ジュリア求めて三千里

 

ということで、行動あるのみ、というよりは落ち着きなくショップをウロウロすることにしました。

この文章は、あくまでワタクシが個人的に抱いた印象をそのまま吐露するものであって、決して特定の企業・個人を盲目的に礼賛・誹謗中傷する趣旨のものではありません。クルマにも個体差があるように、人それぞれで抱く印象は違うはず。そこのところを充分ご理解のうえご一読ください。

 

 

2002.02.03

まずは現物を見なければ!と思い、川崎の某ショップへ向かう。雑誌広告など事前のリサーチの結果、ジュリアスーパーの1.6があるらしい。その他1750GTVやGT1300Jrなんかも見てやろうとたくらんでいた。

当日は寒い雨で、今にも雪がちらつきそうだった。横浜新道→第三京浜でいくつもりが間違えて保土ヶ谷バイパスに乗ってしまい、いきなり出鼻をくじかれる。結局町田から246という非効率なルートをとることになってしまった。

ショップは程なく見つかった。この手のガレージはどこもそうだろうが、想像より小さくて雑然とした感じ。妻も「ここなの?」といささか微妙な面持ちである。だがしかしそこには憧れのオールドアルファが鎮座増しましているのも事実であって、なんだかんだ言いつつも興味津々なのである。

ガレージでメンテ中の人に許しを請い、展示車両を外から見させてもらうこととした。お目当てのジュリアもすぐに見つかった。オフホワイトでグリル分割式の初期型だ。内装張替え済みとのことで見てみると、なんとシートから内張りからフロアマットから全部赤なのだ。落ち着いた色だったのでそれほど違和感がないのだけれど、ちょっとだけ「なんじゃこれ」と思う。右ハンドルで、仕様もオリジナルに近い感じである。210万円。

ぱっと見はなかなかよさそうだが、肝心な錆びはどうかと見てみる。以前リペイントしているようで、下回りもアンダーコートが黒々と塗ってある。結構コンディションいいかな?と思っていたが、左リアのドア上部に無数の、左側下回りに少々の塗装浮きを発見。一気に気持ちが萎える。やっぱこんなものなのかな、オールドアルファなんて、と思うが、当時はボディコンディションだけはとことんこだわりたいと思っていたので心を鬼にして観察を続ける。

そのうち赤いつなぎを来た30代くらいの細い人が登場。
自分と同じくらいの年齢のアルファを探しているが、クーラー/ヒーターはついているのかというようなことを質問してみた。すると、ヒーターは全部についていて、クーラーは(店内在庫では)ウレタンバンパーのスパイダーくらいからで、105系では後付けになるが負担がかかりすぎるのでおすすめしない、とのこと。まあ、確かにそのとおりだ。

とりあえずあまりの寒さにその日は退散することにした。

 

2002.02.09

雑誌やインターネットで探しまくったが、ジュリアスーパーの個体は非常に少ないらしく、もう一度実車を見たくなり再度某ショップへ。今回は道も間違えず30分程度で到着。お目当てのジュリアスーパーを目指していくと、この前応対してくれた人がすぐそばで1750の商談中だった。その間しばらく執拗に調査を行うことにした。

三角窓のゴムが劣化のため隙間ができている。全般的にゴム類は替えるべきだと思う。アンダーコートが強力に塗ってあって外からは錆びの状況が確認しにくい。しかもエンジン下部(オイルパンあたりだと思われる)にもアンダーコートがついていて、ちょっと仕事が雑だという印象を受ける。

そのうちキイをあけてくれて、中をのぞくことができた。この個体は伊藤忠の正規モノらしく、何年か前にオールペイントとエンジンのオーバーホールをしたそうだ。座席に座ってみるが、結構広い。モケット型のシートの座り心地もなかなかだ。内装のタレもみあたらなく、赤い色も見慣れてくると悪くない感じだ。

お店の人が「エンジンかけましょうか?」と言ってくれたので早速お願いする。そのまえにボンネットを開けて見せてもらうことにした。ウェーバーのツインキャブから純正のエアクリがはずされていて、バッテリの位置もステーを使って変更されている。銘板はほとんどこすれて読み取ることができず、配線も劣化のあとが著しい。ラジエータも上部がベコベコにへこんでいて、正直なところ購買意欲が失せた。

エンジンはすんなりかかった。しばらくかけてなかったようで「パン、パン!」とバックファイヤーの音がしたが、アイドリングは思いのほか静かだった。アクセルを踏み込むとエンジン自体もグラグラ動くのをみて、マウントは大丈夫だろうかと非常に気になった。後日談だが、アルファのマウントは振動を逃がすためにわざとエンジンがゆれるように柔らかくしてあるらしい。

