりd電子は結合に寄与しなくなりますが、結晶構造は hcpとなります。
     このようなアプローチは現象論として直感的にわかりやすいので、結 晶化学としてよく使われていますが、あくまで定性的な説明やトレンド がわかるという程度で、具体的な金属においてどちらの結晶構造が安定 に存在するかは説明できません。このことは、p442の6章のちょっと上 の行に「dバンドの形の計算の大部分はその基礎的仮定が正しくなかっ たであろうことが示されている。」と書いてあります。現在では第1原 理計算が進み、多くの物性が説明されるようになってきました。しかし、 まだ完全には出来ていないのです。
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    Date: Mon, 17 Mar 2008 18:36:55 +0900
    AA: 佐藤先生, Kです
    分かりやすい説明をして下さりありがとうございます.
    教科書の理解がかなり深まりました.
    自分の目的は,「結晶構造の起源の定性的な説明」なので,
    遷移金属に関しては,この教科書の内容と佐藤先生のご説明でひとまずは事足りそうです.
    遷移金属以外に関しては,もう少し教科書を読み進めた上で考えたいと思います.

    また,何かありましたらよろしくお願いします.
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  • 1069. ナトリウムターシャルプトキサイドの物性


    Date: Tue, 18 Mar 2008 16:46:06 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    S*社安全技術室のH**です。
    ホームページを見てわらにもすがる思いでメールを差し上げます。
    管理している危険物倉庫の消防への届出の中に
    ナトリウムターシャルプトキサイド (2類)指定数量1000Kgの記載があります。
    化学便覧、MSDS、インターネットでの検索でも見つけることが出来ず困っています。
    物性またはCAS 登録番号を確認したいのでよろしくお願いします。
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    Date: Tue, 18 Mar 2008 18:03:19 +0900
    A: H様、佐藤勝昭です。
     私は、化学屋ではないので、正確なことはわかりませんが、
    ナトリウムtプトキシドのことと思います。これは金属アルコキシドの仲間で強塩基性です。
    カリウムtプトキシドは、よく使われているようですが、金属種がナトリウムのは市販品がないのではないかと存じます。
    金属アルコキシドを扱っている高純度化学に問い合わせてはいかがでしょうか。
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 18 Mar 2008 18:11:32 +0900
    AA: 佐藤勝昭様 
    早速ありがとうございました。
    Na・t-BuOではないかと検索中です。
    高純度化学さんに問い合わせて見ます。
    本当にありがとうございました。
    ----------------------------------------------------------------------------------
  • 1070. 高温におけるステンレスの光学的性質


    Q: Date: Fri, 14 Mar 2008 09:31:59 +0900
    Dear Prof. Sato,
    Q: My name is Bisson. I work at A** company.
    I work with laser cutting technology.
    I am sorry to disturb you in your work.
    I got your reference from Mr. S*, whom you probably know well I think.
    You gave him the optical constants of stainless steel at room temperature.
    Of course, we are interested in the optical data of stainless steel at 1 and 10 microns and at the melting point in order to calculate absorption. I found a paper relevant for this problem, in
    attachment herewith.
    But it is for iron. What can we expect for stainless steel?
    Also, is the electrical conductivity of stainless steel at the melting point both in soild and liquid phases available?
    If so, do you think we can use the Hagen-Rubens law to calculate absortpion?
    Thank you in advance,
    Best regards,Bisson
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 17 Mar 2008 00:44:45 +0900
    Dear B
    Thank you for your e-mail.
    The paper you sent me is concerning about the infrared emissivity of transition metals.
    You seem want to know infrared absorption of stailess steel.
    Generally speaking, "emissivity" is not directly related to "absorption". Although the emissivity is a measure of the absorptivity of material, it should be noted that the value depends on the surface conditions and geometry of materials.

    Emissivity of stainless steel depends on material conditions:
    emissivity is 0.85 for weathered SS, 0.075 for polished SS, and 0.54 - 0.63 for type 301 SS.
    (http://www.engineeringtoolbox.com/emissivity-coefficients-d_447.html)
    Therefore, it is evident that you cannot use the emissivity values instead of absorptivity.

    Spectral dependence of absorption in SS may be nearly the same as those of Fe. The Hagen-Rubens law may be applied to any metals including liquid states.
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 19 Mar 2008 08:43:52 +0900
    Q2: Dear Professor Sato,
    Thank you very much for your kind reply and for introducing this interesting web site.
    I was asking about the possible jump of absorption at the melting point of stainless steel.
    Such phenomenon was found for pure iron as you can see in the attached file.
    Best regards, J-F.Bisson
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    Date: Thu, 20 Mar 2008 09:29:38 +0900
    A2: Dear J-F
    I understand your question. I am not an expert in the emissivity of materials. Whether there is a clear jump in the emissivity, so in turn the absorption, seems to be a delicate problem, since there are so many uncertainties of determining factors for the emissivity. I cannot judge the ratio of emissivities of liquid and solid state in Fe, 1.03, is within the experimental error or not.
    Concerning about the emittance of stainless steel in the vicinity of the melting point (1700K) you can refer to the following article.
    ==================================
    A.Cezairliyan, A. P. Miiller: Thermophysical measurements on low carbon 304 stainless steel above 1400 K by a transient (subsecond) technique;
    International Journal of Thermophysics, Volume 1, Issue 1, pp.83 -95 (1980)
    Abstract Simultaneous measurements, by a subsecond duration transient technique, to determine the specific heat capacity, c_ p , the electrical resistivity,rho, and the hemispherical total emittance in the temperature range 1400-1700 K, and the melting point and the radiance temperature at the melting point, of AISI type 304L stainless steel are described. The results are expressed by the relations:
    c_p=1127-7.265x10^-1+2.884x10^-4 T^2
    rho=75.59+4.695x10^-2T-9.592x10^-6 T^2
    where c_p is in J ・ kg^-1 ・ K^-1, rho is in Mohm・ cm, and T is in K. The value of the hemispherical total emittance is 0.37 in the range 1700-1900 K. The melting point and the radiance temperature (at 653 nm) at the melting point are 1707 and 1590 K, respectively, yielding a value of 0.385 for the normal spectral emittance at the melting point. Estimated inaccuracies of the measured properties are: 3% for the specific heat capacity, 2% for electrical resistivity, 5% for hemispherical total emittance, and 8 K for melting point and radiance temperature at the melting point.
    Best regards, Katsuaki
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    Date: Wed, 19 Mar 2008 22:02:44 -0400
    Dear Professor Sato,
    AA: Thank you very much for your kind reply. I will consult the paper you suggest and, if I find something interesting, will let you know.
    Best regards,
    J-F. Bisson
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 16 Apr 2008 10:35:36 +0900
    Dear Professor Sato,

    Comment: Following our correspondence about optical properties of metals, especially stainless steel, I would like to give you some feedback. Following your mail and article from Cezairliyan et al. you introduced us, I studied these papers. Then I found another paper from Makino in attachment herewith. When comparing the normal emissivity measurement of Makino with the resistivity given by the fitting formula by Cezairlyan, we find that the Hagen-Rubens law applies well for 10 microns wavlength but not so well at 1 micron wavelength. However, I am not sure whether it is correct to compare AISI 304L with JIS SUS 304, which are two different standards, how do you think?

    Anyway, a more complete modelling of the optical properties of metals is proposed by Makino, which I think is reasonable. From the latter`s data and model, refractive index values are: n= 12.3 -12.9 i and n=5.1-6.1 i for 10.6 micron and 1.06 microns wavelengths respectively.

    Now, when using the Fresnel formula to calculate the absorption as a function of wavelength, the conclusions are quite different from that obtained with complex refractive index at room temperature. Indeed, if I did not make a mistake, at large incident angle, the absorption at 10 microns becomes larger than at 1 micron!

    Best regards,

    Jean-Francois Bisson
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    Date: Fri, 18 Apr 2008 00:00:54 +0900
    Dear Jean-Francois
    Thank you for your e-mail with an attached file of Makino's paper. As for your question whether we can compare AISI 304L with JIS SUS 304, I think the difference may not be serious as far as the optical properties are concerned.
    I read through the Makino's paper. Since the paper makes so many assumptions to the parameters, I feel some umbiguity in his conclusion.
    I recommend you to carry out experiment yourself to find whether Hagen-Rubens rule is the case or not.
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  • 1071. 複合材料の比熱


    Date: Tue, 8 Apr 2008 11:35:55 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    初めてメールさせて頂きます。N*センターのU*と申します。
    現在,発泡PVC(ポリ塩化ビニル)とFRP素材の比熱データを探しているのですが見つからず,難儀しております。
    そもそもPVCやFRPといった素材は材料の割合によって変わる物でデータを得るには製品製作会社に問い合わせる他ないような状況なのですが,当の製作会社に問い合わせた所,データを持ち合わせていないとの回答を得ました。
    そこで,夫々の密度,比熱のデータを用いて算出することは可能でしょうか?

    (1) 発泡PVC(ポリ塩化ビニル)
    材料1:PVC
    密度 1160kg/m^3 比熱 0.3Kcal/Kg℃
    材料2:空気
    密度 1293kg/m^3 比熱 0.241Kcal/Kg℃

    (2) FRP(繊維強化プラスチック)
    材料1:樹脂
    密度 1150kg/m^3 比熱 0.229Kcal/Kg℃
    材料2:ガラス繊維
    密度 2580kg/m^3 比熱 0.201Kcal/Kg℃

    (1)の発泡PVCは製品の密度は200kg/m^3で材料の割合は判りません。ですので割合は2つの材料の密度から 適当に決定するしかないと考えています。
    (2)のFRPは樹脂とガラス繊維の割合を50%:50%ととして考えています。
    全くの専門外で的外れな考え方をしているかも知れませんが,ご教示宜しくお願いいたします。
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    Date: Thu, 10 Apr 2008 18:13:36 +0900 (JST)
    A: U様、佐藤勝昭です。
     混合物質が2種類の物質1と物質2から構成されているとします。
    全体の体積がV、物質1の体積比率がfとします。物質2の比率は1-fとなります。
    物質1、2の密度をρ1,ρ2とします。また比熱をc1,c2とします。
    物質1の熱容量Q1はQ1=c1ρ1fVです。
    一方、物質2の熱容量Q2はQ2=c2ρ2(1-f)Vです。
    混合物質の熱容量Qは
    Q=Q1+Q2={c1ρ1f+c2ρ2(1-f)}V
    混合物質の質量MはM={ρ1f+ρ2(1-f)}V
    従って、混合物質の比熱Cは
     C=Q/M={c1ρ1f+c2ρ2(1-f)}/{ρ1f+ρ2(1-f)}
    となります。
    (1) 発泡PVC(ポリ塩化ビニル)
     空気の密度はあなたが書いておられる数値の1/1000です。
    ρ2=1.293kg/m^3
    従って、発泡PVCにおいてはρ2=0として差し支えありません。
     C=c1となります。発泡PVCの比熱はPVC自身の比熱と同じです。

    (2) FRP(繊維強化プラスチック)
    f=0.5ですから、
     C={c1ρ1+c2ρ2}/{ρ1+ρ2}
    =(0.229x1150+0.201x2580)/(1150+2580)
    あとは自分でやってください。
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    Date: Fri, 11 Apr 2008 10:14:44 +0900
    Q2: 佐藤勝昭様
    丁寧な回答ありがとうございます。
    複合物質の熱特性について,もう一つ質問させて頂いても宜しいでしょうか。
    先に比熱の計算方法で質問させて頂いたものと同じ複合物質の熱伝導率の推算方法についてです。

    (1) 発泡PVC(ポリ塩化ビニル)
    材料1:PVC
    密度 1160kg/m^3 比熱 0.3Kcal/Kg℃
    熱伝導率 0.126W/mK
    材料2:空気
    密度 1.293kg/m^3 比熱 0.241Kcal/Kg℃
    熱伝導率 0.0241W/mK

    (2) FRP(繊維強化プラスチック)
    材料1:樹脂
    密度 1150kg/m^3 比熱 0.229Kcal/Kg℃
    熱伝導率 0.267W/mK
    材料2:ガラス繊維
    密度 2580kg/m^3 比熱 0.201Kcal/Kg℃
    熱伝導率 1.03W/mK

    (1)の発泡PVCは空気の熱伝導率がPVCの熱伝導率に比べると非常に小さいので,比熱の時と同様にPVC自体の熱伝導率と同じとして良いのではないかと考えています。
    (2)のFRPは前回質問させて頂いた時と同様に樹脂とガラス繊維の割合を50%:50%ととして考えています。

    比熱・熱伝導率については,現在測定を依頼しておりましてデータ待ちの状況です。しかし,計測データが出てくるのが2週間近く先になるということで当面の措置として推算値を使用して仕事を進めていこうと考えている状況です。

    何度も申し訳ありませんが何卒宜しくお願い致します。
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    Date: Fri, 11 Apr 2008 16:48:05 +0900 (JST)
    A2: U様、佐藤勝昭です。
     熱伝導率は、流れを考えているので、比熱ほど簡単ではありません。
    界面での熱抵抗にも配慮が必要です。
    複合材料の熱伝導率の理論は、下記論文を取り寄せて勉強してください。

    F C Chen et al: A theory of the thermal conductivity of composite materials;
    J. Phys. D: Appl. Phys. 10 (1977) 571-586

    長谷 隆: 複合材料の熱伝導に関する統計理論;
    日本機械学會論文集. B編, Vol.45, No.395 (1979.07.30)pp. 1003-1010
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    Date: Mon, 14 Apr 2008 09:08:40 +0900
    佐藤勝昭様
    ご回答ありがとうございます。
    自分なりに調べている所ですが,中々難しそうです。
    何処までできるか判りませんが,教えて頂いた論文を参考に頑張ってみようと思います。
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  • 1072. 酸化物焼結体の酸素の不定比性(酸素欠損)の定量


    Date: Wed, 16 Apr 2008 14:15:22 +0900
    Q: 佐藤先生
    初めてmailさせていただきます。
    **の**と申します。(匿名「A社のB」でお願いします。)

    遷移金属、特にニッケルや亜鉛などの酸化物焼結体の酸素の不定比性(酸素欠損)の 定量に難儀しております。

    Ti、やCe、Mnなどのように低次の酸化物が存在する場合は、分析できるようですが、2価の酸化物についての酸素の欠損量の 定量方法は文献等を含めて情報を集めてみましたが、なかなか難しいようでした。

    実際、ESCA、EPMA、NMR等を試してみましたが、明確には測定できませんでした。

    酸素欠損の定量について、先生にご知見等がございましたら、お願いできないでしょうか。
    よろしくお願い致します。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 16 Apr 2008 18:04:09 +0900 (JST)
    A: B様、佐藤勝昭です。
     高温超伝導関係者は酸素不定比を日常的に調べているようです。
    旧佐藤研究室の助教で、現長岡技術科学大学の石橋隆幸准教授(専門:超伝導)に聞きましたところ、次 のような回答がありました。
    ---------------------
    酸素の定量は、ヨード滴定法で行うことができます。
    Mn, Co, Feなども分析できるようです。
    一般に、分量が必要なので、薄膜では難しいようですが。
     また、隣の研究室でこの関係の仕事をしている先生に伺いましたところ、 組成比がわかっていれば、ヨード滴定法で酸素量がわかるそうです。
    酸素欠損についても、実際に金属の価数が変化していれば、測定で きるのでなないでしょうかとのことです。
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    Date: Wed, 16 Apr 2008 19:46:51 +0900
    Q2: 佐藤先生
    早速お返事いただきまして、ありがとうございました。
    ヨード滴定法でCuやCo、Feなどは分析できるようですが、Ni、Znについては、分析例が見当たりませんでした。
    2価の酸化物の場合、Cuのように価数の異なるCuが知られているものは分析が可能で、 NiやZnのように価数の異なるものについてあまり知られていないものは 分析が難しいのでしょうか。
    それとも、少ない量の酸素数の変化が価数を変えるほどでない場合は 定量が難しいのでしょうか。
    また、そのような場合の定量方法はありませんでしょうか。
    ご知見等ございましたら、よろしくお願い申し上げます。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 20 Apr 2008 23:31:16 +0900 A2: B様、佐藤勝昭です。  このところ超多忙で、お返事が遅くなりました。すみません。 Google scholarで iodometry nickelと検索すると、397編の論文が引っかかってきます。
    iodometry zincでは381編かかります。丹念に探せば求めるものがあるのでは?
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 21 Apr 2008 08:30:33 +0900
    AA: 佐藤先生
    ご多忙のところ、ありがとうございます。
    当方でも再検索してみます。
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    Date: Sat, 26 Apr 2008 09:51:40 +0900
    A3: B様、佐藤勝昭です。
     もう一度、長岡技科大に聞いてみました。
    「この方が言われるように、NiやZnの場合は価数が安定 なので、酸素欠損の量を滴定で調べるのは難しいようです。
    また質問が漠然としていますので、答えがそのまま当てはまるかど うかわかりませんが、酸化物超伝導体の場合では、酸素欠損や過剰な酸 素によりキャリアが誘起されるため、電気抵抗率や、ホール測定で見積 もります。酸素欠損が何かほかの物理現象に影響していることが明らか な場合にはその物理現象を測定して確認できるのですが、ありませんで しょうか?」ということでした。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Apr 2008 10:24:48 +0900
    AA: 佐藤先生
    ありがとうございました。
    「酸素欠損が他の物理現象に影響していないかどうか」という観点からも 見直してみます。
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  • 1073. Fe-Al合金の結晶構造


    Date: Tue, 22 Apr 2008 17:22:02 +0900
    Q: 熊本大学の邱然鋒(Qiu Ranfeng)です。FeAl4, Fe2Al9, FeAl2 などのAl-Fe系金属化合 物の結晶系及び格子定数を知りたいですが,教えてもらいませんか。よろしくお願いいたします。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 22 Apr 2008 22:13:18 +0900
    A: 邱様、佐藤勝昭です。
     Fe-Al系合金の相図は図の通りです。
    FeAl4は存在しません。
    結晶構造ですが、
    FeAl bcc (秩序相)
    Fe3Al DO3 (無秩序相)
    Fe2Al3 cubic (complex)
    FeAl2 triclinic
    Fe2Al5 orthorhombic
    FeAl3 monoclinic
    となっています。
    格子定数は文献を調べなければなりません。
    添付の
    文書の文献を調べてください。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 23 Apr 2008 11:17:15 +0900 AA: 佐藤先生:  熊本大学の邱です。ほんとうに有難う御座いました。 ----------------------------------------------------------------------------------
  • 1074. パイプコイルの加振試験


    Date: Wed, 16 Apr 2008 15:49:26 +0900 Q1: 佐藤様
    いつも本HPを利用させて頂いております。
    N*社S*と申します。Webでは、社名、氏名とも匿名でお願いします。
    物質に関する質問ではありませんが、
    のような試験を実施したいと考えていますが、よい方法が見つかりません。よい案があればご教示お願い致します。
    添付ファイルに示す部品を3Hzで振って評価をします。
    くれぐれも匿名でお願いします。宜しくお願致します。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 16 Apr 2008 17:50:38 +0900 (JST)
    A1: S様、佐藤勝昭です。
     フランジとバネ状のパイプにC重油を入れて3Hzで振動させて、何を試験したいので すか。説明不足なのでお答えのしようがありません。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 16 Apr 2008 18:11:18 +0900
    Q2: 佐藤様
    お世話になります。説明不足で申し訳ありませんでした。
    本部品は、エンジンの燃料系配管の一部に設置されます。配管が振動します。
    振動を吸収するようにコイル状のパイプ(SUS)になっています。
    試験条件は、運転時のデータから決定しています。
    まだ情報が不足でしたら連絡下さい。分かり範囲で回答致します。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 16 Apr 2008 21:00:08 +0900
    A2: S様、佐藤勝昭です。
     まだ、何を試験したいのかわかりません。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 17 Apr 2008 07:52:50 +0900
    Q3: 佐藤様
    情報が不足しており申し訳ありません。フランジとパイプは溶接で締結しております。
    溶接部の耐久性を確認したく本試験を計画しました。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 20 Apr 2008 23:36:43 +0900
    A3: S様、佐藤勝昭です。
     溶接部の耐久性なのですね。
    バネ状のものがパイプであるという点をのぞけば、普通のバネを板に溶 接したものの振動試験と同じではないのでしょうか。
     バネの振動試験では、御社の技術が定評あると思うのですが・・。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 21 Apr 2008 11:10:13 +0900
    Q4: 佐藤様
    お世話になります。確かにコイル状のパイプを加振することはできるのですが、パイプ内部に圧を立て、且つ、油温を150度にするところで行き詰っています。
    社内的にも事例がなく悩んでいます。上記のことを考慮していただきご教示頂ければ幸いです。
    宜しくお願い致します。
    ---------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 26 Apr 2008 09:47:43 +0900
    A4: S様、佐藤勝昭です。
     このところ超多忙でしたので、お返事が遅くなってごめんなさい。
    あまり一般性のないご質問で、職場での問題のコンサルタントを求めて いるものなので、「なんでもQ&A」の趣旨には沿っていないのですが、
    お困りのようなので、試験方法についての提案を添付図に示します。
     オイルを何らかの方法で加圧し加振機の固定側から供給します。
     振動側のフランジはメクラ蓋をしておきます。
     パイプの加熱はバンドヒータで行います。
     温度センサを使って温度制御を行います。
    この提案で何か事故が起きたとしても責任は負いかねますので、お含み置き下さい。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Apr 2008 08:21:15 +0900
    Q5: 佐藤様
    お世話になります。
    回答ありがとうございました。
    オイルの温度を上げると体積膨張で内圧が上昇してしまいます。
    内圧を一定に保持するのに苦労しそうです。(圧力鍋?)
    都合のよい装置があればご紹介いただけないでしょうか。
    再三のお願いで申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Apr 2008 11:14:32 +0900
    A6: S様、佐藤勝昭です。
     封じきりにするとたしかに内圧が上がってしまいますから、外部に圧 力調整装置を付けているわけです。流体の圧力はどこでも一定ですから 外部の圧力調整装置において、圧が一定になるように制御すればようで しょう。具体的には気体を使ってオイルに加圧して、圧が一定になるよ う気体側の圧力調整弁を制御すればよいのです。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Apr 2008 13:31:26 +0900
    AA: 佐藤様
    お世話になります。
    お休みのところ申し訳ありませんでした。
    アドバイスを基に試験装置の設計に入りたいと思います。
    本当にありがとうございました。
    今後とも宜しくお願い致します。
    --------------------------------------------------------------------------------
  • 1075. 分光分析における微分スペクトルについて


