奇跡の生還

 

今の話で、なんとなく市街地の北西部にいるらしいことはつかめた。とりあえずいわれたとおりに車を進めることにするが、渋滞がひどい。

しばらくすると、どうやらそこは市電(トラム)の路線上だということがわかった。路面電車だから車もその上を通っていいらしいのだが、本当にいっちゃっていいのかどうか、一段落した不安がまたむくむくと頭をもたげてくる。前を走っていた車が軌道の上を走っていくのを見て、腹を決めてついていくことにする。ちょうど車一台分の横幅で、これで正面から市電に来られたらおしまいだな、と思うとついアクセルを踏む足に力が入る。このまま走っていていいものか非常に迷い、一度テベレ川沿いに出てみたほうがいいのではないかと思いかけたその時、

行く先に広場が見えてきた。

もしや?と思い進入してみると、そこは見覚えのあるポポロ門、そしてフラミニオ広場だ。

「やった、ここを左折すれば朝来た道に戻れる!」と二人で大喜び。ライトアップされたオベリスクに導かれるようにピンチョの丘を登って、Hertzの看板のある、地下駐車場入り口を見つけたときにはもう半狂乱状態。

何かを成し遂げたときの達成感と、それはただひたすら我慢してきた猛烈な尿意とが全身をしびれさせる。Hertzの事務所はいままさに閉まらんとすというところで、あの斎藤洋介おじさんが戸締りをして出てくるところだった。急いで車を降りて鍵を返そうとすると、壁に蓋のしてある口があって、そこに放り込んでおけばよいとジェスチャーで教えてくれる。いわれたとおり鍵を投入して本日の全日程終了。思わず「お疲れ様でした」と声を掛け合うのでありました。

 

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