提示価格の中でどこまで整備するかを質問したが、なんとなくあいまいな答えしか(状況を見て対応します、とか、〜するつもりです、といったような口ぶりが多かった)得られず、ちょっとヤバイぞ、と思ってしまった。

 

2002.02.10

町田近辺のガレージを探すことにした。まずは瀬谷の某ショップへ。住宅街の中にあって見つけるのに一苦労。そして見つけたと思ったら閉まってていた。外にはボロばかりがおいてあってさびれた風情で、思わず退散してしまう。

あとでよく考えたら、不在時にピカピカの売り物を外に出しておくわけないから、当然と言えば当然なのだが。

そして次はミラノオートサービスを目指す。これまたやっているのかわからないような雰囲気で、思わず引いてしまう。外でドンガラのスパイダーを中心に大人3人が話をしている。レストアの相談中なのだろう。なんとなく近寄りがたい雰囲気を感じて、そそくさと帰ってしまった。

あまり得るものがなかったので満足度が低かったが、小さいガレージなんだから外にそんなに車を出しているわけじゃないし、電話でもしてアポとってから行くべきだった。

 

2002.02.16

入間の某ショップに足を伸ばすことにした。

郊外のガレージということで、いままでのショップとは駐車スペースもガレージも広くて入りやすい感じだ。メカニックの人に一声かけて見物してると、大将の鈴木さんが登場。雑誌でしか見たことのない人にお目にかかれて少々興奮する。「どうぞゆっくり見て行って」と声をかけてもらう。

外には段つき・段なしのJrや1750、アルフェッタが、ガレージのなかにはモントリオールや2600SZ(!)があって、お客さんのものと思われる右ハンドルでグリーンのジュリアスーパーがジャッキアップされていた。

大将にジュリアスーパーを探していると話しかけたら

「(ジュリア)スーパーは入荷しても1週間しないうちに売れちゃうからね、やっぱ出会いだからねえ」

と至極もっともな、そして少し残念なコメントを頂戴しました。

 

2002.02.27

Yahoo!オークションに出品されているジュリアスーパーの持ち主に直メールしてみたが、ついに返事が来た!

ヤフオクに出展する某ショップのような悪徳業者と違い、非常に誠実な、アルファロメオが好きな人だな、という印象を受ける。

実車を確認したいが、富山でしょ?遠いよな。

でもやっぱ気になって、温泉旅行と抱き合わせで、奥様と富山行きを決意するのであった。ああ馬鹿夫婦。

 

2002.03.03

大森の某ショップにジュリアスーパーを見に行く。広告に出ていた1600のスーパーはすでに売約済で、もう一台の1300TIを見せてもらうことになった。

色はバーガンディー。つや消しで非常に枯れた色だ。2灯でシングルキャブの個体は結構珍しい。前オーナーが147に乗るために手放したということだ。室内はそれなりにくたびれてはいる。思ったほどひどくはない、といった風情。エンジンをかけると、シングルキャブらしくトコトコと小気味よく動き出す。非常に静かで、しかも安定している。こういう枯れたアルファロメオっていうのも悪くないかな?とこのときは少しだけ思ったのだった。

店の人に運転していただく。小排気量ながらもけなげに走るさまはなかなかに味わい深い。一方で、うちのパンダ君のが走りは力強いぞ!とも思ってしまい、せっかくアルファを買うならもうちとパワフルなやつのがいいな、それから4灯のがもっといいな、とも思う。ただし、オリジナル度はかなり高くて、マニアック路線を気取るならこういうのもアリかな?と迷ってしまう。

店に戻って見積をもらう。車検が1年半ついて170万くらい。まあまあかな?錆びは左リアのタイヤハウスに一箇所。修復に5万くらいらしい。

 

2002.03.09

Yahoo!オークションに出展していたジュリアスーパーの実車を見に、富山県黒部市まで出かける(!)

早起きして6時に出発するが、16号の渋滞に巻き込まれ、青梅ICについたのは9時だった。半ばムリヤリ連れてこられたうちの奥様は船を漕ぎ出す始末で、行く先が思いやられるのであった。

関越道もスキーヤー渋滞で、だらだらと進む。上信越道に入ってから、軽井沢近辺の渋滞を越えると、見違えるようにスムースになった。やはり田舎の道はこれでなくては!ということで一路日本海を目指す。
時間節約のため渋滞中にお弁当を食べるなどして急いだが、結局北陸道の黒部ICに到着したのは14時過ぎであった。お相手のWさんに事前に電話連絡しておいたのだが、やはり少し申し訳ない気がする。