    Date: Mon, 21 Apr 2008 15:25:43 +0900
    Q: 佐藤先生
    HPを拝見して、メールをさせていただきます。
    お時間とりまして申し訳ございません。
    K大学でシニアエンジニア(研究員)をしておりますS*といいます。
    公開のときは匿名をお願いいたします。
    FT-IR で蛋白質の二次構造の変化について調べています。
    アミドTバンドをピーク分離してαへリックス、βシート、ランダムコイルの ピークを明らかにしたいのですが、分からないことが数点あります。

    1.二次微分によって各ピーク位置が明らかとなるといわれていますがなぜなのでしょうか。

    2.二次微分はスペクトルをスムージングしなければ行なってはいけないのでしょうか。

      積算50、分解1.0cmなのでずいぶんがたがたのスペクトルです。測定はBKG測定の直後で行なうため水蒸気の影響は最小限に抑えていると思います。
    3.二次微分の後、各合成スペクトルを元のスペクトルと共に表示してあるグラフを 作りたいのですが、二次微分の後、どのような処理をしているのでしょうか。

    当方物理、数学を大学で学んでいません(専門は生物学です)理解が足りないかと思います。
    物理、数学を学んでいなくても分かるような文献や、成書がありましたらご紹介いただければ幸いです。胴かよろしくお願い致します。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 25 Apr 2008 01:04:57 +0900
    A: S様、佐藤勝昭です。
     ここんところ超多忙のためお返事が遅くなってごめんなさい。
    スペクトル線の解析に2次微分を使うのお話ですが、スペクトル線がブ ロードでなだらかなときとか、いくつかのスペクトル線が重なっている ようなときに使われる手段です。
    1.ローレンツ型吸収スペクトルを仮定し、1回微分した曲線はω=ω0 で0を横切ります。単一ピークであれば、微分して0を横切ればそこが ピークですが、ほかのピークと重なっているときには、必ずしもゼロの 位置とは限りません。こんなとき、もう一度微分すると、吸収係数の1 次微分が最も変化している位置にピーク位置が現れるので、ピーク位置 を見つけやすいのです。
    2.一般に、わずかな変化でも微分しますと大きなピークになってしま います。ノイズがのっていると、それも微分して、肝心の情報が見えな くなるので、スムージングしたほうがよいのです。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 25 Apr 2008 10:47:23 +0900
    AA: 佐藤先生
    お忙しいいなかをご丁寧にご解答くださいまして、ありがとうございました。
    ローレンツ型吸収スペクトルとはなど、分からないことがあります。勉強を進めて、理解できるようがんばります。
    また理解できないことがありましたら質問させていただくかもしれません。よろしくお願い致します。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 25 Apr 2008 23:59:57 +0900
    A2:S様、佐藤勝昭です。
     ローレンツ型の振動子モデルでは、光子エネルギーをω、スペクトル線の中心エネルギーω0、スペクトル 線の半値幅γとすると吸収係数αは、近似的に次の式で表されます。
    α=A*(ωγ)^2 /{(ω^2-ω0^2)^2+(ωγ)^2}
    この式をEXCELで計算したものが添付のスペクトルの青の記号です。(図をクリックすると拡大します。
    ω0=2, γ=0.5, A=1として計算してあります。
    この曲線の1次微分のスペクトルを数値的に求めたものを赤の記号で、 2次微分のスペクトルを求めたものを緑の記号で示します。
    2次微分を取ったものは、もとのスペクトルよりピーク位置をはっきり 示していることがわかるでしょう。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 28 Apr 2008 13:52:44 +0900
    AA: 佐藤先生
    この度は何度もご教授いただきありがとうございました。
    K大学理工学部 Sです。
    グラフの形はよく分かりました。データの2次微分から 分析をして、間違いの無い結論を出したいと思います。
    深く御礼申し上げます。
    -----------------------------------------------------------------------------------
  • 1076. 空間電荷制限電流について


    Date: Mon, 21 Apr 2008 15:29:56 +0900
    Q: 東京農工大名誉教授  佐藤先生
    こんにちは、S*社のH*と申します。 半導体プロセスが仕事 のエンジニアです。 佐藤先生のこのHPは、いつも興味深く 読ませて頂いております。 尚、公開されるときは、匿名でお 願いしたいと思います。

    本HPの佐藤先生への質問
    「NO. 826. 空間電荷制限電流の 温度依存性(半導体中の) 」などを参考に空間電荷制限電流について調べております。

    絶縁膜に大量の電荷が注入される場合の電流値が、電圧の 2乗に比例し膜厚の3乗に反比例することなどは数式を追いか けて理解することが出来たのですが、この現象の意味する物 理的な意味が飲み込めないでおります。
    「オーミックな電流より流れるのになぜ制限電流と呼ぶんだ?」 などどくだらないところに気を取られて現象の理解が出来てお りません。

    恐れ入りますが、この現象を解説して頂けないでしょうか。
    お手数お掛けしますが、どうか宜しくお願いします。
    失礼します。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 21 Apr 2008 18:21:14 +0900 (JST)
    A: H様、佐藤勝昭です。
     J0がV0の2乗で立ち上がる(J0=(9/8)εμ(V02/d3))ということは、微分コンダクタンス (g=dJ0/dV0)はV0=0のときゼロということを表し、空間電荷によって電流は制限されているのです。
    しかし、大きな電圧を印加するとオーミックより流れるようになるのです。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 21 Apr 2008 19:02:47 +0900
    AA: 東京農工大名誉教授  佐藤先生
    こんにちは、S社のHです。 早速ご回答いただきましてどうも有り難うございました。
     
    微分コンダクタンスのことまでは考えてみませんでした。
    そうすると、電圧を印加していくときの微係数がオーミック電流(V0=0のとき微係数≠0) より小さいことを見て「電流の流れ出しが制限されている」ということに着眼したネーミング だったのですか。 私は、大きな電流が流れることだけに気を取られておりました。

    このような質問にお答えいただきまして、どうも有り難うございました。
      今後とも宜しくお願いいたします。

    それでは、失礼します。
    -------------------------------------------------------------------------------------
  • 1077. 磁化の変化による磁気特性の変化


    Date: Wed, 23 Apr 2008 18:29:03 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生
    T**大学の修士1年T*と申します。
    HPを見まして、本日ご質問したいことが出来ましたのでメールいたしました。
    以下の点について調べても参考になる文献、論文等が見つからなかったため、質問いたします。 Q.外部から磁性体に応力を与えてやることで磁歪の逆効果がおこり、磁化させることについてはわかるのですが、磁化の変化により磁気特性や透磁率も変化すると思うのです。
    そのときに、応力の印加による磁化や透磁率の変化具合については応力に対してどのようなレスポンスになるのでしょうか。
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    Date: Thu, 24 Apr 2008 23:44:13 +0900
    A:T君、佐藤勝昭です。
    「応力の印加による磁化や透磁率の変化具合」は弾性磁気効果 (elastomagnetic effect)として知られる現象です。
    私は、この効果について調べたことがないので、文献を読んで下さい。
    たとえば、
    Giovanni Ausanio, Cornelia Hison, Vincenzo Iannotti, Cesare Luponio and Luciano Lanotte:
    Elastomagnetic effect in novel elastic magnets;
    Journal of Magnetism and Magnetic Materials Vol. 272-276, Part 3, (2004), Pages 2069-2071

    磁気と応力の関係はあなたの指導教員がお詳しいので、直接質問した方がよいですよ。
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  • 1078. 半導体の実験についての質問


    Date: Thu, 24 Apr 2008 23:39:22 +0900
    Q: はじめまして、大学3年、電気工学科の高橋と申します。
    半導体デバイスについての質問なのですが、
    実験で、線形領域および飽和領域のキャリア移動度と閾値電圧を求めたのですが、
    値が異なりました。考察で理由が必要なのですが、教えていただけますか?
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    Date: Fri, 25 Apr 2008 00:01:36 +0900
    A: 高橋君、佐藤勝昭です。
     授業や実験のレポートに関する質問にはお答えできません。
    学生実験での課題は、通常の授業で学んだことを復習するために出され ています。自分で調べることに意味があるのです。
    電子デバイス工学の教科書の電界効果トランジスタの項を読んで、飽和 領域でどのような現象が起きているのかを復習して下さい。そうすれば、 わかるはずです。
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  • 1079. ソーラーパネルは発光するか


    Date: Sun, 27 Apr 2008 09:45:45 +0900 (JST)
    Q: 佐藤研究室 御中
    突然のメールお許しください、疑問がありますので教えてください
    LEDとソーラーパネルはPN型半導体で出来ていますが、ソーラーパネルに、順方向 の電圧をかけましたら発光するのでしょうか?
    熊本市K**(名前は非公開にして下さい)
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    Date: Sun, 27 Apr 2008 10:59:13 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
     たしかに太陽電池もLEDもpn接合ダイオードですから、順方向に電流 を流すと発光するはずですが、結晶系のシリコン太陽電池に順方向電流 を流しても発光を肉眼で観測することは出来ません。エネルギーの大部 分が格子振動を通じて熱になってしまうため、発光の量子効率が非常に 低いこと、および、バンドギャップが1.1eVなので発光したとしても赤 外線なので見えないからです。しかし電卓などに使われているアモルフ ァスシリコン太陽電池では、順方向通電によって近赤外光(1.3eV)のエ レクトロルミネッセンスが観測されたという報告がありますが、量子効 率は10^-5%と低く、高感度のフォトセンサーによって初めて観測できる レベルだと存じます。
    (Koeng Su Lim, Makoto Konagai and Kiyoshi Takahashi:Observation of Electroluminescence from Amorphous Silicon Solar Cells at Room Temperature; Jpn. J. Appl. Phys. 21 (1982) pp. L473-L475.)
     従って太陽電池に順方向に電流を流せば大部分は熱になるので、冬季 夜間に通電して融雪することも試みられています。
    (依田弘之他:融雪機能付き太陽光発電システム;シャープ技報第86号・ 2003年8月・p43-p47)
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    Date: Sun, 27 Apr 2008 12:03:34 +0900 (JST)
    AA: 佐藤先生 様
    早速のご返事を頂きまして、誠にありがとうございました
    おかげさまで、頭のもやもやが解消いたしました
    熊本市 K 
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  • 1080. ペロブスカイト型酸化物における物性変化の定性的説明


    Q: Date: Mon, 28 Apr 2008 19:08:19 +0900
    HPを見ての質問です。名前はKといいます。所属は、T大学大学院に今年入学したM1です。
    大学で学ぶ物理は一応一通りの理解は出来ていると思います。Web掲載の際は匿名でお願いします。質問は以下の通りです。
    ペルブスカイト型の酸化物におきまして、微小な格子ミスマッチによるエピタキシャルな歪みや、単純な折り曲げ(bend)による歪みによって物性が大きく変わる事例が数多く(ex. STO,LSCO,YBCO...)報告されています。知っている範囲では、抵抗率の変化、磁化率の変化、誘電率の変化、超伝導体転移温度の変化などがあります。この原因を知りたいと思ったのですが、様々な論文で電子トポロジー転移やバンド構造の変化からシミュレーションして一致させたなどかいてあるのですが、定性的によくわかりません。あまり計算を用いずに定性的な説明を是非して頂きたいです。お忙しいとは思いますがお願いします。
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    Date: Mon, 28 Apr 2008 21:42:55 +0900
    A: K君、佐藤勝昭です。
     ペロブスカイト型Mn酸化物の大きな相変化についてのわかりやすい説 明は、産総研Today Vol.7 (2007) No.6 に載っています。
    http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol07_06/special02/p26.html
     また、産総研の2005年度の報告書にも解説が出ています。
    http://unit.aist.go.jp/cerc/rep2005/img/rep_2005_controlJ.pdf

    ABO3で表されるペロブスカイト型酸化物の格子歪みは、Aサイトの希土 類REとアルカリ土類AEの平均イオン半径(r_A=(1-x)r_RE^3+ + xr_AE^2+) とBサイトのイオン半径で決定されます。r_Aが小さくなると格子歪みが 増加し、B-O-Bの結合角が減少するため、電子の重なりが減少し、バン ド幅がせまくなり、金属相が不安定になります。ほんのわずかな変化で 金属−絶縁体相転移が起き、抵抗率の大きな変化をもたらします。また 絶縁層では反強磁性が、金属相では強磁性が安定なので、相転移に伴っ て磁性の変化も起きるのです。また、電荷・軌道整列絶縁相も付近にあ るため、複雑な変化をもたらすのです。
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    Date: Tue, 29 Apr 2008 17:46:21 +0900
    AA: ご回答ありがとうございます。紹介されたホームページを見つつまた勉強しようと思います。
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  • 1082. 金ミラーの温度変化による変形


    Q1: Date: Mon, 28 Apr 2008 23:44:29 +0900
    佐藤さま
    初めまして、K機関のKと言います。
    HPを拝見して、質問させて頂きたく思い、メールしました。
    Webにアップされる場合は、匿名(イニシャル)でお願いします。

    【背景】
    赤外望遠鏡の反射ミラーに、金を蒸着したSiC製のミラーを使おうと 考えているのですが、SiCと金では線膨張係数が約4倍異なり、常温で SiCが3.5*10^-6に対して、金は14.2*10^-6となっています。
    赤外望遠鏡のため、全体を50K程度にまで冷やすので、常温で製作 したものを、250度程度冷やすことになります。

    【質問】
    (1)金の線膨張係数は、固体時と薄膜時で同じでしょうか?

    (2)温度変化時の線膨張係数の違いにより、ミラーが変形する可能性は ありますでしょうか? 当然、SiC基盤はかなり厚く製作しますが…。

    もし、金に引っ張られるとすると、凹面鏡だと常温時よりも曲率半径が 小さくなる可能性があるばかりか、最悪の場合、周辺が剥がれるのでは ないかと危惧しています。

    一方、金は柔らかいので、SiCを引っ張って変形させることはないとも 考えられますが、その場合、金のみが変形し、結局金表面の曲率半径が 変わってしまう(中心から周辺まで均一の厚さだったものが不均一になる) という可能性もあると思います。

    先生のご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

    以上、よろしくお願い致します。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 29 Apr 2008 00:13:18 +0900
    A1: K様、佐藤勝昭です。
    (1)基板に堆積した薄膜では多少基板の影響を受けますからfree standingのバルクより膨張係数が小さくなると考えられます。
    (2)ミラーの変形はありません。収縮時にAu薄膜にひびが入ったり、 剥離したりすることが考えられます。特にμmを超える厚い膜では要注 意です。
    ----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 29 Apr 2008 00:20:25 +0900
    Q2: Kです。
    早速の返答、ありがとうございます。
    ひびが入ったり剥離したりという件ですが、これは何らかの方法で シミュレーション可能でしょうか?
    それとも、実際に作って、実験してみるより方法はないでしょうか?
    よろしくお願いします。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 29 Apr 2008 01:01:49 +0900
    A2: K様、佐藤勝昭です。
     理想的な単結晶薄膜であればシミュレーションも可能でしょうが、実 際の金薄膜は多結晶なので、そのモルフォロジーや粒径などによって、 条件が変わってしまうでしょう。またSiCの表面状態によっても違っ てきます。やはり、実験してみる必要があるのではないでしょうか?
     ただ、光学ミラーを作っている会社には、経験則としてノウハウの蓄 積があるかもしれませんので、聞いてご覧になるとよいでしょう。
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    Date: Tue, 29 Apr 2008 20:39:36 +0900
    AA: 佐藤先生、Kです。
    回答&アドバイスありがとうございます。
    金ミラーを作っているメーカーいくつかに聞いてみたいと思います。
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  • 1083. ポラリトンの描像について


    Date: 2008/05/07 19:38
    Q: 佐藤勝昭先生へ
    はじめまして, O*大学のO**です(公開時は大学と名前は匿名でお願いします).
    機械系の4回です.
    物性なんでもQ&Aを拝見してメールしました.
    現在, ポラリトンについて勉強しています.
    1.ポラリトンとは横光学フォノンとフォトンを相互作用である
    2.相互作用の結果, 分散曲線が変化し周波数ギャップが生じ, その周波数ギャップの周波数は境界面で反射され媒質中を伝搬できない このようなことはわかったのですが, 物理的イメージが良く理解できません.
    ポラリトンの直観的描写を教えていただけないでしょうか.
    お忙しいと思いますが, 御教授よろしくお願いします.
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    Date: Sat, 10 May 2008 01:15:58 +0900
    A: O君、佐藤勝昭です。
     光の波は物質に入ると,もはや純粋な電磁波ではなくなります。 光の電界が物質に電気双極子を誘起し、その結果物質中に分極の波が形 成されます。この分極は振動すると電磁波のアンテナとして働くわけで すから、物質中では、電磁波の振動と分極波の振動の連成振動状態に なっているわけです。
    その固有状態は、upper polaritonとlower polaritonという状態ですが、 その中身は電磁波と分極波の混成状態です。ポラリトンを指して、 「ある時は光であり、ある時は分極波であって、両状態間でエネルギー のキャッチボールをしている」と表現する人もいます。光が物質中を伝 搬するとき、速度が遅くなりますが、これは物質中で「光が分極を引き ずりながら進んでいる」からに他なりません。
     lower polaritonの固有エネルギーは横光学フォノンのエネルギーωo を超えることができません。一方、upper polaritonの固有エネルギー は、(ωo^2+Nq^2/mε)^(1/2)より小さくなることはありません。この ように、ポラリトンの2つの固有状態に対するエネルギー固有値の分散 曲線の間にはギャップが生じます。つまり、物質中には、このエネルギ ーギャップ内のエネルギーをもつポラリトンの固有状態が存在しないの です。そのためにこのギャップ内のエネルギーをもつ光は物質中を進め ないのです。
    ---------------------------------------------------------------------------------------
  • 1084. X線の侵入深さについて


    Date: 2008/05/09 15:46
    Q: 佐藤勝昭様
    F***社 K***です。(公開の際は匿名でお願いいたします)
    いつも過去の物性なんでもQ&Aを見て勉強させていただいています。
    当方、化学工学系の出身ですが、最近結晶に関する仕事をすることになり、 自分なりに調べてみたのですが納得のいく回答が見つからなったため質問させて いただきました。
    (In-planeでなく)一般的なXRD分析において深さ方向はどの程度まで分析される と考えればよいでしょうか?
    ある基板上に作製したシリコン薄膜の結晶性を調べていますが、結晶配向性の分 析にはどの程度の膜厚が必要かを決める根拠が見つからず困っています。
    本などで調べたところ、"X線は数μm程度潜り込む"であるとか"少なくとも1μm は膜厚が必要"とありましたが、その"数μm潜り込む"という値の根拠が分かりま せん。
    別の本には侵入深さの計算について書かれており(本の中ではHe-Neレーザにつ いて計算されていました)、それに基づいて計算したところ、
    侵入深さd=λ/(4*π*k)
    光源波長λ=0.154nm (←X線源Cu-Kα)
    シリコンの複素屈折率=n+ik, n=4.367, k=0.079
    ⇒ d=0.155nm
    となり、シリコン膜内へはほとんど侵入しないことになってしまい、上記"数μm 潜り込む"という話と矛盾します。
    XRDにおける侵入深さについてどのように考えれば宜しいのでしょうか?
    どうぞよろしくお願いいたします。
    以上です。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 10 May 2008 02:00:23 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
     ご質問の件ですが
    可視光線とX線では波長が異なるので、同じn=4.367, k=0.079を使うこ とができません。X線領域では屈折率nは1以下ですし、消光係数kも波 長依存性があります。理科年表によればX線回折によく使われるCuのKα 線の波長1.5Åにおいて原子番号13のAlの質量吸収係数(吸収係数を密 度で割ったもの)は44.9ですからSi(原子番号14)では50程度でしょう。
    Siの密度は2.34ですから、吸収係数α=50×2.34=117〜100[cm^-1]とな り、浸入長は1/100 [cm]=100[μm]程度でしょう。このため、薄い膜だ と基板の奥深くまで侵入しますから、主として基板の結晶性の情報を得 ることになるでしょう。従って、膜の情報を得るには、ある程度の厚み が必要なのです。
    ----------------------------------------------------------------------------------------
  • 1085. N−メチル−2−ピロリドン


    Date: 2008/05/08 10:05
    Q: 東京農工大学 佐藤様
    P*社のY*と申します。(Webでは匿名でお願いいたします)
    初めてメールいたします。
    早速ですが質問させていただきます。
    N−メチル−2−ピロリドンに関しまして、アルカリ,酸と共存させると分解するとあったのですが、 具体的にアルカリ側,酸側ではどの様な反応が起きるのでしょうか。
    また、N−メチル−2−ピロリドン自体、弱アルカリ性だと思いますが、アルカリ側,酸側どの程度のpH領域で分解するのでしょうか。 ご多忙中とは存じ上げますが、何卒宜しくお願い申し上げます。
    ---------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 10 May 2008 20:49:51 +0900
    A: Y様、佐藤勝昭です。
     ご質問は、化学反応に関する内容で、私の専門の物性の範囲から外れ ています。東京農工大学の化学系先生に聞きましたところ、次の ような回答でした。
    ==========================================================
    お尋ねの件ですが、N−メチル−2−ピロリドンは什器中で長期 間保持すると過酸化物が生成するようです。
    一般的にはそれを防止するためにNaOHなどのアルカリ水溶液を添加しま す。どのような反応機構で分解が進行するのかは分かりません。
    このN−メチル−2−ピロリドンは溶媒としてよく使われますので、溶 剤便覧などを参照されると記載されているかも知れません。
    頼りない回答で申し訳ありません。
    ============================================================
    ということでした。
    図書館で溶剤便覧をご覧下さい。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 12 May 2008 09:21:21 +0900
    AA: 佐藤様
    専門外の質問に対しお調べ頂き、誠に有難う御座いました。
    アドバイスを元に書物等を調べてみたいと思います。
    Y
    -------------------------------------------------------------------------------------
  • 1086. (Ba0.7Sr0.3)TiO3のヤング率、ポアソン比


    Date: Mon, 19 May 2008 16:09:53 +0900
    Q: 佐藤勝昭 様
    はじめまして、M社中央研究所のF**と申します。
    ※佐藤様のHPにご掲載の際は匿名でお願い致します。
    佐藤様のHP「物性なんでもQ&A」を拝見し、ご質問させて頂きます。

    (Ba0.7Sr0.3)TiO3のヤング率、ポアソン比を お教えくだされば幸いです。
    よろしくお願い致します。
    また、どのような本を参照すれば掲載されているのかも、あわせて教えてくださればありがたいです。

