


究極のデック作り
「これは駄目だ。使えないよ。」
男はそんなセリフを言った。
「えっ、でも折角貸してもらったデックをそんな風に言っちゃ・・・」
女は男をなだめるように言った
「これをちょっと触って見ればわかるさ。」
男はそう言うと、持っていたカードをスリーブをはずして女に手渡した。
女はそのカードを触るとハッとした。
女も気が付いたのだ。
「確かに肌触りがザラザラしてるわ、スリーブをしてた時は気づかなかったけど・・・」
「ああ。ちゃんと管理していればこんな事は起こらない。それにカードの端が少しボロボロになっている。スリーブを使っていなかった証拠だ。」
「でも、このデックはちゃんとスリーブに・・・」
女にはまだ解らない。
「これは昨日、急遽つけたスリーブさ、普段から使っているわけじゃない。」
「確かに・・・言われてみればその通りだわ。」
「それに『ナインテイル』が入っている、4レベルばかりのこのデックにね。確立を考えていない証拠さ。」
「何でそんなことを・・・」
女は理解に苦しんでいた。
そんなことは普通の人間にできるわけがない。
「使ってみたかったんだろ、きっと。」
男の答えは簡潔だったが的を射ていた。
おそらくそれが正解だ。
「デックは生き物なんだ、うまく育ててやらなければ死んでしまう。」
「そうね、これじゃデックが可哀相だわ・・・」
「この辺じゃあ、これでも勝てるのかも知れないがね、それに奢っていたのさ・・・きちんとした管理は基本だ。その基本ができていないようじゃ見る価値はない・・・帰るぞ。」
そう言い残すと男はさっさと会場をあとにした。
「あっ、待って!」
それをあわてて女が追いかける。
全くいつもの光景だ。
いつになったら「究極のデック作り」は完成するのか・・・
(神のみぞ知る・・・だな)
男はそんなことを考えていた。
第28回 完
