P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達

P第28回
究極のデック作り



 「これは駄目だ。使えないよ。」

 男はそんなセリフを言った。

 「えっ、でも折角貸してもらったデックをそんな風に言っちゃ・・・」

 女は男をなだめるように言った

 「これをちょっと触って見ればわかるさ。」

 男はそう言うと、持っていたカードをスリーブをはずして女に手渡した。

 女はそのカードを触るとハッとした。

 女も気が付いたのだ。

 「確かに肌触りがザラザラしてるわ、スリーブをしてた時は気づかなかったけど・・・」

 「ああ。ちゃんと管理していればこんな事は起こらない。それにカードの端が少しボロボロになっている。スリーブを使っていなかった証拠だ。」

 「でも、このデックはちゃんとスリーブに・・・」

 女にはまだ解らない。

 「これは昨日、急遽つけたスリーブさ、普段から使っているわけじゃない。」

 「確かに・・・言われてみればその通りだわ。」

 「それに『ナインテイル』が入っている、4レベルばかりのこのデックにね。確立を考えていない証拠さ。」

 「何でそんなことを・・・」

 女は理解に苦しんでいた。

 そんなことは普通の人間にできるわけがない。

 「使ってみたかったんだろ、きっと。」

 男の答えは簡潔だったが的を射ていた。

 おそらくそれが正解だ。

 「デックは生き物なんだ、うまく育ててやらなければ死んでしまう。」

 「そうね、これじゃデックが可哀相だわ・・・」

 「この辺じゃあ、これでも勝てるのかも知れないがね、それに奢っていたのさ・・・きちんとした管理は基本だ。その基本ができていないようじゃ見る価値はない・・・帰るぞ。」

 そう言い残すと男はさっさと会場をあとにした。

 「あっ、待って!」

 それをあわてて女が追いかける。

 全くいつもの光景だ。

 いつになったら「究極のデック作り」は完成するのか・・・

 (神のみぞ知る・・・だな)

 男はそんなことを考えていた。


第28回 完
P第29回

P1UPP TOP