    どうぞよろしくお願い致します。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 19 May 2008 19:13:09 +0900 (JST)
    A: F様、佐藤勝昭です。
     チタン酸バリウムは50年以上の研究の歴史があるので、いろいろなデータがあります。
    セラミックスのチタン酸バリウムについては村田製作所のカタログ(添付)に掲載され ており、ヤング率Y11Eは11.5x1010N/m2、ポワソン比σEは0.30となっています。
     チタン酸ストロンチウムのヤング率は、338GPa=33.8x1010N/m2となっています。
    (F. J. Espinoza Beltr?n1 et al.:Journal of Physics: Conference Series 61 (200 7) 293-297)

     なお、Si上にMODで成膜したBa0.7Sr0.3TiO3のヤング率とポワソン定数は、
    FANG Te-Hua, CHANG Win-Jin, LIN Chao-Ming, JI Liang-Wen, CHANG Yee-Shin, HSIAO Yu-Jen:
    Effect of annealing on the structural and mechanical properties of Ba0.7Sr0.3T iO3 thin films:
    Materials science & engineering. A, Structural materials : properties, microst ructure and processing vol.426, (2006) [1-2], pp.157-161
    要旨は
    「Si基板上にMOD成膜し様々な温度でアニールしたたBa0.7Sr0.3TiO3薄膜の機械 的性質および表面評価を行った。薄膜の硬度、ヤング率、および、コンタクトひずみ応 力特性を、ナノインデンション技術、XRD,およびAFMを用いて調べた。XRDによると、Ba 0.7Sr0.3TiO3 薄膜は強い (1 1 0)-配向性と純粋のペロブスカイト構造を示した。結晶 粒径と表面荒さはアニール温度の上昇とともに増大した。硬度、ヤング率ともにアニー ル温度を600度から800度に上昇すると増大し800度で最大となった。」
    と書いてあるのですが、この雑誌が手元にありません。取り寄せて、調べてください。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 23 May 2008 17:06:49 +0900
    AA: 佐藤勝昭 様
    こんにちは、M社中研のFです。
    ※佐藤様のHPにご掲載の際は匿名でお願い致します。
    佐藤様にご教示頂いた文献が手元に届きましたので、 ヤング率についてご報告させて頂きます。
    ----------------------------------------------------
    アニール温度600℃のヤング率:39.37±1.78GPa
    アニール温度700℃のヤング率:73±4GPa※
    アニール温度800℃のヤング率:80.2±1.8GPa
    ------------------------------------------------------
    ※ヤング率vsアニール温度のグラフに700℃でアニールした場合のヤング率もプロットされているのですが、数値は明示されておりませんでした。
    700℃の数値はグラフから読み取った値であります。

    なお、残念ながら、ポアソン比の記述は見つかりませんでした。
    この度は、貴重なご教示を頂き、ありがとうございました。
    また、ご質問させて頂く機会があるかと存じますが、 その節は、どうぞよろしくお願い致します。
    ----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 23 May 2008 17:36:03 +0900 (JST)
    A2: F様、佐藤勝昭です。
     文献からのデータをお教えいただきありがとうございました。Webにアップします。
    ポワソン比ですが、BaTiO3の0.30とあまり違わないと思われますので、とりあえずは、 0.3を使っておかれてはいかがでしょうか。
    ----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 26 May 2008 07:42:01 +0900
    AA科学技術振興機構(JST)
    戦略的創造研究推進事業(さきがけ)研究総括
    佐藤勝昭 様
    おはようございます、M社のFです。
    ※佐藤様のHPにご掲載の際は匿名でお願い致します。
    ポワソン比に関するご教示ありがとうございます。
    ご教示の通り、0.3を使用することと致します。
    度々のご教示ありがとうございました。
    以上
    ----------------------------------------------------------------------------------------
  • 1087. プラスチックの電波透過性


    Date: Tue, 20 May 2008 10:11:19 +0900
    Q: K社 Y***です。
    下記のご連絡をさせていただきます。

    2.45GHzのICタグ検出実験をしております。
    現在の問題点は、金属キャビネット内に乱雑に格納した RFIDタグの検出障害を実験しており、それに電波遮蔽板を内部に置いて、 それによる電波透過率の問題等の影響を調べたいと思っておりますが、 電波遮蔽板にプラスティックを用いる場合、ポリカーボネートやFRP、アクリル等の 材料が比較的透過率が高いと聞かされましたが、それらの数値を調べる参考書等 お教えいただければ幸甚に存じます。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 20 May 2008 13:59:57 +0900 (JST)
    A: Y様、佐藤勝昭です。
     ほとんどのプラスチックは2.45GHzの高周波の電磁波を透過すると存じます。
    吸収の尺度は誘電正接(tanδ)=ε"/ε'です。(ε':比誘電率実数部、ε":比誘電率虚数部)
    エンプラネットというサイト によると、
    FR4(ガラスエポキシ):ε'=5, tanδ=0.03
    が比較的損失が大きいですが、
    PI(ポリイミド):ε'=4, tanδ=0.008
    PPS(ポリフェニレンサルファイド):ε'=4, tanδ=0.004
    LCP(液晶ポリマー):ε'=4, tanδ=0.003
    となっていますから、ガラスエポキシでさえ、メートルサイズの厚みにしない限り、
    電磁波は通り抜け、電磁遮蔽板としては使うことができないでしょう。
    導電性の材料を使う必要があるのではないでしょうか?
    ------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 20 May 2008 15:26:21 +0900
    AA: K社Yです。
    下記のご連絡をさせていただきます。
    佐藤先生
    早速のご教授まことに有り難うございました。
    入手の容易な何種類かの材料で実験いたす所存です。
    重ねてお礼を申し上げます。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1088. サブバンド間プラズモン


    Date: Wed, 21 May 2008 23:06:17 +0900
    佐藤勝昭様
    O***大学修士2年K(大学名、氏名ともに匿名希望です)と申します。
    いつもHPを楽しく拝見させて頂いております。

    さっそくご質問なのですが、プラズモンについての質問です。
    一般に誘電関数がゼロとなる振動数では縦型振動です。つまりプラズマ振動の量子であるプラズモンは 縦型振動であることが知られています。バルク半導体中(3次元)では、このプラズモンの振動がイメージできます。

    しかし量子井戸(2次元)に閉じ込められた状態ではこのプラズモンはしばしば intersubband plasmon とよばれています。

    このサブバンド間プラズモンというのがどのような縦型振動を示すのかがイメージで きずに困っております。どうも準位間の双極子モーメントがからんでくるらしいのですがよく分かりません。 単純な2次元プラズモンとは異なるのでしょうか?
    お忙しいと思いますが、どうぞよろしくお願い致します。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 24 May 2008 00:14:25 +0900
    A: K君、佐藤勝昭です。
     私は、不勉強で、正しくお答えできる自信がないので、東京農工大学 の三沢和彦教授に伺いましたところ、下記の返事をもらいました。
    =================================================================
    三沢です。
    量子井戸に閉じ込められた電子であっても、量子井戸の面に沿った 方向にはキャリアは自由に伝搬します。したがって、電子の疎密が 面内に生じた場合に、プラズモンが伝搬することになります。
    2次元プラズモンを量子井戸層の断面で見た図が下のようになります。

    ────────────────────────────────────
    ○○○ ○ ○  ○  ○  ○ ○ ○○○ ○ ○  ○ 
     ○ ○ ○ ○○○ →
    ────────────────────────────────────

    面に沿った方向に伝搬し、疎密も面内ですから、縦波となります。
    このときの自由キャリアを、サブバンド間遷移で励起した場合に、特に interband plasmonと呼ぶことになります。
    サブバンド間遷移はテラヘルツ電磁波に共鳴することが多いですか ら、量子カスケードレーザーなどのテラヘルツ波デバイスなどに応 用できると思われます。
    -----------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 25 May 2008 16:16:00 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
    O大学 Kです。
    ご返事ありがとうございました。
    おかげ様でイメージすることができました。
    大変なお手間をとらせまして申し訳ございませんでした。
    ありがとうございました。
    -----------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1089. 光電子分光におけるコヒーレント部分とインコヒーレント部分


    Date: Fri, 23 May 2008 13:38:02 +0900
    Q:HPを見ての質問です。名前はK**といいまして、2回目の投稿になります。
    所属は、T大学大学院に今年入学したM1です。大学で学ぶ物理は一応一通りの理解は出来ていると思います。
    Web掲載の際は匿名でお願いします。質問は以下の通りです。
    「光電子分光におけるコヒーレント部分(準粒子バンド)とインコヒーレント部分(上部または下部ハバードバンドの名残)」 の意味を教えていただきたいです。光電子分光の原理は理解できていると思いますが、ハバードバンドや準粒子バンドの意味、 何がコヒーレントなのかが分かりません。お願いします。
    -----------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 24 May 2008 00:34:43 +0900
    A: K君、佐藤勝昭です。
     私にも正確に答える自信がありませんので、光電子分光がご専門の東 大理学系研究科の藤森淳教授に問い合わせましたところ、下記のような お返事を頂きました。
    =========================================================-
    「モット転移近傍の電子相関の強い金属は,電子同士がぶつかりながら 辛うじて動き回っている金属で,瞬間的・局所的にモット絶縁体と似た 電子状態が形成されたり消えたりしていると考えられます。
    インコヒーレント部分はこの”モット絶縁体”的な瞬間から来るものな ので,光電子スペクトルが上部・下部ハバードバンドと似た構造を持っ ています。一方,コヒーレント部分は金属的な瞬間から来るもので,フ ェルミ準位を横切るバンドなど金属の特徴を示しています。」
    =============================================================-
    参考になさってください。
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    Date: Sat, 24 May 2008 19:05:34 +0900
    AA: わざわざお問い合わせまでして頂いてありがとうございます。実空間で起こっていることのイメージまで説明して頂いてよく分かりました。お忙しいところありがとうございました。
    ----------------------------------------------------------------------------------------------- Date: Sun, 25 May 2008 21:35:17 +0900
    A2: 菊月君、佐藤勝昭です。
     前回の説明ではわからないのではないかと思い、
    『「瞬間的・局所的にモット絶縁体と似た電子状態が形成されたり消えたりしている」という状態は想像しにくいのですが、観測によっては、どちらかの状態の方を観測してしまうということなのですね。』
    と、藤森先生に尋ねました。藤森先生の返事は、
     『「瞬間的・局所的に...が形成されたり消えたりしている」は 「時間的・空間的な電子状態の揺らぎ」とした方がより正しかった かも知れません.電子状態が揺らいでいるとき,メスバウアー分光や NMRが時間的に平均した電子状態を見るのに対して,光電子分光は 瞬間的な電子状態を見ることが特徴だと考えております.』 とのことでした。
    ------------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 26 May 2008 12:41:00 +0900
    AA: ありがとうございます。揺らぎということは想像できていましたが、他の分光と違い光電子分光の場合だけ揺らぎが観測できるというのは新たな知見でした。重ね重ねありがとうございます。
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  • 1090. 強誘電体光変調器


    Date: Sun, 25 May 2008 14:15:02 +0900
    Q: N高専3年のT***です。公開時には匿名でお願いします。

    強誘電体LiNbO3(リチウムナイオベート)結晶を用いた光強度変調器・LN変調器に電圧を加えたときの光透過特性がわかりません。
    光透過特性の偏光についてもお願いします。
    後、光強度変調器の原理や構造についても教えてください。
    光強度変調器と光位相変調器の構造の違いについてもお願いします。
    質問だらけですがお願いします。
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    Date: Sun, 25 May 2008 21:25:00 +0900
    A: T君、佐藤勝昭です。(あなたのメールアドレスに返信しましたが、送れませんでした。)
     高専の3年生の数学や光学や電磁気学の基本的な知識ではどの程度わかっていただけるか自信がありませんが、以下の説明でわからなければ、またお尋ね下さい。
     強誘電体とは何かというと、自発分極をもつ誘電体です。自発分極を持っているとは、外から電界を加えなくてもはじめから物質中の電気双極子の向きがそろっていて巨視的な電気分極があるということを意味します。実際には、自発分極Pの向きは、外部電界Eに対して変化します。
    1.位相変調器
     光を強誘電体に入射したとき、光の電界ベクトルが自発分極に平行な直線偏光については、屈折率nが電界Eによって変化します。高周波電界が時間tとともに sinΩtで変化するならば、屈折率もn=n_0+Δn sinΩtのように変化します。z方向に進む物質中の光の電界はE=E_0 expiω(t-nz)と表すことができますが、n=n_0+Δn sinΩtを代入すると、
    E=E_0 expiω{t-(n_0 +Δn sinΩt)z/c}
    =E_0 exp{iω(t-n_0 z/c)} expi(ωΔn sinΩt z/c)
    となり、位相がωΔn sinΩt z/c=(2π/λ)Δn sinΩt zで変化します。位相の変調の振幅はωΔnz/c=2πΔnz/λです。
    expi(ωΔn sinΩt z/c)を展開すると、・・ω-2Ω, ω-Ω, ω+Ω, ω+2Ω・・の成分が現れます。その展開係数には、ベッセル関数があらわれます。例えば、ω+Ωの周波数成分の振幅は1次のベッセル関数J1(ωΔnz/c)で表され(ベッセル関数は高専3年では学んでいないでしょうね。)

    2.振幅変調器
     上に述べたように、光の電界ベクトルが自発分極に平行な直線偏光については、屈折率nが電界Eによって変化しますが、垂直の成分については、電界にかかわらずほぼ一定です。分極方向から45°傾いた直線偏光を入射すると、分極方向の成分とそれに垂直な成分との間にsinΩtで振動する位相差が生じます。入射側の偏光子と直交する検光子を置き、電界を増加していくと、Δn=aEとすると出力光の強度は(sinωaEz/c)^2 で増大して行きます。ωaEz/c=π/4となる電界を中心にして電界を交流的に変化すると、出力光強度は電界と同じ周波数で変調されます。

    日本レーザー社のサイト(
    https://www.japanlaser.co.jp/product_detail.php?productid=301)が参考になります。
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    Date: Sun, 25 May 2008 23:21:51 +0900
    Q2: N高専のTです。今回も匿名でお願いします。
    ベッセル関数は習ってないです、のでよくわかりません。出来れば図とかグラフがあればわかるかもです。お願いします。
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    Date: Mon, 26 May 2008 00:03:17 +0900
    A2: T君、佐藤勝昭です
    。  ベッセル関数は、円筒座標において微分方程式を解くときに出てくる関数です。
    一例を挙げれば、円形の池の中心に石を投げ込んだときに、池の中にできる波紋の様子を表すのが、ベッセル関数です。
    J0(x), J1(x)のグラフを添付します。(www18.ocn.ne.jp/~hchiba/gnu6.htm より)
    ウィキペディアに「ベッセル関数」が出ています。図も出ていますよ。
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    Date: Mon, 26 May 2008 22:12:41 +0900
    AA: N高専のTです。
    ベッセル関数について、例を見て考えたらなんとなくわかりました。本当にありがとうございました。
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  • 1091. アルミニウム容器での尿素の保存


    Date: Mon, 19 May 2008 21:56:17 +0900 (JST)
    Q: HPを見ました。内張りがアルミニュウムのトラックの荷台で尿素(粉状)を運んだ時長期的に見てトラックの荷台あるいは尿素に弊害がありますか?
    A**(匿名希望)運送業経営者
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    Date: Tue, 20 May 2008 00:14:46 +0900
    A: A様、佐藤勝昭です。
     私は、化学は専門外なので、正しくお答えできるかどうかわかりませんが、アルミニウム粉末と尿素粉末を混合し、アルミニウム容器に入れ て、表面を加熱すると、爆発的に反応して窒化アルミニウムが生成するという記述があります。
    (Chun-Nan Lin, Shyan-Lung Chung: Combustion synthesis method for synthesis of aluminum nitride powder using aluminum containers (II); J. Material Research Vol.19 [10] (2004) 3037-3045)
     アルミニウムの粉末を混ぜたり加熱したりしなければ、爆発反応の心配はありませんが、長期的に見れば反応がおきて、アルミニウムの内張 が劣化する心配がないとは言えないと思います。
    ただし、私は、化学が専門ではないので、化学の先生がやっているQ&Aに聞いてみてください。
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    Date: Mon, 26 May 2008 20:28:17 +0900 (JST)
    AA: こんばんわ
    早速のご返信有難うございます
    まさかこんなに早くメールが届くとは思ってもみませんでしたので, 驚きと感激です。
    お答え頂きました内容で充分参考に成りましたがその方面の方に問い合わせさせていただきます。
    今後ともご活躍されますように、短文ですが再度お礼申し上げます。
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  • 1092. カーボンナノチューブの磁気エネルギー


    Date: Mon, 26 May 2008 13:55:52 +0900
    佐藤先生突然のメール失礼致します。K*と申します。
    現在、会社を退職いたしており、就職活動をしながら独学で材料の勉強をしています。
    そこでカーボンナノチューブ関係に興味を持ち、自分なりに少しずつ論文を読んだりして勉強しています。
    Web上にアップする際は、匿名でお願いいたします。どうしても論文中で分からないことがありましたので質問させて頂きます。
    カーボンナノチューブの磁場配向の論文なのですが、Introductionの最後の方に・磁場による配向エネルギー:
     ΔU=U(π/2)-U(0)=(B^2)n(χ〃-χ⊥),
    となっているのですが、計算したところ合いません。
    詳しくは以下に書きます。まず、炭素のモル数(n)を求めないといけませんが、これは長さ300nmの(10,10)のナノチューブの炭素数は計算した!
    48000個でした。この計算は添付のワードで計算過程を書きました。おそらく合っていると思います。
    問題は、ΔU=(B^2)n(χ〃-χ⊥)の(B^2)と(χ〃-χ⊥)でして、
     B=15.3[T]とχ〃-χ⊥=106.4x10^(-6) emu(molC)^(-1)を単位換算せず、単に代入しても計算が合いません。10倍程度、5kB・Tより小さい結果が出てしまいます。
    (またmolCという表現は見たことなかったのですがおそらく炭素1molという意味と思います。)
    χ〃-χ⊥の単位が もしJ・T^(-2)・mol^(-1)なら、そのまま代入すればよいのでよくわかるのですが。
    磁気関係の知識がほとんどなくネットや手持ちの書籍等で探してみたのですが分かりませんでした。
    またもともと、どうやって
    U(θ)=-(B^2)n(χ〃(cosθ)^2-χ⊥(sinθ)^2)−A
    を導出しているのかが分かっていません。
    単位換算の仕方ともしよろしければA式の導出をお教え頂けたらと思います。
    よろしくお願い致します。
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    Date: Wed, 28 May 2008 00:53:51 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
    (1)この論文のΔU=(B^2)n(χ〃-χ⊥)は単位系がcgs-emuですから、Bの単位はGauss、ΔUの単位はergです。
    ΔU=(B^2)n(χ〃-χ⊥)=(1.53×10^5)^2 (Gauss^2)× 7.99×10^-20 (mol) × 1.064×10^-4(emu/mol)
    =1.99×10^-13 erg
    一方、kB T=1.38×10^-23 (J/K) × 287 K=3.96×10^-14 (erg) 従って、ΔU/kB T=5.0です。
    (2)U(θ)=-(B^2)n(χ〃(cosθ)^2+χ⊥(sinθ)^2)の導出ですが、
    もし等方的であれば、モルあたりのポテンシャルエネルギーは、磁場Bと誘起された磁気モーメントχBの積に比例し、
    もし両者の向きが平行ならばエネルギーは低下しますから、U=−n・B・χB=−nχB^2 となります。
    χに異方性があると、BのCNTの軸方向の成分をB//, 軸に垂直な方向の成分をB⊥と書けば、
     U=−n{χ// (B//)^2 + χ⊥ (B⊥)^2}となりますが、B//=Bcosθ、B⊥=Bsinθなので、結局
     U=−n(B^2){χ//(cosθ)^2+χ⊥(sinθ)^2}
    となります。
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    Date: Thu, 29 May 2008 01:37:24 +0900
    Q2: Kです。お忙しいところ、早速のご返事大変感謝しております。本当に有難うございます。
    (1)はcgs単位ですべてそろえて計算するとΔU/kB T=5となること、よく理解できました。
    (2)もよく理解できました。有難うございます。
    あと大変申し訳ありませんが、もう1つ質問させて頂けないでしょうか?
    上と同じくintroductionの最後の方にあるdP(θ)=(v)^-1・u×exp(-u^2・sinθ^2)sinθdθなのですが、この式は熱擾乱のエネルギーkBと磁場配向エネルギー儷の比を求めることができたら、その磁場強度において例えば、10°傾いてる可能性がいくらあるということを求めることができる式だと思っています。
    ですので、まず、ΔU/kB T=5(磁場15.3T)のとき10°傾いている可能性を算出してみようといろいろ計算を試みるもうまくいきません。
    積分の計算のためにMathematicaほど高性能ではないと思いますがフリーで使えるwxMaximaというソフトをインストールしています。
    元々、ある磁場がCNTにかかっているとき、どの程度傾くかを理論的に予想するたいと思い、この論文を調べていましたのでどうしても求めたいと思っています。
    お忙しいところ、誠に申し訳ありませんが、ご教授頂けたらと思います。現在、出先でして数式を入力できなかったので、手書きの方が見やすいかと思い、
    手書きの計算の過程をお送りします。よろしくお願い致します。
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    Date: Thu, 29 May 2008 15:29:47 +0900 (JST)
    A2: K様、佐藤勝昭です。
     添付された手書きの計算式を見ましたが、なぜ、exp(-u^2 sinθ^2)を積分しておられ るのかわかりません。dP(θ)=A(θ)dθの意味はθを中心に微小な角度dθの範囲の値を とる確率です。
    たとえば、θ=10π/180(rad), dθ=0.1π/180(rad)としてP(θ)をもとめれば、θ=10° を中心に0.1°の幅の中に来る確率が求められます。
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    Date: Thu, 29 May 2008 23:19:46 +0900
    AA: 佐藤先生
    Kです。ご返事、大変有難うございます。
    dP(θ)の意味を誤って理解していました。
    下の先生の仰るとおりの方法で、dPを求めることができました。
    本当に有難うございます。
    これからもまたご教授願うことがあると思いますが、よろしくお願い致します。
    先生のご活躍、陰ながら応援させて頂きます。
    ---------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1093. 酸素気体透過率の小さい有機材料


    Date: Tue, 10 Jun 2008 09:16:03 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    お世話になっております。
    N**社のM*(会社、名前とも匿名希望でよろしくお願いします)と申します。 いつもホームページを楽しく拝見しております。

    さて、この度は気体透過率について、御質問があり御連絡差し上げました。
    現在、酸素気体透過率の小さい有機材料を探しております。
    EVOHやPVOH、ポリエチレン等は包装材料として用いられているせいか、各種気体の データはカタログ等に載っていますが、エポキシやウレタン、アクリル等の接着剤 として用いられるような材料の気体透過率に関してはなかなか調べてもわからず、 困っております。