Wさんは1600GTスプリントGTA仕様に乗って登場。ムゼオで見たGTAに引けを取らないかっこよさで思わずビビる。道すがら深層水がただで汲めるところを教えていただいたりと、非常に心のこもったおもてなしをうける。水はすばらしくうまい。ワタクシもうちの奥様ももともと水のきれいなところで育ってきたせいか、ちょっとやそっとの水では驚かないのだが、あまりのうまさに翌日急遽ポリタンクを購入して汲んで帰ったのであった。

さて、肝心なジュリアスーパーですが・・・

ホームページ上の写真どおり、両リアドアの下回りや三角窓の角に錆びがある。結構目立つので実物を見て少々たじろぐが、塗装のつや自体は決して悪くない。というよりもつややかでかなりいい部類なのではないかと思う。特筆すべきは下まわりの状態で、今まで見た個体は多かれ少なかれ修復跡があってムリヤリ黒く塗られていたのだが、この車はすごくしっかりしている。文字通り「底が抜けそうな車」の多い中で、この点はかなりポイントが高いと思ってしまった。ボディの錆びも、触ってみると地金はしっかりしていて充分に修復可能だろう。

エンジンルームをあけてもらう。エンジンは1300から1750GTVのそれに換装されている。電磁ポンプもついていて、アーシングもしてあるので安心して乗れるのではないだろうか。車体番号のプレートがないのが少し残念だが、車体番号はフレームに刻印されているし、致命的な問題ではない。トランクルームもあけてもらうが、スペアタイヤもついている。ホイールはすべて1750GTVのもののようだ。

座席に座らせてもらう。まず気づいたのが、車内がかび臭くないことだ。天井や内装の状態がすばらしく、年相応のヤレ方はしているものの、非常に清潔な感じを受ける。聞けば三年前手に入れたときにクリーニングに出したということで、Wさんの几帳面さがうかがえる。皮のシートもアンコたっぷりで座りごこちよく、運転席の座面の破れを気にしなければ、うちの奥様も「前に乗った車はいすがペタンコでスプリングがわかったけれど、これは座りごこちがいい」と絶賛なのであった。

そしてなんといっても、運転席にはヘレボーレのステアリングだ。大ぶりなウッドの握りごこちのよさといったら!思わず惚れ惚れしてしまう。これが目当てで値引き交渉する輩も多いと聞いて、思わず納得してしまった。

 

いよいよ試乗させていただく。

この前乗った1300TIのシングルキャブがおもちゃに思えるくらい、1750のエンジンは力強く頼もしく感じる。ブレーキも2000GTVのそれに換装済ということで、効きも充分である。ミッションも落ち着いて入れればギア鳴りしない。聞くにシンクロがダメになっている個体ほど2速のシンクロを利用しないといけないのだろうというような話をしながら広い道を走る。久々のLHDのMTで緊張するが、思いのほか、というよりはとても走りやすくて驚く。半年以上眠っていたため、ベルトの鳴きがけっこうするが、そのうちおさまるであろう、とのこと。それまでずっと往復70Kmの日常通勤に耐えてきたということで、信頼性も折り紙付というところだろうか。

そのあともいろいろとお話させていただくが、Wさんの誠実さ、アルファロメオに対する情熱には恐れ入るばかりだ。こういう人から車を譲り受けられるのは結構ラッキーなことかもしれないな、と思う。正直、帰る頃にはほとんど腹積もりは決まっていたのだが、一応別途ご連絡ということでその場を離れることにする。

 

2002.03.14

ついに購入を決意、先方へ連絡をとる。

とりあえず陸送手配、駐車場の確保、車検整備などに奔走する。陸送はネット上で調べた某業者で即決した。当初の対応はなかなかだったが、チャーター便で時間指定をしたにもかかわらず、時間に遅れるわ、キャリアには他の車が載っているわ(チャーターって言っただろうが!)というていたらくであり、少々後味の悪い結果となってしまった。駐車場はうちのアパートの駐車場が空いておらず、近所の青空駐車場を確保することにした。が、駐車場のオーナーとなかなか連絡がとれず、契約書の入手が遅れたため車庫証明がとれず、これがネックとなって名義変更・納車が4月になってしまった。車庫証明は自力でやってみた。
@警察に書類(申請書・印紙)を取りに行き、
A必要書類(+契約書の写し)を出し、
B(車庫証明を)受け取る
という3回の手間さえ惜しいと思わなければ、素人でも問題なく申請できる。納車費用を少しでも抑えたい人にはお薦め。車検整備は町田のミラノオートにお願いした。

結局トータル購入コストは下記のとおり

車両本体(2002年度自動車税・ボディカバー含む) 1,250,000
重量税・自賠責保険・車検代行・納車整備 371,980
駐車場(敷金・礼金・仲介手数料含む) 45,350
陸送費用 75,000
合計 1,740,830

そしていよいよ、ジュリアがうちにやってくる、ヤア、ヤア、ヤア!なのである。

 

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