P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第6回
バット・ザ・リアリスト



 マイケル達四人は、いつものように馴染みの店でモンコレに興じていた。



 (カランカラン)


 ドアの開く音がする。

 そして、見知らぬ青年が一人入ってきた。

 「誰かこのバット様の相手になるヤツはいないか?」

 いきなりそう言うと男は店内の空いてる席にどっかりと腰を下ろした。

 いきなりの闖入者に店内は静まり返っていた。

 (よし・・・)

 マイケルは心を決めた。

 「俺が相手になる。」

 「そうこなくっちゃな。」

 バットは不適に笑った。

 「勝負は一回、ルール通り、いいな。」

 「ああ。」

 マイケルの答えは簡潔だった。





 勝負は長かった。

 押せば引き、引けば押す。

 双方決め手に欠け、その決め手は互いにうち消しあう。

 端から見ていてもいい勝負だった。

 そして一時間の末、双方の山札が尽きた。

 「引き分けだな。」

 「ああ。」

 バットの呼びかけにマイケルが答える。

 二人の間にはサドンデスなど無かった。

 語らずとも通じ合える、それがデュエリストだ。

 そう、語らずとも・・・

 バットは言った。

 「じゃあ、リアルだな。」

 「ああ、そうだな。」

 マイケルは解っていたように答えた。


 !!リアル?


 ギャラリーは耳を疑った。

 今なんと言った?

 リアル・・・だと?

 いやきっと聞き間違いだ・・・

 まさか!

 しかしギャラリーの心配をよそに二人は新たなデックをふところから取り出した。

 男は今度はみんなにも聞こえるようにはっきりと言った。

 「リアルアンティだ!!」

 リアルアンティ!!

 数年前に滅びたと言われるリアルアンティ。それをこの男は宣言したのだ。

 その言葉が響くと同時に、静まり返っていた店内が急に慌ただしくなる。

 必死の形相で逃げ出そうとする者。デックも忘れ大慌てで駆け出す者。強情にも勝負を見届けようとする者。





 今、店に残っている者は本物の勇者達だけだった。

 「俺がジャッジをやろう。」

 マスターが二人の前に現れた。

 さすがに幾度も死線を越えてきた男だけあって、リアルと聞いてもマスターは顔色ひとつ変えない。

 「ああ、よろしく頼むぜ。」

 男はマスターからマイケルに視線を移すと突然こう言った。

 「どうだ、どうせならどっちかがカードを全部吐き出すまでやろう。デスマッチだ!!」

 デスマッチ!

 その単語にさすがのマスターも色を無くした。

 「その条件はジャッジとして受け入れるわけにはいかん。」

 「っち、仕方ねぇか。」

 デュエルは始まった。





 残っている者はみんな強者揃いだ。

 この戦いの真を解っていた。

 そう、コモンだ。

 コモンデックを使えば負けても失う物は少ない、リアルアンティの定石だ。

 そんなギャラリーの考えをあざ笑うようにバットは召喚した。

 『ブルー・シルフ』『アースドラゴン』

 さすがのギャラリーもたまらずに声を上げる。

 「アンタ狂ってるよ!!」

 しかしマイケルだけは動じない。

 そして召喚する。

 『ベルダンディ』『クラウドジャイアント』

 バットはニヤリと笑った。

 「アンタ若いのによく分かってるじゃねぇか、コモンで勝負なんて二流、三流のする事よ。」

 ギャラリーはもう気を失う直前だ。





 そしてきっかり一時間の後に決着は付いた。

 バットは自軍の本陣を表に返してマイケルに渡した。

 「いい勝負だったぜ、ボウズ。」

 そう言うとバットは店を去った。




 バットの置いていったそのカードの左隅にはハートのマークがあった。

 ギャラリーはげんなりした。

 (入れるなよ、そんなもん・・・)


第6回 完 P 第7回

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