

ジェイク・ザ・チェアマン
「おい、ジェイク。」
マイケルは廊下を歩くジェイクに呼びかけた。
「な、なんだいマイケル。」
ジェイクは眼鏡を直しつつ応えた。
「なぁ、お前もやろうぜ。」
「ま、またその話か、ぼ、僕はやらないと言ったろう。」
マイケルはニヤリと笑いながら言った。
「本当はやりたいんだろう?モンコレを。」
モンコレと言う言葉にちょっとだけジェイクの目が反応した。
「なぁ、ジェイク。」
「ば、馬鹿なことを言うのはやめてくれ、ぼ、僕は忙しいんだ。」
マイケルは諦めなかった。
そしてジェイクの腕を掴んだ。
今日こそは、と言う気迫さえ感じる。
ジェイクはたじろいだ。
「じゅ、塾があるんだ、は、放してくれないか。」
「素直になりなよ、ジェイク。」
(ここで負けてしまっては僕は・・・)
ジェイクは心を鬼にすることに決めた。
「僕は君たちみたいな人間とは種類が違うんだ、将来は国防庁の長官になるんだからね。君たちもいつまでもそんな物やってないで将来のことを考えたら?」
しかしマイケルはたじろがない。
「ジェイク、これをあげるよ。」
マイケルが差し出したのは一枚のモンコレのカードだった。
そして、ジェイクの耳元でささやく。
「君は俺たちと同じ種類の人間さ、俺には解るよ。」
しかしジェイクの目には入らない、いや、ジェイクは解っていたのだ、それを見たら破滅だと。
「これ以上僕に関わるのはやめてくれ、こんな人達と関わってるのが人に知れたら、僕はもう身の破滅だ。」
マイケルも一歩も譲らない。
カードをジェイクの目の前に出した。
しかし、ジェイクはそれを蠅を払うように払いのけた。
「ああ!!」
流石のマイケルも声を上げた。
床に落ちた美しいハイエルフのカードは真ん中に一筋の折れ目がついていたのだ。
「ジェイク、お前は知らないかも知れないけどなぁこのカードは・・・」
マイケルはジェイクに非難の目を向けようとした、しかし。
ジェイクは恐れおののいていた。
目は見開かれ、口はわななき、手は痙攣さえ起こしそうだった。
「あ、ああ・・・」
うめき声しか出ていない。
「ジェイク?」
マイケルはジェイクに呼びかけた。
「し、知らなかったんだ・・・ま、まさか『歌姫』なんて・・・」
「ジェイク?何でお前このカードのこと・・・」
「うわー!」
その瞬間、ジェイクはマイケルを突き飛ばして走り出した。
「ジェイク!!」
マイケルはあわててジェイクを追った。
校舎を出たところでマイケルは追いついた。
ジェイクの腕を掴む。
その衝撃で、ジェイクのポケットから何かが落ちた。
「ジェイク、お前・・・」
ジェイクは観念したようだ。
「・・・デックだよ、マイケル。」
ジェイクは続けた。
「僕には君たちみたいな勇気はなかったんだ、でもこれでもう・・・」
「ジェイク・・・」
マイケルには掛けるべき言葉が見つからなかった。
「もう戻ることはできない、ならばあえて進もう、その道がたとえ茨の道でも!!」
ジェイクは何かが吹っ切れたようだ。
「そうか・・・なら行こうジェイク、仲間達の元へ!」
「マイケル、あんな事をした僕を仲間だと言ってくれるのかい・・・」
「当たり前さジェイク、俺たちは・・・モンコレ仲間だ!!」
「マイケル・・・よし、行こう!!」
二人はもと来た道を引き返した。
「ジェイク、お前さっきよりもいい顔してるぜ。」
第15回 完