    つきましてはエポキシ、ウレタン、アクリル、ポリイミド系の接着剤の各種気体透過 率を御存知でしたら、御教授願えないでしょうか。
    また、それらが載っている文献等も合わせて御教授頂ければ幸甚です。
    (もちろん、同じエポキシ系といっても、その気体透過率が樹脂の配合比率、成分、 可塑剤等で変化するのは存知ておりますが、各樹脂がどの程度の実力を持っているか 当たりをつけたいと思っております。)

    お手数であるとは存じ上げますが、以上の件宜しくお取り計らい頂ければ幸甚です。
    取り急ぎ御連絡申し上げます。
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    Date: Wed, 11 Jun 2008 00:21:05 +0900
    A: M様、佐藤勝昭です。
     わたしは、化学の専門ではないので、手元にデータがありません。
    Polymer handbook 4th Edition,John Wiley & Sons,Inc. (1999) にポリマーのガス透過性が出ているようなので、図書館でお調べ下さい。
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    Date: Wed, 11 Jun 2008 11:27:50 +0900
    AA:佐藤勝昭様
    お世話になります。
    さて、お問い合わせさせて頂いた件に関し、早速御返答頂き誠に有難うございました。
    とりあえず、御教授いただきました文献を調べてみることに致します。
    お手数をおかけしてしまい誠に申し訳ございませんでした。
    今後とも御愛顧のほど宜しくお願い致します。
    取り急ぎ御返信申し上げます。
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    Date: 2008/06/11 12:07
    A2: M様、佐藤勝昭です。
     本日、東京農工大学の図書館でPolymer Hanbook 3rd edition(1975)を見ました。
    この本のVI/435-449にS. Paulyというドイツの方が、"Permeability and Diffusion Data"という論文を書いていて、気体の透 過性(permeability)について、丁寧な解説をしています。
    その中に、表があって多数の高分子の透過性permeability coefficient (P) がリストされています。
    これによると、エポキシ、ウレタンは見あたりません。polymetacrylatesは出ています。
    polyamides, polyimidesの項にはNylon66, Nylon6, Nylon11, Kaptonが載っています。(これは接着剤で はないですね。)コピーしましたので送ります。
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    Date: Wed, 11 Jun 2008 14:04:56 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
    お世話になります。
    さて、ポリマーの気体透過に関し、わざわざお調べ頂き有難うございました。
    またコピーまでして頂いたようで、大変お手数をおかけし恐縮に存じます。
    まずは、ご送付頂く資料を拝見させて頂き、4th edition の方も並行して調べて みたいと思います。
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  • 1093C. 質問#1093へのコメント


    Date: Fri, 20 Jun 2008 13:08:13 -0400
    佐藤先生、化学会社のS*です。掲載の際は匿名でお願いします。以前
    シリコーン材料の件でコメントさせていただきましたが、今回はプラスチックの気体透過性についてコメントさせていただきます。
    しばらくサイトを覗いていなかったので、遅れたタイミングになりましたが、ご容赦ください。
    ポリエチレンやナイロンの気体透過性のデータがあるのに、ウレタンやエポキシのデータがなかなか見つからないのは、次の理由によります。
    ポリエチレンやナイロン(ナイロン6、ナイロン6,6など)は、名前イコール化学式と考えることができ、バルクの性質は、化学式が同じである限り、メーカーやグレードが異なっても、大差はありません。
    ですから代表データをハンドブックに記載しても、大きく間違うことはないわけです(それでも、添加剤によって透過性が大きく変わる例はあります)。
    しかし、ウレタン、エポキシ、ポリエステルなどの名前は、ポリマー全体の内、結合部分の化学を表しているにすぎないのです。
    分子と分子をウレタン結合でつないだのがウレタン樹脂、エポキシ結合でつないだのがエポキシ樹脂です。
    こういった材料のバルク特性は、結合と結合の間の分子に左右されることが一般的ですので、そこがどんな化学式をしているのかがはっきりしていないと、バルクの特性はわかりません。
    ですから、「XXXXXとYYYYYYを結合したウレタン樹脂」などと指定すれば、気体透過性のデータが得られる可能性があります。
    しかし、想像されるように組み合わせの数はほぼ無限にありますので、とてもハンドブックなどに全てを掲載することはできないわけです。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 21 Jun 2008 08:52:30 +0900
    A: S様、佐藤勝昭です。
     コメント有り難うございました。質問者に伝えるとともにWebにアップします。
    今後ともよろしくお願いします。
    ---------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1094. スピン偏極の光学的測定について


    Date: Tue, 10 Jun 2008 20:22:35 +0900
    Q: スピン偏極の光学的測定についてなのですが、光学配置について、良くそれぞれのはたらきがわからず困っています。
    偏極した3Heから、放出される668nmの円偏光の度合いで偏極を測定するのですが、光学配置は放出された668nmを
    直線偏光子→λ/4板→角周波数ωで回転するλ/4板→直線偏光子→668nm付近の干渉フィルター→フォトマルチプライヤ
    ー→Lock-inアンプ&DCアンプ→それぞれADC→コンピュータ
    です。フォトマルチプライヤー以降は理解できます。この測定の目的は偏極された3Heから放出される、668nm光の円偏光のσ+、σ-の度合いを調べることです。 しかし直線偏光子で円偏光はみえなくなりますよね・・・
    一応何人かで色々考えたのですが、σ+、σ-の度合いを観測するのに直線偏光子を使っている時点でつまずいてしまします。
    私はO*大学工学部4回生でM*といいます。(匿名でお願いします)
    春からスピン偏極について学んでいるレベルです、なにかと言葉足らずな点もあるかと思いますが、宜しくお願いします。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 10 Jun 2008 21:32:53 +0900 (JST)
    A: M君、佐藤勝昭です。
     君の指摘の通り、円偏光を測定したいのなら、最初の直線偏光は不要です。
    左右円偏光が1/4波長板を通ったあとc軸と±45°の方向に傾いた直線偏光になり ますから、直線偏光子を使って左右円偏光を選択できるのです。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 12 Jun 2008 12:53:32 +0900
    AA: お返事遅くなり申し訳ありません。
    どうも有難うございました。
    まだまだわからない事だらけですので、 また質問させてもらう事もあるかと思いますので、 そのときはお願いします。
    失礼しました。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1095. ドーピングによってシリコンの色は変わるか


    Date: Thu, 12 Jun 2008 15:33:04 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生へ
    はめまして、私はS*大学の修士1年U*です。
      度々物性なんでもQ&Aを参考にさせていただいています。HPへ掲載の際は匿名でお願い致します。

    現在Siの光学特性を勉強しています。
    以前のHPを見たときにシリコンの色はp型、n型などで変化するか?
    という質問に対して自由キャリアが増えることで、赤外領域のスペクトルは 変化するとの回答がありました。

    しかし、高濃度に不純物(たとえばB)をドーピングしたとき、Siのバンド構造が変化して 紫外、可視光領域の反射スペクトルにも変化が出る可能性はあるのではないでしょうか。
    というのが質問です。

    また、ヘビードープシリコンの物性を調べましたが、自由キャリア吸収によるスペクトル変化の 文献はあるのですが、ドーピングによるバンド構造が変化して反射率がどのように変化するかは 分かりませんでした。何か良い文献があれば教えていただけたら幸いです。
    宜しくお願い致します。
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    Date: Thu, 12 Jun 2008 17:56:06 +0900 (JST)
    A: U君、佐藤勝昭です。
     シリコンにヘビードープした場合、フェルミ準位が伝導帯または価電子帯の中にくる ことによって、光学吸収端が高エネルギー側にシフトする現象(バーステイン-モスシ フト)が知られています。しかし、そのシフト量はわずかで、可視域には変化として現 れません。
     一方、シリコンの可視-紫外域の反射ですが、添付図(Geの場合)に示すようにk空間におけるΛ 線、Δ線上でのバンド間遷移がE1,E2ピークを作っており、この遷移はフェルミ準位付 近の状態密度を反映しないので、ドーピングによって反射スペクトルが変化することは ほとんどありません。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 12 Jun 2008 23:27:14 +0900
    Q2: 佐藤勝昭先生
    Uです。早速のお返事有難う御座いました。
    つまりSiに高濃度で不純物をドーピングしても、 可視、紫外域の反射スペクトルが変化しないということは、 不純物をドーピングでk空間におけるバンド構造に大きな 変化はないと考えてよろしいでしょうか?
    宜しくお願い致します。
    ------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 12 Jun 2008 23:39:20 +0900
    A2: U君、佐藤勝昭です。
     そうです、不純物ドープで多少変化が出るのは、p型では価電子帯の頂(Γ点)付近、 n型では伝導帯の底(SiではX点付近、GeではL点付近)の占有状況のみで、k空間におけるバンド構造に影響を 与えるものではありません。
    ヘビードープといってもせいぜい1020cm-3程度ですから シリコンの単位体積あたりの原子数5×1022cm-3に比べれば十分に小さく、バンド構造を 変えてしまうほどの変化は生じないのです。
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    Date: Fri, 13 Jun 2008 00:08:25 +0900
    Q3: 佐藤勝昭先生へ
    Uです。丁寧なご回答有難うごいざいました。
    10^20cm-3程度のドープ量ではバンド構造に変化はないのですね。
    私は以前MOSの極浅接合の研究をしていました。そのとき、ソース、 ドレイン層に最高で2E21cm-3ほどのドーピングを行っていました。
    このオーダーで考えると、k空間におけるバンド構造に何か定性的な 変化は起こりうるでしょうか?
    少ししつこくなってしまいましたが、よろしくお願いいたします。
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    Date: Fri, 13 Jun 2008 00:29:35 +0900
    A3: U君、佐藤勝昭です。
     2E21cm-3もドープすると、Si1-xBxという合金ですね。
    結晶構造がダイアモンド構造を保っているか疑問です。その場合は、 バンド構造が変化している可能性があるでしょうね。このとき、  色が変わるかどうかは、わかりません。
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    Date: Fri, 13 Jun 2008 00:50:08 +0900
    AA: 佐藤勝昭先生
    Uです。ダイアモンド構造が多少崩れ、k空間にも変化が現れる可能性も あるのですね。分かりました。大変勉強になりました。
    お忙しい中、迅速にご回答いただいて有難うございました。
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  • 1096. 六方晶サファイヤの結晶面の名称


    Date: Fri, 13 Jun 2008 13:08:17 +0900
    佐藤勝昭先生
    S**株式会社のY*と申します。こんにちは。
    (公開される際は匿名にてお願い致します。S社のYです。)
    ホームページの物性Q&Aを拝見させていただき、連絡させていただきました。

    現在、六方晶の材料を扱っております。ご存知と思いますが、代表的な結晶面に は、一般的に名前がついております。具体的には、{0001}をC面、{10-10}をM面 、{11-20}をA面、{10-12}をR面、などがあります。
    web上にも、サファイア基板を取り扱っておられる
    京セラ殿のページに絵が描いてあります。

    質問は
    ・他にも名前が付けられている結晶面はあるか?(どのように調べたら良いか?)
    ・立方晶の結晶面には名前はついていないのか?なぜか?
    ・CやMなどのアルファベットはどのような由来でついたのか?
    ・それ以外の特異な結晶面に名前をつけて良いか?(例えばB面など)

    です。誠にお手数とは存じますが、よろしくお願い致します。
                                      以上
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    Date: Sat, 14 Jun 2008 00:12:24 +0900
    A: Y様、佐藤勝昭です。
    SEMIM65-0306によるサファイヤの面方位名称 図をクリックすると拡大

     六方晶サファイヤの結晶面の名称については、SEMIの規格に若干の混乱があり
    2006年に修正が行われ、SEMIM65-0306という国際規格になりました。
    このいきさつは、2007年春の応用物理学会講演会27p-SM-1(半導体B・分科内招待講演)で沖電気の
    佐野芳明さんがまとめて報告されました。そのときのパワポがネットにアップされています。
    pdfファイルを添付します。アルファベットのいきさつは、わかりません。
    佐野芳明さんに聞かれては如何でしょうか。大抵の面は上記規格に出ていますので、勝手に命名しない方がよいでしょう。
     立方晶の場合は(100), (110), (111)などミラー指数で表されるのが普通だと思います。
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    Date: Sat, 14 Jun 2008 10:29:46 +0900 (JST)
    AA: 佐藤勝昭先生
    S社のYです。大変参考になりました。ありがとうございました。
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  • 1097. PN接合の拡散電位を電池として利用できるか


    Date: Sat, 14 Jun 2008 00:55:03 +0900 Q: 佐藤勝昭先生 A****社 K**と申します。 最近、業務の関係で、ダイオードの勉強をしています。
    しかし、下記の疑問がいつも頭をよぎり、勉強が進みません。
    電池は、溶液中のイオンの濃度勾配による移動傾向を打ち消すよう、 電極間に静電ポテンシャルを発生させ平衡に達している。この静電ポテンシャル があるので、電極間に導線をつなぐと電気が流れる。
    一方、PN接合でも、 似たような状況であり、電子とホールの濃度勾配による移動傾向を打ち消すよう、 静電ポテンシャル(拡散電位)を生じる。でも、PとNとに導線をつないでも、 電気は流れそうにありません。
    なぜPN接合に導線をつないでも電流は 流れないのでしょうか?
    お忙しいなか大変申し訳ありませんがご回答よろしくお願いいたします。
    わからないなりの現時点での考え:
    電流は静電ポテンシャルの勾配でなく、静電ポテンシャルを含めた電子の化学ポテンシャルの 勾配によって生じる。
    PN接合では、P側とN側で、静電ポテンシャルを含めた電子の化学ポテンシャルが 平衡状態で同じになっている結果、導線でつないでも電子の移動は起こらない。
    一方、電池では平衡状態でも、正電極と負電極とで、電子の化学ポテンシャルが異なる?
    なぜなら、溶液中を電子は移動できないので、正電極と負電極は独立した系と考える ことができ、化学ポテンシャルが同じでなくてもよい。電子の化学ポテンシャルが異なれば、 導線をつなげば移動するのでは?
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    Date: Sat, 14 Jun 2008 11:24:22 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
     基本的に、あなたのご理解でよいと思います。
     PN接合の拡散電位差の起源を考えてみましょう。
    もともとP型半導体もN型半導体も中性です。(正電荷と負電荷が釣り合っています)
    P型の場合アクセプタ原子核がもつ正電荷不足(見かけの負電荷)とアクセプタから供給されたホールの正電荷とがバラ ンスしています。一方、N型においては、ドナー原子核の余分の正電荷とドナーから供給された電子の負電荷とがバラ ンスしています。
     PNを接合しますと、P側のホールがN側に拡散するとともに、N側の電子がP側に拡散します。
    境界面付近では、電子とホールが再結合し、キャリアがなくなります。すると、もともと中性であったP型半導体側に おいてはホールが消えたので負に帯電しますし、N型半導体側は電子が消えたので正に帯電します。このため、境界面 付近のキャリアのない領域(空乏層)にはP型側がマイナス、N型側がプラスの電気二重層が生じ電場勾配が生じます。
    このことはとりもなおさず境界面付近に電位差が生じたことになるのです。P側のホールのN側への拡散およびN側の 電子のP側への拡散は、いつまでも続くわけでなく、N側が正なのでPからNへのホール拡散はとまり、P側が負なの でNからPへの電子拡散も止まって、バランスします。この状態では、P側とN側の化学ポテンシャルが一致します。
    逆に言えば、化学ポテンシャルが一致するまで拡散がすすみ、もはやそれ以上拡散しなくなったときの電気二重層の電 位差が拡散電位差なのです。だから、PN接合に導線をつないでも電気は流れません。
    しかし、空乏層に光を当てて、 電子とホールの対を作りますと、電子は拡散電位差の正の方(N型側)に進み、ホールはP型側に進み、化学ポテンシ ャルの差ができます。これが太陽電池の原理で、両端に導線をつなぐと電流が流れます。
     一方、電池では、電極のフェルミ準位(=化学ポテンシャル)と溶液のREDOX(酸化還元電位)との電位差のために電極の 酸化/還元がおきるので、もともと中性であったわけではないと考えるべきでしょう。
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    Date: Sat, 14 Jun 2008 20:33:44 +0900
    AA: 佐藤勝昭先生
    早速のお返事ありがとうございます。
    Kです。
    お答えの最後でご指摘されている。”・・もともと中性であったわけではない”とのご指摘が、 何か重要なような気がします。あいにく電気化学の知識がないので腑に落ちるところまで いっていないのですが、早速、電気化学の本を買ってきて、もう少し詳細な電池の理解を 図りたいと思います。お答えの内容を完全に理解し、もし、さらに疑問が生じたときは、大変 図々しいですが、また質問させて頂きます。

    自分の仕事からは脱線気味ですが、何かを心の底から理解できたら気分がいいですよね。

    非常に丁寧なご回答ありがとうございました。
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  • 1098. 皮膜で固定したアルミ線の熱膨張と線膨張


    Date: Wed, 25 Jun 2008 19:17:01 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生へ
    小生は某電機メーカーで設計に携わっておりますNと申します。
    (大変申し訳ございませんが、個人情報公開の際には匿名にしていただきます よう、よろしくお願いいたします)

    熱膨張と線膨張に関しまして検索していたところ、佐藤先生のHPにたどり着きました。
    質問ですが、線径がΦ0.8〜0.6位のアルミ線に厚い皮膜でコーティングして電流を流して発熱させ、 その時のアルミ線の温度を350〜400度まで上昇したとすると、どういった変化が見られるのでしょうか?

    厚い皮膜により、径方向の膨張は抑えられて、長さ方向の膨張のみが起こるのでしょうか?
    また、径方向の膨張が抑えられることにより、長さ方向の膨張は皮膜が無い場合よりも大きく変化するのでしょうか?

    さらに、同じアルミ線を紙管に何層かに巻きつけた後(線全長は40mm位)、接着剤で固め、同じように電流を流して発熱させて場合、線は動けずに、径方向にも 長さ方向にも膨張しないのでしょうか?(この場合、単純に皮膜の強さと接着剤の強さに起因する気はしますが。)

    以上、お忙しいところ大変恐縮ですが、ご回答いただけましたら幸いです。
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    Date: Thu, 26 Jun 2008 07:27:55 +0900 (JST)
    A: N様、佐藤勝昭(スエーデン出張中)です。
     厚い皮膜でコーティングとありますが、皮膜の材質は何でしょうか?手元にデータが ないので、正確なことは言えませんが、プラスチックの場合、400度にも加熱しますと 軟化するので、膨張係数は金属より大きくなっている可能性があります。従って、径方 向の膨張が抑えられるということは無いと思います。
    また、径方向の膨張を抑えるために、膨張係数の小さな金属で覆ったとしたとしますと 、両金属の境界ですべりが起きないとすれば、伸びは覆った金属の膨張係数とアルミの 膨張係数を断面積の重み付き平均したもので決まると存じます。
     コイルを巻いて、接着剤で固めた場合の伸びの評価においても、接着剤が400度で堅 牢であるとは考えられません。
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    Date: Thu, 26 Jun 2008 10:58:37 +0900
    Q2: 佐藤勝昭様
    ご出張中にも関わらず、ご返答いただきありがとうございました。

    皮膜はイソシアヌル酸系のポリエステルイミド樹脂を主体とした絶縁ワニスです。
    また、コイルを巻いた後、硬化させる接着剤ですが、詳しいことはあまり言えませんが、 熱硬化型ワニスを使用します。

    単純にアルミ線を使用の線膨張係数から計算すると、
    40mm使用して300℃まで上昇した場合、
    L=23.1x10^(-6)*40*300≒0.28≒28cm

    となり、ここまで膨張していると、実使用上間違いなく不具合が生じているはずなのですが、 問題は起きていないのが現状です。(巻いた線がほつれてバラバラになることもありません。)

    そこから、接着剤で固められていることにより、膨張が抑えられているのか?
    また、果たして本当に抑えられるものなのか?ということを科学的に知りたかった次第です。
    (皮膜のワニスと接着剤が極端に強固であり、膨張しないためなのでしょうか?)

    お時間の許す時にご返答していただけましたら幸いです。
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    Date: Thu, 26 Jun 2008 13:01:27 +0900
    Q2': 佐藤勝昭様

    お忙しい中、度々のメールで大変申し訳ございません。
    各線が密接に何層かに巻かれた場合、隣り合う線が膨張しようとするが、作用、反作用により その膨張しようとする力が打ち消し合われてゼロとなり、最内外周のみが膨張する。
    もしくは、最内外周もまた、作用、反作用により膨張しないとは考えられますでしょうか?
    雑で申し訳ございませんが、図を添付させていただきます。(
    )
    お時間の許す時にご返答していただけましたら幸いです。
    よろしくお願いいたします。
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    Date: Thu, 26 Jun 2008 13:37:29 +0900 (JST)
    A2: N様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。おっしゃるとおり、何らかの作用・反作用が働いてい ることは確かです。それが何であるか、コイルの熱膨張問題は、物理学の演習問題にな りそうですね。
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    Date: Thu, 26 Jun 2008 14:00:25 +0900
    佐藤勝昭様
    お忙しい中、ご回答いただき実にありがとうございました。
    摩擦や作用・反作用など様々な物理的応力が働いているようですね。
    今後も、現物の変化なども見ながら解析してみます。
    ご出張がご無事であることを心から願っております。
    ありがとうございました。
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  • 1099. MIM構造の容量ー電圧特性

  • Date: Wed, 2 Jul 2008 11:28:57 +0900 (JST)
    Q: 先生始めまして。
    K*大学 修士一年のK*といいます。
    一つお聞きしたいことがありましてメールさせて頂きます。

    修士で研究室を変えまして、新しく半導体の勉強をしています。
    最近までMOS構造に関する勉強をしてきたんですが、最近MIM (METAL-INSULATOR-METAL)構造にも取り組みだして、最近容量ー電圧特性を測りました。

    そこで質問なんですが、MIM構造の容量ー電圧特性は何故直線になるんでしょうか??

