

ゴールドマン
大会での事だ。
私の参加しているテーブルの隣で騒ぎが起こった。
「てめぇナメてんのか?!ああっ?なんだそのカードは!」
「ナメてはいない、しかし君が負けることは始めから決定されていたのだよ、僕の対戦相手に決まったときからね」
会場中の視線を集めた男はニヒルな笑いと共に言った。
何かがおかしい・・・いや、異変は一目で分かった。
「えっ、金・・・」
もはやギャラリーと化した他の参加者の誰かがつぶやいた。
そう、金だ。
金色に輝くカード、そいつを男は山札にセットしていたのだ。
「そんなカード認められるわけないだろ!」
「いや違う、この男は勘違い・・・いや、知らないだけだ、間違いない。ゴールドカードだ・・・」
私は思わず聞いた。
「知っているのかブランドン」
ゴールドカード・・・
5年間、無事故無違反の者にのみ与えられると言われている伝説のカード
まさか実在するとは思っても見なかったが
それがここに・・・
「ゴールドの所有者は全世界でたったの11人しか居ないという話だったが・・・」
ブランドンの言葉にゴールドの男は、やはりニヒルに笑った。
「ゴールドがそんなに凄いのか?」
「解ってないな、無事故と言うことはカードの回りが完璧だと言うことだ、これがどれほどの事かは解るだろ」
黄金の男が口を開いた。
「今聞いたとおり、お前がどんなに仕掛けてきても、その時は既に僕の手札には対抗手段があると言うことだ」
「そんなバカなことが・・・」
「やってみれば解るさ・・・さぁ君たちも早く戻った方がいい、大会は始まっているんだからね」
その言葉に会場中の人間が我に返り散っていった。
その時の私は5年という言葉を必死に考えていた。
5年
5年
5年・・・
そうちょうど5年だ
決勝戦はそれにふさわしい対決方法が必要である。
そう考えた主催者の意向により、最終戦は無制限一本勝負となっている。
私は初めて来たのだが、それはこの大会の伝統らしい。
決勝のカードは最初から判っていたようなものである
私にとっては。
そう、私とあの黄金の男だ。
「よう、7戦目の後どこ行ってたんだ?もう始まるぞ」
「ん?ブランドンか、ちょっと手続きにね」
?
「最終戦の相手、私には初めから判っていたよ、ミスターゴールドマン」
言葉と同時にデックをセットする。
!!
全ての人間が息をのんだ。
そう、あのゴールドマンさえも!
「重要なのは5年という事だったんだ。つい先ほどちょうど5年を過ぎた・・・私が12人目、という訳だね。」
「まずい、この決勝に時間制限は無い、サウザンドウォーズに陥るぞ!!」
もう他人の言葉など耳に入らないほどの集中だ。
対戦が始まる。
第100話 完