

「2D6」
1999年7の月、『人類統合体』を名乗る組織が台頭する。
人類統合体とは完全なる民主主義を目指す民間団体であった。
その思想は大衆に受け入れられ、崩れきった経済の立て直しを任された。
人類統合体の人材は豊富で、有能であった。
財政は立て直され、平和が訪れたように見えた、しかし・・・
人類統合体は経済の建て直しだけでなく、生活環境、思考の正常化を目的とした矯正施設を建設する。
犯罪者、共産主義者などは最優先で施設にかつぎ込まれ、そこでの矯正による社会復帰を目指していた。
それに伴い、思考正常化査察官、通称『SS』が組織される。
彼らは至る所の検閲を許されていて、危険思想の持ち主を発見、矯正施設への搬入を主な仕事としている。
査察官、曰く。
「君の精神は病んでいる、治療が必要だ。」
この話は、それから10年後の話である。
「ディック!!今、ショーターがSSに捕まった!!」
そう言いながら飛び込んできたのはマイケルだった。
ここは対人類統合体組織『2D6』の地下アジトだ。
「馬鹿な、検閲対策は万全だったはずだ。」
ディックと呼ばれた男は、信じられないと言う表情をした。
「彼らは本気でモンコレユーザーを潰しに来たらしいね。」
ディックの横で佇んでいた男がつぶやいた。
「ショーターほどの男を捕まえたのは、いったいどんな方法だい?」
マイケルは答える。
「奴ら、歌姫を使いやがったのさ。」
「それはひとたまりもないだろうねショーターには。」
「静寂、冗談はそれくらいにしておけ。」
ディックがそばに立つ男に向かって言った。
「そうだね、本題に入ろうか。」
静寂はさして反省した風でもなく答えた。
人類統合体が政権を握った後にしたことは、禁煙策であった。
喫煙は健康上宜しくない、と言うのがその理由だ。
それによりタバコは麻薬に制定され、制作、所持、販売を行った者は厳罰に処され、矯正施設に送り込まれた。
世論には、やりすぎだ!との意見もあったが大半は快く受け入れている。
問題はその次だ。
人類統合体の研究部門は、ダイスに常習性があることを発見、しかもダイスのコロコロという音は射幸心を煽るとの論文を発表。
人類統合体はこれを取り入れ、2000年1月1日、ダイス禁止令を施行した。
これが後の世に言う『2000年問題』である。
ダイス禁止令の基本的な内容はこうである。
ダイスの使用禁止。
ダイスの所持禁止。
ダイスの製造及び販売禁止。
ダイスを使用するゲームの所持禁止。
以上であった。
もとはと言えばこれは、半丁対策のために作られた物の筈だった。
しかし、これによりモンスターコレクションは事実上の絶版になった。
多くのカードが集められ、燃やされた。
しかし諦めない人物達は何処にでもいた。
彼らは様々な抵抗を行い人類統合体の解体を目指した。
しかし一人づつの抵抗ではかなわないと感じた彼らは集まり地下組織となった。
この時期には20を越える反人類統合体組織モンコレ派が結成された。
その他も、半丁派、D&D派、麻雀派などがあり、全部で108の派があった。
これが後に言う『何と!!108派』である。
『2D6』もそんなモンコレ派のうちの一つである。
「それで?」
ディックはマイケルを促す。
「奴らは検問を敷いて、通る人間すべてにやらせたんだ。」
「なにを?」
「踏み絵だ!!奴ら、ありったけの歌姫を・・・」
そういうマイケルの肩は悔しさのあまり震えていた。
「そうか・・・」
「ショーターは・・・踏めなかったんだ!!だってそうだろ、歌姫を踏めるヤツなんかこの世には・・・」
「お前はどうやって助かったんだ?」
静寂は分かり切った質問をした。
「お、俺は・・・踏んだんだ・・・ショーターの前で思いっきり、何度も、何度も、何度も、もう顔も解らないくらいにさ!!」
「よくやったぞマイケル。・・・辛かったら泣いてもいいんだぞ。」
「う、あ、ああ、っうわああー。」
マイケルは堪えきれずに号泣した。
マイケルは助かったが、その心には決して消えない傷を負ったのだ。
「許さねぇ、人類統合体の奴ら、絶対許さねぇ!!」
つづく・・・のか?
第7回 完