    負バイアスをかけたときに単純に反転しないからでしょうか?
    バンド図を描いて考えるんですがどうしても結論に達しません。
    なにか、MIM構造の良い文献や本等がありましたらお教え願えると幸いです。
    もしかしたら色々と考えすぎかもしれませんが、なにぶん勉強始めたばかりなので 考えが追いつきません、時間がありましたらお願いいたします。
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    Date: Wed, 2 Jul 2008 15:34:53 +0900 (JST)
    K君、佐藤勝昭です。
     お返事が遅くなり申しわけありません。
    ・薄いトンネル障壁をもつMIMのトンネル電流による電流電圧特性はよく論じられてい て、Simmonsの式でフィッティングできるので私もやった経験があるのですが、容量は 測定したことがありません。
     通常のトンネル接合では電荷の蓄積が起きないので、容量は一定だと思います。 Simmonsの式の誘導は、
    ドイツのUlm大学の講義ノート が参考になります。
    ・一方、HfO2, Ta2O5などのhigh k絶縁物を挟んだMIMキャパシターは、Si-RF回路など に使われ、注目されていますが、私は研究したことがないのでよくわかりません。それ でネットで調べましたところ、添付のような論文が見つかりました。
    このVCC(=voltage coefficient of capasitance)には、2次の係数αと1次の係数βがあり、 C=C0(1+αV^2 +βV) として表されるようです。
    論文では正の係数のものと負の係数のものをスタックして、VCCを小さくすることができるという話が書いてありますが、αやβの 原因は書いてありません。
    おそらく、何らかのトラッピング(捕捉準位によるキャリア の捕捉)による電荷の蓄積が働いているのであろうとは思いますが、不勉強でよくわか りません。おそらくバンド図で解釈できる話ではないと思うのですが。
    もし、あなたの今やっている研究が、修士論文に関わる研究であるならば、あなたの指 導教員に、尋ねて教えてもらうべきです。研究室を変わったのなら、わからなくて当た り前なのですから。
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    Date: Thu, 3 Jul 2008 11:29:25 +0900 (JST)
    AA: 先生、お忙しい中こんなにも丁寧にお返事頂いて本当に嬉しいです。
    基本的に私の研究室は全て自分で考えろ、的な方針で、MIMに関しても自分自身でやっていて、得られた結果も自分で咀嚼しているんですが、分からないことだらけです。
    MIMの容量に関しても当たり前やろ!的な雰囲気だったので質問できる人もおらず、ずっと一人で考えていました。

    先生に教えていただいた事をヒントにしてもう少し深く考えてみたいと思います。有り難うございます。
    これから暑くなりますがお体に気をつけてお過ごしになって下さい。
    どうしても分からない時はまた質問させて下さい。
    あつかましくてすいません。

    では、失礼します。
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  • 1100. ワイヤグリッド偏光子


    Date: Tue, 8 Jul 2008 10:13:23 +0900
    Q: 佐藤先生

    はじめまして、E*社のM*と申します。(すみません、もしHP掲載時には匿名希望です。)
    先生のHPを見て、是非教えていただきたいことがあります。

    今、Wire-grid Polarizerの試作を検討しているのですが、光の電場がワイヤーと平行になった ときの素子の反射率とワイヤの径の関係についてわからないことがあります。

    例えばYAGレーザ(波長1064nm)に対し、ワイヤ間隔500nm、ワイヤ径50nmのAuでグリッドを 作った場合、ワイヤ間隔が波長の1/2以下なので、光の電場がワイヤーと平行になったとき AuのYAGに対する反射率(99.2%)が得られると期待しているのですが、直感的に自信が持てま せん。

    もし、ワイヤグリッドでなく、厚み50nmのAuの薄膜を用意してこれにYAGレーザを入射すれば AuのYAGに対する侵入深さが10nm程度なので、間違いなく反射率は得られると思いますが、 ワイヤグリッドは間隔500nm、径50nmなので、面積的には1/10しかありません。
    光の反射率は導電率とキャリア密度で決まるとおもうのですが上記のように面積的に制限を加 えた場合、どのように扱って反射率を見積もればよろしのでしょうか。

    お忙しいところ恐縮ですがご指南いただければ幸いです。
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    Date: Thu, 10 Jul 2008 01:19:57 +0900
    A: M様、佐藤勝昭です。
     私は、ワイヤグリッド偏光子を授業や著書で紹介しているのですが、実際に 設計したり使ったりした経験はないのです。
     定量的な値はきちんとした回折理論で扱うべきものであると思います。
    ご参考になるかどうかわからないのですが、
    X. J. Yu and H. S. Kwoka: Optical wire-grid polarizers at oblique angles of incidence:
    JOURNAL OF APPLIED PHYSICS VOLUME 93, NUMBER 8 15 APRIL 2003
    に回折理論を用いた解析が出ています。読んでみて下さい。
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    Date: Thu, 10 Jul 2008 09:33:30 +0900
    AA: 佐藤先生
    早速ご回答いただきましてありがとうございます。
    教えていただいた論文を元に基本的な理論を勉強してみます。
    重ねてお礼申し上げます。
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  • 1101. FTIR分析ATR法に最適なプリズム


    Date: Fri, 11 Jul 2008 11:30:43 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生
    はじめまして。
    私、T**社のS*と申します。
    (公開時は匿名でお願いします)
    FTIR分析のATR法について、勉強しております。
    プリズムとして使用されるセレン化亜鉛の結晶構造は 単結晶と多結晶のどちらが適しているのでしょうか。
    あるいはどちらも同じなのでしょうか。
    ご回答いただければ幸いです。
    よろしくお願いします。
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    Date: Fri, 11 Jul 2008 12:25:16 +0900 (JST) A: S*様、佐藤勝昭です。
     セレン化亜鉛結晶は立方晶で等方性なので、単結晶でも多結晶でも本来屈折率にちがいがありません。
    ただ、私見ですが、多結晶の粒径によっては、短波長の散乱が増える可能性があります。
    透過波長領域を注意してください。また、液体に漬けて測定する場合は、単結晶の方が よいのではないかと思います。粒界から液体が侵入する可能性があります。
    いずれにせよ、メーカーによくお尋ね下さい。
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    Date: Fri, 11 Jul 2008 16:12:31 +0900
    AA: 佐藤勝昭先生
    ご回答いただきまして、ありがとうございます。
    IR装置のメーカーの方に聞いてみます。
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  • 1102. 赤色LEDの光を当てたとき青色LEDの光電流が流れないわけ


    Date: Fri, 11 Jul 2008 16:32:05 +0900
    Q: C**大学1年のY*というものです。電気回路のことでわからないことがあるので教えていただけないでしょうか?
    「添付した回路で赤色発光ダイオードの光を青色発光ダイオードに照射しても光電流が観測出来ない理由は?」
    という問題です。お忙しいとは思いますが何とぞよろしくお願い致します。
    また、Webのアップは匿名でお願いします。
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    Date: Fri, 11 Jul 2008 17:10:32 +0900 (JST)
    A: Y君、佐藤勝昭です。
     授業での演習問題ですか?ヒントだけ差し上げましょう。
    青色LEDに使われているバンドギャップと赤色LEDに使われている半導体のバンドギャッ プを比べてください。LEDから光電流が流れるためには、光のエネルギーがバンドギャ ップを越えていなければならないことを思い出してください。
    なお、波長λ(nm)と光子エネルギーE(eV)の関係は、E=1234/λです。赤色LEDの波長λ=650nm, 青色LEDの波長は450nm付近です。これらは、それぞれに使われている半導体のバンド ギャップにおよそ対応します。
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    Date: Fri, 11 Jul 2008 17:44:00 +0900
    AA: ヒントありがとうございます!ヒントを元に自分でもう一度考えてみたいと思います。
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  • 1103. TM入射光に対するブリュースター角の求め方


    Date: Sat, 19 Jul 2008 12:19:20 +0900
    Q: TM入射時の反射係数が0となったときの,入射角θ(ブルースター角)の求め方を お聞きしたいのですが。お願いします。
    武蔵工業大学 植村 惇史
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    Date: Sat, 19 Jul 2008 15:55:25 +0900
    A: 植村君、佐藤勝昭です。
     理論的な式の導き方が知りたいのでしょうか。
    小生の著書「光と磁気(改訂版)」第3章3.5に斜め入射の反射の式の導出が出ています。 TM入射とは光学の言葉ではp偏光です。
    Webに
    光と磁気3.5-3.7節のpdf がアップしてありますので読んで下さい。(3.70)式(分母の符号が間違っていますが・・。)
    Rp=|(N2(cosΨ)2-{N2-(sinΨ)2}1/2|2/|(N2(cosΨ)2+{N2-(sinΨ)2}1/2|2
    ここにNは複素屈折率N=n+ikです。
    消光係数k=0の場合にはN=nです。Rp=0となるためには、
    (n2(cosΨ)2-{n2-(sinΨ)2}1/2=0
    これより
    (n4-1)(cosΨ)2=n2-1
    従って
    cosΨ=1/(n2+1)1/2
    となります。例えば、n=3とすると
    cosΨ=1/1/2
    これよりΨ=71.56°となります。
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  • 1104. n形およびp形半導体のキャリア密度の温度変化


    Date: Sat, 26 Jul 2008 03:35:07 +0900
    Q: はじめまして、私はH*大学のJ学科に所属しておりますS*と申します。
    HPへの掲載は匿名でお願いします。「物性何でもQ&A」のHPをいつも拝見させ ていただいております。
    さっそく質問なんですがN型半導体とp型半導体における電子密度の温度特性につい て、よくわからないので詳しく定性的に説明してください。
    お忙しいと思いますが、御教授のことよろしくお願いします。
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    Date: Sat, 26 Jul 2008 17:47:12 +0900 (JST)
    A: S様、佐藤勝昭です。
     学生さんですか?その場合はコースと学年を書いてくださいね。学んでいる基礎によ って教える方法が異なるからです。
    貴学J学科電子情報コースのカリキュラム表によれば、物性工学、半導体デバイス工学 が3年次の必修となっています。あなたの質問内容は物性工学で学んでいるはずです。
    情報工学コースの場合には、物性関係がありません。物性を学んだことがあるかどうかで、 説明の仕方はすっかり変わります。
     とりあえず、物性を学んでいるとして話を進めます。
    n型やp型のいわゆる外因性半導体では、n型の場合は伝導帯の底からΔEdだけ低いエ ネルギー位置にドナー準位が、p型の場合は価電子帯の頂からΔEaだけ高いエネルギー の位置にアクセプタ準位があります。これらは、それぞれ、ドナーにとらえられた電子 の束縛エネルギー、および、アクセプタにとらえられたホールの束縛エネルギーです。  キャリア密度の温度変化を横軸を1/Tにとり縦軸をキャリア密度の対数をとって表し た図を添付します。(このようなプロットの仕方を提唱したスエーデンの科学者アレニ ウスにちなんでアレニウスプロットといいます。)
    n型を例にとって話をしますと、ΔEd>>kTであるような低い温度では、電子はドナーに 捕まったままで、伝導帯に電子はほとんどありません。温度が上がるとドナー電子のう ちボルツマン分布に従うexp(-ΔEd/2kT)の分だけが、伝導帯に供給されます。(これは 、難しく云うとフェルミ分布のすそがボルツマン分布で近似できることによるのですが ・・) 従って、横軸を1/T縦軸を対数にすると、添付図の右側のようなゆるい傾きの プロットになります。
    さらに温度Tが上がると-ΔEd/2kTは限りなくゼロに近づいて、exp(-ΔEd/2kT)は1に近 づきます。すなわち、ドナーの電子が全て活性化します。キャリア密度波温度に対しほ ぼ一定になります。これを出払い領域とか飽和領域といいます。
    さらに温度が高くなると、真性半導体と同様の価電子帯から伝導帯への遷移が起きて、 exp(-Eg/2kT)の形で温度変化します。これが、図の左端です。
    これが、定性的な説明です。詳しくは、佐藤勝昭編著
    「応用物性」 第2章のp.41付近(名大竹田先生執筆部分)をお読み下さい。
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  • 1105. 半導体のフェルミ準位はなぜ禁制帯の真ん中に来るか


    Date: Tue, 29 Jul 2008 19:00:55 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生
    お世話になります。
    私はS**社のG***と申します。
    Webに掲載する際は匿名でお願いします。

    基本的なことですが大事なことだと思うので質問させてください。
    なぜ、フェルミエネルギーは半導体、絶縁体の場合には伝導帯と価電子帯の間の 禁止帯の中にあるのでしょうか? 教科書などで普通に書かれていることですが、どうも納得いきません。 金属の場合には電子をバンドの底から詰めていき、その数が系の全電子数になっ たところの電子のエネルギーですが、
    その定義をそのまま絶縁体や半導体で使うと価電子帯の一番上のところがフェル ミエネルギーの位置になるのではないかと思うのです。
    また、禁止帯の位置には電子が存在できないのにフェルミエネルギーが そこにあるのもよくわかりません。
    何かの数学的導出で真ん中に来ると証明されるのでしょうか?
    それとも、便宜的にその位置にしたということなのでしょうか?

    お忙しいところ申し訳ありませんが、お返事いただけるとありがたいです。
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    Date: Wed, 30 Jul 2008 00:16:06 +0900
    A: G様、佐藤勝昭です。
    「禁止帯の位置には電子が存在できないのにフェルミエネルギーがそこにあるのもよくわかりません」
    という質問から答えましょう。フェルミ分布というのはフェルミ統計に従う 粒子がどのエネルギーにどれだけ分布するかをあらわす単なる分布関数です。
    一方、固体の電子構造から決まる状態密度関数g(E)があります。半導体では、 価電子帯、伝導帯に状態密度があって、禁制帯には状態がありません。
    状態密度g(E)と分布関数f(E)をかけたのが実際の電子の占有状況です。

    状態密度関数g(E)は劇場や教室の席がどう配置されているかをあらわすもので、 席のあるところが価電子帯と伝導帯に相当します。途中に席のない横列(通路) がありますが、それが禁制帯に相当します。この席にどのように学生が着席する かをあらわすのが、フェルミ分布関数f(E)です。

    真性半導体では、禁制帯(通路)のまんなかにフェルミ準位Efがあって, エネルギーEの状態を占める確率は、フェルミ分布f(E)=1/[1+exp{(Ef-E)/kT}] で記述されます。T→0のときE>Efならexp{(Ef-E)/kT}=exp(-∞)=0なので、 f(E)=1, E>Efなら、exp{(Ef-E)/kT}=exp(+∞)=∞なので、f(E)=0です。
    E=Efにおいては、exp{(Ef-E)/kT}=exp(0)=1, f(Ef)=1/2となります。
    劇場でいえば、前から席が詰まっていき、通路より後ろはだれも座っていないのが 絶対零度での着席状況です。通路の真ん中にEfがあるので、ここのf(E)は1/2です が席がないので、人は座っていません。

    それでは、「なぜ、フェルミエネルギーは半導体、絶縁体の場合には伝導帯と 価電子帯の間の 禁止帯の中にあるのでしょうか?」に答えましょう。
    これは、真性半導体の場合に限られます。伝導帯の電子密度をn、価電子帯の 価電子帯のホール密度pとすると、
    n=Nc exp{(Ef-Ec)/kT}  (1)
    p=Nv exp[(Ev-Ef)/kT}  (2)
    と表されます。ここに、Nc, Nvは、それぞれ、伝導帯電子に対する実効状態密度 および価電子帯ホールに対する実効状態密度です。これより、(1)(2)の積から  np=NcNv exp{(Ev-Ec)/kT} (3)
    真性半導体では、n=p=ni ですから、
    ni^2=NcNv exp{(Ev-Ec)/kT}=NcNv exp{-Eg/kT}
    これより、
    ni=(NcNv)^(1/2) exp{-Eg/2kT} (4)
    一方、
    (1)/(2)=1より
    (Nc/Nv)exp[{2Ef-(Ec+Ev)}/kT]=1
    これより、
    Ef=(Ec+Ev)/2+(kT/2)ln (Nc/Nv) (5)
    となります。従って、Nc〜Nvとすると、Ef=(Ec+Ev)/2(伝導帯の底と価電子帯の頂の平均値) にすなわち禁制帯の真ん中に来ます。
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    Date: Wed, 30 Jul 2008 00:46:54 +0900 From: Takeshi Goto AA: 佐藤先生

    お返事ありがとうございました。
    大まかには理解できたと思います。
    先生の文章をよく読んで更なる理解に努めたいと思います。
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    Date:Wed, 30 Jul 2008 09:18:06 +0900 (JST)
    A2: G様、佐藤勝昭です。
     詳しくは、佐藤勝昭編著応用物性
    第2章2.1節(名大竹田教授執筆部分)のp30-34を丁寧にお読み下さい。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 30 Jul 2008 18:42:45 +0900
    AA2: 佐藤先生
    お世話になっております。Gです。
    ご親切にここまでしていただけるとは 正直思っておりませんでしたので とても驚いております。
    勉強させていただきます。
    本当にありがとうございました。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1106. ポリウレタンチューブからの溶出


    Date: Tue, 22 Jul 2008 09:35:55 +0900
    Q: 佐藤勝昭殿
    この度HPを見てメールさせていただきました。
    物性変化につてどうしても気になることがあります。
    ポリウレタンチューブに
    エタノール80%
    メタノール20%
    イソプロピルアルコール2%
    ノルマルプロピルアルコール8%
    の混合溶液を流した場合に物性変化でポリウレタン中に含まれる物質が溶出する 可能性はあるでしょうか?
    また、溶出するか可能性がある物質名をおしえてください。

    株式会社S** 濱田
    HPに記載する場合は社名を伏せていただけると幸いです。
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    Date: Sat, 2 Aug 2008 20:59:02 +0900
    A: S社濱田様、佐藤勝昭です。
     お返事が遅くなり申し訳ありません。
    1093C. 質問#1093へのコメントにありますように、「分子と分子をウレタン結合でつないだのがウレタン樹脂、エポキシ結合でつないだのがエポキシ樹脂です。
    こういった材料のバルク特性は、結合と結合の間の分子に左右されることが一般的ですので、そこがどんな化学式をしているのかがはっきりしていないと、バルクの特性はわかりません。」
    従って、ポリウレタンチューブに使われている分子の化学式がわからないと、何が溶出するのか判断できません。
    メーカーさんに聞くしかないのではないでしょうか。
    なお、
    財団法人 化学物質評価研究機構【CERI】 が、ポリウレタンチューブの変色の研究をするなど、化学物質の安全性評価に関わる様々なご調査、研究をやっていま すので、何か情報があるのではないかと存じます。お問い合わせになってはいかがでしょうか。
    ---------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1107. 高濃度ドープ半導体の活性化エネルギー


    Date:Thu,14 Aug 2008 10:29:04 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生
    はじめまして、某メーカー研究所勤務のK*と申します。普段から先生のHPを活用さ せて頂いております。
     小生、若輩ながら半導体の研究開発に携わっているのですが、現在取り組んでいる実 験とデータ解釈に関してどうもよく分からない事項を抱えており、先生の御知恵を拝 借できればと思い不躾ながらメールさせて頂きました。あつかましいお願いで恐縮で すが宜しくお願い申し上げます。web公開の際は匿名でお願いいたします。
     あるワイドバンドギャップ半導体に高ドーズのイオン注入を行い、アニールで活性化 させて高濃度ドープ(〜1e20cm-3ぐらい)の半導体を作製し、その電気特性を調べてい ます。シート抵抗の温度依存性(−223〜573K)を評価してアレニウスプロットした結 果、綺麗にプロット上に乗りました(活性化エネルギーEa〜70meV)。ただ、濃度が濃 度なだけに、バンド伝導だけではなく、不純物バンドのホッピング伝導も考慮する必 要があるのではと考えています(ちなみに温度依存性は十分にあるので、縮退はして いないと思います)。そのためホッピング伝導の温度依存性が気になり、当HPで先生 のホッピング伝導に関する記述を読ませて頂いて、ホッピング伝導に関わる伝導率が exp(-E/kT)、可変領域ホッピングの場合はexp(-E/kT^(1/4))に比例することを教えて 頂きました。ここで質問なのですが、「ホッピング伝導」と「可変領域ホッピング」 の違いを教えて頂けませんでしょうか。色々と調べた印象ではフォノン等のアシスト があるか否か、といった話なのかなあと漠然と感じているのですが、明快な記述が見 当たらず困っている次第です。質問事項としては、以下の2つです。

    1. 可変領域ホッピングとは何か(普通の??ホッピング伝導と比較して)
    2. 導電率が1/Tの1乗のアレニウスプロットに乗っている場合に、バンド伝導と普通 の??ホッピング伝導を並列的に考えるというモデルは間違いではないか(正解かどう かは別として)

    長文かつ読みづらい文章で申し訳ありません。御迷惑でなければ、お手数ではござい ますが、御教授頂ければ幸いです。

    よろしくお願い申し上げます。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 14 Aug 2008 14:23:59 +0900 (JST)
    A: K様、佐藤勝昭です。
     ワイドギャップ半導体における高濃度ドーピングの問題は、それほど簡単ではないと思います。
    10^20 cm^-3 もの高濃度ドープをしても、キャリアの活性化率がそれほど高くないので はないかと存じます。その証拠に縮退していません。それはさまざまな補償メカニズム が働くからです。
    223〜573Kというような高温でシート抵抗が普通の活性型で活性化エネルギー70meVとい うのは、通常の不純物準位からバンドへの活性化のメカニズムを考えればよいのでは無 いでしょうか。
    高濃度ドープしたことによる格子の乱れによるアンダーソン局在が強ければ、variabl e range hoppingが起きますが、exp(-E/kT^1/4)の形を取るのは低温だけです。
    ---------------------------------------------------------------------------------------------
    Date:Sun, 17 Aug 2008 02:19:22 +0900
    Q2: 佐藤勝昭先生

    御礼が遅くなり申し訳ありません、Kです。表題の件に関しまして貴重な御助言あ りがとうございました。実は、ドーズ量が同等にも関わらず、注入の仕方によって活 性化エネルギーが変化するような現象が見られており(結晶欠陥密度が高い程、活性 化エネルギー低い〜70meV)、不純物バンドやバンドテイルを絡めて説明できないもの かと浅学ながら頭を捻っております。例えば、結晶歪が比較的大きな系においては、 より高密度のバンドテイルが形成されることで不純物バンド内のホッピング伝導が促 進されて(伝導パスが増えて)、通常のバンド伝導の活性化エネルギーとは異なる値が 得られる、などということはあり得る話でしょうか。あるいは、実証する方法はあり ますでしょうか。重ね重ね申し訳ありませんが、御教授頂ければ幸いです。
    よろしくお願い申し上げます。
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    Date:Sun, 17 Aug 2008 11:39:47 +0900 (JST)
    A2: K様、佐藤勝昭です。
     メール有り難うございます。
    電気伝導率σはキャリア密度nと移動度μに比例します。
    電気伝導率がexp(-ΔE/kT)という活性型をとるとき、
    @キャリア密度nがn=n_0 exp(-ΔE/kT)の形をとることによる場合と
    A移動度μがμ=μ_0 exp(-ΔE/kT)の形をとることによる場合とがあります。

    @の場合は、ボルツマン分布によるもので、活性化エネルギーΔEは n-typeの場合、伝導帯の底のエネルギーEcと、フェルミ準位Efとすると
     ΔE=(Ec-Ef)/2 です。
    この場合、高濃度ドープでフェルミ準位が高くなればΔEは小さくなります。
    これだと、欠陥が多くなるのは高濃度ドープの結果であって、欠陥が多いことが原因で はないでしょう。

    Aの場合がホッピング伝導です。ポテンシャル障壁を熱的に越えて、キャリアが伝わる メカニズムです。
    この場合、欠陥密度が多くなって、乱れが増大すると、局在化が進み、活性化エネルギ ーΔEが増大するはずです。

    ホッピング伝導と拡散伝導が共存する場合のことをお尋ねですが、ホッピング伝導によ る移動度は、通常は0.1cm^2/Vs程度、大きくてもせいぜい1cm^2/Vsのオーダーであり、 拡散伝導の移動度(10^3 cm^2/Vs以上)に比べ、桁違いに小さいので、通常はホッピン グの寄与を無視しても差し支えないと思います。

    どうやって、検証するかですが、ホール効果を用いてキャリア数の温度変化を測定し、 電気伝導率の温度変化と比較して、移動度の温度変化を求めます。一般に、ホッピング 伝導ではホール効果を測ることは出来ませんので、TOF(time od flight)などの方法で 移動度の測定を行います。

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    Date: Tue, 19 Aug 2008 00:06:27 +0900
    AA: 佐藤勝昭先生
    Kです。表題の件、もう少しデータを貯めて考察を進めたいと思います。有意義な 御助言ありがとうございました。
    -------------------------------------------------------------------------------------------------
  • 1108. IH土鍋の銀ペースト


    Date: Mon, 25 Aug 2008 12:26:36 +0900
    Q: 佐藤勝昭様

    「物性なんでもQ&A」を拝見して、初めてメールいたします。
    私はM**社という会社で技術開発をしておりますA*と申します。
    (もしWeb記載されるようなら匿名でお願いします)

    わが社ではIH調理器に使用する土鍋を製造しています。
    発熱体として銀ペーストを使用しています。

    元々銀は抵抗値が低いので、厚膜にすると発熱せず、それを薄膜 にすることにより加熱できる、というのが、一般によく聞く話です。
    (何十年か前のSONYの特許)

    今まで開発生産している中で、銀ペーストの厚みですが、ある程度 の厚みより薄くしていくと加熱され難く(出力が落ちる)なるという傾向 にあります。
    出力を落とさずに、もっと厚みを薄くしたい場合、銀ペースト自体の抵抗を 下げる方向にすればよいのでしょうか?

