P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第22回
ジオ・ザ・クイックドロウ



 2010年、人類統合体の政策にもほころびが見えだした頃・・・


 その街には一人の男の伝説があった。

 その男の名はジオ。

 歳は18で銀色の長髪を持つ。

 魅せるカード捌きは常人の目に止まらぬ程速く、正確。

 悪にも汲みせず、正義にも属さぬ。

 ただ己の為だけに戦う男。

 そいつと戦った者は、もうカードに触れる事すらできなくなると言う。

 銀髪の悪魔・・・

 噂は噂を呼んだ。

 しかし、その姿を見た者は一人もいない。

 そんな街の話・・・





 ここはモンコレ仲間の隠れ家のような存在だ。

 人類統合体に迎合せず、反撃の機を狙う者のたまり場だ。


 カランカラン


 店の扉が開き、男が一人入ってきた。


 男は銀の髪を腰に届くくらいまで伸ばしていた。

 そして店に入るなりこう言った。

 「おい、お前ら!怪我したくなかったら、ありったけのレアカードを出しな!!」

 突然の闖入者の言葉に店の中にいた人々は言葉を失った。

 そして男の容姿を見るなり途端に騒々しくなる。


 ジオだ・・・

 ジオが遂にこの店に・・・

 銀髪の悪魔・・・


 店の中の人々は口々に呟く、何故?と・・・

 ジオは堪りかねたように声を荒らげた。

 「早くしねえか!!レアカードだ!!まさか俺を知らない訳じゃないだろう?」

 その言葉に突き動かされるように人々はカードをジオの前に出した。

 その時ふと、ジオは窓際の男に目を向けた。

 帽子を目深にかぶったその男はジオを無視するようにゲームを続けていた。

 「おいそこの帽子!!聞こえなかったのか?レアカードだ。」

 ジオは帽子の男を威嚇した。

 しかし帽子の男はジオに向かって言い放った。

 「ヘタクソに渡すレアは無いね。」

 「クッ!!良く言ったぜ帽子!!伝説を見せてやる、こい!!」

 そう言うと二人は真ん中のテーブルで対峙した。

 「今さら詫びを入れても遅いからな帽子!!」

 帽子の男はジオの声にも表情一つ変えない。

 「お喋りしに来たのか?早く切れよ、それとも口先だけか?」

 帽子の男はカードを切り終えながら言った。

 その言葉にジオは素晴らしいカード捌きを魅せた。

 宙を舞うカード、そしてシャッフルされつつ、ジオの手に戻る。

 伝説は本当だった・・・

 ギャラリーはこの対戦を見逃さないように食い入るようにテーブルの二人を見つめていた。





 デュエルは始まった。

 そして中盤までは何事もなく過ぎた。

 二人とも機をうかがっているのだ。

 堪りかねたジオが動いた。

 「エナジー・ドレイン!!!」

 ジオはそのドローの風圧で相手の皮膚を切り裂くことが出きるのだ。

 クイックドローの異名は伊達ではない。

 ダイス目は6。

 「ハッハッハ喰らえ、6枚ドローだ!!」

 ジオがカードを引こうとしたその時、帽子の男はジオの手を掴んだ

 「何をする、なめてるのか?」

 帽子の男はニヤリと笑った。

 「この俺を虚仮にしやがって・・・確認させてやる、俺の名前を言って見ろ!!」

 帽子の男は渋々呟くように言った。

 「ジオ・ザ・クイックドロウ・・・」

 「聞こえねえ。」

 「ジオ・ザ・クイックドロウ!!」

 「んーそうだったよなぁ、この名前が何を意味するか教えてやろう、手を離しな。」

 帽子の男は素直に手に放した。

 「つまり、その手がカードに戻る前にてめえの手を八つ裂きにできるってことさ!!」

 ジオは素早い手つきでカードを引こうとする。

 その時だ!!

 帽子の男が反応した。

 「ウィンド・カッター。」

 対抗だ!!

 その後も『ウィンド・カッター』を2枚、『ブライアーピット』、『ウィーク・ポイント』を撃った。

 さらに戦闘の終わりを突いて『セブン』!!

 目にも止まらぬ速さで7枚のカードを引いた。

 ジオの方は1枚目をまだ引けずにいた。

 その手をドローの風圧が切り裂いた!!


 帽子の男は言った。

 「奇遇だね、僕も同じ名前なんだ、6倍早いけど。」

 自ら起こした風圧で帽子が落ちた。

 そしてその下から隠されていた銀の長髪が現れた。


第22回 完
P第23回

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