P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第31回
ナチュラル


 ディックとブランドンはいつものようにモンコレをやっていた。

 場所はディックの部屋だ。

 飾り気も何もない、そして辺りにはカードを納めた箱がいくつも並んでいる。

 そこいらに使い古されたスリーブが落ちているのもご愛敬だろう。

 「よし、今日の最終戦だ。」

 ブランドンが、そう宣言した。

 「ああ、このデックは手強いぜ、昨日徹夜で作ったヤツだからな。」

 ディックが内ポケットからデックを取り出す。

 「のどが渇いたな。」

 ブランドンがつぶやく。

 「ん?スプライトならあるぜ。」

 刹那、部屋はシンと静まり返った。

 忌まわしい過去の記憶が蘇ったのだ。

 「・・・いや、いい。デュエルをしよう。」

 何事もなかったように二人はデュエルを始めた。


 デュエルは最初の戦闘に入った。

 「即時召喚でブラックライトニング。」

 ディックの宣言にブランドンも応える。

 「こっちは虹の雫の精霊だ。」

 二人はイニシアチブのダイスを振った。

 結果は・・・3と3だった。

 「同時・・・か!?」

 「同時・・・」

 互いに全滅だった。

 「弓が一本落ちたよ。」

 「こっちは髑髏の騎士だぜ、釣り合わないよ。」

 「まあそうかな。」

 ディックは答えた。

 デュエルは続いていく。


 そして二度目の戦闘になった。

 「即時召喚でシューティングスターを装備。」

 「虹の雫の精霊だ。」

 二人はそれぞれ即時を終えた。

 「じゃあイニシアチブだな。」

 ダイス目は6と6、同時だ。

 「あ〜あ、また弓が落ちちゃったよ・・・」

 「騎士が・・・」


 「じゃあ隊長だ。」

 「こっちはサキュバスにワイトとマーマン少年聖歌隊。」

 ダイス目は2と5。

 「同時・・・」

 二人はため息をついた。


 「皇帝を即時で。」

 「こっちは無し、ウオータードラゴンだけで十分さ。」

 ダイス目はやはり1と6。

 「・・・」

 もう二人に言葉はなかった。


 「これで最後だ!!」

 二人とも山札が無くなっていた。

 今までの9回の戦闘は全て同時だった。

 ディックが6本目の弓を装備させる。

 ブランドンは最後の髑髏の騎士に全てを託した。

 ダイスだ。

 結果は4と3。

 「お?やっと同時じゃないな、じゃあ俺の先攻かな?」

 そう言ったディックは気づいていなかった、ブランドンの目に異様な光が宿っていることを・・・

 そう、ブランドンは今一枚のカードに手を掛けていた。

 そしてそのカードを宣言した。

 ブランドンはニヤリと笑った。

 「ウォークライ。」

 「ブランドン!!何を・・・」

 「同時だよディック!!」

 もはや戦場には何も残っていなかった。


第31回 完
P第32回

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