    電流は表皮だけ流れ、加熱されているでしょうか?
    (その場合厚みは関係しないのでしょうか)

    分かり難い質問で申し訳ありません。
    膜の抵抗、膜厚、電磁波の浸透深さなど、出力(Power)に関わる要因 など、わかる範囲で教えていただけませんか?
    もしそのような説明の書かれている本をご存知であれば、教えて いただけませんか?
    お手数だと思いますが、よろしくお願いします。
    -------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 27 Aug 2008 14:10:10 +0900 (JST)
    A: A様、佐藤勝昭です。
     お返事が遅くなって申しわけありません。
     電磁波の表皮深さはδ=(2/ωμ0σ)1/2と表され、電磁波の角振動数ωと、導電率σ の積の平方根に反比例します。材料と周波数が決まれば決まる量です。およその見積も りで20kHzの電磁波は銀ペーストに2.5mm侵入します。銀ペーストの厚みがδより厚けれ ば、電磁波が全部銀ペーストに吸収されますが、これより薄いと電磁波の一部は通り抜 けるので、加熱が弱くなるのでしょう。もちろん、σが大きくなれば、δが小さくなる ので、よいのでしょうが、焼結できて低抵抗になるものとしては、銀ペースト位しかな いと思います。
     なお、IH土鍋の銀ペーストに関しての文献はほとんどなく、かろうじて添付の佐賀県 窯業技術センターのものしか見つかりませんでした。
    報文を添付しておきます。佐賀県窯業技 術センターにお聞きになっては如何でしょうか。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 28 Aug 2008 08:31:57 +0900
    AA: 佐藤様
    おはようございます。早速のお返事ありがとうございます。
    先生のおかげで導電率と表皮深さの関係がわかりました。
    わが社はM県にあり、近くにM県窯業試験場というのがあります。
    佐賀県窯業技術センターと、技術的な交流もあると思いますので、 まずは一度M県のほうに相談してみます。
    -----------------------------------------------------------------------
  • 1109. シロキサンの水への溶解度


    Date: Wed, 27 Aug 2008 14:17:10 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    初めてメールを差し上げます。
    S**社のH**と申します。尚、WEBに出す時は匿名(S社H)として頂きたくお願い いたします。
    先生のHPで「物性なんでもQ&A」を拝見しました。 質問させて頂きたくメールをいたしました。

    質問
    下水汚泥のメタン発酵によって発生するバイオガスを 精製してのバイオガスの燃料化を検討していますが、 バイオガス中に含まれる微量のシロキサンを水接触で 除去したく考えています。シロキサンの水に対する溶解度 (温度、圧力による影響も含めて)を教えて頂きたく宜しく お願いいたします。
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 27 Aug 2008 18:37:32 +0900 (JST)
    A: H様、佐藤勝昭です。
    申し訳ありませんが、私は、専門ではありません。
    シロキサンの化学式は、H3SiO-(H2SiO)n-SiH3 と書かれ、nの値によって性質も変わるようです。
    この形のままでは、溶解度は低そうですね。

    http://www.nikkeibp.co.jp/style/eco/report/070619_cng/index.html に神戸市・神鋼の試みが出ています。
    http://www.engineer.or.jp/dept/mech/record/document/document2005/document0510-1.pdf には活性炭による除去のことが書いてあります。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 28 Aug 2008 11:47:41 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
    早速のご回答、有難うございました。
    シロキサンは最近話題になった物質で、なかなか 文献がありません。こんな中でご苦労頂き有難う ございました。今後とも宜しくお願いいたします。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 20 Sep 2008 15:20:43 +0900
    佐藤勝昭です。
     なんでもQ&Aをごらんになった米国化学会社のS様より、コメントをいただきました。
    詳細は、直接、S様に御連絡下さい。
    -------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 20 Sep 2008 15:47:12 +0900
    佐藤先生
    お世話になっております。
    シロキサン溶解度の件, 貴重な情報を頂き、有難うございました。
    検討させて頂きます。追って米国化学会社S様へ直接ご相談させて頂きます。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 1093C. 質問#1109へのコメント


    Date: Wed, 17 Sep 2008 15:32:31 -0500
    C: 佐藤先生、
    米国化学会社Sです。
    完全にタイミングがずれましたが、
    質問1109(シロキサンの溶解性)についてコメントを差し上げます。
    活性汚泥に含まれるシロキサンは、ほとんどがシャンプーやリンス由来のものですが、正式にはポリジメチルシロキサン(略称PDMS)です。従って、先生が書かれた化学式のHを全てCH3に置き換えたものが、問題となるシロキサンです。この構造からわかるように、水への溶解性はゼロと考えてよく、水を用いての除去は不可能です(逆に油層には来ますけど)。
    ただし、中性ではない水(酸性かアルカリ性)によってPDMSは加水分解し、最終的には水溶性のシラノール種に変換されます。シラノール種とは、SiOHを含む化学物質の総称です。
    また、地中では粘土と接触することによって分解されることも知られています。
    PDMSの汚泥中での挙動や、粘土による分解については、多くの文献が発表されています。例としてhttp://www.dowcorning.com/content/publishedlit/01-1113-01.pdf をあげておきますが、GoogleでPDMS fate in sludge を検索すれば、たくさん出てきます。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 18 Sep 2008 05:52:48 +0900 (JST)
    A:S様、佐藤勝昭@ベルリンです。
     お久しぶりです。コメントありがとうございます。
    帰国次第、HPを更新します。今後とも、宜しくお願いします。
    -------------------------------------------------------------------------
  • 1110. 黄銅の熱伝導率の温度係数


    Date: Thu, 28 Aug 2008 18:55:41 +0900
    Q: はじまして。
    私は伸銅品メーカーS社に勤務しておりますKです。
    突然ですが質問させて下さい。
    伸銅品というのは温度によって、熱伝導率・電気伝導率は変わってくるのでしょうか? 一般的に純銅は温度が高くなるにつれて熱、電気伝導率は下がるので、伸銅品も同様 だとは思うのですが、
    具体的に常温と115℃における数字の違いというのはお分かりになりますでしょうか?
    ※C3604(快削黄銅) フラットバー4X12 及び 6X16 です。

    突然の質問で大変もうしわけございません。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 28 Aug 2008 19:30:19 +0900 (JST)
    A: K様、佐藤勝昭です。
     ちょっと調べてみましたが、黄銅の熱伝導率の温度係数までは載っている書物が見つ かりませんでした。JISは調べていません。ひょっとしたら、あるかも。
     金属の熱伝導は、格子振動による寄与は少なく、ほとんどが電子によって担われています。
    電子による熱伝導率Kと電気伝導率σの間には、Wiedeman-Franzの法則が成り立ち、
     K/σ=LT
    と表されます。従って、電気伝導度の温度依存性がわかれば熱伝導率の温度依存性も推測できます。
    金属の電気伝導率の表 によりますと、銅の電気抵抗の温度係数は4.3×10-4(/K)に対し、黄銅のそれは10×10-4(/K)となっています。従って、銅の2倍ちょっと温度変化するようです。 ところが、 熱伝導率の表 によれば、銅の熱伝導率は
    25℃125℃225℃
    401400398 (W/m K)
    となっており、25℃から125℃に加熱したとき、温度係数は-1/400/100=-2.5×10-5という電気伝導の温度係数より小さな値です。
    黄銅の熱伝導率の温度係数はわかりませんが、せいぜいその倍程度と考えてはいかがでしょうか。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 1 Sep 2008 09:55:35 +0900
    AA: 佐藤勝昭様、Kです。
    詳しく教えていただき大変ありがとうございます。非常に助かりました。
    --------------------------------------------------------------------------------------
  • 1111. emu/gからμBへの換算


    Date: Fri, 5 Sep 2008 11:27:33 +0900 (JST)
    Q: 佐藤勝昭先生
    W大学3年のKと申します。匿名でお願いします。
    今、磁性体について勉強をしていて、行き詰った問題があるので質問させてください。
    [emu/g]を[μB/(Mn+Fe)]に換算したいのですが、どうすればよいかわかりません。
    例えば、5emu/gのMnFe2O4があった場合、[μB/(Mn+Fe)]に換算しようとするにはどうすればよいのでしょうか?
    そもそも、[μB]という概念があまりわかっておりません。
    大変お忙しいのは重々承知いたしておりますが、お教えくださいますでしょうか。
    宜しくお願い致します。
    ----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 6 Sep 2008 16:03:27 +0900 (JST)
     ボーア磁子というのは水素原子のもつ磁気モーメントを表す単位です。
    大きさは、 9.274 009 15(23) × 10-24 J・T-1 (SI)
    または、9.274 009 15(23) × 10-21 Erg・Oe-1です。
    例えば、Mn2+イオンの軌道配置は3d5なので、高スピン配置では磁気モーメントは5μBです。
    MnFe2O4が正スピネルであるとすれば、Mn2+(3d5=5μB)がAサイトを占め、Fe3+(3d5=5μB)が Bサイトを占め、AサイトとBサイトが反強磁性結合するので1分子あたりの磁気モーメントは5μBになるはずです。
    1モルあたりにするアボガドロ数NA=6.02×1023倍になりますから、1モルあたりの磁気モーメントの大きさは 5×6.022×1023×9.274×10-21=2.792×104emuとなります。
    これを1モルあたりの分子量229.6で割ると、飽和磁化の大きさは121.6emu/gとなります。
    実際には、部分的逆スピネル構造をとり、部分的にMn2+がBサイトに、Fe3+がAサイトに 入ったりするのでこの値より小さくなります。
    完全な逆スピネルだと1分子あたり4μBになるので、97emu/gになります。
    1分子あたりnμBとすると、24.32n[emu/g]となります。
    あなたの場合、飽和磁化が5emu/gしかないので、分子あたりの磁気モーメントは0.216μBです。
    このモーメントはMn+Feから来ているので0.216μB/(Mn+Fe)と書けるでしょう。
    ということで、あなたのMnFe2O4は、本当に出来ているのかどうか不明です。
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 8 Sep 2008 09:19:18 +0900 (JST)
    AA: 佐藤勝昭先生
    大変参考になりました。
    ありがとうございました。
    --------------------------------------------------------------------------------------
  • 1112. ダイヤモンドのバンドギャップ以下の光の浸入長


    Date: Sat, 6 Sep 2008 22:36:57 +0900
    Q: 佐藤先生
    K*大学物4年のI*と申します。(Web up時は匿名でお願いいたします)
    物性なんでもQ&Aは、よく分かっていなかったことを丁寧に解説してくださっていて、いつもありがたく拝見しています。
    初歩的な質問で恐縮ですが、メールさせていただきました。

    バンドギャップよりも大きいエネルギーをもつ励起レーザーの侵入長は、吸収係数の逆数程度ということは分かるのですが、 バンドギャップよりも小さいエネルギーをもつ励起レーザーの侵入長は、どのように求めればよいのでしょうか?

    私は現在、ワイドバンドギャップ(5.5eV)半導体であるダイヤモンド薄膜のラマン測定を研究テーマにしているのですが、
    励起レーザーのエネルギーが物質のバンドギャップよりも小さい時、レーザー光は物質を透過する(侵入長が無限長になる)と思っていたのですが、 ダイヤモンド薄膜のラマン測定をしている論文を探していると、244nm(5.08eV)のバンドギャップ以下のエネルギーをもつ励起光でも侵入長が短くなり、 薄膜の情報が得られることが分かりました。

    すみませんが、お時間のあるときに、ご教授いただければ幸いです。
    よろしくお願いいたします。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 7 Sep 2008 00:43:07 +0900 (JST)
    A: I君、佐藤勝昭です。
     ダイアモンドの吸収端付近の光学定数の表をPalik Optical Constant of Solids IIから抜粋します。

    光子エネルギー
    (eV)
    波長(μm)屈折率n消光係数k
    7.50.16533.3210.553
    7.30.16983.3760.473
    7.10.17463.4440.210
    7.00.17713.3229.35×10-2
    6.80.18233.1463.44×10-2
    6.60.18793.0311.47×10-2
    6.40.19372.9449.87×10-3
    6.20.20002.8368.62×10-3
    6.00.20662.8267.99×10-3
    5.80.21382.7805.02×10-3
    5.60.22142.7401.48×10-3
    5.30.23392.6882.98×10-3
    4.820.2582.6141.47×10-3

    nは屈折率、kは消光係数です。
    吸収を表すのが消光係数kです。吸収係数αをkと波長λを使って表すと
      α=4πk/λ
    と書くことが出来ます。
    本来の吸収端は7.0eV付近にありますが、kは吸収端より低いエ ネルギーでも有限の値をもちます。これは、ダイヤモンドに含まれる窒素などの不純物 や空孔などによるものです。
    5.3eV付近でのkは、k=2.98×10-6の値をもっています。浸入長はd=1/αの程度です。
    d=λ/4πk=0.2339×10-4cm/(4π×2.98×10-6)=6.25×10-1cm
    となります。0.625mmしか侵入できないのです。
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    Date: Sun, 7 Sep 2008 14:03:24 +0900
    Q2: 佐藤先生
    K大学4年のIです。
    とても早い返信で、ありがとうございます。

    バンドギャップよりも小さいエネルギーをもつ励起光でも、 ダイヤモンドに含まれる窒素などの不純物や空孔がつくる準位の励起に使われるため、 吸収される、ということでしょうか。

    間違っていたら、ご指摘いただければ嬉しいです。
    すみませんが、よろしくお願いいたします。
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    Date: Sun, 7 Sep 2008 15:46:35 +0900 (JST)
    A2: I君、佐藤勝昭です。
     君の理解の通りです。一般に、どんな半導体でもsubgap absorptionと言って、バン ドギャップでピッタリと吸収が始まるのではなく、すそを引いていることが多いのです 。すその吸収としては、特定の不純物準位や欠陥準位による吸収だけでなく、Urbach tail といって、結晶の熱揺らぎや結晶格子の乱れによる場合もあります。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 7 Sep 2008 20:16:07 +0900
    AA: 佐藤先生
    K大学物4年のIです。
    返信ありがとうございます。
    お陰様で、よく分かりました。
    又佐藤先生の講義にも出させていただきたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。
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  • 1113. The question about the p-GaN ohmic contact(p型GaNへのオーム性接触について)


    Date: Tue, 9 Sep 2008 11:56:26 +0900
    (この質問は、日本語で頂きましたが、文字コードの違いから私のメーラーでは読めないので、英文での質問をお願いしました。)
    Q: Dear Professor Sato, I am sorry to disturb you again.
    I know you are very busy. Let me introduce myself, I am a foreign student form China.
    Now, I am a M2 student in Nagoya Institute of Technology. My major is electronics.
    Yesterday, I read your homepage for the first time, and I have felt your kindness in the column of the questions.
    So would you like to give me some advice about my title? Actually in my experiment, the realization of the p-GaN ohmic contact always makes the problem for me until today. The specific contact resistance varied from 10-2 to 10-3Ωcm2.
    To my knowledge, in the reference (Appl. Phys. Lett. 79, 2588 (2001)), the best data is 1.1×10-6 Ωcm2.
    Both processing and evaluation are my main work, during these work, the results often annoy me.
    I think there are many factors influence it, for example, the surface treatment, evaporation, and the annealing.
    The conditions are hydrochloric acid: water (1:1), EB (Ni/Au), and 600 degree/3 minutes, respectively.
    Maybe the pressure of vacuum is more important? I am confusing which factor is the dominate one, and in next step what should I do?
    Please give me some advice. Thank you very much.
    Yours sincerely.
    Y.H. Zhu
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    Date: Tue, 9 Sep 2008 13:42:53 +0900 (JST)
    A: Dear Mr. Zhu
    Thank you for your e-mail. I understand your situation of the trouble in the ohmic contact with p-GaN.
    Unfortunately I am not a specialist in studies of nitrides.
    I found in the Google Scholor a number of papers discussing on the ohmic contact to p-GaN.
    From your mail I found you anneal the Ni/Au alloy evaporated on p-GaN at 600 deg C.
    I guess you anneal it in vacuum not high enough.
    If you anneal metals at 600 deg C in poor vacuum of 10-3 to 10-6 Torr, the metals or alloys should be subjected to oxidation.
    According to the paper "Microstructural investigation of oxidized Ni/Au ohmic contact to p-type GaN" published inJ. Appl. Phys. 86, 3826 (1999), the crystalline NiO and/or the amorphous Ni-Ga-O phases may significantly affect the low resistance ohmic contact to p-GaN.

    My recommendation is as follows:
    You had better observe the surface morphology either by an optical microscopy or by a SEM.
    If oxidation occurred, the as-deposited Au film converts into discontinuous islands containing small amounts of Ni that connect with p-GaN.
    In such a case the contact area will be reduced, which in turn leads to high contact resistance.
    Also you had better analyze the film by XPS or such whether Ni is oxidized.
    If you find such symptom of oxidation you should anneal the film in high vacuum of the order of 10-8 to 10-10 Torr (such as in MBE chamber) to prevent oxidation.
    I hope my suggestion is helpful to you.
    Best regards,
    Katsuaki Sato
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 9 Sep 2008 15:35:20 +0900
    AA: Dear Professor Sato,
    Thank you for your kind consideration of my question, and I couldn't believe it that your reply is so quickly.
    So, I would like to express my appreciation again.
    I will do some expriment concerning with your kind suggestion.

    Yours Sincerely
    Youhua Zhu
    ------------------------------------------------------------------------------------
  • 1114. pn 接合ダイオードの順方向電流-電圧特性について半導体物性


    Date: Sat, 30 Aug 2008 12:17:13 +0900 (JST)
    Q: はじめまして,私はA高等専門学校専攻2年のYと申します.佐藤勝昭先生の「物性なんでもQ&A」を拝見させていただき,ぜひ教えていただきたいことがあるので質問させていただきます.なおHPへの掲載は匿名でよろしくお願いします.

    質問内容
     私は現在,pn接合ダイオードの電流-電圧特性(以下I-V特性と省略します)について詳しく解析しています.特に順方向I-V特性についてですが,電流を対数にとったグラフを描き解析すると,以下のように4つの領域を考えることができます.文章だけだとわかりにくいので画像を添付させていただきます.
    (1)バイアス電圧が微小な領域では空乏層における再結合電流が主で,理想係数n=2となる.
    (2)バイアス電圧が中程度だと拡散電流が主で,理想係数n=1となる.
    (3)高いバイアス領域ではキャリアの高注入による電流が主で,理想係数n=2となる.
    (4)さらに高い領域であれば,ダイオード自体がもつ直列抵抗効果により,電流増加が鈍ります.
    通常,半導体の電流機構は,ドリフト・ディフュージョンモデルで説明できるという文献を読みました.上記に示した4つの領域において,ドリフト電流が主となる領域はあるのでしょうか.

     また整流用のpn接合ダイオードとPINフォトダイオードの構造的な違いについてですが,これらの違いは,PINフォトダイオードのほうが真性半導体が間に入っている分だけ空乏層が大きいこと以外,pn接合ダイオードと同じ構造であると考えてよいのでしょうか.


     整流用のpn接合ダイオードとPINフォトダイオードのI-V特性を比較してみました.前者を測定した結果からは,上記の4領域に分類することができませんでしたが,後者は上記の4領域に分類することができました.空乏層が広い分だけ再結合電流が多くなり,再結合電流の領域がより顕著に現れたと考えてよいのでしょうか.実 験結果の画像を添付します.(
    pn 接合I-V特性, pn 接合ダイオードとpinフォトダイオードのIV特性の比較
    )
    長文となってしまい,お手数とは思いますが,ぜひとも御教授いただければ幸いです.
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    Date: Tue, 2 Sep 2008 01:40:32 +0900
    A: Y君、佐藤勝昭です。
     拡散(difusion)モデルでは、ショックレーの式が得られます。
        J=Js{exp(eV/kT)-1}
    で表されます。従って、ご質問の4領域の中では(2)です。
    一般には、4つの領域がに明確に分かれるということはなく、領域の境もあいまいです。
    君の測定結果について、
     半導体デバイスの専門家にメールで尋ねているところですが、私は、基本的にpnもpinもそれほど大きな違いはないと おもいます。
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    Date: Tue, 2 Sep 2008 19:42:10 +0900 (JST)
    Q2:早速の返信,ありがとうございます.前回送信した測定結果なのですが,Agilent Technologies社製の半導体パラメータ・アナライザーB1500Aを用いて行いました.さまざまなダイオードで測定を行ったのですが,このpinフォトダイオードほど理論に一致する結果を得られるダイオードはありませんでした.

     前回送信した画像(Si pin フォトダイオード)の理想係数を求めた画像を送信します(添付ファイル図1).ほとんど,理論どおりの結果になっていると思います.また,直列抵抗効果による影響を考慮して,I-V特性の高い電流(直列抵抗効果が生じる)領域を補正すると,キャリアの高注入領域の傾きとほぼ一致しました.なお,直列抵抗効果により生じる抵抗 値の導出は,図2のような手法で行っております.よって,実際のI-V特性は直列抵抗効果による領域を除くと,(1)再結合電流による領域,(2)拡散電流による領域,(3)キャリアの高注入による電流領域の3つとして考えることができると解析しております.

     またpn接合ダイオードのI-V特性において,「直列抵抗効果による電流増加割合が減少し始めたところから,ドリフト電流が主体になる」というように,本校の先生がおっしゃっていたのですが,これは正しいのでしょうか.さらに,この直列抵抗効果が生じ始める電圧が,ほぼ拡散電位に等しいともおっしゃっていました.
    -----------------------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 12 Sep 2008 00:26:35 +0900
    A2: Y君、佐藤勝昭です。
     ご質問につき、専門家である愛知工業大学堀田厚生教授にお尋ねしましたところ、下記の回答を頂きました。
    ================================================================================
    I. まず、ダイオードの電圧電流特性について、

    1 上記に示した4つの領域において,ドリフト電流が主となる領域はあるのでしょうか.

        半導体で、電流が流れる仕組みは拡散とドリフトの二つです。
    (1)バイアス電圧が微小な領域では空乏層における再結合電流が主で,理想係数n=2となる.
    この場合、電荷の生成/捕獲による電流が発生します。これは電荷の生成により、電荷が生まれ、次に捕獲されるわけですが、そ の電流の流れは微小電界によるドリフトだと思います。
    (2)バイアス電圧が中程度だと拡散電流が主で,理想係数n=1となる.
     これは、接合の近傍では、拡散電流が主ですが、接合の近傍を離れて、外部端子まで流れる電流はドリフト電流です。拡散電流 とドリフト電流は連続した、電流の流れです。電流値は同じ。
    (3)高いバイアス領域ではキャリアの高注入による電流が主で,理想係数n=2となる.
     この場合は、上と同じで、接合の近傍では、拡散電流が主です。ただし高注入なので、n=2となります。接合の近傍を離れて、 外部端子まで流れる電流はドリフト電流です。
    (4)さらに高い領域であれば,ダイオード自体がもつ直列抵抗効果により,電流増加が鈍ります.
     ダイオードの持つ直列抵抗は半導体のバルクの抵抗分ですからこの部分はドリフト電流です。ただし接合の近傍は拡散電流です。

    2 これらの違いは,PINフォトダイオードのほうが真性半導体が間に入っている分だけ空乏層が大きいこと以外,pn接合ダイオ ードと同じ構造であると考えてよいのでしょうか.

     その通りだと思います。

    3空乏層が広い分だけ再結合電流が多くなり,再結合電流の領域がより顕著に現れたと考えてよいのでしょうか.

     空乏層が広いと生成/捕獲の確率が上がりますからそうもいえます。接合の善し悪しで、再結合中心の濃度が異なりますから、 その違いともいえます。

    II. 第2の質問について
     以下のような回答になると思います。
    1 「(1)再結合電流による領域,(2)拡散電流による領域,(3)キャリアの高注入に よる電流領域の3つとして考えることができると解析しております.」

      作成されたpinダイオードが、理論式によく合致しているということで、仰るとおりです。

    2 「直列抵抗効果による電流増加割合が減少し始めたところから,ドリフト電流が主体になる」

    PN接合においては、接合近傍で、拡散電流、バルクのシリコンでは、ドリフト電流が主です。電流のメカニズムは違いますが、 一連の連続した電流です。

    3 「この直列抵抗効果が生じ始める電圧が,ほぼ拡散電位に等しい」

     これは、PN接合の電圧降下はほとんど接合の拡散電位で決まっていて、外部端子につながるバルクのシリコンの抵抗分は小さい と言っていることと同じです。通常、ダイオードは寄生抵抗を減らすため、不純物濃度の濃い半導体で、外部端子までの距離を短 く作るため、これは当たっています。
     真性半導体でダイオードを作れば外部抵抗が大きくなり、上のことは言えません。しかし、そんなダイオードは作りません。

     堀田厚生
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 12 Sep 2008 10:48:52 +0900 (JST)
    AA: お忙しいところ,御教授ありがとうございました.佐藤勝昭先生,堀田厚生先生には心から感謝しております.非常に参考になりました.
    ----------------------------------------------------------------------------------
  • 1115. アルミ溶接時の反りについて


    Date: Fri, 12 Sep 2008 09:18:42 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生
    F*社T*と申します。(WEB掲載時は匿名でお願い申し上げます。)
    先生のHP「物性なんでもQ&A」を拝見しメールさせて頂いております。

    現在、縦8mm×横250mm×高さ1mmのアルミバーにφ0.5mmのタンタルワイヤーを溶接しているのですが、 このときにアルミバーが両端から1mm程度の反りが出てしまい、この反りの原因、対処が掴めずにおります。

    <電極>
    タンタルワイヤ側電極:円盤型のアルミナ分散銅を使用(プラス側)
    アルミバー側電極:幅250mm程度、厚み3mm程度のモリブデンを使用(マイナス側)

    <溶接方法>
    モリブデンの上にアルミバーをセットし、アルミバーの上にタンタルワイヤを並べて、その上から円盤型電極を下降させ溶接。
    これを1アルミバーに対して50回程度繰り返します。

    尚、溶接(電流を流している)時間は1ms〜5ms程度と一瞬です。

    <これまでに試したこと>
    ・電流値下げワイヤ無しのアルミバーだけに電流をかける
     ⇒同様に反り発生(アルミが溶けた形跡はさほど無し)
      溶接時に溶けたアルミが反りの原因では、と考えていたが
      この結果をみるとそうではないのかと疑問が深まってしまいました。

    ・低電圧で実施すると、しっかり溶接されており、反りもきつく出る
     電圧を下げると反り幅は現象するが溶接も弱くなる。
     ⇒電流がなんらかの関係をしていることは間違いなさそう。

    ・エアブローで冷やしながら溶接
     ⇒効果なし

    ・アルミバー側の形状をかまぼこ型(電流設置面積を減らすような形)で溶接
     ⇒効果なし

    目標としているところは、反らずにしっかりとした溶接なのですが、
    反りの根本原因が分かっていない為、解決の目処がたたずにいます。

    お忙しいところ大変恐縮ですが、ご回答いただけましたら幸いです。

    以上となります。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 12 Sep 2008 11:26:59 +0900 (JST)
    A: T様、佐藤勝昭です。
    私は、金属加工の専門家ではありませんので、東京農工大学機械システム工学科の國枝教授にお伺いしましたところ、
    =======================================================================================
    溶接の状況がはっきり分からないので明解な回答はできませんが、そりの発生の原因には大きく 分けて2つの可能性があると思います。
    ひとつは溶接時の熱的な負荷の非対称性で、もうひとつは溶接前の素材にすでに存在する残留応力の影響です。
    アルミの板をどのような加工で用意したかによって、溶接前にひずみがすでに内在しています。
    したがって、溶接の熱的負荷がたとえ対称であっても、溶接前の残留応力が非対称の場合、顕在化しそる可能性があります。
    ひとまずこの点を先方にお伝え願えないでしょうか.
    =======================================================================================
    という回答をいただきましたのでお伝えします。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 12 Sep 2008 11:44:32 +0900
    AA: 佐藤勝昭先生、國枝先生

    早速のご回答、誠にありがとうございます。
    また國枝先生に伺って頂き、ご回答くださいましたこと、重ねて御礼申し上げます。

    下記2点が原因となる可能性があること、了解致しました。
    その点を考慮し、再度対応を考えていこうと思います。

    それでは失礼致します。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 16 Sep 2008 16:23:01 +0900
    AA2: 佐藤勝昭先生
    お世話になっております。
    先日件名の質問をさせて頂きました、F社Tです。

    先日ご相談させて頂いた問題の対処は、かなり原始的な方法になってしまったのですが、 溶接時にアルミフレームを下側から持ち上げるような方式と致しました。

    乱暴な言い方をしますと、反りの分 逆側から曲げる、といった具合です。

    ご報告までとなりますが、今後も佐藤先生のページ拝見させて頂きますので どうぞ宜しくお願い致します。

    以上となります。
    ----------------------------------------------------------------------
  • 1116. 薄膜シリコン太陽電池の分光感度の光バイアス依存性


    Date: Sun, 28 Sep 2008 20:49:26 +0900 (JST)
    Q: 佐藤勝昭様 こんにちわ。
    S*大学 理工学研究科 修士2年H*と申します。匿名希望です。
    私は、現在SiH2Cl2とH2を原料に プラズマCVD法からのpin型薄膜太陽電池を作製しています。
    そして作製したpin型薄膜太陽電池を分光感度を用いて評価を行っています。
    ここで質問があります。
    評価の中で、バイアス光を斜め45度から照射しながら分光感度を測ることがあるのですが、  バイアス光を照射しますと感度が下がってしまうのはなぜなのでしょうか?
    通常、バイアス光を照射しますと欠陥の場所をバイアス光によってできたキャリアがうめて、分光感度は上がるとかんがえているのですが。。。
    もしかしたら、塩素がなにか悪さをするのではと考えていますが、たしかではありません。もしご存知でしたら教えていただけませんか?
    ----------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 29 Sep 2008 23:39:41 +0900 (JST)
    A: H*君、佐藤勝昭です。
     ジクロロシランと水素を原料としてプラズマCVDで薄膜シリコンの太陽電池を作っておられるのですね。
    水素の分量によりますが、作っているのは水素化アモルファスシリコン薄膜、あるいは、微結晶シリコンが水素化アモルファスシリコンのマトリクスに浮かんでいる状態でしょうか?
     太陽電池の分光特性を測る時に、通常は分光器からの光は弱くLockin ampで交流測定しますが、実際の太陽光照射条件に近づけるために、AM1.5の白色バイアス光を当てて、分光測定します。
     しかし、ご質問のようなことが起きる原因としてトラップ準位が関係するのかどうかわからないので、太陽電池の専門家であるパナソニック電工の根上様にお尋ねしました。
     根上様の回答は下記のとおりです。
    =============================================================
    アモルファスSiは専門ではありませんが、わかる範囲でご返事いたします。
    太陽電池の分光特性を測る時には、通常、AM1.5の白色バイアス光を照射しながら測定することが基本です。
    この時、白色バイアスはDCですので、分光感度の測定は、単色光をチョッピングしてロックインで測る必要があります。
    質問者の測定法には間違いありませんが、白色バイアス光を用いない測定は、白色光強度に対し、線形性が保持されているサンプルで有効です。
    JISやIECの測定法では白色バイアス光を照射することになっています。

    アモルファスSiでは、光照射するとダングリングボンド欠陥を生じます。
    これは、Siを終端しているHが抜けるためと考えられていますが、まだ決着はついていないと思います。
    アモルファスSiはpin構造ですので、pin間に生じる拡散電位によってi層内全域に電界が拡がります。
    しかし、光照射によりi層内で生成したダングリングボンド欠陥がp層及びn層近傍に空間電荷を形成することでi層中央部の電界が低下し、電子と正孔は分離されにくくなり、 欠陥を介した再結合によって消滅してしまいます。
    この光劣化は主にFFに効いてきますが、Jscも低下します。従って、分光感度も低下することになります。
    ただし、光照射によるJscの低下はそれほど速くはないので、分光感度測定中では、ほとんど低下しないと思います。
    何度も測定していると低下がみられるかもしれませんし、サンプルの元々の欠陥の量にも関係するかもしれません。
    アモルファスSiの光劣化のメカニズム等の詳細は専門の方にお尋ね下さい。

    CISは逆に光照射によりFF,Vocが増加します。Jscはほとんど変化ありません。
    従って、CISでは光照射で効率が向上する現象がみられます。
    ただし、この現象もバッファー層やCISの膜質によって異なるためメカニズムは、まだはっきりとはわかっていません。

    ご質問に対し、不十分かもしれませんが、回答まで。
    =====================================================
    以上ののように、水素化アモルファスシリコン特有の光劣化のためではないかということのようです。
    ---------------------------------------------------------------------------------------------
    Date : Tue, 30 Sep 2008 22:43:24 +0900 (JST)
    AA: 佐藤勝昭様 こんばんわ 
    S大学大学院Hです。
    ご返事有難うございました。
    はい、私は微結晶シリコンの太陽電池について研究をおこなっています。
    欠陥は、ESRスピン共鳴法から算出した欠陥量はそこまで多くないのですが、やはり
    シランではなく、ジクロロシランのClが関係しているのではと現在は考えております。
    今後、シランでも同じようなことが起こるのか、試していき考察していこうと考えております。

    わざわざパナソニック電工の根上様までお聞きくださり有難うございました。
    失礼致しました。
    --------------------------------------------------------------------------------------
  • 1117. GaAsの電子線励起プラズマの光学的観察


    Date: Fri, 10 Oct 2008 22:31:32 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生
    私、O*大学博士課程3年のK*と申します。
    突然のメール申し訳ありません。
    先生のHPを拝見させていただきました。
    半導体に詳しい先生のお力をお借りしたくメールさせていただきました。
    WEBにアップされる際は、匿名で研究内容はふせていただけないでしょうか?

    GaAsの光誘起による反射率、透過率というのが変化するという報告があるようです。

    Phys. Rev. B 60, 8890 - 8896 (1999)
    Appl. Phys. Lett. 51, 1442 (1987)

    たとえば800nm(1.5eV)のレーザーでポンプすると、GaAsもしくはGaAlAsのバンドギャップが1.4eV程度なので 伝導帯端の少し上に励起キャリアが分布し、それが反射(透過)率変化を引き起こすようです。
    さらに、このような励起過程というのは非常に高速で、レーザーパルス幅(100フェムト秒程度)にほぼ追随する程度のタイムスケールで観測できるようです。
    [ここに研究内容が書いてありますが、希望により伏せてあります。]
    そこで、質問なのですが、
    ・例えば30MeV程度の電子線で励起した直後、励起キャリアはどのように分布するのでしょうか?
    恐らくX線で励起した場合も励起キャリアは伝導帯には同様な分布を作る思いますが、その分布は伝導体全体に均一に分布するのでしょうか?
    それとも、どこかのエネルギー準位に何らかの分布を持つのでしょうか?
    よろしくお願いいたします。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 11 Oct 2008 01:18:27 +0900
    A: K君、佐藤勝昭です。
     論文は、半導体をレーザーで強励起したときに生じる電子正孔プラズマによる非線形光学現象ですね。
    近赤外から中赤外にかけての反射率変化は、吸収の変化と屈折率の変化の両方の効果です。
    吸収の変化は、強いバンド間励起によって価電子帯の上のサブバンドに高密度のホールが出来ると、下の満ちたサブバンドから上の空いたサブバンドへのサブバンド間吸収が生じることが吸収変化の一因のようです。
    一方、屈折率の変化は、自由キャリアのドルーデ項が再結合の速度によって大きく変化することが原因とされています。

     さて、お尋ねは、電子線励起でも同様の反射スペクトル変化が見られるかということですね。
    高いエネルギーの電子線で励起すると、電子は価電子帯から伝導帯の遙か上の方に励起されますが、数百fsから数ps以内に伝導帯の底に落ちてきます。
    このとき、エネルギーのほとんどを格子振動に渡して熱化してしまいます。このため、強いパルスレーザー光によるバンド間共鳴励起に比べ、 遙かに少ないキャリア対しか作れません。
    もし同じ程度励起しようとすれば、相当な電子線のフルーエンスが必要で、そうすると熱化も大きくなってしまうでしょう。
    [この部分は研究内容に関する回答ですが、希望により伏せてあります。]
    --------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 15 Oct 2008 22:39:34 +0900
    AA:佐藤勝昭先生
    早速のお返事ありがとうございます。
    O大学のKです。

    やはり、GaAsを電子線で励起したとしても熱化時間がいくらかあるわけなのですね。
    [ここに研究室での実験内容が書いてありますが、希望により伏せてあります。]
    液体などでも同じようなこと(熱化)がおきるといわれていて、固体ならどうかと疑問に思ったのですが残念ながら、同様のようですね。

    現在はGaAsの実験には手を出せない状態なのですが、また時間ができたら、実験をやってみようと思います。

    お忙しい中お答えくださりありがとうございました。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 15 Oct 2008 22:51:49 +0900
    A2: K君、佐藤勝昭です。
     私は、自分の答えにあまり自信が持てないので、半導体の光による励起に詳しい東京農工大学の三沢和彦先生にご意見を伺いま したところ、次のような回答を得ましたので、参考にしてください。
    ============================================================-
     佐藤勝昭先生
     三沢です。
     keV程度の電子線照射ですと、カソードルミネッセンスとして半導体のバンドギャップでの直接発光が見えるでしょうから、先生のご回答の通りかと思います。
     この他、パルス電子線照射で結晶転位が起こることも報告されていて、EBリソグラフィにおける半導体試料損傷の研究もあるようです。
     30MeV程度の高エネルギーの電子線になりますと、原子核から放射線が放出されたりするとも思われます。
     取りいそぎ、ご参考まで。
    ====================================================================
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 16 Oct 2008 12:42:51 +0900
    AA2: 佐藤勝昭先生
    お返事ありがとうございます。O大学のKです。
    わざわざほかの先生にも聞いてくださりありがとうございました。お手数をおかけしました。
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  • 1118. 骨の透磁率


    Date: Tue, 21 Oct 2008 09:25:11 +0900
    Q1: はじめまして
    私は鰍l**技術開発センターのO*と申します。
    先生のH・Pを見て、メール差し上げた次第です。
    先生のH・Pに載せる際は社名及び氏名は匿名でお願い致します。
    さて、現在弊社で開発検討中の磁気治療器に関してご質問したい事があります。
    コイルより発生した磁界はコイルより離れるに従い磁界強度は小さくなっていくと認識しております。
    また、治療器という特性上、発生磁界は体に作用させるため、磁界の透磁率が関係すると認識しております。
    そこでご質問ですが、骨の透磁率はどうなっているのでしょうか?
    製品より発生する磁界を骨がシールドしてしまうかどうかの検討をしております。
    詳しくはお知らせできないのですが、発生する磁界はMHz帯で数mT 程度の磁界強度を考えております。
    生体の透磁率は一概に定義する事は難しいと思いますが、ご助言だけでも頂けると幸いです。
    私は電磁気学どころか物理学も専攻した事がない素人であります。
    稚拙なご質問で大変恐縮ですが何卒よろしくお願い申し上げます。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 22 Oct 2008 09:45:43 +0900
    A1-1: O様、佐藤勝昭です。
     骨の成分は、リン酸カルシウムです。物質の磁性の元となる遷移元素(鉄や ニッケルなど)を含んでいないので、弱い反磁性または常磁性ではないかと推察します。
    従って、比透磁率は、限りなく1に近く、磁気シールドなどの作用はないと断言できます。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 22 Oct 2008 13:49:26 +0900 (JST)
    A1-2: O様、佐藤勝昭です。
     本日、大学に来たので、文献を調べましたが、骨の成分であるリン酸カルシウムCaPO3に関する透磁率あるいは磁化率のデータは見つかりませんでした。
    添付のデータによれば、他のリン化物のモル磁化率χはリン酸亜鉛Zn3(PO4)2で-141×10-6cm3mol-1、 リン酸鉛Pb3(PO4)2で-182×10-6cm3mol-1といずれも負(反磁性)で小さく、比透磁率μ=1+χはほとんど1と考えて差し支えないと思います。
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    Date: Wed, 22 Oct 2008 15:14:02 +0900
    AA1: 佐藤先生
    鰍lのOです。
    早速のご対応ありがとうございます。
    文献の調査まで時間を割いて頂き、まことにありがたく存じます。
    骨の成分、リン酸カルシウムが弱い反磁性との事で、骨を構成する物質に磁性がなければ磁界に作用しないのは少し考えると当たり前の事ですね。
    素人考えの稚拙な質問に関わらず丁寧にご回答頂きありがとうございました。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 23 Oct 2008 10:18:45 +0900
    Q2: 佐藤先生
    お世話になっております。
    鰍lのOです。
    骨には磁性がないため、磁界遮蔽効果はないとの方向で上司と打ち合わせを進めた次第です。
    そこで、新たな疑問が生じたため、メールを差し上げた次第です。
    C. Ramon, J. Haueisen and P.H. Schimpf, Influence of head models on neuromagnetic fields and inverse source localizations, BioMedical Engineering OnLine 2006, 5:55(Page 4 of 13)によると骨の電導度は他の組織に比べて群を抜いて低いとされています。
    この際に使われる単位:Conductivity(Siemens/cm)に関する認識なんですがこれはあくまで、電場にだけ関係する事だと認識しています。
    つまり骨は電場は遮蔽するが磁界は遮蔽しないと私は認識しております。しかし、上司も私同様電磁気学に通じていないため、この認識に判断がつきません。
    現状といたしましては、治療器より生じる磁界にコイルからの距離だけを考慮するのか、距離と遮蔽効果、2項目を考慮するのか、どちらが正しいのか判断がついておりません。
    先に述べたように私は電磁気学に通じておりません。
    そのため、骨は電場は遮蔽するが磁界は遮蔽しないという私の認識が正しいのか誤りなのか佐藤先生にご教授頂ければと存じます。
    またもや佐藤先生のお手を煩わせる質問ですが何卒よろしくお願い申し上げます。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 23 Oct 2008 22:48:05 +0900
    A2: O様、佐藤勝昭です。
     その文献によれば、頭蓋骨の電気抵抗率は16000[Ωcm](導電率=1/電気抵抗率=6.25E-5[S/cm])ということですから、ほぼ絶縁 物と考えてよいでしょう。電磁波は、金属のように電気抵抗が低いと遮蔽され透過しなくなりますが、非磁性の絶縁物は通り抜け ます。あなたの認識(電場は遮蔽する)は全くの誤りです。
    (医療関係の技術開発センターで医療機器を扱っている方が、電磁気学を知らないでは、世間に通用しません。努力して勉強さ れることをお勧めします。)
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 24 Oct 2008 09:49:13 +0900
    AA: 佐藤先生
    おはようございます。
    M社のOです。
    ご返信ありがとうございます。
    「骨は電気抵抗が高く絶縁物で、磁性がないため電磁波は透過するとの認識に改めました。」
    佐藤先生のおっしゃる通り努力不足、勉強不足でございます。前任者の退職に伴い、今年度下半期より現在の開発プロジェクトに参加しているため、日々精進していく所存です。
    まことにありがとうございました。
    ----------------------------------------------------------------------------------
  • 1119. 金/シリコンショットキーダイオード


    Date: Fri, 17 Oct 2008 12:33:56 +0900 (JST)
    Q: M大学の学部4年のM*と申します(ネット公開は非公開でお願いします)。
    半導体物性、光物性について質問があります。
    現在、金とシリコンを蒸着させたショットキーダイオードを作製しているのですが、シリコンと金の組み合わせでは、金がシリコンに拡散され、合金化されてしまい、障壁の低いショットキーダイオードが形成されてしまいます。
    このように、合金化されてしまうと、なぜ、ショットキー障壁が低くなってしまうか、その理由を教えていただけませんか。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 17 Oct 2008 23:40:03 +0900 (JST)
    A: M君、佐藤勝昭です。
    このコーナーでは、匿名にはしますが、非公開には致しません。
    ショットキー障壁は、金属と半導体のabrupt junction (急峻な接合)の場合に起きます。
    金属よりも半導体の方がフェルミ準位が高いと半導体から金属へと電子が流れ込み 金属側は負に帯電し、半導体側は正に帯電し障壁層ができます。

    金とシリコンは合金を作りますから、Au/Si-Au合金/Siというgradual junction(段つな ぎ接合)になっています。AuとSi-Au合金とでは真空準位から測ったフェルミ準位の深 さが異なるため、ショットキー接合を作る条件が満たされなくなって、ohmic junction (オーム性接触)になるのではないでしょうか。
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    Date: Sat, 18 Oct 2008 19:02:33 +0900 (JST)
    Q2: 佐藤先生: 返信ありがとうございました。
    そもそも、シリコンと金が合金化されてしまうという資料が少なくて、その原因について述べてる参考文献もあまりなかったので(調べ方が悪いのかもしれませんが・・・)、佐藤先生の意見を聞けてよかったです。
    もうひとつ、半導体物性、光物性についての質問があります。
    合金化されない金属とシリコンを使用して、ショットキーPDの作成を考えています。また、光はシリコン側からの照射してを考えています。このときの電流応答を測定しようとしているのですが、現在使用しているシリコンのウェハでは、片面は研磨されており、もう片面は研磨されていない状態です。
    金属蒸着は研磨されている面に行うのですが、光を照射するとき、研磨されていない面では、散乱などの影響はあるのでしょうか?
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    Date: Mon, 20 Oct 2008 01:13:04 +0900
    A2: M君、佐藤勝昭です。
     確かに裏面が非研磨面だと光散乱があるでしょう。その分鏡面反射が抑えられるというメリットもあるので、光の損失について は何とも言えません。
    ただ、光の光子エネルギーがバンドギャップを越えていると表面で強く吸収が起きショットキー接合付近に届かない可能性があり ます。また、この付近でキャリアが生成されますと、キャリアが散乱されたり、欠陥等にトラップされるために、光起電力に寄与 しない可能性があります。
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    Date: Tue, 21 Oct 2008 09:39:22 +0900 (JST)
    AA: 佐藤先生:
    返信ありがとうございます。
    とても参考になりました。
    また、質問があると思いますが、そのときはよろしくお願いいたします。
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  • 1120. アルミニウム蒸着とクロム蒸着


    Date: Thu, 23 Oct 2008 14:23:45 +0900
    Q: S**社のT*と申します。
    以前、佐藤先生には
    アルミニウムの反射について丁寧にご教授して頂きました。

    今回アルバダ式逆ガリレオファインダーの設計を行っているのですが視野枠見え辛いと言う現象がおきております。

    視野枠をクロム蒸着し、反射面をアルミニウム蒸着(レンズ中心は蒸着せず周辺だけを蒸着しています)をしています。

    下記内容で視野枠を見易くしようと考えているのですが考え方等に間違いがあるでしょうか?

    @視野枠線幅を2倍にすれば光量が2倍になるので明るくなる
    Aアルミニウム反射面の範囲を増やす(アルミニウムが蒸着されていない箇所に視野枠から出た光線が当たっている割合が多かった)
    B視野枠線をクロム蒸着からアルミニウム蒸着に変更する。

    見た目だけですとアルミニウムとクロム蒸着で差はない様に見えるのですが同じ線幅でもアルミニウムとクロム蒸着では大きく異なるのでしょうか?
    お忙しいとは思いますがご教授の程宜しくお願い致します。
    社名は伏せて頂きたいと思っています。
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    Date: Thu, 23 Oct 2008 18:04:33 +0900 (JST)
    A1: T様、佐藤勝昭です。
     アルバダ式逆ガリレオファインダーというのがわかりません。
    従って、視野枠が見え辛いと言う現象がどんなことなのか理解できません。
    図を添付して説明していただけないでしょうか?
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    Date: Fri, 24 Oct 2008 09:45:03 +0900
    Q2: 東京農工大学名誉教授 佐藤様
    S社Tです。
    説明不足で、お時間を取らせてしまい申し訳ありません。
    添付したファイルにアルバダ式逆ガリレオファインダーの簡単な説明を記述しました。
    つたない説明で分かりにくい箇所もあるかと思いますが、読んで頂けますでしょうか。
    現在問題になっているのは、視野枠が薄く見辛いと言う事です。
    視度は合っているので、視野枠の光線が眼に届く量が少ないのだと思っています。
    視野枠線にクロムメッキを使用していますが、こちらをアルミ蒸着に変更すると反射率が約1.5倍位上がると思っています。
    クロムの反射率50%とアルミの反射率85%ですと見栄えに大きく差が出るものでしょうか?

    お忙しいとは思いますが宜しくお願い致します。
    ---------------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 24 Oct 2008 16:40:03 +0900 (JST)
    A2: T様、佐藤勝昭です。
    @視野枠線幅を2倍にすれば光量が2倍になるので明るくなる:
      この認識で正しいと思います。

    Aアルミニウム反射面の範囲を増やす(アルミニウムが蒸着されていない箇所に視野枠から出た光線が当たっている割合が多かった):
      視野が狭くなりませんか?

    B視野枠線をクロム蒸着からアルミニウム蒸着に変更する。:
      下記のように、1.4倍程度になるはずですが、アルミは酸化して反射率が低下している可能性があります。

     クロムの反射率50%、アルミの反射率85%というのはどこから出ているのでしょうか。
    PalikのOptical Constants of Solids vol.2 に出ているn,kのデータから
    直入射の反射率をR={(n-1)^2+k^2}/{(n+1)^2+k^2}の式で計算しますと
    波長  n   k   R
    409  1.54 3.71 69.5%
    456  1.99 4.22 70.2%
    512  2.75 4.46 67.6%
    556  3.18 4.41 65.5%
    611  3.48 4.36 64.4%
    701  3.84 4.37 63.8%
    となり、可視光領域で平均65%以上あります。
    一方、アルミニウムは(酸化してなければ)
    400  0.49 4.86 92.4%
    450  0.62 5.47 92.4
    500  0.77 6.08 92.3
    550  0.96 6.69 92.1
    600  1.20 7.26 91.6
    700  1.83 8.21 90.3
    となり可視域で92%程度あります。
    従ってCr×Alでは約60%、Al×Alでは約85%で後者だと前者の1.4倍となります。
    実際には酸化のためにおっしゃるような値に落ちているかもしれません。
    まずは、CrもAlも蒸着直後MgF2などでコートし酸化を防げば、もう少しはっきりと見えるかもしれません。
    また、アルミに変えて、銀のミラーにすれば、97%以上の反射率が見込まれます。Ag×Agならトータル94%も反射します。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 27 Oct 2008 08:51:12 +090
    AA1;東京農工大学名誉教授 佐藤様

    返事が遅くなり、申し訳ありません。
    クロムの反射率50%と言うのは、
    実際に蒸着した製品(視野枠線)を業者に測定して貰った際のデータです。
    (線幅が0.1mmと言う細さなので、測定し辛いようです。

    専門とは違う分野での質問になってしまい先生にはお手数をお掛けしました。
    本当にありがとうございます。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 27 Oct 2008 14:35:06 +0900
    A3: T様、佐藤勝昭です。
     幅0.1mmの細線の反射を測定するとき、エッジ部分での散乱がありますから、 反射率の絶対値を正確に評価するのはむずかしいと思います。本当は50%より も高かったのではないかと拝察します。いずれにせよ、線幅を2倍程度にすれ ば、見やすくなるでしょう。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 27 Oct 2008 15:08:13 +0900
    Q4: 東京農工大学名誉教授 佐藤様
    S社Tです。
    エッジ部分の散乱があると言う事は考えてもいませんでした。
    散乱があると言う事はエッジがボケると言うことなのでしょうか?
    (ボケるまではいかないのかも知れませんが)
    何度も質問してしまい、申し訳ありませんが ご意見をお聞かせ頂けますでしょうか?
    宜しくお願い致します。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 27 Oct 2008 15:08:13 +0900
    A4: T様、佐藤勝昭です。
     平面での反射は、ミクロに見れば、表面に誘起された多数の電気双極子からの 放射がconstructiveに干渉して加え合わされて、入射角と同じ反射角でビームが 出て行くのです。しかし、エッジでは、反面からの双極子放射が無いので、反射 角以外の方向にも散乱されます。ぼけるというかエッジがはっきりしなくなる効 果があります。
    ------------------------------------------------------------------------------
    追伸:Tさま、佐藤勝昭です。
     前メールほどは、エッジがはっきりしなくなると言いましたが、  金や銀などプラズモンが存在する場合、エッジでは光散乱が強調される場合も あるようです。
    http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/report/heisei19/pdf/pdf13/13_1/011.pdf
    要するに、無限の平面と細線とでは反射の様子が異なると言うことです。
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 28 Oct 2008 08:55:06 +0900
    東京農工大学名誉教授 佐藤様
    回答ありがとうございます。
    今までの内容を踏まえ、再度検討したいと思います。
    今回も先生には本当にお世話になりました。
    ありがとうございました。
    -------------------------------------------------------------------------------
  • 1121. ITOの面抵抗変化


    Date: Fri, 24 Oct 2008 19:24:02 +0900
    Q: はじめまして佐藤勝昭様。
    HPを拝見しメールさせて頂きました。
    私は株式会社 D社のSと申します。公開時は社名名前共に匿名でお願いします。

    ITOの性質に関する質問をさせて頂きます。

    弊社ではITOフィルム(基材は、PETフィルム)を使用しております。
    添付資料の様にITOフィルムのITO面に通電(5V・72H)していると
    面抵抗値が「+極側で100Ω高く」、「−極側で100Ω低く」なり、
    放置しておくと元に戻る 現象が発生しました。
    しかし、同じフィルムでも現象が発生しないものがあります。

    面抵抗値が変動し元に戻る現象はこれまでに経験がなく解らない現象です。
    そこで、「SEMでの表面観察(1万倍程度まで)」・「通電時の熱収縮」・「ITOの(基材)密着性」 「表面の凸凹性」・「EDXによる測定」を確認しておりますが、現象が発生するものとしないものとの 「差」が見つかっておりません。

    ・ITOが通電によって、面抵抗値が変動することは、通常起こりえることなのでしょうか?
    ・この現象の有効な確認方法

    以上2点についてご教授お願い致します。
    ------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 25 Oct 2008 00:05:48 +0900 (JST)
    A: S様、佐藤勝昭です。
     このご質問は、一般性がなく、「物性なんでもQ&A」の主旨に合わないのですが、お困りのようなので調べてみました。
     ご質問ではPETフィルムにITOを使っておられるそうですね。
    PET上にITOを成膜する際に加熱しますとPETが分解して炭素がITOに混入します。
    Web J-tokkyoの「透明導電性積層体」http://www.j-tokkyo.com/1999/B32B/JP11010780.shtml によりますと、
    【0020】発明者らは、加熱プロセスにおけるITO膜の抵抗上昇が、ITO膜中に炭素が多く混入していることが原因であり、加熱処理によってその炭素量が変化するために抵抗値変化が引き起こされることを見いだした。ITO膜中の炭素は加熱処理によって減少しており、すなわち、膜中から抜け出しており、炭素量の減少が抵抗値の上昇 につながっていることが示唆される。炭素含有量がもともと多いITO膜は、その炭素が抜け易く性能は不安定であり、抵抗値変化が大きいばかりでなく通電時に断線しやすい脆い導電膜となっている。
    と書かれています。

     従って炭素の含有量を測定してご覧になると、いかがでしょう。
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 27 Oct 2008 08:18:17 +0900
    佐藤勝昭様へ
    早速のメールを頂きありがとうございます。

    早速ITO膜内の炭素量の比較を行います。

    今回は、主旨から外れる質問をしてしまい申し訳ございませんでした。
    また、お調べ頂けとても感謝しております。この度はどうもありがとうございました。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 1122. シリコンウェハのランプ加熱


    Date: Sun, 26 Oct 2008 16:06:23 +0900
    Q: 佐藤先生
    HPを見てご相談いたしたく、メールを出させていただきました。
    H社の坂本と申します。

    現在、ハロゲンランプによるシリコンウェハの加熱を行なっております。
    シリコンウェハはSiCコートされたグラファイトのサセプタの上に乗っており、 上下両面から光を照射しています。

    このときのシリコンウェハの加熱のされ方ですが、
    上方からの吸収端より短い波長の光を直接ウェハが吸収して加熱される分と、 上方からの吸収端より長い波長の光、及び下方からの全波長の光をサセプタが吸収し、 伝熱、及び輻射により間接的にウェハが加熱される分が合わさっていると考えればいいのでしょうか。

    また、シリコンウェハ自身は、昇温に伴って徐々に透過率が減少し、
    600℃程度の温度でも、吸収端より長い光に対する吸収率が 著しく増加すると思われるのですが、この推察は正しいでしょうか。

    つまりは、シリコンの光学スペクトルの(特に高温での) 温度依存性がどうなるのかを検討したいと思っています。

    よろしくご教示のほど、お願い申し上げます。
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 27 Oct 2008 14:22:26 +0900
    坂本様、佐藤勝昭です。
    シリコンウェハのランプ加熱のメカニズムは、ほぼ坂本様のお考えの通りでよい と思いますが、ハロゲンランプは熱線(赤外線)をかなり放射していますから、 シリコンが赤外線を直接吸収して加熱される分も考慮する必要があるでしょう。
    なお、お尋ねの、シリコンの高温における吸収の増加を調べた最近の文献としては、
    E. H. Sin, C. K. Ong, H. S. Tan,
    Temperature Dependence of Interband Optical Absorption of Silicon at 1152,1064, 750, and 694 nm,
    Physica Status Solidi (a), Volume 85 Issue 1, Pages 199 - 204, Published Online: 16 Feb 2006
    をご参照下さい。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 27 Oct 2008 22:02:38 +0900
    佐藤先生
    早々のご回答、ありがとうございました。
    早速、現場でも検討したいと思います。
    今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。
    -------------------------------------------------------------------------
  • 1123. 超伝導磁気分離技術の実験をやりたい


    Date: Wed, 29 Oct 2008 19:25:25 +0900
    Q: HPページを拝見してメールさせてもらいました。
    私、K*県立H*高等学校の1年の生徒のSです「匿名でお願いします」
    今度学校で超伝導磁気分離技術の実験を行おうと思っています。
    磁性付与などは難しいので磁性活性炭を使おうと思っているのですがどこをさがしてもありません。
    なので磁性活性炭の値段と売っている、または貸し出しなどができる所があったら教えてもらいたいのですが。
    また超伝導電磁石に必要な超伝導線も貸し出しできる所があったらそちらのほうも教えてもらえると幸いです。
    お忙しいところ申し訳ありませんができるだけ早く返信していただければと思います。
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 29 Oct 2008 20:51:23 +0900
    A: S君、佐藤勝昭です。
     申し訳ありませんが、私には、超伝導磁気分離技術の経験がありません。
    磁性活性炭も使ったことがありません。磁性活性炭は、株式会社MSエンジニアリング
    〒551-0031 大阪市大正区泉尾6-2-10 Tel06-6552-1555 Fax06-6552-3653 e-mail:info@ms-engineering.co.jp
    が扱っていますから、電話で聞いてみてはいかがでしょうか。高校生が、実験に使うと言うことなら、分けてくださるかも知れませんよ。
     ただ、超伝導電磁石を高校生が自力で作って磁気分離をやろうというのは、経験のある指導者がそばにおられるのなければ、無理があるような気がします。まず、超伝導線はNbTi系などの低温超伝導体をお考えでしょうか?(高価な液体ヘリウムが必要です。
    また高価なクライオスタットが無いと、超伝導にできません。)それとも、Bi2Sr2Ca2Cu3Ox系などの高温超伝導体をお考えでしょうか?(これなら液体窒素で超伝導にできます。これでも、液体窒素用クライオスタットが必要ですよ。)高温超伝導線は、住友電工で入手できると思いますが、超伝導体で磁石を作るのもそれほど簡単ではありません。超伝導線の曲げ方によっては、超伝導を破壊してしまいます。電源も大電流を流すことができ、かつクエンチのときに対応できる回路を備えたものが必要です。高校生がちょこっと作れるようなものではありません。
     国際超電導研究所ISTECに相談してご覧なさい。
    財団法人 国際超電導産業技術研究センター/超電導工学研究所
    〒135-0062 東京都江東区東雲一丁目10番13号 電話 (03)3536-5703 FAX (03)3536-5717
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 29 Oct 2008 20:58:17 +0900
    AA: お早い返信ありがとうございます。
    確かに高校生には難しそうですが、できる限りを尽くしていけるところまでいきたいと思います。
    本当にありがとうございました。
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    Date: Sat, 1 Nov 2008 00:20:04 +0900
    A2: S君、佐藤勝昭です。
     高校生がチャレンジするのは素晴らしいと思います。頑張って下さい。なお、液体ヘリウムとか液体窒素の扱いには、十分な注意が必要ですので、指導教員の立ち会いのもとに実験して下さい。
    MSエンジニアリングさんも、君から電話があれば、サンプルを分けて下さるとのことですから頑張って下さい。
    --------------------------------------------------------------------------------
    <参考>超電導工学研究所の町さんからS君からの問い合わせに対するメッセージ
    Date: Thu, 6 Nov 2008 12:39:38 +0900
    Sさんへ(cc 佐藤勝昭先生)
    超電導工学研究所の町と申します。
    メールをありがとうございました。Sさんのメールおよび佐藤先生のお返事も読ませて頂きました。返事が遅くなって申し訳ありません。

    「超伝導と環境問題」というテーマでの実験を計画されているということで,非常に興味深くメールを拝見いたしました。磁性活性炭と 超伝導マグネットを用いたいということは,おそらく
    大阪大学の西嶋茂宏先生高温超伝導磁気分離システムのことを念頭に置かれていることと思います。

    高温超伝導体を用いた磁気分離による環境浄化には,もう一つの方式があり,これは九州電力と日立製作所が共同開発しているものです。
    それは線材を用いた超伝導マグネットではなく,着磁した超伝導バルクを用いるものです。

    ここで少し超伝導体の性質について説明します。

    超伝導体は直流電流に対しては電気抵抗がゼロであるという性質を持ち,これを線材に加工し,コイルを作製することで非常に強力な 磁場を発生させることができます。ただし流せる電流は無限ではなく,ある臨界値に達すると超伝導ではなくなり電気抵抗が発生します。 この電流値のことを,臨界電流と呼びます。電流が流れるということは,そこに磁場が発生します。自分自身に流れた電流によって発生 した磁場は,超伝導体内部に侵入しようとしますが,低い磁場ではマイスナー効果という性質のために,磁場が内部に侵入すること ができません。磁場が高くなってきても,磁場そのものは侵入できませんが,量子磁束という形で超伝導体内部に存在できるように なります。この入り込んだ量子磁束が超伝導体内部で動いてしまうと電圧が発生してしまいますので,完全な超伝導状態とは呼べなく なってしまいます。臨界電流値の高い線材というものは,量子磁束が内部で動かないように,特定の場所に「ピン止め」できる傾向が 強いと言えます。量子磁束をピン止めできる性質を積極的に利用したのが,超伝導バルクマグネットです。超伝導転移温度よりも 高い温度で磁場を印加し,その状態で超伝導体を転移温度以下に冷却すると量子化された磁束がピン止め点に捕捉され,外部から 観察すると,非常に強い永久磁石が存在するように見えます。

    以上述べた性質は,第2種超伝導体と呼ばれるものの性質です。

    つまり高い磁場を発生する方法は,
    ・超伝導線材を使ったコイル
    ・高温超伝導バルクを使ったマグネット
    の2つの方法があることが分かります。そして,それぞれの場合に超伝導磁気分離システムがあることになります。

    さて,結論から言いますと,佐藤先生がおっしゃるように,どちらのマグネットも簡単に作製することはできません。現在市販されている 超伝導線材は,NbTiなどの金属系のものとBi2Sr2Ca2Cu3Oy などの高温超伝導線材です。

    金属系の超伝導線材は液体ヘリウムやGM冷凍機などで冷却しなければ超伝導にはなりませんので,もしも学校にそのような設備があれば別 ですが,現在無いとなれば,入手するだけでも大変なことになると思います。またNbTiなどは,かなり固い材料ですので,コイル化 するには,専用の巻線機が必要です。

    高温超伝導線材は,国内で手に入るのは,住友電工のBi2Sr2Ca2Cu3Oy(Bi2223)線材ですが,こちらは金属系よりも高価です。超伝導転移温度 が高いので,冷却は液体窒素でも可能ですが,この線材は液体窒素温度でのピン止め力が弱いので,通常の永久磁石よりも強い磁場を発生 することはできません。こちらも液体ヘリウムや冷凍機で冷却すればかなり高い磁場を発生できます。

    もしもマグネットが作製でき,低温クライオスタット(低温を保つための容器)が確保できたとしたら,これも佐藤先生のメールにあった 大電流を流せる電源が必要です。100Aクラスの電源が必要でしょう。

    次に,高温超伝導バルクを使ったマグネットですが,こちらも冷却は液体窒素で可能です。線材を用いたコイルのように,クライオスタット がなければならないということはなく,簡単には発砲スチロールなどで容器を作ることもできますし,大電流の電源も不要です。こちらの 問題は,高温超伝導バルクが非常に高価であること,および着磁をするために超伝導マグネットを所有する機関に依頼するなどして, 着磁状態で冷却したまま運搬しなければならないという困難があることです。

    以上のような理由で,実物の超伝導マグネットを